(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127417
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20240912BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036562
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 嘉透
(72)【発明者】
【氏名】中道 理介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼下 昌士
(72)【発明者】
【氏名】永井 彬雄
(72)【発明者】
【氏名】浅井 信之介
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA14
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】強度が低い材料から形成されるルアー本体に対して針用等の軸部を確実に固定できる。
【解決手段】二分割された一対のボディ10A、10Bを接合するルアー本体に一部が挿入される軸部20と、軸部20におけるルアー本体内に位置する挿入部分から径方向外側に突出する突出部22A、22Bと、ルアー本体の内側に設けられ、突出部22A、22Bが係合する係合穴15と、を備え、係合穴15は、一対のボディ10A,10Bに設けられる構成のルアーを提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二分割された一対のボディを接合するルアー本体に一部が挿入される軸部と、
前記軸部における前記ルアー本体内に位置する挿入部分から径方向外側に突出する突出部と、
前記ルアー本体の内側に設けられ、前記突出部が係合する係合部と、
を備えているルアー。
【請求項2】
前記係合部は、前記一対のボディのうち少なくとも一方に設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記突出部は、前記軸部の径方向両側に設けられ、前記一対のボディのそれぞれに係合する、請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
前記係合部は、前記突出部の突出先端を挿入する係合穴である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項5】
前記一対のボディの周縁部には、周方向に延在する環状部材が外嵌する、請求項1に記載のルアー。
【請求項6】
前記環状部材は、少なくとも前記軸部の外周側の位置に配置される、請求項5に記載のルアー。
【請求項7】
前記一対のボディの周縁部には、周方向に延びる凹溝が設けられ、
前記凹溝と前記環状部材とが嵌合する、請求項5又は6に記載のルアー。
【請求項8】
前記一対のボディは、それぞれの周縁部同士で接合され、
前記突出部は、前記周縁部から所定距離をあけて配置される、請求項1に記載のルアー。
【請求項9】
前記一対のボディの内面には、中空部が形成され、前記中空部に突出する補強リブが設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項10】
前記軸部における前記ルアー本体の外方側には、傘針が設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項11】
前記軸部における前記ルアー本体の外方側には、回転体が回転可能に支持される、請求項1に記載のルアー。
【請求項12】
前記一対のボディの少なくとも一方は、生分解性樹脂の素材により形成される、請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルアーに装備される餌木の傘針の軸(カンナ軸)やプロップルアーのプロペラシャフト等では、ルアー本体に固定軸(軸部)を挿入する構成のものがある。このような軸部では、ルアー本体から所定量延出されることで曲げや捩れの荷重を受けるため、挿入される軸部の長さを十分に確保する必要がある。
そして、ルアー本体からの軸部の抜け出しと、軸部のルアー本体に対する相対回転と、を防止するルアーとして、接着や螺子止めにより軸部を固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のルアーでは、以下のような問題があった。
すなわち、近年、海洋の環境問題により、ルアーにも生分解性樹脂の使用が求められるようになっている。このような生分解性樹脂などの一般にルアーに用いられている樹脂より強度が低い材料の場合には、軸部におけるルアー本体に対する接着強度や螺子の固定強度が十分に確保できないという問題があった。そのため、このような接着や螺子固定でない固定構造が求められており、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、強度が低い材料から形成されるルアー本体に対して針用等の軸部を確実に固定できるルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るルアーの態様1は、二分割された一対のボディを接合するルアー本体に一部が挿入される軸部と、前記軸部における前記ルアー本体内に位置する挿入部分から径方向外側に突出する突出部と、前記ルアー本体の内側に設けられ、前記突出部が係合する係合部と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るルアーの態様1によれば、軸部に設けられる突出部をルアー本体の内側に設けた係合部に係合させる固定構造となる。すなわち、軸部をルアー本体に対して接着や螺子固定でない固定構造で確実に固定でき、軸部がルアー本体から抜け出ることを防止し、かつ軸部の回転を規制することができる。これにより、軸部の引張強度および捻じり強度を向上させることができる。したがって、本発明では、強度が低い材料から形成されるルアー本体であっても、接着や螺子止めにより軸部をルアー本体に固定する従来の固定構造と同等に軸部を固定することができる。そのため、ルアー本体の素材として、例えば海洋環境に好適な生分解性樹脂の素材を使用することが可能となる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、態様1のルアーにおいて、前記係合部は、前記一対のボディのうち少なくとも一方に設けられることが好ましい。
【0009】
この場合には、係合部に軸部を収容するように係合させることができるので、一対のボディを分離させる方向に作用するトルクを抑えることができる。そのため、一対のボディが接合された状態を維持することができ、軸部自体の固定強度も維持できる。
【0010】
(3)本発明の態様3は、態様1のルアーにおいて、前記突出部は、前記軸部の径方向両側に設けられ、前記一対のボディのそれぞれに係合することが好ましい。
【0011】
この場合には、軸部に作用する荷重を軸部の両側に位置する突出部のそれぞれで分担させることができ、軸部の耐久性を向上させることができる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つのルアーにおいて、前記係合部は、前記突出部の突出先端を挿入する係合穴であることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、係合穴に突出部の突出先端が挿入するといった機械的に軸部をルアー本体に係合させる構成となるため、ルアー本体が例えば生分解性樹脂などの軸部を接着させ難い材料から形成される場合であっても、確実に軸部を固定することができる。
【0014】
(5)本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つのルアーにおいて、前記一対のボディの周縁部には、周方向に延在する環状部材が外嵌することを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、一対のボディが環状部材によって外周側から押さえ付けられ、分離が防止される。一対のボディ同士の溶着強度を補強したい任意の箇所に環状部材を外嵌させて装着することができる。
【0016】
(6)本発明の態様6は、態様5のルアーにおいて、前記環状部材は、少なくとも前記軸部の外周側の位置に配置されることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、軸部の荷重を受けやすい軸部の外周側に位置するルアー本体の周縁部に環状部材が外嵌されるので、軸部をより強固に固定することができる。
【0018】
(7)本発明の態様7は、態様5又は態様6のルアーにおいて、前記一対のボディの周縁部には、周方向に延びる凹溝が設けられ、前記凹溝と前記環状部材とが嵌合することを特徴としてもよい。
【0019】
この場合には、環状部材を装着するルアー本体の周縁部に凹溝を設けることで、ルアー本体の軽量化を図ることができ、さらに環状部材の外れ防止となる。
【0020】
(8)本発明の態様8は、態様1から態様7のいずれか一つのルアーにおいて、前記一対のボディは、それぞれの周縁部同士で接合され、前記突出部は、前記周縁部から所定距離をあけて配置されることを特徴としてもよい。
【0021】
この場合には、突出部に作用する荷重が直接的に一対のボディの周縁部同士の接合部分に伝わることがない。すなわち、突出部が係合する係合部から周縁部の接合部分までの肉が緩衝部として作用するため、一対のボディ同士が分離することを抑制できる。
【0022】
(9)本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つのルアーにおいて、前記一対のボディの内面には、中空部が形成され、前記中空部に突出する補強リブが設けられることを特徴としてもよい。
【0023】
この場合には、一対のボディを軽量化しつつ、その剛性を向上させ、一対のボディにおける水圧等による変形量を小さくすることができる。これにより、係合部の係合度合いがボディの変形によって減少することを防ぐことができ、軸部をより強固に固定できる。
【0024】
(10)本発明の態様10は、態様1から態様9のいずれか一つのルアーにおいて、前記軸部における前記ルアー本体の外方側には、傘針が設けられることを特徴としてもよい。
【0025】
この場合には、ルアー本体に対して抜け出し不能、かつ回転不能に強固に固定された軸部に対して傘針が設けられるので、傘針を好適に使用できる。
【0026】
(11)本発明の態様11は、態様1から態様9のいずれか一つのルアーにおいて、前記軸部における前記ルアー本体の外方側には、回転体が回転可能に支持されることを特徴としてもよい。
【0027】
この場合には、ルアー本体に対して抜け出し不能、かつ回転不能に強固に固定された軸部に対して回転体が設けられるので、回転体としての機能を十分に発揮できる。
【0028】
(12)本発明の態様12は、態様1から態様11のいずれか一つのルアーにおいて、前記一対のボディの少なくとも一方は、生分解性樹脂の素材により形成されることを特徴としてもよい。
【0029】
この場合には、上述したようにルアー本体に挿入される軸部を係合部に係合させることで固定強度を高める構成となるので、一対のボディの材質の制限がなくなり、生分解性樹脂製の素材で形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るルアーによれば、強度が低い材料から形成されるルアー本体に対して針用等の軸部を確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態によるルアーを示す側面図である。
【
図2】
図1に示すルアーの尾部の一部を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図1に示すルアーの尾部の一部を示す水平断面図である。
【
図5】第1変形例によるルアーの水平断面図である。
【
図6】
図5ルアーの動作を説明するための平面図である。
【
図7】第2変形例によるルアーの尾部の一部を示す水平断面図である。
【
図8】第3変形例によるルアーの頭部を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るルアーの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0033】
図1~
図3に示すように、実施形態のルアー1は、魚釣り用として使用され、生分解性樹脂製の素材から形成されたエビの形態を摸したルアー、いわゆるエギを一例とする。
【0034】
ここで、ルアー1において、頭部と尾部とが一直線上に結ぶ方向を前後方向X1とし、頭部側を前方、前側とし、尾部側を後方、後側と定義する。また、上方から見て、前後方向X1と直交する横方向を左右方向X2と定義して以下説明する。
【0035】
ルアー1は、二分割された一対のボディ10A、10Bを接合するルアー本体10と、ルアー本体10の後端部10bに突設され、ルアー本体10の前後方向X1に沿う中心軸O1に軸方向を向けてルアー本体10に一部が挿入される軸部20と、軸部20におけるルアー本体10の外方側に設けられる傘針30と、を備えている。
【0036】
ルアー本体10は、魚を模擬した流線形状に形成され、半割の一対のボディ10A、10Bの周縁部10d同士を接着又は溶着等で接合して一体的に形成される。ルアー本体10は、頭部11と、胴部12と、尾部13と、が一体で設けられる。なお、頭部11、胴部12および尾部13は、それぞれ分割されて、各部同士が左右方向X2に揺動自在に設けられていてもよい。
図1において、紙面左側がルアー本体10の頭部11側の前端部10aであり、紙面右側がルアー本体10の尾部13側の後端部10bである。
【0037】
ルアー本体10は、前後方向X1の中央部10eで断面が最も大きくなる形状をなしている。すなわち、ルアー本体10は、前端部10aから中央部10eに向けて太くなり、中央部10eから後端部10bに向かうに従い先細る形状で、全体が滑らかな曲線を形成している。
【0038】
ルアー本体10の胴部12は、中空部100を形成している。頭部11及び尾部13は、中実であり、全体が生分解性樹脂からなる。
一対のボディ10A、10Bの中空部100に面する内面10cには、中空部100に向けて突出する補強リブ14が設けられている。補強リブ14は、上下方向に延び、リブ面14aを前後方向X1に交差させて配置されている。補強リブ14を設けることにより、生分解性樹脂製の素材から形成されるボディ10A、10Bが補強される。そのため、ルアー本体10は、外圧に耐え得るように強度が高められる。
【0039】
図2及び
図3に示すように、軸部20は、ルアー本体10の尾部13における後端部10bにおいて、左右一対のボディ10A、10Bによって挟まれた状態で取り付けられる。軸部20は、軸本体21と、ボディ10内に位置する軸本体21の挿入端部21a(挿入部分)から径方向両側に突出する突出部22(22A、22B)と、を有する。軸部20の後端は、平面視してT型に形成される。軸部20は、矩形断面である。
【0040】
突出部22A、22Bは、矩形断面をなし、平面視して軸本体21の軸方向に垂直に延びる。突出部22A、22Bの突出端22aは、ルアー本体10の側面(周縁部10d)に露出しない長さである。突出部22A、22Bは、それぞれボディ10A、10Bに係合する。突出部22A、22Bは、それぞれボディ10A、10Bの周縁部10dから所定距離をあけて配置される。
【0041】
軸本体21のルアー本体10から後方に露出する後端部には、一対の傘針30が装着されている。
【0042】
ルアー本体10の後端部10bには、それぞれ軸部20を係合する係合穴15(係合部)を有する。係合穴15は、前後方向X1に沿って延びて軸部20が係合する第1係合孔151と、左右方向X2に延びて突出部22が係合する第2係合孔152と、を備えている。第1係合孔151および第2係合孔152は、それぞれ矩形断面をなしている。第1係合孔151は、軸部20と同断面形状の孔部である。第2係合孔152は、突出部22と同断面形状の孔部である。
【0043】
図1~
図3に示すように、一対のボディ10A、10Bの尾部13における周縁部10dには、周方向に延在する環状部材16が外嵌する。環状部材16は、少なくとも軸部20の外周側の位置に配置される。一対のボディ10A、10Bの周縁部10dには、周方向に延びる凹溝17が設けられている。凹溝17に環状部材16が嵌合する。一対のボディ10A、10Bは、凹溝17に環状部材16が嵌合することで、外周側から押さえられて分離が抑制される。
【0044】
また、
図1に示すように、ルアー本体10の前端部10aには、釣り糸取付け軸部40が設けられている。釣り糸取付け軸部40は、前端に釣り糸が接続される環状の釣り糸係止部41を備え、後端に頭部11に挿入された状態で係合する環状の係合環42を備える。ルアー本体10の頭部11には、釣り糸取付け軸部40の後側部分を挿入させて固定する挿入部18を有する。挿入部18は、ルアー本体10の前端部10aから後方に延びる挿入孔181と、挿入孔181の奥側には釣り糸取付け軸部40の係合環42を係合する係合穴部182と、を有する。釣り糸取付け軸部40は、一対のボディ10A、10Bに挟持された状態で非接着で螺子固定でなく挿入部18に係合することで固定されている。
【0045】
次に、このように構成されるルアー1の作用について、
図1~
図7に基づいて詳細に説明する。
本実施形態によるルアー1では、軸部20に設けられる突出部22A、22Bをルアー本体10の内側に設けた係合穴15に係合させる固定構造となる。すなわち、軸部20をルアー本体10に対して接着や螺子固定でない固定構造で確実に固定でき、軸部20がルアー本体10から抜け出ることを防止し、かつ軸部20の回転を規制することができる。これにより、軸部20の引張強度および捻じり強度を向上させることができる。
したがって、本実施形態では、強度が低い材料から形成されるルアー本体10であっても、接着や螺子止めにより軸部をルアー本体に固定する従来の固定構造と同等に軸部20を固定することができる。そのため、ルアー本体10の素材として、例えば海洋環境に好適な生分解性樹脂の素材を使用することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、係合穴15が一対のボディ10A、10Bのうち少なくとも一方に設けられる。ここで、一対のボディ10A、10Bによって突出部22A、22Bが挟持された構成のみの場合では、軸部20の捩れによるトルクが一対のボディ10A、10Bを分離させる方向に作用してしまう。これに対して、係合穴15に軸部20を収容するように係合させることができるので、上述したような一対のボディ10A、10Bを分離させる方向に作用するトルクを抑え、一対のボディ10A、10Bが接合された状態を維持することができ、軸部20自体の固定強度も維持できる。
【0047】
また、本実施形態では、突出部22A、22Bが軸部20の径方向両側に設けられ、一対のボディ10A、10Bのそれぞれに係合する。このように構成することで、軸部20に作用する荷重を軸部20の両側に位置する突出部22A、22Bのそれぞれで分担させることができ、軸部20の耐久性を向上させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、係合穴15に突出部22A、22Bの突出端22aが挿入するといった機械的に軸部20をルアー本体10に係合させる構成となる。そのため、ルアー本体10が例えば生分解性樹脂などの軸部20を接着させ難い材料から形成される場合であっても、確実に軸部を固定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、一対のボディ10A、10Bの周縁部10dには、周方向に延在する環状部材16が外嵌する。これにより、一対のボディ10A、10Bが環状部材16によって外周側から押さえ付けられ、分離が防止される。一対のボディ10A、10B同士の溶着強度を補強したい任意の箇所に環状部材16を外嵌させて装着することができる。
【0050】
また、本実施形態では、環状部材16は、少なくとも軸部20の外周側の位置に配置される。このように構成することで、軸部20の荷重を受けやすい軸部20の外周側に位置するルアー本体10の周縁部10dに環状部材16が外嵌されるので、軸部20をより強固に固定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、一対のボディ10A、10Bの周縁部10dには、周方向に延びる凹溝が設けられ、凹溝17と環状部材16とが嵌合する。これにより、環状部材16を装着するルアー本体10の周縁部10dに凹溝17を設けることで、ルアー本体10の軽量化を図ることができ、さらに環状部材16の外れ防止となる。
【0052】
また、本実施形態では、一対のボディ10A、10Bは、それぞれの周縁部10d同士で接合され、突出部22A、22Bは、周縁部から所定距離をあけて配置される。これにより、突出部22A、22Bに作用する荷重が直接的に一対のボディ10A、10Bの周縁部10d同士の接合部分に伝わることがない。すなわち、突出部22A、22Bが係合する係合穴15から周縁部10dの接合部分までの肉が緩衝部として作用するため、一対のボディ10A、10B同士が分離することを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、一対のボディ10A、10Bの内面には、中空部100が形成され、中空部100に突出する補強リブ14が設けられる。この場合には、一対のボディ10A、10Bを軽量化しつつ、その剛性を向上させ、一対のボディ10A、10Bにおける水圧等による変形量を小さくすることができる。これにより、係合穴15の係合度合いがボディ10A、10Bの変形によって減少することを防ぐことができ、軸部20をより強固に固定できる。
【0054】
また、本実施形態では、軸部20におけるルアー本体10の外方側には、傘針30が設けられる。これにより、ルアー本体10に対して抜け出し不能、かつ回転不能に強固に固定された軸部20に対して傘針30が設けられるので、傘針30を好適に使用できる。
【0055】
また、本実施形態では、一対のボディ10A、10Bの少なくとも一方は、生分解性樹脂の素材により形成される。これにより、ルアー本体10に挿入される軸部20を係合穴15に係合させることで固定強度を高める構成となるので、一対のボディ10A、10Bの材質の制限がなくなり、生分解性樹脂製の素材で形成することができる。ここで、生分解性樹脂としては、酢酸セルロースやPHA(ポリヒドロキシアルカノエート)が採用できる。特に、PHAの中でもP3HB(ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート])やその共重合体であるP3HB4HB(ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート])、P3HBV(ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート-co-(R)-3-ヒドロキシバレレート])、P3HBH(ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート-co-(R)-3-ヒドロキシヘキサノエート])などは海水中での生分解性(海洋生分解性)に優れており、これらを採用することが望ましい。
【0056】
上述のように構成された本実施形態によるルアー1では、強度が低い材料から形成されるルアー本体10に対して針用等の軸部20を確実に固定できる。
【0057】
以上、本発明によるルアーの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0058】
例えば、上記実施形態では、ルアー本体10に設けられる係合穴15(係合部)は、一対のボディ10A、10Bの両方に設けられているが、いずれか一方のボディのみに係合部が設けられる構成であってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、軸部20の突出部22A、22Bが軸部20の径方向両側に設けられ、一対のボディ10A,10Bのそれぞれに係合した構成としているが、これに限定されることはない。例えば、
図5に示す第1変形例によるルアー1Aのように、軸部20Aの径方向の一方のみに突出部22C(22)が突出する構成であってもよい。この場合には、突出部22Cが係合する係合穴15の第2係合孔152が一方のボディ(
図5では符号10Aのボディ)のみに形成されている。第1変形例の場合には、
図6(a)~(c)に示すように、軸部20Aが左右方向X2に振れた場合でも、第2係合孔152の孔内面152aに突出部22Cが当接して係止した状態となり、軸部20Aのルアー本体10からの抜け出しが規制される。なお、第1変形例のルアー1Aでは、第2係合孔152がボディ10Aの周縁部10dに貫通している。
【0060】
また、
図7に示す第2変形例によるルアー1Bでは、第2係合孔152がボディ10Aの周縁部10dに貫通している。また軸部20の突出部22A、22Bの突出長が長くのばされ、その突出部22A、22Bの突出端22aがボディ10A、10Bの周縁部10dの近傍に位置している。このように第2係合孔152がボディ10Aの周縁部10dを貫通している場合でも、突出部22A、22Bは周縁部10dから所定距離をあけて配置される。
【0061】
さらに、上述した実施形態では、一対のボディ10A、10Bの周縁部10dに周方向に延在する環状部材16が外嵌する構成としているが、このような環状部材16を省略することも可能である。また、環状部材16の位置として、軸部20の外周側の位置に配置される構成としているが、この位置であることに限定されず、胴部12に環状部材16が設けられていてもよい。そして、一対のボディ10A、10Bの周縁部10dに、環状部材16を嵌合させるための周方向に延びる凹溝17を設けているが、この凹溝17を省略することも可能である。
【0062】
また、本実施形態では、ルアー本体10の内面10cに中空部100に突出する補強リブ14の形状、数量、向き等の構成は、適宜変更可能である。また、補強リブ14を省略することも可能である。
【0063】
さらにまた、本実施形態では、軸部20におけるルアー本体10の外方側に傘針30が設けた構成としているが、傘針30であることに限定されることはない。例えば、
図8の第3変形例に示すルアー1Cのように、軸部20におけるルアー本体10の外方側にプロペラ31(回転体)が回転可能に支持された構成であってもよい。この場合には、ルアー本体10に対して抜け出し不能、かつ回転不能に強固に固定された軸部20に対して回転体が設けられるので、回転体としての機能を十分に発揮できる。
また、軸部20に設ける部材としては釣り針や回転体に限定されず、他の形状、機能を有する部材を装着することも可能である。
【0064】
また、本実施形態では、ルアー本体10の素材として、生分解性樹脂により形成された構成としているが、他の素材を採用することもできる。例えば、従来のように樹脂製や金属製で、従来よりも厚みを薄くかつ軽量な部材を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A、1B、1C ルアー
10 ルアー本体
10A、10B ボディ
100 中空部
10a 前端部
10b 後端部
10c 内面
10d 周縁部
11 頭部
12 胴部
13 尾部
14 補強リブ
15 係合穴(係合部)
151 第1係合孔
152 第2係合孔
16 環状部材
17 凹溝
20、20A 軸部
21 軸本体
22、22A、22B、22C 突出部
30 傘針
31 プロペラ(回転体)
X1 前後方向
X2 左右方向