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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127418
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60R7/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036563
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大沼 千尋
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CA26
3D022CB01
3D022CC21
3D022CC24
3D022CC25
3D022CD02
3D022CD05
3D022CD21
(57)【要約】
【課題】コンソールの使い勝手を向上させることのできる車両を提供する。
【解決手段】車両10は、後部座席12、コンソール20、および支持部23を有する。後部座席12は車室11に設けられている。コンソール20は、車室11における後部座席12に着座した乗員の足元のスペースに設けられている。支持部23は、コンソール20を後部座席12の幅方向に移動可能な態様で支持している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に設けられた座席と、
前記車室における前記座席に着座した乗員の足元のスペースに設けられるコンソールと、
前記コンソールを前記座席の幅方向に移動可能な態様で支持する支持部と、
を有する車両。
【請求項2】
前記支持部は、前記コンソールに設けられた第1連結部と、前記座席に設けられるとともに前記第1連結部を支持する第2連結部と、を有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記幅方向において相対移動可能な態様で連結されている、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記座席は、複数の乗員が前記幅方向に並んで着座可能に構成されている、
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記座席は、車両後部座席である、
請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記コンソールは、前記幅方向において複数の分割部に分割された構造をなしており、
前記支持部は、前記複数の分割部を前記幅方向に移動可能な態様で各別に支持している、
請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記車室の内壁に設けられ、前記内壁が部分的に凹んだ形状をなす収容凹部を有し、
前記収容凹部の内部は、前記コンソールの移動軌跡の一部を含んでいる、
請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内にコンソールが設けられた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のフロアにコンソールを設けることが多用されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両では、コンソールは、運転席と助手席との間に設けられている。
また上記車両では、コンソールが車両の前後方向に移動可能に構成されている。これにより、コンソールは、前後方向における任意の位置に配置することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-290227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両は、コンソールの使い勝手を向上させる点において、改善の余地が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両の各態様を記載する。
[態様1]車室に設けられた座席と、前記車室における前記座席に着座した乗員の足元のスペースに設けられるコンソールと、前記コンソールを前記座席の幅方向に移動可能な態様で支持する支持部と、を有する車両。
【0006】
上記構成によれば、座席における乗員の着座態様(例えば着座位置や着座姿勢)に合わせて、同乗員の足元に配置されるコンソールを座席の幅方向における任意の位置に移動させることができる。これにより、コンソールが乗員の足元のスペースに移動不能に固定されている場合と比較して、コンソールの使い勝手を向上させることができる。
【0007】
[態様2]前記支持部は、前記コンソールに設けられた第1連結部と、前記座席に設けられるとともに前記第1連結部を支持する第2連結部と、を有し、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記幅方向において相対移動可能な態様で連結されている、[態様1]に記載の車両。
【0008】
上記構成によれば、第1連結部および第2連結部を有する支持部を利用して、コンソールを座席の幅方向に移動可能な態様で同座席によって支持することができる。
[態様3]前記座席は、複数の乗員が前記幅方向に並んで着座可能に構成されている、[態様1]または[態様2]に記載の車両。
【0009】
複数の乗員が幅方向に並んで着座可能に構成された座席(例えばベンチシート)は、1名の乗員が座席の幅方向における中央に着座することが可能になるなど、1名のみが着座可能な座席(いわゆる独立シート)と比べて、着座態様についての自由度が高い。
【0010】
上記構成によれば、そうした着座態様についての自由度が高い座席において、乗員の着座位置に合わせて、コンソールの位置を定めることができる。したがって、コンソールの使い勝手を向上させることができる。
【0011】
[態様4]前記座席は、車両後部座席である、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の車両。
上記構成によれば、車両後部座席に、座席の幅方向に移動可能な使い勝手のよいコンソールを配置することができる。そのため、車両後部座席の快適性を向上させることができる。
【0012】
[態様5]前記コンソールは、前記幅方向において複数の分割部に分割された構造をなしており、前記支持部は、前記複数の分割部を前記幅方向に移動可能な態様で各別に支持している、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の車両。
【0013】
上記構成によれば、1つの座席に対して、複数の分割部を合体した状態で配置したり、複数の分割部を分離した状態で各別に配置したりするなど、高い自由度でコンソールを配置することができる。これにより、コンソールを、使い勝手の良い態様で配置することが可能になる。
【0014】
[態様6]前記車室の内壁に設けられ、前記内壁が部分的に凹んだ形状をなす収容凹部を有し、前記収容凹部の内部は、前記コンソールの移動軌跡の一部を含んでいる、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の車両。
【0015】
上記構成によれば、座席の幅方向にコンソールを移動させることで、同コンソールの少なくとも一部を収容凹部に収容することができる。そのため、例えばコンソールを使用しない場合には同コンソールを邪魔にならない位置に避けておくことができる。その他、コンソールの一部が車室の内壁から突出する状態にすることで、同コンソールをアームレストとして利用すること等も可能になる。上記構成によれば、このようにして、コンソールを使い勝手のよいものにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンソールの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の車両における後部座席およびその周辺の構造を示す斜視図である。
図2】同車両における後部座席およびその周辺の平面構造を示す略図である。
図3】同車両における支持部およびその周辺の部分側断面構造を示す略図である。
図4】同車両における第1連結部およびその周辺の平面構造を示す略図である。
図5】同車両における着座スタイルの一例を示す略図である。
図6】同車両における着座スタイルの他の例を示す略図である。
図7】他の実施形態の車両における後部座席およびコンソールの平面構造を示す略図である。
図8】その他の実施形態の車両における後部座席およびコンソールの平面構造を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施形態の車両について、図1図6を参照して説明する。
以降において、車両の前後方向を前後方向Lとし、車両の幅方向を車幅方向Wとし、車両が水平面上に位置しているときの車両の上下方向を上下方向Zとして説明する。また、前後方向Lにおける前側および後側をそれぞれ単に「前側」および「後側」とし、車幅方向Wにおける右側および左側をそれぞれ単に「右側」および「左側」とし、上下方向Zにおける上側および下側をそれぞれ単に「上側」および「下側」として説明する。
【0019】
図1および図2に示すように、車両10は、居住空間をなす車室11を有している。車室11には、前後方向Lにおいて並ぶ態様で、前部座席(図示略)と後部座席12とが設けられている。
【0020】
<後部座席>
後部座席12は、同後部座席12の幅方向と車幅方向Wとが一致する態様で、車室11の内部における後側、詳しくは前部座席よりも後側に配置されている。後部座席12は、車両10の前方を向いて着座可能に構成されている。後部座席12としては、長椅子形状の座席(いわゆるベンチシート)が採用されている。後部座席12は、2人の乗員が車幅方向Wに並んで着座可能に構成されている。後部座席12は、座部13を有している。座部13は、前後方向Lおよび車幅方向Wに延在している。座部13は、後部座席12に着座した乗員の臀部および大腿部を支持する部分である。
【0021】
<コンソール>
車両10は、コンソール20を有している。コンソール20は、車室11に設けられている。詳しくは、コンソール20は後部座席12に着座した乗員の足元のスペースに設けられている。コンソール20は、本体部21とテーブル部22とを有している。
【0022】
本体部21は、四角箱状をなす。本体部21の上壁および下壁は前後方向Lおよび車幅方向Wに延在している。本体部21の右壁および左壁は前後方向Lおよび上下方向Zに延在している。本体部21の前壁および後壁は車幅方向Wおよび上下方向Zに延在している。本体部21は、内部に物を収容可能に構成されている。
【0023】
テーブル部22は、本体部21の上部に固定されている。テーブル部22は、前後方向Lおよび車幅方向Wに延在する平板形状をなしている。テーブル部22は、前後方向Lにおいて長い略長方形状をなしている。テーブル部22は、本体部21の上側と後部座席12の座部13の上側とを覆う形状をなしている。
【0024】
<分割部>
コンソール20は、車幅方向Wにおける中央位置において2つの分割部30R,30Lに分割された構造をなしている。2つの分割部30R,30Lの外形は略同一になっている。具体的には、コンソール20の右側を構成する分割部30Rは、四角箱状の本体部21Rと平板形状のテーブル部22Rとを有している。また、コンソール20の左側を構成する分割部30Lは、四角箱状の本体部21Lと平板形状のテーブル部22Lとを有している。そして、本体部21Rと本体部21Lとが同一の形状をなすとともに、テーブル部22Rとテーブル部22Lとが同一の形状をなしている。
【0025】
本実施形態のコンソール20では、上記テーブル部22Rの上面の高さと、テーブル部22Lの上面の高さとが同一になっている。これにより、2つの分割部30R,30Lが合体される場合には、分割部30R(詳しくは、テーブル部22R)の上面と分割部30L(詳しくは、テーブル部22R)の上面とが面一になる。また本実施形態のコンソール20は、2つの分割部30R,30Lが合体される場合において、本体部21Rの側面と本体部21Lの側面とが面一になる構造をなしている。
【0026】
<支持部>
図2図4に示すように、車両10は、支持部23を有している。支持部23は、コンソール20(詳しくは、各分割部30R,30L)を後部座席12の幅方向に移動可能な態様で支持している。支持部23は、第1連結部40と、第2連結部50と、固定部60とを有する。
【0027】
<第1連結部>
第1連結部40は、分割部30R,30Lに一体に設けられている。本実施形態では、2つの分割部30R,30Lに対して、同一構造の第1連結部40が設けられている。第1連結部40は、1つのアーム部41と4つのローラ43とを有している。
【0028】
アーム部41は、車幅方向Wおよび前後方向Lに延在する平板形状をなす。アーム部41は、前側の部分が分割部30R,30Lの後壁に固定されている。アーム部41は、分割部30R,30Lを始点に、後部座席12側に向けて延びている。
【0029】
図3および図4に示すように、4つのローラ43は、アーム部41における後側の部分に回転可能に設けられている。本実施形態では、4つのローラ43は、矩形状の仮想線を描いた場合に同矩形状の4つの角部に配置される態様でアーム部41に設けられている。各ローラ43の回転軸は、前後方向Lに延びている。
【0030】
<第2連結部>
第2連結部50は、後部座席12に一体に設けられている。第2連結部50は、座部13の下部に固定されている。本実施形態では、この第2連結部50に対して、分割部30Rに一体の第1連結部40と分割部30Lに一体の第1連結部40とが、車幅方向Wにおいて相対移動可能な態様で連結されている。第2連結部50は、前側レール部51と後側レール部52とを有している。
【0031】
前側レール部51は、車幅方向Wにおいて延びている。前側レール部51は、下側に向けて開口する凹溝を有するレール上部511と、上側に向けて開口する凹溝を有するレール下部512とを有している。レール上部511とレール下部512との間には、第1連結部40に設けられた4つのローラ43のうちの前側の2つが挟み込まれている。これらローラ43は、前側レール部51の内部を転がることで、アーム部41ともども同前側レール部51に沿って車幅方向Wに移動する。
【0032】
後側レール部52は、車幅方向Wにおいて延びている。後側レール部52は、下側に向けて開口する凹溝を有するレール上部521と、上側に向けて開口する凹溝を有するレール下部522とによって構成されている。レール上部521とレール下部522との間には、第1連結部40に設けられた4つのローラ43のうちの後側の2つが挟み込まれている。これらローラ43は、後側レール部52の内部を転がることで、アーム部41ともども同前側レール部51に沿って車幅方向Wに移動する。
【0033】
本実施形態では、第2連結部50が、分割部30Rの第1連結部40と分割部30Lの第1連結部40とで共用される。すなわち、後部座席12に設けられた1つの第2連結部50に対して、分割部30Rの第1連結部40と分割部30Lの第1連結部40とが共に連結されている。
【0034】
<固定部>
固定部60は、分割部30R,30Lを移動させることの可能な状態(移動状態)、および同分割部30R,30Lの移動が規制された状態(固定状態)のいずれかに切り替えるためのものである。固定部60は、操作部61と、作動部62と、操作ケーブル63とを有する。固定部60は、2つの分割部30R,30Lに各別に設けられている。
【0035】
操作部61は、分割部30R,30Lの移動または固定に際して、乗員によって操作される操作スイッチである。操作部61は、分割部30R,30Lのテーブル部22R,22Lに設けられている。作動部62は、第1連結部40におけるローラ43の近傍に設けられている。作動部62は、可動部分(図示略)がローラ43に対して出没可能な構造をなしている。この作動部62と上記操作部61とは、操作ケーブル63を介して連結されている。
【0036】
操作部61がオン操作されると、作動部62の可動部分がローラ43に向けて突出することで、同ローラ43に押し当てられる。これにより、ローラ43の回転が規制されるため、同ローラ43の車幅方向Wへの移動が規制される。したがって、この場合には、分割部30R,30Lが現状の移動位置に固定される。
【0037】
操作部61がオフ操作されると、作動部62の可動部分がローラ43から離れる方向に移動する。これにより、作動部62の可動部分によるローラ43の回転規制が解除されるため、同ローラ43は回転可能な状態になる。したがって、この場合には、分割部30R,30Lは車幅方向Wに移動可能な状態になる。
【0038】
<収容凹部>
図1および図2に示すように、車両10は、収容凹部14R,14Lを有している。
収容凹部14Rは、分割部30Rの右側部分を収容可能に構成されている。収容凹部14Rは、車室11における右側の内壁15R(例えば、ドアトリム等の内装部材)に形成されている。収容凹部14Rは、車室11の内壁15Rが部分的に凹んだ形状をなしている。収容凹部14Rは、分割部30Rの右側部分に対応する形状をなしている。具体的には、収容凹部14Rは、本体部21Rの右側部分を収容可能な四角箱状のスペースS1(図1)とテーブル部22Rの右側部分を収容可能な平板形状のスペースS2とを有している。本実施形態では、分割部30Rを移動範囲における右側の端まで移動させた場合に、同分割部30Rの右側部分が収容凹部14Rに収容されるようになる。このように本実施形態では、収容凹部14Rの内部は、分割部30Rの移動軌跡の一部(詳しくは右側の端部)を含んでいる。
【0039】
収容凹部14Lは、分割部30Lの左側部分を収容可能に構成されている。収容凹部14Lは、車室11における左側の内壁15L(例えば、ドアトリム等の内装部材)に形成されている。なお図1には、2つの収容凹部14R,14Lのうちの一方(収容凹部14R)のみを示している。本実施形態では、収容凹部14Lの形状は、図1に示した収容凹部14Rの形状の鏡像になっている。
【0040】
図1および図2に示すように、収容凹部14Lは、車室11の内壁15Lが部分的に凹んだ形状をなしている。収容凹部14Lは、分割部30Lの左側部分に対応する形状をなしている。具体的には、収容凹部14Lは、本体部21Lの左側部分を収容可能な四角箱状のスペースとテーブル部22Lの左側部分を収容可能な平板形状のスペースとを有している。本実施形態では、分割部30Lを移動範囲における左側の端まで移動させた場合に、同分割部30Lの左側部分が収容凹部14Lに収容されるようになる。このように本実施形態では、収容凹部14Lの内部は、分割部30Lの移動軌跡の一部(詳しくは左側の端部)を含んでいる。
【0041】
<作用>
以下、コンソール20(分割部30R,30L)の配置態様について、図2図5および図6を参照して説明する。
【0042】
図2に示す例では、コンソール20は、2つの分割部30R,30Lを合体させた状態で、後部座席12の車幅方向Wにおける中央に配置されている。
この場合には、2人の乗員がコンソール20を間に挟んだ状態で後部座席12の両サイドに着座するといった標準的な着座スタイルを選択することができる。この着座スタイルによれば、2人の乗員は、2つの分割部30R,30Lを合体させた大型のコンソール20を、共同で使用することができる。
【0043】
図5に示す例では、コンソール20は、2つの分割部30R,30Lを合体させた状態で、後部座席12の車幅方向Wにおける中央から左側にずれた位置に配置されている。
この場合には、1人の乗員Mが後部座席12の車幅方向Wにおける中央に着座するといった着座スタイルを選択することができる。この着座スタイルによれば、1人の乗員Mが後部座席12を広く使用することができる。しかも、2つの分割部30R,30Lを合体させた大型のコンソール20を乗員Mの近くに配置することができるため、同コンソール20を使い勝手の良いものにすることができる。
【0044】
図6に示す例では、コンソール20は、2つの分割部30R,30Lを分離させた状態になっている。そして、分割部30Rの右側部分は内壁15Rの収容凹部14Rに収容された状態になっている。また、分割部30Lの左側部分は内壁15Lの収容凹部14Lに収容された状態になっている。
【0045】
この場合には、2人の乗員Mが、コンソール20を間に挟まない状態で、後部座席12の両サイドに着座するといった着座スタイルを選択することができる。その他、1人の乗員Mが後部座席12の端に着座するといった着座スタイルを選択することもできる。このように、1人ないし2人の乗員Mが後部座席12の端に着座することができる。
【0046】
また、後部座席12における右端に着座した乗員Mは、分割部30Rを使用することができる。図6に示す例では、分割部30Rの右側部分が内壁15Rの収容凹部14Rに収容された状態になっているものの、同分割部30Rの左側部分は車室11内に突出している。後部座席12における右端に着座した乗員Mは、そうした分割部30Rの左側部分、すなわち車室11内に突出している部分を、荷物台やアームレストとして利用することができる。
【0047】
さらに、後部座席12における左端に着座した乗員Mは、分割部30Lを使用することができる。図6に示す例では、分割部30Lの左側部分が内壁15Lの収容凹部14Lに収容された状態になっているものの、同分割部30Lの右側部分は車室11内に突出している。後部座席12における左端に着座した乗員Mは、そうした分割部30Lの右側部分、すなわち車室11内に突出している部分を、荷物台やアームレストとして利用することができる。
【0048】
本実施形態によれば、乗員が後部座席12に着座するうえで邪魔にならない位置に、コンソール20(詳しくは、分割部30R,30L)を移動させることができる。そのため、乗員は後部座席12における好みの位置に着座することができる。
【0049】
本実施形態の車両10では、コンソール20の位置を自在に変更することができる。そのためコンソール20の位置を、例えば乗員の着座位置の近傍に設定したり、乗員の手が届く範囲で同乗員の着座位置から若干離れた位置に設定したり、乗員の手が届かない位置に設定したりすることができる。したがって本実施形態によれば、後部座席12における乗員の着座態様(例えば着座位置や着座姿勢など)に合わせて、コンソール20を車幅方向Wにおける任意の位置に移動させることができる。また、乗員が望むコンソール20の利用態様に合わせて同コンソール20の位置を予め設定しておくこと等も可能になる。これにより、コンソール20の使い勝手を向上させることができる。そのため、車室11の快適性を向上させることができる。
【0050】
<効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)車両10は、車室11における後部座席12に着座した乗員の足元のスペースに設けられるコンソール20と、コンソール20を後部座席12の幅方向に移動可能な態様で支持する支持部23とを有している。そのため、後部座席12における乗員の着座態様に合わせて、同乗員の足元に配置されるコンソール20を同後部座席12の幅方向における任意の位置に移動させることができる。これにより、コンソール20の使い勝手を向上させることができる。
【0051】
(2)支持部23は、コンソール20に設けられた第1連結部40と、後部座席12に設けられるとともに第1連結部40を支持する第2連結部50とを有している。第1連結部40および第2連結部50は、車幅方向Wにおいて相対移動可能な態様で連結されている。本実施形態によれば、そうした第1連結部40および第2連結部50を有する支持部23を利用して、コンソール20を後部座席12の幅方向に移動可能な態様で同後部座席12によって支持することができる。これにより、コンソール20を支持するための部材が車両フロアに設けられなくなるため、同部材が乗員の移動の邪魔になることがなくなる。また、上記部材が車両フロアに設けられる場合と比べて、車両フロアの見栄えを良くすることが可能になる。
【0052】
(3)後部座席12は、複数の乗員が車幅方向Wに並んで着座可能に構成されている。この後部座席12は、幅方向における中央に1名の乗員が着座することが可能になるなど、1名のみが着座可能な座席(いわゆる独立シート)と比べて、着座態様についての自由度が高い。本実施形態によれば、そうした着座態様についての自由度が高い後部座席12において、乗員の着座位置に合わせて、コンソール20の位置を高い自由度で定めることができる。したがって、コンソール20の使い勝手を向上させることができる。
【0053】
(4)コンソール20は、後部座席12に着座した乗員の足元のスペースに設けられている。これにより、後部座席12に、その幅方向に移動可能な使い勝手のよいコンソール20を配置することができる。そのため、後部座席12の快適性を向上させることができる。
【0054】
(5)コンソール20は、車幅方向Wにおいて2つの分割部30R,30Lに分割された構造をなしている。2つの分割部30R,30Lは、支持部23により、車幅方向Wに移動可能な態様で各別に支持されている。本実施形態によれば、1つの後部座席12に対して、2つの分割部30R,30Lを合体した状態で配置したり、2つの分割部30R,30Lを分離した状態で各別に配置したりするなど、高い自由度でコンソール20を配置することができる。これにより、コンソール20を、使い勝手の良い態様で配置することが可能になる。
【0055】
(6)車両10は、車室11の内壁15R,15Lに設けられた収容凹部14R,14Lを有している。収容凹部14R,14Lは、内壁15R,15Lが部分的に凹んだ形状をなしている。収容凹部14R,14Lの内部は、コンソール20を構成する分割部30R,30Lの移動軌跡の一部を含んでいる。
【0056】
本実施形態によれば、車幅方向Wに分割部30R,30Lを移動させることで、同分割部30R,30Lの一部を収容凹部14R,14Lに収容することができる。そのため、分割部30R,30Lを使用しない場合には同分割部30R,30Lを邪魔にならない位置に避けておくことができる。また、このとき分割部30R,30Lの一部が収容凹部14R,14L(詳しくは、内壁15R,15L)から突出した状態になるため、その突出した部分をアームレストとして利用すること等も可能になる。本実施形態によれば、このようにして、コンソール20を使い勝手のよいものにすることができる。
【0057】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・収容凹部14Rを、分割部30Rの右側部分を収容可能な形状にすることに限らず、分割部30Rの全体を収容可能な形状としてもよい。収容凹部14Lを、分割部30Lの左側部分を収容可能な形状にすることに限らず、分割部30Lの全体を収容可能な形状としてもよい。
【0059】
・収容凹部14R,14Lの一方を省略することができる。また、収容凹部14R,14Lの両方を省略することが可能である。
・コンソール20の形状は、任意に変更することができる。例えばテーブル部22を楕円板状にすることができる。この場合には、テーブル部22R,22Lの各々を半楕円板状にすればよい。またテーブル部22の形状を、2つのテーブル部22R,22Lが合体された場合にそれらテーブル部22R,22Lの境界部分に段差が形成される形状にすることができる。テーブル部22に、ドリンクホルダーやトレイとして機能する凹部を設けてもよい。その他、テーブル部22を省略すること等も可能である。また、本体部21を円柱形状にするなど、四角箱状以外の形状にすることができる。本体部21の形状を、2つの本体部21R,21Lが合体された場合にそれら本体部21R,21Lの境界部分に段差が形成される形状にすることができる。
【0060】
図7に一例を示すように、テーブル部22Rを、上下方向Zに延びる軸線LRを回転中心として、回転可能に構成してもよい(同図中の矢印AR参照)。また、テーブル部22Lを、上下方向Zに延びる軸線LLを回転中心として、回転可能に構成してもよい(同図中の矢印AL参照)。こうした構造は、例えばテーブル部22R,22Lを、軸線LR,LLを回転中心として、本体部21に対して相対回転可能に構成することによって実現することができる。上記構造は、テーブル部22R,22Lおよび本体部21R,21Lを、軸線LR,LLを回転中心として、後部座席12(具体的には、第1連結部40)に対して相対回転可能に構成することによっても実現することができる。
【0061】
・支持部23の各構成は、任意に変更することができる。例えば、前側レール部51および後側レール部52によってローラ43が案内される構造のスライド機構を設けることに代えて、一対のレール部の一方によって他方が案内される構造のスライド機構を採用することができる。この場合には、固定部60としては、一対のレール部の相対移動を規制するロック機構を設けることができる。その他、固定部60を、第1連結部40および第2連結部50の一方に設けられた複数の係合凹部と、第1連結部40および第2連結部50の他方に設けられて前記複数の係合凹部のうちの1つに選択的に係合する係合凸部とによって構成すること等が可能である。要は、コンソール20に設けられた第1連結部40と後部座席12に設けられた第2連結部とを有するとともに、第1連結部40および第2連結部50が、車幅方向Wにおいて相対移動可能に連結されていればよい。
【0062】
・支持部23として、コンソール20を後部座席12によって支持する構造のものを採用することの他、コンソール20を車両フロアによって直接支持する構造のものを採用することができる。この場合には、支持部23の構造を、例えばコンソールに設けられた第1連結部と車両フロアに設けられた第2連結部とを有する構造であって、且つ、第1連結部および第2連結部が車幅方向Wにおいて相対移動可能な態様で連結された構造にすることができる。
【0063】
・上記実施形態にかかる車両は、2人の乗員が車幅方向Wに並んで着座可能な後部座席12を有する車両に限らず、3人以上の乗員が車幅方向Wに並んで着座可能な後部座席を有する車両にも適用することができる。この場合には、2つの分割部30R,30Lを分離させた状態でコンソール20を配置することで、内壁15Rと分割部30Rとの間、内壁15Lと分割部30Lとの間、および2つの分割部30R,30Lの間を、それぞれ着座スペースにすることが可能になる。
【0064】
・コンソール20として、3つ以上の分割部に分割された構造のものを採用することができる。
・コンソール20として、一体構造のものを1つのみ設けるようにしてもよい。
【0065】
・コンソール20として、移動位置の移動を手動で行う手動式のものを設けることに代えて、電動式のものを設けるようにしてもよい。なお電動式のコンソールは、例えばコンソール20を支持する支持部23に、ラックアンドピニオン機構やボールねじ機構によって構成される直動機構と同機構を作動させるためのアクチュエータとを設けることによって実現することができる。
【0066】
・コンソール20の配設対象となる座席(以下「配設対象座席」という)を、車両10の後方を向いて着座可能に構成された後部座席にすることができる。また配設対象座席を、座席の幅方向が車幅方向Wに設定される後部座席にすることに限らず、座席の幅方向が前後方向Lに設定される後部座席にすることが可能である。配設対象座席を、直線状に延びる後部座席にすることに限らず、図8に一例を示すような円弧状に延びる後部座席72にするなど、一部または全体が曲がった形状で延びる後部座席にすることができる。その他、配設対象座席を、後部座席12にすることに限らず、前部座席にすることなども可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…車両
11…車室
12,72…後部座席
13…座部
14R,14L…収容凹部
15R,15L…内壁
20…コンソール
21,21R,21L…本体部
22,22R,22L…テーブル部
23…支持部
30R,30L…分割部
40…第1連結部
41…アーム部
43…ローラ
50…第2連結部
51…前側レール部
511…レール上部
512…レール下部
52…後側レール部
521…レール上部
522…レール下部
60…固定部
61…操作部
62…作動部
63…操作ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8