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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127429
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240912BHJP
   B65D 1/44 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036576
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】永谷 明子
(72)【発明者】
【氏名】國分 文香
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA02
3E033CA05
3E033DA03
3E033DA08
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD04
3E033EA04
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】剛性や強度を確保するに有利なリブ構造を備えた樹脂製容器を提供する。
【解決手段】口部2と底部6との間にて軸線方向に筒状に延びる胴部5が設けられ、胴部5の外周には補強用の複数のリブが設けられた樹脂製容器1において、胴部5を一周するように延びる少なくとも1本の複合リブ30を含むようにして複数のリブを設け、複合リブ30は、胴部5を一周するように延びる第1リブ部31と、第1リブ部31内を蛇行しつつ延びる第2リブ部32とを含むように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と底部との間にて軸線方向に筒状に延びる胴部が設けられ、前記胴部の外周には補強用の複数のリブが設けられた樹脂製容器であって、
前記複数のリブには、前記胴部を一周するように延びる少なくとも1本の複合リブが含まれ、
前記複合リブは、前記胴部を一周するように延びる第1リブ部と、前記第1リブ部内を蛇行しつつ延びる第2リブ部とを含んでいる樹脂製容器。
【請求項2】
前記第1リブ部は、前記胴部の内側又は外側のいずれか一方の側に膨らむように形成され、前記第2リブ部は前記第1リブ部内にて前記胴部の内側又は外側のいずれか他方の側に膨らむように設けられている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記第1リブ部は前記胴部の内側に膨らむように形成され、前記第2リブ部は、前記胴部の外周面を超えない範囲で前記胴部の外側に膨らむように設けられている請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記第1リブ部は前記胴部を周方向に一周するように延び、前記第2リブ部は前記軸線方向の一方の側と他方の側との間で蛇行しつつ前記周方向に延びている請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記軸線方向と直交する横断面上において、前記第2リブ部は前記胴部の内側と外側との間でも蛇行しつつ延びるように設けられている請求項4に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部に補強用のリブが設けられた樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と称する。)等の樹脂を素材として形成される樹脂製容器は、近年、環境負荷の低減等を目的とする包装資材使用量の削減の要請を受けて薄肉化、軽量化が進められている。一方、容器の薄肉化は、容器の縦圧縮荷重に対する強度、容器の把持時や容器内部の減圧時の変形に対する剛性等の物理特性を損なう要因となる。そのため、容器の胴部にリブ群を設けて胴部の剛性や強度を高める試みがなされている。胴部のリブは、胴部をその周方向に沿って一定幅で水平に一周するように設けられていることが一般的である。一方、リブの方向や溝幅を変化させる例も提案されている。例えば、溝状に凹んだリブを容器の軸線方向に蛇行しつつ胴部を一周するように設けた樹脂製容器が提案されている(特許文献1参照)。胴部のリブ群の一部を胴部の周方向と平行に延びるように配置し、他の一部のリブを周方向に対して斜めに傾いて延びるように配置した樹脂製容器も提案されている(特許文献2参照)。胴部の内側に突出する第1突出領域と、胴部の内側に第1突出領域よりもさらに大きく突出する第2突出領域とを周方向に沿って交互に配置した溝状のリブを胴部に設けた樹脂製容器も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-115035号公報
【特許文献2】特開2018-118769号公報
【特許文献3】特開2015-37980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リブによる補強効果を高めるには、胴部の内側又は外側へのリブの突出量、例えば溝状のリブであれば胴部外周面からの溝の深さを大きく設定することが有効な場合がある。しかしながら、リブの突出量を増加させるとリブ内に応力集中が生じ、その集中箇所を起点として胴部が変形するといった不都合が生じる虞もある。上述した特許文献記載の樹脂製容器はそのような課題に対してさらなる改良の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、剛性や強度を確保するに有利なリブ構造を備えた樹脂製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る樹脂製容器は、口部と底部との間にて軸線方向に筒状に延びる胴部が設けられ、前記胴部の外周には補強用の複数のリブが設けられた樹脂製容器であって、前記複数のリブには、前記胴部を一周するように延びる少なくとも1本の複合リブが含まれ、前記複合リブは、前記胴部を一周するように延びる第1リブ部と、前記第1リブ部内を蛇行しつつ延びる第2リブ部とを含んでいるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一形態に係る樹脂製のボトルの正面図。
図2図1のボトルを軸線回りに45°回転した状態を示す図。
図3図1のボトルの平面図。
図4図1のボトルの底面図。
図5図1のボトルにおける部分リブ群をボトルの半周相当の範囲で平面上に展開した状態を示す図。
図6図1のVI-VI線に沿った断面図。
図7図1のボトルにおける複合リブをボトルの半周相当の範囲で平面上に展開した状態を示す図。
図8図1のVIII-VIII線に沿った断面図。
図9図1のIX-IX線に沿った断面図。
図10】ボトルの胴部の上部領域にロールラベルを装着する際の接着領域の一例を示す図。
図11】ボトルの胴部の上部領域にロールラベルを装着する際の接着領域の他の例を示す図。
図12】ボトルの胴部のほぼ全域にロールラベルを装着する際の接着領域の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る樹脂製容器を説明する。以下の形態は、樹脂製容器の一例として、飲料を充填して販売するためのボトルに本発明を適用した例である。ボトル1は、PET樹脂等を素材とする2軸延伸ブロー成型法によって製造される樹脂成形品である。図1図4に示すように、ボトル1は、口部2、首部3、肩部4、胴部5及び底部6を備えている。図1及び図2は、ボトル1を正立状態、すなわち底部6を下に向け、口部2を上に向けて立てた状態で示している。以下の形態では、正立状態にあるときの上下方向がボトル1の軸線方向に相当し、ボトル1をその軸線方向に延びる軸線AXの回りに周回する方向がボトル1の周方向に相当する。ボトル1を周方向に沿って平面上に展開した場合、周方向は軸線方向に対して直交する方向である。また、以下の説明では、正立状態を基準としてボトル1の上下を区別する。なお、図2図1のボトル1を軸線AXの回りに45°回転した状態を示している。ボトル1の左右の側面図、及び背面図は図1と同様に現れる。
【0009】
図3からも明らかなように、口部2は軸線方向に比較的小さい径で延びる円筒状である。口部2の外周には不図示のキャップを取り付けるための雄ねじ部2aが設けられている。首部3は、ネックリング3aの下端から下方に略同一径で同軸的に延びている。肩部4は首部3の下端から胴部5に向かって徐々に拡大しつつ延びている。胴部5は、肩部4の下端から軸線方向に沿って下方に筒状に延びるように形成されている。一例として、胴部5は軸線方向と直交する横断面の形状が概ね円形となる円筒状である。ただし、胴部5は横断面の形状が概ね多角形となる角筒状であってもよい。底部6は、胴部5の下端に連なり、ボトル1の正立状態における下端を閉じる底蓋状である。口部2、首部3、肩部4、胴部5及び底部6は共通の軸線AX上に同軸的に並ぶように設けられている。したがって、軸線AXはボトル1の全体の軸線に相当し、その軸線AXは胴部5の軸線と一致する。また、胴部5の周方向はボトル1の周方向と一致する。ただし、肩部4、胴部5及び底部6は口部2及び首部3に対して同軸的に設けられることを必ずしも要しない。例えば、胴部5及び底部6は軸線AXに対して偏心して設けられてもよい。図4に示したように、底部6には、その補強を目的として中心の凹部6aから放射状に延びるようにして複数本の溝状のリブ6bが設けられている。ただし、底部6において、複数本の溝状のリブ6bは無くてもよい。
【0010】
図1及び図2に示すように、胴部5の外周には、その補強を目的として、複数のリブの集合としてのリブ群10が設けられている。リブ群10は、胴部5の上部及び下部に2本ずつ配置され、胴部5を周方向に沿って一周する4本の第1周回リブ11と、第1周回リブ11よりも軸線方向の中央側に配置され、かつ胴部5を周方向に沿って一周する4本の第2周回リブ12とを含んでいる。最上部の第1周回リブ11は胴部5の上端に位置し、最下部の第2周回リブ12は胴部5の下端に位置する。つまり、胴部5は、概ね最上部の第1周回リブ11と最下部の第2周回リブ12との間の範囲として捉えることができる。
【0011】
第1周回リブ11及び第2周回リブ12はいずれも胴部5の外周輪郭を規定する外周面5aから胴部5の内側(図において右方)に膨らむように形成されている。換言すれば、各周回リブ11、12は、胴部5の内側に向けて凹む溝状のリブとして形成されている。第1周回リブ11の溝幅、すなわち軸線方向の幅は胴部5の全周に亘って一定である。一方、第2周回リブ12は、溝幅が相対的に大きい拡大部12aが適宜に設けられることにより、溝幅を部分的に変化させつつ胴部5を一周するように設けられている。なお、図中の参照符号12aは一部の拡大部12aに代表して付されている。第1周回リブ11及び第2周回リブ12のそれぞれの位置及び本数は、胴部5の軸線方向の長さ、直径、厚さ等の仕様に応じて適宜に変更されてよい。第2周回リブ12の拡大部12aの位置及び個数も適宜に変更可能である。
【0012】
リブ群10は、上部の2本の第1周回リブ11の間に配置される部分リブ群20と、胴部5の軸線方向における略中央に配置され、かつ胴部5を周方向に沿って一周する1本の複合リブ30とをさらに含んでいる。胴部5は、複合リブ30を境として、上部領域5Uと下部領域5Lとに概ね区分される。上部の2本の第1周回リブ11の軸線方向における間隔は他の周回リブ11、12間の間隔に比して拡大され、それにより上部領域5Uには、周回リブ11、12による凹凸のない特定領域5Sが設けられている。特定領域5Sは、例えば、胴部5の軸線方向における一部の範囲に限定して装着されるべきラベルにて覆われる領域として利用される。部分リブ群20はその特定領域5Sに配置されている。以下、図5図8を参照して部分リブ群20及び複合リブ30の詳細を順に説明する。なお、ラベルの装着に関する事項については、部分リブ群20及び複合リブ30の詳細を明らかにした後に言及する。
【0013】
まず、部分リブ群20について説明する。図5は、胴部5の半周の範囲において、部分リブ群20を周方向に沿って平面上に展開した状態を示している。胴部5の残りの半周における部分リブ群20は図5と同様に現れる。図5において、X軸方向はボトル1の軸線方向に対応し、Y軸方向はボトル1の周方向に対応する。図5から明らかなように、部分リブ群20は、複数本の第1部分リブ21と、第1部分リブ21と同数の第2部分リブ22とを含む。
【0014】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、第1周回リブ11及び第2周回リブ12と異なり、ボトル1の周方向に関して、胴部5の全周の一部の範囲に限って延び、それぞれの両端21a、22aが他のリブから離れるように設けられている。つまり、第1部分リブ21及び第2部分リブ22のそれぞれは、両端21a、22aが他のリブと連続することなく行き止まりの終端として識別できる形状に形成されている。図6に示したように、第1部分リブ21は、その全長に亘って胴部5の外周面5aから内側に膨らむリブ、換言すれば胴部5の内側に凹む溝状のリブとして形成されている。図示を省略したが、第2部分リブ22も同様に胴部5の内側に膨らむリブとして形成されている。
【0015】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、図5に示した展開状態において、軸線方向及び周方向のいずれの方向に対しても斜めに傾くように延びる斜行部21b、22bを有している。しかも、第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、頂部21c、22cを挟んで周方向の両側に斜行部21b、22bが配置されることにより、軸線方向一方の側又は他方の側に頂部21c、22cが向けられた凸形状を形成するように設けられている。一方、第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、凸形状の向きに関して互いに相違する。第1部分リブ21は軸線方向上側に向かって凸形状を形成するように設けられ、第2部分リブ22は軸線方向下側に向かって凸形状を形成するように設けられている。つまり、第1部分リブ21は、頂部21cが軸線方向で最も上側に位置するように設けられ、第2部分リブ22は、頂部22cが軸線方向で最も下側に位置するように設けられている。以上から明らかなように、頂部21c、22cとは、第1部分リブ21及び第2部分リブ22の傾きが軸線方向において向きを変える部分であり、第1部分リブ21の最も高い部分、及び第2部分リブ22の最も低い部分のいずれも含む概念である。
【0016】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、それぞれの頂部21c、22cを経由して湾曲しつつ延びる湾曲部21d、22dをさらに含むように形成されている。第1部分リブ21の湾曲部21dは、図5の展開図において、斜行部21bをその全長に亘って湾曲させることによって設けられてもよいし、頂部21cを挟んで左右の斜行部21bの途中まで湾曲させることによって設けられてもよい。前者の場合には、第1部分リブ21の全体が湾曲部21dとなる。後者の場合、頂部21cから斜行部21bの途中までの範囲が湾曲部21dとなり、斜行部21bのその余の範囲は図5の展開図上で軸線方向及び周方向に対して一定の傾斜角で直線的に延びるように形成される。第2部分リブ22の湾曲部22dも第1部分リブ21の湾曲部21dと同様に形成されてよい。
【0017】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22の大きさは、図5の展開図における軸線方向の高さH1、H2、及び各リブ21、22の両端21a、22a間の角度θ1、θ2によって特定することができる。高さH1、H2及び角度θ1、θ2は、いずれも各部分リブ21、22の両端21a、22a及び頂部21c、22cを各部分リブ21、22の中心線CL1、CL2上の点として定義したときの寸法である。高さH1、H2、角度θ1、θ2は、胴部5の寸法、目的とする補強効果等に応じて適宜に設定されてよい。図示の例では、第1部分リブ21が第2部分リブ22よりも幾らか大きく設定され、高さH1はH2よりも大きく、角度θ1は角度θ2よりも大きい。ただし、第2部分リブ22が第1部分リブ21よりも幾らか大きくなるように上記と逆の大小関係が設定されてもよいし、高さH1、H2が互いに等しくかつ角度θ1、θ2が互いに等しく設定されてもよい。
【0018】
次に、部分リブ群20における第1部分リブ21及び第2部分リブ22の配置について説明する。まず、1本の第1部分リブ21と1本の第2部分リブ22とは、ボトル1の軸線方向に部分リブの対23を形成するように並べられている。以下、部分リブ21、22の対23をリブ対23と称する。リブ対23がボトル1の周方向に複数並べて設けられることにより、部分リブ群20には複数本の第1部分リブ21と、同数の第2部分リブ22とが設けられている。各リブ対23の構成は互いに等しい。
【0019】
1つのリブ対23において、第1部分リブ21の頂部21cと、第2部分リブ22の頂部22cとは周方向に関して同一の位置にある。言い換えれば、1つのリブ対23において、第1部分リブ21及び第2部分リブ22のそれぞれの頂部21c、22cは、軸線方向に関して同一の仮想的な直線La上に位置している。直線Laに対して第1部分リブ21の斜行部21b同士は線対称であり、第2部分リブ22の斜行部22b同士も同様に直線Laに対して線対称である。第1部分リブ21及び第2部分リブ22によって対23を構成するためには、それぞれの頂部21c、22cが同一直線La上に位置することを必ずしも要しない。第1部分リブ21及び第2部分リブ22の頂部21c、22cが周方向に関して幾らかずれていても、1本の第1部分リブ21と1本の第2部分リブ22とが軸線方向に並んでいると認識できる限り、それらの部分リブ21、22をリブ対23と見做してよい。各部分リブ21、22において斜行部21b、22bのそれぞれを直線Laに対して線対称に設けることも必須ではない。頂部21c、22cを挟んで左右で斜行部21b、22bの形状や寸法が異なっていてもよい。
【0020】
1つのリブ対23において、第1部分リブ21は、その頂部21cが第2部分リブ22の頂部22cよりも軸線方向上側、すなわち、第1部分リブ21が凸形状となる側に偏って配置されている。それにより、第1部分リブ21と第2部分リブ22との間において、胴部5の外周面5aは、リブ群10による凹凸のない連続した円滑面5bとして現れている。ただし、部分リブ21、22間に円滑面5bを生じさせるためには、第1部分リブ21の頂部21cが第2部分リブ22の頂部22cよりも軸線方向の上側に偏っていれば足りる。1つのリブ対23にて第1部分リブ21及び第2部分リブ22の頂部21c、22cが同一直線La上に位置することは必須ではない。
【0021】
さらに、リブ対23を形成する第1部分リブ21と第2部分リブ22とは、それらの斜行部21b、22bが途中の交点Paにて互いに交差するように配置されている。1つのリブ対23にて第1部分リブ21と第2部分リブ22とを互いに交差させることなく配置する場合には、それらの両端21a、22aを軸線方向に離す必要がある。その場合、頂部21c、22c間の軸線方向の距離が拡大し、リブ対23を設けるために必要なスペースが拡大する。これに対して、斜行部21b、22b同士を交差させる場合には、第1部分リブ21と第2部分リブ22の軸線方向における距離をみだりに増加させることなく、第1部分リブ21及び第2部分リブ22の全長を増加させることが可能である。
【0022】
上述したように、部分リブ群20においては、複数のリブ対23が周方向に並べて設けられている。それにより、部分リブ群20では、複数本の第1部分リブ21及び第2部分リブ22が周方向に位置を変えて設けられている。各リブ対23における第1部分リブ21及び第2部分リブ22の形状及び配置は上述した通りである。リブ対23の周方向におけるピッチ角θaは一定である。リブ対23の個数をリブ数Nとしたとき、ピッチ角θaは胴部5の全周の360°をリブ数Nで除した値に設定される。図示の例では、リブ数Nが4であって、ピッチ角θa=90°に設定されている。ただし、リブ数Nは胴部5の大きさ等に応じて適宜に変更されてよい。
【0023】
隣接するリブ対23間において、第1部分リブ21の斜行部21bは交点Pbにて互いに交差し、第2部分リブ22の斜行部22bは交点Pcにて互いに交差する。交点Pb、Pcは軸線方向に関して一直線に並び、1つのリブ対23における交点Pb、Pb間の角度がピッチ角θaに相当する。隣接するリブ対23間にて第1部分リブ21及び第2部分リブ22を交差させることなく配置する場合には、それらの両端21a、22aを周方向に離す必要がある。その場合、各部分リブ21、22の周方向の長さやリブ対23の個数が制限される。これに対して、リブ対23間で各部分リブ21、22を交差させる場合には、第1部分リブ21及び第2部分リブ22を周方向に拡大しつつ、ピッチ角θaの増加を抑えることが可能である。
【0024】
隣接するリブ対23間における交点Pb、Pcは、同一のリブ対23における第1部分リブ21と第2部分リブ22との交点Paに対して軸線方向及び周方向にずれた位置に設定されている。全ての交点Pa、Pb、Pcを同一点に集中させた場合にはその一点に荷重が集中するおそれがあり、交点Pb、Pcを交点Paとは異なる位置に設定すれば荷重の集中を避けることが可能である。
【0025】
以上のような部分リブ群20によれば、第1部分リブ21及び第2部分リブ22の斜行部21b、22bのそれぞれが、ボトル1の軸線方向及び周方向のいずれに対しても斜めに傾くように延びているため、ボトル1の軸線方向及び周方向のいずれの方向からの荷重に対しても第1部分リブ21及び第2部分リブ22が補強効果を発揮する。特に、ボトル1の軸線方向に作用する荷重に対しては、ボトル1の周方向に延びる第1周回リブ11や第2周回リブ12と比較してより高い補強効果を発揮することが可能である。それにより、ボトル1の座屈強度を高め、あるいは内部減圧等による胴部5の変形を抑制するに有利である。
【0026】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22において、頂部21c、22cを頂点とする凸形状を形成するように頂部21c、22cの両側に斜行部21b、22bが設けられているため、一方の斜行部21b、22bのみを設ける場合と比較して、各部分リブ21、22がより多くの方向からの荷重に対して補強効果を発揮するようになる。さらに、第1部分リブ21及び第2部分リブ22の湾曲部21d、22dでは、ボトル1の軸線方向及び周方向に対する傾きが漸次変化する。そのため、補強効果をさらに多くの方向において発揮させることが可能である。しかも、第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、ボトル1の軸線方向に対して互いに反対側に凸形状となるように設けられているため、第1部分リブ21又は第2部分リブ22のいずれか一方のみを設ける場合と比較して、より多くの方向の荷重に対して補強効果を高め得る。
【0027】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22のそれぞれは、ボトル1の全周の一部の範囲に限って設けられ、それらの両端21a、22aが他のリブから離れている。したがって、第1周回リブ11や第2周回リブ12のように、胴部5の全周に亘って連続するリブとの比較において、ボトル1に作用する荷重、特には軸線方向に作用する荷重の特定箇所への集中を回避し易く、各部分リブ21、22に荷重を分散させることが可能である。それにより、ボトル1の剛性や強度を高めることができる。
【0028】
加えて、上述したように、第1部分リブ21及び第2部分リブ22をそれらの斜行部21b、22bの途中の交点Pa、Pb、Pcにて交差させることにより、第1部分リブ21及び第2部分リブ22を軸線方向及び周方向に必要十分な長さで設けつつ、部分リブ群20を設けるために必要なスペースを、各部分21、22を交差させない場合との比較において、軸線方向及び周方向のいずれの方向にも削減することが可能である。さらに、胴部5の上部領域5Uは、ボトル1を把持する際に指を添える領域となることが多い。そのような上部領域5U内に部分リブ群20を配置することにより、ボトル1が把持される際に部分リブ群20の補強効果を十分に発揮させて胴部5の変形を抑えることができる。それにより、ボトル1の把持時の変形による内容液の吹きこぼれといった不都合が発生する虞を低減することが可能である。
【0029】
リブ対23が周方向に沿って複数並べられているため、ボトル1の荷重を各リブ対23の第1部分リブ21及び第2部分リブ22に適切に分散させることができる。それにより、部分リブ群20による補強効果を周方向において均質化することが可能である。
【0030】
次に、図7及び図8を参照して複合リブ30を説明する。図7は、胴部5の半周の範囲において、複合リブ30を周方向に沿って平面上に展開した状態を示している。胴部5の残りの半周における複合リブ30は図7と同様に現れる。図7においても、X軸方向はボトル1の軸線方向に対応し、Y軸方向はボトル1の周方向に対応する。
【0031】
複合リブ30は、胴部5を周方向に沿って一周するように延びる第1リブ部31と、第1リブ部31内に設けられた第2リブ部32とを含んでいる。図8から明らかなように、第1リブ部31は、胴部5の内側(図の右方)に膨らむように形成されている。換言すれば、第1リブ部31は胴部5の内側に凹む溝状のリブとして形成されている。一方、第2リブ部32は、第1リブ部31内にて胴部5の外側に膨らむように形成されている。換言すれば、第2リブ部32は第1リブ部31内にて胴部5の外側に突出する突条のリブとして形成されている。胴部5の外側への第2リブ部32の突出量は、胴部5の外周面5aを超えない範囲に設定されている。したがって、複合リブ30はその全体が胴部5の外周面5aから胴部5の内側に後退し、外周面5aからは突出しない。なお、第2リブ部32が存在しないと仮定した場合、第1リブ部31は、図8に想像線で示したようにその幅方向の全体に亘って滑らかに湾曲する断面形状を呈し、胴部5の半径方向に比較的深く膨らんだ溝状のリブとして形成される。実際には、第1リブ部31が第2リブ部32によって胴部5の外側に持ち上げられた断面形状となるように複合リブ30が形成される。
【0032】
図7に戻って、第2リブ部32は、第1リブ部31内にて、軸線方向の上下に蛇行を繰り返しつつ延びている。そのような蛇行形状を与えることにより、胴部5の軸線方向と直交する横断面、すなわち軸線AXと直交する断面上において、第2リブ部32は胴部5の半径方向においても胴部5の内側及び外側に繰り返し波状に蛇行しつつ胴部5を一周する。なお、図9では第2リブ部32の外周側の輪郭のみを示し、第2リブ部32の内周側の輪郭は図示を省略している。
【0033】
図7に示すように、第2リブ部32の中心線CL上において軸線方向上側の頂点となる位置を頂部32a、軸線方向下側の頂点となる位置を頂部32bとすれば、頂部32a間の周方向におけるピッチ角θbは一定であり、頂部32a、32b間の周方向の角度はその半分θb/2である。なお、第2リブ部32においても、頂部32a、32bとは、第2リブ部32の傾きが軸線方向において反転する部分であり、第2リブ部32の最も高い部分、及び第2リブ部32の最も低い部分のいずれも含む概念である。左右の頂部32a間の範囲を第2リブ部32の蛇行の一周期の範囲とし、胴部5の全周における第2リブ部32の周期数をMとしたとき、ピッチ角θbは胴部5の全周の360°を周期数Mで除した値に設定される。図示の例では、周期数Mが4であって、ピッチ角θb=90°に設定されている。ただし、周期数Mは胴部5の大きさ等に応じて適宜に変更されてよい。ピッチ角θbは胴部5の位置に応じて異なる値に設定されてもよい。つまり、ピッチ角θbを適宜に変化させつつ第2リブ部32を蛇行させてもよい。頂部32bは頂部32a間のピッチ角θbを二等分する位置に設定されることを必ずしも要しない。
【0034】
以上のような複合リブ30によれば、まず第1リブ部31によって、比較的深い溝状の周回リブを設けた場合と同等の補強効果が得られる。加えて、第2リブ部32が第1リブ部31内を蛇行しつつ延びるため、ボトル1の軸線方向、周方向及び半径方向のいずれの方向からの荷重に対しても複合リブ30が補強効果を発揮するようになる。それにより、ボトル1の座屈強度を高めつつ、かつ周方向や半径方向に作用する荷重に対する剛性も高めることができる。胴部5の中央部付近が把持された際に、複合リブ30の補強効果を十分に発揮させて胴部5の変形を抑えることが可能である。あるいは、ボトル1の内部減圧に対しても複合リブ30の補強効果を十分に発揮させて胴部5の変形を抑えることができる。さらに、ボトル1が例えば自動販売機内で横倒しで積まれた場合、複合リブ30の補強効果が発揮されて胴部5の変形を抑制することができる。単一の複合リブ30にて種々の方向の補強効果を生じさせることができるので、第1リブ部31と第2リブ部32とをボトル1の軸線方向に離して個別に設ける場合と比較してそれらのリブ部31、32に必要なスペースを削減することができる。
【0035】
次に、ボトル1に装着されるラベルとリブ群10との関係について説明する。以下では、ラベルとして接着剤を利用して胴部5に装着されるロールラベルを例として説明する。ロールラベルとは、ボトル1の胴部5に一端部が接着剤を塗布して固定され、かつ胴部5に巻き付けられた状態で両端部が相互に接着されるタイプのラベルである。接着剤は一例として加熱によって溶融するホットメルト型の接着剤である。
【0036】
図10図12は、ロールラベルを胴部5に巻き付けて装着する例を示している。図10は、特定領域5Sに概ね合わせた大きさのロールラベル40Aを装着する例を、図11は上部領域5Uに概ね合わせた大きさのロールラベル40Bを装着する例を、図12は胴部5のほぼ全体に概ね合わせた大きさのロールラベル40Cを装着する例をそれぞれ示している。図10図12において、ロールラベル40Aは胴部5よりも半径方向に幾らか余裕をもって装着された状態が示されているが、実際には胴部5の外周面5aに対してほぼ隙間なく巻き付けられるようにしてロールラベル40A、40B、40Cが装着される。
【0037】
ロールラベル40A、40B、40Cのそれぞれの一端部を胴部5に固定するため、胴部5には複数の接着領域41が図中にハッチングを付して示したように設定される。接着領域41は、ロールラベル40A、40B、40Cの装着時において、接着剤が塗布されるべき胴部5上の領域である。接着領域41は、軸線方向に関して一列に並ぶように配置される。接着領域41の列は一列であり、周方向に位置を変えて複数列の接着領域41を設ける必要はない。ロールラベル40A、40B、40Cは、それらの周方向の一端部が接着領域41にて胴部5に接着される。胴部5に巻かれたロールラベル40A、40B、40Cの他端部が胴部5に接着された一端部に重ね合わされてさらに接着されることにより、ロールラベル40A、40B、40Cが胴部5に装着される。
【0038】
接着領域41は、ボトル1の軸線方向に沿って複数個所に分散して設定される。図10の例では、リブ対23を構成する第1部分リブ21と第2部分リブ22との間に存在する円滑面5b上の2箇所に接着領域41が設定され、各部分リブ21、22と第1周回リブ11との間にさらに2箇所の接着領域41が設定される。図11及び図12の例では、図10と同様に配置された接着領域41に加えて、ロールラベル40B、40Cの軸線方向の大きさに合わせて、第1周回リブ11、第2周回リブ12の間に適宜数の接着領域41が設定される。
【0039】
図10図12のいずれの例においても、特定領域5Sに設けられたリブ対23の第1部分リブ21と第2部分リブ22との間に生じている円滑面5bを利用して接着領域41が設定されている。リブ対23の第1部分リブ21と第2部分リブ22とは軸線方向に関して互いに逆向きに凸形状となり、かつそれらの斜行部21b、22bが交点Paにて互いに交差するように設けられているため、軸線方向に関して比較的限られたスペースにそれらの部分リブ21、22が配置されたとしても、各部分リブ21、22間には一定の広がりをもった円滑面5bを確保することができる。その円滑面5bの少なくとも一部を接着領域41として活用すれば、部分リブ21、22による補強効果を損なうことなく、必要十分な接着領域41を確保してロールラベル40A、40B、40Cを適切に接着することが可能である。
【0040】
ボトル1に装着されるラベルは、上述したロールラベルの例に限らない。熱収縮を利用して装着されるシュリンクフィルム製のラベルが胴部5に装着されてもよい。その場合、特定領域5Sにおいては、部分リブ群20の第1部分リブ21及び第2部分リブ22の斜行部21b、22bがボトル1の軸線方向及び周方向のいずれの方向に対しても斜めに傾くように延びているので、胴部5を周方向に一周するようなリブと比較して、収縮したラベルの第1部分リブ21及び第2部分リブ22内への入り込みが抑制される。そのため、ラベルの美感が損なわれる不都合の発生を抑制し、又は回避することが可能である。加えて、胴部5の上部領域5Uでは、ラベル上にロゴ、商標等の商品表示、成分や製造者等に関する品質表示といった比較的重要度が高い事項が表示されることが多い。その上部領域5U内の特定領域5Sに部分リブ群20を配置した場合には、それらの事項の表示がラベルの変形によって視認し辛くなるといった不都合を回避するに有利である。
【0041】
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、部分リブ群20については以下のような変形又は変更が可能である。まず、第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、溝状のリブとして形成される例に限らない。胴部5の外側に膨らむ突条のリブとして形成されてもよい。突条のリブとして形成された場合でも、上述した補強効果を奏することが可能であり、シュリンクフィルム製のラベルが装着される場合にはその外側への変形を抑制し、ラベルの美感が損なわれる不都合の発生を抑制し、又は回避することが可能である。一方、溝状のリブとした場合には、リブが胴部5の内側に膨らむことによってボトル1の内容量が減少するが、部分リブ群20では、第1部分リブ21及び第2部分リブ22のいずれもが胴部5の全周の一部の範囲に限って延びているため、全周に亘ってリブを延ばす場合と比較して内容量の減少の程度を抑えることが可能である。
【0042】
部分リブ群20においては、凸形状が軸線方向に関して互いに逆向きとなる1本の1本の第1部分リブ21と1本の第2部分リブ22とによってリブ対23を構成し、さらに、第1部分リブ21の頂部21cを第2部分リブ22の頂部22cよりも軸線方向上側に位置させるとともに斜行部21b、22bを交点Paにて交差させたが、リブ対23はそのような配置の例に限らない。例えば、必要な補強効果が確保でき、かつリブ対23を設けるべきスペースに余裕がある限りは、第1部分リブ21と第2部分リブ22とを互いに交差しないように配置してもよいし、第1部分リブ21を第2部分リブ22よりも軸線方向下側に配置してもよい。
【0043】
周方向における第1部分リブ21及び第2部分リブ22の配置に関しては、第1部分リブ21を交点Pbで互いに交差させ、周方向に隣接する第2部分リブ22を交点Pcで互いに交差させる例に限らない。周方向に十分なスペースが確保できれば、周方向に関して、第1部分リブ21同士を離して配置し、第2部分リブ22同士を離して配置してもよい。
【0044】
第1部分リブ21と第2部分リブ22とを組み合わせてリブ対23を構成せず、第1部分リブ21又は第2部分リブ22のいずれか一方のみを設けるものとしてもよい。例えば、複数本の第1部分リブ21を周方向に並べる一方で第2部分リブ22は省略し、あるいは、複数本の第2部分リブ22を周方向に並べる一方で第1部分リブ21は省略することも可能である。さらに、第1部分リブ21及び第2部分リブ22のそれぞれは、必ずしも複数本ずつ設けることを要しない。胴部5の剛性や強度が不足する箇所に単一の第1部分リブ21及び単一の第2部分リブ22の少なくともいずれか一方を配置し、他の領域は周方向に延びるリブ等を適宜に組み合わせてもよい。
【0045】
第1部分リブ21及び第2部分リブ22は、湾曲部21d、22dを含んだものに限定されない。例えば、図5のような展開図上で軸線方向及び周方向に対して一定の傾きで互いに逆向きに延びる一対の直線的なリブを配置し、それらの斜行部の一端を頂部で接続するように第1部分リブ21及び第2部分リブ22を形成してもよい。さらに、第1部分リブ21及び第2部分リブ22のそれぞれは、頂部21c、22cを含んだ凸形状に形成されることを必ずしも要しない。
【0046】
複合リブ30についても適宜の変形又は変更が可能である。例えば、第1リブ部31は、胴部5を周方向に沿って一周する例に限らない。周方向に対して斜めに傾きつつ胴部5を一周するように第1リブ部31が設けられてもよい。第1リブ部31を胴部5の外側に膨らむ突条のリブとして形成し、第2リブ部32を胴部5の内側に膨らむ溝状のリブとして形成してもよい。第2リブ部32は胴部5を一周するように設けられることを必ずしも要しない。例えば、第1リブ部31内の一部の範囲に限って第2リブ部32が設けられてもよい。
【0047】
本発明の樹脂製容器は、円筒形の胴部を有するPET樹脂製のボトルに限定されない。口部と底部との間に筒状の胴部を有する限りにおいて、適宜の形状の容器に本発明が適用されてよい。容器の素材もPET樹脂に限定されず、各種の樹脂が素材として利用されてよい。容器の内容物も飲料に限定されず、各種の液体、半固体状のゲル、ゾル、粉末その他の各種の物質が容器の内容物とされてよい。
【0048】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0049】
本発明の一態様に係る樹脂製容器(1)は、口部(2)と底部(6)との間にて軸線方向に筒状に延びる胴部(5)が設けられ、前記胴部の外周には補強用の複数のリブが設けられた樹脂製容器であって、前記複数のリブには、前記胴部を一周するように延びる少なくとも1本の複合リブ(30)が含まれ、前記複合リブは、前記胴部を一周するように延びる第1リブ部(31)と、前記第1リブ部内を蛇行しつつ延びる第2リブ部(32)とを含んでいるものである。
【0050】
上記態様の樹脂製容器によれば、第1リブ部を比較的幅が広いリブとして形成して十分な補強効果を与えつつ、その内部を蛇行する第2リブ部によって種々の方向からの荷重に対する補強効果を生じさせることができる。これにより、樹脂製容器の剛性や強度を向上させることが可能である。1本の複合リブが種々の方向の補強効果を発揮するようになるので、第1リブ部と第2リブ部とを別々の位置に離して場合と比較して第1リブ部及び第2リブ部に必要なスペースを削減することも可能である。
【0051】
上記態様の樹脂製容器において、前記第1リブ部は、前記胴部の内側又は外側のいずれか一方の側に膨らむように形成され、前記第2リブ部は前記第1リブ部内にて前記胴部の内側又は外側のいずれか他方の側に膨らむように設けられてもよい。これによれば、第1リブ部内から第2リブ部が胴部の内外における反対側に膨らむことにより、第1リブ部を比較的幅の広いリブとして形成しても、その胴部の内側又は外側における突出量を抑えつつ第2リブ部を付加して両リブ部による補強効果を発揮させることができる。
【0052】
前記第1リブ部は前記胴部の内側に膨らむように形成され、前記第2リブ部は、前記胴部の外周面を超えない範囲で前記胴部の外側に膨らむように設けられてもよい。これによれば、第1リブ部を比較的幅の広い溝状のリブとして形成しても、その胴部の内側への突出量を抑えつつ第2リブ部を付加して両リブ部による補強効果を発揮させることができる。
【0053】
前記第1リブ部は前記胴部を周方向に一周するように延び、前記第2リブ部は前記軸線方向の一方の側と他方の側との間で蛇行しつつ前記周方向に延びていてもよい。これによれば、第1リブ部によって胴部を周方向に周回するリブと同等の補強効果を生じさせつつ、軸線方向に蛇行する第2リブ部によって第1リブ部の補強効果を補って胴部の剛性や強度を高めることが可能である。
【0054】
さらに、前記軸線方向と直交する横断面上において、前記第2リブ部は前記胴部の内側と外側との間でも蛇行しつつ延びるように設けられてもよい。これによれば、胴部が把持され、あるいは容器の内部減圧が生じることによる胴部の変形に対して、第2リブ部が十分な補強効果を発揮するようになる。
【符号の説明】
【0055】
1 ボトル
2 口部
5 胴部
5U 上部領域
5L 下部領域
6 底部
10 リブ群
20 部分リブ群
21 第1部分リブ
21a 第1部分リブの両端
21b 第1部分リブの斜行部
21c 第1部分リブの頂部
22 第2部分リブ
22a 第2部分リブの両端
22b 第2部分リブの斜行部
22c 第2部分リブの頂部
23 部分リブの対
30 複合リブ
31 第1リブ部
32 第2リブ部
40A、40B、40C ロールラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12