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  • 特開-ハンドルの芯金 図1
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  • 特開-ハンドルの芯金 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127433
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ハンドルの芯金
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/08 20060101AFI20240912BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B62D1/08
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036583
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】井出 恭平
(72)【発明者】
【氏名】荒川 直輝
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030CA07
3D030DA55
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】剛性を向上できるステアリングホイールの芯金を提供する。
【解決手段】芯金17は、ボス芯金部20とリム芯金部21とを連結する複数のスポーク芯金部22を備える。スポーク芯金部22は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいて、少なくともいずれかの縁部に沿ってボス芯金部20側の端部とリム芯金部21側の端部との間に亘り連なるリブ27を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向用シャフトと接続されるボス芯金部と、
このボス芯金部の周辺に位置するリム芯金部と、
前記ボス芯金部と前記リム芯金部とを連結する複数のスポーク芯金部と、を備え、
前記スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいて、少なくともいずれかの縁部に沿って前記ボス芯金部側の端部と前記リム芯金部側の端部との間に亘り連なるリブを有する
ことを特徴とするハンドルの芯金。
【請求項2】
スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいてリブが両縁部に沿って両端部間に亘り連なる断面H字状である
ことを特徴とする請求項1記載のハンドルの芯金。
【請求項3】
スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれに電子部品の少なくとも一部が配置される
ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドルの芯金。
【請求項4】
リブは、リム芯金部側の端部が、前記リム芯金部に向かって徐々に拡大されて前記リム芯金部と連なっている
ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドルの芯金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボス芯金部とリム芯金部とを連結する複数のスポーク芯金部を備えるハンドルの芯金に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両において、円環状をなし乗員に把持操作されるリム部と、このリム部の内方に位置しステアリングシャフトと接続されるボス部と、これらリム部とボス部とを連結する複数のスポーク部とを備えたハンドルであるステアリングホイールが用いられている。ステアリングホイールは、金属製の芯金を備えている。この芯金には、リム部、ボス部及び各スポーク部のそれぞれに対応するリム芯金部、ボス芯金部及び複数のスポーク芯金部が設定されている。
【0003】
また、高速走行時などのステアリングホイールの安定性を高めるために、ステアリングホイールの外側つまりリム部に重さが求められ、操舵時にステアリングホイールに生じる大きい慣性モーメントに対し、ステアリングホイール芯金に高い共振周波数を持たせる必要がある場合、スポーク芯金部の剛性を向上する必要がある。この場合、スポーク芯金部の断面厚みを厚くすると、スポーク芯金部の厚み方向の正面側や背面側に配置されるスイッチなどの電子部品が正面側あるいは背面側に突出することとなり、デザイン性や操作性が低下することが懸念される。
【0004】
この点、例えばスポーク芯金部の背面側の両縁部にリブを形成し、スポーク芯金部の断面を扁平U字状としたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-213329号公報 (第4-7頁、図1-2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の構成の場合、スポーク芯金部の補強が背面側に限定されているため、正面側への剛性やねじり剛性のより一層の向上が求められる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、剛性を向上できるハンドルの芯金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のハンドルの芯金は、操向用シャフトと接続されるボス芯金部と、このボス芯金部の周辺に位置するリム芯金部と、前記ボス芯金部と前記リム芯金部とを連結する複数のスポーク芯金部と、を備え、前記スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいて、少なくともいずれかの縁部に沿って前記ボス芯金部側の端部と前記リム芯金部側の端部との間に亘り連なるリブを有するものである。
【0009】
請求項2記載のハンドルの芯金は、請求項1記載のハンドルの芯金において、スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいてリブが両縁部に沿って両端部間に亘り連なる断面H字状であるものである。
【0010】
請求項3記載のハンドルの芯金は、請求項1または2記載のハンドルの芯金において、スポーク芯金部は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれに電子部品の少なくとも一部が配置されるものである。
【0011】
請求項4記載のハンドルの芯金は、請求項1または2記載のハンドルの芯金において、リブは、リム芯金部側の端部が、前記リム芯金部に向かって徐々に拡大されて前記リム芯金部と連なっているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のハンドルの芯金によれば、スポーク芯金部全体の厚みを大きくすることなくリブによって断面積を確保してスポーク芯金部のねじり剛性を向上できるので、芯金の剛性を向上できる。
【0013】
請求項2記載のハンドルの芯金によれば、請求項1記載のハンドルの芯金の効果に加えて、スポーク芯金部のねじり剛性をより向上できる。
【0014】
請求項3記載のハンドルの芯金によれば、請求項1または2記載のハンドルの芯金の効果に加えて、スポーク芯金部の厚みを増加させることなくリブによって断面積を確保する構成とすることで、スポーク芯金部の厚みと電子部品の厚みとの合計厚みを抑えることができる。
【0015】
請求項4記載のハンドルの芯金によれば、請求項1または2記載のハンドルの芯金の効果に加えて、スポーク芯金部の剛性を確保しつつ、スポーク芯金部とリム芯金部との連結部分への応力集中を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態の芯金の一部を拡大して示す正面図である。
図2】同上芯金を備えるハンドルのスポーク部の端面図である。
図3】同上ハンドルを示す正面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の芯金を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図3において、1は自動車部品としてのハンドル(ステアリングハンドル)であるステアリングホイールである。ステアリングホイール1は、自動車の運転席の乗員の前方に配置される。本実施の形態において、ステアリングホイール1は、例えばトラックやバスなどの、中型ないし大型の車両に搭載されるものを例に挙げて説明する。
【0019】
ステアリングホイール1は、ハンドル本体部であるステアリングホイール本体部2と、このステアリングホイール本体部2の乗員側に取り付けられるエアバッグ装置などの設置体であるモジュール3と、ステアリングホイール本体部2の乗員側とは反対側である反乗員側、すなわちモジュール3と反対側に取り付けられる被覆部材としてのカバー体であるバックカバー4と、などから構成されている。また、本実施の形態において、ステアリングホイール1には、一の電子部品としての一の操作部であるスイッチ5、他の電子部品としての他の操作部であるパドルスイッチ6などが配置されている。例えば、スイッチ5は、自動運転機能などの運転操作に関連する操作やオーディオなどの室内環境の操作をするものであり、パドルスイッチ6は、例えばシフト操作用のものである。スイッチ5としては、例えばタッチ式の静電スイッチが好適に用いられる。
【0020】
ステアリングホイール1は、操縦装置としての操向用シャフトであるステアリングシャフトに装着され、水平方向に対して所定のシャフト角で傾斜した状態で車載される。以下、ステアリングホイール1が備えられる車体の直進方向を基準として、左右方向(矢印L,R方向)を説明するとともに、ステアリングホイール1を正面から見た状態を基準として上下方向(矢印U,D方向)を説明する。また、ステアリングシャフトの軸方向において、乗員に臨む側を正面側(矢印FR方向)、その反対側を背面側(矢印RR方向)として説明する。また、ステアリングホイール1は、特記しない限り操舵基準状態、すなわち中立(ニュートラル)状態として説明する。
【0021】
ステアリングホイール本体部2は、ステアリングシャフトに装着されるハブ部であるボス部(マウント部)10と、ボス部10の周辺に位置するリム部(リング部)11と、これらボス部10とリム部11とを連結するスポーク部(アーム部)12と、から構成されている。
【0022】
ボス部10には、モジュール3が取り付けられている。
【0023】
リム部11は、乗員がステアリングホイール1を操作するために把持する部分である。リム部11は、円弧状または円環状であり、本実施の形態では円環状に連なって形成され、ボス部10の外方を囲んで位置している。また、本実施の形態では、リム部11には、電子部品としてのセンサ部14が配置されている。センサ部14は、乗員がリム部11を把持しているか否かを静電容量の変化や接触の有無などに基づき検出する機能を有する。また、センサ部14には、リム部11を把持した乗員の手を温めるためのヒータ機能を有する。例えば、センサ部14は、リム部11の全周に亘り配置されている。
【0024】
スポーク部12は、複数設定されている。本実施の形態において、スポーク部12は、左右両側部及び下部に設定されている。図示される例では、スポーク部12は、左右1本ずつと、下部に1本と、の計3本設定されている。すなわち、スポーク部12は、ボス部10の左右両側部とリム部11の左右両側部とを連結するように左右方向に延びる側部スポーク部12aと、ボス部10の下部とリム部11の下部とを連結するように上下方向に延びる下部スポーク部12bと、が設定されている。スポーク部12は、ステアリングホイール本体部2の中心に対し、左右対称または略左右対称に配置されている。各スポーク部12からボス部10に亘る部分の背面側がバックカバー4により覆われている。なお、スポーク部12は、3本に限定されるものではなく、例えば2本でもよいし、4本以上でもよい。
【0025】
ステアリングホイール本体部2は、芯金(アーマチュア)17の一部が合成樹脂製などの被覆部18により被覆されて構成されている。被覆部18の表面は、皮革や合成樹脂などの表皮体により覆われていてもよい。
【0026】
芯金17は、例えばアルミニウム、マグネシウム、あるいは鉄などの金属により一体に成形された、金属製のものである。芯金17は、ボス部10と、リム部11と、スポーク部12の側部スポーク部12aと、に対応して、ボス芯金部20と、リム芯金部21と、スポーク芯金部22と、を有する。したがって、本実施の形態において、リム芯金部21は、ボス芯金部20の周辺に位置し、スポーク芯金部22は、ボス芯金部20の左右両側部に設定されている。芯金17は、概略として、略左右対称に形成されている。
【0027】
ボス芯金部20は、ボス部10の芯を構成し、モジュール3を支持する。ボス芯金部20は、モジュール3の背面側に位置し、モジュール3とバックカバー4との間に配置される。ボス芯金部20は、モジュール3の大きさに応じた面状に拡がって位置する。また、ボス芯金部20は、ステアリングシャフトと連結されるボス開口部24を有する。ボス開口部24は、ステアリングシャフトとスプライン結合され、ステアリングホイール1の回転中心となる。
【0028】
リム芯金部21は、リム部11の芯を構成する。リム芯金部21は、リム部11の形状に応じて円弧状または円環状に形成されている。そのため、リム芯金部21は、スポーク芯金部22の長手方向に対して交差する方向に延びている。本実施の形態において、リム芯金部21は、円環状に連なって形成され、ボス芯金部20を囲んでいる。リム芯金部21の全体からスポーク芯金部22を介してリム芯金部21の一部に亘る範囲が、被覆部18により被覆される。リム芯金部21を経線方向に覆ってセンサ部14が配置され、このセンサ部14が被覆部18に埋め込まれている。
【0029】
これらリム芯金部21と、ボス芯金部20の両側部と、を連結するスポーク芯金部22は、スポーク部12の芯を構成する。本実施の形態において、スポーク芯金部22は、リム芯金部21の左右両側部に設定され、ボス芯金部20の両側部とリム芯金部21の両側部とを連結する。図示される例では、スポーク芯金部22は、リム芯金部21を正面から見てアナログ時計の9時位置と、3時位置と、にそれぞれ設定されている。スポーク芯金部22は、ボス芯金部20からリム芯金部21に亘り、正面から見て左右方向に直線状に延び、上側または下側から見て、リム芯金部21よりも背面側に位置し、リム芯金部21からボス芯金部20に亘り、背面側に傾斜して延びている。
【0030】
図1及び図2に示すように、スポーク芯金部22は、芯金本体部26と、芯金本体部26に形成されたリブ27と、を一体的に有する。芯金本体部26は、正面背面方向に厚みを有する板状に形成されている。芯金本体部26は、スポーク芯金部22の長手方向、本実施の形態では左右方向に対し、交差または直交する方向、本実施の形態では上下方向に幅を有する帯状である。図示される例では、芯金本体部26の幅は、一定または略一定となっている。
【0031】
リブ27は、スポーク芯金部22の剛性(曲げ剛性及びねじり剛性)を向上するためのものである。図1中において、リブ27には、説明を明確にするためにハッチングを入れて示している。リブ27は、スポーク芯金部22の正面及び背面のそれぞれに形成され、芯金本体部26の厚み方向である正面背面方向に突出するフランジ状となっている。リブ27は、スポーク芯金部22の正面側及び背面側のそれぞれにおいて、少なくともスポーク芯金部22の一縁部に沿って形成されている。すなわち、リブ27は、スポーク芯金部22の正面側の上縁部と下縁部との少なくともいずれか、及び、スポーク芯金部22の背面側の上縁部と下縁部との少なくともいずれかに形成されている。好ましくは、リブ27は、スポーク芯金部22の正面側と背面側との少なくともいずれかにおいて、スポーク芯金部22の両縁部に沿って形成されている。より好ましくは、リブ27は、スポーク芯金部22の正面側及び背面側のそれぞれにおいて、スポーク芯金部22の両縁部に沿って形成されている。そのため、スポーク芯金部22が、芯金本体部26とリブ27,27とにより断面H字状に形成されている。
【0032】
リブ27は、スポーク芯金部22のボス芯金部20側の端部からリム芯金部21側の端部に亘り、つまり両端部に亘り連なって形成されている。リブ27の一端部は、スポーク芯金部22からボス芯金部20へと連なる芯金17の屈曲部付近、または、その屈曲部をボス芯金部20側に僅かに超える位置まで延びている。また、リブ27の他端部は、リム芯金部21の内縁部付近または内縁部まで延びている。
【0033】
また、リブ27は、スポーク芯金部22の正面側の上縁部及び下縁部、及び、スポーク芯金部22の背面側の上縁部及び下縁部にそれぞれ形成されている。図示される例では、リブ27は、芯金本体部26の厚みより小さい幅を有している。また、正面側の上下のリブ27は、正面側の突出高さが略等しく設定されている。同様に、背面側の上下のリブ27は、背面側への突出高さが略等しく設定されている。好ましくは、リブ27は、それぞれ基端部から先端部へと徐々に幅が狭くなるように形成されている。
【0034】
好ましくは、リブ27のリム芯金部21と連なる端部は、リム芯金部21に向かい徐々に拡大される扇形状に形成されている。本実施の形態では、リブ27は、スポーク芯金部22の幅の中心側の縁部である内縁部27aがスポーク芯金部22(芯金本体部26)に沿って直線状であり、幅の外側の縁部である外縁部27bがリム芯金部21の緯線方向の周方向へと、リム芯金部21に対して湾曲状に連なっている。すなわち、スポーク芯金部22において上側に位置するリブ27の上縁部と、下側に位置するリブ27の下縁部とが、芯金本体部26から離れる方向へと円弧状に湾曲されている。
【0035】
スポーク芯金部22(側部スポーク部12a)の正面側にはスイッチ5が位置し、背面側にはパドルスイッチ6が位置する。そこで、リム部11を把持した手の親指などで正面側のスイッチ5が操作可能であり、リム部11を把持した手の人差し指や中指などで背面側のパドルスイッチ6が操作可能である。パドルスイッチ6は、バックカバー4に形成された開口部30から背面側に操作部が突出している。
【0036】
正面及び/または背面から見て、スイッチ5及びパドルスイッチ6の少なくとも一部、好ましくは過半部分がスポーク芯金部22の幅内にある。本実施の形態では、スイッチ5はその全体がスポーク芯金部22の幅内にあり、パドルスイッチ6は上縁部を除く略全体がスポーク芯金部22の幅内にある。特に、本実施の形態では、スポーク芯金部22の両縁部にあるリブ27間の領域32(図1中の網掛部分)内にスイッチ5及びパドルスイッチ6の過半部分がある。図示される例では、領域32は、正面側の上下のリブ27の内縁部27a間の領域の正面方向への投影範囲、及び、背面側の上下のリブ27の内縁部27a間の領域の背面方向への投影範囲をいう。また、センサ部14の一部が、背面側の領域32内にあり、この領域32が、リム芯金部21を覆うセンサ部14の残りの他部への配線などの引き出し領域となっている。なお、図1において、領域32については、記載を明確にするために、穴部や凹凸などを省略して示している。
【0037】
図示される例では、スポーク芯金部22を覆う被覆部18の正面18aにスイッチ5が配置され、スポーク芯金部22を覆う被覆部18の背面18bの上側寄りにパドルスイッチ6が配置され、背面18bの下側寄りにセンサ部14の一部が配置されている。より詳細に、本実施の形態では、スイッチ5が、被覆部18の正面18aに重ねられている。パドルスイッチ6が、被覆部18の背面18bに形成された穴部18cに一部が挿入され、その穴部18cから露出するスポーク芯金部22の芯金本体部26に形成された取付穴34に対し、ねじなどの固定部材35により正面側から固定されている。パドルスイッチ6は、被覆部18の背面18bにて穴部18cの周囲に形成された支持部18dにより支持されている。また、センサ部14は、領域32のパドルスイッチ6を避けた位置において、被覆部18の背面18bに重ねられて貼り付けられている。
【0038】
そして、芯金17は、所定の成形型を用いてダイカスト成形する。成形型から脱型した芯金17を、例えばセンサ部14の一部ととともに、例えばRIM成形などを用いて被覆部18により覆うことで、ステアリングホイール本体部2を形成する。形成したステアリングホイール本体部2は、ボス開口部24をステアリングシャフトと連結して車体側に取り付けた後、ボス芯金部20にモジュール3を取り付ける。そして、必要に応じて被覆部18を表皮体で覆うとともに、スポーク部12にスイッチ5,6などを取り付けることで、ステアリングホイール1が車体に取り付けられた状態で完成する。
【0039】
芯金17は、スポーク芯金部22の厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいて、少なくともいずれかの縁部に沿ってボス芯金部20側の端部とリム芯金部21側の端部との間に亘り連なるリブ27を有することで、スポーク芯金部22(芯金本体部26)全体の厚みを大きくすることなくリブ27によって断面積を確保してスポーク芯金部22のねじり剛性を向上できるので、芯金17の剛性を向上できる。
【0040】
特に、スポーク芯金部22は、厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにおいてリブ27が両縁部に沿って両端部間に亘り連なる断面H字状であるため、スポーク芯金部22のねじり剛性をより向上できる。
【0041】
また、リブ27の芯金本体部26からの突出高さを調整することにより、スポーク芯金部22の剛性を調整することが可能になる。
【0042】
そして、スポーク芯金部22の厚みを大きくしないで済むため、厚みつまり重量の増加に起因する芯金17の共振周波数の低下を抑制し、所望の高い共振周波数を得ることが可能になる。
【0043】
スポーク芯金部22の厚み方向の正面側と背面側とのそれぞれにスイッチ5、パドルスイッチ6、センサ部14など、電子部品の少なくとも一部が配置されるので、スポーク芯金部22の厚みを増加させることなくリブ27によって断面積を確保する構成とすることで、スポーク芯金部22の厚みとスイッチ5、パドルスイッチ6、センサ部14などの電子部品の厚みとの合計厚み、すなわちスポーク部12の厚みを抑えることができる。
【0044】
特に、スイッチ5、及び、パドルスイッチ6は、リブ27を避けた領域32に過半部分が配置されているので、スイッチ5の正面側への突出、及び、パドルスイッチ6の背面側への突出をそれぞれ抑えることができるとともに、芯金17のスポーク芯金部22のねじりに対して補強の役割となり、ねじり強度を向上できる。そのため、スイッチ6の正面側への突出によるデザイン性の低下、及び、パドルスイッチ6の背面側への突出による操作性の低下などを招くことがないとともに、ステアリングホイール1全体としての強度を向上できる。
【0045】
したがって、ステアリングホイール1に対する強度要求と、デザイン性の要求と、を両立することが可能になる。
【0046】
しかも、センサ部14の引き出し領域が、リブ27及びパドルスイッチ6を避けて設定されているため、スポーク芯金部22(被覆部18の背面18b側)を覆うバックカバー4の造形をセンサ部14の厚み分拡大する必要がなく、スポーク部12の位置での厚みの増加を抑制できるとともに、パドルスイッチ6の位置も変更が不要であり、開口部30の位置の設計変更なども不要である。
【0047】
また、スポーク芯金部22の剛性が向上したことにより、スポーク芯金部22とリム芯金部21との連結部分への応力集中が懸念されるものの、本実施の形態では、リブ27のリム芯金部21側の端部を、リム芯金部21に向かって徐々に拡大させてリム芯金部21と連ねているので、スポーク芯金部22の剛性を確保しつつ、スポーク芯金部22とリム芯金部21との連結部分への応力集中を軽減できる。
【0048】
なお、第1の実施の形態において、リブ27は、スポーク芯金部22の正面側及び背面側において、少なくとも一縁部に形成されていればよい。例えば図4に示す第2の実施の形態のように、背面上側のリブ27を省略しても、リブ27を形成しない従来のスポーク芯金部22と比較して剛性を向上できるなど、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば自動車などの車両用のステアリングホイールの芯金として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ハンドルであるステアリングホイール
5 電子部品としてのスイッチ
6 電子部品としてのパドルスイッチ
14 電子部品としてのセンサ部
17 芯金
20 ボス芯金部
21 リム芯金部
22 スポーク芯金部
27 リブ
図1
図2
図3
図4