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特開2024-127436情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127436
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240912BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240912BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240912BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J13/00 301A
G06Q50/10
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L55/00
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036590
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 健生
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5H125
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB03
5G064CB08
5G064CB13
5G064DA03
5G064DA11
5G066AE01
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC24
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE61
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】電気自動車に搭載された二次電池の充放電量を、需要者の受ける利益がより高くなるように決定できるアルゴリズムを構築する。
【解決手段】本情報処理装置は、環境条件及び目的地の組み合わせと、需要家の電気自動車を走行させたときの電力消費量の実績値とを対応から上記組み合わせのいずれかを選択する選択部と、算出部と、更新部と、を備える。算出部は、所定のアルゴリズムにしたがって、選択された組み合わせを基に、電気自動車の第1の電力消費量を推定し、選択された環境条件を基に、需要家の建物の負荷の第2の電力消費量を推定し、第1の電力消費量と第2の電力消費量を基に、電気自動車の蓄電池の充放電量を決定し、決定された充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する。更新部は、選択された組み合わせに対応する電力消費量の実績値と第1の電力消費量の差と、算出した利益と、に応じて、所定のアルゴリズムを更新する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家が保有する電気自動車を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記組み合わせのいずれかを選択する選択部と、
所定のアルゴリズムにしたがって、
前記選択部によって選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車の第1の電力消費量を推定し、
前記選択部によって選択された前記環境条件を基に、前記需要家が保有する建物に設置された負荷の第2の電力消費量を推定し、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車の蓄電池の充放電量を決定し、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する、算出部と、
前記選択部によって選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズムを更新する更新部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記建物に設置された蓄電池の充放電量をさらに決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記環境条件は、前記電気自動車を走行させる日にち、曜日、時間帯及び気象のうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新部によって更新された前記所定のアルゴリズムを前記電気自動車の蓄電池の充放電を制御する制御装置に配信する配信部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家が保有する電気自動車を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部を参照して、前記組み合わせのいずれかを選択し、
所定のアルゴリズムにしたがって、
選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車の第1の電力消費量を推定し、
選択された前記環境条件を基に、前記需要家が保有する建物に設置された負荷の第2の電力消費量を推定し、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車の蓄電池の充放電量を決定し、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出し、
選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズムを更新する、処理をコンピュータが実行する、
情報処理方法。
【請求項6】
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家が保有する電気自動車を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部を参照して、前記組み合わせのいずれかを選択し、
所定のアルゴリズムにしたがって、
選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車の第1の電力消費量を推定し、
選択された前記環境条件を基に、前記需要家が保有する建物に設置された負荷の第2の電力消費量を推定し、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車の蓄電池の充放電量を決定し、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出し、
選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズムを更新する、処理をコンピュータに実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の普及に伴い、家庭用蓄電池と電気自動車に搭載された走行用蓄電池の2種類の蓄電池を備える家庭が増加しつつある。走行用蓄電池の残容量に応じて家庭の負荷に放電させたり、電力料金に応じて走行用蓄電池の充電スケジュールを調整したり、特定のパターンから充放電スケジュールを選択したりする技術が提案されている(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-096416号公報
【特許文献2】特開2015-141465号公報
【特許文献3】特開2020-054070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車を走行させることを考慮すると、走行用蓄電池が充分に充電されていることが好ましい。一方、電気自動車を走行する予定が無いにもかかわらず走行用蓄電池の充電を継続すると、無駄な電気料金が生じ得る。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、電気自動車に搭載された二次電池の充放電量を、需要者の受ける利益がより高くなるように決定できるアルゴリズムを構築できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような情報処理装置によって例示される。本情報処理装置は、環境条件及び目的地の組み合わせと、上記組み合わせの条件下で需要家が保有する電気自動車を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された上記組み合わせのいずれかを選択する選択部と、算出部と、更新部と、を備える。上記算出部は、所定のアルゴリズムにしたがって、上記選択部によって選択された上記組み合わせを基に、上記電気自動車の第1の電力消費量を推定し、上記選択部によって選択された上記環境条件を基に、上記需要家が保有する建物に設置された負荷の第2の電力消費量を推定し、上記第1の電力消費量と上記第2の電力消費量を基に、上記電気自動車の蓄電池の充放電量を決定し、電気料金テーブルを参照して、決定された上記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する。上記更新部は、上記選択部によって選択された上記組み合わせに対応する上記電力消費量の上記実績値と上記第1の電力消費量の差と、算出した上記利益と、に応じて、上記所定のアルゴリズムを更新する。
【0007】
上記情報処理装置によれば、上記実績値と推定された第1の電力消費量と算出した上記利益とに応じて上記所定のアルゴリズムが更新される。このような更新の結果、所定のアルゴリズムによる第1の電力消費量の推定精度が高められるとともに、より高い利益が生じるように上記電気自動車の蓄電池の充放電量が上記所定のアルゴリズムによって決定されるようになる。そのため、本情報処理装置によれば、環境条件及び目的地の組み合わせに応じて上記電気自動車の蓄電池の充放電量を好適に決定する上記所定のアルゴリズムの
構築が容易になる。ここで、上記環境条件は、上記電気自動車を走行させる日にち、曜日、時間帯及び気象のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0008】
上記情報処理装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。上記更新部は、上記建物に設置された蓄電池の充放電量をさらに決定する。このような特徴をさらに備えることで、本情報処理装置は、上記所定のアルゴリズムを用いて推定された上記電気自動車の電力消費量及び上記建物に設置された上記負荷の電力消費量を基に、上記電気自動車の蓄電池の充放電量及び上記建物に設置された蓄電池の充放電量が決定される。そして、上記所定のアルゴリズムは上記更新部によって更新される。そのため、このような特徴を備える本情報処理装置は、上記建物及び上記電気自動車の双方に蓄電池が備えられている場合においても、上記需要者の利益が可及的に高くなるように上記電気自動車の蓄電池の充放電量を決定できる。
【0009】
上記情報処理装置は、さらに、次の特徴を備えてもよい。上記更新部によって更新された上記所定のアルゴリズムを上記電気自動車の蓄電池の充放電を制御する制御装置に配信する配信部をさらに備える。このような特徴を備える本情報処理装置は、上記制御装置に対して、更新した上記所定のアルゴリズムを用いた充放電の制御を実行させることができる。
【0010】
開示の技術は情報処理方法及び情報処理プログラムの側面から把握することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、電気自動車に搭載された二次電池の充放電量を、需要者の受ける利益がより高くなるように決定するアルゴリズムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る電力システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電力システムにおける電線の接続構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る電力システムの通信ネットワークの接続構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るコントローラの処理ブロックの一例を示す図である。
図5図5は、管理データベースに格納される実走行情報管理テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、アルゴリズムを用いて推定された電気自動車の推定電力消費量と実測された電気自動車の電力消費量の差を模式的に示す図である。
図7図7は、アルゴリズムを用いた利益の算出結果を模式的に示す図である。
図8図8は、実施形態に係るコントローラの処理フローの一例を示す第1の図である。
図9図9は、実施形態に係るコントローラの処理フローの一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<適用例>
以下、本発明の適用例について、図面を参照して説明する。本発明は、例えば、図1図2及び図3に一例を示す電力システム1に適用される。電力システム1は、コントローラ10、パワーコンディショナ(PCS)20、太陽光発電パネル30、二次電池40及び二次電池61を備える。
【0014】
電力系統600は、例えば、電力を供給する電力会社である。電力システム1及び電力系統600から出力される電力は、電線L1を介して需要家50に供給される。電力システム1から電線L1を介して供給される電力を用いて、需要家50の自宅500に設置された照明52等の各負荷が駆動される。
【0015】
コントローラ10は、情報処理装置である。コントローラ10は、図4に例示するように、実績取得部11、選択部12、算出部13、更新部14、アルゴリズム格納部15、管理データベース16、及び配信部17を備える。コントローラ10の管理データベース16には、電気自動車60を実際に走行させた場合における、出発時期、気象、目的地、電気自動車60の電力消費量の実績値の組み合わせが記憶される。出発時期及び気象の組み合わせを、環境条件とも称する。管理データベース16には、環境条件及び目的地と電気自動車60の電力消費量の実績値とが対応付けて記憶される。また、コントローラ10のアルゴリズム格納部15には、二次電池40や電気自動車60の充放電量を決定するアルゴリズムA1が記憶される。
【0016】
コントローラ10では、管理データベース16に格納された環境条件及び目的地の組み合わせのうちのひとつが選択部12によって選択される。そして、算出部13は、選択された環境条件及び目的地の組み合わせにおける電気自動車60の電力消費量をアルゴリズムA1を用いて推定する。また、算出部13は、選択された環境条件を条件として需要家50に設置された負荷による電力消費量をアルゴリズムA1を用いて推定する。
【0017】
さらに、算出部13は、推定した電気自動車60による電力消費量と需要家50に設置された負荷による電力消費量とを基に、二次電池61の充放電量を決定する。ここで、算出部13は、推定した電気自動車60による電力消費量と需要家50に設置された負荷による電力消費量とを基に、二次電池61の充放電量と二次電池40の充放電量の双方を決定してもよい。
【0018】
算出部13は、電力系統600の料金テーブルを参照して、決定した充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する。電力系統600の料金テーブルは、例えば、サーバ601から取得してもよいし、補助記憶部103に予め記憶されてもよい。
【0019】
更新部14は、選択部12によって選択された環境条件及び目的地の組み合わせに対応する電力消費量の実績値と、算出部13によって算出された電気自動車60の電力消費量との差を算出する。更新部14は、算出した電力消費量との差と、得られる利益と、を基に、アルゴリズムA1を用いた充放電量の決定を評価する。更新部14は、評価結果に応じてアルゴリズムA1を更新する。アルゴリズムA1の更新は、例えば、Qラーニングによって例示される強化学習によって行われる。
【0020】
更新部14によって更新されたアルゴリズムA1は、配信部17によってPCS20に配信される。PCS20は、コントローラ10から配信されたアルゴリズムA1を用いて、二次電池40及び二次電池61の充放電を制御する。
【0021】
本適用例によれば、更新部14による上記アルゴリズムA1の更新によって、アルゴリズムA1による電気自動車60の電力消費量の推定精度が高められるとともに、より高い利益が生じるように二次電池61の充放電量がアルゴリズムA1によって決定されるようになる。そのため、本適用例によれば、環境条件及び目的地の組み合わせに応じて二次電池61の充放電量を好適に決定するアルゴリズムA1の構築が容易になる。
【0022】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る電力システム1の一例を示す図である。図1に例示するように、PCS20、太陽光発電パネル30、二次電池40及び電力計51は、例えば、需要家50の自宅500に設置される。二次電池40は、需要家50の自宅500に設置される。二次電池61は、電気自動車60に搭載される。また、コントローラ10及び電力系統600は、自宅500の外に配置される。
【0023】
電気自動車60は、電力によってモータを駆動することで走行する自動車である。電気自動車60としては、例えば、電動車及びハイブリット自動車が挙げられる。電気自動車60には、二次電池61及びカーナビゲーションシステム62が搭載される。電気自動車60は、二次電池61から供給される電力を用いて走行する。カーナビゲーションシステム62は、例えば、Global Positioning System(GPS)によって電気自動車60の現在地を取得する。カーナビゲーションシステム62は、設定された目的地に対して電気自動車60の現在地を示しながら、目的地への走行を案内する情報処理装置である。
【0024】
太陽光発電パネル30は、太陽光を電力に変換する太陽電池を用いて発電する発電機である。太陽光発電パネル30は、例えば、自宅500の屋根に設置される。二次電池40は、太陽光発電パネル30によって発電された電力を蓄電する家庭用蓄電池である。PCS20は、二次電池40及び二次電池61の充放電を制御するパワーコンディショナである。
【0025】
図2は、実施形態に係る電力システム1における電線の接続構成の一例を示す図である。電力系統600からは、電線L1を介して需要家50に電力が供給される。需要家50では、電力系統600から供給される電力を用いて、照明52等の負荷が駆動される。
【0026】
PCS20は、電線L1を介して電力系統600に接続される。さらに、PCS20には、電線L2を介して太陽光発電パネル30が接続され、電線L3を介して二次電池40が接続される。また、電気自動車60が自宅500の敷地内に駐車されているときには、電線L4を介して二次電池61がPCS20に接続される。
【0027】
太陽光発電パネル30は、電線L2によってPCS20に接続される。太陽光発電パネル30によって発電可能な発電量は、天候等の影響により変動する。太陽光発電パネル30によって発電された電力は、PCS20からの指示に応じて自宅500内の照明52等の負荷に供給される。また、太陽光発電パネル30によって発電された電力は、PCS20からの指示に応じて二次電池40に蓄電されたり、二次電池61に蓄電されたりする。
【0028】
二次電池40は、太陽光発電パネル30によって発電された電力を蓄電する。二次電池40は、電線L3によってPCS20と接続される。二次電池61は、電気自動車60に搭載され、電気自動車60の駆動に用いられる電力を供給する。自宅500の敷地内に電気自動車60が駐車されると、電線L4を介して二次電池61とPCS20とが接続される。二次電池61は、例えば、電力系統600から供給される電力や太陽光発電パネル30から供給される電力によって蓄電される。二次電池40及び二次電池61に蓄電された電力は、PCS20からの指示に応じて自宅500内の照明52等の負荷に供給される。電力計51は、需要家50において、照明52等の負荷によって消費される電力を測定する。
【0029】
図3は、実施形態に係る電力システム1の通信ネットワークの接続構成の一例を示す図である。コントローラ10、PCS20、カーナビゲーションシステム62及びサーバ601は、ネットワークN1によって相互に接続される。また、PCS20と電力計51と
は、ネットワークN2によって接続される。電力計51は、計測した電力をネットワークN2を介してPCS20に通知する。
【0030】
サーバ601は、例えば、電力系統600によって管理されるサーバである。サーバ601は、電気料金に係る情報をネットワークN1に公開する。電気料金に係る情報としては、電気料金が既定の料金である場合には、電気料金の料金テーブルを挙げることができる。また、電気料金に係る情報としては、電気料金が変動料金である場合には、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格や契約している小売電力業者の価格を挙げることができる。なお、JEPXの取引価格や契約している小売電力業者の価格をサーバ601が公開する場合には、サーバ601は、JEPXや小売電力業者によって管理されてもよい。
【0031】
PCS20は、ネットワークN1を介してコントローラ10及びサーバ601と接続される。PCS20は、コントローラ10からネットワークN1を介してアルゴリズムA1を受信する。アルゴリズムA1を受信したPCS20は、アルゴリズムA1を用いて、二次電池40及び二次電池61の充放電を制御する。
【0032】
PCS20は、例えば、太陽光発電パネル30によって発電された電力を二次電池40や二次電池61に蓄電させる。また、例えば、PCS20は、太陽光発電パネル30によって発電された電力、二次電池40に蓄電された電力及び二次電池61に蓄電された電力の需要家50への供給を行う。PCS20は、実際に需要家50が消費した電力を電力計51からネットワークN2を介して受信し、受信した電力の実績値をネットワークN1を介してコントローラ10に送信する。
【0033】
カーナビゲーションシステム62は、ネットワークN1を介してコントローラ10及びサーバ601と接続される。カーナビゲーションシステム62は、二次電池61の充放電量を取得する。また、カーナビゲーションシステム62は、ネットワークN1を介して、外部の気象サーバから気象情報を取得する。PCS20は、GPSによって取得した電気自動車60の現在位置、指定された目的地、出発時刻、気象情報及び二次電池61の充放電量を含む実走行情報をネットワークN1を介してコントローラ10に送信する。
【0034】
ネットワークN1は、例えば、インターネット等のコンピュータネットワークである。ネットワークN2は、例えば、自宅500に設けられたLocal Area Network(LAN)である。ネットワークN1、N2は、有線通信によるネットワークであっても無線通信によるネットワークであってもよい。
【0035】
<コントローラ10のハードウェア構成>
図3を参照して、コントローラ10のハードウェア構成について説明する。コントローラ10は、CPU101、主記憶部102、補助記憶部103及び通信部104を備える。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103及び通信部104は、接続バスB1によって相互に接続される。
【0036】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われてもよい。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。コ
ントローラ10では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、コントローラ10は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102及び補助記憶部103は、CPU101が読み取り可能な記録媒体である。
【0037】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0038】
補助記憶部103は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続されるPCS20等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置及び外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0039】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部103は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0040】
通信部104は、例えば、ネットワークN1とのインターフェースである。通信部104は、ネットワークN1を介して外部の装置と通信を行う。
【0041】
<コントローラ10の処理ブロック>
図4は、実施形態に係るコントローラ10の処理ブロックの一例を示す図である。コントローラ10は、実績取得部11、選択部12、算出部13、更新部14、アルゴリズム格納部15、管理データベース16及び配信部17を備える。コントローラ10は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記コントローラ10の、コントローラ10は、実績取得部11、選択部12、算出部13、更新部14、アルゴリズム格納部15、管理データベース16及び配信部17等の各部としての処理を実行する。
【0042】
図5は、管理データベース16に格納される実走行情報管理テーブル161の一例を示す図である。実走行情報管理テーブル161は、「目的地」、「気象」、「日にち」、「曜日」、「時間」及び「消費量」の各項目を含む。「目的地」には、電気自動車60の目的地を示す情報が格納される。「気象」には、電気自動車60が目的にまで走行したときの気象(晴天、曇天、雨、雪等)を示す情報が格納される。「日にち」には、電気自動車60が目的地に向けて出発した日にちを示す情報が格納される。「曜日」、には、電気自動車60が目的地に向けて出発した曜日を示す情報が格納される。「時間」には、電気自動車60が目的地に向けて出発した時間を示す情報が格納される。図5では、電気自動車60の出発時期を示す情報として、「日にち」、「曜日」及び「時間」が例示されているが、実走行情報管理テーブル161には、例えば、日にち、時刻及び曜日を示す情報のうち少なくともひとつが含まれてもよい。「消費量」は、電気自動車60が自宅500と目
的地との間を往復したときにおける電力消費量を示す情報が格納される。実走行情報管理テーブル161には、電気自動車60が目的地まで実際に走行したときにおける実測データが格納される。すなわち、実走行情報管理テーブル161では、出発時期と気象とを含む環境条件及び目的地と電気自動車60の電力消費量の実績値とが対応付けて格納される。
【0043】
アルゴリズム格納部15には、算出部13による電気自動車60の二次電池61に蓄電された電力を売買することで生じる利益の算出に用いられるアルゴリズムA1が格納される。アルゴリズムA1は、例えば、電気自動車60を実際に走行させたときの電力消費量のデータ及び自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量のデータを教師データとして、機械学習によって構築される。アルゴリズムA1は、アルゴリズムA11、A12、A13を含む。アルゴリズムA12は、電気自動車60の電力消費量の推定に用いられる。アルゴリズムA13は、自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量の推定に用いられる。アルゴリズムA11は、アルゴリズムA12及びアルゴリズムA13の推定結果を基にした、充放電量の決定に用いられる。
【0044】
実績取得部11は、電気自動車60の実走行情報をカーナビゲーションシステム62から受信する。実績取得部11は、受信した実走行情報を管理データベース16に格納する。実績取得部11によって実走行情報が取得されることで、実走行情報管理テーブル161には電気自動車60が目的地まで実際に走行したときにおける実績値が蓄積される。
【0045】
選択部12は、実走行情報管理テーブル161から、いずれかの環境条件及び目的地の組み合わせを選択する。選択部12は、例えば、実走行情報管理テーブル161から、ユーザによって指定された環境条件及び目的地の組み合わせを選択してもよい。また、選択部12は、実走行情報管理テーブル161からランダムに環境条件及び目的地の組み合わせを選択してもよい。選択部12によって選択された組み合わせを選択条件とも称する。
【0046】
算出部13は、電気自動車60の二次電池61に蓄電された電力を売買することで生じる利益を算出する。算出部13は、二次電池40及び二次電池61に蓄電された電力を売買することで生じる利益を算出してもよい。算出部13は、第1推定部131、第2推定部132、決定部133及び利益算出部134を含む。
【0047】
第1推定部131は、選択部12によって選択された選択条件を基に、アルゴリズムA12を用いて電気自動車60の電力消費量を推定する。第1推定部131によって推定された電気自動車60の電力消費量を推定電力消費量とも称する。
【0048】
第2推定部132は、選択部12によって選択された選択条件に含まれる気象を基に、アルゴリズムA13を用いて自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量を推定する。
【0049】
決定部133は、第1推定部131によって推定された電気自動車60の電力消費量及び第2推定部132によって推定された自宅500に設置された負荷の電力消費量を基に、電気自動車60に搭載された二次電池61の充放電量を決定する。
【0050】
利益算出部134は、決定部133によって決定された充放電量に応じた利益を算出する。利益としては、例えば、決定部133によって決定された充放電量の電力を売電することで得られる売却益、決定部133によって決定された充放電量の電力を自宅500に設置された照明52等の負荷に供給することで電力系統600から購入する電力を削減したことによる利益、等を挙げることができる。ここで、利益算出部134は、電気料金が既定の料金である場合には、予め電気料金を示す料金テーブルを補助記憶部103に記憶
しておけばよい。そして、利益算出部134は、補助記憶部103に記憶した料金テーブルを参照して、利益を算出すればよい。また、利益算出部134は、電気料金が変動料金である場合には、電力系統600からJEPX取引価格を取得し、取得した取引価格を基に利益を算出すればよい。
【0051】
更新部14は、選択部12によって選択された選択条件に対応する「消費量」を実走行情報管理テーブル161から取得する。更新部14は、第1推定部131によって推定された推定電力消費量と、実走行情報管理テーブル161から取得した「消費量」の実績値との差を算出する。更新部14は、推定電力消費量と実績値との差と利益算出部134によって算出された利益を基にアルゴリズムA12を評価し、評価結果に応じてアルゴリズムA12を更新する。アルゴリズムA12の更新は、例えば、重回帰分析やディープラーニングなどの教師あり学習や、Qラーニング等の強化学習によって行われる。
【0052】
更新部14は、例えば、推定電力消費量と実績値との差が少ないようにアルゴリズムA12を更新する。例えば、推定電力消費量と実績値との差の二乗の和に応じて逆誤差伝搬法を用いてディープラーニングを更新してもよい。すなわち、二乗誤差による教師学習を行ってもよい。更新部14は、例えば、推定電力消費量と実績値との差が少ないほど、アルゴリズムA12に高い評価を与える。また、更新部14は、例えば、利益算出部134によって算出された利益が大きいほど、アルゴリズムA12に高い評価を与える。ここで、更新部14は、推定電力消費量から実績値を減算した値がマイナスになった場合には電気自動車60が自宅500と目的地との間を往復できなくなるため、アルゴリズムA12に対して極めて低い評価を与えてもよい。更新部14は、このような評価を基にした強化学習によって、第1推定部131による電力消費量の推定の最適化、及び、第2推定部132による電力消費量の推定の最適化を行い、アルゴリズムA12及びアルゴリズムA13を更新する。
【0053】
更新部14は、例えば、評価に応じたQラーニングによってアルゴリズムA12及びアルゴリズムA13の更新を行う。Qラーニングにおける評価は、Q値ともいう。Qラーニングによる強化学習では、評価に応じて、第1推定部131による電気自動車60の電力消費量の推定及び第2推定部132による自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量の推定が更新される。
【0054】
すなわち、更新部14によるアルゴリズムA12の更新によって、アルゴリズムA12を用いた第1推定部131による電気自動車60の電力消費量の推定が、より大きい電力消費量を推定するようになったり、より小さい電力消費量を推定するようになったりする。また、更新部14によるアルゴリズムA13の更新によって、アルゴリズムA13を用いた第2推定部132による自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量の推定が、より大きい電力消費量を推定するようになったり、より小さい電力消費量を推定するようになったりする。その結果、アルゴリズムA1による電力消費量の推定結果を基にした利益算出部134による利益の算出結果が変動する。
【0055】
コントローラ10では、選択部12によって選択された選択条件の下で、更新されたアルゴリズムA12及びアルゴリズムA3を用いた第1推定部131及び第2推定部132による電力消費量の推定、利益算出部134による利益の算出が行われ、更新部14によるアルゴリズムA1の更新がさらに行われる。このようなアルゴリズムA1の更新が繰り返し行われることで、より高い利益を算出するようにアルゴリズムA1が更新される。
【0056】
図6は、アルゴリズムA12を用いて推定された電気自動車60の推定電力消費量と実測された電気自動車60の電力消費量の差を模式的に示す図である。図6の縦軸はアルゴリズムA1を用いて推定された電気自動車60の推定電力消費量から、実測された電気自
動車60の電力消費量を減算した差を示し、横軸はアルゴリズムA12の更新を繰り返した回数を示す。図6を参照すると理解できるように、繰り返した回数が少ないうちは差が大きく上下するとともにマイナスの値にもなり得る。一方、繰り返した回数が多くなると、差は0以上の一定の値で安定する。図6の場合、差は0より大きい値であり、かつ、0に近い値を示す閾値R1以下で安定している。
【0057】
図7は、アルゴリズムA11を用いた利益の算出結果を模式的に示す図である。図7の縦軸は算出された利益を示し、横軸はアルゴリズムA1の更新を繰り返した回数を示す。図7を参照すると理解できるように、繰り返した回数が少ないうちはアルゴリズムA1によって算出される利益が大きく上下する。一方、繰り返した回数が多くなるとアルゴリズムA1によって算出される利益は高い値で安定する。コントローラ10によるアルゴリズムA1の更新の繰り返しは、例えば、所定の閾値(図7の「R2」)以上の利益が安定して算出されるとともに、推定電力消費量から電気自動車60の電力消費量の実績値を減算した結果が0以上かつ閾値R1以下(0以上で0に近い値)で安定した段階で終了してもよい。閾値R1及び閾値R2は、適宜決定されればよい。
【0058】
配信部17は、更新部14によって更新されたアルゴリズムA1をPCS20に配信する。
【0059】
<処理フロー>
図8及び図9は、実施形態に係るコントローラ10の処理フローの一例を示す図である。以下、図8及び図9を参照して、コントローラ10の処理フローの一例について説明する。
【0060】
ステップT1では、選択部12は、実走行情報管理テーブル161から、いずれかの環境条件及び目的地の組み合わせを選択条件として選択する。
【0061】
ステップT2では、ステップT1で選択された選択条件を基に、アルゴリズムA12を用いて電気自動車60の電力消費量を推定する。ステップT3では、第2推定部132は、選択部12によって選択された選択条件に含まれる気象を基に、アルゴリズムA13を用いて自宅500に設置された照明52等の負荷の電力消費量を推定する。
【0062】
ステップT4では、決定部133は、ステップT2で推定された電気自動車60の電力消費量及びステップT3で推定された自宅500に設置された負荷の電力消費量を基に、電気自動車60に搭載された二次電池61の充放電量を決定する。
【0063】
ステップT5では、利益算出部134は、ステップT4で決定された充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する。
【0064】
ステップT6では、更新部14は、ステップT1で選択された選択条件に対応する「消費量」を実走行情報管理テーブル161から取得する。更新部14は、ステップT2で推定された電気自動車60の電力消費量と、実走行情報管理テーブル161から取得した「消費量」との差を算出する。
【0065】
ステップT7では、更新部14は、ステップT6で算出した差とステップT5で算出された利益を基にアルゴリズムA1を評価し、評価結果に応じてアルゴリズムA1を更新する。ステップT2からステップT7までの処理は、各選択条件毎に繰り返し実行される。ステップT2からステップT7までの処理は、例えば、ステップT6で算出される差の変動が所定の変動幅W内に安定するとともに、ステップT5で算出される利益が所定の閾値R2以上の高い値に安定するまで、繰り返し実行される。また、ステップT1からステッ
プT7までの処理は、実走行情報管理テーブル161に格納された全ての環境条件及び目的地の組み合わせについての処理が実行されるまで繰り返し実行される。
【0066】
ステップT8では、配信部17は、ステップT7で更新されたアルゴリズムA1をPCS20に対して配信する。配信を受けたPCS20は、アルゴリズムA1を用いて二次電池61の充放電量を決定する。
【0067】
<実施形態の作用効果>
電気自動車60の走行を考慮すると、二次電池61は満充電とされることが好ましい。一方、走行する予定が無いにもかかわらず二次電池61の満充電の状態を維持すると、電気料金の高いタイミングにおける二次電池61から自宅500内に設置された負荷への電力供給が阻害され、需要家50の電気料金の負担が増大する虞がある。また、自宅500には二次電池40も設置されていることから、需要家50が受ける利益がより大きくなるように二次電池61の充放電量を決定するアルゴリズムを構築することは容易ではない。
【0068】
本実施形態では、環境条件及び目的地の組み合わせに対して、二次電池61の電力消費量の実績値が実走行情報管理テーブル161において対応付けられる。そして、アルゴリズムA12を用いて推定した二次電池61の電力消費量と二次電池61の電力消費量の実績値との差、及び、決定部133によって決定した充放電量の電力を売買することで得られる利益とが評価され、評価の結果を基に強化学習によってアルゴリズムA1が更新される。このような強化学習の結果、アルゴリズムA1による二次電池61の電力消費量の推定精度が高められるとともに、より高い利益が生じるように二次電池61の充放電量がアルゴリズムA1によって決定されるようになる。そのため、本実施形態によれば、環境条件及び目的地の組み合わせに応じて二次電池61の充放電量を好適に決定するアルゴリズムA1の構築が容易になる。
【0069】
本実施形態では、環境条件及び目的地の組み合わせに応じた二次電池61の好適な充放電をアルゴリズムA1によって決定できる。そのため、アルゴリズムA1の配信を受けたPCS20では、ユーザから目的地や利用時間帯を含む電気自動車60の予約を受け、受けた予約に好適な二次電池61の充放電量を決定できる。
【0070】
本実施形態では、アルゴリズムA12を用いて推定された電気自動車60の電力消費量及びアルゴリズムA13を用いて推定された自宅500に設置された負荷の電力消費量を基に、二次電池61の充放電量及び自宅500に設置された二次電池40の充放電量が決定される。そして、アルゴリズムA1による決定に対する評価に応じて、アルゴリズムA1が更新される。そのため、本実施形態によれば、自宅500及び電気自動車60の双方に二次電池が備えられている場合においても、需要家50の受ける利益が可及的に高くなるように二次電池61の充放電量を決定できる。
【0071】
<変形例>
以上説明した実施形態では、コントローラ10とPCS20とが別の装置であったが、コントローラ10とPCS20とは一台の装置であってもよい。このような場合、例えば、PCS20がアルゴリズムA1の更新を行うとともに、更新されたアルゴリズムA1を用いて二次電池61の充放電量及び二次電池40の充放電量を決定すればよい。
【0072】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0073】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録すること
ができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0074】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリー、外付け型のハードディスクドライブやSolid State Drive(SSD)等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体として内蔵型のハードディスクドライブ、SSDやROM等がある。
【0075】
(付記1)
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家(50)が保有する電気自動車(60)を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部(161)と、
前記記憶部(161)に記憶された前記組み合わせのいずれかを選択する選択部(12)と、
所定のアルゴリズム(A1)にしたがって、
前記選択部(12)によって選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車(60)の第1の電力消費量を推定し(131)、
前記選択部によって選択された前記環境条件を基に、前記需要家(50)が保有する建物(500)に設置された負荷(52)の第2の電力消費量を推定し(132)、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車(60)の蓄電池(61)の充放電量を決定し(133)、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出する(134)、算出部(13)と、
前記選択部(12)によって選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズム(A1)を更新する更新部(14)と、を備える、
情報処理装置(10)。
(付記2)
前記更新部(14)は、前記建物(500)に設置された蓄電池(40)の充放電量をさらに決定する、
付記1に記載の情報処理装置(10)。
(付記3)
前記環境条件は、前記電気自動車を走行させる日にち、曜日、時間帯及び気象のうちの少なくとも一つを含む、
付記1または2に記載の情報処理装置(10)。
(付記4)
前記更新部(14)によって更新された前記所定のアルゴリズム(A1)を前記電気自動車(60)の蓄電池(61)の充放電を制御する制御装置(20)に配信する配信部(17)をさらに備える、
付記1から3のいずれかひとつに記載の情報処理装置(10)。
(付記5)
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家が保有する電気自動車(60)を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記
憶部(161)を参照して、前記組み合わせのいずれかを選択し、
所定のアルゴリズム(A1)にしたがって、
選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車(60)の第1の電力消費量を推定し、
選択された前記環境条件を基に、前記需要家(50)が保有する建物(500)に設置された負荷(52)の第2の電力消費量を推定し、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車(60)の蓄電池(61)の充放電量を決定し、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出し、
選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズムを更新する、処理をコンピュータ(10)が実行する、
情報処理方法。
(付記6)
環境条件及び目的地の組み合わせと、前記組み合わせの条件下で需要家(50)が保有する電気自動車(60)を走行させたときにおける電力消費量の実績値とを対応付けて記憶する記憶部(161)を参照して、前記組み合わせのいずれかを選択し、
所定のアルゴリズム(A1)にしたがって、
選択された前記組み合わせを基に、前記電気自動車(60)の第1の電力消費量を推定し、
選択された前記環境条件を基に、前記需要家(50)が保有する建物(500)に設置された負荷(52)の第2の電力消費量を推定し、
前記第1の電力消費量と前記第2の電力消費量を基に、前記電気自動車(60)の蓄電池(61)の充放電量を決定し、
電気料金テーブルを参照して、決定された前記充放電量の電力を売買することで得られる利益を算出し、
選択された前記組み合わせに対応する前記電力消費量の前記実績値と前記第1の電力消費量の差と、算出した前記利益と、に応じて、前記所定のアルゴリズム(A1)を更新する、処理をコンピュータ(10)に実行させる、
情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0076】
1・・電力システム
10・・コントローラ
11・・実績取得部
12・・選択部
13・・算出部
14・・更新部
15・・アルゴリズム格納部
16・・管理データベース
17・・配信部
20・・PCS
30・・太陽光発電パネル
40・・二次電池
50・・需要家
51・・電力計
52・・照明
60・・電気自動車
61・・二次電池
62・・カーナビゲーションシステム
101・・CPU
102・・主記憶部
103・・補助記憶部
104・・通信部
131・・第1推定部
132・・第2推定部
133・・決定部
134・・利益算出部
161・・実走行情報管理テーブル
500・・自宅
600・・電力系統
601・・サーバ
A1・・アルゴリズム
L1・・電線
L2・・電線
L3・・電線
L4・・電線
N1・・ネットワーク
N2・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9