(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127445
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/205 20060101AFI20240912BHJP
H01P 1/202 20060101ALI20240912BHJP
H01P 7/04 20060101ALI20240912BHJP
H01P 3/12 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01P1/205 C
H01P1/202
H01P7/04
H01P3/12 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036605
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000201777
【氏名又は名称】双信電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 瞬
(72)【発明者】
【氏名】今井 嘉治
(72)【発明者】
【氏名】相澤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】河野 真秀
(72)【発明者】
【氏名】小坂 一馬
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 良輔
【テーマコード(参考)】
5J006
5J014
【Fターム(参考)】
5J006HA04
5J006HA11
5J006HA23
5J006LA02
5J006NB10
5J006NC02
5J006NC03
5J014DA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Q値の良好なフィルタを提供する。
【解決手段】本開示に係るフィルタ10は、キャパシタ電極18、19Cが形成されている層とは異なる層に形成され、共振器11に接続されておらず、第1遮蔽導体12Aに対面している結合容量電極17を備え、前記結合容量電極の一部が前記第1遮蔽導体と第1キャパシタ電極18Aとの間に位置するとともに、前記結合容量電極の他の一部が前記第1遮蔽導体と第2キャパシタ電極18Bとの間に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面とを有する誘電体基板と、
前記誘電体基板のうちの前記第1主面側に形成された第1遮蔽導体と、
前記誘電体基板のうちの前記第2主面側に形成された第2遮蔽導体と、
前記第1遮蔽導体と前記第2遮蔽導体との間に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部に接続されたキャパシタ電極とをそれぞれ備える複数の共振器と、
前記キャパシタ電極が形成されている層とは異なる層に形成されているとともに、複数の前記共振器のいずれにも接続されておらず、且つ、前記第1遮蔽導体に対面している結合容量電極と、
を備え、
複数の前記共振器のうちの第1共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第1ビア電極部と、前記第1ビア電極部の端部に接続された前記キャパシタ電極である第1キャパシタ電極とを備え、
複数の前記共振器のうちの第2共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第2ビア電極部と、前記第2ビア電極部の端部に接続されるとともに、前記第1キャパシタ電極と同じ層に形成されている前記キャパシタ電極である第2キャパシタ電極とを備え、
前記結合容量電極の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間に位置し、前記結合容量電極の他の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置する、フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタにおいて、
複数の前記共振器のうちの第3共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第3ビア電極部と、前記第3ビア電極部の端部に接続された前記キャパシタ電極である第3キャパシタ電極とを備え、
複数の前記結合容量電極のうちの第1結合容量電極の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間に位置し、前記第1結合容量電極の他の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置し、
複数の前記結合容量電極のうちの第2結合容量電極の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置し、前記第2結合容量電極の他の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第3キャパシタ電極との間に位置する、フィルタ。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタであって、
前記第1ビア電極部に接続された第1結合容量パターンと、
前記第2ビア電極部に接続されているとともに、前記第1結合容量パターンと同じ層に形成され、前記第1結合容量パターンと容量結合する第2結合容量パターンと、
をさらに備える、フィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタであって、
前記第1結合容量パターンと前記第1キャパシタ電極との間の距離である第1距離は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間の距離である第2距離の2倍以下である、フィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタであって、
前記第1距離は、前記第2距離以下である、フィルタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルタであって、
前記第1遮蔽導体と前記第2遮蔽導体との間に形成された第3遮蔽導体をさらに備え、
前記キャパシタ電極が形成されている層は、前記第3遮蔽導体が形成されている層と、前記結合容量電極が形成されている層との間に位置しており、
前記キャパシタ電極の一部は、前記第3遮蔽導体の一部と対面している、フィルタ。
【請求項7】
請求項1に記載のフィルタにおいて、
複数の前記共振器のうちの第3共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第3ビア電極部と、前記第3ビア電極部に接続されるとともに、前記第2キャパシタ電極とは異なる層に形成されている前記キャパシタ電極である第3キャパシタ電極とを備え、
前記第3ビア電極部に接続されるとともに前記第2キャパシタ電極と容量結合する第3結合容量パターンをさらに備える、フィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルタにおいて、
前記第2ビア電極部に接続されているとともに、前記第3キャパシタ電極と同じ層に形成され、前記第3キャパシタ電極と容量結合する第2結合容量パターンと、
前記第1ビア電極部に接続されているとともに、前記第2結合容量パターンと同じ層に形成され、前記第2結合容量パターンと容量結合する第1結合容量パターンとをさらに備える、フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体基板の一方の主面側に形成された遮蔽導体に対面するストリップ線路と、一端が誘電体基板の他方の主面側に形成された遮蔽導体に接続され、他端がストリップ線路に接続されたビア電極とを有する共振器が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より良好なフィルタ特性を実現する技術が待望されている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面とを有する誘電体基板と、前記誘電体基板のうちの前記第1主面側に形成された第1遮蔽電極と、前記誘電体基板のうちの前記第2主面側に形成された第2遮蔽電極と、前記第1遮蔽導体と前記第2遮蔽導体との間に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部に接続されたキャパシタ電極とをそれぞれ備える複数の共振器と、前記キャパシタ電極が形成されている層とは異なる層に形成されているとともに、複数の前記共振器のいずれにも接続されておらず、且つ、前記第1遮蔽導体に対面している結合容量電極と、を備え、複数の前記共振器のうちの第1共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第1ビア電極部と、前記第1ビア電極部の端部に接続された前記キャパシタ電極である第1キャパシタ電極とを備え、複数の前記共振器のうちの第2共振器は、複数の前記ビア電極部のうちの第2ビア電極部と、前記第2ビア電極部の端部に接続されるとともに、前記第1キャパシタ電極と同じ層に形成されている前記キャパシタ電極である第2キャパシタ電極とを備え、前記結合容量電極の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間に位置し、前記結合容量電極の他の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置する、フィルタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、Q値(Quality factor)の良好なフィルタを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るフィルタの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係るフィルタの一部を示す断面図である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図22】
図22は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図23】
図23は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図24】
図24は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図25】
図25は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図26】
図26は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図27】
図27は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図28】
図28は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【
図29】
図29は、第2の実施形態に係るフィルタを示す斜視図である。
【
図30】
図30は、第2の実施形態に係るフィルタを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図3は、第1の実施形態に係るフィルタ10の一部を示す断面図である。
図2のIII-III線断面の一部が、
図3には示されている。
図4は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図6は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図7は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図8は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図9は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図10は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図11は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図12は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図13は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図14は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図15は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図16は、第1の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。簡略化を図るべく、
図1~
図16においては、一部の構成要素が適宜省略されている。
【0010】
フィルタ10は、誘電体基板14を備える。誘電体基板14は直方体状に形成されているが、これに限定されない。図示は省略するが、誘電体基板14には、積層された複数のセラミックスシートが備えられている。これにより、誘電体基板14は、複数のセラミックスシートにより形成される複数の層を有する。セラミックスシートは、例えばシート状の誘電体セラミックスである。
【0011】
誘電体基板14は、第1主面14aと、第2主面14bと、4つの側面14c~14fとを有する。第1主面14aと第2主面14bとの各々は、
図1に示すX方向とY方向とに延在する。第1主面14aから第2主面14bに向かう方向が、
図1に示すZ方向に合致する。
【0012】
なお、便宜を図るべく、以下の説明において、X方向の反対方向は-X方向とも称される。同様の理由により、Y方向の反対方向は、以下の説明において-Y方向とも称される。同様の理由により、Z方向の反対方向は、以下の説明において-Z方向とも称される。
【0013】
4つの側面14c~14fは、第1主面14aと第2主面14bとの間に位置する。側面14cから側面14dに向かう方向が、X方向に合致する。側面14eから側面14fに向かう方向が、Y方向に合致する。
【0014】
誘電体基板14は、第1遮蔽導体12Aと、第2遮蔽導体12Bと、第3遮蔽導体12Cと、第4遮蔽導体12Dと、第5遮蔽導体12Eと、2つの入出力端子22(22A、22B)とを備える。第3遮蔽導体12Cの説明は後述する。なお、個々の遮蔽導体(12A~12E)を区別せずに説明する際には、符号12を用い、個々の遮蔽導体を区別して説明する際には、符号12A~12Eを用いる。
【0015】
第1遮蔽導体12Aと第2遮蔽導体12Bとは、第1主面14aと第2主面14bとの間に位置する。第2遮蔽導体12Bは、第1遮蔽導体12Aに対してZ方向に位置する。第1遮蔽導体12Aと第2遮蔽導体12Bとの間には、後述する共振器11、結合容量電極17等が配される。
【0016】
第1遮蔽導体12Aと第2遮蔽導体12Bとは、複数の電極12e~12hを介して、互いに接続されている。複数の電極12e~12hは、Z方向に延在する。なお、第1遮蔽導体12Aと、第2遮蔽導体12Bと、複数の電極12e~12hとは、同じ導体材料を用いて形成され得る。
【0017】
第4遮蔽導体12Dは、X方向とZ方向とに沿って、側面14eに形成されている。第5遮蔽導体12Eは、X方向とZ方向とに沿って、側面14fに形成されている。
【0018】
第4遮蔽導体12Dと第5遮蔽導体12Eとの各々は、第1遮蔽導体12Aと第2遮蔽導体12Bとに接続されている。
【0019】
2つの入出力端子22のうちの一方である第1入出力端子22Aは、側面14cに形成されている。2つの入出力端子22のうちの他方である第2入出力端子22Bは、側面14dに形成されている。第1入出力端子22Aの中心のY方向における位置は、
図2等に示す中心CのY方向における位置と合致し得るが、これに限定されない。同様に、第2入出力端子22Bの中心のY方向における位置は、中心CのY方向における位置と合致し得るが、これに限定されない。なお、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0020】
誘電体基板14は、複数の共振器11(11A~11E)を備える。複数の共振器11の各々は構造体16を含む。換言すれば、誘電体基板14には、複数の構造体16(16A~16E)が備えられている。
【0021】
複数の構造体16の各々は、ビア電極部20とキャパシタ電極18とを備える。換言すれば、誘電体基板14には、複数のビア電極部20(A~E)と、複数のキャパシタ電極18(A~E)とが備えられている。
【0022】
ビア電極部20Bは、ビア電極部20Aに対してY方向に位置する。ビア電極部20Cは、ビア電極部20Aとビア電極部20Bとに対してX方向に位置する。ビア電極部20Dとビア電極部20Eとは、ビア電極部20Cに対してX方向に位置する。ビア電極部20Eは、ビア電極部20Dに対してY方向に位置する。
【0023】
好ましくは、ビア電極部20Cの中心は、平面視において誘電体基板14の中心Cと合致する。また、好ましくは、ビア電極部20Aの中心CAのX方向における位置から中心CのX方向における位置までの距離と、ビア電極部20Eの中心CEのX方向における位置から中心CのX方向における位置までの距離とは、等しい。さらに、好ましくは、ビア電極部20Bの中心CBのX方向における位置から中心CのX方向における位置までの距離と、ビア電極部20Dの中心CDのX方向における位置から中心CのX方向における位置までの距離とは、等しい。
【0024】
中心CのY方向における位置は、ビア電極部20Aの中心CAのY方向における位置と、ビア電極部20Eの中心CEのY方向における位置との間である(
図2も参照)。好ましくは、中心CAのY方向における位置から中心CのY方向における位置までの距離と、中心CEのY方向における位置から中心CのY方向における位置までの距離とは、等しい。
【0025】
このようにすれば、ビア電極部20Aの中心CAは、ビア電極部20Cの中心(C)に対してX方向にずれているのみならず、中心Cに対してY方向にもずれる。これにより、ビア電極部20AのX方向における位置と、ビア電極部20CのX方向における位置とを離すことなしに、ビア電極部20Aからビア電極部20Cまでの距離を大きくすることができる。同様に、ビア電極部20Eの中心CEは、中心Cに対してX方向にずれているのみならず、中心Cに対してY方向にもずれる。これにより、ビア電極部20EのX方向における位置と、ビア電極部20CのX方向における位置とを離すことなしに、ビア電極部20Eからビア電極部20Cまでの距離を大きくすることができる。このように、ビア電極部20Aとビア電極部20Eとの各々をビア電極部20Cに対してX方向に大きく離す必要がないので、誘電体基板14のX方向における寸法を抑制することができる。
【0026】
ビア電極部20Cの中心CのY方向における位置は、ビア電極部20Bの中心CBのY方向における位置と、ビア電極部20Dの中心CDのY方向における位置との間である(
図2も参照)。好ましくは、中心CBのY方向における位置から中心CのY方向における位置までの距離と、中心CDのY方向における位置から中心CのY方向における位置までの距離とは、等しい。
【0027】
このようにすれば、ビア電極部20Bの中心CBは、ビア電極部20Cの中心(C)に対してX方向にずれているのみならず、中心Cに対してY方向にもずれる。これにより、ビア電極部20BのX方向における位置と、ビア電極部20CのX方向における位置とを離すことなしに、ビア電極部20Bからビア電極部20Cまでの距離を大きくすることができる。同様に、ビア電極部20Dの中心CDは、中心Cに対してX方向にずれているのみならず、中心Cに対してY方向にもずれる。これにより、ビア電極部20DのX方向における位置と、ビア電極部20CのX方向における位置とを離すことなしに、ビア電極部20Dからビア電極部20Cまでの距離を大きくすることができる。このように、ビア電極部20Bとビア電極部20Dとの各々をビア電極部20Cに対してX方向に大きく離す必要がないので、誘電体基板14のX方向における寸法を抑制することができる。
【0028】
ビア電極部20Aの中心CAのY方向における位置と、ビア電極部20Dの中心CDのY方向における位置とは、例えば等しいが、これに限定されない。同様に、ビア電極部20Bの中心CBのY方向における位置と、ビア電極部20Eの中心CEのY方向における位置とは、例えば等しいが、これに限定されない。
【0029】
また、中心CAのX方向における位置から第1入出力端子22AのX方向における位置までの距離は、中心CBのX方向における位置から第1入出力端子22AのX方向における位置までの距離より小さいが、これに限定されない。中心CAのY方向における位置から第1入出力端子22AのY方向における位置までの距離と、中心CBのY方向における位置から第1入出力端子22AのY方向における位置までの距離とは、例えば等しいが、これに限定されない。
【0030】
さらに、中心CDのX方向における位置から第2入出力端子22BのX方向における位置までの距離は、中心CEのX方向における位置から第2入出力端子22BのX方向における位置までの距離より大きいが、これに限定されない。中心CDのY方向における位置から第2入出力端子22BのY方向における位置までの距離と、中心CEのY方向における位置から第2入出力端子22BのY方向における位置までの距離とは、例えば等しいが、これに限定されない。
【0031】
複数のビア電極部20の各々は、複数のビア電極24からなる。複数のビア電極24の各々は、誘電体基板14内に形成されたビアホールに埋め込まれている。図示は省略するが、ビアホールはZ方向に沿って形成されている。
【0032】
同一のビア電極部20を構成する複数のビア電極24は、平面視において仮想円26に沿って配列されている(
図2も参照)。これにより、複数のビア電極部20の各々は、円柱状に形成された単一の電極のように振る舞い得る。複数のビア電極24の各々は比較的に小径である。そのため、仮想円26と同径の円柱状ビア電極を形成する場合と比較して、上述したビアホールに埋め込む材料の量を抑制することが可能である。また、フィルタ10の製造プロセスの簡略化を図ることが可能である。
【0033】
上述した複数のビア電極24の各々は、Z方向の一端(上端部)と、-Z方向の他端(下端部)とを有する。上端部は、第2遮蔽導体12Bと接続され得る。下端部は、上述したキャパシタ電極18と接続される。
【0034】
キャパシタ電極18は、誘電体基板14内に形成されるストリップ線路である。上述したように、誘電体基板14内には複数のキャパシタ電極18(18A~18E)が備えられる。複数のキャパシタ電極18は、互いに同じ層に形成されている。換言すれば、複数のキャパシタ電極18は、同一のセラミックスシート上に形成されている。キャパシタ電極18と第1遮蔽導体12Aとの間には、一以上のセラミックスシートが存在する。また、キャパシタ電極18と第2遮蔽導体12Bとの間にも、一以上のセラミックスシートが存在する。
【0035】
なお、キャパシタ電極18が形成されている層には、電極パターン18fと電極パターン18gとがさらに形成されている。電極パターン18gは電極パターン18fに対してY方向に位置する。電極パターン18fは第4遮蔽導体12Dに接続されている。電極パターン18fは第5遮蔽導体12Eに接続されている。電極パターン18fと電極パターン18gとの間に複数のキャパシタ電極18が位置している。
【0036】
複数のキャパシタ電極18は、互いに異なるビア電極部20の下端部と接続される。キャパシタ電極18Aがビア電極部20Aの下端部と接続される。キャパシタ電極18Bがビア電極部20Bの下端部と接続される。キャパシタ電極18Cがビア電極部20Cの下端部と接続される。キャパシタ電極18Dがビア電極部20Dの下端部と接続される。キャパシタ電極18Eがビア電極部20Eの下端部と接続される。
【0037】
好ましくは、複数のキャパシタ電極18は、中心Cを対称の中心として点対称に形成される。より具体的には、キャパシタ電極18Aとキャパシタ電極18Eとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。また、キャパシタ電極18Bとキャパシタ電極18Dとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。さらに、キャパシタ電極18Cの中心が、中心Cと合致する。キャパシタ電極18Cの形状は、中心Cを対称の中心として点対称であることが好ましい。複数のキャパシタ電極18が点対称に形成されることで、良好な周波数特定を得ることができる。上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0038】
図5、
図6に示すように、誘電体基板14は、複数の結合容量電極17(17AB、17AC、17BC、17DC、17EC、17ED)をさらに備える。
【0039】
複数の結合容量電極17の各々は、誘電体基板14内に形成される電極(平板電極)である。複数の結合容量電極17は、互いに同じ層に形成されている。換言すれば、複数の結合容量電極17は、同一のセラミックスシート上に形成されている。
【0040】
複数の結合容量電極17は、キャパシタ電極18が形成されている層とは異なる層に形成されている。より具体的には、複数の結合容量電極17が形成されている層は、第1遮蔽導体12Aが形成されている層と、複数のキャパシタ電極18が形成されている層との間に位置する(
図3も参照)。結合容量電極17とキャパシタ電極18との間には、一以上のセラミックスシートが存在する。複数の結合容量電極17は、複数の共振器11のいずれにも接続されておらず、第1遮蔽導体12Aに対面している。
【0041】
結合容量電極17ABは、部分パターン17AB1と、部分パターン17AB2とを含む。部分パターン17AB1と部分パターン17AB2とは互いに接続されている。部分パターン17AB1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Aの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17AB2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Bの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0042】
キャパシタ電極18Aと結合容量電極17ABとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Bと結合容量電極17ABとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21AB)が形成される。
【0043】
図6に示すように、結合容量電極17ACは、部分パターン17AC1と、部分パターン17AC2とを含む。部分パターン17AC1と部分パターン17AC2とは互いに接続されている。部分パターン17AC1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Aの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17AC2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Cの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0044】
キャパシタ電極18Aと結合容量電極17ACとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Cと結合容量電極17ACとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21AC)が形成される。
【0045】
図6に示すように、結合容量電極17BCは、部分パターン17BC1と、部分パターン17BC2とを含む。部分パターン17BC1と部分パターン17BC2とは互いに接続されている。部分パターン17BC1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Bの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17BC2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Cの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0046】
キャパシタ電極18Bと結合容量電極17BCとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Cと結合容量電極17BCとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21BC)が形成される。
【0047】
図6に示すように、結合容量電極17DCは、部分パターン17DC1と、部分パターン17DC2とを含む。部分パターン17DC1と部分パターン17DC2とは互いに接続されている。部分パターン17DC1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Dの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17DC2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Cの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0048】
キャパシタ電極18Dと結合容量電極17DCとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Cと結合容量電極17DCとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21DC)が形成される。
【0049】
図6に示すように、結合容量電極17ECは、部分パターン17EC1と、部分パターン17EC2とを含む。部分パターン17EC1と部分パターン17EC2とは互いに接続されている。部分パターン17EC1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Eの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17EC2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Cの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0050】
キャパシタ電極18Eと結合容量電極17ECとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Cと結合容量電極17ECとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21EC)が形成される。
【0051】
図6に示すように、結合容量電極17EDは、部分パターン17ED1と、部分パターン17ED2とを含む。部分パターン17ED1と部分パターン17ED2とは互いに接続されている。部分パターン17ED1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Eの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17ED2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Dの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0052】
キャパシタ電極18Eと結合容量電極17EDとが容量結合するとともに、キャパシタ電極18Dと結合容量電極17EDとが容量結合する。これにより、容量結合構造21(21ED)が形成される。
【0053】
このように、本実施形態によれば、キャパシタ電極18が形成されている層と、第1遮蔽導体12Aが形成されている層との間に、結合容量電極17が位置する。そのため、本実施形態によれば、結合容量電極17とキャパシタ電極18との間のZ方向における距離を、充分に小さく設定することが可能である。したがって、本実施形態によれば、良好なQ値を得ることができる。
【0054】
なお、複数の結合容量電極17は、中心Cを対称の中心として点対称に形成されることが好ましい。より具体的には、結合容量電極17ABと結合容量電極17EDとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。また、結合容量電極17ACと結合容量電極17ECとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。さらに、結合容量電極17BCと結合容量電極17DCとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。これらの結合容量電極17が点対称に形成されることで、より良好な周波数特定を得ることができる。上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0055】
上述したように、誘電体基板14には、第3遮蔽導体12Cが備えられている。第3遮蔽導体12Cが形成されている層は、キャパシタ電極18が形成されている層に対してZ方向に位置している(
図7、
図8も参照)。換言すれば、キャパシタ電極18が形成されている層は、第3遮蔽導体12Cが形成されている層と、結合容量電極17が形成されている層との間に位置している。第3遮蔽導体12Cは、いずれのビア電極部20にも接続されない。
【0056】
第3遮蔽導体12Cは、第4遮蔽導体12Dと、第5遮蔽導体12Eとを介して、第1遮蔽導体12Aに電気的に接続されている。第3遮蔽導体12Cの電位と、第1遮蔽導体12Aとの電位とは等しい。
【0057】
図8に示すように、複数のキャパシタ電極18のうちの少なくとも一部(重なり部23)は、第3遮蔽導体12Cと対面している。より具体的には、キャパシタ電極18Aの少なくとも一部は、第3遮蔽導体12Cと対面している。キャパシタ電極18Bの少なくとも一部は、第3遮蔽導体12Cと対面している。キャパシタ電極18Dの少なくとも一部は、第3遮蔽導体12Cと対面している。キャパシタ電極18Eの少なくとも一部は、第3遮蔽導体12Cと対面している。キャパシタ電極18Cは第3遮蔽導体12Cと対面していないが、対面してもよい。
【0058】
本実施形態では、キャパシタ電極18と第1遮蔽導体12Aとの間に結合容量電極17が位置する。そのため、結合容量電極17により隔てられることなくキャパシタ電極18と第1遮蔽導体12Aとが、向かい合う部分の面積は小さくなる。しかしながら、本実施形態では、平面視においてキャパシタ電極18の一部と重なり合う第3遮蔽導体12Cが備えられている。第3遮蔽導体12Cは、第4遮蔽導体12D及び第5遮蔽導体12Eを介して第1遮蔽導体12Aに電気的に接続されている。このため、本実施形態によれば、キャパシタ電極18と遮蔽導体12との間の静電容量を充分に確保することができる。
【0059】
図9、
図10に示すように、誘電体基板14は、複数の結合容量パターン72(72A~72E)をさらに備える。
【0060】
複数の結合容量パターン72の各々は導体パターンである。複数の結合容量パターン72は、互いに同じ層に形成されている。換言すれば、複数の結合容量パターン72は、同一のセラミックスシート上に形成されている。複数の結合容量パターン72が形成されている層は、第3遮蔽導体12Cが形成されている層に対してZ方向に位置している(
図3も参照)。結合容量パターン72と第3遮蔽導体12Cとの間には、一以上のセラミックスシートが存在する。
【0061】
複数の結合容量パターン72は、互いに異なるビア電極部20と接続される。結合容量パターン72Aがビア電極部20Aと接続される。結合容量パターン72Bがビア電極部20Bと接続される。結合容量パターン72Cがビア電極部20Cと接続される。結合容量パターン72Dがビア電極部20Dと接続される。結合容量パターン72Eがビア電極部20Eと接続される。
【0062】
互いに隣り合う結合容量パターン72は、容量結合する。互いに隣り合う結合容量パターン72は、容量結合構造71を形成する。換言すれば、複数の結合容量パターン72によって、複数の容量結合構造71(71AB、71AC、71BC、71DC、71EC、71ED)が形成される。より具体的には、結合容量パターン72Aと結合容量パターン72Bとが、容量結合構造71ABを形成する。結合容量パターン72Aと結合容量パターン72Cとが、容量結合構造71ACを形成する。結合容量パターン72Bと結合容量パターン72Cとが、容量結合構造71BCを形成する。結合容量パターン72Dと結合容量パターン72Cとが、容量結合構造71DCを形成する。結合容量パターン72Eと結合容量パターン72Cとが、容量結合構造71ECを形成する。結合容量パターン72Eと結合容量パターン72Dとが、容量結合構造71EDを形成する。
【0063】
これらの結合容量パターン72は、中心Cを対称の中心として点対称に形成されることが好ましい。より具体的には、結合容量パターン72Aと結合容量パターン72Eとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。また、結合容量パターン72Bと結合容量パターン72Dとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。さらに、結合容量パターン72Cの中心が、中心Cと合致する。結合容量パターン72Cの形状は、中心Cを対称の中心として点対称であることが好ましい。複数の結合容量パターン72が点対称に配されることで、良好な周波数特定を得ることができる。上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0064】
また、以下の説明において、結合容量パターン72とキャパシタ電極18との間のZ方向における距離は、第1距離D1とも称される(
図3も参照)。第1遮蔽導体12Aとキャパシタ電極18と間のZ方向における距離は、第2距離D2とも称される。好ましくは、第1距離D1は、第2距離D2の2倍以下である。より好ましくは、第1距離D1は第2距離D2以下である。結合容量パターン72とキャパシタ電極18との間の距離を比較的小さく設定することで、良好なQ値を得ることが可能である。
【0065】
図11、
図12に示すように、誘電体基板14は、複数の結合容量パターン74(74A、74B、74D、74E)をさらに備える。
【0066】
複数の結合容量パターン74の各々は導体パターンである。複数の結合容量パターン74は、互いに同じ層に形成されている。換言すれば、複数の結合容量パターン74は、同一のセラミックスシート上に形成されている。結合容量パターン74が形成されている層は、結合容量パターン72が形成されている層に対してZ方向に位置している(
図3も参照)。結合容量パターン74と、結合容量パターン72との間には、一以上のセラミックスシートが存在する。
【0067】
結合容量パターン74Bと結合容量パターン74Dとは、いずれのビア電極部20にも接続されない。これに対し、結合容量パターン74Aは、ビア電極部20Aと接続される。また、結合容量パターン74Eは、ビア電極部20Eと接続される。
【0068】
隣り合う結合容量パターン74は、容量結合して、容量結合構造73を形成する。換言すれば、複数の結合容量パターン74によって、複数の容量結合構造73(73AB、73BE、73DA、73ED)が形成される。より具体的には、結合容量パターン74Aと結合容量パターン74Bとが、容量結合構造73ABを形成する。結合容量パターン74Bと結合容量パターン74Eとが、容量結合構造73BEを形成する。結合容量パターン74Dと結合容量パターン74Aとが、容量結合構造73DAを形成する。結合容量パターン74Eと結合容量パターン74Dとが、容量結合構造73EDを形成する。
【0069】
また、好ましくは、複数の結合容量パターン74は、中心Cを対称の中心として点対称に形成される。より具体的には、結合容量パターン74Aと結合容量パターン74Eとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。また、結合容量パターン74Bと結合容量パターン74Dとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。複数の結合容量パターン74が点対称に配されることで、良好な周波数特定を得ることができる。上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0070】
図13、
図14に示すように、誘電体基板14は、2つの入出力パターン80(80A、80B)をさらに備える。
【0071】
2つの入出力パターン80の各々は導体パターンである。2つの入出力パターン80は、互いに同じ層に形成されている。換言すれば、2つの入出力パターン80は、同一のセラミックスシート上に形成されている。
【0072】
入出力パターン80Aは、上述した第1入出力端子22Aと、ビア電極部20Aとを接続する。これに対し、入出力パターン80Bは、上述した第2入出力端子22Bと、ビア電極部20Eとを接続する。
【0073】
2つの入出力パターン80が形成されている層は、結合容量パターン74が形成されている層に対してZ方向に位置している。入出力パターン80と結合容量パターン74との間には、一以上のセラミックスシートが存在する。2つの入出力パターン80のZ方向における位置を適宜設定することにより、外部Qを適宜調整することが可能である。
【0074】
図15、
図16に示すように、誘電体基板14は、結合容量パターン76をさらに備える。
【0075】
結合容量パターン76は、誘電体基板14内に形成される導電パターンである。結合容量パターン76が形成されている層は、2つの入出力パターン80が形成されている層に対してZ方向に位置している。結合容量パターン76は、ビア電極部20Bとビア電極部20Dとに接続されている。
【0076】
好ましくは、結合容量パターン76は、中心Cを対称の中心として点対称に形成される。結合容量パターン76が点対称に形成されることで、良好な周波数特定を得ることができる。上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0077】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と重複する説明は適宜割愛する。また、第1の実施形態において説明した構成と同一の構成については同一の符号を付す。
【0078】
図17は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図18は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図19は、第2の実施形態に係るフィルタ10の一部を示す断面図である。
図18のXIX-XIX線断面の一部が、
図19には示されている。
図20は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図21は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図22は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図23は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図24は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図25は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図26は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図27は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図28は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。
図29は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す斜視図である。
図30は、第2の実施形態に係るフィルタ10を示す平面図である。簡略化を図るべく、
図17~
図30においては、一部の構成要素が適宜省略されている。
【0079】
図17~
図21に示すように、フィルタ10は誘電体基板14を備える。誘電体基板14には、第1遮蔽導体12Aと、第2遮蔽導体12Bと、第4遮蔽導体12Dと、第5遮蔽導体12Eと、第1入出力端子22Aと、第2入出力端子22Bとが備えられる。また、誘電体基板14には、複数の電極12e~電極12fと、複数の共振器11(11A~11E)と、複数の結合容量電極17(17AB、17ED)と、複数の結合容量パターン72(72A、72B、72D、72E)とが備えられる。
【0080】
本実施形態では省略したが、誘電体基板14には第3遮蔽導体12C(第1の実施形態参照)がさらに備えられてもよい。
【0081】
複数の共振器11の各々は、ビア電極部20とキャパシタ電極18とを備える。換言すれば、誘電体基板14には、複数のビア電極部20(20A、20B、20C2、20D、20E)と、複数のキャパシタ電極18(18A、18B、18D、18E)と、キャパシタ電極19Cとが備えられている。
【0082】
複数のキャパシタ電極18は、互いに同じ層(セラミックスシート)に形成されている。複数の結合容量電極17が形成されている層は、キャパシタ電極18が形成されている層と、第1遮蔽導体12Aが形成されている層との間に位置している。なお、キャパシタ電極18が形成されている層には、電極パターン18fと電極パターン18gとがさらに形成されている。電極パターン18fは第4遮蔽導体12Dに接続されている。電極パターン18gは第5遮蔽導体12Eに接続されている。
【0083】
図22に示すように、結合容量電極17ABは、部分パターン17AB1と、部分パターン17AB2とを含む。部分パターン17AB1と部分パターン17AB2とは互いに接続されている。部分パターン17AB1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Aの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17AB2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Bの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0084】
結合容量電極17EDは、部分パターン17ED1と、部分パターン17ED2とを含む。部分パターン17ED1と部分パターン17ED2とは互いに接続されている。部分パターン17ED1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Eの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。部分パターン17ED2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Dの少なくとも一部とが、平面視において互いに重なる。
【0085】
キャパシタ電極19Cは、キャパシタ電極18が形成されている層とは異なる層に形成されている。より具体的には、キャパシタ電極19Cが形成されている層は、キャパシタ電極18が形成されている層に対してZ方向に位置している(
図19、
図23も参照)。
【0086】
図23、
図24に示すように、キャパシタ電極19Cは、例えば複数の結合容量パターン72と同じ層に形成される。キャパシタ電極19Cは、複数の結合容量パターン72と容量結合する。
【0087】
キャパシタ電極19Cは、ビア電極部20C2に接続される。なお、ビア電極部20C2の下端部には、後述する複数の結合容量パターン60が接続される。ビア電極部20C2のより詳しい説明は後述する。
【0088】
好ましくは、キャパシタ電極19Cは、中心Cを対称の中心として点対称に形成される。中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。キャパシタ電極19Cが点対称に形成されることで、良好な周波数特定を得ることができる。
【0089】
複数の結合容量パターン60(60AD、60EB)の各々は、誘電体基板14内に形成される導体パターンである。複数の結合容量パターン60が形成されている層は、キャパシタ電極18が形成されている層と、キャパシタ電極19Cが形成されている層との間に位置している(
図19も参照)。なお、結合容量パターン60EBは、結合容量パターン60ADに対してY方向に位置している(
図21、
図22も参照)。
【0090】
複数の結合容量パターン60のうちの一方である結合容量パターン60ADは、部分パターン60AD1と部分パターン60AD2とを含む。部分パターン60AD1と部分パターン60AD2とは互いに接続されている。
【0091】
部分パターン60AD1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Aの少なくとも一部とが、互いに対面する。これにより、キャパシタ電極18Aと結合容量パターン60ADとが容量結合する。また、部分パターン60AD2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Dの少なくとも一部とが、互いに対面する。これにより、キャパシタ電極18Dと結合容量パターン60ADとが容量結合する。
【0092】
複数の結合容量パターン60のうちの他方である結合容量パターン60EBは、部分パターン60EB1と部分パターン60EB2とを含む。部分パターン60EB1と部分パターン60EB2とは互いに接続されている。
【0093】
部分パターン60EB1の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Eの少なくとも一部とが、互いに対面する。これにより、キャパシタ電極18Eと結合容量パターン60EBとが容量結合する。また、部分パターン60EB2の少なくとも一部と、キャパシタ電極18Bの少なくとも一部とが、互いに対面する。これにより、キャパシタ電極18Bと結合容量パターン60EBとが容量結合する。
【0094】
なお、好ましくは、複数の結合容量パターン60は、中心Cを対称の中心として点対称に形成される。より具体的には、結合容量パターン60ADと結合容量パターン60EBとは、中心Cを対称の中心として点対称に形成されていることが好ましい。複数の結合容量パターン60が点対称に形成されることで、良好な周波数特定を得ることができる。なお、上述したように、中心Cは、平面視における誘電体基板14の中心である。
【0095】
ビア電極部20C2は、Z方向に沿って形成された不図示のビアホールに形成されている。ビア電極部20C2は、第1部分電極部20Caと第2部分電極部20Cbとを有する。
【0096】
第2部分電極部20Cbは、第1部分電極部20Caに対してY方向に位置する。これにより、第1部分電極部20Caから第4遮蔽導体12Dまでの距離が短くなるとともに、第2部分電極部20Cbから第5遮蔽導体12Eまでの距離が短くなる。その結果、第1部分電極部20Caと第4遮蔽導体12Dとの結合容量を増加させるとともに、第2部分電極部20Cbと第5遮蔽導体12Eとの結合容量を増加させることができる。
【0097】
第1部分電極部20Caの-Z方向の端部(下端部)は、上述した結合容量パターン60ADと接続されている(
図21、
図22も参照)。第2部分電極部20Cbの-Z方向の端部(下端部)は、上述した結合容量パターン60EBと接続されている。なお、第1部分電極部20CaのZ方向の端部(上端部)と、第2部分電極部20CbのZ方向の端部(上端部)とは、第2遮蔽導体12Bと接続され得る(
図19も参照)。
【0098】
第1部分電極部20Caと第2部分電極部20Cbとの各々は、複数のビア電極24からなる。
図24に示すように、第1部分電極部20Caを構成する複数のビア電極24は、仮想円弧27aに沿って配列されている。これに対し、第2部分電極部20Cbを構成する複数のビア電極24は、仮想円弧27bに沿って配列されている。仮想円弧27aの曲率と、仮想円弧27bの曲率とは、例えば第1の実施形態で説明した仮想円26の曲率と等しいが、これに限定されない。第1部分電極部20Caと第2部分電極部20Cbとは、平面視における誘電体基板14の中心Cを対称の中心として点対称に形成されるが、これに限定されない。他のビア電極部20A、ビア電極部20B等と同様に、仮想円26に沿って配列される複数のビア電極24によって、ビア電極部20C2が形成されてもよい。
【0099】
図25~
図30に示すように、誘電体基板14は、複数の結合容量パターン74(74A、74B、74D、74E)と、2つの入出力パターン80(80A、80B)と、結合容量パターン76とをさらに備える。結合容量パターン74が形成されている層は、結合容量パターン60が形成されている層に対してZ方向に位置している(
図19も参照)。入出力パターン80が形成されている層は、結合容量パターン74が形成されている層に対してZ方向に位置している。結合容量パターン76が形成されている層は、入出力パターン80が形成されている層に対してZ方向に位置している。
【0100】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、キャパシタ電極18が形成されている層と、第1遮蔽導体12Aが形成されている層との間に、結合容量電極17が位置する。そのため、本実施形態によれば、結合容量電極17とキャパシタ電極18との間のZ方向における距離を、充分に小さく設定することが可能である。したがって、本実施形態によれば、良好なQ値を得ることができる。
【0101】
また、結合容量パターン72が形成されている層と、キャパシタ電極18が形成されている層との距離を短く設定することで、良好なQ値を得ることができる。その点、本実施形態によれば、結合容量電極17が形成されている層は、キャパシタ電極18が形成されている層と、第1遮蔽導体12Aが形成されている層との間に位置している。したがって、結合容量パターン72が形成されている層と、キャパシタ電極18Aが形成されている層との距離を短く設定することを、結合容量電極17は阻害しない。
【0102】
さらに、キャパシタ電極19Cが形成されている層と、キャパシタ電極18が形成されている層との距離を短く設定することで、良好なQ値を得ることができる。その点、本実施形態によれば、結合容量パターン72が形成されている層に、キャパシタ電極19Cがさらに形成されている。上述したように、結合容量パターン72が形成されている層と、キャパシタ電極18が形成されている層との距離を短く設定することを、結合容量電極17は阻害しない。したがって、本実施形態によれば、より良好なQ値を得ることが可能である。
【0103】
上記実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0104】
(付記1)
本開示に係るフィルタ(10)は、第1主面(14a)と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面(14b)とを有する誘電体基板(14)と、前記誘電体基板のうちの前記第1主面側に形成された第1遮蔽導体(12A)と、前記誘電体基板のうちの前記第2主面側に形成された第2遮蔽導体(12B)と、前記第1遮蔽導体と前記第2遮蔽導体との間に形成されたビア電極部(20)と、前記ビア電極部に接続されたキャパシタ電極(18、19C)とをそれぞれ備える複数の共振器(11)と、前記キャパシタ電極が形成されている層とは異なる層に形成されているとともに、複数の前記共振器のいずれにも接続されておらず、且つ、前記第1遮蔽導体に対面している結合容量電極(17)と、を備え、複数の前記共振器のうちの第1共振器(11A)は、複数の前記ビア電極部のうちの第1ビア電極部(20A)と、前記第1ビア電極部の端部に接続された前記キャパシタ電極である第1キャパシタ電極(18A)とを備え、複数の前記共振器のうちの第2共振器(11B)は、複数の前記ビア電極部のうちの第2ビア電極部(20B)と、前記第2ビア電極部の端部に接続されるとともに、前記第1キャパシタ電極と同じ層に形成されている前記キャパシタ電極である第2キャパシタ電極(18B)とを備え、前記結合容量電極の一部(17AB1)は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間に位置し、前記結合容量電極の他の一部(17AB2)は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置する。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0105】
(付記2)
付記1に記載のフィルタにおいて、複数の前記共振器のうちの第3共振器(11C)は、複数の前記ビア電極部のうちの第3ビア電極部(20C)と、前記第3ビア電極部の端部に接続された前記キャパシタ電極である第3キャパシタ電極(18C)とを備え、複数の前記結合容量電極のうちの第1結合容量電極(17)の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間に位置し、前記第1結合容量電極の他の一部は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置し、複数の前記結合容量電極のうちの第2結合容量電極(17)の一部(17BC1)は、前記第1遮蔽導体と前記第2キャパシタ電極との間に位置し、前記第2結合容量電極の他の一部(17BC2)は、前記第1遮蔽導体と前記第3キャパシタ電極との間に位置してもよい。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0106】
(付記3)
付記1に記載のフィルタは、前記第1ビア電極部に接続された第1結合容量パターン(72A)と、前記第2ビア電極部に接続されているとともに、前記第1結合容量パターンと同じ層に形成され、前記第1結合容量パターンと容量結合する第2結合容量パターン(72B)と、をさらに備えてもよい。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0107】
(付記4)
付記3に記載のフィルタにおいて、前記第1結合容量パターンと前記第1キャパシタ電極との間の距離である第1距離(D1)は、前記第1遮蔽導体と前記第1キャパシタ電極との間の距離である第2距離(D2)の2倍以下でもよい。第1距離を短く設定することで、より良好なQ値を得ることができる。結合容量電極は、第1距離を短く設定することを阻害しない。
【0108】
(付記5)
付記4に記載のフィルタにおいて、前記第1距離は、前記第2距離以下でもよい。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0109】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載のフィルタにおいて、前記第1遮蔽導体と前記第2遮蔽導体との間に形成された第3遮蔽導体(12C)をさらに備え、前記キャパシタ電極が形成されている層は、前記第3遮蔽導体が形成されている層と、前記結合容量電極が形成されている層との間に位置しており、前記キャパシタ電極の一部は、前記第3遮蔽導体の一部と対面してもよい。これにより、第3遮蔽導体とキャパシタ電極との重なり部の面積に応じた結合容量を得ることができる。
【0110】
(付記7)
付記1に記載のフィルタにおいて、複数の前記共振器のうちの第3共振器(11C)は、複数の前記ビア電極部のうちの第3ビア電極部(20C2)と、前記第3ビア電極部に接続されるとともに、前記第2キャパシタ電極とは異なる層に形成されている前記キャパシタ電極である第3キャパシタ電極(19C)とを備え、前記第3ビア電極部に接続されるとともに前記第2キャパシタ電極と容量結合する第3結合容量パターン(60EB)をさらに備えてもよい。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0111】
(付記8)
付記7に記載のフィルタは、前記第2ビア電極部に接続されているとともに、前記第3キャパシタ電極と同じ層に形成され、前記第3キャパシタ電極と容量結合する第2結合容量パターン(72B)と、前記第1ビア電極部に接続されているとともに、前記第2結合容量パターンと同じ層に形成され、前記第2結合容量パターンと容量結合する第1結合容量パターン(72A)とをさらに備えてもよい。これにより、良好なQ値を得ることができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本開示の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0113】
10…フィルタ
11…共振器(第1共振器、第2共振器、第3共振器)
14…誘電体基板
17…結合容量電極(第1結合容量電極、第2結合容量電極)
18…キャパシタ電極(第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極、第3キャパシタ電極)
19C…第3キャパシタ電極
20…ビア電極部(第1ビア電極部、第2ビア電極部、第3ビア電極部)
12A…第1遮蔽導体 12B…第2遮蔽導体
12C…第3遮蔽導体 14a…第1主面
14b…第2主面
60…第3結合容量パターン
72…第1結合容量パターン、第2結合容量パターン
D1…第1距離 D2…第2距離