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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127457
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】外観検査装置、及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240912BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240912BHJP
   G06T 11/80 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G06T1/00 300
G06T1/00 200E
G06T11/80 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036621
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 信吾
【テーマコード(参考)】
2G051
5B050
5B057
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051AB14
2G051AC04
2G051CA04
2G051ED01
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA10
5B050BA13
5B050DA01
5B050EA04
5B050EA19
5B050FA02
5B050GA08
5B057AA03
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE08
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】基板の表面における検査領域及び非検査領域の設定が適切にされているか否かを容易に確認することを可能とする外観検査装置、及び外観検査方法を提供する。
【解決手段】外観検査装置は、良品基板の画像を蓄積するデータベースと、不良品基板の画像を蓄積する不良データベースと、不良品基板における不良の画像を抽出する抽出部と、不良の画像を、良品基板の画像に転写し、転写画像を生成する転写部と、良品基板の画像、不良品基板の画像、不良の画像、及び転写画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、検査領域及び非検査領域を用いて、転写画像の外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行する作動確認処理部と、を備え、転写部は、複数の不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査装置であって、
良品基板の画像を蓄積するデータベースと、
不良品基板の画像を蓄積する不良データベースと、
前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像から、前記不良品基板における不良の画像を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記不良の画像を、前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像に転写し、転写画像を生成する転写部と、
前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像、前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像、前記抽出部が抽出した前記不良の画像、及び前記転写部が生成した前記転写画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写部が生成した前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行する作動確認処理部と、を備え、
前記転写部は、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査装置。
【請求項2】
前記検査領域においては、検査対象とする前記不良の種類を指定することが可能であり、
前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行した際に、前記表示部は、前記非検査領域において前記不良が検出された箇所、及び前記検査領域において指定された前記種類と異なる種類の不良が検出された箇所の少なくとも一方に対して、設定が適切でないとして所定のマークを表示することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行した場合、その旨を通知することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行していない場合、その旨を通知することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記抽出部は、実際の前記不良を指定することによって、類似の前記不良の画像を抽出可能であることを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記検査領域においては、指定された前記不良の前記種類が誤っていた場合に、修正処理が実行されることを特徴とする、請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記作動確認処理部による前記作動確認処理が設定通りに実行されなかった場合、その旨を記録する記録部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項8】
基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査方法であって、
不良品基板の画像から、当該不良品基板における不良の画像を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程において抽出された前記不良の画像を、良品基板の画像に転写し、転写画像を生成する転写工程と、
前記良品基板の画像、前記不良品基板の画像、前記抽出工程において抽出された前記不良の画像、及び前記転写工程において生成された前記転写画像の少なくとも何れかを表示
する表示工程と、を有し、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写工程において生成された前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行することが可能であり、
前記転写工程においては、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査方法。
【請求項9】
前記検査領域においては、検査対象とする前記不良の種類を指定することが可能であり、
前記作動確認処理を実行した際に、前記表示工程においては、前記非検査領域において前記不良が検出された箇所、及び前記検査領域において指定された前記種類と異なる種類の不良が検出された箇所の少なくとも一方に対して、設定が適切でないとして所定のマークが表示されることを特徴とする、請求項8に記載の外観検査方法。
【請求項10】
前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理を実行した場合、その旨を通知する第1の通知工程をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の外観検査方法。
【請求項11】
前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理を実行していない場合、その旨を通知する第2の通知工程をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の外観検査方法。
【請求項12】
前記抽出工程においては、実際の前記不良を指定することによって、類似の前記不良の画像を抽出可能であることを特徴とする、請求項8に記載の外観検査方法。
【請求項13】
前記検査領域においては、指定された前記不良の前記種類が誤っていた場合に、修正処理が実行されることを特徴とする、請求項9に記載の外観検査方法。
【請求項14】
前記作動確認処理が設定通りに実行されなかった場合、その旨を記録する記録工程をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査装置、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、欠陥を含む不良品を撮影した不良品画像において欠陥に対応する欠陥画像を指定し、指定された欠陥画像の周辺に存在する画像から周辺画像を決定し、指定された欠陥画像に決定された周辺画像を合成する画像処理装置が公知である。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基板の外観検査を実行する際には、基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定し、設定が適切にされているかを確認することがある。ここで、設定が適切にされているとは、検査領域においては、基板の表面の不良が正確に検査され、非検査領域においては、外観検査が除外されることをいう。また、検査領域においては、検査閾値の設定間違い等により、基板の表面の不良が正確に検査されない虞がある。これらの問題に起因して、不良基板を見落とし、流出させてしまう虞がある。設定が適切にされているかの確認にあたっては、基板に関して上記のような画像の合成技術によって不良画像を作成し、この合成された不良画像に、検査領域及び非検査領域を適用することが考えられる。
【0004】
しかしながら、新たな品番が増える度に不良品基板の画像を生成するには工数が増大する。また、不良品基板の画像を生成することには微細な作業が伴い、熟練者でないとその作業をこなすことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-008488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件開示の技術は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板の表面における検査領域及び非検査領域の設定が適切にされているか否かを容易に確認することを可能とする外観検査装置、及び外観検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本開示は、データベースと、不良データベースと、抽出部と、転写部と、表示部と、作動確認処理部と、を備える外観検査装置を含む。本開示においては、基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定した後に、それらを用いて、外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認することを可能とする転写画像を疑似的に生成する。データベースには、撮像された良品基板の画像が蓄積される。不良データベースには、撮像された不良品基板の画像が蓄積される。抽出部は、不良データベースに蓄積された不良品基板の画像から、不良品基板における不良の画像を抽出する。当該不良の一例としては、はんだボール等が挙げられる。
【0008】
転写部は、抽出部が抽出した不良の画像を、データベースに蓄積された良品基板の画像
に転写し、転写画像を生成する。ここで、転写とは、ある画像に元の画像の一部を移動させ、両者の画像の間の解像度の差異等に起因して不自然な画像が生成されないように、疑似的に合成画像を生成することをいう。この合成画像は、転写画像に相当する。表示部は、上記の、良品基板の画像、不良品基板の画像、不良の画像、及び転写画像の少なくとも何れかを、外観検査装置のユーザが認識可能に表示する。作動確認処理部は、検査領域及び非検査領域を用いて、転写部が生成した転写画像の外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行する。
【0009】
また、転写部が不良の画像を転写する際には、転写のパターンを指定することが可能である。当該パターンの例としては、良品基板の画像の一部に不良の画像を転写するパターンや、良品基板の画像の全体に不良の画像を転写するパターン等が挙げられる。また、転写部は、複数の不良の画像を一括して転写することが可能である。
【0010】
より詳細には、
基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査装置であって、
良品基板の画像を蓄積するデータベースと、
不良品基板の画像を蓄積する不良データベースと、
前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像から、前記不良品基板における不良の画像を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記不良の画像を、前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像に転写し、転写画像を生成する転写部と、
前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像、前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像、前記抽出部が抽出した前記不良の画像、及び前記転写部が生成した前記転写画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写部が生成した前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行する作動確認処理部と、を備え、
前記転写部は、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査装置を含む。
【0011】
検査領域及び非検査領域が適切に設定されていれば、作動確認処理部による作動確認処理において、以下の様な結果が確認される。すなわち、検査領域においては、予め指定された、検出対象とする不良が検出され、非検査領域においては、不良が検出されない。転写画像は、外観検査装置のユーザが意図して作成することが容易であるため、作動確認処理には転写画像を適用することが有用である。これによって、作動確認処理に良品基板の画像を適用した場合に発生し得る、不良基板の見落としを抑制することが可能である。
【0012】
また、本開示においては、前記検査領域においては、検査対象とする前記不良の種類を指定することが可能であり、前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行した際に、前記表示部は、前記非検査領域において前記不良が検出された箇所、及び前記検査領域において指定された前記種類と異なる種類の不良が検出された箇所の少なくとも一方に対して、設定が適切でないとして所定のマークを表示することとしてもよい。所定のマークとしては、外観検査装置のユーザが一目で確認しやすいものが用いられ、これによれば、作動確認処理を実行した結果を即時に把握することが可能である。
【0013】
また、本開示においては、前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行した場合、その旨を通知することとしてもよい。これによれば、作動確認処理を実行し忘れることをより確実に防止することが可能である。
【0014】
また、本開示においては、前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理部が前記作動確認処理を実行していない場合、その旨を通知することとしてもよい。これによれば、上記と同様、作動確認処理を実行し忘れることをより確実に防止することが可能である。
【0015】
また、本開示においては、前記抽出部は、実際の前記不良を指定することによって、類似の前記不良の画像を抽出可能であることとしてもよい。これによれば、抽出部によって不良の画像が容易に抽出される。
【0016】
また、本開示においては、前記検査領域においては、指定された前記不良の前記種類が誤っていた場合に、修正処理が実行されることとしてもよい。なお、修正処理とは、検査領域において、検出対象としてある不良を指定した場合、その不良と異なる種類の不良を正しい検出対象として提示することを意味する。あるいは、正しい検出対象がその不良と異なる種類の不良であることが明らかな場合は、検出対象として自動的にその不良と異なる種類の不良が指定されるようにすることを意味する。これによれば、作動確認処理の精度を向上させることが可能である。
【0017】
また、本開示においては、前記作動確認処理部による前記作動確認処理が設定通りに実行されなかった場合、その旨を記録する記録部をさらに備えることとしてもよい。これによれば、検査領域及び非検査領域の適切でない設定を参照し、設定の精度を向上させることが可能である。
【0018】
また、上記の課題を解決するための本開示は、
基板の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査方法であって、
不良品基板の画像から、当該不良品基板における不良の画像を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程において抽出された前記不良の画像を、良品基板の画像に転写し、転写画像を生成する転写工程と、
前記良品基板の画像、前記不良品基板の画像、前記抽出工程において抽出された前記不良の画像、及び前記転写工程において生成された前記転写画像の少なくとも何れかを表示する表示工程と、を有し、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写工程において生成された前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行することが可能であり、
前記転写工程においては、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査方法を含んでもよい。
【0019】
本開示における外観検査装置以外の外観検査装置を、本開示における外観検査方法に適用することによっても、転写画像を容易に生成することが可能であり、作動確認処理に転写画像を適用することによって、不良基板の見落としを抑制することが可能である。
【0020】
また、本開示においては、前記検査領域においては、検査対象とする前記不良の種類を指定することが可能であり、前記作動確認処理を実行した際に、前記表示工程においては、前記非検査領域において前記不良が検出された箇所、及び前記検査領域において指定された前記種類と異なる種類の不良が検出された箇所の少なくとも一方に対して、設定が適切でないとして所定のマークが表示されることとしてもよい。これによれば、表示工程において、作動確認処理を実行した結果を即時に把握することが可能である。
【0021】
また、本開示においては、前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対し
て、前記作動確認処理を実行した場合、その旨を通知する第1の通知工程をさらに有することとしてもよい。これによれば、作動確認処理を実行し忘れることをより確実に防止することが可能である。
【0022】
また、本開示においては、前記検査領域及び前記非検査領域を設定した前記基板に対して、前記作動確認処理を実行していない場合、その旨を通知する第2の通知工程をさらに有することとしてもよい。これによれば、上記と同様、作動確認処理を実行し忘れることをより確実に防止することが可能である。
【0023】
また、本開示においては、前記抽出工程においては、実際の前記不良を指定することによって、類似の前記不良の画像を抽出可能であることとしてもよい。これによれば、抽出工程において不良の画像が容易に抽出される。
【0024】
また、本開示においては、前記検査領域においては、指定された前記不良の前記種類が誤っていた場合に、修正処理が実行されることとしてもよい。これによれば、作動確認処理の精度を向上させることが可能である。
【0025】
また、本開示においては、前記作動確認処理が設定通りに実行されなかった場合、その旨を記録する記録工程をさらに有することとしてもよい。これによれば、検査領域及び非検査領域の適切でない設定を参照し、設定の精度を向上させることが可能である。
【0026】
なお、上記の課題を解決するための手段は、可能な限り互いに組み合わせて用いることができる。
【発明の効果】
【0027】
本件開示の技術によれば、基板の表面における検査領域及び非検査領域の設定が適切にされているか否かを容易に確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施例に係る外観検査装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、実施例に係る外観検査装置の機能構成の一例を示す模式図である。
図3図3Aは、実施例に係る転写部による転写を具体的に説明するための模式図である。図3Bは、図3Aに示す転写が良品基板の表面の一部においてされた場合に生成される転写画像である。図3Cは、図3Aに示す転写が良品基板の表面の全体においてされた場合に生成される転写画像である。
図4図4Aは、実施例に係る、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板を用いて、作動確認処理部が転写画像に対して作動確認処理を実行する方法を説明するための模式図である。図4Bは、図4Aに示す作動確認処理の結果の表示部による表示態様を説明するための模式図である。
図5図5は、実施例に係る外観検査装置を用いた外観検査方法の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施例に係る表示部の表示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔適用例〕
以下に本開示の適用例の概要について一部の図面を用いて説明する。図1は、本適用例に係る外観検査装置1のハードウェア構成の一例を示す模式図である。本適用例に係る外観検査装置1は、制御装置10、データ管理用サーバ11、及び端末12等が無線または有線の通信回線を介して相互に接続されて構成されている。
【0030】
制御装置10は、検査対象である回路基板2(後述の図3Aに図示)の撮像画像を生成し、処理することにより、回路基板2の表面の状態が良好であるか不良であるかを判定する。制御装置10は、ハードウェア構成として、例えばCPU等のプロセッサや、RAMやROM等の記憶装置や、外部装置とのインターフェース等を含む。
【0031】
データ管理用サーバ11には、検査プログラムや回路基板2の表面における検査項目及び検査基準を定めた検査内容データが保存されるほか、端末12における処理に必要な様々な情報が登録される。なお、端末12は、据え置き型のものであっても可搬式のものであってもよい。
【0032】
図2は、本適用例に係る外観検査装置1の機能構成の一例を示す模式図である。本適用例に係る外観検査装置1の制御装置10は、データベース100、不良データベース101、抽出部102、及び転写部103等を備えて構成される。また、外観検査装置1の端末12は、表示部120等を備えて構成される。本適用例においては、外観検査装置1を用いて回路基板2の外観検査を実行する準備として、回路基板2の表面において検査領域及び非検査領域を設定する。そして、その設定が適切にされているか否かを確認するために、不良を含む回路基板2の画像を疑似的に生成する。
【0033】
データベース100には、撮像された良品の回路基板2(以下、単に良品基板ともいう)の画像が蓄積される。また、不良データベース101には、撮像された不良品の回路基板2(以下、単に不良品基板ともいう)の画像が蓄積される。上記の、不良を含む回路基板2の画像を疑似的に生成するにあたっては、最初に、抽出部102が、不良データベース101に蓄積された不良品基板の画像から、不良品基板における不良の画像を抽出する。なお、不良の種類の具体例については、図3Aを用いて後述する。転写部103は、抽出部102が抽出した不良の画像を、データベース100に蓄積された良品基板の画像に転写し、転写画像4(後述の図3B及び図3Cに図示)を生成する。ここで、転写画像4は、上記の、疑似的に生成された、不良を含む回路基板2の画像に相当する。
【0034】
作動確認処理部104は、回路基板2の表面において設定された検査領域及び非検査領域を用いて、転写部103が生成した転写画像4の外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する処理を実行する。なお、以下においては、この処理、すなわち、検査領域及び非検査領域の設定が適切にされているか否かの確認処理を、作動確認処理という。
【0035】
表示部120は、例えば端末12のディスプレイ等であり、データベース100に蓄積された良品基板の画像、不良データベース101に蓄積された不良品基板の画像、抽出部102が抽出した不良の画像、及び転写部103が生成した転写画像4の少なくとも何れかを、外観検査装置1のユーザが認識可能に表示する。表示部120によって、転写画像4、または転写画像4に係る情報を容易に把握することが可能となる。なお、表示部120の表示画面の一例については、後述の図6に示す。
【0036】
転写部103による転写について、図3Aを用いて具体的に説明する。上記の通り、良品基板の画像を元画像として、不良の画像を良品基板の画像に転写する。本適用例においては、不良の種類としてはんだボール3を例示するが、はんだボール3の他に、ブリッジや汚れや異物等であってもよい。なお、良品基板の種類と、抽出部102が不良の画像を抽出した不良品基板の種類は同じであるとする。
【0037】
図3Bは、図3Aに示す転写が良品基板の画像の一部においてされた場合に生成される転写画像4である。図3Bに示す破線で囲まれた部分は、複数のはんだボール3の画像が
部分的に転写された箇所を示す。検査領域及び非検査領域が設定された回路基板2においては、この破線で囲まれた部分は、検査領域に相当し、検査領域が適切に設定されていれば、はんだボール3が検出される。
【0038】
また、図3Cは、図3Aに示す転写が良品基板の画像の全体においてされた場合に生成される転写画像4である。図3Cに示す破線で囲まれた部分も、はんだボール3の画像が転写された箇所を示す。図3Cにおいては、良品基板の画像の全体にはんだボール3の画像が転写されているため、検査領域及び非検査領域が設定された回路基板2における非検査領域に相当する箇所にも、はんだボール3の画像が転写されていることとなる。この箇所においてはんだボール3が検出された場合には、非検査領域が適切に設定されていないことを示す。
【0039】
すなわち、図3Bに示す様に、はんだボール3の画像を部分的に転写して生成した転写画像4は、検査領域が適切に設定されているか否かの確認に用いるのに適している。図3Cに示す様に、はんだボール3の画像を全体的に転写して生成した転写画像4は、非検査領域が適切に設定されているか否かの確認に用いるのに適している。本適用例において、転写部103が、図3Bに示す様な転写画像4と、図3Cに示す様な転写画像4のいずれを生成するか、指定することが可能である。また、いずれの転写画像4を生成する場合も、はんだボール3の画像を一括して転写することが可能である。ここで、本開示における指定されたパターンとは、図3B及び図3Cに示す様な転写のパターンのことを示す。
【0040】
図2を用いて説明した通りに、転写画像4、または転写画像4に係る情報を表示部120が表示するまでのフローについて、図5に示すフローチャートの一部(ステップS101乃至S103)を用いて簡単に説明する。最初に、ステップS101において、抽出部102は、不良データベース101に蓄積された不良品基板の画像から、不良品基板における不良の画像を抽出する。なお、以下のフローにおいては、上記の通り、不良としてはんだボール3を例示する。ここで、ステップS101は、本開示における抽出工程に相当する。
【0041】
次にステップS102において、転写部103は、ステップS101において抽出したはんだボール3の画像を、良品基板の画像に転写し、図3B及び図3Cに示す様な転写画像4を生成する。ここで、ステップS102は、本開示における転写工程に相当する。最後にステップS103において、表示部120は、データベース100に蓄積された良品基板の画像、不良データベース101に蓄積された不良品基板の画像、ステップS101において抽出されたはんだボール3の画像、及びステップS102において生成された転写画像4の少なくとも何れかを表示する。ここで、ステップS103は、本開示における表示工程に相当する。なお、図5に示すフローチャートの詳細については、後述の実施例で説明する。
【0042】
以上の様に、図2に示す機能構成を有する外観検査装置1を用いて、図5に示すフローを実行することによって、作動確認処理を容易に実行することが可能である。また、容易に実行することが可能であるとは、例えば新たな品番の回路基板2が増えた場合であっても、熟練者以外の者も転写画像4を容易に生成し、作動確認処理を実行することが可能であることを意味する。また、転写画像4の生成に要する工数を短縮し、作動確認処理を即時に実行することが可能であることも意味する。
【0043】
〔実施例〕
以下、本開示の実施例に係る外観検査装置1、及び外観検査装置1を用いた外観検査方法について、図面(上記の適用例で一旦説明した図面も含む)を用いてより詳細に説明する。なお、本開示の実施例に係る外観検査装置1、及び外観検査方法は、以下の構成に限
定する趣旨のものではない。
【0044】
<構成>
ここで、適用例において説明した図1に示すハードウェア構成の機能について、再度図2を用いて詳細に説明する。なお、本実施例に係る外観検査装置1は、適用例において説明した外観検査装置1と同様の構成を有するため、適用例において説明した内容については、詳細な説明は省略する。また、本明細書では同一の構成要素については同一の符号を用いて説明を行う。
【0045】
図2に示す様に、本実施例に係る外観検査装置1の制御装置10は、適用例において説明した構成の他、記録部105を備えて構成される。記録部105は、作動確認処理部104による作動確認処理が設定通りに実行されていなかった場合、その旨を記録する。これによって、検査領域及び非検査領域の適切でない設定を参照し、設定の精度を向上させることが可能である。また、適切でない設定をサンプルとして提供することも可能である。
【0046】
また、表示部120は、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2に対して、作動確認処理部104が作動確認処理を実行した場合、その旨を表示することが可能である。また、表示部120は、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2に対して、作動確認処理部104が作動確認処理を実行していない場合にも、その旨を表示することが可能である。なお、作動確認処理部104が作動確認処理を実行した旨、及び実行していない旨を外観検査装置1のユーザに通知する方法としては、上記の様に表示部120が表示することに限られず、例えば外観検査装置1に取り付けられたランプ(図示略)が点灯または点滅してもよく、あるいは作動確認処理部104が作動確認処理を実行していない旨を、アラーム音を鳴らすことによって通知してもよい。
【0047】
<外観検査方法>
ここで、図3Aの説明に戻る。上記の通り、転写部103がはんだボール3の画像を転写する前に、抽出部102は、不良画像からはんだボール3の画像を抽出する。このとき、表示部120における表示画面において、不良の種類をはんだボール3に設定し、その設定に基づいて、はんだボール3、またははんだボール3と類似の画像を自動的に抽出するようにしてもよい。あるいは、不良画像において、転写の対象とするはんだボール3の周辺を手動で指定し、その指定に基づいてはんだボール3の画像を抽出するようにしてもよい。これによって、抽出部102によってはんだボール3の画像が容易に抽出される。
【0048】
図4Aは、実施例に係る、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2を用いて、転写画像4に対して作動確認処理部104が作動確認処理を実行する方法を説明するための模式図である。回路基板2において検査領域を設定するにあたっては、検査領域の広さと位置に加えて、検出対象とする不良の種類を指定することが可能である。図4Aには、はんだボール3を検出対象とする検査領域Xと、異物(不良の種類の一例)を検出対象とする検査領域Yを、回路基板2に設定する例を示す。なお、検査領域X及び検査領域Y以外の領域は、非検査領域であるとする。そして、この回路基板2を用いて、はんだボール3の画像を全体的に転写して生成した転写画像4(図3Cに示す転写画像4と同じ)の外観検査を実行する。
【0049】
図4Bは、図4Aに示す作動確認処理の結果の表示部120による表示態様を説明するための模式図である。図4Bにおいては、外観検査が設定通りに実行されなかった箇所(すなわち、作動確認処理を実行した結果、検査領域または非検査領域の設定が不適切とされた箇所)を、所定のマークとして十字のマークで示している。このような箇所として、破線xで囲んだ箇所においては、非検査領域に含まれるにもかかわらずはんだボール3が
検出されている。また、破線yで囲んだ箇所においては、異物を検出対象とする検査領域Yに含まれるにもかかわらずはんだボール3が検出されている。以上の様に、外観検査が設定通りに実行されないエラーは二通りあり、これらのエラーに基づき、検査領域または非検査領域の設定が不適切であることを明確に把握することが可能である。なお、所定のマークは十字のマークに限られず、また、外観検査が設定通りに実行された箇所についても、所定のマークと異なるマークで表示されるようにしてもよい。
【0050】
また、検査領域X及び検査領域Yの少なくとも一方においては、検出対象として指定された不良の種類が誤っていた場合に、修正処理が実行されるようにしてもよい。ここで、修正処理とは、例えば検査領域Xにおいて、検出対象としてはんだボール3以外の不良を指定した場合、正しい検出対象としてはんだボール3以外を提示することを意味する。あるいは、正しい検出対象がはんだボール3であることが明らかな場合は、検出対象として自動的にはんだボール3が指定されるようにしてもよい。これによって、作動確認処理の精度を向上させることが可能である。
【0051】
<フローチャート>
ここで、図5の説明に戻る。なお、ステップS101乃至S103については、上記の適用例において説明したため、再度の説明を省略する。本フローチャートでは、ステップS101乃至S103は、作動確認処理部104が作動確認処理を実行するための準備を行う工程に相当する。
【0052】
ステップS104においては、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2に対して、作動確認処理部104が作動確認処理を実行した場合、その旨を通知する。ここで、ステップS104は、本開示における第1の通知工程に相当する。また、ステップS105においては、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2に対して、作動確認処理部104が作動確認処理を実行していない場合、その旨を通知する。ここで、ステップS105は、本開示における第2の通知工程に相当する。
【0053】
なお、ステップS104及びS105が実行される順番は不問であり、また、いずれか一のステップが実行されてもよい。また、ステップS104及びS105が実行される態様は、表示部120における表示であってもよい。すなわち、ステップS104及びS105は、ステップS103に含まれていてもよい。
【0054】
また、ステップS106においては、図4Bに示した様に、作動確認処理部104による作動確認処理が設定通りに実行されなかった場合、記録部105は、その旨を記録する。ここで、ステップS106は、本開示における記録工程に相当する。
【0055】
<表示画面>
図6は、本実施例に係る表示部120の表示画面の一例を示す説明図である。破線aで囲んだ範囲においては、転写画像4が表示される。なお、この転写画像4は、一例として図3Cに示す転写画像4と同じであるが、図3Bに示す転写画像4と同じであってもよい。破線bで囲んだ範囲においては、良品基板の画像に転写する不良の画像の種類を選択することが可能である。また、「はんだボールサイズ50μm」及び「はんだボールサイズ30μm」といった様に、同種の不良であってもサイズを選択することが可能であってもよい。
【0056】
破線cで囲んだ範囲においては、破線bで囲んだ範囲において選択した不良をどのように転写するか設定することが可能である。具体的には、まず良品基板の画像のどの領域に不良の画像を転写するかを設定する。図6に示す例では、良品基板の画像全体にはんだボール3の画像を転写している。次に、転写する不良の画像を良品基板の画像においてどの
ように配置するかを設定する。図6に示す例では、はんだボール3の画像を格子状に配置している。
【0057】
破線dで囲んだ範囲においては、メッセージが表示される。例えば、上記の通り、検査領域及び非検査領域を設定した回路基板2に対して、作動確認処理部104が作動確認処理を実行していない場合には、その旨を示すメッセージが表示される。また、図4Bにおいて説明したように、検査領域において、検査対象として設定された不良と異なる種類の不良が検出された場合には、その旨を示すメッセージが表示される。以上の様に、図6に示す表示画面によって、ユーザは、入力情報を設定しつつ、その入力情報に伴って変化する転写画像4の表示を即時に確認することが可能となる。
【0058】
<付記1>
基板(2)の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査装置(1)であって、
良品基板の画像を蓄積するデータベース(100)と、
不良品基板の画像を蓄積する不良データベース(101)と、
前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像から、前記不良品基板における不良(3)の画像を抽出する抽出部(102)と、
前記抽出部が抽出した前記不良の画像を、前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像に転写し、転写画像(4)を生成する転写部(103)と、
前記データベースに蓄積された前記良品基板の画像、前記不良データベースに蓄積された前記不良品基板の画像、前記抽出部が抽出した前記不良の画像、及び前記転写部が生成した前記転写画像の少なくとも何れかを表示する表示部(120)と、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写部が生成した前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行する作動確認処理部(104)と、を備え、
前記転写部は、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査装置(1)。
【0059】
<付記2>
基板(2)の外観検査が実行される検査領域、及び当該基板の表面において当該外観検査が除外される非検査領域を設定することが可能である外観検査方法であって、
不良品基板の画像から、当該不良品基板における不良(3)の画像を抽出する抽出工程(ステップS101)と、
前記抽出工程において抽出された前記不良の画像を、良品基板の画像に転写し、転写画像(4)を生成する転写工程(ステップS102)と、
前記良品基板の画像、前記不良品基板の画像、前記抽出工程において抽出された前記不良の画像、及び前記転写工程において生成された前記転写画像の少なくとも何れかを表示する表示工程(ステップS103)と、を有し、
前記検査領域及び前記非検査領域を用いて、前記転写工程において生成された前記転写画像の前記外観検査が設定通りに実行または除外されているかを確認する作動確認処理を実行することが可能であり、
前記転写工程においては、複数の前記不良の画像を、指定されたパターンで一括して転写することが可能であることを特徴とする、外観検査方法。
【符号の説明】
【0060】
1・・・・・外観検査装置
10・・・・制御装置
100・・・データベース
101・・・不良データベース
102・・・抽出部
103・・・転写部
104・・・作動確認処理部
105・・・記録部
11・・・・データ管理用サーバ
12・・・・端末
120・・・表示部
2・・・・・回路基板
3・・・・・はんだボール
4・・・・・転写画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6