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特開2024-127481制御装置、監視装置、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127481
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】制御装置、監視装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240912BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20240912BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20240912BHJP
   B60L 58/10 20190101ALN20240912BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 A
H02J13/00 311K
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036662
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】繁森 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】飯田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲也
(72)【発明者】
【氏名】槌矢 浩則
(72)【発明者】
【氏名】原田 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD04
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125CC01
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】制御周期ごとに電池の状態の監視の指示をすることができる制御装置、監視装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】 監視装置40は、組電池12の電池セル22の状態を示す情報を含む電池情報を取得し電池情報を制御装置50に送信する。制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46との間で無線通信を行い電池情報に基づいて監視装置40を制御する。制御装置50の無線通信部54は、組電池12の電池セル22の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて監視装置40の無線通信部46に無線送信する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御する制御装置であって、
前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて前記監視装置に無線送信する無線通信部(54)を備える、制御装置。
【請求項2】
前記無線通信部が前記監視装置との間で前記電池情報を通信するための通信周期は、前記制御周期よりも短く設定されている請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記まとめて送信された複数のコマンドに対する応答が全ての複数の前記監視装置から返信された後に、前記無線通信部は、次回以降のコマンドを前記監視装置に無線送信する請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記まとめて送信された複数のコマンドに対する前記監視装置からの全ての応答、及び、前記コマンドに対応する電池情報、を受信できているか否かを判定する受信情報判定部(54a)を備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記電池の状態を示す情報を含む電池情報に基づき前記電池の診断を行い、前記電池情報と前記電池の診断結果を前記制御装置に送信する無線通信部(46)を備え、
前記無線通信部は、前記制御装置との無線通信に失敗した場合には、前記電池情報と前記電池の診断結果を再送する、監視装置。
【請求項6】
請求項1記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記電池の電圧情報を電池情報として取得すると、前記電圧情報を含む電池情報を前記制御装置に送信する無線通信部(46)を備え、
前記無線通信部は、前記制御装置との無線通信に失敗した場合には、前記電池の電圧情報を含まない電池情報を再送する、監視装置。
【請求項7】
請求項1記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池の電圧情報を含む前記電池情報を保存する記憶部(44c、46a)を備え、
前記監視装置は、前記制御装置との無線通信に失敗すると、前記電池情報のうち前記電池情報の電圧情報を前記記憶部から削除する、監視装置。
【請求項8】
請求項1記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池情報と共に前記制御装置から受信したコマンドに関する情報を送信する、監視装置。
【請求項9】
請求項1記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、
電池情報を取得する監視部(44a)と、
前記電池情報のアナログ値をデジタル値に変換して出力する変換部(44b)と、
前記電池情報のデジタル値を記憶する記憶部(44c)と、
前記制御装置と無線通信する無線通信部(46)と、を有し、
前記監視装置の無線通信部(46)は、
前記記憶部から前記電池情報を外部に出力させることを指令するコマンドと、
前記外部に出力させることを指令する前記コマンドに基づいて得られる前記電池情報と、
を合わせて同じ通信フレームにおいて前記制御装置の無線通信部(54)に送信する、
監視装置。
【請求項10】
前記監視装置から前記電池情報及び前記コマンドを受信すると、当該電池情報及び前記コマンドを受信すべき順序を示す順序情報に基づいて正しく受信されているか否かを判定する順序判定部(54b)を備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する複数の監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御装置により制御する過程を備え、
前記制御装置が、前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて無線通信部(54)により前記監視装置に無線送信する過程を備える制御方法。
【請求項12】
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する複数の監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御する制御装置に実行させるプログラムであって、
前記制御装置に、
前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて無線通信部(54)により前記監視装置に無線送信する手順を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、監視装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)などの車両は、例えばリチウムイオン電池など車両走行用の組電池を搭載している。組電池は、電池セルを組合わせた構成である。監視回路が各電池セルの状態を監視する構成が提案されている。
【0003】
監視回路の搭載部をサテライト型に構成するバッテリマネジメントシステム(BMS)の場合、監視装置に監視回路を搭載し、制御装置がサテライトバッテリモジュールと無線通信部により通信し、制御装置の指令に基づいて監視装置に搭載された監視回路が電池セルの電圧情報を取得する。
特許文献1記載の構成では、マスタ(制御装置相当)は、スレーブ(監視装置相当)がタスクを処理するのに必要な時間間隔を確保した周期で複数のコマンドをまとめて送信し、スレーブがタスクに関わる複数の処理を順次実行しその測定結果をタスクごとにレスポンスしている。例えば、スレーブ側のタスク#1では複数の処理を実行し、その測定結果のレスポンスをまとめて送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-221050号公報(0027~0031段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術では、マスタが、電池監視に関する機能を制御する制御周期を経過する前に、途中で各タスクの応答データのレスポンスの受信に失敗した場合、マスタ側でそれまでに受信したタスクのレスポンスデータは意味のないデータになってしまう。制御装置が、電池監視に関する機能を制御する際に用いる制御周期ごとに電池の状態を指示できるようにすることが望まれている。
【0006】
本開示の目的は、制御周期ごとに電池の状態の監視の指示をすることができる制御装置、監視装置、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の制御装置の無線通信部は、電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し電池情報を送信する監視装置との間で無線通信を行い電池情報に基づいて監視装置を制御する。電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて監視装置に無線送信する。
【0008】
このため制御装置は、監視装置が取得した電池情報を好適なタイミングで入手できるように通信できる。さらに、電池監視に関する機能を制御する際に用いられる制御周期に基づいて複数のコマンドをまとめて送信することで、制御周期ごとに電池の状態の監視の指示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における電池監視システムを概略的に示すブロック図
図2】電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図3】電池パックの構造を模式的に示す側面図
図4】電池パックの構造を模式的に示す平面図
図5】電池監視システムの電気的構成図
図6】監視装置と制御装置との間の通信処理の流れを概略的に示すシーケンス図
図7】コマンドセットに含まれるコマンドと制御周期の説明
図8】技術的意義の説明
図9】第2実施形態における監視装置と制御装置との間の通信処理の流れを概略的に示すシーケンス図
図10】第3実施形態における監視装置の処理内容を概略的に示すフローチャート
図11】第4実施形態における監視装置の処理内容を概略的に示すフローチャート
図12】第5実施形態における監視装置の処理内容を概略的に示すフローチャート
図13】第6実施形態における監視装置の処理内容を概略的に示すフローチャート
図14】第7実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図15】第8実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
図16】第9実施形態における電池パックの構造を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、監視装置及び制御装置に関する幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態では、各実施形態で同一又は類似に構成には同一又は類似の符号を付して説明を省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図6を参照しながら説明する。図1に示すように、電池監視システム1は、電池パックシステム2を主として構成され車両10に内蔵されている。車両10は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)などによるもので、搭載された電池パック11の組電池12(図2参照)を駆動源の少なくとも一部として走行する。
【0012】
車体13の内部には、電池パック11、パワーコントロールユニット(以下、PCUと略す)14、モータ15、及び、上位ECU16が搭載されている。上位ECU16は電子制御装置として構成される。電池パック11は、車体13のエンジンルームに配置されている場合もあるが、乗員、例えば運転者の座席の下、車体13のフレーム周辺、トランクルーム、などに配置されていても良い。
【0013】
図2に示すように、電池パック11は、電池セル22を複数グループ化した電池モジュール20を備える。電池パック11は、電池モジュール20を複数のグループ分備える。電池モジュール20には多数の電池セル22が収納されており組電池12を構成する。組電池12にはモータ15を駆動する電力が蓄積されることで車両10の駆動源として用いられる。図1に示すPCU14は電池パック11の組電池12に蓄積された電力をモータ15へ供給する。車両10の制動時などには、モータ15は回生電力を組電池12に戻し、電池パック11の組電池12はモータ15の発電電力に応じて充電されるように構成される。
【0014】
<電池パック11の構造>
以下、電池パック11の構造例について図2から図4を参照して説明する。
図2には、筐体30の内壁を二点鎖線で示している。筐体30は、筐体30の長手方向をX方向と示し短手方向をY方向と示す。車体13への搭載面に対して垂直となる上下方向をZ方向と示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに交差(例えば、直交)する関係を示している。筐体30は、X方向に沿う第1壁面30aを備えると共に、Y方向に沿う第2壁面30bを備えている。筐体30は、扁平型、平型、低背型の矩形箱状に成形されている。
【0015】
図2に示すように、電池パック11の筐体30には、組電池12と、複数の監視装置40と、制御装置50とがX方向及びY方向に沿った平面方向に渡って収納されている。監視装置40は、電池監視装置、電池監視装置本体相当である。監視装置40は、電池パック11を監視する監視回路を搭載し、サテライトバッテリ電池モジュール(SBM:Satellite Battery Module)と称される。
【0016】
筐体30のZ方向下面が車体13への搭載面となっている。本実施形態では、X方向が車両10の左右方向となっており、Y方向が車両10の前後方向となっており、Z方向が車両10の上下方向になっている。図2から図4の配置は一例にすぎない。車体13への搭載方向は一例であり、車両10に対して電池パック11をどのように配置しても良い。
【0017】
組電池12は、X方向に並設された複数の電池モジュール20を有しており、複数の電池モジュール20はX方向に複数並設して配置されている。電池モジュール20は、電池スタック、電池ブロックなどと称されることがある。組電池12は、複数の電池モジュール20が直列及び/又は並列に接続されて構成されることがあるが、本実施形態では、複数の電池モジュール20が直列接続される例を示している。
【0018】
各電池モジュール20は、それぞれ矩形箱状に構成された電池セル22を複数有している。電池モジュール20は、複数の電池セル22をあるひとまとまりのグループとした構成である。各電池モジュール20は、複数の電池セル22をY方向に並設して配置されている。複数の電池セル22は、それぞれ図示しない電池ケースに収容されており、これにより複数の電池セル22の相対位置が固定されている。電池ケースは金属製もしくは樹脂製である。電池ケースは金属製で矩形箱状に構成されている場合、電池ケースの壁面と電池セル22との間に電気的に絶縁性の部材が全体的に介在している。絶縁性部材は電池ケースの壁面と電池セル22との間に部分的に介在していても良い。
【0019】
電池モジュール20は、直列に接続された複数の電池セル22を有している。本実施形態の電池モジュール20は、Y方向に並んで配置された複数の電池セル22が直列接続して構成され、組電池12は直流電圧源を提供する。
【0020】
電池セル22は、化学反応によって起電圧を生成する二次電池であり、二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などを採用できる。リチウムイオン二次電池はリチウムを電荷担体とする二次電池である。電池セル22に採用できる二次電池には、電解質が液体の二次電池の他、固体の電解質を用いたいわゆる全固体電池も含まれ得る。
【0021】
図2から図4に示すように、各電池セル22は、電池ケースの側面同士がY方向で接するように積層されている。電池セル22は、それぞれX方向の両端に位置して、Z方向、より詳しくは上方を示すZ+方向に突出する正極端子23及び負極端子24を有している。図3に示すように、これら正極端子23及び負極端子24の突出する端面のZ方向の位置は、各電池セル22で同等高さに配置されている。図4に示すように、各電池セル22は、Y方向において、正極端子23及び負極端子24が交互に配置されるように積層されている。
【0022】
図4に示すように、各電池モジュール20の上面において、X方向の両端には、直線状のバスバーユニット25が一対に配置されている。バスバーユニット25は、複数の電池ケースの正極端子23及び負極端子24の突出する端面におけるX方向の両端に位置してそれぞれに配置されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、各バスバーユニット25は、Y方向に交互に配置される正極端子23及び負極端子24を電気的に接続する複数のバスバー26と、複数のバスバー26を覆うバスバーカバー27とを有している。バスバー26は、銅やアルミニウムなどの導電性が良好な金属を材料とする板材である。バスバー26は、Y方向において隣り合う電池セル22の正極端子23と負極端子24とを電気的に接続している。これにより、各電池モジュール20において、複数の電池セル22が直列接続されている。
【0024】
各電池モジュール20は、複数の電池セル22をY方向に並設して構成されている。図3及び図4に示すように、バスバーカバー27は各電池モジュール20の複数の電池セル22の正極端子23及び負極端子24を覆うようにY方向に沿って配置されている。バスバーカバー27は、図3に示すように電池セル22のX方向両端に配置されており、電池セル22の上面より上方に突出して配置されている。空間S1aは、図3に示すように、電池パック11の天面11g、すなわち筐体30の上内面30cと、バスバーカバー27の内側面と、電池セル22の上面との間に囲われるように設けられる。空間S1aは、筐体30の上内面30cの下脇に位置してX方向に連通するように設けられている。この空間S1aは電磁波の伝搬経路として設けられる。
【0025】
ここで、図4を参照しながらある電池モジュール20の電気的な接続状態を説明する。ある電池モジュール20の中で、ある第1の電池セル22のX方向の一方の端部は正極とされており、他方の端部が負極とされている。電池セル22の正極には正極端子23が接続されており、負極には負極端子24が接続されている。この第1の電池セル22のY方向側部に位置して第2の電池セル22が配置されている。第2の電池セル22は、第1の電池セル22とは、正極と負極のX方向位置が互いに逆に配置されている。そして第1の電池セル22の負極端子24は第2の電池セル22の正極端子23との間でバスバー26により接続されている。
【0026】
さらに、第2の電池セル22のY方向側部に位置して第3の電池セル22が配置されている。第3の電池セル22は第2の電池セル22とは、正極と負極のX方向位置が互いに逆に配置されており、第2の電池セル22の負極端子24と第3の電池セル22の正極端子23との間はバスバー26により接続されている。このように、多数の電池セル22は正極と負極のX方向位置を入れ替えながらY方向に複数併設されており、正極端子23及び負極端子24がバスバー26により連結されている。これにより、各電池モジュール20の電池セル22は電気的には直列接続されている。
【0027】
各電池モジュール20では、Y方向に並ぶ複数の電池セル22の端部に位置する2つの電池セル22の一方は最高電位になり、他方は最低電位になる。最高電位の電池セル22の正極端子23と、最低電位の電池セル22の負極端子24のうちの少なくとも一方に図2に示すワイヤ20wが接続されている。
【0028】
図2から図4に示すように、X方向で隣り合う2つの電池モジュール20の一方において最高電位の電池セル22の正極端子23と、他方において最低電位の電池セル22の負極端子24とがワイヤ20wを介して接続される。これにより、複数の電池モジュール20が電気的に直列接続されている。
【0029】
X方向に並ぶ複数の電池モジュール20の端部に位置する2つの電池モジュール20の一方は最高電位側になり、他方は最低電位側になる。最高電位側の電池モジュール20では、複数の電池セル22のうちの最高電位の電池セル22の正極端子23に出力端子が接続される。
【0030】
最低電位側の電池モジュール20では、複数の電池セル22のうちの最低電位の電池セル22の負極端子24に出力端子が接続されている。これら二つの出力端子が、車両10に搭載されたPCU12などの電気機器に接続される。正極端子23と負極端子24は、X方向において少なくとも一部が対向してもよいし対向しなくともよい。
【0031】
なお、X方向において隣り合う2つの電池モジュール20をワイヤ20wを介して電気的に接続しなくともよく、複数の電池モジュール20の任意の2つをワイヤ20wを介して電気的に接続してもよい。
【0032】
図3及び図4に示すバスバーカバー27は、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成されている。バスバーカバー27は、複数のバスバー26を覆うようにY方向に沿って電池モジュール20の端から端まで直線状に設けられている。バスバーカバー27は隔壁を有してもよい。隔壁が設けられることによってY方向に隣り合う2つのバスバー26の間の絶縁性を高めることができる。
【0033】
監視装置40は、図2に示すように、複数のうちX方向に隣接する二つの電池モジュール20に対しそれぞれ一つ設けられている。ここでは隣接する一対の電池モジュール20ごとに設ける形態を示しているが、後述実施形態に示すように一つの電池モジュール20ごとに設けても良いし、三つ又はそれ以上の電池モジュール20ごとに設けても良い。
【0034】
監視装置40は、筐体30の第1壁面30aの内脇において当該第1壁面30aの延設方向(X方向)に沿って設けられると共に、X方向に沿って二つの電池モジュール20を跨って配置されている。複数の監視装置40は、電池モジュール20のY方向の一方の端部に位置してX方向に並設されている。監視装置40は、筐体30のX方向に沿う第1壁面30aの内脇に設けられている。そして、複数の監視装置40のY方向位置が同一位置に配置されている。
【0035】
図2に示す構造では、複数の監視装置40を、電池モジュール20のY方向の一方の端部に並設した構造を示しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、複数の監視装置40を、二つの電池モジュール20ごとにY方向の一方/他方の端部に互い違いに配置するようにしてもよいし、規則的に互い違いに配置しなくてもよい。
【0036】
監視装置40は、例えば電池モジュール20に設けられた窪みに嵌め込まれており、ねじにより固定されている。監視装置40の固定方法はこの方法に限られない。例えば、熱を加えて加圧して接合、圧着を行う熱カシメを行うことで電池モジュール20に監視装置40を固定してもよい。また、金属又は樹脂材料の弾性変形を利用したスナップフィット構造により電池モジュール20に監視装置40を固定してもよい。
【0037】
監視装置40の外形寸法は、電池モジュール20に取り付けられたとき、X方向>Z方向>Y方向の関係性を備えて配置されている。監視装置40の周辺には空間S1が設けられている。空間S1は、筐体30の第1壁面30a、第2壁面30b、電池モジュール20の壁面20aに一部が囲われた空間である。監視装置40は、XYZ方向のうちY方向肉厚が最も薄く配置されている。電池モジュール20が、電池セル22をY方向に多数並べて構成されており、Y方向に幅広に構成されていたとしても、Y方向が極小となる空間S1に監視装置40を配置できる。これにより、筐体30の第1壁面30aの内脇の空間S1を有効活用できる。
【0038】
監視装置40は、その配置箇所が電池モジュール20の壁面20aのうち電池セル22の高さ中央からZ方向下側よりもZ方向上側に寄って設けられるとよい。なお、監視装置40の大部分が電池セル22の高さ中央から上側に配置されていれば、その他の一部が電池セル22の高さ中央から下側に配置されていてもよい。言い換えると、監視装置40は、その配置箇所が電池セル22の高さ中央から上側に配置される領域の方が下側に配置される領域よりも大きくなるように設けられるとよい。このとき、例えば電池モジュール20の上側から監視装置40を容易に配置でき、監視装置40を電池モジュール20に配置する際の組付性を良好にできる。
【0039】
図2に示すように、制御装置50は、全ての電池モジュール20のうちのX方向端部に位置する電池モジュール20のX方向外側端面に取付けられている。図5に示すように、監視装置40はアンテナ49を備えると共に制御装置50はアンテナ57を備えており、制御装置50と複数の監視装置40とは無線接続される。
【0040】
仮に、制御装置50を監視装置40との間を有線接続する構造を採用してしまうと、監視装置40と制御装置50との間で互いにハーネスを接続する必要を生じる。例えば、作業者が、筐体30の第1壁面30aの内脇の空間S1にハーネスを伸ばして監視装置40と制御装置50との間を結線することになると、組付性が悪く工数を多く要してしまう。この点、監視装置40と制御装置50とが無線接続するように構成されているため、監視装置40をたとえ極小の空間S1に配置しても組付性を悪化させることなく配置できる。
【0041】
なお、監視装置40を電池モジュール20に固定するための固定部材は、たとえば非磁性材料を用いると良く、これにより無線通信の性能を向上できる。電池モジュール20に設けられる部品は、特に特性上で磁性を備えなくともよい場合には非磁性材料を用いると良い。
【0042】
監視装置40は、電池モジュール20のY方向側端面に固定されている。図2及び図3に示すように、監視装置40には検出線Lが接続されている。検出線Lは、電池モジュール20ごとに構成されている。検出線Lは、監視装置40の上部から上方向に延びると共に電池モジュール20の端部で屈曲して複数の電池セル22の上面をY方向に渡って延伸している。検出線Lは、各電池セル22の正極端子23及び負極端子24の間の電圧を検出するためのハーネスを示す。
【0043】
検出線Lは、一つの電池モジュール20を構成する複数の電池セル22の上面に沿ってY方向に延伸してそれぞれ構成される。検出線Lは、各電池セル22のX方向両端に構成されるバスバーカバー27の間に渡って構成される。検出線Lは、Y方向に延伸した中間位置からX方向両脇に図示しない心線が延びることで、各電池セル22の正極端子23及び負極端子24に対しそれぞれ電気的に接続されている。
【0044】
<筐体30の構造説明>
筐体30は、EMC対策のため、たとえば電磁波を反射する性能を有している。EMCとは、Electromagnetic Compatibilityの略称である。筐体30は、樹脂材料と電磁波を反射するため磁気特性を備えた金属、すなわち磁性材料とを含んで構成されている。筐体30は、樹脂材料を含んで構成しても良いが、磁性材料は樹脂材料を覆うように構成しても良いし樹脂材料の内部に埋め込んで構成してもよい。筐体30は樹脂材料により形成されていてもよいが、EMC対策のため車両10のシャーシにより覆われていると良い。筐体30は、カーボン繊維を備えて構成しても良い。筐体30は電磁波を反射する性能に代えて電磁波を吸収する性能を有する材料を含んで構成しても良い。
【0045】
複数の電池モジュール20のY方向一端に位置する第1壁面20a(図2図4参照)は、X方向に渡って構成されている。壁面20aは電磁波を反射するための反射部材(例えば、磁気特性を備えた金属、磁性材料)を用いて覆うとよい。筐体30の第1壁面30aの内脇に位置する空間S1は、例えばYZ方向の縦横寸法が数mm~数cm~数十cm程度の空間となっている。
【0046】
前述したように、空間S1は、電池モジュール20の壁面20aと、筐体30の第1壁面30a、下内面30d、上内面30c、及び第2壁面30bにより一部が囲われている。空間S1は、反射部材となる金属により一部が閉塞されると共に、制御装置50が配置されているX方向の一方の空間S1b側(図4の左方向の壁面30e側)だけ開口した空間となる。
【0047】
複数の監視装置40は空間S1の中にX方向に渡って周期的(例えば、等間隔)に配置されている。空間S1が金属により覆われていれば、この空間S1は、いわゆる方形導波管に類似した導波路空間を構成する。図4に示すように、筐体30は、平面視で第1壁面30a、第2壁面30b、第3壁面30e、第4壁面30fにより閉塞した空間を構成している。
【0048】
第1壁面30aは第4壁面30fと対向しており、第2壁面30bは第3壁面30eと対向している。このとき、制御装置50と監視装置40とが無線通信する際の電磁波の伝搬空間は平面視でL字状になっている。制御装置50が放射する無線の電磁波は、第1壁面30aで反射して空間S1に伝搬されると共に第3壁面30eで反射して空間S1に伝搬され監視装置40に達する。
【0049】
監視装置40が放射する無線の電磁波は、空間S1内を伝搬して第1壁面30aで反射して制御装置50に達すると共に、空間S1内を伝搬して第3壁面30eに反射して制御装置50に達する。これにより制御装置50及び監視装置40が無線通信すると、電波は空間S1を含むL字状の伝搬経路を含んで伝搬する。
【0050】
本実施形態では、その他、制御装置50と監視装置40とが無線通信する際の電磁波の伝搬経路は図3に示す空間S1aも含まれる。この空間S1aは、電池セル22のX方向両端に配置されたバスバーカバー27の間に挟まれると共に、電池パック11の天面11g、すなわち筐体30の上内面30c、及び電池セル22の上面に囲われるように設けられている。空間S1aは、筐体30の上内面30cの下方に隙間を備えるように設けられる。
【0051】
空間S1aは、筐体30の上内面30cの下脇に沿ってX方向に連通している。空間S1aは、制御装置50が配置される空間S1bまでX方向に連通している。このように空間S1a、S1bは、制御装置50と監視装置40との間の無線の電磁波の伝搬経路にできるため、前述のL字状の伝搬経路に加えて通信経路を多く確保できる。
【0052】
筐体30は、電池パック11の収容空間とその外側の空間とに連通する孔を備える。孔は、通気、電力線及び信号線の通電などに用いられる。孔を有する構成の場合、孔を覆う覆部(図示せず)を設けてもよい。覆部は例えばコネクタ、電磁遮蔽部材、シール材などで構成され、電池パック11の収容空間とその外部の空間との間の孔の一部又は全部を閉塞する。
【0053】
覆部は、たとえば磁気特性を備えた金属材料を含んで構成されている。覆部は、樹脂材料を含んでいても良いが、磁性材料は樹脂材料を覆うように構成しても良いし樹脂材料の内部に埋め込んで構成してもよい。覆部はカーボン繊維を備えて構成されていても良い。
【0054】
筐体30の孔は、別途覆部を設けることなく筐体30の収容空間に収容された要素によって覆われていても良い。また、電力線や信号線は筐体30の壁部の一部をなす電気絶縁部材に保持された状態で収容空間と外部の空間とに渡って配置されていてもよい。
【0055】
<複数の監視装置40及び制御装置50の配置態様の変形例>
なお、複数の監視装置40及び制御装置50の取付構造は、図2に示す構造に限られるものではない。例えば、複数の監視装置40は、筐体30の内側の複数の電池モジュール20にそれぞれ取り付けると良いものの、制御装置50は筐体30の外側面に取付けられても良い。
【0056】
例えば、監視装置40と制御装置50との対向領域に筐体30の壁面が設けられるような取付構造であっても良い。この場合、図2に示す取付構造に比較して、監視装置40と制御装置50との間の電波の伝搬環境は悪化するものの、監視装置40と制御装置50とが互いに通信処理できれば良い。例えば、制御装置50が設けられる筐体30の壁面が電波が透過する樹脂で形成されていてもよい。また筐体30の壁面に開口が形成され、その開口を閉塞する態様で制御装置50が配置されていてもよい。
【0057】
監視装置40が備えるアンテナ49は、XY方向においてバスバーユニット25と重ならないように、つまりバスバーユニット25よりもZ方向に突出するように配置されていてもよい。制御装置50のアンテナ57は、バスバーユニット25よりもZ方向に突出するように設けられていてもよい。制御装置50に接続されるアンテナ57は、例えば監視装置40のアンテナ49と同程度のZ方向高さに配置されているとよい。なお、アンテナ49、57の配置関係はこの関係性に限られるものではない。
【0058】
<電池モジュール20の配置構造の変形例>
本実施形態では、複数の電池セル22を詰め込んだ電池モジュール20を複数用意し、筐体30に直納した形態を示すが、所謂電池モジュールレス化した構造に適用しても良い。例えば、セルトゥパックと称されるように、電池セル22の電池モジュール化を省略し、複数の電池セル22を直接電池パック11に直納するようにしても良い。セルトゥパックとはCell to Pack(CTP)をカナ表記したものである。
【0059】
電池モジュールトゥプラットフォームと称されるように、電池モジュール20を車両10のフレーム、プラットフォームに直納するようにしても良い。電池モジュールトゥプラットフォームとはModule to Platform(MTP)をカナ表記した内容を示す。セルトゥシャーシとも称されるように、車両10の車台に電池セル22を直接パック化すると共にシャーシの中に車体構造の一部として搭載するようにしても良い。セルトゥシャーシとはCell to Chassis(CTC)をカナ表記した内容を示す。
【0060】
<PCU14、モータ15、上位ECU16の構成説明>
上位ECU16及び制御装置50は、その一部又は全部を統合化して構成しても良いし別体に設けても良い。図1に示すPCU14は、上位ECU16からの制御信号にしたがって、電池パック11とモータ15との間で双方向の電力変換を実行する。PCU14は、たとえば、モータ15を駆動するインバータと、インバータに供給される直流電圧を電池パック11の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
【0061】
モータ15は交流回転電機であり、例えばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。モータ15は、PCU14により駆動されて回転駆動力を発生し、モータ15が発生した駆動力は駆動輪に伝達される。一方、車両10の制動時には、モータ15は、発電機として動作し、回生発電を行なう。モータ15が発電した電力は、PCU12を通じて電池パック11に供給され、電池パック11の組電池12に蓄えられる。
【0062】
上位ECU16は、CPU、ROM、RAM及び不揮発性半導体記憶装置などのメモリ、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される。メモリには上位ECU16が実行する処理プログラムが記されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムを実行する。メモリは非遷移的実体的記録媒体として用いられる。制御装置50は、電池パック11の監視装置40から組電池12の各電池セル22のセル電圧の情報を受けてSOC(State Of Charge)を計測し、PCU12を制御することにより、モータ15の駆動及び電池パック11の充放電を制御する。
【0063】
組電池12には電流センサ17(図5参照)が直列接続されており、これにより組電池12の全体に流れる電流を計測できる。図5に示すように、電流センサ17は制御装置50に接続されている。上位ECU16は、電流センサ17による組電池12又は電池セル22に流れる電流情報を、監視装置40及び制御装置50を通じて取得できる。
【0064】
ここでは電流センサ17が制御装置50に接続されている形態を示すが、上位ECU16に電流センサ17が接続されていてもよい。制御装置50と上位ECU16は相互に通信接続できるため、何れの構成が電流センサ17の電流情報を取得しても組電池12に流れる電流情報を共有できる。
【0065】
以下、監視装置40、制御装置50の電気的ブロック構成を説明する。
<監視装置40の電気的ブロック構成>
図5に示すように、監視装置40は、電源回路41~43、電池監視部44、マイコン45、無線通信部46、選択回路47、整合回路48、及びアンテナ49を備える。監視装置40の電源回路41は、電池モジュール20から供給される電圧を用いて動作電圧を生成し生成電圧を電源回路42、43に供給すると共に電池監視部44に供給する。電源回路42は、電源回路41の出力から動作用電圧を生成しこの生成電圧をマイコン45に供給する。電源回路43は、電源回路41の出力から動作用電圧を生成しこの生成電圧を無線通信部46に供給する。
【0066】
監視装置40の選択回路47は、電池セル22の温度を測定する温度センサ(図示せず)によるセル温度信号、及び、電池セル22の種類を判別するセル判別信号を電池情報として入力し、電池情報を選択して電池監視部44に入力させる。監視装置40の電池監視部44は、電池セル22のセル電圧、セル温度、セル判別の電池情報などをセンシングする1又は複数の電池監視ICにより構成される。
【0067】
電池監視部44は、組電池12の電池セル22の電池情報を取得する監視部44aと、選択回路47を通じて入力した電池情報のアナログ値をデジタル値に変換して出力する変換部44bと、電池情報のデジタル値を記憶する記憶部44cと、を備えている。監視部44aは、1又は複数の電池監視ICにより構成される。電池監視部44が複数の電池監視ICを備えて構成されている場合、それぞれ電池情報を取得担当する電池セル22が予め定められている。記憶部44cは、レジスタなどにより構成されている。電池監視部44は、電池セル22の電池情報を記憶部44cに順次記憶させるが、メモリ容量を確保するため必要に応じて消去する。
【0068】
電池監視部44は、マイコン45を通じて無線通信部46の記憶部46aに当該電池情報、例えば、電池の電圧情報、電池の温度情報、電池セル22の判別情報、などを電池監視情報として記憶させる。電池監視部44は、監視装置40の回路部分の故障診断を実行しその故障診断情報をモニタし、マイコン45を通じて無線通信部46の記憶部46aに故障診断情報を記憶させる。
【0069】
監視装置40のマイコン45は、電池監視部44から入力される電池監視情報又は故障診断情報を受信し無線通信部46に送信する。マイコン45は、電池監視部44の電池監視情報又は故障診断情報などの取得スケジュールを制御する機能を持つ制御回路を示す。
【0070】
無線通信部46は、記憶部46aを備えており制御装置50の無線通信部54との間で記憶部46aに記憶された情報を無線送信する。監視装置40の無線通信部46は、マイコン45から電池監視情報又は故障診断情報を受信すると記憶部46aに記憶しマスタ側の制御装置50に情報を伝達する。無線通信部46は制御装置50の無線通信部54に情報を伝達し、制御装置50の無線通信部54から情報を記憶部46aに受信する。無線通信部46は、監視装置40と制御装置50との間の通信データサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する通信デバイスを示す。
【0071】
監視装置40の整合回路48及びアンテナ49は、無線通信部46の出力信号を電波に変換して空間に放射させ、空間を伝搬してきた電波を受信して無線通信部46に入力するための物理インターフェースを示す。
【0072】
前述したマイコン45は実装されていなくても良く、この場合、無線通信部46と電池監視部44とが直接通信する構成とすると良い。監視装置40の無線通信部46が、電池監視部44の電池監視情報、故障診断情報の取得スケジュール又は送信スケジュールを管理してもよい。
【0073】
<制御装置50の具体構成>
制御装置50は、電源回路51、52、メインマイコン53、無線通信部54、サブマイコン55、整合回路56、及びアンテナ57を備える。制御装置50の電源回路51は、補機バッテリ60から供給される電圧を用いて動作電圧を生成し、電源回路52に供給すると共にメインマイコン53に供給する。電源回路52は、電源回路51の出力を用いて動作電圧を生成し無線通信部54に供給する。
【0074】
制御装置50の整合回路56及びアンテナ57は、無線通信部54が出力する信号を電波に変えて空間に放射させ、空間を伝搬してきた電波を受信して無線通信部54に入力するための物理インターフェースを示す。
【0075】
制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46からの電池監視情報又は故障診断情報などを電池情報として受信し、制御装置50のメインマイコン53に情報を伝達する。また制御装置50側の無線通信部54は、メインマイコン53から送信されるデータを受信し、監視装置40の無線通信部46に向けて送信する。無線通信部54は、監視装置40-制御装置50間の通信データサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する通信デバイスを示す。
【0076】
制御装置50のメインマイコン53は、無線通信部46から送信される電池セル22の電圧や温度などの情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し上位ECU16に伝達する。メインマイコン53はイグニッションスイッチのオン/オフの状態や均等化制御の切り替えを制御する。
【0077】
メインマイコン53は、無線通信部46、54を通じて制御信号などの情報を監視装置40に無線通信により送信し監視装置40の動作状態を制御する。制御装置50のサブマイコン55は、無線通信部54とメインマイコン53との間のデータを監視したり、メインマイコン53の動作状態を監視したりする。サブマイコン55が無線通信部54の動作状態を監視しても良い。
【0078】
本実施形態では、制御装置50がサブマイコン55を備えており、サブマイコン55は、無線通信部54とメインマイコン53との間のデータを監視したり、メインマイコン53の動作状態を監視したりする。しかしながら、制御装置50の構成はこのような例に限定されない。例えば、制御装置50は、サブマイコン55を備えていなくてもよい。
【0079】
なお、前述したように監視装置40にマイコン45が実装されていない場合には、制御装置50のメインマイコン53が、マイコン45の代わりに電池監視部44の電池監視情報の取得スケジュール、故障診断情報の取得スケジュール、又は、通信スケジュールを管理してもよい。
【0080】
本実施形態では、制御装置50のメインマイコン53が、無線通信部46から送信される電池セル22の電圧や温度などの電池情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し上位ECU16に伝達する。しかしながら、電池情報の演算は、このような例に限定されない。
【0081】
例えば、監視装置40のマイコン45が、電池監視部44の取得した電池セル22の電圧や温度などの電池情報を用いて電池セル22の状態指標となるSOCやダイアグ情報などを演算し、演算結果を制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。付言すると、監視装置40のマイコン45は、演算結果を用いて電池セル22又は電池監視部44の異常診断を行ってもよく、異常診断の結果を制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。
【0082】
また、監視装置40の電池監視部44で取得された電池セル22の電圧や温度などの電池情報は、監視装置40の無線通信部46によって演算されてもよい。さらに言えば、監視装置40の電池監視部44で取得された電池セル22の電圧や温度などの電池情報は、制御装置50の無線通信部54により演算されてもよい。付言すると、監視装置40のマイコン45は、演算結果を用いて電池セル22の異常診断を行ってもよく、異常診断の結果を電池情報として制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。
【0083】
<無線通信>
次に、監視装置40と制御装置50との間の無線通信処理について図6を参照して説明する。本実施形態の電池監視システム1は、制御装置50を中心とする複数の監視装置40をスター型にネットワーク接続しておりパケット通信可能になっている。
【0084】
制御装置50は、複数の監視装置40のそれぞれとの間で個別に通信確立し、情報を無線通信する。車両10を起動するときに、ユーザはイグニッションスイッチをオフからオンに操作するが、このとき起動信号が制御装置50に与えられる。制御装置50の起動時には、制御装置50と全ての監視装置40との間で通信確立処理をそれぞれ実行する。通信確立処理が成功すると、制御装置50は通信確立された監視装置40との間で定期通信処理を継続する。
【0085】
定期通信処理では、図6に示すように制御装置50の無線通信部54は、S21において接続処理が完了した監視装置40に対しn回分(但しn≧2)のコマンドを含むコマンドセットを1又は複数のフレーム内に構成して送信する。このとき、制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46に対し時分割のユニキャスト通信によりコマンドセットを送信する。
【0086】
コマンドセットは、n回分のコマンドをまとめて構成されるもので、組電池12の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応して構成される。制御装置50のメインマイコン53は、1回のコマンドセットに対する応答データを受信することで組電池12の状態を監視できる。
【0087】
複数のコマンドは、組電池12の監視に必要となる作動指令を表している。組電池12の監視に必要となる作動は、少なくとも組電池12の電池セル22の電圧取得、組電池12の電池セル22の温度検出、組電池12の故障診断、又は、制御装置50の組電池12の監視に必要となる監視装置40に対する制御の切替えに関する作動の何れか一つを含んでいる。
【0088】
このn回分のコマンドのうち1回分のコマンドには、組電池12の電圧監視用のコマンド、故障診断用の制御コマンド、又は、取得した情報の送信要求コマンドが含まれている。組電池12の電圧監視用のコマンドは、電池監視情報を取得要求するために用いられるコマンドを示す。故障診断用の制御コマンドは、故障診断情報を取得要求するために用いられるコマンドを示す。また、取得した情報の送信要求コマンドは、取得した情報を送信要求するために用いられる要求コマンドを示す。
【0089】
監視装置40の無線通信部46は前記のコマンドを受信すると、S22において電池監視部44に例えば電池監視制御コマンドを指示する。電池監視制御コマンドは、電池監視用のコマンド及び送信要求コマンドを含んでおり電池監視情報の取得要求を実行する。監視装置40の無線通信部46は、マイコン45を通じて電池監視制御コマンドを用いて電池監視情報の取得要求を電池監視部44に送信する。
【0090】
電池監視部44は、電池監視制御コマンドを入力すると、S23においてセンシング処理を実行する。センシング処理では、電池監視部44は、監視部44aにより選択回路47を通じて情報を取得し、変換部44bが選択回路47により選択されたアナログ信号をデジタル変換して記憶部44cに記憶させる。
【0091】
電池監視部44が、電池セル22の電圧をセンシングする際には、選択回路47を通じてセル判別信号と共に各電池セル22の温度を電池監視情報として取得し記憶部44cに記憶させる。電池セル22の電圧情報は、電池監視部44の記憶部44cに対し時系列的に記憶される。また、コマンドセットのうち1回分のコマンドに故障診断用の制御コマンドが含まれている場合には、電池監視部44は自己回路の故障診断を行う。
【0092】
次にS24において、電池監視部44は、取得した電池の電圧情報を、マイコン45を介して無線通信部46に送信する。このとき、セル判別信号と共に温度を含む電池監視情報を送信するとよい。また、電池監視部44は、故障診断を行った場合には故障診断情報を応答する。マイコン45が構成されていない場合には、電池監視部44は無線通信部46に直接情報を送信する。監視装置40の無線通信部46は、電池監視部44が取得した情報を受信する。無線通信部46は、制御装置50へ送信するための電池監視情報を含む応答データを記憶部46aにスプール(保持)し待機する。無線通信部46は、故障診断情報を含む応答データを記憶部46aに保持して待機するようにしてもよい。
【0093】
他方、制御装置50の無線通信部54は、前述のようにS21にてn回分のコマンドセットを送信すると、この時点からタイマにより応答データを受信するタイミングを計測開始する。無線通信部54は、監視装置40の電池監視部44が取得した電池情報を好適なタイミングで入手できるように通信周期を自由に設定できる。この通信周期は、定期的に通信を実行するために固定した固定値であってもよいが、1回毎に変動させた変動値に設定してもよい。つまりタイマの設定値を固定値にしてもよいし変動値にしてもよい。
制御装置50の無線通信部54は、タイマによる時間計測結果に基づき応答データを受信可能なタイミングに到達したことを確認すると、S25においてnullコマンドを送信する。制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46へnullコマンドを通信周期毎に送信する(S25、S30、S35参照)。nullコマンドの送信周期は、前述の1回分の通信周期の固定値又は変動値に対応して定められる。
【0094】
監視装置40の電池監視部44は、制御装置50の無線通信部54から送信されるコマンドセット及びnullコマンドの送信周期に基づき電池監視制御コマンドにより指示を受けると、予め割り当てられた担当の電池セル22の電圧情報を監視する。監視装置40の電池監視部44は、前記のコマンドセット又はnullコマンドを受信したタイミングから予め定められた所定の時間を経過した同期タイミングで担当の電池セル22の電圧情報を監視する。また、複数の監視装置40の電池監視部44もそれぞれ組電池12の担当の電池セル22の電圧情報を同様に監視している。このとき、複数の監視装置40の電池監視部44は、それぞれ割り当てられた担当の電池セル22の電圧情報を1又は複数回取得して時系列的に記憶部44cに記憶させる。監視装置40の電池監視部44は、電池セル22の電圧情報をコマンドセット及びnullコマンドの送信周期とは非同期でセンシング処理するようにしてもよい。
監視装置40の無線通信部46は、nullコマンドを受信すると、S26において記憶部46aに保持した1回目のコマンドに対応した応答データを制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0095】
図6に示すように、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54からnullコマンドを受信する前に電池セル22の電圧情報を電池監視部44から受信している場合には、無線通信部46の記憶部46aに保持された電池セル22の電圧情報を応答データとして無線通信部54に送信するとよい。
【0096】
このとき複数の監視装置40の無線通信部46は、電池監視部44から先に取得した応答データを順に記憶部46aから読み出してFIFO形式で送信するようにしてもよいし、電池監視部44から最後に取得された最新の応答データを記憶部46aから読み出してLIFO形式で順に送信してもよい。FIFOは、First In First Out の略であり、LIFOは、Last In First Out の略である。LIFO形式を用いることで最新の電池セル22の電圧情報をリアルタイムで応答データとして送信できる。又は、監視装置40の無線通信部46は最新の電池セル22の電圧情報のみを1つの通信フレーム分だけ応答データとして取得して制御装置50の無線通信部54に送信してもよい。
【0097】
なお後述の第2実施形態(図7参照)で説明するが、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54からnullコマンドを受信した後に電池セル22の電圧情報を電池監視部44から受信した場合には、受信後に無線通信部46に送信してもよい。
【0098】
監視装置40の無線通信部46は、電池情報と共に制御装置50の無線通信部54から受信したコマンドに関する情報を送信するとよい。すると制御装置50側の無線通信部54では、コマンドと電池情報を紐づけて受信確認できる。このため、制御装置50は組電池12、電池セル22を信頼性よく監視できる。前記の「コマンドに関する情報」は、コマンドそのものでも良いし、受信したコマンドに基づいて監視装置40が実行した実行内容に伴う出力値やその他の類似の情報でも良い。各監視装置40は、電池情報やコマンドに関する情報に加えて、自身を示す識別IDを送信してもよい。このとき、制御装置50は、複数の監視装置40のうち何れの監視装置40から何れの電池セル22の電池情報を受信しているか正しく認識できる。
【0099】
例えば、監視装置40の電池監視部44は、監視部44aにより電池情報が取得された後、変換部44bにより電池情報のアナログ値をデジタル値に変換出力し、デジタル値を記憶部44cに記憶する。無線通信部46は、電池監視部44から電池情報を受信すると、記憶部44cから電池情報を外部に出力させることを指令するコマンドと、外部に出力させることを指令するコマンドに基づいて得られる電池情報と、を合わせて同じ通信フレームにおいて制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0100】
すると制御装置50は、監視装置40の無線通信部46からコマンドを受信して電池情報を同一の通信フレーム内で受信することで、どの監視装置40の無線通信部46から電池情報を受信したかを判断できる。特に、監視装置40の無線通信部46は、書き込みコマンドと外部出力コマンドの2つのコマンドを用いており、制御装置50の無線通信部54は、2つのコマンドに基づいて電池情報を取得しているため電池情報の信頼性を判断できる。このことから、例えば、一方のコマンドが障害でデータが改変されたとしても、電池情報という重要な情報を高い信頼性で無線通信できる。
【0101】
制御装置50の無線通信部54は、S26において1回目の応答データを受信する。制御装置50は、監視装置40の無線通信部46から電池情報及びコマンドを受信すると、当該電池情報及びコマンドを受信すべき順序を示す順序情報に基づいて正しく受信されているか否かを順序判定部54bにより判定する。制御装置50の無線通信部54が、複数のコマンドをまとめて複数の監視装置40に送信する場合、監視装置40の無線通信部46からコマンドがまとめられた単位ごとに順序通り送信されているか判定できるようになる。すなわち、順序情報を用いることで、まとめられた単位ごとにコマンドを正しく認識できる。
【0102】
例えば、制御装置50の無線通信部54は、順序判定部54bにより判定した結果、電池情報及びコマンドを受信すべき順序を示す順序情報に基づいて正しく受信されていると判定した場合には、OK、すなわち正常に通信処理が行われたと判定し、下記の<1回目の応答データの送信後の監視装置40の処理>に移行する。
【0103】
逆に、制御装置50の無線通信部54は、順序判定部54bにより判定した結果、順序情報に基づいて正しく受信されていないと判定した場合、全ての複数の監視装置40の無線通信部46に対し複数のコマンドをまとめたコマンドセットを再送するとよい。又は、無線通信部54は、順序情報に基づいて正しく受信されていないと判定した場合、NG(正しく受信していない)と判定された対象の監視装置40の無線通信部46に対してのみ複数のコマンドをまとめたコマンドセットを再送するとよい。制御装置50の無線通信部54は、NGと判定した対象の監視装置40の無線通信部46から応答された応答データを破棄してもよい。
【0104】
<1回目の応答データの送信後の監視装置40の処理>
監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54へ1回目の応答データを送信した後、2回目の電池監視制御コマンドを電池監視部44に送信する。2回目の電池監視制御コマンドは、S21にて既に送信されたコマンドセットの中に含まれる2回目のコマンドを示す。
【0105】
電池監視部44は、2回目の電池監視制御コマンドを入力すると、前述と同様にS28においてセンシング処理を実行する。電池監視部44はセンシングを実行する際に選択回路47を通じてセル判別信号と共に各電池セル22の温度を電池監視情報として取得する。また前述のコマンドセットのうち2回目のコマンドに故障診断用の制御コマンドが含まれている場合には、電池監視部44は自己回路の故障診断を行う。
【0106】
次にS29において、電池監視部44は、取得した電池の電圧情報を、マイコン45を介して無線通信部46に送信する。このとき、セル判別信号と共に温度を含む電池監視情報を送信するとよい。また、電池監視部44は、故障診断を行った場合には故障診断情報を応答する。マイコン45が構成されていない場合には、電池監視部44は無線通信部46に直接情報を送信する。
【0107】
そして監視装置40の無線通信部46は、S30において2回目に対応した定期的なnullコマンドを受信すると、S31において記憶部46aに保持した1回目の応答データを制御装置50の無線通信部54に送信する。制御装置50の無線通信部54は、S31において2回目の応答データを受信する。
【0108】
その後も監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54から送信されるコマンドセットに含まれるコマンドに対応して同様に応答を繰り返す。例えば、n回目を示すS32~S36において、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54から受信したコマンドセットに含まれるn回目のコマンドに対応して応答する。
【0109】
他方、制御装置50の無線通信部54は、まとめて送信された複数のコマンドに対して監視装置40の無線通信部46から全ての応答、及び、コマンドに対応する電池情報、を受信できているか否かを受信情報判定部54aにより判定する。
【0110】
制御装置50の無線通信部54が、S36においてn回目の応答データを受信できたことを確認すると、無線通信部54は制御装置50のメインマイコン53に応答データを送信する。このような一連の通信処理は、制御装置50と複数の監視装置40との間で時分割のユニキャスト通信により実施される。このため制御装置50は複数の監視装置40から全ての応答データを受信できる。これにより制御装置50の無線通信部54は、全ての応答を受信し、コマンドに対応する電池情報を受信したと判断できる。
【0111】
制御装置50は、全ての監視装置40にコマンドが行き届いていることや、コマンドに対応した電池情報を受信できていることを確認できる。なお、たとえ、一部データ破損していても誤り訂正技術を用いることで受信できていればよい。特に、制御装置50のメインマイコン53は、信頼性ある電池情報のデータや、電池セル22の状態が最悪値となるデータ(蓄電電圧)に合わせて制御することがある。この場合、ある時間範囲の一律の状態で組電池12の電池セル22の電圧状態を監視できると、組電池12の電池セル22の監視を適切にできる。
【0112】
制御装置50のメインマイコン53は、複数の監視装置40からS26、S31、S36において受信したn回分の応答データを参照し、S37において応答データに基づいて所定処理を実行する。S37において、制御装置50のメインマイコン53は、例えば予め定められた期間中に取得された複数の電池監視情報に基づいて所定の処理を実行する。なお、制御周期は、S21にてコマンドセットを送信するタイミングからS37において所定の処理を実行完了するまでの周期を示し何らかの制御を実行完了するまでの周期を示している。図6の例では制御周期としてコマンド制御周期を設定した例を示している。この詳細については後述する。
【0113】
例えば、本実施形態の制御装置50のメインマイコン53は、複数の監視装置40から取得した電池監視情報から電池セル22の電圧情報を取得し、さらに電池セル22に直列接続された電流センサ17を通じて電流情報を取得する。制御装置50のメインマイコン53は、これらの電圧情報及び電流情報に基づいて組電池12の電池セル22の内部抵抗、開放電圧を推定する。
【0114】
制御装置50のメインマイコン53は、推定した内部抵抗に基づいてSOHを算出できる。SOHはStates Of Healthの略であり、電池の劣化状態を表す指標である。また制御装置50のメインマイコン53は、各電池セル22の開放電圧を互いに比較し、一定範囲内になっているか否かを判定することで電池セル22の異常を検出できる。制御装置50が実行する所定の処理は、本実施形態ではメインマイコン53が主に実行した形態を示したが、制御装置50内の他の構成、例えばサブマイコン55又は無線通信部54が実行しても良い。
【0115】
制御装置50のメインマイコン53は電池セル22の電圧情報及び電流情報に基づいて電池セル22の内部抵抗、開放電圧を推定する。制御装置50のメインマイコン53が、推定した内部抵抗、開放電圧に基づいてSOHを算出する例を示した。しかしながら、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出は、このような例に限定されない。
【0116】
例えば、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出のうち、一部又は全部の動作を監視装置40のマイコン45が行ってもよい。また、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出のうち、一部又は全部の動作を監視装置40の無線通信部46が行ってもよい。制御装置50のメインマイコン53は、例えば電池監視情報を取得するたびに取得した情報を上位ECU16に送信してもよいし、取得した情報をまとめて上位ECU16に送信しても良い。
【0117】
このような一周期分のコマンドセットに対する通信処理を完了した後、制御装置50の無線通信部54が、S41においてn回分のコマンドを含む次回のコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に送信する。監視装置40の電池監視部44はこの次回のコマンドセットに含まれるn回分のコマンドに対応して応答用の電池監視情報を取得し、監視装置40の無線通信部46は、応答データを制御装置50の無線通信部54に送信することとなる。また、制御装置50の無線通信部54は、時分割のユニキャスト通信により複数の監視装置40の無線通信部46との間で通信処理を行うこととなる。このようにして処理が同様に繰り返される。
【0118】
<一周期分の複数のコマンドによるコマンドセットと「制御周期」の詳細説明>
次に、「制御周期」について詳細説明する。前述では、「制御周期」は、S21にてコマンドセットを送信するタイミングからS37において所定の処理を実行完了するまでの周期を示し何らかの制御を実行完了するまでの周期を示していると説明したが、詳細には下記のように例示できる。図7に一周期分のコマンドセットを構成する複数のコマンドと制御周期の関係性を例示している。制御装置50の無線通信部54が送信するコマンドに対する監視装置40側で処理に要する時間又はデータ処理量がコマンド毎にそれぞれ異なり、図7の縦方向に1回ごとのコマンドに対応した時間経過を図示している。
【0119】
制御周期は、電池制御コマンドの始期から終期までの区間を少なくとも含む電池監視制御に応じた周期により規定できる。制御周期は、図7に示すように、全体制御周期、電池監視IC制御周期、診断一巡制御周期、個々診断制御周期、セル電圧制御周期、コマンド制御周期に分類できる。
【0120】
<<コマンド制御周期について>>
前述の図6は、制御周期がその一例としてコマンド制御周期である場合を示した。図7の破線矢印を付した「1周目」~「13周目」として示すように、コマンド制御周期は、例えば、セル電圧取得コマンド、診断Aコマンド~診断Dコマンド、温度検出コマンド、電池監視IC切替処理コマンドといった各コマンドの開始から終了する期間に対応した周期を示している。図7の最左欄には、コマンドセットに含まれるコマンド(電池監視制御コマンド)の種類を示しており、図7中の破線矢印は、各コマンドをまとめた一つのコマンドセットの制御周期、制御期間を例示したものである。
【0121】
制御装置50の無線通信部54が監視装置40の無線通信部46に送信するコマンドは、セル電圧取得コマンド、診断Aコマンド~診断Dコマンド、温度検出コマンド、切り替え処理コマンドに分けることができる。セル電圧取得コマンドは、制御装置50から電池セル22の電圧情報を監視装置40へ向けて取得指示するコマンドを示す。
【0122】
診断Aコマンド~診断Dコマンドは、制御装置50から電池セル22の故障診断を監視装置40へ指示するコマンドを示す。診断A、診断B、診断C、診断Dは、互いに異なる種類の故障診断を示している。
【0123】
温度検出コマンドは、制御装置50から監視装置40へ向けて温度検出指示するコマンドを示す。切り替えコマンドは、電池監視ICに対するシーケンスを切替指示するためのコマンドを示す。制御装置50の無線通信部54が、制御周期としてコマンド制御周期を設定した場合、セル電圧取得コマンドごと、診断Aコマンドごと、診断Bコマンドごと、診断Cコマンドごと、診断Dコマンドごと、温度検出コマンドごと、又は、切り替え処理コマンドごとに、それぞれのコマンドをコマンドセットとして送信する。ここでは、n=1回分のコマンドごとにコマンドセットとして設定している点を例示しているが、例えば、図7の1周目のように、n=1であってもコマンドセットとしてまとめて送信する点に含まれることに留意する。ここではn=1とした例示しているが下記のように複数まとめてもよい。以下のnの記載も同様である。
【0124】
例えば、図7の上から順に示したように、制御装置50の無線通信部54が、セル電圧取得コマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は、その応答データとして電池セル22の電圧情報を応答する(図6のS24、S29、S34参照:図7の「1周目」参照)。
【0125】
その後、さらに制御装置50の無線通信部54が、「診断A」として診断Aコマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は、その応答データとして診断Aに関する故障診断結果を応答する(図7の「2周目」参照)。その後の「3周目」~「13周目」も同様であるため説明を省略する。図7に示すように、コマンド制御周期は、全体制御周期、電池監視IC制御周期、診断一巡制御周期、個々診断制御周期、セル電圧制御周期よりも短い周期となる。
【0126】
<<セル電圧制御周期について>>
セル電圧制御周期は、図7の破線矢印の「セル1周目」~「セル5周目」に示すように、電池セル22の取得開始から終了までの期間を少なくとも含んでいる。セル電圧制御周期は、さらに各診断の開始から終了までの期間や温度検出の開始から終了までの期間を含んでも良い。
【0127】
制御装置50の無線通信部54が、制御周期としてセル電圧制御周期を設定した場合、図7の破線矢印に示したように、セル電圧取得コマンドごと(n=1)、セル電圧取得コマンド及び診断Aコマンドを含むコマンドごと(n=2)、又は、セル電圧取得コマンド+診断Aコマンド及び温度検出コマンドを含むコマンドごと(n=3)、にそれぞれまとめてコマンドセットとして送信する(図7の「セル1周目」参照)。その他の説明は省略するが、図7の「セル3周目」の右破線矢印に示すように、セル電圧取得コマンドと診断Aコマンドと診断Cコマンドを含む複数の診断コマンドをまとめたコマンドセットとして送信してもよい。
【0128】
例えば、図7の上から示したように、制御装置50の無線通信部54が、セル電圧取得コマンドを含むコマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は電池セル22の電圧情報を応答する(図7の「セル1周目」の左破線矢印参照)。
【0129】
図7の上から示したように、制御装置50の無線通信部54が、セル電圧取得コマンド及び診断Aコマンドを含むコマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は、1回目~n回目の応答データとして電池セル22の電圧情報、診断Aの故障診断結果を順に応答する(図7の「セル1周目」の中央破線矢印参照)。
【0130】
図7の上から示したように、制御装置50の無線通信部54が、セル電圧取得コマンド、診断Aコマンド及び温度検出コマンドを含むコマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は、1回目~n回目の応答データとして電池セル22の電圧情報、診断Aの故障診断結果、温度検出結果を順に応答する(図7の「セル1周目」の右破線矢印参照)。
【0131】
その後の図7に示す「セル2周目」~「セル4周目」も同様であるため説明を省略する。図7に示すように、セル電圧制御周期は、全体制御周期、電池監視IC制御周期、診断一巡制御周期よりも短い周期となる。
【0132】
<<個々診断制御周期について>>
個々診断制御周期は、電池セル22の電圧取得の開始から電池セル22の診断終了までの周期、を示している。制御装置50の無線通信部54が、制御周期として個々診断制御周期を設定した場合、セル電圧取得コマンド及び診断Aコマンドを含むコマンドごと(n=2)、セル電圧取得コマンド及び診断Bコマンドを含むコマンドごと(n=2)、又は、セル電圧取得コマンド及び診断Dコマンドを含むコマンドごと(n=2)、にそれぞれまとめてn回分のコマンドセットとして送信する。
【0133】
例えば、図7の上から示したように、制御装置50の無線通信部54が、セル電圧取得コマンド及び診断Aコマンドを含むコマンドをコマンドセットとして設定した場合、監視装置40の無線通信部46は、1回目~n回目の応答データとして電池セル22の電圧情報、診断Aの故障診断結果を順に応答する(図7の「個々1周目」の破線矢印参照)。
【0134】
その後の図7に示す「個々2周目」~「個々4周目」も同様であるため説明を省略するが、図7の「個々3周目」の右破線矢印に示すように、セル電圧取得コマンドと診断Aコマンドと診断Cコマンドを含む複数の診断コマンドをまとめたコマンドセットとして送信してもよい(n=3)。この結果、個々診断制御周期において、制御装置50の無線通信部54は、診断A~診断Dのうち何れかの故障診断結果を受信することができる。図7に示すように、個々診断制御周期は、全体制御周期、電池監視IC制御周期、診断一巡制御周期よりも短い周期となる。
【0135】
<<診断一巡制御周期について>>
診断一巡制御周期は、電池セル22の電圧取得の開始から電池セル22の診断終了まで診断A~診断Dまでの故障診断を全て実行するための制御周期を示している。制御装置50の無線通信部54が、制御周期として診断一巡制御周期を設定した場合、少なくとも、セル電圧取得コマンド及び診断Aコマンド~診断Dコマンドを含み一巡の故障診断を実施可能なコマンドごとにまとめてn回分のコマンドセットとして送信する(図7の「一巡1周目」参照)。その他、図7の「一巡1周目」に含まれているように温度検出コマンドや切り替え処理コマンドを含んでコマンドセットとしてもよい。この結果、診断一巡制御周期において、制御装置50の無線通信部54は、診断A~診断Dまでの故障診断結果を全て受信できる。
【0136】
<<電池監視IC制御周期について>>
電池監視IC制御周期は、監視部44aを構成する電池監視ICの切り替え周期を含んでおり、電池監視ICにて記憶部44cの保持データをリセット又はリフレッシュすることを、図6のS37にて「所定の処理」として実行するための周期を示す。この電池監視IC制御周期は、例えばバグの値を次回の制御周期に持ち越さないための周期を示す。
【0137】
制御装置50の無線通信部54は、図7に示す「IC1周目」から「IC2周目」の直前までの複数のコマンドをコマンドセットとして全て監視装置40の無線通信部46に送信する。電池監視部44は、一連のコマンドセットに含まれる複数のコマンドに応じて処理を実行し、無線通信部46は複数のコマンドに応じた応答データを制御装置50の無線通信部54に順次送信する。
【0138】
なお電池監視部44は、切り替え処理コマンドを受信した後には、記憶部44cのレジスタに記憶された記憶データをリセット又はリフレッシュする。これにより、バグの値や古い電圧情報のデータを記憶部44cに残すことなく処理を継続できる。
【0139】
<<全体制御周期について>>
全体制御周期は、ある一つの監視装置40の電池監視ICの制御周期よりも長い期間で、複数の監視装置40に含まれる全ての電池監視部44の電池監視ICの制御を一巡するための周期を示す。このときの全体制御周期は、車両10の走行制御に関わる組電池12の出力電力制御や、ある定められた一定期間内での全ての電池監視ICによる異常監視、例えば組電池12の異常監視を所定の処理として実行するのに必要な期間として定められる。
【0140】
全体制御周期は、コマンドセットが送信されてから応答データを受信するまでの一回の通信周期よりも比較的長い期間になる。制御装置50の無線通信部54は、図7に破線矢印で示す「全1周目」から「全2周目」の直前までの複数のコマンドをまとめたコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に送信する。
【0141】
制御装置50の無線通信部54が、制御周期として全体制御周期を設定した場合、これらのセル電圧取得コマンド、診断Aコマンド~診断Dコマンド、温度検出コマンド、切り替え処理コマンドを、図7中の上から下まで示した順序で1又は複数の通信フレームにまとめてn回分のコマンドセットとして送信する。
【0142】
例えば、図7の上から順に示したように、コマンドセットの中にセル電圧取得コマンドが設定されている場合、監視装置40の無線通信部46は、それらの応答データとして電池セル22の電圧情報を順に応答する(図6のS24、S29、S34参照)。その後も、コマンドセットの中に診断Aコマンドが設定されている場合、監視装置40の無線通信部46は、それらの応答データとして診断Aに関する故障診断結果を順に応答する。
【0143】
その後も温度検出コマンド及びセル電圧取得コマンドが設定されている場合、監視装置40の無線通信部46は、それらの温度検出データ、電池セル22の電圧情報を順に応答する。それ以降の説明は省略するが、制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46に対してそれぞれ同一の通信処理を実行し、これらの応答データを受信する。その後、所定の処理を実行するが説明を省略する。
【0144】
<変形例>
この一連のコマンドセットに関わる通信では、監視装置40の無線通信部46が、例えば1回目の応答データを制御装置50の無線通信部54へ送信した後に2回目の電池監視制御コマンドを電池監視部44に送信する形態を示しているが、この順序に限定されるものではない。例えば、監視装置40の無線通信部46は、S25においてnullコマンドを受信した後、S26において1回目の応答データを送信する前に、S27において2回目の電池監視制御コマンドを電池監視部44へ送信するようにしてもよい。
【0145】
さらに制御装置50のメインマイコン53が、S37において所定の処理を実行する前又は実行中に、制御装置50の無線通信部54はn回分のコマンドを含む次回のコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に送信するようにしてもよい。このようにすることで処理を並行して進めることができ、1回のコマンドセットに対応して組電池12に関する情報をn回通信するためのn回通信周期の間隔を短縮できる。
【0146】
また制御装置50が全ての監視装置40にコマンドが行き届いていることを確認した後に、制御装置50の無線通信部54は次回のコマンドセットを送信するようにしてもよい。また、制御装置50が個々の監視装置40毎にコマンドが行き届いていることを確認した後に、制御装置50の無線通信部54は、行き届いていることが確認された監視装置40から順に次回のコマンドセットを送信するようにしてもよい。
【0147】
<技術的意義の説明>
以下、本実施形態の技術的意義について図8を参照して比較例と比較しながら説明する。仮に、制御装置50の無線通信部54が、n回分(例えば5回分)のコマンド(図8のA、B、C、D、E)をまとめたコマンドセットを送信し、これらの複数のコマンドに対する応答データ(例えば、RA+RB+RC+RD+RE)が揃って初めて制御周期ごとに所定の処理(例えば、電池制御、車両10の走行制御)を実行できるものと仮定する。制御装置50の側から、図8の「通信周期に基づくまとめ通信」として示したように、C、D、E、A、Bのコマンドをまとめてコマンドセットとして送信するような技術の場合、このコマンドセットのまとめ通信に失敗してしまうと、隣り合う2回の制御周期の両方共に応答データを活用できなくなる。
【0148】
すなわち、この図8に示した例の場合、制御装置50の無線通信部54は、前の制御周期のA、Bの応答データと、後の制御周期のC、D、Eの応答データだけ正常に受信でき、意味のないデータだけ受信結果として残ってしまう。したがって、前の制御周期及び後の制御周期の両応答データも全て揃うことなく前後の制御周期の応答データを全て破棄しなければならなくなる。
【0149】
<本実施形態のまとめ>
これに対し、本実施形態によれば、制御装置50の無線通信部54は、組電池12の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめたコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に無線送信している。
【0150】
制御装置50の無線通信部54は、電池監視に関する機能を制御する際に用いられる制御周期に基づいて複数のコマンドをまとめてコマンドセットとして送信することで、制御周期ごとに電池の状態の監視の指示をすることができる。
【0151】
制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の電池監視部44により取得された電池情報を、好適なタイミングで入手できるように通信でき、制御周期ごとにデータを取得できる。技術的意義の説明欄に示したように「まとめ通信周期」ごとにコマンドをまとめて送信する場合と比べて通信エラーの影響を抑制できる。
【0152】
前述の例では、複数のコマンドをまとめたコマンドセットとしてA+B+C+D+Eを送信することとなるため、監視装置40に対して制御周期に対応した1回の送信のみで済むことになる。タスクを処理するのに必要な時間間隔よりも短い通信周期を設定できる。
前述の技術のように「まとめ通信周期」毎にコマンドを送信する場合に比較して通信エラーの影響を抑制できる。
【0153】
また組電池12に関する情報を1回通信するための通信周期が、全ての電池セル22の電圧を取得し制御するための制御周期よりも短く設定されている。組電池12に関する情報を1回通信するための通信周期が、監視装置40により監視されるそれぞれの全ての電池セル22の温度情報、全ての電池セル22の故障診断結果を取得する時間よりも短く設定されている。これにより、組電池12に関する電池情報の取得頻度を高めることができる。
【0154】
制御装置50の無線通信部54は、今回まとめて送信された複数のコマンドを含む今回のコマンドセットに対して複数の全ての監視装置40の無線通信部46から応答があるまで、次回の複数のコマンドをまとめた次回のコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に送信することを待機するようにしている。そして、制御装置50の無線通信部54は、複数の全ての監視装置40の無線通信部46から応答があった後、次回の複数のコマンドをまとめた次回のコマンドセットを監視装置40に送信している。
【0155】
例えば、複数の監視装置40の電池監視部44が、互いに同期してそれぞれ担当の電池セル22の電圧を監視している。しかし特定の監視装置40の電池監視部44が、他の監視装置40の電池監視部44よりも比較的早く監視したり、比較的遅く監視したりすることがある。このような場合でも、制御装置50の無線通信部54は今回のコマンドセットに対する全ての応答があるまで次回のコマンドセットの送信を待機する。このため、複数の監視装置40のうち特定の監視装置40が他の監視装置40と比べて監視タイミングがずれることを極力抑制できる。
【0156】
(第2実施形態)
第2実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態では、制御装置50の無線通信部54が、2×n回分のコマンドをまとめたコマンドセットを監視装置40の無線通信部46に定期通信処理にて送信する形態を説明する。以下、第1実施形態と異なる部分について説明し、同一部分についての説明を省略する。
【0157】
定期通信処理において、図9に示すように制御装置50の無線通信部54は、接続処理が完了した監視装置40に対し、S211において2×n回分(但しn≧2)のコマンドを含むコマンドセットを1又は複数の通信フレームにて送信する。このとき制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46に対し時分割のユニキャスト通信によりコマンドセットを送信する。つまり、第1実施形態で説明したn回分のコマンドをまとめたコマンドセットを同時期に2回分送信する。
【0158】
1回分のコマンドセットは、n回分のコマンドをまとめて構成されるもので、組電池12の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応して構成される。制御装置50のメインマイコン53は、1回分のコマンドセットに対する応答データを受信することで組電池12の状態を監視できる。
【0159】
この1回分のコマンドセットに含まれるn回分のコマンドのうち1回分のコマンドには、組電池12の電圧監視用のコマンド、故障診断用の制御コマンド、又は、取得した情報の送信要求コマンドが含まれている。組電池12の電圧監視用のコマンドは電池監視情報を取得要求するために用いられるコマンドを示す。故障診断用の制御コマンドは故障診断情報を取得要求するために用いられるコマンドを示す。また、取得した情報の送信要求コマンドは、取得した情報を送信要求するために用いられる要求情報のコマンドを示す。
【0160】
監視装置40の無線通信部46は、2×n回分のコマンドを含むコマンドセットを受信すると、S221において電池監視部44に電池監視制御コマンドを指示する。電池監視制御コマンドは、図7に示すように1回目のn回分の電池セル22の電圧情報の取得指示を含む電池監視用のコマンド及び送信要求コマンドを含んでおり、電池監視情報の取得要求を実行する。本実施形態の監視装置40の無線通信部46は、マイコン45を通じて電池監視制御コマンドにより1回目のn回分の電池セル22の電圧情報の取得要求を電池監視部44に送信する。ここでは、無線通信部46は2回目のn回分の電圧情報の取得要求を電池監視部44に送信していない。
【0161】
電池監視部44は、電池監視制御コマンドを入力すると、S231においてセンシング処理を実行する。電池監視部44はセンシングを実行する際に選択回路47を通じてセル判別信号と共に各電池セル22の温度を電池監視情報として取得する。また、1回目のn回分のコマンドセットのうち1×1回目のコマンドに故障診断用の制御コマンドが含まれている場合には、電池監視部44は自己回路の故障診断を行う。
【0162】
次にS241において、電池監視部44は、取得した電池セル22の電圧情報について、1×n回目のコマンドの取得指示のうち1×1回目の電池セル22の電圧情報としてマイコン45を介して無線通信部46に送信する。このとき、セル判別信号と共に温度を含む電池監視情報を送信するとよい。また、電池監視部44は、故障診断を行った場合には故障診断情報を応答する。
【0163】
マイコン45が構成されていない場合には、電池監視部44は無線通信部46に直接情報を送信する。監視装置40の無線通信部46は、電池監視部44が取得した情報を受信する。無線通信部46は、制御装置50への電池監視情報を含む応答データを生成し記憶部46aにスプール(保持)し待機する。無線通信部46は、故障診断情報を含む応答データを生成して記憶部46aに保持してもよい。
【0164】
他方、制御装置50の無線通信部54は、前述のようにS211にて2×n回分のコマンドセットを送信すると、この時点からタイマにより応答データを受信するタイミングを計測開始する。無線通信部54は、監視装置40の電池監視部44が取得した電池情報を好適なタイミングで入手できるように通信周期を自由に設定できる。この通信周期は、定期的な固定値であってもよいが変動値であってもよい。つまりタイマの設定値を固定値にしてもよいし変動値に設定してもよい。
【0165】
制御装置50の無線通信部54は、タイマによる時間計測結果に基づき応答データを受信可能なタイミングに到達したことを確認すると、S251においてnullコマンドを送信する。制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46へnullコマンドを送信する(S251…S25n参照)。nullコマンドの送信周期は、前述の1回分の通信周期の固定値又は変動値に対応して定められる。
【0166】
監視装置40の無線通信部46は、nullコマンドを受信すると、内部の記憶部46aに保持される1×1回目の応答データを、S261において制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0167】
監視装置40の電池監視部44は、制御装置50の無線通信部54から送信されるnullコマンドの送信周期とは非同期で組電池12の電池セル22の電圧情報を監視している。なお、nullコマンドの送信周期は通信周期に相当する周期となる。また、複数の監視装置40の電池監視部44もまた、それぞれ組電池12の担当の電池セル22の電圧情報を監視している。
【0168】
図9に示すように、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54からnullコマンドを受信した後に、電池セル22の電圧情報を電池監視部44から受信する場合には、S241において当該電池セル22の電圧情報を無線通信部46にて受信した後、S261において応答データとして無線通信部54に送信するとよい。
【0169】
なお、第1実施形態(図6参照)でも説明したように、監視装置40の無線通信部46が、制御装置50の無線通信部54からnullコマンドを受信する前に電池セル22の電圧情報を電池監視部44から受信している場合には、無線通信部46の記憶部46aに保持された電池セル22の電圧情報を応答データとして無線通信部54に送信するとよい。制御装置50の無線通信部54は、S261において1×1回目の応答データを受信する。
【0170】
電池監視部44は、前述の電池制御コマンドに含まれる1回目のn回分の取得指示にしたがって、S231~S23nにてn回分のセンシング処理を実行する。この間、電池監視部44は、S221においてn回分の取得指示を含む電池監視制御コマンドを予め受信している。このため、電池監視部44は、この電池監視制御コマンドを受信したタイミングからタイマにより所定時間を計測し、所定時間を経過する度に定期的にセンシング処理を実行する。したがって、電池監視部44は、2回目以降に電池監視制御コマンドを受信しなくても、S231~S23nにおいて定期的にタイミングを計りつつセンシング処理をn回実行し続ける。
電池監視部44はセンシングを実行する際に選択回路47を通じてセル判別信号と共に各電池セル22の温度を電池監視情報として取得する。また前述のコマンドセットのコマンドに故障診断用の制御コマンドが含まれている場合には、電池監視部44は自己回路の故障診断を行う。
【0171】
電池監視部44は、センシング処理を定期的に実行すると、そのセンシング処理の度に、S241~S24nにおいてn回分の電池セル22の電圧情報を、マイコン45を介して無線通信部46に送信する。このときセル判別信号と共に温度を含む電池監視情報を送信するとよい。また、電池監視部44は、故障診断を行った場合には故障診断情報を応答する。マイコン45が構成されていない場合には、電池監視部44は無線通信部46に直接情報を送信する。
【0172】
監視装置40の無線通信部46は、S251~S25nにおいて制御装置50の無線通信部54からn回分のnullコマンドを受信すると、そのnullコマンドを受信する度に、S261~S26nにおいて電池情報の応答データを無線通信部54に送信する。
【0173】
制御装置50の無線通信部54が、S26nにおいてn回目の応答データを受信すると、制御装置50のメインマイコン53に応答データを送信する。このような一連の通信処理は、制御装置50と複数の監視装置40との間で時分割のユニキャスト通信により実施される。このため制御装置50は複数の監視装置40から応答データを受信できる。
【0174】
制御装置50のメインマイコン53は、複数の監視装置40からS261~S26nにおいて受信したn回分の応答データを参照し、S271において応答データに基づいて所定処理を実行する。S271において、制御装置50のメインマイコン53は、例えば予め定められた期間中に取得された複数の電池監視情報に基づいて所定の処理を実行する。
【0175】
例えば、本実施形態の制御装置50のメインマイコン53は、複数の監視装置40から取得した電圧情報、電池監視情報から電池セル22のセル電圧の値を取得し、さらに電池セル22に直列接続された電流センサ17を通じてセル電流の値を取得する。制御装置50のメインマイコン53は、これらのセル電圧及びセル電流に基づいて組電池12の電池セル22の内部抵抗、開放電圧を推定する。所定の処理については前述実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0176】
このような1回目のコマンドセットに対する通信処理を完了した後、監視装置40の無線通信部46は、S222aにおいて2回目のn回分の取得指示のコマンドを含む次回の電池監視制御コマンドを電池監視部44に指示する。このとき、前述したように、監視装置40の無線通信部46は、S211において2×n回分のコマンドを含むコマンドセットを受信しているため、2回目のコマンドセットもこの時点で受信できている。
【0177】
無線通信部46は、S26nにおいて1回目のコマンドセットに対応した最後のn回目の応答データを送信した後、S222aにおいて自主的にタイミングを計って2回目のn回分の取得指示を含む次回の電池監視制御コマンドを電池監視部44に送信する。
【0178】
前述と同様であるため詳細説明は省略するが、監視装置40の電池監視部44は、次回の電池監視制御コマンドに含まれるn回分の取得指示に対応して応答用の電池情報をS232aにて取得し、監視装置40の無線通信部46は、応答データを制御装置50の無線通信部54に送信することになる(図9のS252a、S242a、S262a…参照)。そして制御装置50の無線通信部54はS272aにおいて所定の処理を実行する。
【0179】
また、制御装置50の無線通信部54は、時分割のユニキャスト通信により複数の監視装置40の無線通信部46との間で通信処理を行うこととなる。このようにして、通信処理が同様に繰り返される。
【0180】
本実施形態においては、制御装置50の無線通信部54は、1回目(今回)及び2回目(次回)の2×n回分のコマンドを含むコマンドセットをまとめて監視装置40の無線通信部46に送信している。監視装置40の無線通信部46は1回目(今回)のコマンドセットに対する応答をした後に、監視装置40の無線通信部46及び電池監視部44は、2回目(次回)の1回分のコマンドセットの処理に移行するようにしている。このような実施形態においても前述実施形態と同様の作用効果を奏する。2×n回分のコマンドを含むコマンドセットを同時に送信した形態を示したが2×n回分のコマンドに限られない。3回目以降(次々回以降)の3×n回分以上のコマンドセットを同時に送信するようにしてもよい。この場合も同様の作用効果を得られる。
【0181】
(第3実施形態)
第3実施形態について図10を参照しながら説明する。第3実施形態から第5実施形態は、制御装置50と監視装置40との間の無線通信を失敗したときの処理動作について説明する。
【0182】
ここでは、第1実施形態で説明した定期通信処理において、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46に対し電池セル22の電圧取得のコマンド及び故障診断のコマンドを含むコマンドセットを送信した場合について考慮する。
【0183】
図10に示すように、監視装置40の電池監視部44は、S101において電池セル22の電圧情報を電池監視情報、電池情報として取得し、S102において電池情報に基づいて電池セル22の故障診断を行い故障診断情報として取得する。その後、監視装置40の無線通信部46は、S103において電圧監視情報及び故障診断情報を含む電池情報を応答データとして制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0184】
監視装置40の無線通信部46は、無線通信部54からの受信確認を実施する。無線通信部46は、S204において受信確認を正常受信すれば正常であると判定できる。しかし、無線通信部46は、S204において受信確認を正常に受信できなければ、S105において先に送信した電池情報の応答データを再送する。すなわち、監視装置40の無線通信部46は、電池セル22の電圧情報の電池情報と共に電池セル22の故障診断情報を合わせて制御装置50の無線通信部54に再送する。これにより、監視装置40の無線通信部46は、当該監視装置40が監視する担当の電池セル22に関する電池情報を信頼性良く無線通信部54に伝達できる。
【0185】
<まとめ>
監視装置40は、電池セル22の状態を示す情報を含む電池情報に基づき電池セル22の診断を行い、電池情報と電池セル22の診断結果を制御装置50に送信している。そして、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との無線通信に失敗した場合には、電池情報と電池の診断結果を再送している。
【0186】
本実施形態によれば、電池セル22の故障診断結果だけでなく電池情報を再送することで、電池の電圧情報の異常の確認診断だけでなく、監視装置40の内部回路の故障などの異常を検知できる。この結果、制御装置50のメインマイコン53は、電池セル22の故障診断結果を組電池12の電池セル22の電圧情報と併せて原因を詳しく調査できる。
【0187】
(第4実施形態)
第4実施形態について図11を参照しながら説明する。ここでは、第1実施形態で説明した定期通信処理において、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46に対し電池セル22の電圧取得のコマンド及び故障診断のコマンドを含むコマンドセットを送信した場合について考慮する。
【0188】
図11に示すように、監視装置40の電池監視部44は、S201において電池セル22の電圧情報を電池監視情報、電池情報として取得し、S202において電池情報に基づいて電池セル22の故障診断を行い故障診断情報として取得する。その後、監視装置40の無線通信部46は、S203において電圧監視情報及び故障診断情報を含む電池情報を応答データとして制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0189】
監視装置40の無線通信部46は、無線通信部54からの受信確認を実施する。無線通信部46は、S204において受信確認を正常受信すれば正常であると判定できる。しかし、無線通信部46は受信確認を正常に受信できなければ、S205において少なくとも電池セル22の診断結果を含む電池情報による応答データを再送する。
【0190】
すなわち、監視装置40の無線通信部46は、少なくとも電池セル22の故障診断情報を制御装置50の無線通信部54に再送する。このとき監視装置40の無線通信部46は、電池情報の一部又は全部のデータを再送せず、重要データとなる電池セル22の診断結果を再送している。これにより、監視装置40の無線通信部46は当該監視装置40が監視する担当の電池セル22の診断結果を信頼性良く無線通信部54に伝達できる。
【0191】
<まとめ>
本実施形態によれば、監視装置40は、電池情報に基づき電池セル22の診断を行い、電池情報と電池の診断結果を制御装置50に送信している。そして、監視装置40の無線通信部46は、制御装置50の無線通信部54との間の無線通信に失敗した場合には、少なくとも電池セル22の診断結果を含む電池情報を再送している。
【0192】
このとき、監視装置40の無線通信部46は、電池情報の一部又は全部のデータを再送せず、電池セル22の診断結果を再送している。通信失敗時には全てのデータを再送する場合に比較してデータ量を減らすことができる。このため、データ再送時の通信の信頼性や確実性を向上できる。
【0193】
(第5実施形態)
第5実施形態について図12を参照しながら説明する。ここでは、第1実施形態で説明した定期通信処理において、制御装置50の無線通信部54は、監視装置40の無線通信部46に対し電池セル22の電圧取得のコマンド及び故障診断のコマンドを含むコマンドセットを送信した場合について考慮する。
【0194】
図12に示すように、監視装置40の電池監視部44は、S301において電池セル22の電圧情報を電池監視情報、電池情報として取得し、S302において電池情報に基づいて電池セル22の故障診断を行い故障診断情報として取得する。その後、監視装置40の無線通信部46は、S303において電圧監視情報及び故障診断情報を含む電池情報を応答データとして制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0195】
監視装置40の無線通信部46は、無線通信部54からの受信確認を実施する。無線通信部46は、S304において受信確認を正常受信すれば正常であると判定できる。しかし、無線通信部46は受信確認を正常に受信できなければ、S305において電池セル22の電圧情報を含まない電池情報による応答データを再送する。
【0196】
ここで監視装置40の無線通信部46は、電池セル22の故障診断情報を制御装置50の無線通信部54に再送する。このとき監視装置40の無線通信部46は、電池セル22の電圧情報のデータを再送せず電池セル22の診断結果を再送している。電池セル22の電圧情報はデータ量が多く他の電池情報と比べて取得頻度が高い。監視装置40の無線通信部46は、データ量が多く取得頻度の高い電池セル22の電圧情報を再送しないため、送信するデータ量を減らすことができる。これにより、組電池12の診断結果などの他の重要データを電池セル22の電圧情報に優先して送信できるようになる。本実施形態によれば、監視装置40の無線通信部46は、電池セル22の電圧情報を再送していないため、送信データ量を減らしながら他の重要度の高いデータを応答データにできる。
【0197】
(第6実施形態)
第6実施形態について図13を参照しながら説明する。制御装置50のメインマイコン53は、電池セル22の最新の電圧情報を取得して各種情報を算出することが望ましい。このため、監視装置40の電池監視部44は、電池セル22の電圧情報を短い周期で頻繁に取得できるとよい。また、電池監視部44は多数の電池セル22の電圧情報を時系列的に取得しているため、これらのデータ量は多くなりやすい。このため監視装置40の電池監視部44は、記憶部44cから古いデータを徐々に削除するとよい。
【0198】
そこで監視装置40は、図13に示すように処理を実行するとよい。ここでは、第1実施形態で説明した定期通信処理において、制御装置50の無線通信部54が、監視装置40の無線通信部46に対し電池セル22の電圧取得のコマンド及び故障診断のコマンドを含むコマンドセットを送信した場合について考慮する。
【0199】
図13に示すように、監視装置40の電池監視部44は、S401において電池セル22の電圧情報を電池監視情報、電池情報として取得し、S402において電池情報に基づき電池セル22の故障診断を行い故障診断情報として取得する。その後、監視装置40の無線通信部46は、S403において電圧監視情報及び故障診断情報を含む電池情報を応答データとして制御装置50の無線通信部54に送信する。
【0200】
監視装置40の無線通信部46は、無線通信部54からの受信確認を実施する。無線通信部46は、S404において受信確認を正常受信すれば正常であると判定できる。しかし、無線通信部46は受信確認を正常に受信できなければ、S405において電池監視部44は記憶部44cに記憶された電池セル22の電圧情報を削除する。このとき電池監視部44は、取得した電池セル22の電圧情報のうち一番過去に取得した電圧情報から削除するとよい。無線通信部46も同様に、記憶部46aから徐々にデータを削除するとよい。
【0201】
その後、監視装置40の電池監視部44が、S406において電池セル22の電圧情報を改めて取得し、S407において電池セル22の電圧情報を再送する。これにより、監視装置40の電池監視部44は、古いデータを削除しながら、電池セル22の電圧情報を新たに取得して再送できる。
【0202】
なお、監視装置40の電池監視部44は、S402において電池セル22の電圧情報に基づいて電池セル22を診断し診断結果を取得するが、この診断情報は後々の解析用に重要なデータになるため、記憶部46a又は44cから削除せず、保存し続けることが望ましい。このとき診断情報は、電池監視部44の記憶部44cに保持しておいてもよいし、無線通信部46の記憶部46aに保持しておいてもよい。これにより、電池セル22を効率的に監視しつつ、記憶部44c、46aのメモリ容量の逼迫を防ぐことができる。
【0203】
(第7実施形態)
第7実施形態について図14を参照しながら説明する。図14に示すように、監視装置40は複数の電池モジュール20の上面上にそれぞれ配置されていてもよい。監視装置40は、Y方向に延設された電池モジュール20の中間地点に配置されており、Y方向の両方向に検出線Lを接続している。図14には、各電池モジュール20の上面上においてY方向中央位置に位置して監視装置40を配置した形態を示しているが、必ずしもY方向中央に監視装置40を配置しなくてもよい。Y方向中央に限らずY方向の中間地点であれば何れの位置に配置されていてもよい。
【0204】
監視装置40は、それぞれ電池監視部44を搭載しており、電池監視部44にそれぞれ検出線Lを接続して構成される。電池監視部44は、1又は複数の電池監視ICによる集積回路装置により構成される。電池監視部44は、各電池モジュール20の複数の電池セル22の電圧を検出線Lにより検出できる。監視装置40の上端はバスバーカバー27の上端よりもZ方向に突出して配置される。
【0205】
前述実施形態と同様に、制御装置50は無線通信部54を搭載しており、監視装置40は無線通信部46を搭載している。筐体30は、Z方向上内端に隙間を備えており当該隙間を無線の伝搬空間S2として備える。制御装置50は複数の監視装置40との間で伝搬空間S2を経て無線通信できる。制御装置50の無線通信部54が複数の監視装置40の無線通信部46との間で直接波により通信できれば無線伝搬環境を良好に保つことができる。
【0206】
監視装置40は、バスバーカバー27の上端より突出して配置されるため、無線がバスバーカバー27の上端より上方の伝搬空間S2を伝搬することで、制御装置50と監視装置40との間で通信しやすくなる。本実施形態によれば、監視装置40を電池モジュール20のY方向側面に配置しなくてもよいため、筐体30のY方向幅を抑制でき筐体30を小型化できる。
【0207】
(第8実施形態)
第8実施形態について図15を参照しながら説明する。図15に示すように、監視装置40は、各電池モジュール20のY方向側面沿ってそれぞれ配置されている。監視装置40は、無線通信部46及び電池監視部44を備えており、電池監視部44は、検出線Lに接続されている。電池監視部44は各監視装置40に複数備えていてもよい。電池監視部44はY方向に延設される検出線Lの一端に接続されており、これにより、電池セル22の電圧を検出できる。
【0208】
第1実施形態と同様に、筐体30の第1壁面30aの内脇には空間S1が設けられている。制御装置50の無線通信部54は、複数の監視装置40の無線通信部46との間で空間S1を疑似導波路空間として用いることで無線通信できる。複数の監視装置40は、X方向に沿って周期的(例えば、等間隔)に配置されている。このような第8実施形態の配置態様であっても、前述の第1実施形態と同様に低背化しながら配置できる。
【0209】
(第9実施形態)
第9実施形態について図16を参照しながら説明する。図16に示すように、監視装置40は、電池モジュール20のX方向側面に沿ってそれぞれ配置されていてもよい。検出線Lは、各電池モジュール20の上面に沿って配置されているが、各電池モジュール20のY方向側面をL字型に経由してX方向側面にまで延設されており、さらにY方向に沿ってX方向側面の監視装置40まで接続されている。
【0210】
前述実施形態と同様に、制御装置50は、複数の監視装置40との間で無線接続されている。このような第9実施形態の配置態様であっても、前述の第1実施形態と同様に低背化しながら構成できる。本実施形態によれば、監視装置40を電池モジュール20のY方向側面に配置しなくてもよいため、筐体30のY方向幅を抑制でき、筐体30を小型化できる。
【0211】
しかも、監視装置40を電池モジュール20の上面上に配置しなくてもよいため、筐体30のZ方向高さを抑制でき筐体30を小型化できる。制御装置50と複数の監視装置40との間の通信接続環境を重視する場合には、筐体30のY方向端又はZ方向上端に前述実施形態に示した空間S1又はS2を設けるとよい。
【0212】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。電池監視システム1が車両10に搭載されている形態を示したが、車両10に搭載されるシステムに限定されるものではない。屋外や屋内に定置した定置式の電池監視システム1に適用してもよい。例えば、電池交換ステーション、電池ラック等に組み込まれた制御装置50と監視装置40とが無線通信すること電池監視システム1を構成してもよい。
【0213】
前述実施形態では、通信周期が制御周期よりも短く設定されている形態を示したが、これに限定されるものではない。通信周期は制御周期と同じ間隔と同じでもよいし長くても良い。さらに、組電池12に関する情報を1回通信するための通信周期は全ての電池セル22の電圧を取得する時間となる制御周期、監視装置40のそれぞれの全ての電池セル22の温度情報、全ての電池セル22の故障診断結果よりも短く設定されていると、電池情報の取得頻度を高めることができる。
【0214】
前述実施形態では、電池監視システム1が、制御装置50を中心とする複数の監視装置40をスター型にネットワーク接続しておりパケット通信可能になっている例を示した。しかしながら、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは、このような例に限定されない。
【0215】
制御装置50と監視装置40とは、メッシュネットワークを形成していてもよい。またスター結線のネットワーク、メッシュネットワーク、及びデイジーチェーン型のネットワークの少なくとも二つ以上を混在してネットワークを構成しても良い。ここでのネットワーク構成は、複数の監視装置40をグループ化して有線接続して1つのネットワークを構成し、このグループ化された複数の監視装置40を一つのデバイスとして機能させる構成を適用している。この際のメッシュネットワークは、制御装置50と複数グループの監視装置40とをネットワーク形成したトポロジにより構成されている。このネットワーク構成を適用しても良い。
【0216】
また、制御装置50と監視装置40とは、デイジーチェーン型のネットワーク接続をしていてもよい。スター型のネットワーク、メッシュネットワーク、及びデイジーチェーン型のネットワークの少なくとも二つ以上を混在してネットワークを構成しても良い。制御装置50と監視装置40とは無線接続ネットワークを構成する形態を例示しているが、有線接続ネットワークを混在させて構成しても良い。このように、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは特に限定されるものではない。
【0217】
例えば、無線通信部46は無線送信部と無線受信部とに機能を分けてハードウェア構成しても良い。監視装置40がマイコン45を備えない構成を適用してもよい。すなわち、無線通信部46が無線ICのみで構成されており、電池監視部44との間で通信接続するように構成しても良い。電池監視部44によるセンシング制御や、自己診断のスケジュール制御は、制御装置50のメインマイコン53が実行してもよい。
【0218】
制御装置50のメインマイコン53が、セル電圧及びセル電流に基づいて電池セル22の内部抵抗、開放電圧を推定し、推定した内部抵抗、開放電圧に基づいてSOHを算出する例を示した。しかしながら、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出は、このような例に限定されない。例えば、内部抵抗の推定、開放電圧の推定、及び、SOHの算出のうち、一部又は全部の処理を監視装置40の内部、例えば無線通信部46が行ってもよい。
【0219】
制御装置50からの取得要求に基づいて、監視装置40が電池関連情報を取得する例を示したがこれに限られるものではない。監視装置40が自律的に電池関連情報を取得し、制御装置50からの送信要求に基づいて、保持している電池関連情報を制御装置50に送信しても良い。
【0220】
前述実施形態では、制御装置50を中心として複数の監視装置40をスター型に無線ネットワーク接続している例を示した。しかしながら、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは、このような例に限定されない。有線接続ネットワークを混在させて構成しても良い。このように、制御装置50と監視装置40とのネットワークトポロジは特に限定されるものではない。
【0221】
組電池12を構成する電池モジュール20及び電池セル22の配置や個数は上記した例に限定されるものではない。監視装置40及び/又は制御装置50の電池パック11内における配置形態は、上記した形態に限定されるものではない。
【0222】
電池パック11に一つの制御装置50が備えられる例を示したが、これに限定されるものではなく、複数の制御装置50を備えてもよい。つまり電池パック11の中に複数の監視装置40と一つ以上の制御装置50を備えていればよい。電池パック11の中では、制御装置50と複数の監視装置40との間に構築される無線通信のシステムを複数組備えてもよい。
【0223】
監視装置40が電池監視部44を一つ備える形態を示したが、これに限定されるものではなく、複数の電池監視部44(センサIC)を備えていてもよい。無線通信部46がマイコン45を備えない構成としてもよく、この場合、メインマイコン53が上記した無線通信部46の機能の一部を構成してもよい。
【0224】
一又は二つの電池モジュール20ごとに一つの監視装置40を配置する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、3以上の複数の電池モジュール20に対して一つの監視装置40を配置しても良い。例えば、一つの電池モジュール20に対して2以上の複数の監視装置40を配置しても良い。
【0225】
前述実施形態では、一つの電池モジュール20を一つのグループとし、このグループを複数並設して電池パック11に収納した形態を説明したが、これに限られるものではない。一つのグループは、一つの電池モジュール20、一つの電池スタック、一つの電池ブロックを単位として設けなくてもよい。一つの電池モジュール20を分割した電池セル22を一つのグループと見做しても良い。また例えば、セルトゥパック、セルトゥシャーシの形態にて、電池セル22がモジュールレスで車両10の中にパック化して収納される場合もある。このような場合には、1又は複数の電池セル22を備えた集まりをグループとして見做しても良い。
【0226】
監視装置40は、電池セル22の複数のグループに跨って構成されていてもよい。この場合、複数の電池監視部44がグループ毎に設けられているとよい。監視装置40は、グループごとに設けられていてもよく、この場合、電池監視部44はグループごとの電池セル22を監視するように構成されているとよい。各グループに含まれる電池セル22の個数は互いに同一個数でなくてもよく、グループごとに異なっていてもよい。
【0227】
本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。
【0228】
もしくは、本開示に記載の制御装置50、監視装置40、上位ECU16及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0229】
つまりプロセッサ等が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。たとえばプロセッサが備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、ひとつ以上のICなどを用いて実現する態様が含まれる。
【0230】
プロセッサは、CPU、MPU、GPU、又はDFPを用いて実現されていてもよい。DFPは、Data Flow Processorの略を示す。プロセッサは、CPU、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。プロセッサは、システムオンチップ(SoC)として実現されていても良い。SoCは、System on Chipの略称である。
【0231】
さらに、前述実施形態に説明した各種の処理を実行する部分は、FPGAやASICなどのハードウェアを用いて実現されていても良い。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDDやSSD、フラッシュメモリ、SDカードなど、多様な記憶媒体を採用可能である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略を示す。HDDは、Hard disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。SDは、Secure Digitalの略称である。
【0232】
本件は、特許請求の範囲に記載の発明に加え、以下のような発明を含む。
[1]
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御する制御装置であって、
前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて前記監視装置に無線送信する無線通信部(54)を備える、制御装置。
【0233】
[2]
前記無線通信部が前記監視装置との間で電池情報を通信するための通信周期は、前記制御周期よりも短く設定されている[1]に記載の制御装置。
【0234】
[3]
前記まとめて送信された複数のコマンドに対する応答が全ての複数の前記監視装置から返信された後に、前記無線通信部は、次回以降のコマンドを前記監視装置に無線送信する[1]又は[2]に記載の制御装置。
【0235】
[4]
前記まとめて送信された複数のコマンドに対する前記監視装置からの全ての応答、及び、前記コマンドに対応する電池情報、を受信できているか否かを判定する受信情報判定部(54a)を備える、[1]から[3]の何れか一つに記載の制御装置。
【0236】
[5]
[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池の状態を示す情報を含む電池情報に基づき前記電池の診断を行い、前記電池情報と前記電池の診断結果を前記制御装置に送信し、
前記監視装置は、前記制御装置との無線通信に失敗した場合には、前記電池情報と前記電池の診断結果を再送する、監視装置。
【0237】
[6]
[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池情報に基づき前記電池の診断を行い、前記電池情報と前記電池の診断結果を制御装置に送信し、
前記監視装置は、前記制御装置との無線通信に失敗した場合には、少なくとも前記電池の診断結果を含む電池情報を再送する、監視装置。
【0238】
[7]
[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池の電圧情報を含む前記電池情報を保存する記憶部(44c、46a)を備え、
前記監視装置は、前記制御装置との無線通信に失敗すると、前記電池情報のうち前記電池情報の電圧情報を前記記憶部(44c、46a)から削除する、監視装置。
【0239】
[8]
[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、前記電池情報と共に前記制御装置から受信したコマンドに関する情報を送信する、監視装置。
【0240】
[9]
[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置と通信する監視装置であって、
前記監視装置は、
電池情報を取得する監視部(44a)と、
前記電池情報のアナログ値をデジタル値に変換して出力する変換部(44b)と、
前記電池情報のデジタル値を記憶する記憶部(44c)と、
前記制御装置と無線通信する無線通信部(46)と、を有し、
前記監視装置の無線通信部(46)は、
前記記憶部から電池情報を外部に出力させることを指令するコマンドと、
前記外部に出力させることを指令する前記コマンドに基づいて得られる電池情報と、
を合わせて同じ通信フレームにおいて前記制御装置の無線通信部(54)に送信する、
監視装置。
【0241】
[10]
前記監視装置から前記電池情報及び前記コマンドを受信すると、当該電池情報及び前記コマンドを受信すべき順序を示す順序情報に基づいて正しく受信されているか否かを判定する順序判定部(54b)を備える、[1]から[4]の何れか一つに記載の制御装置。
【0242】
[11]
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する複数の監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御装置により制御する過程を備え、
制御装置が、前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて無線通信部(54)により前記監視装置に無線送信する過程を備える制御方法。
【0243】
[12]
電池の状態を示す情報を含む電池情報を取得し前記電池情報を送信する複数の監視装置(40)との間で無線通信を行い前記電池情報に基づいて前記監視装置を制御する制御装置に実行させるプログラムであって、
制御装置に、
前記電池の状態の監視の制御のために設定される制御周期に対応するように複数のコマンドをまとめて無線通信部(54)により前記監視装置に無線送信する手順を実行させるプログラム。
【0244】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0245】
図面中、1は電池監視システム、12は組電池(電池)、16は上位ECU(制御装置)、22は電池セル(電池)、40は監視装置、46は無線通信部、50は制御装置、54は無線通信部、を示す。
図1
図2
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