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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127507
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】医療用具の包装袋
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240912BHJP
   A61M 39/08 20060101ALI20240912BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M25/00
A61M39/08
A61J1/14 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036696
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 広梓
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C047AA22
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB20
4C047BB28
4C047CC30
4C047GG03
4C066NN20
4C267AA34
(57)【要約】
【課題】空輸の際に医療用具が内部で動き難い包装袋を提供する。
【解決手段】医療用具の包装袋であって、第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、前記非固定部に囲まれ、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第1固定部と、前記非固定部内に配置された医療用具とを有し、前記包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときに前記医療用具が動かないように、前記非固定部内の空気が抜かれて前記医療用具が密封されている医療用具の包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用具の包装袋であって、
第1シート部と、
前記第1シート部に対向する第2シート部と、
前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、
前記非固定部に囲まれ、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第1固定部と、
前記非固定部内に配置された医療用具とを有し、
前記包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときに前記医療用具が動かないように、前記非固定部内の空気が抜かれて前記医療用具が密封されている医療用具の包装袋。
【請求項2】
更に、第1の方向に延在し、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第1直線状固定部と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延在し、前記第1の方向に間隔を空けて、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第2直線状固定部と第3直線状固定部と、を有し、
前記第1固定部は、前記第2直線状固定部と前記第3直線状固定部の間に位置している請求項1に記載の医療用具の包装袋。
【請求項3】
更に、前記第2直線状固定部と前記第3直線状固定部とに連結するように延在し、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第4直線状固定部を有しており、
前記第1固定部は、前記第1直線状固定部と前記第4直線状固定部の間に位置している請求項2に記載の医療用具の包装袋。
【請求項4】
前記第1固定部は、前記第1直線状固定部よりも前記第4直線状固定部に近く、且つ前記第3直線状固定部よりも前記第2直線状固定部に近い請求項3に記載の医療用具の包装袋。
【請求項5】
前記少なくとも1つの医療用具は、巻回部を有する管状体と、最大辺の長さが前記巻回部の外径よりも小さい小袋とを有しており、
前記第1固定部の外縁から前記第2直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離、及び前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離は、それぞれ、前記小袋の最小辺よりも小さい請求項4に記載の医療用具の包装袋。
【請求項6】
前記医療用具の外縁と前記第1固定部の外縁との最短直線距離は、前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離よりも小さい請求項4に記載の医療用具の包装袋。
【請求項7】
前記医療用具の外縁から前記第1直線状固定部の内縁までの最短直線距離、および/または前記医療用具の外縁から前記第4直線状固定部の内縁までの最短直線距離は、前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離よりも大きい請求項4に記載の医療用具の包装袋。
【請求項8】
前記第1シート部と、前記第1シート部に対向する前記第2シート部は、シートを折り曲げることにより形成されており、
前記第1シート部と前記第2シート部の間の折り目は、前記第1直線状固定部と対向している請求項2に記載の医療用具の包装袋。
【請求項9】
前記第1固定部は、前記第1直線状固定部よりも前記折り目に近く、且つ前記第3直線状固定部よりも前記第2直線状固定部に近い請求項8に記載の医療用具の包装袋。
【請求項10】
前記少なくとも1つの医療用具は、巻回部を有する管状体と、最大辺の長さが前記巻回部の外径よりも小さい小袋とを有しており、
前記第1固定部の外縁から前記第2直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離、及び前記第1固定部の外縁から前記折り目に至るまでの最短直線距離は、それぞれ、前記小袋の最小辺よりも小さい請求項9に記載の医療用具の包装袋。
【請求項11】
前記医療用具の外縁と前記第1固定部の外縁との最短直線距離は、前記折り目から前記第1固定部の外縁に至るまでの最短直線距離よりも小さい請求項9に記載の医療用具の包装袋。
【請求項12】
前記医療用具の外縁から前記第1直線状固定部の内縁までの最短直線距離、および/または前記医療用具の外縁から前記折り目までの最短直線距離は、前記折り目から前記第1固定部の外縁に至るまでの最短直線距離よりも大きい請求項9に記載の医療用具の包装袋。
【請求項13】
前記包装袋の平面視において、前記第1固定部は、円状、楕円状、多角形状、または角丸多角形状である請求項1に記載の医療用具の包装袋。
【請求項14】
前記第1固定部は、全周にわたって前記非固定部に囲まれている請求項1に記載の医療用具の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具の包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管の狭窄病変を治療するためのバルーンカテーテルや、造影剤、薬剤を血管内に投与するためのカテーテル等は、所定の形状の収容具に収容されて保管、運搬されている。このような収容具として、例えば特許文献1には、組み合わせて使用される複数の医療用長尺体を収容する収容具であって、医療用長尺体の各々を収容するために環状に巻回された複数の管体が互いに連結されてなる収容具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/104189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特許文献1に開示されているような収容具により巻回された医療用のカテーテル等の医療用具は、密封袋で包装された状態で運搬されることがある。運搬方法に関して、例えば空輸の際には、周囲の気圧が低くなり、包装袋内に残存した気体が膨張する結果、包装袋内で医療用具が動き易くなることが本発明者の検討により分かった。本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、空輸の際に医療用具が内部で動き難い包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係る包装袋は、以下の通りである。
[1]医療用具の包装袋であって、
第1シート部と、
前記第1シート部に対向する第2シート部と、
前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、
前記非固定部に囲まれ、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第1固定部と、
前記非固定部内に配置された医療用具とを有し、
前記包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときに前記医療用具が動かないように、前記非固定部内の空気が抜かれて前記医療用具が密封されている医療用具の包装袋。
【0006】
上記の通り、標準気圧下において非固定部内で医療用具が動かない程度に空気が抜かれて密封されていることにより、空輸の際の包装袋内の気体の膨張を低減することができる。更に、包装袋が第1固定部を有していることにより、空輸の際に包装袋内の気体が膨張しても、第1固定部が医療用具の動きを抑制するため、医療用具は袋内で動き難くなる。
【0007】
実施の形態に係る包装袋は、以下の[2]~[14]のいずれかであることが好ましい。
[2]更に、第1の方向に延在し、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第1直線状固定部と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延在し、前記第1の方向に間隔を空けて、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第2直線状固定部と第3直線状固定部と、を有し、
前記第1固定部は、前記第2直線状固定部と前記第3直線状固定部の間に位置している[1]に記載の医療用具の包装袋。
[3]更に、前記第2直線状固定部と前記第3直線状固定部とに連結するように延在し、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されている第4直線状固定部を有しており、
前記第1固定部は、前記第1直線状固定部と前記第4直線状固定部の間に位置している[2]に記載の医療用具の包装袋。
[4]前記第1固定部は、前記第1直線状固定部よりも前記第4直線状固定部に近く、且つ前記第3直線状固定部よりも前記第2直線状固定部に近い[3]に記載の医療用具の包装袋。
[5]前記少なくとも1つの医療用具は、巻回部を有する管状体と、最大辺の長さが前記巻回部の外径よりも小さい小袋とを有しており、
前記第1固定部の外縁から前記第2直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離、及び前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離は、それぞれ、前記小袋の最小辺よりも小さい[3]または[4]に記載の医療用具の包装袋。
[6]前記医療用具の外縁と前記第1固定部の外縁との最短直線距離は、前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離よりも小さい[3]~[5]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
[7]前記医療用具の外縁から前記第1直線状固定部の内縁までの最短直線距離、および/または前記医療用具の外縁から前記第4直線状固定部の内縁までの最短直線距離は、前記第1固定部の外縁から前記第4直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離よりも大きい[3]~[6]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
[8]前記第1シート部と、前記第1シート部に対向する前記第2シート部は、シートを折り曲げることにより形成されており、
前記第1シート部と前記第2シート部の間の折り目は、前記第1直線状固定部と対向している[2]に記載の医療用具の包装袋。
[9]前記第1固定部は、前記第1直線状固定部よりも前記折り目に近く、且つ前記第3直線状固定部よりも前記第2直線状固定部に近い[8]に記載の医療用具の包装袋。
[10]前記少なくとも1つの医療用具は、巻回部を有する管状体と、最大辺の長さが前記巻回部の外径よりも小さい小袋とを有しており、
前記第1固定部の外縁から前記第2直線状固定部の内縁に至るまでの最短直線距離、及び前記第1固定部の外縁から前記折り目に至るまでの最短直線距離は、それぞれ、前記小袋の最小辺よりも小さい[8]または[9]に記載の医療用具の包装袋。
[11]前記医療用具の外縁と前記第1固定部の外縁との最短直線距離は、前記折り目から前記第1固定部の外縁に至るまでの最短直線距離よりも小さい[8]~[10]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
[12]前記医療用具の外縁から前記第1直線状固定部の内縁までの最短直線距離、および/または前記医療用具の外縁から前記折り目までの最短直線距離は、前記折り目から前記第1固定部の外縁に至るまでの最短直線距離よりも大きい[8]~[11]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
[13]前記包装袋の平面視において、前記第1固定部は、円状、楕円状、多角形状、または角丸多角形状である[1]~[12]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
[14]前記第1固定部は、全周にわたって前記非固定部に囲まれている[1]~[13]のいずれかに記載の医療用具の包装袋。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成により、空輸の際に医療用具が内部で動き難い包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、医療用具が内部に配置された第1の実施の形態に係る包装袋の平面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図1の包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときの図である。
図4図4は、図1の包装袋の周囲を低圧にしたときのA-A断面図である。
図5図5は、医療用具が内部に配置された第2の実施の形態に係る包装袋の平面図である。
図6図6は、図5のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態に係る包装袋は、医療用具の包装袋であって、第1シート部と、第1シート部に対向する第2シート部と、第1シート部と第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、非固定部に囲まれ、第1シート部と第2シート部が互いに固定されている第1固定部と、非固定部内に配置された医療用具とを有し、包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときに非固定部内で医療用具が動かないように、非固定部内の空気が抜かれて医療用具が密封されている。
【0012】
上記の通り、標準気圧下において非固定部内で医療用具が動かない程度に空気が抜かれて密封されていることにより、空輸の際の包装袋内の気体の膨張を低減することができる。更に、包装袋が第1固定部を有していることにより、空輸の際に包装袋内の気体が膨張しても、第1固定部が医療用具の動きを抑制するため、医療用具は袋内で動き難くなる。
【0013】
以下では、図1図4を参照しながら、第1の実施の形態に係る医療用具の包装袋について詳述する。図1は、医療用具が内部に配置された第1の実施の形態に係る包装袋の平面図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、図1の包装袋を標準気圧下で鉛直方向に吊り下げたときの図である。図4は、図1の包装袋の周囲を低圧にしたときのA-A断面図である。
【0014】
図1図2に示す通り、第1の実施の形態に係る医療用具80の包装袋30は、第1シート部1と、第1シート部1に対向する第2シート部2と、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されていない非固定部3と、非固定部3に囲まれ、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第1固定部4と、非固定部3内に配置された医療用具80とを有している。更に図3に示す通り、包装袋30を標準気圧下で鉛直方向Vに吊り下げたときに非固定部内で医療用具80が動かないように、非固定部3内の空気が抜かれて医療用具80が密封されている。
【0015】
第1固定部4により、包装袋30内において医療用具80の移動が制限されるため、例えば図4のように空輸の際に包装袋30内に残存している気体が膨張しても、医療用具80が包装袋30内で動き難くなる。包装袋30は、第1固定部4を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。
【0016】
図2の第1固定部4では、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている。第1固定部4では、例えば溶着、接着、またはこれらの組み合わせにより、第1シート部1と第2シート部2の内面が互いに固定されていることが好ましい。これにより包装袋30のコストを低減することができる。
【0017】
図1に示す通り、包装袋30の平面視において、第1固定部4は、円状、楕円状、多角形状、または角丸多角形状であることが好ましく、円状または楕円状であることがより好ましく、円状であることが更に好ましい。これにより第1固定部4の位置を把握し易くなる。そのため、多数の包装袋30を開封する場合において、第1固定部4を目印に向きを揃えることができるため、開封の作業を機械的に行い易くなる。
【0018】
第1固定部4は、非固定部3に囲まれた部分である。第1固定部4が非固定部3に囲まれている態様としては、例えば、図1に示す通り第1固定部4が全周にわたって非固定部3に囲まれている態様、第1固定部4の全周のうちの一部が非固定部3に囲まれている態様等が挙げられる。
【0019】
図1に示す通り、第1固定部4は、全周にわたって非固定部3に囲まれていることが好ましい。これにより、第1固定部4が目印として機能し易くなるため、多数の包装袋30を開封する場合に、機械的に作業を行い易くなる。なお第1固定部4は、後述する複数の直線状固定部のうちの少なくとも1つと繋がっていてもよく、複数の直線状固定部のうちのいずれか1つと繋がっていてもよい。
【0020】
平面視において、第1固定部4は、非固定部3の中心から非固定部3の外縁に至るまでの最長直線距離の1/2以上の距離、非固定部3の中心から離れていることが好ましい。これにより開封時に第1固定部4を切除し易くなる。当該距離は、より好ましくは上記最長直線距離の2/3以上の距離である。一方、第1固定部4は、上記最長直線距離の1/10以上の距離、非固定部3の外縁から離れていることが好ましい。これにより、医療用具80が侵入し難い領域を確保し易くすることができる。当該距離は、より好ましくは上記最長直線距離の2/10以上の距離である。
【0021】
第1シート部1と第2シート部2は、それぞれ、樹脂フィルムを含んでいることが好ましく、樹脂フィルムからなることがより好ましい。これにより、医療用具80は包装袋30により密封され易くなる。樹脂フィルムとして、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層、塩化ビニル層、ポリウレタン層、ポリスチレン層、ポリアミド層、ABS樹脂層、またはこれらの積層体が好ましい。これらのうち、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリアミド層、ABS樹脂層、またはこれらの積層体は、ヒートシール性樹脂として機能し得る。
【0022】
第1シート部1と第2シート部2は、それぞれ、樹脂フィルム以外の他の層を更に含んでいてもよい。他の層として、例えば不織布、織布、紙材、またはこれらの積層体が挙げられる。
【0023】
第1シート部1と第2シート部2は、互いに同じ素材を含むことが好ましく、同じ素材からなることが好ましい。
【0024】
第1シート部1と第2シート部2は、例えば、第1のシートと第2のシートとを重ね合わせて、これらの外縁部または外縁部近傍を互いに固定することにより形成することができる。これらの外縁部または外縁部近傍は、溶着、接着、またはこれらの組み合わせにより、固定されていることが好ましい。
【0025】
図1図2に示す通り、非固定部3は、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されていない部分であり、非固定部3内には医療用具80が配置されている。図2の非固定部3において、第1シート部1と第2シート部2の内面が互いに接触している部分が存在するが、当該部分では互いに内面は固定されていない。包装袋30は、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている複数の直線状固定部を有していることが好ましい。これにより、医療用具80を密封し易くなる。複数の直線状固定部は、包装袋30の外縁部に位置することが好ましい。
【0026】
例えば図3に示す通り、包装袋30を標準気圧下で鉛直方向Vに吊り下げたときに医療用具80が動かないように、非固定部3内の空気が抜かれて医療用具80が密封されている。詳細には、図3の収容器40内の気圧は標準気圧となるように制御されている。収容器40内には、支持棒41の軸方向が水平方向となるように支持棒41が配置されており、支持棒41の両端部が収容器40の内側面に固定されている。更に、支持棒41の中心には、把持具42が固定されている。更に把持具42により包装袋30の上端部が把持されて、包装袋30が鉛直方向Vに吊り下げられている。例えばこのような状態において、非固定部3内で医療用具80が動かないように、非固定部3内の空気が抜かれて医療用具80が密封されていればよい。これにより、空輸の際の包装袋30内に残存している気体の膨張を低減することができる。なお、非固定部3内の空気が完全に抜かれて、非固定部3内は真空状態であってもよい。
【0027】
標準気圧下の非固定部3において、第1シート部1の内面は、第2シート部2の内面と医療用具80に80面積%以上の割合で接触していることが好ましく、90面積%以上の割合で接触していることがより好ましく、95面積%以上の割合で接触していることが更に好ましい。これにより非固定部3内において医療用具80が動き難くなる。一方、当該割合は、99面積%以下であることが好ましい。これにより、過度な脱気に伴う医療用具80の損傷を回避し易くすることができる。同様に、標準気圧下の非固定部3において、第2シート部2の内面は、第1シート部1の内面と医療用具80に80面積%以上の割合で接触していることが好ましく、90面積%以上の割合で接触していることがより好ましく、95面積%以上の割合で接触していることが更に好ましい。一方、当該割合は、99面積%以下であることが好ましい。
【0028】
図1に示す通り、包装袋30は、更に、第1の方向D1に延在し、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第1直線状固定部11と、第1の方向D1と交差する第2の方向D2に延在し、第1の方向D1に間隔を空けて、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第2直線状固定部12と第3直線状固定部13と、を有していることが好ましい。更に、第1固定部4は、第2直線状固定部12と第3直線状固定部13の間に位置していることが好ましい。これにより、第1直線状固定部11と第2直線状固定部12と第3直線状固定部13とに囲まれた領域に医療用具80を配置することができ、更に当該領域内の第1固定部4により、非固定部3内の空気が膨張しても医療用具80を動き難くすることができる。
【0029】
第1の方向D1と第2の方向D2のなす角度は、好ましくは80度以上、100度以下、より好ましくは85度以上、95度以下である。
【0030】
第2直線状固定部12の延在方向と、第3直線状固定部13の延在方向は、平行であることが好ましい。第2直線状固定部12の延在方向は、第3直線状固定部13の延在方向に対して、±10度以下の角度で傾斜していてもよく、±5度以下の角度で傾斜していてもよい。
【0031】
更に、第2直線状固定部12と第3直線状固定部13とに連結するように延在し、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第4直線状固定部14を有していることが好ましい。更に、第1固定部4は、第1直線状固定部11と第4直線状固定部14の間に位置していることが好ましい。これにより、第1直線状固定部11と第2直線状固定部12と第3直線状固定部13と第4直線状固定部14とに囲まれた領域に医療用具80を配置することができ、更に当該領域内の第1固定部4により、非固定部3内の空気が膨張しても医療用具80を動き難くすることができる。第4直線状固定部14は、第1の方向D1に延在していることが好ましい。
【0032】
第1直線状固定部11の延在方向と、第4直線状固定部14の延在方向は、平行であることが好ましい。第1直線状固定部11の延在方向は、第4直線状固定部14の延在方向に対して、±10度以下の角度で傾斜していてもよく、±5度以下の角度で傾斜していてもよい。
【0033】
図1に示す通り、第1直線状固定部11、第2直線状固定部12、第3直線状固定部13、及び第4直線状固定部14により、内縁と外縁が多角形である固定部が形成されていることが好ましく、内縁と外縁が4角形である固定部が形成されていることがより好ましく、内縁と外縁が長方形である固定部が形成されていることが更に好ましい。
【0034】
第1直線状固定部11、第2直線状固定部12、第3直線状固定部13、及び第4直線状固定部14のうちの少なくとも1つの直線状固定部は、包装袋30の外縁部に位置することが好ましいが、包装袋30の外縁部よりも内側に位置していてもよい。
【0035】
第1固定部4は、第1直線状固定部11よりも第4直線状固定部14に近く、且つ第3直線状固定部13よりも第2直線状固定部12に近いことが好ましい。これにより、非固定部3の中心を通り、第1の方向D1に延在する仮想線をX軸、非固定部3の中心を通り、第2の方向D2に延在する仮想線をY軸とし、非固定部3のうちX軸とY軸により区画される4つの象限をそれぞれ第1象限、第2象限、第3象限、第4象限としたとき、第3象限において医療用具80が侵入し難い領域を確保することができる。
【0036】
図1に示す通り、少なくとも1つの医療用具80は、巻回部82を有する管状体81と、最大辺83aの長さが巻回部82の外径82Dよりも小さい小袋83とを有していることが好ましい。包装袋30を密封するときに小袋83内の空気は脱気し難いため、小袋83の最大辺83aの長さが巻回部82の外径82Dよりも小さいことにより、包装袋30内の残存空気が少なくなる。
【0037】
図2に示す通り、管状体81は、内腔に医療用長尺体84が挿入されているものであることが好ましい。即ち、管状体81は、医療用長尺体84の保護管であることが好ましい。医療用長尺体84として、バルーンカテーテル、ガイディングカテーテル、ガイディングカテーテルの内部に挿入されるインナーカテーテル、ガイドワイヤ等が挙げられる。管状体81は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂からなることが好ましい。また図1に示す通り、医療用長尺体84は近位端部にハンドルを有していることが好ましい。
【0038】
図1に示す通り、管状体81の巻回部82には、複数の溝部を有する複数の保持部材85が装着されていることが好ましい。これにより巻回部82の形状が維持され易くなる。保持部材85は、いわゆるクリップであることが好ましい。
【0039】
小袋83内には、医療用長尺体84と共に用いる医療用器具が配置されていることが好ましい。また医療用器具は、小袋83により密封されていないことが好ましい。これにより、包装袋30を密封するときに小袋83内の空気を脱気し易くなるため、包装袋30内の残存空気が少なくなる。例えば小袋83の開口部は、綴じ針、テープ等の部材により、部分的に閉じられていることが好ましい。小袋83は樹脂を含むことが好ましく、樹脂からなることが好ましい。なお少なくとも1つの医療用具80は小袋83を有していなくてもよい。
【0040】
図1に示す通り、第1固定部4の外縁4Eから第2直線状固定部12の内縁12Eに至るまでの最短直線距離L2、及び第1固定部4の外縁4Eから第4直線状固定部14の内縁14Eに至るまでの最短直線距離L4は、それぞれ、小袋83の最小辺83bよりも小さいことが好ましい。これにより、小袋83が第1固定部4と第2直線状固定部12と第4直線状固定部14に囲まれた領域に侵入し難くなる。
【0041】
医療用具80の外縁80Eと第1固定部4の外縁4Eとの最短直線距離は、第1固定部4の外縁4Eから第4直線状固定部14の内縁14Eに至るまでの最短直線距離L4よりも小さいことが好ましい。これにより、非固定部3内の空気が膨張しても第1固定部4により医療用具80を動き難くすることができる。
【0042】
医療用具80の外縁80Eから第1直線状固定部11の内縁11Eまでの最短直線距離、および/または医療用具80の外縁80Eから第4直線状固定部14の内縁14Eまでの最短直線距離は、第1固定部4の外縁4Eから第4直線状固定部14の内縁14Eに至るまでの最短直線距離L4よりも大きいことが好ましい。このように第1直線状固定部11、第4直線状固定部14、または第1直線状固定部11と第4直線状固定部14の両方から、医療用具80が離れていることにより、包装袋30を切断により開封するときに第1直線状固定部11、第4直線状固定部14の近傍において開封し易くすることができる。
【0043】
以下では、図5図6等を参照しながら、第2の実施の形態に係る医療用具の包装袋について詳述する。図5は、医療用具が内部に配置された第2の実施の形態に係る包装袋の平面図である。図6は、図5のB-B断面図である。第2の実施の形態に係る医療用具の包装袋のうち、第1の実施の形態に係る医療用具の包装袋と重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0044】
図5図6に示す通り、包装袋30は、第1の方向D1に延在し、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第1直線状固定部11と、第1の方向D1と交差する第2の方向D2に延在し、第1の方向D1に間隔を空けて、第1シート部1と第2シート部2が互いに固定されている第2直線状固定部12と第3直線状固定部13と、を有していることが好ましい。更に、第1固定部4は、第2直線状固定部12と第3直線状固定部13の間に位置していることが好ましい。これらの詳細は、第1の実施の形態に係る医療用具80の包装袋30の説明を参照すればよい。
【0045】
図5図6に示す通り、第2の実施の形態に係る医療用具80の包装袋30において、第1シート部1と、第1シート部1に対向する第2シート部2は、シートを折り曲げることにより形成されており、第1シート部1と第2シート部2の間の折り目5は、第1直線状固定部11と対向していることが好ましい。折り目5により、直線状固定部の数を低減することができる。
【0046】
第1固定部4は、第1直線状固定部11よりも折り目5に近く、且つ第3直線状固定部13よりも第2直線状固定部12に近いことが好ましい。これにより、非固定部3の中心を通り、第1の方向D1に延在する仮想線をX軸、非固定部3の中心を通り、第2の方向D2に延在する仮想線をY軸とし、非固定部3のうちX軸とY軸により区画される4つの象限をそれぞれ第1象限、第2象限、第3象限、第4象限としたとき、第3象限において医療用具80が侵入し難い領域を確保することができる。
【0047】
少なくとも1つの医療用具80は、巻回部82を有する管状体81と、最大辺83aの長さが巻回部82の外径82Dよりも小さい小袋83とを有していることが好ましい。これらの詳細は、第1の実施の形態に係る医療用具80の包装袋30の説明を参照すればよい。
【0048】
第1固定部4の外縁4Eから第2直線状固定部12の内縁12Eに至るまでの最短直線距離L2、及び第1固定部4の外縁4Eから折り目5に至るまでの最短直線距離L5は、それぞれ、小袋83の最小辺83bよりも小さいことが好ましい。これにより、小袋83が第1固定部4と第2直線状固定部12と折り目5に囲まれた領域に侵入し難くなる。
【0049】
医療用具80の外縁80Eと第1固定部4の外縁4Eとの最短直線距離は、折り目5から第1固定部4の外縁4Eに至るまでの最短直線距離L5よりも小さいことが好ましい。これにより、非固定部3内の空気が膨張しても第1固定部4により医療用具80を動き難くすることができる。
【0050】
医療用具80の外縁80Eから第1直線状固定部11の内縁11Eまでの最短直線距離、および/または医療用具80の外縁80Eから折り目5までの最短直線距離は、折り目5から第1固定部4の外縁4Eに至るまでの最短直線距離L5よりも大きいことが好ましい。このように第1直線状固定部11、折り目5、または第1直線状固定部11と折り目5の両方から、医療用具80が離れていることにより、包装袋30を切断により開封するときに、第1直線状固定部11、折り目5の近傍において開封し易くすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1、2 第1シート部、第2シート部
3 非固定部
4 第1固定部
4E 外縁
5 折り目
11、12、13、14 第1直線状固定部、第2直線状固定部、第3直線状固定部、第4直線状固定部
11E、12E、14E 内縁
20 シート
30 包装袋
40 収容器
41 支持棒
42 把持具
80 医療用具
80E 外縁
81 管状体
82 巻回部
82D 外径
83 小袋
83a 最大辺
83b 最小辺
D1、D2 第1の方向、第2の方向
V 鉛直方向
Vb 下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6