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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127513
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】X線絞り装置及びX線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/40 20240101AFI20240912BHJP
   A61B 6/06 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B6/00 300G
A61B6/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036710
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 順也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 亮
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘明
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA32
4C093EA14
(57)【要約】
【課題】照射野の移動範囲を維持しつつ、X線絞りを小型化すること。
【解決手段】 実施形態に係るX線絞り装置は、X線管から照射されるX線の照射野を限定する。前記X線絞り装置は、第1羽根及び第2羽根を備える。前記第1羽根は、所定方向に移動可能に設けられ、前記照射野の周縁を規定する。前記第2羽根は、前記第1羽根と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能である。前記所定方向への前記第2羽根の可動域は、前記第1羽根の可動域より小さい。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管から照射されるX線の照射野を限定するX線絞り装置であって、
所定方向に移動可能に設けられ、前記所定方向と交差する方向に延在して前記照射野の周縁を規定する周縁規定部を有する第1羽根と、
前記第1羽根と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能な第2羽根と、
を備え、
前記所定方向への前記第2羽根の可動域は、前記第1羽根の可動域より小さい、X線絞り装置。
【請求項2】
前記第1羽根及び前記第2羽根は、互いに少なくとも一部が重なるように前記所定方向に沿って移動する、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項3】
前記所定方向に延在するガイド軸を備え、
前記第1羽根及び前記第2羽根は、前記所定方向に移動可能に前記ガイド軸に係止される、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項4】
前記所定方向に延在する駆動軸と、
前記駆動軸に沿って設けられた駆動部と、
を備え、
前記第1羽根及び前記第2羽根のうちの少なくとも一方は、前記駆動部からの駆動力を受けて前記所定方向に移動する、請求項3に記載のX線絞り装置。
【請求項5】
前記第1羽根及び前記第2羽根のうち、一方は前記駆動力を受け、他方は前記一方を介して前記駆動力を受ける、請求項4に記載のX線絞り装置。
【請求項6】
前記第1羽根は前記駆動力を受け、前記第2羽根は前記第1羽根により駆動力を受ける、請求項4に記載のX線絞り装置。
【請求項7】
前記ガイド軸を保持し、前記第1羽根の移動に伴い前記第1羽根との距離が変わる枠部と、
前記第2羽根と前記枠部とに接続され、前記第2羽根を前記枠部に近づく方向に付勢する付勢部と、
を備え、
前記第1羽根は、前記付勢部と前記第2羽根とを介して、前記枠部に近づく方向で且つ前記照射野が広がる方向に付勢される、請求項3に記載のX線絞り装置。
【請求項8】
前記第1羽根は、前記第2羽根に重なる面積が縮小する方向に移動することにより、前記照射野を縮小させる、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項9】
前記第1羽根及び前記第2羽根は、前記所定方向に移動可能に前記駆動軸に係止される、請求項4に記載のX線絞り装置。
【請求項10】
前記第1羽根は、前記照射野の周縁を規定する周縁規定部を有しており、
前記第1羽根の前記可動域は、前記周縁規定部が前記所定方向に移動可能な範囲に対応し、
前記第2羽根の前記可動域は、前記第2羽根の前記所定方向における前記周縁規定部から遠い側の端部が前記所定方向に移動可能な範囲に対応する、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項11】
外囲器を備え、
前記第1羽根は、前記照射野の周縁を規定する周縁規定部を有しており、
前記外囲器は、前記X線管から前記X線が入射される第1開口と、前記入射されたX線が前記周縁が規定されて出射される第2開口とが形成されたX線遮蔽部材により前記第1羽根及び前記第2羽根を収容し、
前記第2羽根の前記所定方向における前記周縁規定部から遠い側の端部と、前記第1開口及び前記第2開口の中心軸との間の第1距離は、前記第1開口の開口縁と前記第2開口の開口縁とで規定される境界と、前記中心軸との間の第2距離よりも大きい、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項12】
前記第2羽根の前記端部は、前記第1羽根と前記第2羽根との重なる面積を最大にした場合の前記周縁規定部の位置を超えて前記所定方向に移動可能である、請求項11に記載のX線絞り装置。
【請求項13】
前記第2羽根と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能な第3羽根を備え、
前記所定方向への前記第3羽根の可動域は、前記第2羽根の可動域より小さい、請求項3に記載のX線絞り装置。
【請求項14】
前記ガイド軸の端部を保持する枠部と、
前記第3羽根と前記枠部とに接続され、前記第3羽根を前記枠部に近づく方向に付勢する付勢部と、
を備え、
前記第1羽根は、前記付勢部と前記第2羽根と前記第3羽根とを介して、前記枠部に近づく方向で且つ前記照射野が広がる方向に付勢される、請求項13に記載のX線絞り装置。
【請求項15】
前記第1羽根を前記所定方向に移動可能に前記ガイド軸に係止する第1係止部と、
前記第2羽根を前記所定方向に移動可能に前記ガイド軸に係止する第2係止部と、
を備え、
前記第1係止部における前記ガイド軸に沿った第1係止長と、前記第2係止部における前記ガイド軸に沿った第2係止長とのうちの一方は他方より長い、請求項3に記載のX線絞り装置。
【請求項16】
前記第2羽根を前記所定方向に移動可能に前記ガイド軸に係止する第2係止部と、
前記第2羽根を前記所定方向に移動可能に前記駆動軸に係止する第3係止部と、
を備え、
前記第2係止部における前記ガイド軸に沿った第2係止長と、前記第3係止部における前記駆動軸に沿った第3係止長とは互いに異なる、請求項4に記載のX線絞り装置。
【請求項17】
前記第1羽根及び前記第2羽根を含む複数の絞り機構を備え、
前記複数の絞り機構のうちの少なくとも2つは、前記所定方向が互いに交差するように配置された、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項18】
前記第1羽根及び前記第2羽根を含む4つの絞り機構を備え、
前記4つの絞り機構のうちの2つの絞り機構は、互いに同一の前記所定方向に沿って第1羽根及び第2羽根が移動可能に配置され、
前記4つの絞り機構のうち、他の2つの絞り機構は、前記所定方向とは直交する方向に沿って第1羽根及び第2羽根が移動可能に配置された、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項19】
前記第1羽根と前記第2羽根との重なる面積が最大の位置から前記第1羽根が移動するときに、前記第1羽根及び前記第2羽根に緩衝力を付与する緩衝部を備える、請求項1に記載のX線絞り装置。
【請求項20】
前記第1羽根及び前記第2羽根を含む複数の絞り機構を備え、
前記複数の絞り機構のうちの少なくとも2つは、前記所定方向が互いに交差するように配置され、
前記緩衝部は、前記複数の絞り機構の各々に設けられる、請求項19に記載のX線絞り装置。
【請求項21】
前記緩衝部は、前記第1羽根の位置に依存せずに、前記第2羽根から離れる方向に前記第1羽根を付勢する、請求項19に記載のX線絞り装置。
【請求項22】
前記緩衝部は、前記所定方向における前記第1羽根と前記第2羽根との相対位置に応じて弾性力を発生する、請求項19に記載のX線絞り装置。
【請求項23】
出射窓を有するX線管と、
X線検出器と、
前記出射窓と前記X線検出器との間に配置される請求項1または2に記載のX線絞り装置と、を有するX線診断装置。
【請求項24】
前記X線絞り装置は、前記出射窓との位置関係が固定された状態で、前記周縁規定部が前記所定方向に移動することで、前記照射野が調整される、請求項23に記載のX線診断装置。
【請求項25】
X線管から照射されるX線の照射野を限定するX線絞り装置を備え、
前記X線絞り装置は、
所定方向に移動可能に設けられ、前記照射野の周縁を規定する第1羽根と、
前記第1羽根と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能な第2羽根と、
を備え、
前記所定方向への前記第2羽根の可動域は、前記第1羽根の可動域より小さい、X線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線絞り装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、X線の照射野を制限するX線絞り装置を有し、X線検出器の検出領域における任意の範囲だけX線を照射するようにX線絞り装置を制御する。ここで、X線絞り装置は、例えば、寝台の長手方向に広がるX線を絞る一対の絞り羽根と、寝台の短手方向に広がるX線を絞る一対の絞り羽根とを有する。このようなX線絞り装置は、各対の絞り羽根を検出領域の中心から対称に移動可能な構造としてもよく、各対の絞り羽根を検出領域の中心から非対称に移動可能な構造としてもよい。対称に移動可能な場合、絞り羽根に囲まれた照射野が、検出領域の中心位置を中心として拡大又は縮小した範囲にX線を照射するように調整可能となる。また、非対称に移動可能な場合、照射野は、検出領域の端部などの任意の範囲にX線を照射するように移動可能となる。なお、絞り羽根を非対称に移動可能な構造の方が照射野の移動範囲が広い点で好ましい。いずれにしても、X線診断装置は、照射野に応じた照射範囲で検出されたX線に基づく画像を表示する。
【0003】
このようなX線診断装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、絞り羽根を対称に移動可能なX線絞り装置に比べ、絞り羽根を非対称に移動可能なX線絞り装置では大型の絞り羽根が必要となる。また、大型の絞り羽根は、X線絞り装置の大型化を招く点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-204468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、照射野の移動範囲を維持しつつ、X線絞りを小型化することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線絞り装置は、X線管から照射されるX線の照射野を限定する。前記X線絞り装置は、第1羽根及び第2羽根を備える。前記第1羽根は、所定方向に移動可能に設けられ、前記照射野の周縁を規定する。前記第2羽根は、前記第1羽根と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能である。前記所定方向への前記第2羽根の可動域は、前記第1羽根の可動域より小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線絞り装置に4つの絞り機構が搭載された状態を示す模式図である。
図3図3は、第1の実施形態における退避時の絞り機構を説明するための平面図及び断面図である。
図4図4は、第1の実施形態における周縁規定時の絞り機構を説明するための平面図及び断面図である。
図5図5は、第1の実施形態における退避時の絞り羽根を説明するための模式図である。
図6図6は、第1の実施形態における外囲器の補足説明のための模式図である。
図7図7は、第1の実施形態における周縁規定時の絞り羽根を説明するための模式図である。
図8図8は、第1の実施形態における絞り羽根の2枚重ね構成を示した面図明するための模式図である。
図9図9は、第1の実施形態における絞り羽根の開閉動作の詳細を示す断面図である。
図10図10は、第1の実施形態における絞り羽根の開閉動作を説明するためのダイヤグラムである。
図11図11は、第1の実施形態における絞り羽根の開閉動作の変形例を説明するための模式図である。
図12図12は、第1の実施形態における絞り羽根の開閉動作の変形例を説明するためのダイヤグラムである。
図13図13は、第1の実施形態における絞り機構の付勢部の変形例を説明するための平面図である。
図14図14は、第1の実施形態における絞り機構の付勢部の変形例の動作を説明するための模式図である。
図15図15は、第2の実施形態に係るX線絞り装置の絞り機構の構成を説明するための平面図及び断面図である。
図16図16は、第2の実施形態における絞り機構を説明するための平面図及び断面図である。
図17図17は、第2の実施形態における絞り機構の動作を説明するためのダイヤグラムである。
図18図18は、第3の実施形態に係るX線絞り装置の絞り機構の構成を説明するための平面図である。
図19図19は、第3の実施形態における絞り機構の構成を説明するための平面図である。
図20図20は、第4の実施形態に係るX線絞り装置の絞り機構の構成を説明するための平面図である。
図21図21は、第4の実施形態における絞り機構の構成を説明するための平面図である。
図22図22は、第4の実施形態の変形例に係る絞り機構を説明するための平面図である。
図23図23は、第4の実施形態の他の変形例に係る絞り機構を説明するための平面図である。
図24図24は、各実施形態の変形例に係る絞り機構を説明するための平面図である。
図25図25は、各実施形態の変形例に係る絞り機構を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線絞り装置及びX線診断装置について説明する。なお、X線診断装置としては、消化管造影検査などに用いられるX線TV装置を例に挙げて説明するが、これに限らず、血管造影検査などに用いられる循環器用X線診断装置、回診などに用いられる回診用X線装置などで実施してもよい。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成を示すブロック図である。X線診断装置1は、X線高電圧装置2と、X線源装置3、X線検出器4、サポートフレーム5、および天板6を有する寝台と、画像生成回路7と、通信インタフェース8と、入力インタフェース9と、制御回路10と、処理回路11と、メモリ12と、ディスプレイ13とを備える。また、X線源装置3は、X線管3aと、X線絞り装置3bとを備える。X線絞り装置3bは、「X線絞り」、又は「X線可動絞り」と呼んでもよい。
【0010】
X線高電圧装置2は、X線管3aに印加する管電流と、X線管3aに印加する管電圧とを発生する。X線高電圧装置2は、制御回路10による制御のもとで、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管3aに印加し、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電圧をX線管3aに印加する。尚、X線高電圧装置2は、例えば、インバータ制御方式の高電圧装置に相当する。
【0011】
X線管3aは、X線高電圧装置2から印加された管電流と、X線高電圧装置2から印加された管電圧とに基づいてX線を発生する。X線管3aは出射窓を有し、X線管3aによって発生されたX線は出射窓からX線絞り装置3bに出射され、X線絞り装置3bにより照射野が絞られた状態で、被検体Pに照射される。尚、X線管3aは、例えば、回転陽極型のX線管に相当する。また、X線管3aは、例えば、固定陽極型のX線管などでもよい。
【0012】
以降、X線の照射方向の中心軸をZ軸とする。また、Z軸に垂直であって、天板6の長手方向の軸をY軸とし、Z軸とY軸とに垂直な軸をX軸とする。
【0013】
X線絞り装置3bは、X線管3aの出射窓とX線検出器4との間に配置される。詳しくは、X線絞り装置3bは、X線管3aの出射窓近傍に配置され、当該出射窓との位置関係が固定された状態で、X線管3aから照射されるX線の照射野を限定する。X線絞り装置3bは、X線の照射野を限定することによって、操作者が所望する被検体Pの撮影部位(或いは、照射範囲)にだけX線を照射することができる。即ち、X線絞り装置3bは、撮影部位(或いは、照射範囲)とは異なる部位(或いは、範囲)に対して、不要な被曝を防いでいる。また、X線絞り装置3bは、散乱X線の低減および焦点外X線の除去ができる。以降、「X線の照射野を限定する」という文言は、「X線を遮へいする」および「X線を絞る」という文言と相互に読み替えられてもよい。なお、X線絞り装置3bの詳細は後述する。
【0014】
X線検出器4は、X線管3aから発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器4は、例えば、X線を検出することができるフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)を備える。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子としては、間接変換形と直接変換形とのいずれを用いてもよい。尚、X線検出器4として、イメージインテンシファイア(Image intensifier)が用いられてもよい。また、本明細書では、X線検出器4におけるX線を検出可能な範囲を「検出領域」と呼ぶ。
【0015】
サポートフレーム5は、互いに対向配置されたX線源装置3およびX線検出器4を移動可能に支持する。具体的には、サポートフレーム5は、天板6の面に対して上方にX線源装置3が設置されるオーバーチューブ方式のフレームに相当する。尚、サポートフレーム5は、天板6の面に対して下方にX線源装置3が設置されるアンダーチューブ方式のフレームが用いられてもよい。また、サポートフレーム5は、CアームおよびΩアームによる構造が用いられてもよい。さらに、サポートフレーム5は、X線源装置3およびX線検出器4をそれぞれ独立に支持する2つのアーム(例えばロボットアームなど)による構造が用いられてもよい。
【0016】
図示しない寝台は、被検体Pが載置される天板6(臥位テーブルとも言う)を有する。天板6には、被検体Pが載置される。
【0017】
図示しない駆動装置は、例えば、制御回路10の制御によって、サポートフレーム5と寝台とをそれぞれ駆動する。X線透視時およびX線撮影時においては、X線源装置3とX線検出器4との間に、天板6に載置された被検体Pが配置される。また、駆動装置は、例えば、制御回路10の制御によって、X線絞り装置3bを駆動する。尚、駆動装置は、制御回路10の制御のもとで、X線源装置3に対してX線検出器4を回転させてもよい。
【0018】
画像生成回路7は、X線検出器4からA/D変換器を介して出力されたディジタルデータに基づいてX線画像を生成する。画像生成回路7は、生成したX線画像を処理回路11、メモリ12、および外部記憶装置(図示せず)などに出力する。
【0019】
通信インタフェース8は、例えば、ネットワークおよび図示しない外部記憶装置に関する回路である。X線診断装置1によって得られたX線画像などは、通信インタフェース8およびネットワークを介して他の装置に転送可能である。尚、以降、通信インタフェース8を介して情報がやりとりされる場合には、「通信インタフェース8を介して」という記載を省略する。
【0020】
入力インタフェース9は、操作者が所望するX線撮影の撮影条件およびX線透視の透視条件などのX線照射条件、透視・撮影位置、照射野、およびX線画像における関心領域(region of interest:ROI)などを、操作者の指示により入力する。具体的には、入力インタフェース9は、操作者からの各種指示、命令、情報、選択、および設定を、X線診断装置1に取り込む。
【0021】
入力インタフェース9は、関心領域の設定などを行うためのジョイスティック、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ、撮影用のフットスイッチ、および音声認識用のマイクなどにより実現される。入力インタフェース9は、制御回路10に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路10へと出力する。
【0022】
本明細書において、入力インタフェース9は、マウスおよびキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路10へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース9の例に含まれる。
【0023】
制御回路10は、例えば、X線診断装置1における各回路および駆動装置などを制御するプロセッサである。制御回路10は、入力インタフェース9から入力された操作者の指示などの情報を、図示しないメモリに一時的に記憶する。制御回路10は、メモリに記憶された操作者の指示などに従って、システム制御機能10aを実行する。システム制御機能10aは、X線撮影およびX線透視を実行するために、X線高電圧装置2、X線絞り装置3b、および駆動装置などを制御する。また、システム制御機能10aは、画像生成回路7におけるX線画像生成処理および処理回路11における画像処理などを制御する。
【0024】
処理回路11は、ハードウェア資源として、プロセッサおよびメモリを備える。処理回路11は、操作者により入力インタフェース9を介して入力された開始指示に応じて、メモリ12に記憶された制御プログラムを読み出す。処理回路11は、読み出した制御プログラムに従って、画像生成回路7により生成したX線画像をディスプレイに表示するための画像処理機能11a及び表示制御機能11bを実行する。
【0025】
画像処理機能11aは、例えば、画像生成回路7により順次生成したX線画像をメモリ12に保存してもよい。また、画像処理機能11aは、メモリ12に保存したX線画像に対して、ノイズ低減や背景圧縮などの通常の画像処理を行ってもよい。また、画像処理機能11aは、X線絞り装置3bにより照射範囲が絞られる直前の範囲の静止画像(ラストイメージホールド(LIH:Last Image Hold)画像)に基づき、絞られた後の照射範囲に基づく透視画像(部分透視像)と、この照射範囲を囲むように切り出した当該静止画像とを合成したX線画像を生成してもよい。当該合成したX線画像を生成及び表示する機能は、スポット透視機能と呼ばれ、X線の照射範囲を絞れば絞るだけ、被ばくを低減させる。なお、同様な被ばく低減機能としては、X線の照射範囲を囲むように線量低減フィルタを挿入するスポットROI機能がある。これらスポット透視機能及びスポットROI機能は、スポットビュー機能と呼んでもよい。また、画像処理機能11aは、X線絞り装置3bにより絞った任意の照射範囲の画像を拡大したX線画像を生成してもよい。
【0026】
表示制御機能11bは、画像処理機能11aにおいて処理されたX線画像を表示するようにディスプレイ13を制御する。
【0027】
メモリ12は、HDD(Hard Disk Drive)などの電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成される。メモリとしては、HDDに限らず、SSD(ソリッドステートドライブ)、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD、DVD、Blu-ray(登録商標)など)、および半導体メモリなどが適宜、使用可能となっている。
【0028】
メモリ12は、画像生成回路7で生成された種々のX線画像、処理回路11で処理されたX線画像、X線診断装置1のシステム制御プログラム、制御回路10において実行される診断プロトコル、入力インタフェース9から送られてくる操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件およびX線透視に関する透視条件などの各種データ群、エラー情報、およびネットワークを介して送られてくる種々のデータなどを記憶する。
【0029】
ディスプレイ13は、X線画像などを表示するディスプレイ本体、当該ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、およびディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成される。
【0030】
ディスプレイ13は、画像生成回路7によって生成されたX線画像、或いは処理回路11で処理された表示画像を表示する。ディスプレイ13は、表示画面の全体を、X線画像を表示するための表示ウィンドウとしてもよいし、表示画面の一部を表示ウィンドウとしてもよいし、その両方を切り替えられるようにしてもよい。尚、ディスプレイ13は、透視・撮影位置、X線照射条件などの入力に関する入力画面を表示してもよい。また、ディスプレイ13は、例えば、X線画像と入力画面とを並べて表示してもよい。
【0031】
次に、以上のように構成されたX線診断装置1に実装されたX線絞り装置3bについて詳細に説明する。以下の説明中、絞り機構は、「X線絞り機構」又は「可動絞り機構」、「コリメータ」と呼んでもよい。同様に、絞り羽根は、可動絞り羽根と呼んでもよい。
【0032】
X線絞り装置3bは、X線管3aの焦点から照射されるX線の照射野を規定するための絞り機構(主羽根)が搭載されている。照射野の外側に照射された不要なX線は、X線絞り装置3bの外囲器に装着された遮蔽板で外部へのX線の漏洩を防止している。X線絞り装置3bは、絞り羽根以外に、X線管3aの焦点以外で発生した焦点外X線の漏洩を防止するための奥羽根と、X線絞り装置3b内の散乱X線の漏洩を防止するための中間羽根とが搭載される。また、X線絞り装置3bは、X線撮影時、被検体Pへの照射範囲の位置合わせを行う時に使用する可視光光源や反射板が搭載される場合がある。しかしながら、以下の説明では、理解を容易にする観点から、奥羽根、中間羽根、可視光光源、反射板などの記載を省略し、主羽根に関する絞り機構についてのみ述べる。
【0033】
X線絞り装置3bは、図2に示すように、外囲器30に収容された4つの絞り機構100A、100B、100C、100Dを備えている。図2は4つの絞り機構100A~100Dが搭載された状態を示す模式図である。各々の絞り機構100A~100Dは互いに略同一構成のため、以下の説明は、特に区別しない場合、全ての絞り機構100A~100Dに該当する。なお、外囲器30は、X線管3aからX線が入射される第1開口(図示せず)と、入射されたX線が周縁が規定されて出射される第2開口(図示せず)とが形成されたX線遮蔽部材により絞り機構100A~100Dを収容する。
【0034】
絞り機構100A~100Dは、所定方向に移動可能に設けられ、X線の照射野32の周縁を規定する第1羽根101と、第1羽根101と少なくとも一部が重なりながら所定方向に移動可能な第2羽根121とを備えている。なお、第1羽根101は、X線の照射野32の周縁を規定する周縁規定部105を有している。周縁規定部105は、所定方向と交差する方向に延在して照射野32の周縁を規定する。また、絞り機構100A~100Dのうちの少なくとも2つは、所定方向が互いに交差するように配置されている。絞り機構100A~100Dは、出射窓との位置関係が固定された状態で、周縁規定部105が所定方向に移動することで、照射野が調整される。
【0035】
詳しくは、4つの絞り機構100A~100Dのうちの2つの絞り機構100A,100Bは、互いに同一の所定方向に沿って第1羽根101及び第2羽根121が移動可能に配置されている。また、他の2つの絞り機構100C,100Dは、所定方向とは直交する方向に沿って第1羽根101及び第2羽根121が移動可能に配置されている。例えば、絞り機構100A、100Bは、第1羽根101及び第2羽根121がY軸を中心に
対称に移動し、第1羽根101の先端の周縁規定部105により、X方向に広がるX線を絞る。絞り機構100C、100Dは、第1羽根101及び第2羽根121がX軸を中心に対称に移動し、第1羽根101の先端の周縁規定部105により、Y方向に広がるX線を絞る。また、各々の絞り機構100A~100Dにおいて、第1羽根101及び第2羽根121は、互いに少なくとも一部が重なるように所定方向に沿って移動する。但し、絞り機構100A、100Bにおける所定方向はX軸方向であり、絞り機構100C、100Dにおける所定方向はY軸方向である。また、各々の絞り機構100A~100Dの周縁規定部105で囲まれた範囲が照射野32である。このような絞り機構100A~100Dは、絞り羽根を小型化しつつ、照射野32を検出領域の中心から非対称に移動可能な構造を実現している。
【0036】
絞り機構100A~100Dの第1羽根101及び第2羽根121は、X線管3aから照射されるX線を遮蔽するために必要な厚みをもつ重金属が貼り付けられている。重金属としては、例えば、鉛(Pb)又はタングステン(Tg)が適宜、使用可能となっている。
【0037】
また、絞り機構100A~100Dは、図3及び図4に一例を示すように、所定方向に延在する駆動軸150と、駆動軸150に沿って設けられた駆動部116と、所定方向に延在するガイド軸151と、ガイド軸151及び駆動軸150を保持する枠部153と、付勢部152とを備えている。なお、付勢部152は、第2羽根121と枠部153とに接続され、第2羽根121を枠部153に近づく方向に付勢する。第1羽根101は、付勢部152と第2羽根121とを介して、枠部153に近づく方向で且つ照射野32が広がる方向に付勢される。なお、付勢部152としては、引っ張りバネ等のバネ部材を用いているが、これに限定されない。枠部153は、第1羽根101の移動に伴い第1羽根101との距離が変わる。なお、駆動部116は、Z軸方向の回転軸と、Z軸方向の軸を中心に回転するプーリーと、回転軸及びプーリーに装着されたタイミングベルト1163と、タイミングベルト1163に応じて所定方向に移動する移動部1164とを備える。また、回転軸及びプーリーは、駆動軸150に沿った移動部1164の移動範囲の両端に配置される。移動部1164は、第1羽根101の長軸受102と、タイミングベルト1163とに接続され、回転軸の回転駆動に応じて回転移動するタイミングベルト1163の所定方向の変位に応じて長軸受102を所定方向に移動させる。すなわち、移動部1164は、駆動部116による駆動力を第1羽根101に伝達する。なお、移動部1164は、駆動軸方向に沿って枠部153に形成された長孔にガイドされてもよい。いずれにしても、第1羽根101は、駆動部116からの駆動力を受けて所定方向に移動する。
【0038】
一方、第1羽根101及び第2羽根121は、所定方向に移動可能に駆動軸150及びガイド軸151に係止される。
【0039】
絞り機構100A~100Dは、第1羽根101を所定方向に移動可能にガイド軸151に係止する短軸受103と、第2羽根121を所定方向に移動可能にガイド軸151に係止する長軸受122とを備えている。なお、短軸受103におけるガイド軸151に沿った第1係止長は、長軸受122におけるガイド軸151に沿った第2係止長より短い。但し、第1係止長は第2係止長より長くしてもよい。いずれにしても、ガイド軸151において、短軸受103の係止長と長軸受122の係止長とを合計した係止長は、絞り機構100A~100Dを小型化する観点から、第1羽根101におけるガイド軸方向の長さ以下とすることが好ましい。短軸受103は第1係止部の一例であり、長軸受122は第2係止部の一例である。
【0040】
また、絞り機構100A~100Dは、第1羽根101を所定方向に移動可能に駆動軸150に係止する長軸受102と、第2羽根121を所定方向に移動可能に駆動軸150に係止する短軸受123とを備えている。また同様に、駆動軸150において、長軸受102の係止長と短軸受123の係止長とを合計した係止長は、絞り機構100A~100Dを小型化する観点から、第1羽根101における駆動軸方向の長さ以下とすることが好ましい。なお、第2羽根121の長軸受122におけるガイド軸151に沿った第2係止長と、第2羽根121の短軸受123における駆動軸150に沿った第3係止長とは互いに異なる。短軸受123は第3係止部の一例である。同様に、第1羽根101の長軸受102の係止長と、第1羽根101の短軸受103の係止長とは互いに異なる。
【0041】
すなわち、駆動軸150及びガイド軸151の各軸は、それぞれ異なる長さの軸受けにより、第1羽根101及び第2羽根121を移動可能に支持している。言い換えると、第1羽根101及び第2羽根121の各羽根は、それぞれ異なる長さの軸受けにより、移動可能に駆動軸150及びガイド軸151に係止されている。また、長軸受102,122及び短軸受103,123は、スライド軸受としてもよく、ベアリング等を用いた転がり軸受としてもよい。
【0042】
ここで、絞り機構100A,100Bにおいて、第1羽根101の長軸受102は円形の断面穴を有し、円形断面形状の駆動軸150とは嵌め合い交差(通常、数十μmの隙間)によりX軸方向のスライド移動と第1羽根101の位置規定を両立している。具体的には、長軸受102は、第1羽根101の幅方向(Y軸方向)と羽根平面の法線方向(Z軸方向)を規定しながら、駆動軸方向(X軸方向)にスライド移動する構成となっている。また、第1羽根101の短軸受103は長穴型の断面穴を有し、第1羽根101の羽根平面の法線方向(Z方向)を規定しながら、駆動軸方向(X軸方向)にスライド移動する構成となっている。
【0043】
補足すると、軸受け構成の第1羽根101は、長軸受102と駆動軸150との嵌め合い隙間によるガタツキ(数十μm)により、短軸受103側の第1羽根101のX方向のガタツキが生じてしまう。よって第1羽根101のガタツキを低減するため、長軸受102の係止長を、第1羽根101のX軸方向の長さを超えない範囲で可能な限り長くしている。これに対し、短軸受103の係止長は長軸受102の係止長よりも短くしている。
【0044】
第2羽根121は、第1羽根101と同様の軸受構成であるが、第2羽根の長軸受122はガイド軸151に、第2羽根の短軸受123は駆動軸150に挿入される。第2羽根121は、長軸受122及び短軸受123により、ガイド軸151及び駆動軸150に沿ってX軸方向にスライド移動する構成となっている。なお、絞り機構100C,100Dにおける長軸受102,122及び短軸受103,123については、上記説明のX軸方向とY軸方向とを置換して読み替えればよい。
【0045】
続いて、退避時及び周縁規定時の絞り機構100A~100Dについて、絞り機構100Aを例に挙げて説明する。図3は退避時の絞り機構100Aを説明するための平面図及び断面図であり、図4は照射野の周縁規定時の絞り機構100Aを説明するための平面図及び断面図である。
【0046】
図3に示すように、絞り羽根の退避時には、第1羽根101及び第2羽根121は、互いに重なった状態でX線照射エリアを避けた位置に退避している。具体的には、絞り機構100Aは、第1羽根101と第2羽根121とを重ねることと、駆動軸150が長軸受102と短軸受123とを支持し、ガイド軸151が短軸受103と長軸受122とを支持することで、絞り羽根の退避スペースを縮小している。なお、第1羽根101は、所定方向において、周縁規定部105から遠い側(枠部153側)に突起部104を有している。第2羽根121は、所定方向において、周縁規定部105に近い側に第1突起部124を有し、周縁規定部105から遠い側(枠部153側)に第2突起部125を有している。第1羽根101の突起部104は、第2羽根121の第1突起部124と第2突起部125の間で移動可能となっている。
【0047】
なお、第1羽根101の突起部104の位置に応じて、第1羽根101と第2羽根121との重なる面積が異なる。第1羽根101と第2羽根121との重なる面積が最大の場合、第1羽根101と第2羽根121は退避位置にある。よって、第1羽根101は、第2羽根121に重なる面積を最大とする方向に移動することにより、照射野32を拡大させる。また、第1羽根101と第2羽根121との重なる面積が最小の場合、X線管3aからのX線は遮断される。よって、第1羽根101は、第2羽根121に重なる面積が縮小する方向に移動することにより、照射野32を縮小させる。
【0048】
また、第2羽根121は、付勢部152を介して枠部153に近づく方向に付勢されている。これは、X線絞り装置3bが様々な姿勢(撮影位置、撮影角度)で用いられることによる。仮に付勢部152が無い場合、+X軸方向が重力方向に近づくと、第2羽根121が第1羽根101に重なる方向(+X軸方向)に移動し、X線の遮蔽領域を狭めてしまうからである。このため、第2羽根121は、枠部153に近づく方向(-X軸方向)に付勢されることが好ましい。
【0049】
一方、図4に示すように、照射野の周縁規定時には、第1羽根101は、駆動部116から駆動力を受けてX軸方向に移動する。X軸方向への移動中、第1羽根101の突起部104が第2羽根121の第1突起部124に当接すると、第2羽根121が第1突起部124を介して第1羽根101から駆動力を受ける状態となる。しかる後、第2羽根121は、第1羽根101を介して駆動力を受けてX軸方向に移動する。すなわち、第2羽根121は、第1羽根101の移動開始から少し遅れた時点からX軸方向に移動する。
【0050】
また、第1羽根101がX軸方向に第2羽根121よりも大きく移動することで、第1羽根101及び第2羽根121からなる絞り羽根全体がX軸方向に伸ばされた状態となる。第1羽根101の移動停止後、X線の照射野の周縁が規定される。図4中、第1羽根101は距離d1だけ移動し、第2羽根121は距離d2だけ移動している。なお、第1羽根101が移動した距離d1は、第1突起部124と第2突起部125との間の長さだけ、第2羽根121が移動した距離d2より長い。第1突起部124と第2突起部125との間の長さは、およそ第2羽根121のX軸方向の長さ分に相当する。
【0051】
(スポットビュー機能)
次に、スポットビュー機能に関する動作について図5乃至図7を用いて説明する。
【0052】
図5は退避時の絞り羽根を説明するための断面図、図6は補足説明のための模式図、図7はX線曝射時の絞り羽根を説明するための断面図を示す。なお、外囲器30及び天板6などの周辺構成については図示を省略している。また、X線管3aについては、X線管3aの焦点3a1を示している。
【0053】
まず図5に示すように、退避時において、X線管3aの焦点3a1からX線が照射されず、絞り機構100A,100Bの第1羽根101及び第2羽根121が退避位置p0に退避している。また図5中、焦点3a1と、X線検出器4の検出領域との中心を結ぶ線をZ軸で示している。また、Z軸と、絞り機構100A,100Bの第1羽根101との間をそれぞれ移動エリアpA,pBで示している。但し、各々の絞り機構100A,100Bの第1羽根101は、それぞれ移動エリアpA,pB又はZ軸を超えて移動可能となっている。
【0054】
また例えば図6に示すように、絞り機構100Bの第1羽根101の周縁規定部105がZ軸を超えてX方向に移動した場合でも、焦点3a1からのX線が第1羽根101及び第2羽根121により遮蔽されるようになっている。補足すると、外囲器30は、X線管3aから出射窓を介してX線が入射される第1開口33と、入射されたX線がその周縁が規定されて出射される第2開口31とが形成されたX線遮蔽部材により第1羽根101及び第2羽根121を収容する。ここで、第2羽根121の所定方向における周縁規定部105から遠い側の端部にある第2突起部125と、第1開口33及び第2開口31の中心軸(Z軸)との間の距離を第1距離d125とする。また、第1開口33の開口縁と第2開口31の開口縁とで規定される境界34と、中心軸(Z軸)との間の距離を第2距離d34とする。このとき、第1距離d125及び第2距離d34は、第1距離d125が第2距離d34よりも大きい関係(d34<d125)にある。このため、周縁規定部105がZ軸を超えてX方向に移動した場合でも、X線が第1羽根101及び第2羽根121により遮蔽されるようになっている。
【0055】
続いて図7に示すように、X線撮影時、撮影範囲にX線照射エリアを絞るため、第1羽根101及び第2羽根121を移動エリアpA,pBに所定量移動させる。従来のX線絞り装置では、検査対象物(患者)を予めX線検出エリアに対して中央部に予め配置させ、左右一対の絞り羽根を対称移動(XY平面の検出面中央位置に対して)させることで、照射エリアを規定していた。一方、本実施形態では、一対の絞り機構100A,100Bの各々の第1羽根101を異なる移動量で駆動可能となっている。具体的には、図7に示すように、被検体P(の関心領域ROI)がZ軸から外れた位置に配置された場合を想定する。この種の場合を考慮し、絞り機構100Bの第1羽根101の移動量を移動エリアpBより大きくし、絞り機構100Aの移動量を移動エリアpA内で小さくし、1対の絞り機構100A,100Bの第1羽根101を非対称移動が可能な構成としている。
【0056】
なお、X線検出器4の出力に基づいて、画像生成回路7はX線画像を生成し、処理回路11に送出する。処理回路11は、例えばユーザによる入力インタフェース9の操作に応じて、スポットビュー機能のうちのスポット透視を実行する。例えば、処理回路11は、X線絞り装置3bにより照射範囲が絞られる直前の範囲の静止画像に基づき、絞られた後の照射範囲に基づく透視画像と、この照射範囲を囲むように切り出した当該静止画像とを合成したX線画像を生成する。また、処理回路11は、当該合成したX線画像をディスプレイ13に表示させる。X線絞り装置3bは、例えば、このようなスポットビュー機能に用いられる。
【0057】
(絞り機構の開閉動作詳細)
図8乃至図10は絞り機構100A~100Dにおける絞り羽根の開閉動作を詳細に説明するための図である。図8は絞り機構における絞り羽根の2枚重ね構成を示した断面図であり、図9は絞り機構における絞り羽根の開閉動作の詳細を示す断面図である。また、図10は、図9の絞り機構における絞り羽根の開閉動作を説明するためのダイヤグラムである。
【0058】
図8に示すように、所定方向(X軸方向)上で、第2羽根121と枠部153とが付勢部152により接続され、第2羽根121は常に枠部153側へ付勢された状態である。また、所定方向上で、第1羽根101の周縁規定部105が位置P1aにあり、第1羽根101の突起部104が位置P1bにあるとする。同様に、所定方向(X方向)上で、第2羽根121の第1突起部124が位置P2aにあり、第2羽根121の第2突起部125が位置P2bにあるとする。このとき、各位置は、P2b≦P1b<P2a<P1aの範囲内にある。すなわち、退避時において、突起部104の位置P1bと、第2突起部125の位置P2bとは略同一であり(P2b=P1b)、移動時において、突起部104の位置P1bは、第2突起部125の位置P2bより小さい(P2b<P1b)。他の位置は、退避時と移動時との間で大小関係に変化はない。このような第1羽根101及び第2羽根121は、前述したように、図示しない駆動部116から駆動力を受け、図示しない駆動軸150及びガイド軸151に沿って所定方向(X軸方向)に移動する。
【0059】
具体的には図9に示すように、第1羽根101及び第2羽根121は、閉時には退避位置p0から各位置p1~p3を介して最大移動位置p4に移動可能であり、開時には最大移動位置p4から各位置p5~p7を介して退避位置p0に移動可能である。
【0060】
まず閉時には、第1羽根101及び第2羽根121のうち、駆動部116から駆動力を受けた第1羽根101のみが移動する(移動位置p0から位置p1)。第1羽根101が更に移動すると、第1羽根101の突起部104が第2羽根121の第1突起部124に衝突する(位置p1~p2)。しかる後、第2羽根121が第1羽根101から駆動力を受け、第2羽根121及び第1羽根101が一体となって同一方向(+X方向)に移動する(位置p3)。これにより、第1羽根101の周縁規定部105が最大移動位置p4まで移動することができる。また第2羽根121が付勢部152により常に枠部153側へ付勢されているため、X線絞り装置3bは、どの姿勢でも第1羽根101に対して第2羽根121を-X方向側へ広げた状態を維持できる。
【0061】
また、開時には、駆動部116から駆動力を受けた第1羽根101と、常に枠部153側に付勢される第2羽根121とが一体となって同一方向(-X方向)に移動する(最大移動位置p4から位置p5)。第1羽根101及び第2羽根121が更に移動すると、第2羽根121が退避位置に到達し、第2羽根121の第1突起部124から第1羽根101の突起部104が離れる(位置p5~p6)。しかる後、第2羽根121が退避位置を維持し、第1羽根101のみが更に移動し(位置p6~p7)、第1羽根101が退避位置に至る(退避位置p0)。
【0062】
図9中、第1羽根101の可動域Rm1は、周縁規定部105が所定方向に移動可能な範囲に対応する。すなわち、第1羽根101の可動域Rm1は、周縁規定部105の退避時の位置P1a(退避)と、周縁規定部105の最大移動時の位置P1a(閉)との間の範囲に対応する。
【0063】
また、第2羽根121の可動域Rm2は、第2羽根121の所定方向における周縁規定部105から遠い側の端部である第2突起部125が所定方向に移動可能な範囲に対応する。すなわち、第2羽根121の可動域Rm2は、第2突起部125の退避時の位置P2b(退避)と、第2突起部125の最大移動時の位置P2b(閉)との間の範囲に対応する。
【0064】
このとき、図9及び図10に示すように、所定方向への第2羽根121の可動域Rm2は、第1羽根101の可動域Rm1より小さい(Rm2<Rm1)。これは、退避位置p0から位置p2までの間、第2羽根121が移動せず、第1羽根101のみが移動することによる。これに伴い、可動域Rm1,Rm2の差は、第2羽根121における第1突起部124と第2突起部125との間の距離に対応し、言い換えると、およそ第2羽根121における所定方向の羽根長に対応している。
【0065】
上述したように第1の実施形態によれば、X線診断装置1は、X線管3aから照射されるX線の照射野を限定するX線絞り装置3bを備える。X線絞り装置3bにおいて、第1羽根101は、所定方向に移動可能に設けられ、照射野32の周縁を規定する。第2羽根121は、第1羽根101と少なくとも一部が重なりながら当該所定方向に移動可能となっている。ここで、所定方向への第2羽根121の可動域Rm2は、第1羽根101の可動域Rm1より小さい。このように、絞り羽根を2枚重ね構成とすることで、照射野の移動範囲を維持しつつ、X線絞りを小型化することができる。
【0066】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101及び第2羽根121は、互いに少なくとも一部が重なるように所定方向に沿って移動するので、所定方向に沿った第1羽根101及び第2羽根121の羽根長に対応して照射野の周縁を移動させることができる。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、所定方向に延在するガイド軸151を備える。第1羽根101及び第2羽根121は、所定方向に移動可能にガイド軸151に係止される。これにより、第1羽根101及び第2羽根121がガイド軸151にガイドされて所定方向に移動するので、移動時の動作を安定させることができる。
【0068】
また、第1の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、所定方向に延在する駆動軸150と、駆動軸150に沿って設けられた駆動部116と、を備える。第1羽根101は、駆動部116からの駆動力を受けて所定方向に移動する。これにより、第1羽根101の移動範囲と、駆動軸150とが並行する関係にあるので、所定方向に移動する第1羽根101に対し、容易に駆動力を与えることができる。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101及び第2羽根121のうち、第1羽根101が駆動力を受け、第2羽根121は第1羽根101により駆動力を受ける。従って、第1羽根101及び第2羽根121の両者に駆動力を与える場合に比べ、駆動部116の構成の簡素化を図ることができる。
【0070】
また、第1の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、枠部153と、付勢部152とを備える。枠部153は、ガイド軸151を保持し、第1羽根101の移動に伴い第1羽根101との距離が変わる。付勢部152は、第2羽根121と枠部153とに接続され、第2羽根121を枠部153に近づく方向に付勢する。第1羽根101は、付勢部152と第2羽根121とを介して、枠部153に近づく方向で且つ照射野32が広がる方向に付勢される。従って、第2羽根121を枠部153に近づく方向に付勢する構成により、X線絞り装置3bの姿勢によって所定方向が重力方向の場合であっても、第2羽根121の重力方向への自発的な移動を防ぐことができる。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101は、第2羽根121に重なる面積が縮小する方向に移動することにより、照射野32を縮小させる。すなわち、第1羽根101の移動に従い、第1羽根101を第2羽根121から延伸させる構成を実現している。
【0072】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101及び第2羽根121は、所定方向に移動可能に駆動軸150に係止される。これにより、第1羽根101及び第2羽根121が駆動軸150に係止された状態で所定方向に駆動されるので、移動時の動作を安定させることができる。
【0073】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101は、照射野32の周縁を規定する周縁規定部105を有している。第1羽根101の可動域Rm1は、周縁規定部105が所定方向に移動可能な範囲に対応する。第2羽根121の可動域Rm2は、第2羽根121の所定方向における周縁規定部105から遠い側の端部である第2突起部125が所定方向に移動可能な範囲に対応する。これにより、第1羽根101の可動域Rm1と、第2羽根121の可動域Rm2との具体例を提供することができる。但し、第1羽根101の可動域Rm1は、これに限らず、例えば、突起部104が所定方向に移動可能な範囲に対応してもよい。同様に、第2羽根121の可動域Rm2は、これに限らず、例えば、第1突起部124が所定方向に移動可能な範囲に対応してもよい。すなわち、各羽根の可動域は、各羽根の任意の部位が所定方向に移動可能な範囲に対応するとしてもよい。
【0074】
また、第1の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、外囲器30を備える。外囲器30は、X線管3aからX線が入射される第1開口33と、入射されたX線が周縁が規定されて出射される第2開口31とが形成されたX線遮蔽部材により第1羽根101及び第2羽根121を収容する。ここで、第2羽根121の所定方向における周縁規定部105から遠い側の第2突起部125と、第1開口33及び第2開口31の中心軸との間の第1距離d125は、第1開口33の開口縁と第2開口31の開口縁とで規定される境界34と、中心軸との間の第2距離d34よりも大きい。このため、周縁規定部105が中心軸を超えて所定方向に移動した場合でも、X線が第1羽根101及び第2羽根121により遮蔽されるようになっている。
【0075】
また、第1の実施形態によれば、第1羽根101を所定方向に移動可能にガイド軸151に係止する第1係止部(例、短軸受103)と、第2羽根121を所定方向に移動可能にガイド軸151に係止する第2係止部(例、長軸受122)とを備えている。また、第1係止部におけるガイド軸151に沿った第1係止長と、第2係止部におけるガイド軸151に沿った第2係止長とのうちの一方は他方より長い。これにより、ガイド軸151において、第1係止長と第2係止長とを合計した係止長を、第1羽根101におけるガイド軸方向の長さ以下としてもよい。この場合、第1羽根101及び第2羽根121を、第1羽根101におけるガイド軸方向の長さ以下の範囲に退避させることができる。
【0076】
また、第1の実施形態によれば、第2羽根121を所定方向に移動可能にガイド軸151に係止する第2係止部と、第2羽根121を所定方向に移動可能に駆動軸150に係止する第3係止部とを備えている。ここで、第2係止部におけるガイド軸151に沿った第2係止長と、第3係止部における駆動軸150に沿った第3係止長とは互いに異なる。これにより、第2羽根121を、それぞれ異なる長さの係止部により、移動可能に駆動軸150及びガイド軸151に係止できるので、移動時の動作を安定させることができる。
【0077】
また、第1の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、第1羽根101及び第2羽根121を含む複数の絞り機構100A~100Dを備える。複数の絞り機構100A~100Dのうちの少なくとも2つは、所定方向が互いに交差するように配置されている。詳しくは、4つの絞り機構100A~100Dのうちの2つの絞り機構100A,100Bは、互いに同一の所定方向(X軸方向)に沿って第1羽根101及び第2羽根121が移動可能に配置されている。4つの絞り機構のうち、他の2つの絞り機構100C,100Dは、所定方向とは直交する方向(Y軸方向)に沿って第1羽根101及び第2羽根121が移動可能に配置されている。従って、4つの絞り機構100A~100Dにより、絞り羽根を小型化しつつ、照射野32を検出領域の中心から非対称に移動可能な構造を実現している。
【0078】
以上を補足すると、可動絞り羽根を2段羽根構成とすることで、可動絞り羽根のスライド移動量を大きくすることができる。また1枚毎の羽根の軸受け長さを適正量に、第1羽根101と第2羽根121のそれぞれの軸受け長さと配置を工夫することで、各羽根のスライド移動が良好になり、第1羽根101の周縁規定部105の停止位置精度を向上できる。また、前述した絞り羽根構成(2段羽根構成、長軸受/短軸受の配置の工夫)とすることで、絞り羽根が退避時に必要なスペースを小スペース化でき、X線絞り装置3bを小型化することができる。
【0079】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、図9及び図10に示したように、最大移動位置p4における第2羽根121の第2突起部125の位置P2b(閉)が、退避位置p0における周縁規定部105の位置P1a(退避)を超えないが、これに限定されない。例えば図11及び図12に示すように、第2羽根121の端部である第2突起部125は、第1羽根101と第2羽根121との重なる面積を最大にした場合の周縁規定部105の位置P1a(退避)を超えて所定方向(X軸方向)に移動可能としてもよい。なお、この場合、外囲器30の第2開口31の開口縁の位置P31が、最大移動位置p4における第2羽根121の第2突起部125の位置P2b(閉)より、所定方向(X軸方向)に突出して設けられることが好ましい(P2b(閉)<P31)。このような変形例としても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、第1の実施形態では、付勢部152として、引っ張りバネ等のバネ部材を用いたが、これに限定されない。例えば、図13及び図14に示すように、バネ部材の付勢部152に代えて、磁石による付勢部155を、第2羽根121の第2突起部125に対向して枠部153に設けてもよい。付勢部155によれば、第2羽根121の第2突起部125を磁力により吸引することで枠部153の方向に付勢できる。この場合、付勢部155の磁石に反発する極性の磁石106を第1羽根101の突起部104の内側に設けてもよい。この場合、 第1羽根101は、付勢部155に付勢されず、駆動部116から受ける駆動力により円滑に移動することができる。
【0081】
<第2の実施形態>
図15乃至図17は、第2の実施形態における絞り機構の構成を説明するための図であり、図3図4及び図10と略同一部分には同一符号を付すことにより、重複した説明の記載を省略する。なお、以下の各実施形態及び各変形例についても同様である。
【0082】
第2の実施形態は、絞り羽根の2枚重ね構成を用いた第1の実施形態とは異なり、絞り羽根の3枚重ね構成を用いている。なお、第1羽根101及び第2羽根121は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0083】
すなわち、X線絞り装置3bは、図15に退避時の絞り機構を示し、図16に周縁規定時の絞り機構を示すように、第2羽根121と少なくとも一部が重なりながら所定方向に移動可能な第3羽根161を備えている。なお、図17に示すように、所定方向への第3羽根161の可動域Rm3は、第2羽根121の可動域Rm2より小さい。
【0084】
また、図15及び図16に戻り、X線絞り装置3bは、ガイド軸151の端部を保持する枠部153と、第3羽根161と枠部153とに接続され、第3羽根161を枠部153に近づく方向に付勢する付勢部152とを備えている。第1羽根101は、付勢部152と第2羽根121と第3羽根161とを介して、枠部153に近づく方向で且つ照射野32が広がる方向に付勢される。
【0085】
詳しくは、図15及び図16に示す絞り機構では、3枚目の羽根に相当する第3羽根161が、両端(Y軸方向)に長軸受162と短軸受163、更には羽根全体に貼られた鉛板などの遮蔽板で構成されている。また当該構成の第3羽根が第1羽根101、第2羽根121と同一方向(X軸方向)にスライド移動するための第3軸154がガイド軸151及び駆動軸150と同一方向に沿って配置されている。第3軸154は、第3羽根161のスライド移動量分の軸長さで良く、ここでは枠部153に対して片支持で固定されている。第3羽根161は、長軸受162が第3軸154に、短軸受163が駆動軸150にそれぞれ挿入され、X軸方向にスライド移動可能な構成である。第3羽根161の長軸受162の軸受け長さを一定以上の長さにすることで、スライド移動時の第3羽根161の左右の傾きが生じることによるスライド移動の負荷抵抗を防止できる。このことは、前述した第1羽根101、第2羽根121の長軸受102,122と同様である。
【0086】
また、第3羽根161には、第2羽根121に対してX軸方向のスライド移動量を制限するための突起部が第2羽根121と第3羽根161にそれぞれ設けられている。具体的には第2羽根121の-X軸方向側には第3突起部126が設けられ、第3羽根161の移動量を制限している。一方、第3羽根161の+X軸方向側には第1突起部164が設けられ、第3羽根161の-X軸方向側には第2突起部165が設けられている。第2羽根121の第3突起部126は、第3羽根の第1突起部164と第2突起部165との間に常に介在し、第2羽根121に対する第3羽根161のX軸方向の移動量を規制する。
【0087】
また、第3羽根161は、付勢部152により常に枠部側153へ付勢される。
【0088】
一方、絞り羽根を退避位置から遮蔽位置に移動する時、第1羽根101は駆動部116から直接駆動力を受けることにより+X軸方向に距離d1だけスライド移動する。第2羽根121と第3羽根161はそれぞれが持つ突起部の衝突により、従動的な駆動力を受けることで第1羽根101と同一方向にそれぞれ距離d2,d3だけスライド移動する。補足すると、第1羽根101の突起部104が第2羽根121の第1突起部124に衝突することで、第2羽根121が第1羽根101から駆動力を受け、第2羽根121及び第1羽根101が一体となって移動する。しかる後、第2羽根121の第2突起部125が第3羽根161の第1突起部164に衝突することで、第3羽根161が第2羽根121から駆動力を受け、第3羽根161、第2羽根121及び第1羽根101が一体となって移動する。
【0089】
図17中、前述同様に、第3羽根161の可動域Rm3は、第3羽根161の所定方向における周縁規定部105から遠い側の端部である第2突起部165が所定方向に移動可能な範囲に対応する。すなわち、第3羽根161の可動域Rm3は、第2突起部165の退避時の位置P165(退避)と、第2突起部165の最大移動時の位置P165(閉)との間の範囲に対応する。なお、所定方向への第3羽根161の可動域Rm3は、第2羽根121の可動域Rm2より小さい。これは、退避位置から衝突位置までの間、第3羽根161が移動せず、第2羽根121及び第1羽根101のみが移動することによる。これに伴い、可動域Rm2,Rm3の差は、第3羽根161における第1突起部164と第2突起部165との間の距離に対応し、言い換えると、およそ第3羽根161における所定方向の羽根長に対応している。
【0090】
また、第1羽根101のスライド移動量により、移動時には、第1羽根101、第2羽根121、第3羽根161を含む絞り羽根全体のX軸方向の長さが延伸され、退避位置では絞り羽根全体のX軸方向の長さが縮小される。また、第1羽根101の長軸受122と短軸受103をそれぞれ駆動軸150とガイド軸151に挿入し、第2羽根121の長軸受122と短軸受123をそれぞれガイド軸151と駆動軸150に挿入している。さらに、第3羽根161の長軸受162を第3軸154に、短軸受163を駆動軸150にそれぞれ挿入している。このように、第1羽根101の長軸受102、第2羽根121の長軸受122、第3羽根161の長軸受162が、駆動軸150、ガイド軸151又は第3軸154の中の同一軸に配置されない構成により、退避位置では絞り羽根全体のX軸方向の長さが縮小される。
【0091】
上述したように第2の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、第2羽根121と少なくとも一部が重なりながら前記所定方向に移動可能な第3羽根161を備える。所定方向への第3羽根161の可動域Rm3は、第2羽根121の可動域Rm2より小さい。このように、絞り羽根を1枚増やし、3枚重ね構成としても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
また、第2の実施形態によれば、X線絞り装置3bは、ガイド軸151の端部を保持する枠部153と、第3羽根161と枠部153とに接続され、第3羽根161を枠部153に近づく方向に付勢する付勢部152とを備える。第1羽根101は、付勢部152と第2羽根121と第3羽根161とを介して、枠部153に近づく方向で且つ照射野32が広がる方向に付勢される。従って、第3羽根161を枠部153に近づく方向に付勢する構成により、X線絞り装置3bの姿勢によって所定方向が重力方向の場合であっても、第3羽根161及び第2羽根121の重力方向への落下移動を防ぐことができる。
【0093】
以上を補足すると、前述した各々の羽根の長軸受102、122、162と短軸受103、123、163の配置とすることで、それぞれの羽根のスライド移動時のX方向の左右傾きによる負荷抵抗を低減できる。また、図15に示すように、退避時のX方向の退避スペースを小スペース化することができる。また、3枚重ね構成により、絞り羽根全体の移動量をさらに増やすことが可能である。
【0094】
<第3の実施形態>
図18及び図19は、第3の実施形態における絞り機構の構成を説明するための平面図である。なお、図18は退避時の絞り機構を示し、図19は周縁規定時の絞り機構を示している。
【0095】
第3の実施形態は、第1の実施形態の構成に加え、長軸受122等のスライド軸受けと、ガイド軸151及び駆動軸150等のスライド軸との間の負荷抵抗(かじり)を防止する構成を付加している。
【0096】
具体的には、X線絞り装置3bは、第1羽根101と第2羽根121との重なる面積が最大の位置から第1羽根101が移動するときに、第1羽根101及び第2羽根121に緩衝力を付与する
緩衝部を備える。なお、緩衝部は、複数の絞り機構100A~100Dの各々に設けられる。また、緩衝部は、図19に示すように、第1緩衝バネ180、第2緩衝バネ181、第3緩衝バネ182、第4緩衝バネ183である。
【0097】
詳しくは、図18中、第2羽根121は、付勢部152の引っ張り力が生じた状態で停止している。第2羽根121は付勢部152の引っ張り力により、長軸受122を中心としたモーメント(Fθ2)が生じた状態で停止している。このとき、第2羽根121は、長軸受122とその挿入したガイド軸151とのはめ合いすき間分、第2羽根121の長軸受122に対して短軸受123側が-X方向に傾けられた状態で停止している。
【0098】
そのため長軸受122とガイド軸151の間で負荷抵抗(かじり)が生じる場合があり、スライド移動を阻害することがある。このような負荷抵抗(かじり)の発生を抑制するため、駆動軸150と同軸上で、第2羽根121と枠部153の間に第3緩衝バネ182を、更にはガイド軸151と同軸上で、第2羽根121と枠部153の間に第4緩衝バネ183をそれぞれ設けている。第3緩衝バネ182及び第4緩衝バネ183は、同一タイプの圧縮バネが望ましい。
【0099】
また同様に第1羽根101と第2羽根121との間にも圧縮タイプの緩衝バネを設けている。具体的には駆動軸150上で第1羽根101と第2羽根121の間に第1緩衝バネ180を、ガイド軸151上で第1羽根101と第2羽根121との間には第2緩衝バネ181を設けている。
【0100】
このような第1緩衝バネ180、第2緩衝バネ181、第3緩衝バネ182、第4緩衝バネ183は、所定方向における第1羽根101と第2羽根121との相対位置に応じて弾性力を発生する。すなわち、図18に示すように、緩衝バネの長さに比べ、第1羽根101と第2羽根121との相対位置が近い場合、第1緩衝バネ180、第2緩衝バネ181、第3緩衝バネ182、第4緩衝バネ183は、弾性力を発生する。また、図19に示すように、緩衝バネの長さに比べ、第1羽根101と第2羽根121との相対位置が遠い場合、第1緩衝バネ180、第2緩衝バネ181、第3緩衝バネ182、第4緩衝バネ183は、弾性力を発生しない。
【0101】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0102】
以上のような第3の実施形態によれば、第1羽根101と第2羽根121との重なる面積が最大の位置から第1羽根101が移動するときに、緩衝部が、第1羽根101及び第2羽根121に緩衝力を付与する。従って、長軸受122等のスライド軸受けと、ガイド軸151及び駆動軸150等のスライド軸との間の負荷抵抗(かじり)の発生を抑制することができる。特に長期の間、退避位置で可動絞り羽根が放置された時に生じるスライド軸受とスライド軸間に生じる負荷抵抗(かじり)を防止することができる。
【0103】
なお、図19中、第1羽根101は、付勢部152の引っ張り力により、長軸受102を中心としたモーメント(Fθ1)が生じた状態で停止している。従って同様の理由で、長軸受102と駆動軸150の間で負荷抵抗(かじり)が生じる可能性がある。しかしながら、周縁規定時の場合には、退避時とは異なり、長期の間、放置されることがないので、負荷抵抗(かじり)が生じにくい状況になっている。
【0104】
また、第3の実施形態によれば、緩衝部は、複数の絞り機構100A~100Dの各々に設けられる。従って、絞り機構100A~100Dの各々において、負荷抵抗(かじり)の発生を抑制することができる。
【0105】
また、第3の実施形態によれば、緩衝部は、所定方向における第1羽根101と第2羽根121との相対位置に応じて弾性力を発生する。従って、負荷抵抗(かじり)を生じ易い相対位置のときに弾性力を発生し、負荷抵抗(かじり)の発生を抑制することができる。
【0106】
<第4の実施形態>
図20及び図21は、第4の実施形態における絞り機構の構成を説明するための平面図である。なお、図21は退避時の絞り機構を示し、図21は周縁規定時の絞り機構を示している。
【0107】
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、付勢部152を省略し、第2羽根121にトーションタイプの緩衝バネ184を設けた構成である。但し、これに限らず、第2の実施形態に適用してもよい。
【0108】
ここで、緩衝バネ184は、第1羽根101の位置に依存せずに、第2羽根121から離れる方向に第1羽根101を付勢する。例えば、緩衝バネ184は、コイル部から伸びた2本の作用アーム長を、短いアーム185と長いアーム186の構成としている。第2羽根121は、緩衝バネ184のコイル部に挿入するためのバネ軸127を長軸受122の近傍に設けている。また、第2羽根121は、短いアーム185が掛かる突起部128を、バネ軸127の近傍で且つ長軸受122とは反対側の位置に設けている。短いアーム185は第2羽根121の突起部128を常に付勢し、長いアーム186は第1羽根101の突起部104を常に付勢する。このように、緩衝バネ184は、第1羽根101の位置に依存せずに、第2羽根121から離れる方向に第1羽根101を付勢する。
【0109】
なお、図20に示すように、退避時における緩衝バネ184に生じるバネ力をF1とする。また、図21に示すように、周縁規定時に働くばね力をF2とする。この場合、バネの特性上、F1>F2の関係がある。
【0110】
また、緩衝バネ184の長いアーム186の付勢力が作用する突起部104の端部は、第1羽根101の長軸受102の近傍に配置している。図20中、第1羽根101の長軸受102と、緩衝バネ184の付勢力作用点との間の距離をA1で表す。また同様に、緩衝バネ184の短いアーム185の付勢力が作用する突起部128は、第2羽根121の長軸受122の近傍に配置している。同様に、第2羽根121の長軸受122と、緩衝バネ184の付勢力作用点との間の距離をA2で表す。
【0111】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0112】
以上のような第4の実施形態によれば、緩衝バネ184は、第1羽根101の位置に依存せずに、第2羽根121から離れる方向に第1羽根101を付勢する。従って、付勢部152を省略し、緩衝バネ184を設けた構成としても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
補足すると、スライド軸受(第1羽根101では長軸受102、第2羽根121では長軸受122)に近い位置に外力を与えることで、第1羽根101、第2羽根121はそれぞれX方向にスムーズに移動することができる。
【0114】
なお、第4の実施形態の構成では、第1乃至第3の実施形態で設けた付勢部152を省略している。これは、トーションタイプの緩衝バネ184が、引っ張りバネの付勢部152と、圧縮バネの第1乃至第4緩衝バネ180~183(第3の実施形態)の両役割を担うためである。
【0115】
また、第4の実施形態によれば、図20及び図21に示すように、退避時から周縁規定時までの間に、緩衝バネ184の付勢力がF1~F2まで変動するが、第1羽根101に対して第2羽根121が常に広げられた状態を保ちながら、スライド移動できる。
【0116】
また、前述した第3の実施形態中、図19に示した構成では、第2羽根121に加わる外力としては、付勢部152による-X軸方向の付勢力と、第1突起部124及び突起部104を介して第1羽根101から受ける+X軸方向の駆動力とがある。図18に示した構成では、第2羽根121の長軸受122から離れた位置で、-X軸方向の付勢力や、+X軸方向の駆動力が第2羽根121に加わる。このため、第2羽根121にFθ2方向のモーメントが発生することで、長軸受122とガイド軸151との間に負荷抵抗(かじり)が生じる場合がある。一方、第4の実施形態の構成によれば、第1羽根101、第2羽根121へのモーメント発生を極力抑えることができる。
【0117】
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態では、緩衝バネ184は、コイル部から伸びた2本の作用アーム長を、短いアーム185と長いアーム186の構成としたが、これに限定されない。例えば、図22に示すように、緩衝バネ184aは、長いアーム186に代えて、短いアーム186aを設け、短いアーム186aにて、バネ軸127を中心に旋回可能なリンク部材187を介して突起部104を付勢する構成としてもよい。なお、リンク部材187の長さは、長いアーム186の長さと同等である。このような変形例としても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。あるいは、図23に示すように、2本の長いアーム185b,186bをコイル部で付勢する緩衝バネ184bを設け、第2羽根121の略中央に配置したバネ軸127でコイル部を係止してもよい。また、緩衝バネ184bの一方の長いアーム186bの付勢力が作用する突起部104の端部は、第1羽根101の長軸受102の近傍に配置している。また同様に、緩衝バネ184bの他方の長いアーム185bの付勢力が作用する突起部128は、第2羽根121の長軸受122の近傍に配置している。このような変形例としても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
(各実施形態の変形例)
各実施形態では、第1羽根101及び第2羽根121のうち、第1羽根101のみが駆動部116から駆動力を受けたが、これに限定されない。すなわち、第1羽根101及び第2羽根121のうちの少なくとも一方が、駆動部116からの駆動力を受けて所定方向に移動する構成であればよい。
【0119】
例えば、図24に示すように、第1羽根101及び第2羽根121の両方が駆動部116から駆動力を受けて所定方向に移動してもよい。この場合、駆動部116は、第1羽根101に第1駆動力を伝達する移動部1164と、第2羽根121に第2駆動力を伝達する棒状部材1165と、第1駆動力を約1/2に減速した第2駆動力を棒状部材1165に伝達する減速部1166とを備えてもよい。なお、移動部1164は、前述同様の構成を有している。減速部1166は、例えば、ギア等により、駆動部116のタイミングベルト1163の噛み合い歯の移動量を半分に低減した移動量で駆動軸150に沿って移動することにより、当該低減した移動量を棒状部材1165に伝達する。減速部1166の減速比(約1/2)は、第1羽根101の移動距離d1と、第2羽根121の移動距離d2との比(d2/d1)に基づいている。このような変形例としても、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
また例えば、図25に示すように、第1羽根101及び第2羽根121のうち、第2羽根121のみが駆動部116から駆動力を受けて所定方向に移動してもよい。第1羽根101は、第2羽根121を介して駆動力を受けて所定方向に移動する。具体的には例えば、第2羽根121は、前述した棒状部材1165及び減速部1166により、駆動部116から駆動力を受ける。第1羽根101は、例えば、前述したトーションタイプの緩衝バネ184により、第2羽根121から付勢力F2を受ける。また一方、駆動部116は、第1羽根101の長軸受102に当接した棒状部材1167を有し、当該棒状部材1167を第1羽根101の所望の移動量に応じて移動させる。なお、棒状部材1167は、第1羽根101を駆動するものではなく、第1羽根101の移動量を第2羽根121の移動量の2倍に制限するものである。これにより、第1羽根101は、駆動部116の棒状部材1167と、第2羽根121とに挟まれた状態で所定方向に移動する。このような変形例としても、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0121】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、照射野の移動範囲を維持しつつ、X線絞りを小型化することができる。
【0122】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1 X線診断装置
2 X線高電圧装置
3 X線源装置
3a X線管
3a1 焦点
3b X線絞り装置
4 X線検出器
5 サポートフレーム
6 天板
7 画像生成回路
8 通信インタフェース
9 入力インタフェース
10 制御回路
10a システム制御機能
11 処理回路
11a 画像処理機能
11b 表示制御機能
12 メモリ
13 ディスプレイ
30 外囲器
31 第2開口
32 照射野
33 第1開口
34 境界
100A~100D 絞り機構
101 第1羽根
102,122,162 長軸受
103,123,163 短軸受
104,128 突起部
105 周縁規定部
106 磁石
116 駆動部
121 第2羽根
124,164 第1突起部
125,165 第2突起部
126 第3突起部
127 バネ軸
150 駆動軸
151 ガイド軸
152,155 付勢部
153 枠部
154 第3軸
161 第3羽根
180 第1緩衝バネ
181 第2緩衝バネ
182 第3緩衝バネ
183 第4緩衝バネ
184,184a,184b 緩衝バネ
185,186a 短いアーム
185b,186,186b 長いアーム
187 リンク部材
1163 タイミングベルト
1164 移動部
1165,1167 棒状部材
1166 減速部
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