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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127542
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240912BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036757
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】今野 純也
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA15
5H770DA01
5H770DA22
5H770DA41
5H770QA06
5H770QA14
5H770QA16
(57)【要約】
【課題】複数のスイッチングモジュール間における電流アンバランスの発生を抑制できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有する複数の第1スイッチングモジュールと、直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを有する複数の第2スイッチングモジュールと、交流回路の一対の入出力端子の一方と電気的に接続される板状の第1導体と、所定の間隔を空けて第1導体の上に重ねて設けられ、一方の入出力端子と電気的に接続される板状の第2導体と、所定の間隔を空けて第2導体の上に重ねて設けられ、他方の入出力端子と電気的に接続される板状の第3導体と、所定の間隔を空けて第3導体の上に重ねて設けられ、他方の入出力端子と電気的に接続される板状の第4導体と、を備えた電力変換装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流回路及び交流回路に接続され、直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う電力変換装置であって、
直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有する複数の第1スイッチングモジュールと、
直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを有する複数の第2スイッチングモジュールと、
前記交流回路の一対の入出力端子の一方と電気的に接続される板状の第1導体と、
所定の間隔を空けて前記第1導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続される板状の第2導体と、
所定の間隔を空けて前記第2導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の他方と電気的に接続される板状の第3導体と、
所定の間隔を空けて前記第3導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される板状の第4導体と、
を備え、
前記複数の第1スイッチングモジュールは、前記第1導体、前記第2導体、前記第3導体、及び前記第4導体の積層体の側方に一列に並べて設けられ、
前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記複数の第1スイッチングモジュールとは別に前記積層体の側方に一列に並べて設けられ、
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、
前記複数の第1スイッチングモジュール及び前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子によってフルブリッジ回路を構成し、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子のスイッチングによって直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行い、
前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第1スイッチングモジュールは、前記第1導体と接続され、前記第1導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、
前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの前記2つの第1スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュールは、前記第2導体と接続され、前記第2導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第2スイッチングモジュールは、前記第4導体と接続され、前記第4導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの前記2つの第2スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュールは、前記第3導体と接続され、前記第3導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される電力変換装置。
【請求項2】
前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記積層体の前記複数の第1スイッチングモジュールとは反対側の側方に配置される請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を収容する第1筐体と、前記直流回路の高電位側の端子と電気的に接続される第1直流端子と、前記直流回路の低電位側の端子と電気的に接続される第2直流端子と、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続される第1交流端子と、を有し、
前記第1交流端子は、前記第1筐体の一端側に設けられ、
前記第1直流端子及び前記第2直流端子は、前記第1筐体の他端側に設けられ、
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1交流端子の設けられた前記第1筐体の前記一端側を前記積層体側に向けて配置され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子を収容する第2筐体と、前記直流回路の高電位側の端子と電気的に接続される第3直流端子と、前記直流回路の低電位側の端子と電気的に接続される第4直流端子と、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される第2交流端子と、を有し、
前記第2交流端子は、前記第2筐体の一端側に設けられ、
前記第3直流端子及び前記第4直流端子は、前記第2筐体の他端側に設けられ、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第2交流端子の設けられた前記第2筐体の前記一端側を前記積層体側に向けて配置される請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第2導体は、前記複数の第1スイッチングモジュールの並ぶ方向の前記複数の第1スイッチングモジュールの列よりも外側の位置において前記第1導体と電気的に接続され、
前記第4導体は、前記複数の第2スイッチングモジュールの並ぶ方向の前記複数の第2スイッチングモジュールの列よりも外側の位置において前記第3導体と電気的に接続される請求項1記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1スイッチングモジュールと、第2スイッチングモジュールと、を備えた電力変換装置がある。第1スイッチングモジュールは、直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有する。第2スイッチングモジュールは、直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを有する。換言すれば、第1スイッチングモジュール及び第2スイッチングモジュールは、ハーフブリッジ回路を有する。電力変換装置は、第1スイッチングモジュール及び第2スイッチングモジュールにより、フルブリッジ回路を構成し、各スイッチング素子のスイッチングにより、直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う。
【0003】
こうした電力変換装置において、複数の第1スイッチングモジュールと複数の第2スイッチングモジュールとを設け、複数の第1スイッチングモジュールを並列に接続するとともに、複数の第2スイッチングモジュールを並列に接続することが行われている。これにより、各スイッチング素子に必要となる電流や電圧の許容値の増加を抑制しつつ、大きな電力に対応することが可能となる。
【0004】
しかしながら、上記のように、並列に接続された複数の第1スイッチングモジュール及び並列に接続された複数の第2スイッチングモジュールを設け、各スイッチングモジュールを並べて配置する際に、各スイッチングモジュールの並べ方によっては、各スイッチングモジュールに流れる電流の大きさにアンバランスが生じてしまう場合がある。
【0005】
例えば、電流のアンバランスが発生し、所定のスイッチングモジュールに電流が集中してしまうと、電流の集中したスイッチングモジュールの温度責務が増加してしまう。このため、スイッチングモジュールの冷却能力を高めたり、各スイッチングモジュールの並列接続数を増やしたりといった対策が必要となり、装置の大型化やコスト増などの要因となってしまう恐れがある。
【0006】
このため、複数のスイッチングモジュールを並列に接続する電力変換装置においては、複数のスイッチングモジュール間における電流アンバランスの発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-134543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、複数のスイッチングモジュール間における電流アンバランスの発生を抑制できる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態によれば、直流回路及び交流回路に接続され、直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う電力変換装置であって、直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有する複数の第1スイッチングモジュールと、直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを有する複数の第2スイッチングモジュールと、前記交流回路の一対の入出力端子の一方と電気的に接続される板状の第1導体と、所定の間隔を空けて前記第1導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続される板状の第2導体と、所定の間隔を空けて前記第2導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の他方と電気的に接続される板状の第3導体と、所定の間隔を空けて前記第3導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される板状の第4導体と、を備え、前記複数の第1スイッチングモジュールは、前記第1導体、前記第2導体、前記第3導体、及び前記第4導体の積層体の側方に一列に並べて設けられ、前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記複数の第1スイッチングモジュールとは別に前記積層体の側方に一列に並べて設けられ、前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、前記複数の第1スイッチングモジュール及び前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子によってフルブリッジ回路を構成し、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子のスイッチングによって直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行い、前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第1スイッチングモジュールは、前記第1導体と接続され、前記第1導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの前記2つの第1スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュールは、前記第2導体と接続され、前記第2導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第2スイッチングモジュールは、前記第4導体と接続され、前記第4導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続され、前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの前記2つの第2スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュールは、前記第3導体と接続され、前記第3導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態では、複数のスイッチングモジュール間における電流アンバランスの発生を抑制できる電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表す説明図である。
図3】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表す説明図である。
図4】参考の電力変換装置を模式的に表す説明図である。
図5】実施形態に係る電力変換装置の変形例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、複数の第1スイッチングモジュール11と、複数の第2スイッチングモジュール12と、を備える。
【0014】
この例において、電力変換装置10は、4つの第1スイッチングモジュール11と、4つの第2スイッチングモジュール12と、を備えている。但し、電力変換装置10に設けられる第1スイッチングモジュール11及び第2スイッチングモジュール12の数は、上記に限定されるものではない。第1スイッチングモジュール11の数及び第2スイッチングモジュール12の数は、3つ以上の任意の数でよい。
【0015】
電力変換装置10は、直流回路2及び交流回路4に接続される。電力変換装置10は、直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う。換言すれば、電力変換装置10は、直流回路2から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を交流回路4に供給する動作、及び交流回路4から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を直流回路2に供給する動作の少なくとも一方の動作を行う。
【0016】
直流回路2は、例えば、直流電源や直流負荷などである。交流回路4は、例えば、交流電源、交流負荷、あるいは電力系統などである。直流回路2及び交流回路4は、例えば、別の変換器などでもよい。直流回路2及び交流回路4は、上記に限ることなく、任意の回路でよい。
【0017】
複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、直列に接続された第1スイッチング素子21と第2スイッチング素子22とを有する。複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、直列に接続された第3スイッチング素子23と第4スイッチング素子24とを有する。換言すれば、第1スイッチングモジュール11及び第2スイッチングモジュール12は、ハーフブリッジ回路を有する。
【0018】
第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24のそれぞれは、一対の主端子と、制御端子と、を有する。また、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24のそれぞれは、オン状態と、オフ状態と、を有する。
【0019】
オン状態は、一対の主端子間に電流を流す状態である。オフ状態は、一対の主端子間の電流の流れを遮断する状態である。第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24のそれぞれは、一対の主端子間の電圧、及び制御端子の電圧に応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。なお、オフ状態は、一対の主端子間に完全に電流が流れない状態に限ることなく、電力変換装置10の動作に影響の無い範囲の微弱な電流が一対の主端子間に流れる状態でもよい。
【0020】
第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、例えば、IGBTである。複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12は、換言すれば、IGBTモジュールである。但し、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、IGBTに限ることなく、MOSFETなどの他の自励式の半導体素子でもよい。第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、上記に限ることなく、オン状態及びオフ状態を任意に切り替えることが可能な任意の素子でよい。
【0021】
複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、第1直流端子11aと、第2直流端子11bと、第1交流端子11cと、を有する。また、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、第1筐体11dを有する。第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、第1筐体11dの内部に設けられる。換言すれば、第1筐体11dは、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22を内部に収容する。第1筐体11dは、例えば、絶縁性のパッケージである。
【0022】
第1直流端子11a、第2直流端子11b、及び第1交流端子11cは、第1筐体11dの外面に設けられ、外部の機器との電気的な接続に用いられる。第1交流端子11cは、例えば、第1筐体11dの一端側に設けられる。第1直流端子11a及び第2直流端子11bは、例えば、第1筐体11dの他端側に設けられる。換言すれば、第1直流端子11a及び第2直流端子11bは、第1筐体11dの第1交流端子11cと反対側の端部に設けられる。第1筐体11dは、例えば、略直方体状である。第1筐体11dを上方から見た形状は、略長方形状である。第1交流端子11cは、例えば、略直方体状の第1筐体11dの長手方向の一端側に設けられる。第1直流端子11a及び第2直流端子11bは、例えば、略直方体状の第1筐体11dの長手方向の他端側に設けられる。
【0023】
但し、第1筐体11dの形状は、上記に限ることなく、任意の形状でよい。第1直流端子11a、第2直流端子11b、及び第1交流端子11cの配置は、上記に限ることなく、任意の配置でよい。
【0024】
第1直流端子11aは、第1筐体11d内において、第1スイッチング素子21の一方の主端子と電気的に接続される。第1スイッチング素子21の他方の主端子は、第2スイッチング素子22の一方の主端子と電気的に接続される。第2スイッチング素子22の他方の主端子は、第2直流端子11bと電気的に接続される。換言すれば、第2直流端子11bは、第1筐体11d内において、第2スイッチング素子22の他方の主端子と電気的に接続される。第1交流端子11cは、第1筐体11d内において、第1スイッチング素子21の他方の主端子と第2スイッチング素子22の一方の主端子との接続点と電気的に接続される。
【0025】
このように、第1スイッチングモジュール11では、直列に接続された第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22の両端が一対の直流接続点となり、第1スイッチング素子21と第2スイッチング素子22との接続点が交流接続点となる。
【0026】
また、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、図示は省略するが、第1スイッチング素子21の制御端子に制御信号を入力するための端子と、第2スイッチング素子22の制御端子に制御信号を入力するための端子と、をさらに有する。各端子は、第1筐体11dの外面に設けられる。第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22のオン状態及びオフ状態は、第1筐体11dに設けられた各端子を介して制御端子に制御信号を入力することによって切り替えられる。
【0027】
複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、第3直流端子12aと、第4直流端子12bと、第2交流端子12cと、を有する。また、複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、第2筐体12dを有する。第2筐体12dは、第3スイッチング素子23及び第4スイッチング素子24を内部に収容する。第2交流端子12cは、例えば、第2筐体12dの一端側に設けられる。第3直流端子12a及び第4直流端子12bは、例えば、第2筐体12dの他端側に設けられる。第2スイッチングモジュール12の構成は、第1スイッチングモジュール11の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0028】
複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれの第1直流端子11aは、直流回路2の高電位側の端子2aと電気的に接続される。複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれの第2直流端子11bは、直流回路2の低電位側の端子2bと電気的に接続される。複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれの第1交流端子11cは、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方と電気的に接続される。複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれの第1交流端子11cは、例えば、交流回路4の入出力端子4aと電気的に接続される。
【0029】
換言すれば、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22の両端を介して直流回路2と電気的に接続されるとともに、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22の接続点を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方と電気的に接続される。これにより、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、互いに並列に接続される。
【0030】
複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれの第3直流端子12aは、直流回路2の高電位側の端子2aと電気的に接続される。複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれの第4直流端子12bは、直流回路2の低電位側の端子2bと電気的に接続される。複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれの第2交流端子12cは、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方と電気的に接続される。複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれの第2交流端子12cは、例えば、交流回路4の入出力端子4bと電気的に接続される。
【0031】
換言すれば、複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、第3スイッチング素子23及び第4スイッチング素子24の両端を介して直流回路2と電気的に接続されるとともに、第3スイッチング素子23及び第4スイッチング素子24の接続点を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方と電気的に接続される。これにより、複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、互いに並列に接続される。
【0032】
複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12は、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24によってフルブリッジ回路を構成し、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24のスイッチングによって直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う。
【0033】
第1スイッチングモジュール11は、例えば、単相フルブリッジ回路の一対のレグの一方を構成し、第2スイッチングモジュール12は、例えば、単相フルブリッジ回路の一対のレグの他方を構成する。第1スイッチングモジュール11は、換言すれば、フルブリッジ回路を構成するための複数のスイッチングモジュールにおいて、交流回路4の一方の入出力端子4aと電気的に接続されるスイッチングモジュールである。第2スイッチングモジュール12は、換言すれば、フルブリッジ回路を構成するための複数のスイッチングモジュールにおいて、交流回路4の他方の入出力端子4bと電気的に接続されるスイッチングモジュールである。
【0034】
このように、電力変換装置10では、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12を並列に接続する。これにより、電力変換装置10では、各スイッチング素子21~24に必要となる電流や電圧の許容値の増加を抑制しつつ、大きな電力に対応することが可能となる。複数の第1スイッチングモジュール11の数及び複数の第2スイッチングモジュール12の数は、扱う電力の大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0035】
交流回路4の交流電力は、例えば、単相交流電力である。電力変換装置10は、例えば、直流電力から単相交流電力への変換及び単相交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う。但し、交流回路4の交流電力は、例えば、三相交流電力などでもよい。電力変換装置10は、例えば、3つの単相フルブリッジ回路によって直流電力から三相交流電力への変換及び三相交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う構成としてもよい。複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12は、例えば、三相交流電力の1つの相に対応する部分としてもよい。
【0036】
図2及び図3は、実施形態に係る電力変換装置を模式的に表す説明図である。
図2及び図3に表したように、電力変換装置10は、第1導体31と、第2導体32と、第3導体33と、第4導体34と、をさらに備える。
【0037】
第1導体31は、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方の入出力端子4aと電気的に接続される板状の導体である。第2導体32は、所定の間隔を空けて第1導体31の上に重ねて設けられ、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方の入出力端子4aと電気的に接続される板状の導体である。第3導体33は、所定の間隔を空けて第2導体32の上に重ねて設けられ、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方の入出力端子4bと電気的に接続される板状の導体である。第4導体34は、所定の間隔を空けて第3導体33の上に重ねて設けられ、交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方の入出力端子4bと電気的に接続される板状の導体である。第1導体31~第4導体34は、例えば、ブスバーやバスバーなどと呼ばれる場合もある。
【0038】
第1導体31~第4導体34は、換言すれば、板状の各導体の厚さ方向において、それぞれ所定の間隔を空けて重ねて設けられる。厚さ方向は、換言すれば、板状の各導体31~34の上面及び下面に対して直交する方向である。
【0039】
各導体31~34のそれぞれの間には、例えば、絶縁シートなどが設けられていてもよい。各導体31~34の間は、例えば、空気層などでもよい。各導体31~34の間の材料は、各導体31~34間の電気的な絶縁を適切に確保することができる任意の材料でよい。各導体31~34間の距離(間隔)は、各導体31~34間の電気的な絶縁を適切に確保することができる任意の距離でよい。
【0040】
図3では、図示を容易にするため、便宜的に、各導体31~34を僅かにずらして図示している。各導体31~34の外形形状は、実質的に同じでもよい。但し、各導体31~34の形状は、必ずしも同じでなくてもよい。各導体31~34は、少なくとも一部が厚さ方向において重なるように配置されていればよい。
【0041】
複数の第1スイッチングモジュール11は、第1導体31、第2導体32、第3導体33、及び第4導体34の積層体35の側方に一列に並べて設けられる。複数の第2スイッチングモジュール12は、複数の第1スイッチングモジュール11とは別に積層体35の側方に一列に並べて設けられる。側方は、各導体31~34の並ぶ上下方向と直交する方向である。側方は、換言すれば、各導体31~34の積層方向と直交する方向である。
【0042】
換言すれば、複数の第1スイッチングモジュール11は、各導体31~34の厚さ方向と直交する方向において、積層体35と隣接して設けられる。複数の第2スイッチングモジュール12は、各導体31~34の厚さ方向と直交する方向において、複数の第1スイッチングモジュール11とは別に積層体35と隣接して設けられる。
【0043】
複数の第2スイッチングモジュール12の並ぶ方向は、例えば、複数の第1スイッチングモジュール11の並ぶ方向と同じである。複数の第2スイッチングモジュール12は、例えば、積層体35の複数の第1スイッチングモジュール11とは反対側の側方に配置される。換言すれば、積層体35は、所定の方向に並ぶ複数の第1スイッチングモジュール11と、複数の第1スイッチングモジュール11と略平行に並ぶ複数の第2スイッチングモジュール12と、の間に配置される。
【0044】
各導体31~34を上方から見た形状は、例えば、略長方形状である。複数の第1スイッチングモジュール11は、例えば、長方形状の各導体31~34の長手方向の一方の辺に沿って並ぶ。複数の第2スイッチングモジュール12は、例えば、長方形状の各導体31~34の長手方向の他方の辺に沿って並ぶ。
【0045】
但し、複数の第1スイッチングモジュール11、複数の第2スイッチングモジュール12、及び積層体35のそれぞれの配置は、上記に限定されるものではない。複数の第2スイッチングモジュール12の並ぶ方向は、必ずしも複数の第1スイッチングモジュール11の並ぶ方向と同じでなくてもよい。各導体31~34の形状は、上記に限ることなく、任意の形状でよい。
【0046】
複数の第1スイッチングモジュール11のうちの列の両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11は、第1導体31と接続される。両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11は、第1交流端子11cを介して第1導体31と接続される。両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11は、例えば、第1導体31を第1交流端子11cの部分にネジ止めすることなどにより、第1交流端子11cを介して第1導体31と機械的及び電気的に接続される。これにより、両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11は、第1導体31を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方の入出力端子4aと電気的に接続される。
【0047】
複数の第1スイッチングモジュールのうちの2つの第1スイッチングモジュール11の間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュール11は、第2導体32と接続される。間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュール11は、第1交流端子11cを介して第2導体32と接続される。間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュール11は、例えば、第2導体32を第1交流端子11cの部分にネジ止めすることなどにより、第1交流端子11cを介して第2導体32と機械的及び電気的に接続される。これにより、間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュール11は、第2導体32を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの一方の入出力端子4aと電気的に接続される。
【0048】
複数の第2スイッチングモジュール12のうちの列の両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12は、第4導体34と接続される。両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12は、第2交流端子12cを介して第4導体34と接続される。両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12は、例えば、第4導体34を第2交流端子12cの部分にネジ止めすることなどにより、第2交流端子12cを介して第4導体34と機械的及び電気的に接続される。これにより、両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12は、第4導体34を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方の入出力端子4bと電気的に接続される。
【0049】
複数の第2スイッチングモジュール12のうちの2つの第2スイッチングモジュール12の間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュール12は、第3導体33と接続される。間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュール12は、第2交流端子12cを介して第3導体33と接続される。間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュール12は、例えば、第3導体33を第2交流端子12cの部分にネジ止めすることなどにより、第2交流端子12cを介して第3導体33と機械的及び電気的に接続される。これにより、間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュール12は、第3導体33を介して交流回路4の一対の入出力端子4a、4bの他方の入出力端子4bと電気的に接続される。
【0050】
この例では、4つの第1スイッチングモジュール11のうちの両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11が第1導体31に接続され、両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11の間の2つの第1スイッチングモジュール11が第2導体32に接続されている。そして、この例では、4つの第2スイッチングモジュール12のうちの両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12が第4導体34に接続され、両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12の間の2つの第2スイッチングモジュール12が第3導体33に接続されている。
【0051】
但し、第1導体31及び第2導体32に接続される第1スイッチングモジュール11の数、及び第3導体33及び第4導体34に接続される第2スイッチングモジュール12の数は、上記に限るものではない。
【0052】
第1導体31に接続される第1スイッチングモジュール11の数は、少なくとも両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11を含む任意の数でよい。第2導体32に接続される第1スイッチングモジュール11の数は、任意の数でよい。例えば、複数の第1スイッチングモジュール11の数を3つとし、両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11の間の1つの第1スイッチングモジュール11のみを第2導体32に接続してもよい。例えば、複数の第1スイッチングモジュール11の数を6つとし、両端側の4つの第1スイッチングモジュール11を第1導体31に接続し、中央側の2つの第1スイッチングモジュール11を第2導体32に接続してもよい。第2導体32に接続される第1スイッチングモジュール11の数は、第1導体31に接続される第1スイッチングモジュール11の数と同じでもよいし、異なってもよい。
【0053】
同様に、第4導体34に接続される第2スイッチングモジュール12の数は、少なくとも両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12を含む任意の数でよい。第3導体33に接続される第2スイッチングモジュール12の数は、任意の数でよい。
【0054】
図2及び図3に表したように、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれは、例えば、第1交流端子11cの設けられた第1筐体11dの一端側を積層体35側に向けて配置される。複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれは、例えば、第2交流端子12cの設けられた第2筐体12dの一端側を積層体35側に向けて配置される。
【0055】
第2導体32は、例えば、複数の第1スイッチングモジュール11の並ぶ方向の複数の第1スイッチングモジュール11の列よりも外側の位置において第1導体31と電気的に接続される。第2導体32は、例えば、長手方向の複数の第1スイッチングモジュール11の列よりも外側の位置において第1導体31と電気的に接続される。第1導体31及び第2導体32は、例えば、両端に位置する2つの第1スイッチングモジュール11の間の部分(複数の第1スイッチングモジュール11の並ぶ部分)においては、略平行な2枚の導体板として機能する。
【0056】
第4導体34は、例えば、複数の第2スイッチングモジュール12の並ぶ方向の複数の第2スイッチングモジュール12の列よりも外側の位置において第3導体33と電気的に接続される。第4導体34は、例えば、長手方向の複数の第2スイッチングモジュール12の列よりも外側の位置において第3導体33と電気的に接続される。第3導体33及び第4導体34は、例えば、両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12の間の部分(複数の第2スイッチングモジュール12の並ぶ部分)においては、略平行な2枚の導体板として機能する。
【0057】
図4は、参考の電力変換装置を模式的に表す説明図である。
図4に表したように、参考の電力変換装置40は、2つの導体41、42のみを備えている。複数の第1スイッチングモジュール11は、各導体41、42の一方の側方側に並べて設けられている。複数の第2スイッチングモジュール12は、各導体41、42の他方の側方側に並べて設けられている。また、複数の第1スイッチングモジュール11は、第1交流端子11cを介して導体41に接続され、導体41を介して交流回路4の一方の入出力端子4aと電気的に接続されている。複数の第2スイッチングモジュール12は、第2交流端子12cを介して導体42に接続され、導体42を介して交流回路4の他方の入出力端子4bと電気的に接続されている。
【0058】
図4では、第1スイッチング素子21及び第4スイッチング素子24をオン状態とし、第2スイッチング素子22及び第3スイッチング素子23をオフ状態とした場合の電流の流れを二点鎖線の矢線で模式的に表している。
【0059】
上記のようにスイッチングを行った場合、直流回路2の高電位側の端子2aから出力された電流が、第1スイッチングモジュール11の第1直流端子11a、第1スイッチング素子21、第1スイッチングモジュール11の第1交流端子11c、及び導体41を介して交流回路4に流れるとともに、交流回路4を流れた電流が、導体42、第2スイッチングモジュール12の第2交流端子12c、第4スイッチング素子24、及び第2スイッチングモジュール12の第4直流端子12bを介して直流回路2の低電位側の端子2bに流れる。
【0060】
本願発明者は、鋭意の検討の結果、参考の電力変換装置40の構成では、上記のようにスイッチングを行う際に、各スイッチングモジュールに流れる電流にアンバランスが生じてしまう可能性があることを見出した。より具体的には、4つ並んだ第1スイッチングモジュール11のうちの内側の2つの第1スイッチングモジュール11に電流が流れ難くなり、外側の2つの第1スイッチングモジュール11に電流が集中してしまう場合があることを見出した。同様に、4つ並んだ第2スイッチングモジュール12のうちの内側の2つの第2スイッチングモジュール12に電流が流れ難くなり、外側の2つの第2スイッチングモジュール12に電流が集中してしまう場合がある。
【0061】
図4に表したように、参考の電力変換装置40の構成では、上記のようにスイッチングを行う際に、隣接する4つの第1スイッチングモジュール11において同じ方向に電流が流れるとともに、隣接する4つの第2スイッチングモジュール12において同じ方向に電流が流れる。上記の電流のアンバランスは、例えば、隣接する複数の第1スイッチングモジュール11間、及び隣接する複数の第2スイッチングモジュール12間における相互誘導の影響であると考えられる。
【0062】
これに対し、本実施形態に係る電力変換装置10では、第1導体31~第4導体34の4つの導体を設け、複数の第1スイッチングモジュール11のうちの列の両端に位置する2つの第1スイッチングモジュールを第1導体31と接続し、複数の第1スイッチングモジュール11のうちの2つの第1スイッチングモジュール11の間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュール11を第2導体32と接続し、複数の第2スイッチングモジュール12のうちの列の両端に位置する2つの第2スイッチングモジュール12を第4導体34と接続し、複数の第2スイッチングモジュール12のうちの2つの第2スイッチングモジュール12の間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュール12を第3導体33と接続している。
【0063】
これにより、本実施形態に係る電力変換装置10では、図2に表したように、上記のようにスイッチングを行う際に、第1導体31及び第2導体32に同じ向きに電流を流し、第3導体33及び第4導体34に同じ向きに電流を流すとともに、第2導体32及び第3導体33に流れる電流の向きを逆向きにすることができる。
【0064】
このため、各導体31~34では、隣接する2つの導体間において逆向きに電流の流れる内側の第2導体32及び第3導体33においては、相互誘導の影響を抑制し、電流を流れ易くすることができる。反対に、隣接する2つの導体間において同じ向きに電流の流れる外側の第1導体31及び第4導体34においては、相互誘導の影響が大きくなり、電流が流れ難くなる。
【0065】
上記のように、4つ並んだ第1スイッチングモジュール11のうちの内側の2つの第1スイッチングモジュール11は、外側の2つの第1スイッチングモジュール11に比べて電流が流れ難い。一方で、内側の2つの第1スイッチングモジュール11が接続された第2導体32は、外側の2つの第1スイッチングモジュール11が接続された第1導体31に比べて電流が流れ易い。同様に、4つ並んだ第2スイッチングモジュール12のうちの内側の2つの第2スイッチングモジュール12は、外側の2つの第2スイッチングモジュール12に比べて電流が流れ難い。一方で、内側の2つの第2スイッチングモジュール12が接続された第3導体33は、外側の2つの第2スイッチングモジュール12が接続された第4導体34に比べて電流が流れ易い。
【0066】
本実施形態に係る電力変換装置10では、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12で発生する電流アンバランスの関係と反対の関係の電流アンバランスを各導体31~34によって与えることができる。これにより、本実施形態に係る電力変換装置10では、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12で発生する電流アンバランスを各導体31~34によって抑制することができる。換言すれば、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれに流れる電流の大きさを各導体31~34によって調整し、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれに流れる電流のアンバランスを抑制することができる。
【0067】
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、複数の第1スイッチングモジュール11間及び複数の第2スイッチングモジュール12間における電流アンバランスの発生を抑制することができる。また、これにより、各スイッチングモジュールの温度責務の増加を抑制し、各スイッチングモジュールの冷却能力を高めたり、各スイッチングモジュールの並列接続数を増やしたりといった対策の必要を抑制することもできる。従って、装置の大型化やコスト増などを抑制することもできる。
【0068】
また、本実施形態に係る電力変換装置10では、第1交流端子11cの設けられた第1筐体11dの一端側を第1導体31及び第2導体32側に向けて複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれを配置し、第2交流端子12cの設けられた第2筐体12dの一端側を第1導体31及び第2導体32側に向けて一対の第2スイッチングモジュール12のそれぞれを配置する。
【0069】
これにより、例えば、複数の第1スイッチングモジュール11のそれぞれに流れる電流の向きを合わせ、複数の第1スイッチングモジュール11間における相互誘導の影響を適切に設定することができるとともに、複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれに流れる電流の向きを合わせ、複数の第2スイッチングモジュール12間における相互誘導の影響を適切に設定することができる。
【0070】
これにより、例えば、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれに流れる電流のアンバランスを各導体31~34によってより調整し易くすることができる。例えば、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12のそれぞれに流れる電流のアンバランスをより適切に抑制することができる。
【0071】
図5は、実施形態に係る電力変換装置の変形例を模式的に表す説明図である。
図5に表したように、電力変換装置10aでは、複数の第2スイッチングモジュール12が、積層体35の複数の第1スイッチングモジュール11と同じ側の側方に配置されている。換言すれば、電力変換装置10aでは、複数の第1スイッチングモジュール11及び複数の第2スイッチングモジュール12が、各導体31~34の1つの辺に沿って並べられている。複数の第2スイッチングモジュール12は、例えば、複数の第1スイッチングモジュール11と一列に並べて設けられる。
【0072】
このように、複数の第2スイッチングモジュール12は、積層体35の複数の第1スイッチングモジュール11と同じ側の側方に配置してもよい。この場合にも、各導体31~34によって、複数の第1スイッチングモジュール11間及び複数の第2スイッチングモジュール12間における電流アンバランスの発生を抑制することができる。
【0073】
但し、複数の第2スイッチングモジュール12は、図1図3に関して説明したように、積層体35の複数の第1スイッチングモジュール11とは反対側の側方に配置することがより好適である。これにより、例えば、複数の第2スイッチングモジュール12の列の第1スイッチングモジュール11と隣接する一端側において、複数の第2スイッチングモジュール12の列の第1スイッチングモジュール11と隣接しない他端側と相互誘導の条件が変化してしまうことを抑制することができる。
【0074】
従って、複数の第2スイッチングモジュール12を積層体35の複数の第1スイッチングモジュール11とは反対側の側方に配置した場合には、例えば、同じ側に配置する場合などと比べて、各導体31~34によって電流のアンバランスをより調整し易くすることができる。電流アンバランスの発生をより適切に抑制することができる。
【0075】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
直流回路及び交流回路に接続され、直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行う電力変換装置であって、
直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有する複数の第1スイッチングモジュールと、
直列に接続された第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とを有する複数の第2スイッチングモジュールと、
前記交流回路の一対の入出力端子の一方と電気的に接続される板状の第1導体と、
所定の間隔を空けて前記第1導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続される板状の第2導体と、
所定の間隔を空けて前記第2導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の他方と電気的に接続される板状の第3導体と、
所定の間隔を空けて前記第3導体の上に重ねて設けられ、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される板状の第4導体と、
を備え、
前記複数の第1スイッチングモジュールは、前記第1導体、前記第2導体、前記第3導体、及び前記第4導体の積層体の側方に一列に並べて設けられ、
前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記複数の第1スイッチングモジュールとは別に前記積層体の側方に一列に並べて設けられ、
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の両端を介して前記直流回路と電気的に接続されるとともに、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子の接続点を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続されることにより、互いに並列に接続され、
前記複数の第1スイッチングモジュール及び前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子によってフルブリッジ回路を構成し、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子のスイッチングによって直流電力から交流電力への変換及び交流電力から直流電力への変換の少なくとも一方を行い、
前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第1スイッチングモジュールは、前記第1導体と接続され、前記第1導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、
前記複数の第1スイッチングモジュールのうちの前記2つの第1スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第1スイッチングモジュールは、前記第2導体と接続され、前記第2導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの列の両端に位置する2つの第2スイッチングモジュールは、前記第4導体と接続され、前記第4導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのうちの前記2つの第2スイッチングモジュールの間に位置する少なくとも1つの第2スイッチングモジュールは、前記第3導体と接続され、前記第3導体を介して前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される電力変換装置。
【0076】
(付記2)
前記複数の第2スイッチングモジュールは、前記積層体の前記複数の第1スイッチングモジュールとは反対側の側方に配置される付記1記載の電力変換装置。
【0077】
(付記3)
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を収容する第1筐体と、前記直流回路の高電位側の端子と電気的に接続される第1直流端子と、前記直流回路の低電位側の端子と電気的に接続される第2直流端子と、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記一方と電気的に接続される第1交流端子と、を有し、
前記第1交流端子は、前記第1筐体の一端側に設けられ、
前記第1直流端子及び前記第2直流端子は、前記第1筐体の他端側に設けられ、
前記複数の第1スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第1交流端子の設けられた前記第1筐体の前記一端側を前記積層体側に向けて配置され、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子を収容する第2筐体と、前記直流回路の高電位側の端子と電気的に接続される第3直流端子と、前記直流回路の低電位側の端子と電気的に接続される第4直流端子と、前記交流回路の前記一対の入出力端子の前記他方と電気的に接続される第2交流端子と、を有し、
前記第2交流端子は、前記第2筐体の一端側に設けられ、
前記第3直流端子及び前記第4直流端子は、前記第2筐体の他端側に設けられ、
前記複数の第2スイッチングモジュールのそれぞれは、前記第2交流端子の設けられた前記第2筐体の前記一端側を前記積層体側に向けて配置される付記1又は2に記載の電力変換装置。
【0078】
(付記4)
前記第2導体は、前記複数の第1スイッチングモジュールの並ぶ方向の前記複数の第1スイッチングモジュールの列よりも外側の位置において前記第1導体と電気的に接続され、
前記第4導体は、前記複数の第2スイッチングモジュールの並ぶ方向の前記複数の第2スイッチングモジュールの列よりも外側の位置において前記第3導体と電気的に接続される付記1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0079】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
2…直流回路、 4…交流回路、 10、10a、40…電力変換装置、 11…第1スイッチングモジュール、 12…第2スイッチングモジュール、 21…第1スイッチング素子、 22…第2スイッチング素子、 23…第3スイッチング素子、 24…第4スイッチング素子、 31…第1導体、 32…第2導体、 33…第3導体、 34…第4導体、 35…積層体、 41、42…導体
図1
図2
図3
図4
図5