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特開2024-127549RFIDタグ読み取り装置及びリフター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127549
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】RFIDタグ読み取り装置及びリフター
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20240912BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240912BHJP
   H01Q 13/22 20060101ALI20240912BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B66F9/075 Z
G06K7/10 224
G06K7/10 244
H01Q13/22
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036765
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒木 邦宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 哲平
【テーマコード(参考)】
3F333
5J045
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333CA30
3F333DA02
3F333FD11
3F333FE07
5J045AB03
5J045DA15
(57)【要約】
【課題】RFIDタグを備える物品の開口内にアンテナを挿入してRFIDタグを読み取る場合に、RFIDタグの読み取り安定性を高めたRFIDタグ読み取り装置及びそれを備えるリフターを得る。
【解決手段】RFIDタグ読み取り装置は、多接リンク10等の伸縮自在の伸縮構造体と、伸縮構造体の周囲で伸縮構造体の伸縮に伴い螺旋状で伸縮する、又は伸縮構造体に沿ってジグザグ状に伸縮する、ケーブル状アンテナ20と、ケーブル状アンテナ20に接続されたRFIDタグ読み取り回路3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在の伸縮構造体と、
前記伸縮構造体の周囲で前記伸縮構造体の伸縮に伴い螺旋状で伸縮する、又は前記伸縮構造体に沿ってジグザグ状に伸縮する、ケーブル状アンテナと、
前記ケーブル状アンテナに接続されたRFIDタグ読み取り回路と、を備えた、
RFIDタグ読み取り装置。
【請求項2】
前記伸縮構造体は多接リンクの構造体である、
請求項1に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【請求項3】
前記伸縮構造体はスライダーが伸縮する構造体である、
請求項1に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【請求項4】
前記ケーブル状アンテナを前記伸縮構造体の伸縮方向の軸周りに旋回させるケーブル状アンテナ駆動機構を備える、
請求項1から3のいずれかに記載のRFIDタグ読み取り装置。
【請求項5】
環状物品に設けられたRFIDタグと通信するRFIDタグ読み取り装置であって、
前記伸縮構造体が伸びる前の状態で伸縮方向を軸とする前記ケーブル状アンテナの径方向の外形幅は前記環状物品の内径に対して100%未満であり、前記伸縮構造体が伸びた状態で前記外形幅は前記環状物品の内径に対して50%以上である、
請求項1から3のいずれかに記載のRFIDタグ読み取り装置。
【請求項6】
前記環状物品はタイヤ又はタイヤ状物品であり、
前記ケーブル状アンテナの前記伸縮方向のピッチは前記環状物品の厚み寸法に対して50%以上100%未満である、
請求項5に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【請求項7】
請求項6に記載のRFIDタグ読み取り装置を備えるリフターであり、
前記リフターは、軸方向が揃った状態で複数の前記環状物品を搭載、把持又は吊して保持する保持装置を備え、
前記伸縮構造体を、前記保持装置で保持された前記環状物品の環内で前記軸方向に伸縮する、
リフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理対象の物品に備えられたRFIDタグを読み取るRFIDタグ読み取り装置、及びそのRFIDタグ読み取り装置を備えたリフターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車タイヤの生産ラインにおいてコンテナへタイヤを積み込む際や、倉庫においてタイヤの仕分け作業等を行う際に、専用のタイヤリフターが用いられている。例えば、パレットに積まれた複数のタイヤを運搬するには、一対のフォークを備えたフォークリフトが用いられ、タイヤ束を横向きに掴んで運搬するには、一対のクランプを備えた、例えばホイスト式クレーンのリフターが用いられる。
【0003】
ところで、各タイヤの品質管理のためには、各タイヤがそのタイヤの情報(タイヤの識別、特性、イベントなどの特定データ)を記録するRFIDタグを備えることが有効である。その結果、作業者はリフターによるタイヤの取り扱いに加えて、例えばタイヤが正しいものであることを確認し、その位置情報を保存すること等ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7096429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、図13(A)は、タイヤ5a,5b,5c,5d,5eが比較的に間隔を設けて配置されている例である。また、図13(B)は、タイヤ5aとタイヤ5bとの間及びタイヤ5dとタイヤ5eとの間に隙間があり、タイヤ5b,5c,5dが極近接している例である。図13(A)に示す状態では、各タイヤ5a,5b,5c,5d,5eの間にアンテナを挿入すれば、タイヤ5a,5b,5c,5d,5eのトランスポンダーを読み取ることができるが、図13(B)に示す例では、タイヤ5cのトランスポンダーを読み取ることができない。
【0006】
一方、例えば、特許文献1には、把持装置と、タイヤが備えるトランスポンダーを読み取る読み取り装置と、読み取り装置のアンテナと、アンテナがタイヤから離れたアイドル位置とタイヤの近くの作業位置との間でアンテナを移動させるように構成されたハンドリングユニットとを有するフォークリフトが記載されている。この特許文献1に示されている装置では、フォークリフトに積載されたタイヤの開口内アンテナを延ばすことで各タイヤのトランスポンダーを読み取る。
【0007】
しかし、特許文献1に開示された構造では、各タイヤに取り付けられたトランスポンダー(RFIDタグ)とアンテナとの距離が離れた状態で読み取ることになるため、読み取りが不安定で、データの信頼性が低い、あるいは不完全な場合があるなど、改善の余地がある。
【0008】
このように、タイヤの開口内へアンテナを挿入して各タイヤのRFIDタグを読み取ろうとする場合は、各タイヤに取り付けられたトランスポンダー(RFIDタグ)とアンテナとの距離が離れてしまうため、読み取りが不安定であり、読み取りデータの信頼性が低く、データに不完全性があると言える。
【0009】
上述の例はRFIDタグを備えるタイヤについて示したが、タイヤに限らず、RFIDタグを備える環状物品について同様の課題が生じる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、RFIDタグを備える環状物品の開口内にアンテナを挿入してRFIDタグを読み取る場合に、RFIDタグの読み取り安定性を高めたRFIDタグ読み取り装置及びそれを備えるリフターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一例としてのRFIDタグ読み取り装置は、
伸縮自在の伸縮構造体と、前記伸縮構造体の周囲で前記伸縮構造体の伸縮に伴い螺旋状で伸縮する、又は前記伸縮構造体に沿ってジグザグ状に伸縮する、ケーブル状アンテナと、前記ケーブル状アンテナに接続されたRFIDタグ読み取り回路と、を備えた、ことを特徴とする。
【0012】
また、本開示の一例としてのリフターは、RFIDタグを備える環状物品のリフターであり、軸方向が揃った状態で複数の前記環状物品を搭載、把持又は吊して保持する保持装置を備え、前記伸縮構造体を、前記保持装置で保持された前記環状物品の環内で前記軸方向に伸縮する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、RFIDタグを備える物品の開口内にアンテナを挿入してRFIDタグを読み取る場合に、RFIDタグの読み取り安定性を高めたRFIDタグ読み取り装置及びそれを備えるリフターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(A)、図1(B)、図1(C)は、本発明に係る第1の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置101と、それを構成する各装置の構造を示す図である。
図2図2はケーブル状アンテナ20の構造を示す斜視図である。
図3図3(A)、図3(B)は、ケーブル状アンテナ20の変形例を示す斜視図である。
図4図4は終端器21の断面図である。
図5図5はRFIDタグを備える自動車用タイヤの側面図である。
図6図6(A)、図6(B)は複数のタイヤのRFIDタグを読み取る際の二状態を示す図である。
図7図7(A)、図7(B)、図7(C)は、本発明に係る第2の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置102と、それを構成する各装置の構造を示す図である。
図8図8は本発明に係る第3の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置103の主要部の構造を示す図である。
図9図9(A)、図9(B)、図9(C)は、本発明に係る第4の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置104と、それを構成する各装置の構造を示す図である。
図10図10は、ケーブル状アンテナ20を、多接リンク10の伸縮方向の軸周りに旋回させるケーブルアンテナ駆動機構を備えるRFIDタグ読み取り装置105の構造を示す図である。
図11図11(A)、図11(B)は第6の実施形態に係るフォークリフト7の側面図である。
図12図12(A)、図12(B)は、複数のタイヤ5を積載したパレット73をフォークリフト7で所定高さまで持ち上げた状態での側面図である。
図13図13(A)は、タイヤ5a,5b,5c,5d,5eが比較的に間隔を設けて配置されている例を示す図である。また、図13(B)は、タイヤ5aとタイヤ5bとの間及びタイヤ5dとタイヤ5eとの間に隙間があり、タイヤ5b,5c,5dが極近接している例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
図1(A)、図1(B)、図1(C)は、本発明に係る第1の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置101と、それを構成する各装置の構造を示す図である。図1(A)、図1(B)、図1(C)では多接リンク10の伸縮状態が異なる3つの状態について示している。
【0016】
RFIDタグ読み取り装置101は多接リンク10を備える。多接リンク10は、複数のリンク11とそれらを回動自在に接続する複数のジョイント12とで構成されている。この多接リンク10は本発明に係る「伸縮構造体」の一例である。なお、多接リンクはクロスリンク状又は多関節アーム状のリンク機構と言うこともできる。
【0017】
多接リンク10の周囲には、多接リンク10の伸縮に伴い螺旋状で伸縮自在のケーブル状アンテナ20を備える。このケーブル状アンテナ20の先端部には終端器21が接続されている。また、ケーブル状アンテナ20の基部にはRFIDタグ読み取り回路3が接続されている。RFIDタグの通信周波数は例えば900MHz帯(860MHzから920MHzの範囲)である。
【0018】
多接リンク10の基部は多接リンク保持体14に保持されている。この多接リンク保持体14には長円孔15が形成されている。多接リンク10の基部の一方であるピン13は長円孔15に沿ってスライド自在に係合している。ピン13はコイルスプリング16で長円孔15の外方へ引っ張られている。
【0019】
また、ピン13はワイヤー17を介してハンドル18に接続されている。ハンドル18はハンドル枠19でスライド自在に保持されている。
【0020】
図1(A)に示す状態からハンドル18を握る(右方向へ移動させる)と、ピン13が長円孔15に沿って図の下方へ移動する。このことにより、図1(B)に示すように、多接リンク10は図における左方向へ伸長する。これに伴い、ケーブル状アンテナ20は螺旋状を保ったまま伸長する。
【0021】
図1(B)に示す状態からハンドル18を更に握る(更に右方向へ移動させる)と、ピン13が長円孔15に沿って図の下方へ更に移動する。このことにより、図1(C)に示すように、多接リンク10は図における左方向へ更に伸長する。これに伴い、ケーブル状アンテナ20は螺旋状を保ったまま更に伸長する。
【0022】
図2はケーブル状アンテナ20の構造を示す斜視図である。図2に示す例は漏洩同軸ケーブルである。この漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial Cable)は、内導体20bと、絶縁体20dと、外導体20aが同軸状に構成された同軸ケーブルの外導体20aに開口部20cが周期的に設けられた同軸ケーブル型のアンテナである。図2に示す例ではさらに外導体20aの外側にシース20eが設けられている。内導体20bは、漏洩同軸ケーブルの延在方向にわたって連続的に設けられる一方、外導体20aは、所定長毎に設けられた開口部20cで欠落する。つまり、漏洩同軸ケーブルには所定長毎に開口部20cが形成され、内導体20bは、開口部20cにおいて電気的に露出する。図2に示す漏洩同軸ケーブルでは、延在方向に直交する断面は円形である。ここで、内導体20b及び外導体20aの素材は銅であり、絶縁体20dの素材は発泡ポリエチレンであり、シース20eの素材は難燃性ポリエチレンである。なお、これらの材料は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0023】
図3(A)、図3(B)は、ケーブル状アンテナ20の変形例を示す斜視図である。図3(A)に示すように、同軸ケーブルからなるケーブル状アンテナ20は、所定箇所(例えば等間隔)に内導体20bが露出している部分(開口部20c)が設けられている。この開口部20cは、伝送する高周波信号の半波長の定在波が発生するように、伝送方向にλ/2(λ:RFIDの送受信信号の波長)分の長さを有する。このケーブル状アンテナ20によって、開口部20cから高周波信号が漏洩して、RFIDタグに高周波信号を送信でき、RFIDタグから送信された高周波信号を受信できる。
【0024】
開口部20cは、伝送方向のλ/2の長さのうち、全てを開口しておく必要はなく、図3(B)に示すように、スリット状の穴を、λ/2間隔で設けた開口部としてもよい。この場合、各開口部20cを伝送方向に対して傾斜させてもよい。
【0025】
図4は終端器21の断面図である。内導体20bに接続された平面状の第1導体層21aと、ビアホール導体21dと、平面状の第2導体層21bとを有している。第1導体層21aと第2導体層21bとは、外導体20aの外径よりも広い幅を有し、内導体20bの延在方向に沿って延在している。また、第1導体層21aと第2導体層21bとは、誘電体21cを介して互いに対向するように設けられ、ビアホール導体21dによって互いに接続されている。第2導体層21bは、第1導体層21aよりもケーブル状本体部の延在方向の長さが長く形成されている。これにより、第2導体層21bの一部と外導体20aとが、誘電体21cを介して互いに対向するように設けられている。
【0026】
このように、終端器21は、第1導体層21a及び第2導体層21bのインダクタンス成分と第2導体層21bと第1導体層21aとの対向部に生じるキャパシタンス成分21eとで、同時ケーブルのインピーダンスに整合する整合回路を構成している。そして、ビアホール導体21dの抵抗成分により抵抗終端させている。
【0027】
図5はRFIDタグを備える自動車用タイヤの側面図である。タイヤ5の側部の内部にRFIDタグ6が埋設された状態で成形されている。
【0028】
図6(A)、図6(B)は複数のタイヤのRFIDタグを読み取る際の二状態を示す図である。この例では5つのタイヤそれぞれを中央で切断した状態で表している。各タイヤ5は、それらの開口を揃えた状態で配置されている。まず、図6(A)に示すように、RFIDタグ読み取り装置101の多接リンク10が短縮されている状態で、RFIDタグ読み取り装置101をタイヤ5の開口部に近づけ、ハンドル18を握る。そのことにより、図6(B)に示すように、多接リンク10は伸長され、螺旋状のケーブル状アンテナ20がタイヤ5の開口部内に挿入される。
【0029】
図6(A)に示すように、多接リンク10が伸びる前の状態で多接リンク10の伸縮方向を軸とする、ケーブル状アンテナ20の径方向の外形幅DAはタイヤ5の内径Dに対して100%未満である。このことにより、多接リンク10が最も短縮している状態でもケーブル状アンテナ20をタイヤの開口内に挿入することができる。
【0030】
一方、図6(B)に示すように、多接リンク10が伸びた状態で多接リンク10の伸縮方向を軸とする、ケーブル状アンテナ20の径方向の外形幅DAはタイヤ5の内径Dに対して50%以上である。このことにより、ケーブル状アンテナ20をタイヤ5のRFIDタグに対して充分に近接させることができ、RFIDタグを確実に読み取ることができる。
【0031】
また、ケーブル状アンテナ20の伸縮方向のピッチ(螺旋の周回ピッチ)Pはタイヤ5の厚み寸法Wに対して50%以上100%未満である。このことにより、ケーブル状アンテナ20が最も伸長している状態でもケーブル状アンテナ20をタイヤ5のRFIDタグに対して充分に近接させることができ、RFIDタグを確実に読み取ることができる。
【0032】
螺旋状のケーブル状アンテナ20は各タイヤ5のRFIDタグに近接するため、RFIDタグ読み取り回路3は各タイヤのRFIDタグを読み取ることができる。また、必要に応じて所定情報を書き込むことができる。
【0033】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、多接リンク10を伸縮させるための応力の伝達構造が第1の実施形態で示した例とは異なる例を示す。
【0034】
図7(A)、図7(B)、図7(C)は、本発明に係る第2の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置102と、それを構成する各装置の構造を示す図である。図7(A)、図7(B)、図7(C)では多接リンク10の伸縮状態が異なる3つの状態について示している。
【0035】
RFIDタグ読み取り装置102は多接リンク10を備える。多接リンク10は、複数のリンク11とそれらを回動自在に接続する複数のジョイント12とで構成されている。この多接リンク10の主たる構造は第1の実施形態において図1(A)、図1(B)、図1(C)に示した多接リンク10と同様である。この多接リンク10は本発明に係る「伸縮構造体」の一例である。
【0036】
多接リンク10の周囲には多接リンク10の伸縮に伴い螺旋状で伸縮自在のケーブル状アンテナ20を備える。このケーブル状アンテナ20の先端部には終端器21が接続されている。また、ケーブル状アンテナ20の基部にはRFIDタグ読み取り回路3が接続されている。
【0037】
多接リンク10の基部には握り部9a,9bが設けられている。図7(A)に示す状態から握り部9a,9bを握る(握り部9a,9b間が狭くなる方向へ移動させる)と、図7(B)に示すように、多接リンク10は図における左方向へ伸長する。これに伴い、ケーブル状アンテナ20は螺旋状を保ったまま伸長する。
【0038】
図7(B)に示す状態から握り部9a,9bを更に握ると、図7(C)に示すように、多接リンク10は図における左方向へ更に伸長する。これに伴い、ケーブル状アンテナ20は螺旋状を保ったまま更に伸長する。
【0039】
握り部9a,9bの間隔を拡げれば、多接リンク10は短縮される。このようにして握り部9a,9bの操作により、螺旋状のケーブル状アンテナ20を伸縮させることができる。
【0040】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、多接リンク10とケーブル状アンテナ20との関係が第1・第2の実施形態で示した例とは異なる例を示す。
【0041】
図8は本発明に係る第3の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置103の主要部の構造を示す図である。
【0042】
RFIDタグ読み取り装置103は多接リンク10を備える。多接リンク10は、複数のリンク11とそれらを回動自在に接続する複数のジョイント12とで構成されている。この多接リンク10の主たる構造は第1の実施形態において図1(A)、図1(B)、図1(C)に示した多接リンク10と同様である。この多接リンク10は本発明に係る「伸縮構造体」の一例である。
【0043】
多接リンク10には多接リンク10の伸縮に伴ったジグザグ状に伸縮するケーブル状アンテナ20が取り付けられている。例えば、ケーブル状アンテナ20は多接リンク10の各ジョイント12部分で接着されている。このケーブル状アンテナ20の先端部には終端器21が接続されている。また、ケーブル状アンテナ20の基部にはRFIDタグ読み取り回路3が接続されている。
【0044】
このような構造により、多接リンク10の伸縮にしたがって、ジグザグ状のケーブル状アンテナ20はリンク11に沿って伸縮する。
【0045】
多接リンク10が伸びる前の状態で多接リンク10の伸縮方向を軸とする、ケーブル状アンテナ20の径方向の外形幅DAは図外のタイヤの内径(図6(A)に示した内径D)に対して100%未満である。このことにより、多接リンク10が最も短縮している状態でもケーブル状アンテナ20をタイヤの開口内に挿入することができる。
【0046】
一方、多接リンク10が伸びた状態で多接リンク10の伸縮方向を軸とする、ケーブル状アンテナ20の径方向の外形幅DAはタイヤ5の内径Dに対して50%以上である。このことにより、ケーブル状アンテナ20をタイヤ5のRFIDタグに対して充分に近接させることができ、RFIDタグを確実に読み取ることができる。
【0047】
また、ケーブル状アンテナ20の伸縮方向のピッチ(繰り返し周期長)Pはタイヤ5の厚み寸法(図6(B)に示した厚み寸法W)に対して50%以上100%未満である。このことにより、ケーブル状アンテナ20が最も伸長している状態でもケーブル状アンテナ20をタイヤ5のRFIDタグに対して充分に近接させることができ、RFIDタグを確実に読み取ることができる。
【0048】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、伸縮構造体の構造がこれまでに示した実施形態とは異なる例を示す。
【0049】
図9(A)、図9(B)、図9(C)は、本発明に係る第4の実施形態として挙げるRFIDタグ読み取り装置104と、それを構成する各装置の構造を示す図である。特に図9(C)に表れているように、RFIDタグ読み取り装置104はスライダー30a,30b,30c,30dを備える。これらスライダー30a,30b,30c,30dによって、本発明に係る伸縮構造体を構成している。図9(A)、図9(B)、図9(C)ではスライダー30a,30b,30c,30dの伸縮状態が異なる3つの状態について示している。
【0050】
スライダー30a,30b,30c,30dの周囲にはこれらスライダー30a,30b,30c,30dによる伸縮構造体の伸縮に伴い螺旋状で伸縮自在のケーブル状アンテナ20を備える。このケーブル状アンテナ20の先端部には終端器21が接続されている。また、ケーブル状アンテナ20の基部にはRFIDタグ読み取り回路が接続されている。
【0051】
スライダー30a,30b,30c,30dはいずれも円筒状であるが、径がそれぞれ異なる。スライダー30dの内部にはスライダー30cがスライド自在に挿入されていて、スライダー30cの内部にはスライダー30bがスライド自在に挿入されていて、スライダー30bの内部にはスライダー30aがスライド自在に挿入されている。
【0052】
図9(A)は、スライダー30dの内部にスライダー30cの全長が挿入されていて、スライダー30cの内部にスライダー30bの全長が挿入されていて、スライダー30bの内部にスライダー30aの全長が挿入されている状態である。
【0053】
図9(B)は、スライダー30cの内部にスライダー30bの全長が挿入されていて、スライダー30bの内部にスライダー30aの全長が挿入されている状態である。
【0054】
図9(C)は、スライダー30a,30b,30c,30dが全て引き出された状態である。
【0055】
スライダー30a,30b,30c,30dの内部にはワイヤー31が挿通している。ワイヤー31の先端はスライダー30aの先端(終端器21)に接続されていて、ワイヤー31の基部は巻き取りプーリー32に接続されている。
【0056】
巻き取りプーリー32は電動であり、図9(A)、図9(B)、図9(C)に示す向きで、左回転すれば、スライダー30a,30b,30c,30dが伸長し、右回転すれば、スライダー30a,30b,30c,30dは短縮する。
【0057】
本実施形態によれば、ケーブル状アンテナ20が水平方向に伸縮する場合には、ケーブル状アンテナ20がスライダー30a,30b,30c,30dに垂れ下がる不利点があるが、ケーブル状アンテナ20とスライダー30a,30b,30c,30dとの無用な係合を回避できる利点がある。
【0058】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、ケーブル状アンテナ20を、多接リンク10の伸縮方向の軸周りに旋回させるケーブルアンテナ駆動機構を備えるRFIDタグ読み取り装置105について例示する。
【0059】
図10に示す多接リンク10の主要部の構成は図1(A)、図1(B)、図1(C)に示した多接リンク10と同様である。多接リンク10の一端は多接リンク保持体14に保持されている。
【0060】
RFIDタグ読み取り装置105はケーブル状アンテナ駆動機構4を備える。このケーブル状アンテナ駆動機構4は、多接リンク10の伸縮方向(図10中に示す一点鎖線方向)の軸周りに多接リンク保持体14を旋回させる。この「旋回」は一方向に連続的に回転する動きであってもよいし、例えば360度未満の角度範囲で右回転と左回転を繰り返す動きであってもよい。一方向に連続的に回転する場合には、ケーブル状アンテナ20の基部が接続されるRFID読み取り回路とホスト回路との間で無線通信するようにそれらを構成する。
【0061】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、これまでに各実施形態で示したRFIDタグ読み取り装置を備えるフォークリフトについて例示する。
【0062】
図11(A)、図11(B)は第6の実施形態に係るフォークリフト7の側面図である。このフォークリフト7は、荷台天井部71及びフォーク72を備える。荷台天井部71には鉛直方向に伸縮自在のRFIDタグ読み取り装置101が設けられている。このフォークリフト7は本発明に係る「リフター」の一例である。
【0063】
図11(A)、図11(B)に示すRFIDタグ読み取り装置101は第1の実施形態で示したRFIDタグ読み取り装置101である。図11(A)に示す状態では、RFIDタグ読み取り装置101の多接リンク10が最も短縮されている。図11(B)に示す状態では、RFIDタグ読み取り装置101の多接リンク10が最も伸長されている。
【0064】
図12(A)、図12(B)は、複数のタイヤ5を積載したパレット73を前記フォークリフト7で所定高さまで持ち上げた状態での側面図である。図12(A)に示した状態からRFIDタグ読み取り装置101の多接リンク10を伸長させることにより、ケーブル状アンテナ20が螺旋状のままタイヤ5の開口内に垂直方向に挿入される。このことにより、ケーブル状アンテナ20はすべてのタイヤ5のRFIDタグに近接して、すべてのタイヤ5のRFIDタグの内容を読み取ることができる。上記フォーク72は本発明に係る「保持装置」の一例である。
【0065】
図12(A)、図12(B)に示した例では、軸方向が揃った状態で開口が鉛直方向を向くように複数のタイヤを搭載するフォークリフトを例示したが、軸方向が揃った状態で複数の環状物品の環内にRFIDタグ読み取り装置のケーブル状アンテナが挿通する構造のリフターに同様に適用できる。例えば、軸方向が揃った状態で複数の環状物品を把持又は吊して保持する保持装置と、その状体で複数の環状物品の環内にRFIDタグ読み取り装置の伸縮構造体と共にケーブル状アンテナが伸縮する構造体とを備えてもよい。
【0066】
最後に、本発明は上述した各実施形態に限られるものではない。当業者によって適宜変形及び変更が可能である。本発明の範囲は、上述の各実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
【0067】
例えば、第1、第2、第4、第5の実施形態では、ケーブル状アンテナ20を一重螺旋状に形成する例を示したが、ケーブル状アンテナを多重螺旋状に形成してもよい。また、ケーブル状アンテナを往復螺旋状に形成してもよい。その場合、終端器21はケーブル状アンテナ20の基部に位置することとなる。
【0068】
また、第3の実施形態ではケーブル状アンテナ20を単一のジグザグ状に形成する例を示したが、複数のジグザグ状のケーブル状アンテナを設けてもよい。また、ジグザグ状のケーブル状アンテナが往復する形状としてもよい。
【0069】
本発明のRFIDタグ読み取り装置及びリフターは次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0070】
<1>
伸縮自在の伸縮構造体と、
前記伸縮構造体の周囲で前記伸縮構造体の伸縮に伴い螺旋状で伸縮する、又は前記伸縮構造体に沿ってジグザグ状に伸縮する、ケーブル状アンテナと、
前記ケーブル状アンテナに接続されたRFIDタグ読み取り回路と、を備えた、
RFIDタグ読み取り装置。
【0071】
<2>
前記伸縮構造体は多接リンクの構造体である、
<1>に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【0072】
<3>
前記伸縮構造体はスライダーが伸縮する構造体である、
<1>に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【0073】
<4>
前記ケーブル状アンテナを前記伸縮構造体の伸縮方向の軸周りに旋回させるケーブル状アンテナ駆動機構を備える、
<1>から<3>のいずれかに記載のRFIDタグ読み取り装置。
【0074】
<5>
環状物品に設けられたRFIDタグと通信するRFIDタグ読み取り装置であって、
前記伸縮構造体が伸びる前の状態で伸縮方向を軸とする前記ケーブル状アンテナの径方向の外形幅は前記環状物品の内径に対して100%未満であり、前記伸縮構造体が伸びた状態で前記外形幅は前記環状物品の内径に対して50%以上である、
<1>から<4>のいずれかに記載のRFIDタグ読み取り装置。
【0075】
<6>
前記環状物品はタイヤ又はタイヤ状物品であり、
前記ケーブル状アンテナの前記伸縮方向のピッチ(螺旋なら周回ピッチ、ジグザグ状なら繰り返し周期長)は前記環状物品の厚み寸法に対して50%以上100%未満である、
<5>に記載のRFIDタグ読み取り装置。
【0076】
<7>
<5>又は<6>に記載のRFIDタグ読み取り装置を備えるリフターであり、
前記リフターは、軸方向が揃った状態で複数の前記環状物品を搭載、把持又は吊して保持する保持装置を備え、
前記伸縮構造体を、前記保持装置で保持された前記環状物品の環内で前記軸方向に伸縮する、
リフター。
【符号の説明】
【0077】
3…RFIDタグ読み取り回路
4…ケーブル状アンテナ駆動機構
5,5a,5b,5c,5d,5e…タイヤ
6…RFIDタグ
7…フォークリフト
9a,9b…握り部
10…多接リンク(伸縮構造体)
11…リンク
12…ジョイント
13…ピン
14…多接リンク保持体
15…長円孔
16…コイルスプリング
17…ワイヤー
18…ハンドル
19…ハンドル枠
20…ケーブル状アンテナ
20a…外導体
20b…内導体
20c…開口部
20d…絶縁体
20e…シース
21…終端器
21a…第1導体層
21b…第2導体層
21c…誘電体
21d…ビアホール導体
21e…キャパシタンス成分
30a,30b,30c,30d…スライダー(伸縮構造体)
31…ワイヤー
32…巻き取りプーリー
71…荷台天井部
72…フォーク(保持装置)
73…パレット
101,102,103,104,105…RFIDタグ読み取り装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図13