(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127563
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240912BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240912BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W24/02
G06F11/34 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036796
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 健太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 識実
(72)【発明者】
【氏名】三ケ田 拓人
【テーマコード(参考)】
5B042
5K067
【Fターム(参考)】
5B042GB09
5B042JJ23
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MA14
5B042MA16
5B042MC33
5B042MC40
5K067AA23
5K067DD45
5K067EE02
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な情報処理システムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置20は、プロセッサと記憶装置とを備え、前記プロセッサは、無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定し、測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと記憶装置とを備え、
前記プロセッサは、
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定し、測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記基準が、前記指標に対して予め設定された閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標が複数設けられており、前記基準は、前記複数の指標のそれぞれに対して予め設定された閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記複数の指標のうちのいずれか1つについて、当該指標に対して設定された前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の指標が、前記無線通信ネットワークの親機との間の無線通信における通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、無線通信の受信信号強度、及びSN比のいずれかを少なくとも含む、請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記指標が再び前記基準内に戻った場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記親機に対する通信試行を複数回行い、予め定められた回数の通信に成功した場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記録を停止する請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値と、当該第1の閾値とは異なる第2の閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、
前記記憶装置への記録開始後に、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第2の閾値が示す状態よりも良好な状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する、請求項5記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態は、前記第1の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態よりも良好である、請求項7記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、通信履歴情報の記録を開始した後に、前記指標が示す前記親機との間における無線通信の状態に応じて、前記記憶装置に記録する通信履歴情報の種類を変更する、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、
前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、第1の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、
前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態である前記第1の閾値とは異なる予め設定された第2の閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記親機との間における前記第1の通信履歴情報とは異なる通信履歴情報をさらに含む第2の通信履歴情報を前記記憶装置に記録することを開始する、請求項9記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、無線通信の状態を示す指標が前記基準を外れたことにより前記通信履歴情報の記録を開始した後に、実際に前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信において障害が発生したか否かに応じて当該基準を変更する、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータに、
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定するステップと、
測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記憶装置への記録を開始するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークの親機と子機の間における無線通信障害の調査をしたり、原因特定をしたりするために、無線通信装置の子機では、障害発生時の親機との無線通信の詳細な通信履歴情報を記録することが行われている。
【0003】
下記特許文献1は、情報処理装置において同一の障害が繰り返し発生したときに、既に採取した情報では障害解析のために不十分である場合に、新たな情報を追加して採取するログ方式を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
詳細な通信履歴情報を常時記録するようにすれば、如何なる時に障害が発生した場合であっても、記録された情報を入手して当該障害の状況や原因を後日調査することが可能となる。しかし、障害発生時であるか否かに関わらず常時全ての通信履歴情報を記録することは、子機の記憶装置の容量を占有したり、子機の他の処理に影響を与えたりすることとなり、現実的ではない。
また、詳細な通信履歴情報を常時記録したとしても、障害の発現頻度によっては、当該障害とは関係のない不必要な通信履歴情報ばかりが記録される場合がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様の情報処理システムは、プロセッサと記憶装置とを備え、前記プロセッサは、無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定し、測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する。
【0008】
本開示の第2態様の情報処理システムは、前記基準が、前記指標に対して予め設定された閾値により定められており、前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する。
【0009】
本開示の第3態様の情報処理システムは、無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標が複数設けられており、前記基準は、前記複数の指標のそれぞれに対して予め設定された閾値により定められており、前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記複数の指標のうちのいずれか1つについて、当該指標に対して設定された前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する。
【0010】
本開示の第4態様の情報処理システムは、前記複数の指標が、前記無線通信ネットワークの親機との間の無線通信における通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、無線通信の受信信号強度、及びSN比のいずれかを少なくとも含む。
【0011】
本開示の第5態様の情報処理システムは、前記プロセッサは、前記指標が再び前記基準内に戻った場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する。
【0012】
本開示の第6態様の情報処理システムは、前記プロセッサは、前記親機に対する通信試行を複数回行い、予め定められた回数の通信に成功した場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記録を停止する。
【0013】
本開示の第7態様の情報処理システムは、前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値と、当該第1の閾値とは異なる第2の閾値により定められており、前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、前記記憶装置への記録開始後に、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第2の閾値が示す状態よりも良好な状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する。
【0014】
本開示の第8態様の情報処理システムは、前記第2の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態は、前記第1の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態よりも良好である。
【0015】
本開示の第9態様の情報処理システムは、前記プロセッサは、通信履歴情報の記録を開始した後に、前記指標が示す前記親機との間における無線通信の状態に応じて、前記記憶装置に記録する通信履歴情報の種類を変更する。
【0016】
本開示の第10態様の情報処理システムは、前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値により定められており、前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、第1の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態である前記第1の閾値とは異なる予め設定された第2の閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記親機との間における前記第1の通信履歴情報とは異なる通信履歴情報をさらに含む第2の通信履歴情報を前記記憶装置に記録することを開始する。
【0017】
本開示の第11態様の情報処理システムは、前記プロセッサは、無線通信の状態を示す指標が前記基準を外れたことにより前記通信履歴情報の記録を開始した後に、実際に前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信において障害が発生したか否かに応じて当該基準を変更する。
【0018】
本開示の第12態様のプログラムは、コンピュータに、無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定するステップと、測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記憶装置への記録を開始するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の第1態様の情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0020】
本開示の第2態様の情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が、予め定められた閾値未満となって悪化した場合又は閾値を超えて悪化した場合に、その悪化した状態における通信履歴情報を記録することが可能となる。
【0021】
本開示の第3態様の情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が悪化したか否かを、複数の指標を使用して判断することが可能となる。
【0022】
本開示の第4態様の情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が悪化したか否かを、通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、無線通信の受信信号強度、及びSN比のいずれかについて定められた閾値が示す状態よりも悪化したか否かによって判断することが可能となる。
【0023】
本開示の第5態様の情報処理システムによれば、親機との無線通信が改善された場合には、通信履歴情報の記録を行わないようにすることができる。
【0024】
本開示の第6態様の情報処理システムによれば、親機との通信が確立している場合には、親機との間における無線通信につての履歴情報の記録を行わないようすることができる。
【0025】
本開示の第7態様の情報処理システムによれば、通信履歴情報の記録の開始と停止を、異なる閾値によって設定することが可能となる。
【0026】
本開示の第8態様の情報処理システムによれば、通信履歴情報の記録の開始と停止の処理を、第1の閾値及び第2の閾値付近において安定して行うことが可能となる。
【0027】
本開示の第9態様の情報処理システムによれば、親機との無線通信の状態に応じて必要となる通信履歴情報を記録することが可能となる。
【0028】
本開示の第10態様の情報処理システムによれば、親機との無線通信の状態の悪化度合いに応じた内容の通信履歴情報を記録することが可能となる。
【0029】
本開示の第11態様の情報処理システムによれば、実際の障害が発生していない場合には、通信履歴情報が記録されないように基準を調整することが可能となる。
【0030】
本開示の第12態様のプログラムによれば、無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な処理をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態の情報処理装置が無線通信ネットワークの親機と無線通信を行う様子を示す全体説明図である。
【
図2】実施形態の情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施形態の情報処理装置の機能を示すブロック図である。
【
図4】
図4(A)は、指標測定部がpingコマンドを実行した際の結果の一例を一覧で示す図であり、
図4(B)は、指標測定部がiWコマンドを実行した際の結果の一例を示す図である。
【
図5】実施形態1の情報処理装置において親機との無線通信状態が悪化した際の通信履歴情報の記録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施形態2の情報処理装置において親機との無線通信状態が悪化した際の通信履歴情報の記録処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施形態1]
実施形態1に係る情報処理装置20について図面を参照して説明する。
図1に示すように、情報処理装置20は、例えば画像形成装置であるが、これに限定されない。情報処理装置20は、無線通信ネットワークつまり無線LANの親機10との間で無線通信を行う、無線LANの子機又は無線LAN受信機を含む。情報処理装置20は、親機10との間で無線通信を行い、必要とするデータを受信して処理するとともに、無線通信LANの親機10に対してデータを送信する。
【0033】
図2を参照して、情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。情報処理装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204を備え、それぞれ制御用バス205に接続される。
【0034】
CPU201は、制御用マイクロプロセッサであり、記憶装置203に記憶された制御プログラムに基づいて、情報処理装置20の各部の動作を制御する。
【0035】
メモリ202は、親機10から受信したデータ、測定した親機10との間における無線通信の状態を示す指標を一時的に記憶する。
【0036】
記憶装置203は、ハードディスクドライブ(略してHDDという)、又はソリッド・ステート・ドライブ(略してSSDという)によって構成され、情報処理装置20の各部を制御するための制御プログラムが格納される。本実施形態では、制御プログラムが記憶装置203にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る制御プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る制御プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る制御プログラムを、通信インタフェース204に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0037】
また、記憶装置203には、後述するログ蓄積部214、条件格納部215が格納される。
【0038】
通信インタフェース204は、親機10と通信を行うための通信制御を行う。
【0039】
上記説明した情報処理装置20は、
図3に示すように、記憶装置203に記憶された制御プログラムを実行することにより、データ送受信部211、指標測定部212、判定記録部213、ログ蓄積部214、条件格納部215としての機能を発揮する。
【0040】
データ送受信部211は、親機10から送信されて来たデータを受信する。例えば、情報処理装置20が画像形成装置の場合、データ送受信部211は、画像形成装置によって画像形成するデータを受信したり、画像形成処理に対する課金情報を送信したりする。
【0041】
指標測定部212は、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。この測定は、予め定められた時間間隔で行われる。また、この測定は、例えばpingコマンド、iWコマンドの少なくともいずれかを実行することにより行われる。
【0042】
pingコマンドは、親機10との間で通信試行を行い、親機10との間でネットワーク接続が出来ているか、又は親機10が通信できる状態にあるかを確認するものである。
【0043】
図4(A)は、指標測定部212がpingコマンドを実行した際の結果を示している。指標測定部212は、pingコマンドを実行すると、通信試行を予め定められた回数、例えば本実施形態では8回連続して行い、そのそれぞれの通信試行に対する成功の可否、親機10からの応答遅延時間を測定し、応答遅延時間の標準偏差を算出する。指標測定部212は、pingコマンドの実行結果を、通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、及び標準偏差としてメモリ202に記憶する。なお、
図4(A)では、1回目のpingコマンド実行の結果、成功回数は「8回」、応答遅延平均時間は「4.875ms」、標準偏差は「0.96」であった。2回目、3回目のpingコマンド実行の結果は、成功回数はそれぞれ「8回」、「7回」応答遅延平均時間は「5.25ms」、「5.5ms」、標準偏差は「0.99」、「1.07」であった。
【0044】
iWコマンドは、親機10から受信した信号の受信信号強度、ノイズ強度を測定するものである。
【0045】
図4(B)は、指標測定部212がiWコマンドを実行した際の結果を示している。指標測定部212は、iWコマンドを実行すると、無線LANの親機10から受信した信号の受信信号強度、ノイズ強度を測定し、測定した受信信号強度、及び信号雑音比(略してSN比という)としてメモリ202に記憶する。なお、
図4(B)では、1回目のiWコマンド実行の結果、受信信号強度は「-49dBm」、SN比は「27dB」であった。2回目、3回目のiWコマンド実行の結果は、受信信号強度はそれぞれ「-47dBm」、「-44dBm」、SN比はそれぞれ「24dB」、「22dB」であった。
【0046】
判定記録部213は、指標測定部212が測定した指標を、後述する条件格納部215に記憶されている基準と比較し、この基準から外れた場合に、無線LANの親機10との間における無線通信の通信履歴情報を後述のログ蓄積部214へ記録開始する。この基準は、それぞれの指標に対して設定された閾値により定められている。判定記録部213は、無線LANの親機10との間における無線通信の状態が、閾値が示す状態よりも悪化した場合に、無線通信の通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始する。
【0047】
具体的には、親機10との間の通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、受信信号強度、SN比のそれぞれに対して閾値が設けられている。そして、親機10との間における無線通信の状態が、これら複数指標のうちのいずれか1つについて、当該指標に対して設定された閾値が示す状態よりも悪化した場合に、判定記録部213は、無線通信の通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始する。
【0048】
ログ蓄積部214は、通常時は通信シーケンスの簡易ログを記録しており、判定記録部213により親機10との間における無線通信の状態が悪化したと判断された場合には、親機10との間における無線通信の通信履歴情報、つまり詳細ログが記録開始される。ここで、詳細ログとは、常時取得している簡易ログよりも取得する情報量が多いログである。詳細ログには、通信パケットの中身、及び通信パケットに含まれる指示にしたがって情報処理装置20のハードウェアに設定される設定値のログが含まれる。
【0049】
条件格納部215は、指標測定部212が測定する指標のそれぞれに対して設定された閾値が格納されている。例えば、条件格納部215には、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が「4回」、応答遅延平均時間が「6ms」、標準偏差「1」、受信信号強度「-64dBm」、SN比「20dB」といった閾値が格納されている。これは、親機との間における無線通信の通信試行の成功回数が「4回」未満となった場合に親機10との無線通信の状態が悪化したと見なされることを意味している。また、応答遅延平均時間が「6ms」を超えた場合、標準偏差が「1」を超えた場合、受信信号強度が「-64dBm」未満となった場合、SN比が「20dB」未満となった場合に親機10との無線通信の状態が悪化したと判断されることを意味している。
【0050】
次に、
図5を参照して、実施形態1の情報処理装置20において親機10との間の無線通信状態が悪化した際の通信履歴情報の記録処理について説明する。
図5のステップS501において、指標測定部212は、予め定められた時間間隔で、pingコマンド及びiWコマンドを実行し、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。pingコマンドとiWコマンドは同一のタイミングで実行してもよいし、異なるタイミングで実行してもよい。また、それぞれ異なる時間間隔で実行するようにしてもよい。測定された指標はメモリ202に一時的に記憶される。
【0051】
ステップS502において、判定記録部213は、指標測定部212が測定した複数の指標のうちのいずれか少なくとも1つについて、条件格納部215に格納されている当該指標に対して設定された閾値より悪化したか否かを判断する。測定された指標が閾値よりも悪化したと判断された場合、つまり測定された指標により示される親機10との間における無線通信の状態が、閾値が示す状態よりも悪化したと判断された場合、ステップS503に進む。一方、測定された指標が、閾値よりも悪化していない場合には、ステップS501に戻り、指標測定部212による、親機10との間における無線通信の状態を示す指標の測定を継続する。
【0052】
例えば、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数についての閾値が「4回」と設定されている場合、当該指標が「4回」未満となったときには、親機10との間における無線通信の状態が悪化したと判断し、ステップS503の処理に進む。あるいは、例えば親機10との間における応答遅延平均時間の閾値が「6ms」と設定されている場合、当該指標が「6ms」を超えたときには、親機10との間における無線通信の状態が悪化したと判断し、ステップS503の処理に進む。
【0053】
ステップS503において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の通信履歴情報、つまり詳細ログをログ蓄積部214に記録開始する。ログ蓄積部214に記録される詳細ログには、通信パケットの中身、及び通信パケットにしたがって情報処理装置20のハードウェアに設定される設定値の履歴が含まれる。
【0054】
ステップS504において、指標測定部212は、予め定められた時間間隔で、pingコマンド及びiWコマンドを実行し、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。ステップS501と同様に、pingコマンドとiWコマンドは同一のタイミングで実行してもよいし、異なるタイミングで実行してもよい。また、それぞれ異なる時間間隔で実行するようにしてもよい。測定された指標はメモリ202に一時的に記憶される。
【0055】
ステップS505において、判定記録部213は、測定された指標が再び基準内に戻ったか否かを判断する。閾値は、ステップS502において判断の基準となった閾値と同一値である。親機10との間における無線通信の状態を示す指標が、再び基準内に戻ったと判断された場合、ステップS506の処理に進む。一方、親機10との間における無線通信の状態を示す指標が基準内に戻っていないと判断された場合、ステップS504の処理に戻り、指標測定部212による、親機10との間における無線通信の状態を示す指標の測定を継続する。
【0056】
例えば、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数についての閾値が「4回」と設定されている場合、当該指標が「4回」以上となったときには、親機10との間における無線通信の状態が再び基準内に戻ったと判断し、ステップS506の処理に進む。あるいは、例えば親機10との間における応答遅延平均時間の閾値が「6ms」と設定されている場合、当該指標が「6ms」以下となったときには、親機10との間における無線通信の状態が再び基準内に戻ったと判断し、ステップS506の処理に進む。
【0057】
ステップS506において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の通信履歴情報、つまり詳細ログのログ蓄積部214への記録を停止し、ステップS501の処理に戻る。
【0058】
なお、上記実施形態1では、指標測定部212によって測定される複数の指標のうちのいずれか1つについて、当該指標に対して設定された閾値が示す状態よりも悪化した場合にログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始した場合を説明した。しかしながら、本開示は上記に限定されず、複数の指標に設定された閾値の組み合わせにより示される状態よりも悪化した場合にログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始するようにしてもよい。
【0059】
例えば、通信試行の成功回数の閾値が「4回」、応答遅延平均時間の閾値が「6ms」である場合、無線通信の通信試行の成功回数が「4回」未満となり、且つ応答遅延平均時間が「6ms」を超えたときに、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始する。
【0060】
反対に、無線通信の通信試行の成功回数が「4回」以上となり、且つ応答遅延平均時間が「6ms」未満となったときに、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を停止する。
【0061】
また、上記実施形態1では、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始する際の閾値と、記録を停止する際の閾値とが同一の場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されない。ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始する際の閾値と、記録を停止する際の閾値とが異なる値であってもよい。
【0062】
例えば、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録の開始と停止を判断する基準が、一つの指標に対して予め設定された第1の閾値と、この第1の閾値とは異なる第2の閾値により定められていてもよい。その場合、親機10との間における無線通信の状態が、第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始する。反対に、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録開始後に、親機10との間における無線通信の状態が第2の閾値が示す状態よりも良好となった場合に、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を停止する。
【0063】
具体的には、例えば、無線通信の通信試行の成功回数についての第1の閾値が「4回」、第2の閾値が「6回」と設定されていたとする。その場合、測定された指標が「4回」未満となった場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始し、当該測定された指標が「6回」を超えた場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を停止する。あるいは、例えば、無線通信の応答遅延平均時間についての第1の閾値が「6ms」、第2の閾値が「5ms」に設定されていたとする。その場合、測定された指標が「6ms」を超えた場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始し、当該測定された指標が「5ms」未満となった場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を停止する。
【0064】
このように、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録を開始する第1の閾値と、記録を停止する第2の閾値との関係を、第2の閾値が示す無線通信の状態が、第1の閾値が示す無線通信の状態よりも良好である値となるように選択する。これにより、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録の開始と停止の処理が、第1の閾値及び第2の閾値付近において安定して行われる。
【0065】
[実施形態2]
次に、
図6を参照して実施形態2の情報処理装置20において親機10との間の無線通信状態が悪化した際の通信履歴情報の記録処理について説明する。なお、実施形態2の情報処理装置20の構成は、実施形態1の情報処理装置20のものと同様であるから、以下の説明においては、実施形態1の情報処理装置20と同じ符号を使用して説明する。
【0066】
実施形態1の情報処理装置20では、親機10との無線通信の状態が基準を外れて悪化した場合に、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始した。一方、実施形態2の情報処理装置20では、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始した後に、測定される指標が示す親機との間における無線通信の状態に応じて、ログ蓄積部214に記録する通信履歴情報の種類を変更する。
【0067】
例えば、以下の説明においては、親機10との無線通信の通信試行の成功回数についての第1の閾値が「5回」、第2の閾値が「3回」と設定されている場合について説明する。
図6のステップS601において、指標測定部212は、予め定められた時間間隔で、pingコマンド及びiWコマンドを実行し、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。測定された指標はメモリ202に一時的に記憶される。
【0068】
ステップS602において、判定記録部213は、指標測定部212が測定した指標について、条件格納部215に格納されている当該指標に対して設定された第1の閾値が示す状態よりも悪化したか否かを判断する。
【0069】
具体的には、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第1の閾値である「5回」未満となったかを判断する。無線通信の通信試行の成功回数が「5回」未満となったときは、親機10との間における無線通信の状態が悪化したと判断し、ステップS603の処理に進む。一方、測定された指標が示す親機10との間における無線通信の状態が、第1の閾値が示す状態よりも悪化していない場合、つまり無線通信の通信試行の成功回数が「5回」以上の場合には、ステップS602に戻る。そして、指標測定部212が、親機10との間における無線通信の状態を示す指標の測定を継続する。
【0070】
ステップS603において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の第1の通信履歴情報、つまり第1の詳細ログをログ蓄積部214に記録開始する。第1の詳細ログは、親機10との間の無線通信の通信パケットの中身を含む、詳細通信ログである。
【0071】
第1の通信履歴情報のログ蓄積部214への記録開始後のステップS604において、指標測定部212は、予め定められた時間間隔で、pingコマンド及びiWコマンドを実行し、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。測定された指標はメモリ202に一時的に記憶される。
【0072】
ステップS605において、判定記録部213は、ステップS602において第1の閾値が示す状態よりも悪化したと判断された指標が再び基準内に戻ったか否かを判断する。閾値は、ステップS602において判断の基準となった閾値と同一値である。親機10との間における無線通信の状態を示す指標が、再び基準内に戻ったと判断された場合、ステップS606の処理に進む。つまり、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第1の閾値である「5回」以上となったかを判断する。無線通信の通信試行の成功回数が「5回」以上となったときは、親機10との間における無線通信の状態が良好になったと判断し、ステップS606の処理に進む。
【0073】
ステップS606において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の第1の通信履歴情報、つまり第1の詳細ログのログ蓄積部214への記録を停止し、ステップS601の処理に戻る。
【0074】
一方、ステップS605において、親機10との間における無線通信の状態を示す指標が基準内に戻っていないと判断された場合、ステップS607の処理に進む。つまり、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第1の閾値である「5回」未満のままである場合は、ステップS607の処理に進む。
【0075】
ステップS607において、判定記録部213は、指標測定部212が測定した指標について、条件格納部215に格納されている当該指標に対して設定された第2の閾値が示す状態よりも悪化したか否かを判断する。
【0076】
具体的には、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第2の閾値である「3回」未満となったかを判断する。無線通信の通信試行の成功回数が「3回」未満となったときは、親機10との間における無線通信の状態がさらに悪化したと判断し、ステップS608の処理に進む。一方、親機10との間における無線通信の状態を示す指標が、第2の閾値が示す状態よりも悪化していない場合、つまり無線通信の通信試行の成功回数が「3回」以上の場合には、ステップS604に戻る。そして、指標測定部212が、親機10との間における無線通信の状態を示す指標の測定を継続する。
【0077】
ステップS608において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の第2の通信履歴情報、つまり第2の詳細ログをログ蓄積部214に記録開始する。第2の詳細ログは、親機10との無線通信時の通信パケットに含まれる指示にしたがって情報処理装置20のハードウェアに設定される設定値のログを含む。
【0078】
第2の通信履歴情報のログ蓄積部214への記録開始後のステップS609において、指標測定部212は、予め定められた時間間隔で、pingコマンド及びiWコマンドを実行し、親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。測定された指標はメモリ202に一時的に記憶される。
【0079】
ステップS610において、判定記録部213は、ステップS607において第2の閾値が示す状態よりも悪化したと判断された指標が再び第2の閾値が示す状態よりも良好となったか否かを判断する。親機10との間における無線通信の状態を示す指標が、第2の閾値が示す状態よりも良好になったと判断された場合、ステップS611の処理に進む。つまり、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第2の閾値である「3回」以上となったかを判断する。無線通信の通信試行の成功回数が「3回」以上となったときは、親機10との間における無線通信の状態が良好になったと判断しステップS611の処理に進む。
【0080】
ステップS611において、判定記録部213は、親機10との間における無線通信の第2の通信履歴情報、つまり第2の詳細ログのログ蓄積部214への記録を停止し、ステップS604の処理に戻る。
【0081】
一方、ステップS610において、親機10との間における無線通信の状態を示す指標が第2の閾値が示す状態よりも良好になっていないと判断された場合、ステップS609の処理に戻る。つまり、親機10との間における無線通信の通信試行の成功回数が第1の閾値である「5回」未満のままである場合は、ステップS609の処理に戻る。そして、第2の通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を継続しつつ、指標測定部212が親機10との間における無線通信の状態を示す指標を測定する。
【0082】
以上、実施形態2では、親機10との間における無線通信の状態を示す指標の悪化程度に応じて、ログ蓄積部214に記録する通信履歴情報の種類を変更する場合を説明した。なお、上記には、第1の閾値、第2の閾値として、親機10との間の通信試行の成功回数を設定した例を説明した。しかし、本開示はこれに限定されず、第1の閾値、第2の閾値として、親機10との間の通信試行の応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、受信信号強度、SN比といった指標に対する値を設定してもよい。
【0083】
また、第1の閾値に対して一つの指標の数値を設定し、第2の閾値に対して別の指標の数値を設定してもよい。あるいは、第1の閾値、第2の閾値に対してそれぞれ複数の指標の数値を設定してもよい。その場合、複数の指標のいずれか一つが当該閾値を外れたか否か、あるいは複数の指標のすべてが閾値を外れたか否かによって通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始するようにしてもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態1、2では、閾値は、予め設定された固定値であったが、本開示はこれに限定されず、閾値を調整するようにしてもよい。具体的には、無線通信の状態を示す指標が、閾値が示す基準を外れて悪化した場合に、通信履歴情報のログ蓄積部214への記録を開始するが、その後に、実際に親機10との間における無線通信において障害が発生したか否かに応じて閾値を変更する。
【0085】
例えば、無線通信の通信試行の成功回数についての閾値が「4回」と設定されている場合、当該指標が「4回」未満となった場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録が開始される。しかしながら、その場合でも親機10との間における実際の通信障害が発生しなかった場合、閾値を「3回」に変更する。つまり、閾値を緩和する方向に調整する。あるいは、反対に、指標が「4回」未満となった場合に、ログ蓄積部214への通信履歴情報の記録が開始されるが、指標が「4回」未満にならなくても親機10との間における実際の通信障害が発生している場合、閾値を「5回」に変更する。つまり、閾値を引き締める方向に調整する。
【0086】
他の指標についても同様に、通信状態がある閾値が示す状態よりも悪化しても実際の通信障害が発生しない場合には閾値を緩和するように変更してもよい。また、反対に、通信状態がある閾値が示す状態よりも良好であっても実際の通信障害が発生する場合には閾値を引き締めるように変更してもよい。
【0087】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0088】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、必要に応じて変更してもよい。
【0089】
(付記)
(((1)))
プロセッサと記憶装置とを備え、
前記プロセッサは、
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定し、測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、
情報処理システム。
(((2)))
前記基準が、前記指標に対して予め設定された閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、(((1)))記載の情報処理システム。
(((3)))
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標が複数設けられており、前記基準は、前記複数の指標のそれぞれに対して予め設定された閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記複数の指標のうちのいずれか1つについて、当該指標に対して設定された前記閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始する、(((2)))記載の情報処理システム。
(((4)))
前記複数の指標が、前記無線通信ネットワークの親機との間の無線通信における通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、無線通信の受信信号強度、及びSN比のいずれかを少なくとも含む、(((3)))記載の情報処理システム。
(((5)))
前記プロセッサは、前記指標が再び前記基準内に戻った場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する、(((1)))記載の情報処理システム。
(((6)))
前記プロセッサは、前記親機に対する通信試行を複数回行い、予め定められた回数の通信に成功した場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記録を停止する(((5)))記載の情報処理システム。
(((7)))
前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値と、当該第1の閾値とは異なる第2の閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、
前記記憶装置への記録開始後に、前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、前記第2の閾値が示す状態よりも良好な状態となった場合に、前記通信履歴情報の前記記憶装置への記録を停止する、(((5)))記載の情報処理システム。
(((8)))
前記第2の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態は、前記第1の閾値が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態よりも良好である、(((7)))記載の情報処理システム。
(((9)))
前記プロセッサは、通信履歴情報の記録を開始した後に、前記指標が示す前記親機との間における無線通信の状態に応じて、前記記憶装置に記録する通信履歴情報の種類を変更する、(((1)))記載の情報処理システム。
(((10)))
前記基準が、前記指標に対して予め設定された第1の閾値により定められており、
前記プロセッサは、前記指標が示す前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態が、
前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態となった場合に、第1の通信履歴情報の前記記憶装置への記録を開始し、
前記第1の閾値が示す状態よりも悪化した状態である前記第1の閾値とは異なる予め設定された第2の閾値が示す状態よりも悪化した場合に、前記親機との間における前記第1の通信履歴情報とは異なる通信履歴情報をさらに含む第2の通信履歴情報を前記記憶装置に記録することを開始する、(((9)))記載の情報処理システム。
(((11)))
前記プロセッサは、無線通信の状態を示す指標が前記基準を外れたことにより前記通信履歴情報の記録を開始した後に、実際に前記無線通信ネットワークの親機との間における無線通信において障害が発生したか否かに応じて当該基準を変更する、(((1)))記載の情報処理システム。
(((12)))
コンピュータに、
無線通信ネットワークの親機との間における無線通信の状態を示す指標を測定するステップと、
測定された前記指標が予め定められた基準から外れた場合に、前記親機との間における無線通信の通信履歴情報の記憶装置への記録を開始するステップと、
を実行させるプログラム。
【0090】
(((1)))に係る情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な情報処理システムを提供できる。
(((2)))に係る情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が、予め定められた閾値未満となって悪化した場合又は閾値を超えて悪化した場合に、その悪化した状態における通信履歴情報を記録することが可能となる。
(((3)))に係る情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が悪化したか否かを、複数の指標を使用して判断することが可能となる。
(((4)))に係る情報処理システムによれば、無線通信ネットワークの親機との間の通信状態が悪化したか否かを、通信試行の成功回数、応答遅延平均時間、応答遅延平均時間の標準偏差、無線通信の受信信号強度、及びSN比のいずれかについて定められた閾値が示す状態よりも悪化したか否かによって判断することが可能となる。
(((5)))に係る情報処理システムによれば、親機との無線通信が改善された場合には、通信履歴情報の記録を行わないようにすることができる。
(((6)))に係る情報処理システムによれば、親機との通信が確立している場合には、親機との間における無線通信につての履歴情報の記録を行わないようすることができる。
(((7)))に係る情報処理システムによれば、通信履歴情報の記録の開始と停止を、異なる閾値によって設定することが可能となる。
(((8)))に係る情報処理システムによれば、通信履歴情報の記録の開始と停止の処理を、第1の閾値及び第2の閾値付近において安定して行うことが可能となる。
(((9)))に係る情報処理システムによれば、親機との無線通信の状態に応じて必要となる通信履歴情報を記録することが可能となる。
(((10)))に係る情報処理システムによれば、親機との無線通信の状態の悪化度合いに応じた内容の通信履歴情報を記録することが可能となる。
(((11)))に係る情報処理システムによれば、実際の障害が発生していない場合には、通信履歴情報が記録されないように基準を調整することが可能となる。
(((12)))に係るプログラムによれば、無線通信ネットワークの通信履歴情報を常時記録する場合に比べ、障害とは関係のない通信履歴情報の取得を低減することが可能な処理をコンピュータに実行させることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 親機
20 情報処理装置
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 通信インタフェース
205 制御用バス
211 データ送受信部
212 指標測定部
213 判定記録部
214 ログ蓄積部
215 条件格納部