(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127564
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 20/25 20230101AFI20240912BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H10B20/25
H01L21/82 F
H01L27/088 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036797
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 英治
(72)【発明者】
【氏名】長井 大誠
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀
(72)【発明者】
【氏名】奈倉 健
【テーマコード(参考)】
5F048
5F064
5F083
【Fターム(参考)】
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BB05
5F048BB16
5F048BG13
5F064FF28
5F064FF34
5F064FF45
5F083CR14
5F083GA02
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA32
5F083NA01
5F083PR05
5F083PR09
5F083PR21
5F083PR40
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上する。
【解決手段】半導体装置は活性領域ACTfに形成されたヒューズトランジスタFUを有する。第1方向において、活性領域ACTfは、第1素子分離膜STIおよび第2素子分離膜STIによって規定されている。ヒューズトランジスタFUはゲート絶縁膜GIfと、ゲート電極Gfと、第1方向に直交する第2方向においてゲート電極Gfの両隣に形成された半導体領域とを備える。第1方向において、ゲート絶縁膜GIfは、中央部CPと、周辺部PP1およびPP2とを有する。中央部CPは第1素子分離膜STIおよび第2素子分離膜STIから離間しており、周辺部PP1は第1素子分離膜STIに達しており、周辺部PP2は第2素子分離膜STIに達している。そして、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPは第1厚さを有し、周辺部PP1および周辺部PP2のそれぞれは第1厚さよりも大きい第2厚さを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体基板と、
前記主面に沿う第1方向において、第1活性領域を規定するように前記半導体基板の一部を挟んで配置され、前記主面から前記半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第1素子分離膜および第2素子分離膜と、
平面視において、前記第1活性領域内に形成された第1トランジスタと、
を有し、
前記第1トランジスタは、
前記半導体基板の前記主面上に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1ゲート電極の両隣に位置し、前記半導体基板の内部に形成された第1半導体領域および第2半導体領域と、
を備え、
前記第1方向において、前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1素子分離膜と前記第2素子分離膜とから離間して配置された第1部分と、前記第1部分と前記第1素子分離膜との間に配置された第2部分と、前記第1部分と前記第2素子分離膜との間に配置された第3部分とを有し、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分は前記第1素子分離膜に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第3部分は前記第2素子分離膜に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分は第1厚さを有し、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分および前記第3部分のそれぞれは第2厚さを有し、
前記第2厚さは前記第1厚さよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載された半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分はフィラメントが形成される領域である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載された半導体装置において、
前記第1方向において、前記第2部分および前記第3部分のそれぞれの幅は50nm以上である、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載された半導体装置において、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分は、前記第1厚さを有する第1絶縁膜からなり、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分および前記第3部分のそれぞれは、前記第1絶縁膜と、前記第1厚さよりも大きい第3厚さを有する第2絶縁膜との積層膜からなる、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載された半導体装置において、
前記第2部分の前記第2絶縁膜は、前記第1素子分離膜上に延在しており、
前記第3部分の前記第2絶縁膜は、前記第2素子分離膜上に延在している、半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載された半導体装置において、
さらに、
前記半導体基板の前記主面に規定された第2活性領域と、
平面視において、前記第2活性領域内に形成された第2トランジスタと、
を有し、
前記第2トランジスタは、
前記半導体基板の前記主面上に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
前記第2ゲート電極の両隣に位置し、前記半導体基板の内部に形成された第3半導体領域および第4半導体領域と、
を備え、
前記第2活性領域における前記第2ゲート絶縁膜の第4厚さは、前記第1活性領域における前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分および前記第3部分のそれぞれの前記第2厚さと等しい、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載された半導体装置において、
さらに、
前記半導体基板の前記主面に規定された第3活性領域と、
平面視において、前記第3活性領域内に形成された第3トランジスタと、
を有し、
前記第3トランジスタは、
前記半導体基板の前記主面上に形成された第3ゲート絶縁膜と、
前記第3ゲート絶縁膜上に形成された第3ゲート電極と、
前記第3ゲート電極の両隣に位置し、前記半導体基板の内部に形成された第5半導体領域および第6半導体領域と、
を備え、
前記第3活性領域における前記第3ゲート絶縁膜の第5厚さは、前記第1活性領域における前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分の第1厚さと等しい、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載された半導体装置において、
前記第2トランジスタの前記第3半導体領域と前記第4半導体領域とを結ぶ方向における前記第2ゲート電極の第1長さは、前記第3トランジスタの前記第5半導体領域と前記第6半導体領域とを結ぶ方向における前記第3ゲート電極の第2長さよりも大きい、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載された半導体装置において、
前記第2トランジスタの前記第2ゲート電極に印加される第1電源電圧は、前記第3トランジスタの前記第3ゲート電極に印加される第2電源電圧よりも高い、半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載された半導体装置において、
前記第1素子分離膜および前記第2素子分離膜は、それぞれ、浅部と前記浅部よりも深い深部とを備え、
前記第1素子分離膜の前記浅部は、前記第1活性領域と前記第1素子分離膜の前記深部との間に配置され、
前記第2素子分離膜の前記浅部は、前記第1活性領域と前記第2素子分離膜の前記深部との間に配置され、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分は前記第1素子分離膜の前記浅部に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第3部分は前記第2素子分離膜の前記浅部に達している
半導体装置。
【請求項11】
(a)主面を有する半導体基板を準備する工程、
(b)前記主面に沿う第1方向において、第1活性領域を規定するように前記半導体基板の前記主面の第1領域を挟んで配置され、前記主面から前記半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第1素子分離膜および第2素子分離膜を形成する工程、
(c)前記第1活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程、
(d)前記第1ゲート絶縁膜上に第1ゲート電極を形成する工程、
(e)前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1ゲート電極の両隣であって、前記第1活性領域において前記半導体基板の内部に第1半導体領域および第2半導体領域を形成する工程、
を有し、
前記第1方向において、前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1素子分離膜と前記第2素子分離膜とから離間して配置された第1部分と、前記第1部分と前記第1素子分離膜との間に配置された第2部分と、前記第1部分と前記第2素子分離膜との間に配置された第3部分とを有し、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分は前記第1素子分離膜に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第3部分は前記第2素子分離膜に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分は第1厚さを有し、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分および前記第3部分はそれぞれ第2厚さを有し、
前記第2厚さは前記第1厚さよりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載された半導体装置の製造方法において、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分はフィラメントが形成される領域である、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載された半導体装置の製造方法において、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分および前記第3部分のそれぞれの幅は50nm以上である、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c1)前記第1活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c2)前記第1活性領域において、前記第1絶縁膜のうち、前記第1方向において前記第1素子分離膜と前記第2素子分離膜とから離間する部分を除去することによって、前記主面を露出する開口部を形成する工程、
(c3)前記第1活性領域において、前記開口部から露出する前記主面上に第2絶縁膜を形成する工程、
を含み、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第1部分は、前記第2絶縁膜からなり、
前記第1絶縁膜の第3厚さは、前記第2絶縁膜の第4厚さよりも厚い、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(c3)工程では、前記開口部と前記第1素子分離膜との間および前記開口部と前記第2素子分離膜との間において、前記半導体基板の前記主面と前記第1絶縁膜との間に前記第2絶縁膜が形成され、
前記第2部分および前記第3部分のそれぞれは、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、前記主面に沿う前記第1方向において、第2活性領域を規定するように前記半導体基板の前記主面の第2領域を挟んで配置され、前記半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第3素子分離膜および第4素子分離膜を形成する工程、
前記(c)工程は、前記第2活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に第2ゲート絶縁膜を形成する工程、
前記(d)工程は、前記第2活性領域において、前記第2ゲート絶縁膜上に第2ゲート電極を形成する工程、
を含み、
さらに、
前記(c1)工程は、前記第2活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に前記第1絶縁膜を形成する工程、
前記(c3)工程は、前記第2活性領域において、前記半導体基板の前記主面と前記第1絶縁膜との間に前記第2絶縁膜を形成する工程、
を含み、
前記第2活性領域において、前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、前記主面に沿う前記第1方向において、第3活性領域を規定するように前記半導体基板の前記主面の第3領域を挟んで配置され、前記半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第5素子分離膜および第6素子分離膜を形成する工程、
前記(c)工程は、前記第3活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に第3ゲート絶縁膜を形成する工程、
前記(d)工程は、前記第3活性領域において、前記第3ゲート絶縁膜上に第3ゲート電極を形成する工程、
を含み、
さらに、
前記(c1)工程は、前記第3活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に前記第1絶縁膜を形成する工程、
前記(c2)工程は、前記第3活性領域において、前記第1絶縁膜を除去する工程、
前記(c3)工程は、前記第3活性領域において、前記半導体基板の前記主面上に前記第2絶縁膜を形成する工程、
を含み、
前記第3活性領域において、前記第3ゲート絶縁膜は前記第2絶縁膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項11に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、
(b1)前記半導体基板の前記主面上に、前記第1領域を覆い、前記第1素子分離膜及び前記第2素子分離膜を形成する領域を露出する第3絶縁膜を形成する工程、
(b2)前記第1素子分離膜及び前記第2素子分離膜を形成する領域において、前記半導体基板に第1溝および第2溝を形成する工程、
(b3)前記第1溝および前記第2溝を埋めるように、前記第3絶縁膜上に第4絶縁膜を形成する工程、
(b4)前記第4絶縁膜に研磨処理を施し、前記第1溝及び前記第2溝内に選択的に前記第1素子分離膜および前記第2素子分離膜を形成する工程、
(b5)前記第3絶縁膜を除去する工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項11に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、
(b1)前記半導体基板の前記主面上に、前記第1領域を覆い、前記第1素子分離膜及び前記第2素子分離膜を形成する領域を露出する多結晶シリコン膜および第3絶縁膜をこの順に形成する工程、
(b2)前記多結晶シリコン膜および前記第3絶縁膜から露出した前記半導体基板の前記主面に、第1窪みおよび第2窪みを形成する工程、
(b3)前記多結晶シリコン膜および前記第3絶縁膜の側壁上、前記第1窪み上および第2窪み上に側壁絶縁膜を形成する工程、
(b4)前記第3絶縁膜および前記側壁絶縁膜から露出する前記第1窪みの底面と前記第2窪みの底面において、前記半導体基板に第1溝および第2溝を形成する工程、
(b5)前記側壁絶縁膜を除去した後に、前記第1窪みおよび第2窪み、前記第1溝および前記第2溝を埋めるように、前記第3絶縁膜上に第4絶縁膜を形成する工程、
(b6)前記第4絶縁膜に研磨処理を施し、前記第1窪み及び前記第1溝に前記第1素子分離膜を形成し、前記第2窪み及び前記第2溝に前記第2素子分離膜を形成する工程、
(b7)前記第3絶縁膜および前記多結晶シリコン膜を除去する工程、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載された半導体装置の製造方法において、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第2部分は、前記第1窪みに形成された前記第1素子分離膜に達しており、
前記第1ゲート絶縁膜の前記第3部分は、前記第2窪みに形成された前記第2素子分離膜に達している、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、アンチヒューズ素子を備える半導体装置およびその製造方法に好適に利用できる。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に形成された半導体素子からなるメモリを備える半導体装置として、アンチヒューズ素子を含むメモリセルを有する半導体装置がある。この半導体装置では、アンチヒューズ素子のゲート電極と、ソース領域およびドレイン領域との間に高電圧を印加して、アンチヒューズ素子のゲート絶縁膜を絶縁破壊することにより、メモリセルにデータが書き込まれる。そのゲート絶縁膜が絶縁破壊されたアンチヒューズ素子では、ゲートリーク電流が増加する。従って、ゲート電極に読み出し電圧を印加し、ゲート電極とソース領域およびドレイン領域との間の読み出し電流を測定することで情報(「0」または「1」)の判定ができる。つまり、十分な読み出し電流値(判定基準値以上)を示すメモリセルを、例えば、情報「1」と判定する。
【0003】
また、アンチヒューズ素子におけるゲート絶縁膜の絶縁破壊は一回限りであるため、メモリセルの書き込みはOTP(One Time Program)と称される。また、アンチヒューズ素子からなるメモリ素子はOTPメモリ素子と称され、ROM(Read Only Memory)等に用いられる。
アンチヒューズ素子は、例えば、特開2011-119640号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、MOS構造を有するアンチヒューズ素子(以下、ヒューズトランジスタと称する)を含むメモリセルを備える半導体装置において、以下の課題を確認した。
【0006】
半導体装置は、半導体チップに作り込まれている。半導体装置の製造工程においては、多数の半導体チップが行列状に配置された半導体ウエハ(例えば、直径が300mmの円板)が用いられる。製造工程には、フォトリソグラフィ、導電膜および絶縁膜のデポジション、エッチングおよび研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))等の工程が含まれる。各製造工程において、半導体ウエハ内の全ての半導体チップを同様の加工精度で加工することはできず、半導体ウエハ内において「面内バラツキ」と呼ばれる加工ばらつきが発生する。「面内バラツキ」とは、互いの半導体チップの配置位置が異なることに起因して発生する加工ばらつきである。例えば、半導体ウエハの中央部に配置された半導体チップと周辺部に配置された半導体チップとの間に、設計値に対する仕上がり寸法誤差が生じる。
【0007】
本願発明者は、ヒューズトランジスタを含むメモリセルを備える半導体装置において、不十分な読み出し電流値を示すメモリセル(「不良ビット」と称す)が発生することを確認した。そして不良ビットの発生原因が、半導体装置の製造工程における「面内バラツキ」に起因することを確認した。
ヒューズトランジスタを含むメモリセルを備える半導体装置において、メモリセルの読み出し電流値の向上が求められる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態における半導体装置は、主面を有する半導体基板と、主面に沿う第1方向において、第1活性領域を規定するように半導体基板の一部を挟んで配置され、主面から半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第1素子分離膜および第2素子分離膜とを有する。平面視において、半導体装置は第1活性領域内に形成された第1トランジスタとを有する。そして、第1トランジスタは、半導体基板の主面上に形成された第1ゲート絶縁膜と、第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極とを備える。さらに第1トランジスタは、第1方向と直交する第2方向において、第1ゲート電極の両隣に位置し、半導体基板の内部に形成された第1半導体領域および第2半導体領域とを備える。そして第1方向において、第1ゲート絶縁膜は、第1素子分離膜と第2素子分離膜とから離間して配置された第1部分と、第1部分と第1素子分離膜との間に配置された第2部分と、第1部分と第2素子分離膜との間に配置された第3部分とを有する。第1ゲート絶縁膜の第2部分は第1素子分離膜に達しており、第1ゲート絶縁膜の第3部分は第2素子分離膜に達している。さらに第1ゲート絶縁膜の第1部分は第1厚さを有し、第1ゲート絶縁膜の第2部分および第3部分のそれぞれは第2厚さを有し、第2厚さは第1厚さよりも大きい。
【0009】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、主面を有する半導体基板を準備する工程、および主面に沿う第1方向において、第1活性領域を規定するように半導体基板の主面の一領域を挟んで配置され、主面から半導体基板の内部に向かってそれぞれ延在する第1素子分離膜および第2素子分離膜を形成する工程を有する。さらに半導体装置の製造方法は、第1活性領域において、半導体基板の主面上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程、第1ゲート絶縁膜上に第1ゲート電極を形成する工程を有する。さらに半導体装置の製造方法は、第1方向と直交する第2方向において、第1ゲート電極の両隣であって、第1活性領域において半導体基板の内部に第1半導体領域および第2半導体領域を形成する工程を有する。そして第1ゲート絶縁膜は、第1素子分離膜と第2素子分離膜とから離間して配置された第1部分と、第1部分と第1素子分離膜との間に配置された第2部分と、第1部分と第2素子分離膜との間に配置された第3部分とを有する。そして第1ゲート絶縁膜の第2部分は第1素子分離膜に達しており、第1ゲート絶縁膜の第3部分は第2素子分離膜に達している。そして第1ゲート絶縁膜の第1部分は第1厚さを有し、第1ゲート絶縁膜の第2部分および第3部分のそれぞれは第2厚さを有し、第2厚さは第1厚さよりも大きい。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、読み出し電流値の向上により、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタの平面図である。
【
図2】本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート長方向における断面図である。
【
図3】本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における断面図である。
【
図4】本実施の形態における半導体装置のメモリセル部の等価回路図である。
【
図5】本実施の形態におけるヒューズトランジスタの書き込みメカニズムを示す断面図である。
【
図6】本実施の形態におけるヒューズトランジスタの書き込みメカニズムを示す断面図である。
【
図7】本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図8】
図7に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図9】
図8に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図10】
図9に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図11】
図10に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図13】
図12に示す製造工程におけるヒューズトランジスタの平面図である。
【
図14】
図12に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図15】
図14に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図16】
図15に続く、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図17】関連技術におけるヒューズトランジスタのゲート幅方向における断面図である。
【
図18】関連技術におけるヒューズトランジスタの製造工程を示す要部拡大断面図である。
【
図19】
図18に続く、関連技術におけるヒューズトランジスタの製造工程を示す要部拡大断面図である。
【
図20】関連技術におけるヒューズトランジスタの製造工程を示す要部拡大断面図である。
【
図21】
図20に続く、関連技術におけるヒューズトランジスタの製造工程を示す要部拡大断面図である。
【
図22】関連技術におけるヒューズトランジスタの書き込みメカニズムを示す断面図である。
【
図23】関連技術におけるヒューズトランジスタの読み出し電流分布を示す図である。
【
図24】変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における断面図である。
【
図25】変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図26】
図25に続く、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図27】
図26に続く、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図28】
図27に続く、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【
図29】
図28に続く、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
また以下の実施の形態において、n型はn型の導電型を意味し、p型はp型の導電型を意味する。また、p型半導体領域はp型不純物領域、n型半導体領域はn型不純物領域と読み替えることができる。
(実施の形態)
【0014】
本実施の形態における半導体装置は、行列状に配置された複数個のメモリセルを有し、各々のメモリセル(「ビット」とも称す)は、選択トランジスタとヒューズトランジスタとからなる。
<関連技術の技術課題>
【0015】
まず、本願発明者が確認した、関連技術における半導体装置の技術課題について、
図17から
図23を用いて説明する。
図17は関連技術におけるヒューズトランジスタのゲート幅方向における断面図である。
図18から
図21は関連技術におけるヒューズトランジスタの製造工程を示す要部拡大断面図である。
図22は関連技術におけるヒューズトランジスタの書き込みメカニズムを示す断面図である。
図23は関連技術におけるヒューズトランジスタの読み出し電流分布を示す図である。
【0016】
図17に示すように、関連技術におけるヒューズトランジスタFU0では、ゲート絶縁膜GIfが単層の酸化シリコン膜からなり、このゲート絶縁膜GIfにフィラメントFMが形成されている。フィラメントFMは、ゲート電極Gfと半導体基板SBとの間に形成された導電部である。素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTfにおいて、半導体基板SBとゲート電極Gfとの間には単層のゲート絶縁膜GIfが介在している。なお、酸化シリコン膜は、シリコンからなる半導体基板を熱酸化して形成される。
【0017】
図23は、読み出し電流(Ion)とビット数(bit count)との関係を示している。
図23には、4段階の書き込み電圧(Vpp=8.5V、9.0V、9.5Vおよび10.0V)を用いてゲート絶縁膜GIfにフィラメントFMが形成された総計70Kビット(2Kビット×35チップ)に対する読み出し電流が示されている。全ての書き込み電圧において、その読み出し電流が目標値に達しない不良ビットが存在している。書き込み電圧を上昇させれば不良ビットの数は減少するが、これ以上書き込み電圧を上昇させることはできず、別の対応が必要となった。
次に、本願発明者は不良ビットの発生原因を検討した。
【0018】
図示はしないが、ヒューズトランジスタFU0の製造工程は、半導体基板SBに溝TRを形成する工程(第1工程)と、溝TRを埋めるように半導体基板SB上に絶縁膜を形成する工程(第2工程)と、絶縁膜に対して研磨処理を施し素子分離膜STIを形成する工程(第3工程)と、半導体基板SBの主面SBa上に形成された異物を除去するウェットエッチング工程(第4工程)と、半導体基板SBの主面SBaを熱酸化してゲート絶縁膜GIfを形成する工程(第5工程)を含む。
【0019】
図18から
図21は、ヒューズトランジスタFU0の活性領域ACTfと素子分離膜STIとの境界の要部(半導体基板SBの主面SBa側)を示している。
図18および
図20は上記の第4工程を示し、
図19および
図21は上記の第5工程を示している。そして、
図18及び
図19は、素子分離膜STIの主面STIaが半導体基板SBの主面SBaに比べ低い場合(以下、「低STI」と称する)を示している。
図20および
図21は、素子分離膜STIの主面STIaが半導体基板SBの主面SBaに比べ高い場合(以下、「高STI」と称する)を示している。
図18及び
図20に示す主面STIaの高さの差は、素子分離膜STI形成用の研磨工程(上記の第3工程)における「面内バラツキ」に起因する。
【0020】
図18に示すように、ウェットエッチング工程(上記の第4工程)では素子分離膜STIに窪みDVが発生する。そして、「低STI」の場合、活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにおいて半導体基板SBの側壁が露出する。一方、
図20に示すように、「高STI」の場合、ウェットエッチング工程(上記の第4工程)で、素子分離膜STIに窪みDVが発生しても、活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにおいて半導体基板SBの側壁が露出しない。
【0021】
そして
図19に示すように、「低STI」の場合には上記の第5工程において活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHの角が酸化によって丸められ丸め部RPが形成される。しかしながら、
図21に示すように、「高STI」の場合には上記の第5工程を実施しても活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHは酸化によって丸められることなく、略直角な角部CNが残る。活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにおいて半導体基板SBの側壁が酸化されないためである。
【0022】
図22に示すように、「高STI」の場合、ヒューズトランジスタFU0において、活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにフィラメントFMが形成される。ゲート電極Gfに書き込み電圧を印加した場合、角部CNに電界が集中し、角部CNが残っている肩部SHにおいてゲート絶縁膜GIfの絶縁破壊が発生するためである。そして活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHに形成されたフィラメントFMは、高抵抗を示す。なぜなら、フィラメントFMが活性領域ACTfにおける半導体基板SBの平坦な位置に形成された場合に比べて、フィラメントFMの形成幅が狭いからである。
【0023】
以上より、関連技術における技術課題は、素子分離膜STI形成時の研磨工程における「面内バラツキ」に影響されることなく、ヒューズトランジスタFU0に形成されるフィラメントFMの低抵抗化を実現することである。
<半導体装置の構造>
【0024】
本実施の形態における半導体装置は、行列状に配置された複数個のメモリセルを有し、各々のメモリセル(ビットとも呼ぶ)は、選択トランジスタとヒューズトランジスタとからなる。また、半導体装置は複数個のメモリセルを含むROM領域(メモリ領域)以外に、コアトランジスタを含むロジック領域を有する。ロジック領域のロジック回路はCMOSにより形成されており、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとを含むが、本実施の形態ではnチャネル型MISFETについて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタの平面図である。
図2は、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート長方向における断面図である。
図3は、本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における断面図である。
図4は、本実施の形態における半導体装置のメモリセル部の等価回路図である。
図5および
図6は、本実施の形態におけるヒューズトランジスタの書き込みメカニズムを示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、領域ASは活性領域ACTsと素子分離領域とからなり、素子分離領域には素子分離膜STIが形成されている。領域AFは活性領域ACTfと素子分離領域とからなり、素子分離領域には素子分離膜STIが形成されている。領域ACは活性領域ACTcと素子分離領域とからなり、素子分離領域には素子分離膜STIが形成されている。領域ASにはその周囲を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTsが含まれており、活性領域ACTs内には選択トランジスタSTが形成されている。領域AFにはその周囲を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTfが含まれており、活性領域ACTf内にはヒューズトランジスタFUが形成されている。領域ACにはその周囲を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTcが形成されており、活性領域ACTc内にはコアトランジスタCTが含まれている。素子分離膜STIは半導体基板SBの主面SBaからその内部に向かって延在している(
図2および
図3参照)。
【0027】
選択トランジスタSTは、Y方向に延在するゲート電極Gsと、X方向においてゲート電極Gsの両隣に配置されたソース領域SDsおよびドレイン領域SDsとを含む。ヒューズトランジスタFUは、Y方向に延在するゲート電極Gfと、X方向においてゲート電極Gfの両隣に配置された一対のソース領域S1およびS2とを含む。コアトランジスタCTは、Y方向に延在するゲート電極Gcと、X方向においてゲート電極Gcの両隣に配置されたソース領域SDcおよびドレイン領域SDcとを含む。ここで、X方向はY方向に直交し、X方向は各トランジスタのゲート長方向であり、Y方向は各トランジスタのゲート幅方向である。
【0028】
図2は、
図1に示す領域AS、AFおよびACのそれぞれにおける切断線X1-X2に沿う断面図である。領域ASにおける切断線X1-X2は、ソース領域SDs、ゲート電極Gsおよびドレイン領域SDsを通過する。領域AFにおける切断線X1-X2は、ソース領域S1、ゲート電極Gfおよびドレイン領域S2を通過する。領域AFにおける切断線X1-X2は、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPを通過する。領域ACにおける切断線X1-X2は、ソース領域SDc、ゲート電極Gcおよびドレイン領域SDcを通過する。
図2に示すように、選択トランジスタSTはpチャネル型MISFETであり、p型のゲート電極Gs、ゲート絶縁膜GIs、ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsを有する。選択トランジスタSTは、X方向において、その両端を素子分離膜STIによって挟まれた活性領域ACTs内に形成されている。活性領域ACTsにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIsが形成され、ゲート絶縁膜GIs上にゲート電極Gsが形成されている。ゲート絶縁膜GIsは、ゲート絶縁膜GI1と、ゲート絶縁膜GI1上に形成されたゲート絶縁膜GI2との積層膜からなる。そして、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、下層のゲート絶縁膜GI1の厚さよりも大きい(厚い)。ゲート絶縁膜GI2は酸化シリコン膜からなり、ゲート絶縁膜GI1は酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる。ゲート電極Gsはp型不純物が導入された多結晶シリコン膜からなる。ゲート電極Gsおよびゲート絶縁膜GIsの側壁上に側壁絶縁膜SWが形成されている。
【0029】
活性領域ACTsにおいて、ゲート電極Gsの両隣にはソース領域SDsおよびドレイン領域SDsが配置されている。ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsは、半導体基板SBの内部に形成されている。具体的には、ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsは、p型の半導体基板SBに選択的に形成されたn型のウエル領域NW内に形成されている。ウエル領域NWは、n型の不純物が導入された半導体領域である。ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsは、比較的高濃度のp型の半導体領域PHsと比較的低濃度のp型の半導体領域PMsとを含む。ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsは、それぞれゲート電極Gsと素子分離膜STIとの間において、半導体基板SBの内部に形成されている。そしてp型の半導体領域PHsは素子分離膜STI側に配置され、p型の半導体領域PMsはゲート電極Gs側に配置されている。p型の半導体領域PMsは側壁絶縁膜SWの下方に配置されている。そして、p型の半導体領域PMsの下には、n型の半導体領域NMが配置されている。なお、選択トランジスタSTはnチャネル型MISFETとすることもできる。
【0030】
ヒューズトランジスタFUはnチャネル型MISFETであり、n型のゲート電極Gf、ゲート絶縁膜GIfおよび一対のソース領域S1およびS2を有する。ヒューズトランジスタFUは、X方向において、その両端を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTf内に形成されている。活性領域ACTfにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIfが形成され、ゲート絶縁膜GIf上にゲート電極Gfが形成されている。X方向における断面において、ゲート絶縁膜GIfはゲート絶縁膜GI1からなる。ゲート絶縁膜GI1は酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる。ゲート電極Gfはn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜からなる。ゲート電極Gfおよびゲート絶縁膜GIfの側壁上に側壁絶縁膜SWが形成されている。そして、ゲート絶縁膜GIfにフィラメントFMが形成されている。ROM領域には、フィラメントFMが形成されていないヒューズトランジスタFUも存在する。また、メモリセルに対する書き込みがされていない状態ではヒューズトランジスタFUにフィラメントFMは存在しない。
【0031】
活性領域ACTfにおいて、ゲート電極Gfの両隣には一対のソース領域S1およびS2が配置されている。一対のソース領域S1およびS2は、半導体基板SBの内部に形成されている。具体的には、一対のソース領域S1およびS2は、p型の半導体基板SBに選択的に形成されたp型のウエル領域PW内に形成されている。ウエル領域PWは、p型の不純物が導入された半導体領域である。一対のソース領域S1およびS2は、それぞれ比較的高濃度のn型の半導体領域NHfからなる。そして一対のソース領域S1およびS2の間には、比較的低濃度のn型の半導体領域NMfが形成されている。
【0032】
コアトランジスタCTはnチャネル型MISFETであり、n型のゲート電極Gc、ゲート絶縁膜GIcおよびソース領域SDc、ドレイン領域SDcを有する。選択トランジスタCTは、X方向において、その両端を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTc内に形成されている。活性領域ACTcにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIcが形成され、ゲート絶縁膜GIc上にゲート電極Gcが形成されている。ゲート絶縁膜GIcはゲート絶縁膜GI1からなる。ゲート絶縁膜GI1は酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる。ゲート電極Gcはn型不純物が導入された多結晶シリコン膜からなる。ゲート電極Gcおよびゲート絶縁膜GIcの側壁上に側壁絶縁膜SWが形成されている。
【0033】
活性領域ACTcにおいて、ゲート電極Gcの両隣にはソース領域SDcおよびドレイン領域SDcが配置されている。ソース領域SDcおよびドレイン領域SDcは、半導体基板SBの内部に形成されている。具体的には、ソース領域SDcおよびドレイン領域SDcは、p型の半導体基板SBに選択的に形成されたp型のウエル領域PW内に形成されている。ウエル領域PWは、p型の不純物が導入された半導体領域である。ソース領域SDcおよびドレイン領域SDcは、比較的高濃度のn型の半導体領域NHcと比較的低濃度のn型の半導体領域NMcとを含む。ソース領域SDcおよびドレイン領域SDcは、それぞれゲート電極Gcと素子分離膜STIとの間において、半導体基板SBの内部に形成されている。そしてn型の半導体領域NHcは素子分離膜STI側に配置され、n型の半導体領域NMcはゲート電極Gc側に配置されている。n型の半導体領域NMcは側壁絶縁膜SWの下方に配置されている。そして、n型の半導体領域NMcの下には、p型の半導体領域PMが配置されている。
【0034】
ここで、選択トランジスタSTのゲート電極Gsに印加される電源電圧Vds(例えば10V)はコアトランジスタCTのゲート電極Gcに印加される電源電圧Vdc(例えば1.5V)よりも高いため、選択トランジスタSTのゲート長LgsはコアトランジスタCTのゲート長Lgcよりも大きい。また、選択トランジスタSTのゲート絶縁膜GIsの厚さはコアトランジスタCTのゲート絶縁膜GIcの厚さよりも大きい(厚い)。また、ヒューズトランジスタFUのゲート絶縁膜GIfの中央部CPの厚さは、コアトランジスタCTのゲート絶縁膜GIcの厚さと等しい。
【0035】
図3は、
図1に示す領域AS、AFおよびACのそれぞれにおける切断線Y1-Y2に沿う断面図である。領域AS、AFおよびACにおいて、切断線Y1-Y2は、それぞれのゲート電極Gs,GfおよびGcを通過する。
図3に示すように、選択トランジスタSTは、Y方向において、その両端を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTs内に形成されている。活性領域ACTsにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIsが形成され、ゲート絶縁膜GIs上にゲート電極Gsが形成されている。ゲート絶縁膜GIsはゲート絶縁膜GI1とゲート絶縁膜GI1上に形成されたゲート絶縁膜GI2との積層膜からなる。そして、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、ゲート絶縁膜GI1の厚さよりも厚い。Y方向において、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTsにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTsの両隣に配置された素子分離膜STIに達して終端している。Y方向において、ゲート絶縁膜GI2は活性領域ACTsにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTsの両隣に配置された素子分離膜STIに達し素子分離膜STI上で終端している。また、Y方向において、ゲート電極Gsは、活性領域ACTsにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTsの両隣に配置された素子分離膜STIに達し素子分離膜STI上で終端している。活性領域ACTs内に位置するゲート電極Gsの全域において、ゲート電極Gsと半導体基板SBの主面SBaとの間にゲート絶縁膜GIsが介在している。
【0036】
ヒューズトランジスタFUは、Y方向において、その両端を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTf内に形成されている。活性領域ACTfにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIfが形成され、ゲート絶縁膜GIf上にゲート電極Gfが形成されている。Y方向において、ゲート絶縁膜GIfは中央部CPと周辺部PP1およびPP2を有する。平面視において、中央部CPと周辺部PP1およびPP2は、いずれも活性領域ACTf内に位置している。Y方向において、中央部CPは素子分離膜STIから離間しており、中央部CPと素子分離膜STIとの間に周辺部PP1またはPP2が介在している。半導体基板SBの主面SBaは中央部CPの下において平坦面を有する。ゲート絶縁膜GIfの中央部CPは、単層のゲート絶縁膜GI1からなり、周辺部PP1およびPP2はゲート絶縁膜GI1と、ゲート絶縁膜GI1上に形成されたゲート絶縁膜GI2との積層膜からなる。そして、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、ゲート絶縁膜GI1の厚さよりも大きい(厚い)。ゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2のそれぞれの厚さは、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPにおけるゲート絶縁膜GIfの厚さよりも大きい(厚い)。Y方向において、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTfにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTfの両隣に配置された素子分離膜STIに達して終端している。Y方向において、ゲート絶縁膜GI2は活性領域ACTfにおいて半導体基板SBの主面SBaの一部分を覆い、活性領域ACTfの両隣に配置された素子分離膜STIに達し、素子分離膜STI上で終端している。なお、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPはフィラメントFMが形成される領域であり、
図3に示すようにゲート絶縁膜GIfの中央部CPにフィラメントFMが形成されている。また、Y方向において、ゲート電極Gfは、活性領域ACTfにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTfの両隣に配置された素子分離膜STIに達し素子分離膜STI上で終端している。活性領域ACTf内に位置するゲート電極Gfの全域において、ゲート電極Gfと半導体基板SBの主面SBaとの間にゲート絶縁膜GIfが介在している。
【0037】
なお、周辺部PP1およびPP2の幅Wは、50nm以上100nm以下が好適である。周辺部PP1およびPP2の幅Wを50nm以上とすることで、周辺部PP1およびPP2が
図19または
図21に示す肩部SHを覆うことができる。その結果フィラメントFMの形成領域である中央部CPを肩部SHから離間させることができる。つまり、半導体基板SBの主面SBaの平坦な領域に中央部CPを配置できる。また、周辺部PP1およびPP2の幅Wを100nm以下とすることで、ヒューズトランジスタFUの小型化を実現しながら中央部CPの幅を十分に確保できる。
【0038】
コアトランジスタCTは、Y方向において、その両端を素子分離膜STIによって規定された活性領域ACTc内に形成されている。活性領域ACTcにおいて、半導体基板SBの主面SBa上にゲート絶縁膜GIcが形成され、ゲート絶縁膜GIcの上にゲート電極Gcが形成されている。ゲート絶縁膜GIcはゲート絶縁膜GI1からなる。Y方向において、ゲート絶縁膜GIcは活性領域ACTcにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆っている。Y方向において、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTcにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTcの両隣に配置された素子分離膜STIに達して終端している。また、Y方向において、ゲート電極Gcは、活性領域ACTcにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆い、活性領域ACTcの両隣に配置された素子分離膜STIに達し素子分離膜STI上で終端している。活性領域ACTc内に位置するゲート電極Gcの全域において、ゲート電極Gcと半導体基板SBの主面SBaとの間にゲート絶縁膜GIcが介在している。
【0039】
つまり、ヒューズトランジスタFUのゲート絶縁膜GIfの中央部CPにおける厚さはコアトランジスタCTのゲート絶縁膜GIcの厚さと等しく、選択トランジスタSTのゲート絶縁膜GIsの厚さよりも小さい(薄い)。ヒューズトランジスタFUのゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2のそれぞれの厚さは選択トランジスタSTのゲート絶縁膜GIsの厚さと等しく、コアトランジスタCTのゲート絶縁膜GIcの厚さよりも大きい(厚い)。
【0040】
図4に示すように、メモリセルMCは選択トランジスタSTとヒューズトランジスタFUとからなる。
図2を参照して説明すると、選択トランジスタSTのソース領域SDsおよびドレイン領域SDsの一方はビット線BLに接続され、ソース領域SDsおよびドレイン領域SDsの他方はヒューズトランジスタFUのゲート電極Gfに接続されている。選択トランジスタSTのゲート電極Gsはワード線WLに接続されている。ヒューズトランジスタFUの一対のソース領域S1およびS2はソース線SLに接続されている。書き込み時には、選択トランジスタSTを導通させてビット線BLの書込み電圧Vpp(例えば10V)をヒューズトランジスタFUのゲート電極Gfに印加することによってゲート絶縁膜GIfの中央部CPにフィラメントFMが形成される。読み出し時には、選択トランジスタSTを導通させてビット線BLの読み出し電圧Vre(例えば1.5V)がヒューズトランジスタFUのゲート電極Gfに印加される。そしてゲート絶縁膜GIfに形成されたフィラメントFMを介して、ビット線BLからソース線SLに流れる読み出し電流を測定することによって、メモリセルMCの情報(「0」または「1」)を判定する。従って、情報の読み出し精度を向上させるために、フィラメントFMの低抵抗化が必須である。
【0041】
次に、
図5および
図6を用いてヒューズトランジスタFUの書込みメカニズムを説明する。
図5に示すように、ゲート電極Gfに書き込み電圧Vpp(例えば10V)が印加され、ゲート電極Gfとウエル領域PWとの間に電位差が生じると、ゲート絶縁膜GIfに絶縁破壊領域が形成される。絶縁破壊領域はゲート電極Gfからウエル領域PWに達しており、ゲート電極Gfからウエル領域PWに書き込み電流が流れる。高抵抗の絶縁破壊領域に書き込み電流が流れ続けることで絶縁破壊領域が高温となり、
図6に示すように半導体基板SBからゲート電極Gfに向かってエピタキシャル層EPが成長する。つまり、絶縁破壊領域を中心として、その周囲にシリコン層からなるエピタキシャル層EPが形成され、エピタキシャル層EPは半導体基板SBからゲート電極Gfに到達する。さらに、エピタキシャル層EPにゲート電極Gfに含まれるリン(P)が拡散することにより、低抵抗のフィラメントFMが形成される。フィラメントFMの低抵抗化のためには、フィラメントFMの幅を広くすることが重要である。
図3に示すように、フィラメントFMの形成領域である中央部CPを肩部SHから離間させ、半導体基板SBの主面SBaの平坦な領域に中央部CPを配置しているので、フィラメントFMの幅を広く形成できる。そして、フィラメントFMを低抵抗にできる。
<半導体装置の製造方法>
【0042】
図7から
図16を用いて本実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する。
図7から
図12および
図14から
図16は本実施の形態における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
図13は
図12に示す製造工程におけるヒューズトランジスタの平面図である。なお、以下ではゲート電極Gs、GfおよびGcの形成工程まで説明され、
図2に示すウエル領域NWおよびPW、並びに半導体領域NMfの形成工程の説明および図示は省略する。
【0043】
図7に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて絶縁膜IF2を形成する。半導体基板SBの主面SBa上に酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1を形成し、次に、絶縁膜IF1上に窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2は活性領域ACTs、ACTfおよびACTcに対応するパターンを有する。絶縁膜IF2は、領域ASにおいて活性領域ACTsが規定される領域に位置する半導体基板SBの主面SBaの一部分を覆い、活性領域ACTsが規定される領域の外側を露出している。また、絶縁膜IF2は、領域AFにおいて活性領域ACTfが規定される領域に位置する半導体基板SBの主面SBaの一部分を覆い、活性領域ACTfが規定される領域の外側を露出している。絶縁膜IF2は、領域ACにおいて活性領域ACTcが規定される領域に位置する半導体基板SBの主面SBaの一部分を覆い、活性領域ACTcが規定される領域の外側を露出している。
【0044】
次に、
図8に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて溝TRを形成する。領域AS、AFおよびACにおいて、絶縁膜IF2から露出した領域において、半導体基板SBに溝TRを形成する。溝TRは半導体基板SBの主面SBaから半導体基板SBの内部に向かって延在しており、例えば0.4μm程度の深さを有する。断面図において、溝TRは主面SBaに直交する方向に延在している。なお、この工程は、前述の第1工程に対応している。
【0045】
次に、
図9に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて素子分離膜STIを形成する。
図8に示す溝TRを完全に埋めるように、絶縁膜IF3を溝TRの内部および絶縁膜IF2上に形成する。なお、この工程は、前述の第2工程に対応している。次に、絶縁膜IF3に対してCMPと呼ばれる研磨処理を施すことにより、素子分離魔膜STIが形成される。つまり、研磨処理により溝TR内に絶縁膜IF3を残し、絶縁膜IF2上の絶縁膜IF3を除去する。
図9は研磨処理後における断面図である。なお、この工程は、前述の第3工程に対応している。
【0046】
次に、
図10に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて、半導体基板SBの主面SBaを露出する。つまり、
図9に示す絶縁膜IF2およびIF1を除去して、半導体基板SBの主面SBaを露出する。こうして、その周囲を素子分離膜STIで規定された活性領域ACTs、ACTfおよびACTcを準備する。
【0047】
次に、
図11に示すように、領域AS、AFおよびACにおいてゲート絶縁膜GI2を形成する。ゲート絶縁膜GI2は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、半導体基板SBの主面SBa上および素子分離膜STI上に形成される。
【0048】
次に、
図12に示すように、領域AFおよびACにおいて、ゲート絶縁膜GI2を除去する。領域AFにおいて、ゲート絶縁膜GI2の中央部CPを除去し、半導体基板SBの主面SBaを露出する。但し、ゲート絶縁膜GI2の周辺部PP1およびPP2並びに素子分離膜STI上のゲート絶縁膜GI2は除去せずに残す。つまり、ゲート絶縁膜GI2の中央部CPに対応する位置に開口部OPを形成する。すなわち、ゲート絶縁膜GI2のうち、Y方向において素子分離膜STIから離間する部分を除去することによって、主面SBaを露出する開口部OPが形成される。さらに、領域ACのゲート絶縁膜GI2を除去し、半導体基板SBの主面SBaおよび素子分離膜STIを露出する。但し、領域ASにおいて、ゲート絶縁膜GI2は除去せずに残す。なお、この工程は、前述の第4工程に対応している。
【0049】
図13は、
図12に示すゲート絶縁膜GI2除去工程に対応する平面図である。領域AFにおいてゲート絶縁膜GI2に形成された開口部OPの幅は、Y方向における活性領域ACTfの幅よりも狭い。そして、Y方向において、開口部OPは一方の素子分離膜STIから周辺部PP1の幅だけ離間し、他方の素子分離膜STIから周辺部PP2の幅だけ離間している。
【0050】
次に、
図14に示すように、領域AS、AFおよびACにおいてゲート絶縁膜GI1を形成する。ゲート絶縁膜GI1は熱酸化法によって形成される。領域ASにおいて、活性領域ACTsの全域に渡って、ゲート絶縁膜GI1は半導体基板SBとゲート絶縁膜GI2との間に形成される。領域AFにおいて、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTfの全域に渡って形成され、開口部OPから露出する半導体基板SBの主面SBa上と、ゲート絶縁膜GI2の周辺部PP1およびPP2と半導体基板SBの主面SBaとの間にゲート絶縁膜GI1が形成される。すなわち、ゲート絶縁膜GI1は、開口部OPから露出する主面SBa上と、半導体基板SBとゲート絶縁膜GI2との間に形成される。領域ACにおいて、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTcの全域に渡って、半導体基板SBの主面SBa上に形成される。なお、この工程は、前述の第5工程に対応している。
【0051】
次に、
図15に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて多結晶シリコン膜PS1を形成する。多結晶シリコン膜PS1は、領域ASにおいてゲート絶縁膜GI2上に形成され、領域AFにおいてゲート絶縁膜GI1およびGI2上に形成され、領域ACにおいてゲート絶縁膜GI1上に形成される。
【0052】
次に、
図16に示すように、マスク膜MK1を用いて、多結晶シリコン膜PS1およびゲート絶縁膜GI2を加工する。つまり、領域ASにおいてゲート電極Gsを形成し、領域AFにおいてゲート電極Gfを形成し、そして、領域ACにおいてゲート電極Gcを形成する。
【0053】
次に、領域ASにおいてゲート電極Gsの側壁上およびゲート絶縁膜GI2の側壁上に側壁絶縁膜SWを形成する。また、領域AFにおいてゲート電極Gfの側壁上およびゲート絶縁膜GI2の側壁上に側壁絶縁膜SWを形成し、領域ACにおいてゲート電極Gcの側壁上に側壁絶縁膜SWを形成する。こうして
図2および
図3に示す選択トランジスタST、ヒューズトランジスタFUおよびコアトランジスタCTが完成される。
<本実施の形態における半導体装置の特徴>
本実施の形態における半導体装置は、以下の特徴を有する。
【0054】
ヒューズトランジスタFUのフィラメントFM形成領域は、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPに位置している。中央部CPの下において、半導体基板SBの主面SBaは平坦面を有するため、フィラメントFMの形成幅を広くできる。その結果フィラメントFMを低抵抗化できる。従って、ヒューズトランジスタFUの読み出し電流を増加でき半導体装置の信頼性を向上できる。
【0055】
ヒューズトランジスタFUにおいて、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPの両隣に周辺部PP1およびPP2を配置している。そして、ゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2のそれぞれの厚さは、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPの厚さよりも大きい(厚い)。さらに周辺部PP1およびPP2は素子分離膜STIに達している。従って、ヒューズトランジスタFUの書込み時に、活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにおいてゲート絶縁膜GIfの絶縁破壊は発生しない。
【0056】
従って、半導体装置の製造工程において、「面内バラツキ」による加工バラツキが発生したとしても、活性領域ACTfにおける半導体基板SBの肩部SHにおいてゲート絶縁膜GIfの絶縁破壊を防ぐことができるため、製造歩留まりが向上する。例えば、素子分離膜STI形成工程における研磨処理によって素子分離膜STIの主面STIaの高さバラツキが発生する。しかしながら本実施の形態における半導体装置によれば、素子分離膜STIの主面STIaの高さバラツキに起因するフィラメントFMの高抵抗化を防止できる。
【0057】
ヒューズトランジスタFUのゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2は、選択トランジスタSTのゲート絶縁膜GIsと同様の構造である。つまり、新たに工程を追加することなくゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2を形成できる。
<変形例>
【0058】
変形例は、上記実施の形態における素子分離膜の構造およびその製造方法に関する。
図24は、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における断面図であり、上記実施の形態における
図16に対応している。但し、マスク膜MK1の図示は省略している。
図25から
図29は、変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を示す断面図である。
【0059】
図24に示すように変形例における素子分離膜STIは、浅部SPと深部DPとを有する。浅部SPは深部DPよりも浅い。これに伴い、領域AS,AFおよびACにおいて、Y方向における活性領域ACTss、ACTffおよびACTccの幅が、上記実施の形態における活性領域ACTs、ACTfおよびACTcのそれぞれの幅よりも狭い。素子分離膜STIおよび活性領域ACTss、ACTffおよびACTcc以外の構成は、上記実施の形態と同様であるので、選択トランジスタSTおよびコアトランジスタCTの説明は省略する。
【0060】
図24に示すように、ヒューズトランジスタFUにおいて、ゲート絶縁膜GIfは中央部CPと周辺部PP1およびPP2を有する。平面視において、中央部CPと周辺部PP1およびPP2は、いずれも素子分離膜STIに挟まれた活性領域ACTff内に位置している。Y方向において、中央部CPは素子分離膜STIから離間しており、中央部CPと素子分離膜STIとの間に周辺部PP1またはPP2が介在している。半導体基板SBの主面SBaは中央部CPの下において平坦面を有する。ゲート絶縁膜GIfの中央部CPは単層のゲート絶縁膜GI1からなり、周辺部PP1およびPP2はゲート絶縁膜GI1とゲート絶縁膜GI1上に形成されたゲート絶縁膜GI2との積層膜からなる。そして、ゲート絶縁膜GI2の厚さは、ゲート絶縁膜GI1の厚さよりも大きい(厚い)。ゲート絶縁膜GIfの周辺部PP1およびPP2のそれぞれの厚さは、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPの厚さよりも大きい(厚い)。Y方向において、ゲート絶縁膜GIfは活性領域ACTffにおいて半導体基板SBの全主面SBaを覆っている。Y方向において、ゲート絶縁膜GI1は活性領域ACTffにおいて半導体基板SBの全主面SBaの全域を覆い、活性領域ACTffの両隣に配置された素子分離膜STIの浅部SPに達して終端している。Y方向において、ゲート絶縁膜GI2は活性領域ACTffにおいて半導体基板SBの主面SBaの一部分を覆い、活性領域ACTffの両隣に配置された素子分離膜STIの浅部SPに達し素子分離膜STIの深部DP上で終端している。なお、ゲート絶縁膜GIfの中央部CPはフィラメントFMが形成される領域である。
【0061】
フィラメントFMが形成されるゲート絶縁膜GIfの中央部CPは素子分離膜STIから離間している。従って、フィラメントFMの形成時(書き込み時)に、活性領域ACTffにおける半導体基板SBの肩部SHに存在する窪みRCがフィラメントFMの形成に影響しない。ヒューズトランジスタFUにおいて、活性領域ACTffにおける半導体基板SBの肩部SHにフィラメントFMは形成されない。フィラメントFMは、平坦面である半導体基板SBの主面SBa上の中央部CPに形成されるため、フィラメントFMを低抵抗にできる。
【0062】
次に、
図25から
図29を用いて変形例における半導体装置に含まれるトランジスタのゲート幅方向における製造工程を説明する。変形例における半導体装置の製造方法は、上記実施の形態における
図7から
図10に示す製造工程を
図25から
図29に示す製造工程に置き換えている。
【0063】
図25に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて、半導体基板SBの主面SBa上に絶縁膜IF4、多結晶シリコン膜PS2、絶縁膜IF5、絶縁膜IF6を順に形成する。絶縁膜IF4およびIF5のそれぞれは酸化シリコン膜であり、絶縁膜IF6は窒化シリコン膜である。次に、領域AS、AFおよびACにおいて、絶縁膜IF6上に、それぞれの活性領域ACTss、ACTffおよびACTccが規定される領域に位置する半導体基板SBの主面SBaの一部分(一領域)を選択的に覆うマスク膜MK2を形成する。
【0064】
次に、
図26に示すように、
図25に示すマスク膜MK2から露出した領域に位置する絶縁膜IF6、絶縁膜IF5、多結晶シリコン膜PS2および絶縁膜IF4を順にエッチングして除去し、さらに、半導体基板SBに窪みRCを形成する。
【0065】
次に、領域AS、AFおよびACにおいて、絶縁膜IF6を除去する。そして、
図27に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて、絶縁膜IF4、多結晶シリコン膜PS2および絶縁膜IF5からなる積層体の側壁上に側壁絶縁膜SWaを形成する。次に、絶縁膜IF4、多結晶シリコン膜PS2および絶縁膜IF5からなる積層体と側壁絶縁膜SWaとから露出した領域において、半導体基板SBに溝TRを形成する。すなわち、絶縁膜IF4、多結晶シリコン膜PS2および絶縁膜IF5からなる積層体と側壁絶縁膜SWaとから露出する窪みRCの底面において、半導体基板SBに溝TRが形成される。
【0066】
次に、
図28に示すように、領域AS、AFおよびACにおいて素子分離膜STIを形成する。まず、領域AS、AFおよびACにおいて、側壁絶縁膜SWaを除去した後に、溝TRを完全に埋めるように絶縁膜IF7を絶縁膜IF5上に形成する。次に、絶縁膜IF7に対してCMPと呼ばれる研磨処理を施し、素子分離膜STIを形成する。つまり、研磨処理により溝TR内および窪みRC内に絶縁膜IF7を残し、絶縁膜IF5上の絶縁膜IF7を除去する。
図28は、研磨処理後における断面図である。
【0067】
次に、領域AS、AFおよびACにおいて、絶縁膜IF5、多結晶シリコン膜PS2および絶縁膜IF4を順にエッチングして除去し、さらに、素子分離膜STIの表面をエッチングすることにより素子分離膜STIの高さを調整する。以上の工程により
図29に示す素子分離膜STIが形成される。素子分離膜STIは浅部SPと深部DPとを有する。浅部SPは、Y方向において活性領域ACTss、ACTffおよびACTccのそれぞれと深部DPとの間に配置されている。活性領域ACTss、ACTffおよびACTccは、素子分離膜STIの浅部SPによって規定されている。
次に、上記実施の形態において説明した
図11以降の工程を実施することによって変形例の半導体装置を製造できる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
ACTc、ACTcc、ACTf、ACTff、ACTs、ACTss 活性領域
AC,AF,AS 領域
BL ビット線
CN 角部
CP 中央部
CT コアトランジスタ
DP 深部
DV 窪み
EP エピタキシャル層
FM フィラメント
FU、FU0 ヒューズトランジスタ(アンチヒューズトランジスタ、アンチヒューズ素子)
GI1、GI2、GIc、GIs、GIf ゲート絶縁膜
Gc、Gf、Gs ゲート電極
IF1、IF2、IF3、IF4、IF5、IF6、IF7 絶縁膜
MC メモリセル
MK1、MK2 マスク膜
NHc、NHf、NMc、NMf、NM 半導体領域
NW ウエル領域
OP 開口部
PHs、PMs、PM 半導体領域
PP1、PP2 周辺部
PS1、PS2 多結晶シリコン膜
PW ウエル領域
RC 窪み
RP 丸め部
S1、S2 ソース領域
SDc、SDs ソース領域(ドレイン領域)
SH 肩部
SL ソース線
SP 浅部
ST 選択トランジスタ(トランジスタ素子)
STI 素子分離膜
STIa 主面
SB 半導体基板
SBa 主面
SW、SWa 側壁絶縁膜
TR 溝
WL ワード線