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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127566
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両用流体加熱装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/48 20060101AFI20240912BHJP
   F24H 1/10 20220101ALN20240912BHJP
【FI】
B60S1/48 B
F24H1/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036799
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 大聖
(72)【発明者】
【氏名】山取 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡井 隆一
(72)【発明者】
【氏名】深井 洋一
【テーマコード(参考)】
3D225
3L034
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC03
3D225AD02
3D225AF24
3L034BB01
(57)【要約】
【課題】車両用流体加熱装置の構造の簡素化を図る。
【解決手段】貯留されている流体(ウォッシャー液)を加熱する車両用流体加熱装置は、流体を貯留する貯留槽110と、面状のヒータ121とを備え、上記貯留槽110に、貯留されている流体を新たな流体の流入に伴って流出させる平板状の流路が設けられ、上記面状のヒータ121によって、上記平板状の流路の流路壁が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留されている流体を加熱する車両用流体加熱装置であって、
流体を貯留する貯留槽と、
面状のヒータとを備え、
上記貯留槽に、貯留されている流体を新たな流体の流入に伴って流出させる平板状の流路が設けられ、
上記面状のヒータによって、上記平板状の流路の流路壁が形成されていることを特徴とする車両用流体加熱装置。
【請求項2】
請求項1の車両用流体加熱装置であって、
上記貯留槽は、上部が開口した貯留槽本体と、蓋部とを有し、
上記ヒータは、上記貯留槽本体の上方から挿入されるように設けられていることを特徴とする車両用流体加熱装置。
【請求項3】
請求項2の車両用流体加熱装置であって、
上記流路は、流体が鉛直面内で下方に流れる下降流路と、上記貯留槽の底部で折り返して上方に流れる上昇流路とを有することを特徴とする車両用流体加熱装置。
【請求項4】
請求項2の車両用流体加熱装置であって、
上記流路は、流体が鉛直面内で水平方向の一方向に流れる一方向流路と、上記一方向流路の端部で折り返して他方向に流れる他方向流路とを有することを特徴とする車両用流体加熱装置。
【請求項5】
請求項2の車両用流体加熱装置であって、
上記ヒータは、上記貯留槽の側方から挿入されるとともに、
上記流路は、流体が水平面内で一方向に流れる一方向流路と、上記一方向流路の端部で折り返して他方向に流れる他方向流路とを有することを特徴とする車両用流体加熱装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項の車両用流体加熱装置であって、
さらに、ヒータではない非加熱流炉壁が設けられていることを特徴とする車両用流体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の洗浄液噴射システムなどに用いられる車両用流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用流体加熱装置としては、例えば加熱対象流体の流路を画定する熱伝導性本体の熱伝導面にヒーターユニットが接合されて成り、風防窓や前照灯のスクリーン面の洗浄液を加熱するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-512376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような熱伝導性本体は、加熱対象流体の流路を画定する流路壁が設けられるため、構造が複雑になりがちであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、車両用流体加熱装置の構造の簡素化を容易に図り得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
貯留されている流体を加熱する車両用流体加熱装置であって、
流体を貯留する貯留槽と、
面状のヒータとを備え、
上記貯留槽に、貯留されている流体を新たな流体の流入に伴って流出させる平板状の流路が設けられ、
上記面状のヒータによって、上記平板状の流路の流路壁が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、ヒータによって平板状の流路の流路壁が形成されるので、構造の簡素化を容易に図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、車両用流体加熱装置の構造の簡素化を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1の流体加熱装置の内部構造を示す斜視図。
図2】実施形態1の流体加熱装置の正面断面図。
図3】実施形態1の流体加熱装置の側面断面図。
図4】実施形態2の流体加熱装置の内部構造を示す斜視図。
図5】実施形態2の流体加熱装置の正面断面図。
図6】実施形態2の流体加熱装置の平面断面図。
図7】実施形態3の流体加熱装置の内部構造を示す斜視図。
図8】実施形態3の流体加熱装置の正面断面図。
図9】実施形態3の流体加熱装置の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、例えば自動車のフロントガラスに付着した霜を融かすためにウォッシャー液を温める車両用流体加熱装置の例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1の流体加熱装置100は、図1図3に示すように、上部が開口した貯留槽本体111と、流入口113および流出口114が設けられた蓋部112とを有する貯留槽110内に2枚ずつ横並びに配置された2組、合計4枚の面状のヒータ121が設けられて成っている。
【0012】
上記ヒータ121としては、例えばセラミックヒータなどが用いられる。これらのヒータ121は、貯留槽本体111の上方から挿入されて、下端部が貯留槽本体111のヒータ受111a(図2図3)により位置決めされ、ヒータ121の下端と貯留槽110の底との間の隙間に折り返し流路が形成されるように配置されている。
【0013】
貯留槽110の底部には、上記2枚のヒータ121の間に凸設された非加熱流炉壁111bが設けられ、その上方に折り返し流路が形成されるようになっている。すなわち、ウォッシャー液が鉛直面内で下方に流れる下降流路、上記貯留槽の底部で折り返して上方に流れる上昇流路、また、さらに非加熱流炉壁111bの上方で折り返した後の同様の下降流路、および上昇流路が形成されている。
【0014】
上記のような流体加熱装置100では、流入口113から流入したウォッシャー液は、図2に2点鎖線で示すように流れて、流出口114から流出する。その場合、ウォッシャー液の流れは、必ずしも層流や整流された流れではなくてもよいが、上記のように平板状の流路を形成し、流路壁の間隔を適切に設定することなどによって、ある程度均一な流れになるようにすることができる。そこで、貯留槽110内で昇温されたウォッシャー液は、新たに流入するウォッシャー液とあまり混ざらずに流出口114から流出させることができる。それゆえ、例えば連続的に流れるウォッシャー液を昇温させる場合などに比べて、間欠的ではあるが、比較的小さな消費電力で、昇温されたウォッシャー液を供給することができる。
【0015】
しかも、少なくとも一部の流路壁をヒータ121によって形成することによって、貯留槽110の内部形状を簡潔にするなど、構造の簡素化を図ることが容易にできる。
【0016】
(実施形態2)
実施形態2の流体加熱装置100は、図4図6に示すように、各ヒータ121は、貯留槽110の底まで達するように配置されるとともに、貯留槽本体111の非加熱流炉壁111bは、上部が蓋部112まで達するように形成されている。一方、上記ヒータ121、および非加熱流炉壁111bは、図6に示すように平面視における配置が、それぞれ側方に寄るように設定されている。すなわち、同図に2点鎖線で示すように、実施形態1の流路を横向きにしたような、ウォッシャー液が鉛直面内で水平方向の一方向に流れる一方向流路と、上記一方向流路の端部で折り返して他方向に流れる他方向流路とが繰り返されるような流路が形成されている。
【0017】
上記のように構成された流体加熱装置100においても、やはり、比較的小さな消費電力で、昇温されたウォッシャー液を間欠的に供給することが容易にできるとともに、少なくとも一部の流路壁をヒータ121によって形成することによって、貯留槽110の内部形状を簡潔にするなど、構造の簡素化を図ることが容易にできる。
【0018】
(実施形態3)
実施形態3の流体加熱装置100は、図7図9に示すように、ヒータ121は、貯留槽本体111の側壁から挿入されるように設けられている。より詳しくは、2組のヒータ121が、上下にずれた位置で、それぞれ互いに対向する貯留槽本体111の側壁から挿入され、先端部が、貯留槽本体111のヒータ受111a(図8図9)により位置決めされ、ヒータ121の先端と貯留槽110の側壁との間の隙間に折り返し流路が形成されるように配置されている。すなわち、上記の例では、実施形態1、2のような非加熱流炉壁111bは設けられず、ウォッシャー液の流路は、ヒータ121の先端部で2回だけ折り返すように形成されている。
【0019】
上記のように構成された100においても、やはり、比較的小さな消費電力で、昇温されたウォッシャー液を間欠的に供給することが容易にできるとともに、少なくとも一部の流路壁をヒータ121によって形成することによって、貯留槽110の内部形状を簡潔にするなど、構造の簡素化を図ることが容易にできる。
【0020】
(その他の事項)
上記のようなヒータ121としてはセラミックヒータが用いられるのに限らず、面状で、流体中に埋没させる使用に耐えるものであれば、種々適用可能である。
【0021】
また、上記の例では、2枚のヒータ121が2組設けられている例を示したが、ヒータ121の数は、上記に限らず、また、ヒータ121等の面積、間隔、非加熱流炉壁の有無、流路の折り返し数などは、貯留槽110の容積や必要とされる流量、温度、昇温時間や、ウォッシャー液が間欠に供給される時間間隔などに応じて設定すればよい。
【0022】
また、上記の例では、折り返し流路は、ヒータ121や非加熱流炉壁111bの先端部などに設けられる例を示したが、これに限らず、ヒータ121や非加熱流炉壁111bの基部に開口を設けるなどして、基部の部分で折り返し流路が形成されるようにしてもよい。その場合、例えば実施形態1の構成において、非加熱流炉壁111bに代えて基部(上部)に開口を有するヒータ121を設けるなどしてもよい。また、実施形態3の構成において、上下の一方のヒータ121として基部に開口を有するものを用いることによって、2組のヒータ121を同じ側壁から挿入することなどもできる。
【0023】
また、例えば実施形態2の構成において、非加熱流炉壁111bを設けずに、3組のヒータ121が互い違いに貯留槽本体111の対向する側壁に寄って配置されるようにして、平面視において図8に似たような流路が形成されるようにしてもよい。
【0024】
また、流入口113や流出口114は、貯留槽本体111や蓋部112に丸穴状などに開口するように設けられるのに限らず、平板状の流路に対応したスリット状の吹き出し、吸い込み口などが形成されるようにして、より、層流や整流された流れが生じやすいようにしてもよい。
【0025】
また、折り返し流路が形成されるヒータ121や非加熱流炉壁111bの先端部などと貯留槽110との間の隙間は、必ずしも生じないようにしなくてもよく、貯留槽110内で昇温されたウォッシャー液が新たに流入するウォッシャー液と混ざる程度や組み付け作業性などに応じて、適宜設定されればよい。
【符号の説明】
【0026】
100 流体加熱装置
110 貯留槽
111 貯留槽本体
111a ヒータ受
111b 非加熱流炉壁
112 蓋部
113 流入口
114 流出口
121 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9