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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127580
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】作業機、アダプタ、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240912BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B25F5/00 G
H02J1/00 304A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036819
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】星野 堅一
【テーマコード(参考)】
3C064
5G165
【Fターム(参考)】
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC04
3C064BA15
3C064BA18
3C064BA32
3C064BB09
3C064BB81
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA57
3C064CA62
3C064CA83
3C064CB06
3C064CB64
3C064CB71
3C064CB81
3C064CB91
5G165AA03
5G165BB11
5G165DA06
5G165EA06
(57)【要約】
【課題】利便性を向上した作業機、並びに作業機の利便性を向上可能なアダプタ及びシステムを提供する。
【解決手段】作業機10は、外部の交流230V電源25に接続可能な交流電源接続部12と、アダプタ100に接続可能な直流電源接続部11と、を備え、交流電源接続部12から入力される交流230V、及びアダプタ100から入力される直流325Vのいずれによっても駆動可能である。直流電源接続部11は、ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28の出力側とインバータ回路32の入力側との間に接続される。アダプタ100は、外部の交流100V電源120から供給される交流を直流に変換し、電池パック150から供給される直流と合成し、直流325Vとして作業機10に供給する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格電圧が230Vである外部の交流電源に接続可能な交流電源接続部と、
前記交流電源接続部から入力された交流を直流に変換する変換部と、
外部の直流電源に接続可能な直流電源接続部と、
前記変換部による変換によって得られた直流、又は、前記直流電源から供給された直流を受けて駆動するモータ部と、
前記モータ部の駆動力を受けて作動する作動部と、を備える、作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機であって、
前記直流電源接続部は、前記変換部の出力側と前記モータ部の入力側との間に接続される、作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機であって、
前記交流電源接続部に外部の交流電源が接続されているとき、前記直流電源接続部に外部の直流電源を接続できないよう構成される、作業機。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機であって、
前記交流電源接続部に外部の交流電源が接続され、かつ、前記直流電源接続部に外部直流電源が接続されたとき、前記直流電源接続部と前記モータ部との間を遮断する遮断部を備える、作業機。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機であって、
前記直流電源接続部は、前記変換部の入力側に接続される、作業機。
【請求項6】
請求項5に記載の作業機であって、
前記交流電源接続部と前記直流電源接続部とが共通である、作業機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記モータ部は、ブラシレスモータとインバータ回路とを含む、作業機。
【請求項8】
作業機に直流を供給するアダプタであって、
外部の交流電源に接続される第1接続部と、
前記第1接続部から供給される交流を直流に変換する第1変換部と、
外部の直流電源に接続される第2接続部と、
前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流を合成する合成部であって、前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流電圧を昇圧する昇圧部を有する合成部と、備える、アダプタ。
【請求項9】
請求項8に記載のアダプタであって、
前記昇圧部は、
前記第1変換部から供給される直流電圧を昇圧する第1昇圧部と、
前記第2接続部から供給される直流電圧を昇圧する第2昇圧部と、を有し、
前記合成部は、第1昇圧部の出力と第2昇圧部の出力とを合成するよう構成される、アダプタ。
【請求項10】
請求項9に記載のアダプタであって、
前記第1昇圧部と前記第2昇圧部とが同じ回路構成である、アダプタ。
【請求項11】
請求項9に記載のアダプタであって、
第2昇圧部の出力電圧は前記第1昇圧部の出力電圧よりも高い、アダプタ。
【請求項12】
請求項8に記載のアダプタであって、
前記合成部は、前記第1変換部から供給される直流と前記第2接続部から供給される直流とを合成して得た直流電圧を前記昇圧部で昇圧するよう構成される、アダプタ。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載のアダプタであって、
前記交流電源の定格電圧が100Vである、アダプタ。
【請求項14】
アダプタ及び作業機を備えるシステムであって、
前記アダプタは、
定格電圧が100Vの外部の交流電源に接続される第1接続部と、
前記第1接続部から供給される交流を直流に変換する第1変換部と、
外部の直流電源に接続される第2接続部と、
前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流を合成する合成部であって、前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流電圧を昇圧する昇圧部を有する合成部と、備え、
前記作業機は、
定格電圧が230Vの外部の交流電源に接続可能な交流電源接続部と、
前記交流電源接続部から入力された交流を直流に変換する第2変換部と、
前記アダプタに接続可能な直流電源接続部と、
前記第2変換部による変換によって得られた直流、又は、前記アダプタから供給された直流を受けて駆動するモータ部と、
前記モータ部の駆動力を受けて作動する作動部と、を備える、
ことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機、アダプタ、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、交流定格電圧が230Vの作業機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機の交流定格電圧が商用交流電源の電圧と異なると、当該作業機の使用が難しく、不便であった。
【0005】
本発明の目的は、利便性を向上した作業機、並びに作業機の利便性を向上可能なアダプタ及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、作業機である。この作業機は、
定格電圧が230Vである外部の交流電源に接続可能な交流電源接続部と、
前記交流電源接続部から入力された交流を直流に変換する変換部と、
外部の直流電源に接続可能な直流電源接続部と、
前記変換部による変換によって得られた直流、又は、前記直流電源から供給された直流を受けて駆動するモータ部と、
前記モータ部の駆動力を受けて作動する作動部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、アダプタである。このアダプタは、
作業機に直流を供給するアダプタであって、
外部の交流電源に接続される第1接続部と、
前記第1接続部から供給される交流を直流に変換する第1変換部と、
外部の直流電源に接続される第2接続部と、
前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流を合成する合成部であって、前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流電圧を昇圧する昇圧部を有する合成部と、備える。
【0008】
本発明の別の態様は、システムである。このシステムは、
アダプタ及び作業機を備えるシステムであって、
前記アダプタは、
定格電圧が100Vの外部の交流電源に接続される第1接続部と、
前記第1接続部から供給される交流を直流に変換する第1変換部と、
外部の直流電源に接続される第2接続部と、
前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流を合成する合成部であって、前記第1変換部及び前記第2接続部から供給される直流電圧を昇圧する昇圧部を有する合成部と、備え、
前記作業機は、
定格電圧が230Vの外部の交流電源に接続可能な交流電源接続部と、
前記交流電源接続部から入力された交流を直流に変換する第2変換部と、
前記アダプタに接続可能な直流電源接続部と、
前記第2変換部による変換によって得られた直流、又は、前記アダプタから供給された直流を受けて駆動するモータ部と、
前記モータ部の駆動力を受けて作動する作動部と、を備える。
【0009】
本発明の作業機は、「電動作業機」や「電動工具」、「電気機器」等と表現されてもよく、そのように表現されたものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利便性を向上した作業機、並びに作業機の利便性を向上可能なアダプタ及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)は、本発明の実施形態1に係る作業機10の概略側断面図。(B)は、図1(A)の後部拡大図。(C)は、作業機10の直流電源接続部11及び交流電源接続部12を示す背面図。
図2】実施形態1に係るアダプタ100の概略側断面図であってアダプタ100に接続可能な電池パック150を併せて示した断面図。
図3】実施形態1に係るシステム1の概略構成図。
図4】システム1の回路ブロック図。
図5】本発明の実施形態2に係るシステム2の回路ブロック図。
図6】本発明の実施形態3に係るシステム3の回路ブロック図。
図7】本発明の実施形態4に係るシステム4の回路ブロック図。
図8】本発明の実施形態5に係るシステム5の回路ブロック図。
図9】本発明の実施形態6に係るシステム6の回路ブロック図。
図10】(A)は、本発明の実施形態7に係る作業機10Cの後部拡大図。(B)は、作業機10Cの電源接続部130を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図1図5は、本発明の実施形態1に関する。本実施形態は、作業機10、アダプタ100、並びに、作業機10及びアダプタ100を備えるシステム1に関する。
【0013】
図1(A)~(C)は、作業機10の機械構成を示す。図1(A)により、作業機10の互いに直交する前後、上下方向を定義する。
【0014】
作業機10は、交流定格電圧が230Vの電動工具であり、具体的にはグラインダである。作業機10は、直流電源接続部11(直流325V用コネクタ)、交流電源接続部12(交流230V用コネクタ)、基板15、ハウジング16、モータ17、ギヤケース18、回転伝達機構19、作動部としての砥石20を備える。
【0015】
直流電源接続部11は、ハウジング16の後端部に設けられて後方に臨む。直流電源接続部11は、外部の直流電源であるアダプタ100に接続可能であり、具体的には図3に示すようにアダプタ100の直流出力プラグ107を接続可能である。
【0016】
交流電源接続部12は、ハウジング16の後端部に設けられて後方に臨む。交流電源接続部12は、定格電圧が230Vである外部の交流電源(図4に示す交流230V電源25)に接続可能であり、具体的には図3に示すように交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142を接続可能である。
【0017】
図1(B),(C)に示すように、直流電源接続部11は、直流電源接続端子21及び直流電源接続凹部22を有する。交流電源接続部12は、交流電源接続端子23及び交流電源接続凹部24を有する。直流電源接続凹部22及び交流電源接続凹部24は、互いに形状が異なる。
【0018】
直流電源接続凹部22は、後方に開放し、アダプタ100の直流出力プラグ107が嵌まる一方で、交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142は嵌まらない形状である。直流電源接続端子21は、直流電源接続凹部22内で後方に突出する。
【0019】
交流電源接続凹部24は、後方に開放し、交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142が嵌まる一方で、アダプタ100の直流出力プラグ107は嵌まらない形状である。交流電源接続端子23は、交流電源接続凹部24内で後方に突出する。
【0020】
基板15は、ハウジング16内の後部に保持され、配線13によって直流電源接続部11(直流電源接続端子21)と電気的に接続され、配線14によって交流電源接続部12(交流電源接続端子23)と電気的に接続される。基板15は、モータ17の駆動に必要な回路、すなわちダイオードブリッジ27やインバータ回路32等を搭載する。具体的な回路構成は図4に示される。
【0021】
ハウジング16の前部にギヤケース18がネジ止め等により固定される。ハウジング16は例えば樹脂成形体であり、ギヤケース18は例えば金属製である。ハウジング16及びギヤケース18は、作業機10の外殻部を構成する。モータ17は、ハウジング16内の前部に保持される。回転伝達機構19は、ギヤケース18内に保持される。回転伝達機構19は、モータ17の回転を減速すると共に、前後方向と平行な軸を中心とするモータ17の回転を、上下方向と平行な軸を中心とする回転に変換し、砥石20に伝達する。
【0022】
図2は、アダプタ100の機械構成を示す。
【0023】
アダプタ100は、電池パック150から供給される直流36V、及び交流100V電源ケーブル101を介して入力される交流100Vを基に、直流325Vを生成して作業機10に供給する。アダプタ100は、ハウジング102、基板103、電池パック接続部104を有する。
【0024】
ハウジング102は、例えば樹脂成形体である。基板103は、ハウジング102内に保持される。基板103は、直流325Vの生成に必要な回路、すなわちダイオードブリッジ109や昇圧電源部115、124等を搭載する。具体的な回路構成は図4に示される。電池パック接続部104は、外部直流電源である電池パック150を着脱可能に接続する。
【0025】
図3は、システム1の概略構成を示す。
【0026】
交流100V電源ケーブル101の一端に設けられたプラグ106は、図示しない交流100Vのコンセントに接続される。交流100V電源ケーブル101の他端は図2に示すように基板103に接続される。別例として、交流100V電源ケーブル101の他端をハウジング102に設けた入力コネクタに着脱可能とし、入力コネクタと基板103を配線で電気的に接続してもよい。
【0027】
直流出力ケーブル105の一端に設けられた直流出力プラグ107は、作業機10の直流電源接続部11に嵌合し接続される。直流出力プラグ107は、交流電源接続部12には嵌合しない形状のため、差し違えが防止される。直流出力ケーブル105の他端は図2に示すように基板103に接続される。別例として、直流出力ケーブル105の他端をハウジング102に設けた出力コネクタに着脱可能とし、出力コネクタと基板103を配線で電気的に接続してもよい。
【0028】
交流230V電源ケーブル140の一端に設けられたコンセント側プラグ141は、図示しない交流230Vのコンセントに接続される。交流230V電源ケーブル140の他端に設けられた作業機側プラグ142は、作業機10の交流電源接続部12に嵌合し接続される。作業機側プラグ142、直流電源接続部11には嵌合しない形状のため、差し違えが防止される。
【0029】
作業機10は、交流230V電源ケーブル140を介して入力される交流230V、及びアダプタ100から直流出力ケーブル105を介して入力される直流325Vのいずれによっても駆動可能である。
【0030】
図4は、システム1の回路ブロック図である。
【0031】
アダプタ100において、第1接続部としての交流入力部119は、定格電圧が100Vの外部の交流電源である交流100V電源120に接続される。交流入力部119から入力された交流は、ノイズフィルタ108によりノイズが除去された上で、整流回路としてのダイオードブリッジ109及び平滑回路としてのコンデンサ110(電解コンデンサ)により整流、平滑されて直流となる。ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110は、第1変換部の例示である。
【0032】
ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110の出力する直流は、逆流防止用のダイオード113を介して12V電源回路111に入力される。12V電源回路111は、ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110の出力電圧(直流141V)を直流12Vに変換し、昇圧制御回路114、121に供給する。5V電源回路112は、12V電源回路111の出力する直流12Vを5Vに変換し、昇圧制御回路114、121に供給する。
【0033】
ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110の出力電圧(直流141V)は、第1昇圧部としての昇圧電源部115により直流315Vに昇圧(変換)され、ダイオード116を介してアダプタ出力部118に出力される。アダプタ出力部118の両端子間にはコンデンサ117(電解コンデンサ)が設けられる。昇圧電源部115は、一般的な非絶縁型のDC/DCコンバータである。昇圧制御回路114は、昇圧電源部115の出力電流及び出力電圧、温度等を監視しながら昇圧電源部115の駆動を制御する。
【0034】
昇圧電源部115の出力電流を、交流100V電源120のコンセントに流せる電流の上限付近に対応した電流にすることで、交流100V電源120から最大限の電力供給を受けることができる。
【0035】
アダプタ100において、第2接続部としての電池パック接続部104に、外部の直流電源である電池パック150が接続される。電池パック接続部104から入力された直流は、スイッチ素子としてのリレー122を介して第2昇圧部としての昇圧電源部124に入力される。コンデンサ123(電解コンデンサ)は、リレー122の出力側において、昇圧電源部124の入力端子間に設けられる。昇圧電源部124は、昇圧トランス127を含む一般的な絶縁型のDC/DCコンバータである。
【0036】
昇圧電源部124は、電池パック接続部104からの入力電圧(直流36V)を直流325Vに昇圧(変換)し、ダイオード125を介してアダプタ出力部118に出力する。昇圧制御回路121は、昇圧電源部124の駆動、停止を制御する。具体的には、昇圧制御回路121は、リレー122のオンオフにより昇圧電源部124への通電、停止を制御すると共に、昇圧電源部124のMOSFET駆動回路126のオンオフにより昇圧電源部124による昇圧動作の駆動、停止を制御する。MOSFET駆動回路126は、昇圧電源部124の出力電流及び出力電圧、温度等を監視しながら昇圧電源部124の駆動を制御する。
【0037】
上述した昇圧電源部115、124、ダイオード116、125、コンデンサ117は、ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110から供給される直流と、電池パック150から供給される直流と、を合成してアダプタ出力端子118に出力する合成部を構成する。具体的には、昇圧電源部115と昇圧電源部124は、アダプタ出力端子118との間にダイオード116、125、コンデンサ117を介しながら、電気的に並列な状態でアダプタ出力端子118に接続される。このとき、昇圧電源部115の出力電圧と昇圧電源部124の出力電圧は略等しいため、昇圧電源部115から供給される直流と昇圧電源部124から供給される直流は合成されてアダプタ出力端子118に供給される。なお、昇圧電源部115、124の各々がフィードバック制御を行っているため出力電圧が絶えず変動していることから、実際には昇圧電源部115と昇圧電源部124のそれぞれがアダプタ出力端子118へ供給する直流の割合も絶えず変動する。このため、昇圧電源部115と昇圧電源部124がバランスよく直流を供給するように、昇圧電源部115の出力電圧315Vと昇圧電源部124の出力電圧325Vとの間には10V(所定電圧値)の電位差を設けている。ただし、昇圧電源部115、124に仕様の違い等により、バランスよく直流が供給できる場合には、昇圧電源部115と昇圧電源部124との出力電圧を同じ値としてもよい。また、昇圧電源部115と昇圧電源部124は、同じ回路構成としてもよい。
【0038】
作業機10において、交流電源接続部12は、外部の交流電源である交流230V電源25に接続される。交流電源接続部12から入力された交流は、ノイズフィルタ26によりノイズが除去された上で、整流回路としてのダイオードブリッジ27及び平滑回路としてのコンデンサ28(電解コンデンサ)により整流、平滑されて直流となる。ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28は、変換部の例示である。
【0039】
作業機10において、直流電源接続部11は、外部の直流電源であるアダプタ100に接続される。以下、直流電源接続部11へのアダプタ100の接続(直流電源接続部11への直流325Vの入力)と、交流電源接続部12への交流230V電源25の接続(交流電源接続部12への交流230Vの入力)と、の双方が同時に行われることは無いものとして説明する。交流230V電源25と交流100V電源120が併存するケースはほとんど無いためである。
【0040】
12V電源回路29は、逆流防止用のダイオード33を介して入力される、ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28の出力電圧(直流325V)、又は、アダプタ100からの供給電圧(直流325V)を、直流12Vに変換する。5V電源回路30は、12V電源回路29の出力する直流12Vを5Vに変換し、モータ制御回路31に供給する。
【0041】
ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28の出力電圧(直流3V)、又は、アダプタ100からの供給電圧(直流325V)は、インバータ回路32により交流電圧に変換され、モータ17に印加される。インバータ回路32及びモータ17は、モータ部の例示である。インバータ回路32は、三相ブリッジ接続されたFET等のスイッチング素子を含む。モータ制御回路31は、インバータ回路32の駆動を制御、すなわちインバータ回路32の各スイッチング素子のオンオフを制御する。
【0042】
本実施形態は、下記の作用効果を奏する。
【0043】
(1) 作業機10は、外部の交流230V電源25に接続可能な交流電源接続部12と、アダプタ100に接続可能な直流電源接続部11と、を備え、交流電源接続部12から入力される交流230V、及びアダプタ100から入力される直流325Vのいずれによっても駆動可能である。アダプタ100は、交流100V電源120に接続されて動作する。このため、作業機10は、交流定格電圧が230Vでありながら、商用電源の電圧が交流100Vの場所(商用電源の電圧が交流230Vでない場所)でも好適に使用でき、利便性が高い。また、アダプタ100は、交流定格電圧が230Vである作業機10を、商用電源の電圧が交流100Vの場所(商用電源の電圧が交流230Vでない場所)でも使用可能にでき、作業機10の利便性を向上させることができる。
【0044】
(2) アダプタ100は、外部の交流100V電源120から供給される交流を直流に変換し、電池パック150から供給される直流と合成し、直流325Vとして作業機10に供給する。このため、電池パック150によりブースト電力を生成して補うことで、交流100V電源120からの供給電力だけでは難しい高出力、例えば2300Wの出力が可能となり、交流定格電圧が230Vである作業機10を好適に駆動できる。また、ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110の出力に現れる脈動による電力の谷間を電池パック150の電力により補完でき、モータ17の効率が高められる。
【0045】
(3) 作業機10の直流電源接続部11と交流電源接続部12は互いに形状が異なるため、アダプタ100の直流出力プラグ107を交流電源接続部12に接続したり、交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142を直流電源接続部11に接続したりする差し違えが防止され、利便性が高い。
【0046】
(4) 直流電源接続部11は、ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28の出力側とインバータ回路32の入力側との間に接続される(設けられる)。このため、アダプタ100の出力に対してノイズフィルタ26やダイオードブリッジ27による損失が発生せず、電力効率が高い。
【0047】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係るシステム2の回路ブロック図である。以下、実施形態1のシステム1との相違点を中心に説明する。
【0048】
システム2の作業機10Aは、システム1の作業機10から直流電源接続部11を無くしたものである。
【0049】
システム2のアダプタ100Aは、システム1のアダプタ100の直流出力プラグ107が直流出力プラグ107Aに替わったものである。直流出力プラグ107Aは、作業機10Aの交流電源接続部12に接続可能な形状、すなわち図3に示す交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142と同じ形状である。換言すれば、作業機10Aの交流電源接続部12は、ダイオードブリッジ27及びコンデンサ28の入力側に接続された(設けられた)直流電源接続部としても機能し、交流電源接続部12と直流電源接続部は共通である。
【0050】
本実施形態では、昇圧電源部115、124、ダイオード116、125、コンデンサ117が合成部を構成する。
【0051】
本実施形態によれば、アダプタ100Aの出力に対してノイズフィルタ26やダイオードブリッジ27による損失が発生するものの、作業機10Aに直流入力専用の接続部が不要であり、構成がシンプルになる。
【0052】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係るシステム3の回路ブロック図である。以下、実施形態1のシステム1との相違点を中心に説明する。
【0053】
システム3のアダプタ100Bは、システム1のアダプタ100の昇圧電源部124が昇圧電源部124Aに替わったものである。昇圧電源部124Aは、昇圧電源部124と同構成であるが、昇圧電源部124と比較して出力先がアダプタ出力端子118から昇圧電源部115の入力側に替わり、それに対応して昇圧率も替わっている。
【0054】
昇圧電源部124Aは、電池パック接続部104からの入力電圧(直流36V)を直流151Vに昇圧(変換)し、ダイオード125Aを介して昇圧電源部115の入力側に出力する。昇圧部としての昇圧電源部115は、ダイオードブリッジ109及びコンデンサ110の出力電圧(直流141V)と、昇圧電源部124Aの出力電圧(直流151V)と、を合成して得た直流電圧を直流325Vに昇圧(変換)し、アダプタ出力部118に出力する。
【0055】
本実施形態では、昇圧電源部115、124A、ダイオード125Aが合成部を構成する。
【0056】
本実施形態によれば、昇圧電源部124Aの昇圧倍率(36V→151V)が実施形態1の昇圧電源部124の昇圧倍率(36V→325V)と比較して小さいため、損失が小さくなり、また昇圧電源部124Aを小型化できる。具体的には、実施形態1と比較して昇圧トランス127の巻数比が半分程度でよく、昇圧トランス127のコアを半分程度に小さくできる。一方、昇圧電源部115は、実施形態1と比較して入出力電流が大きくなるため、損失が大きくなり、大型化する。実施形態1と実施形態3のいずれの回路構成を選択するかは、設計やレイアウト等の都合により適宜選択すればよい。
【0057】
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4に係るシステム4の回路ブロック図である。以下、実施形態3のシステム3との相違点を中心に説明する。システム4のアダプタ100Cは、システム3のアダプタ100Bの昇圧電源部115が、アダプタ100Bの昇圧電源部124Aと同構成の昇圧電源部115Aに替わったものである。本実施形態では、昇圧電源部115A、124A、ダイオード125Aが合成部を構成する。本実施形態も、実施形態3と同様の作用効果を奏する。
【0058】
(実施形態5)
図8は、本発明の実施形態5に係るシステム5の回路ブロック図である。以下、実施形態4のシステム4との相違点を中心に説明する。システム5のアダプタ100Dは、システム4のアダプタ100Cの昇圧電源部124Aが、図6の昇圧電源部115と同構成の昇圧電源部124Bに替わったものである。本実施形態では、昇圧電源部115Aが絶縁型のため、昇圧電源部124Bとして非絶縁型を採用している。本実施形態では、昇圧電源部115A、124B、ダイオード125Aが合成部を構成する。本実施形態も、実施形態4と同様の作用効果を奏する。
【0059】
(実施形態6)
図9は、本発明の実施形態6に係るシステム6の回路ブロック図である。以下、実施形態1のシステム1との相違点を中心に説明する。システム6の作業機10Bは、システム1の作業機10に遮断部としてのリレー34を追加したものである。リレー34は、直流電源接続部11とインバータ回路32との間の電流経路に設けられる。リレー34は、モータ制御回路31によってオンオフが制御される。リレー34は、交流電源接続部12に交流230V電源25が接続され、かつ、直流電源接続部11にアダプタ100が接続されたときにオフとなり、直流電源接続部11とインバータ回路32との間を遮断する。本実施形態では、昇圧電源部115、124、ダイオード116、125、コンデンサ117が合成部を構成する。本実施形態によれば、交流電源接続部12に交流230V電源25が接続され、かつ、直流電源接続部11にアダプタ100が接続された場合の不具合の発生を抑制できる。
【0060】
(実施形態7)
図10(A)は、本発明の実施形態7に係る作業機10Cの後部拡大図である。図10(B)は、作業機10Cの電源接続部130を示す背面図である。以下、実施形態1の作業機10との相違点を中心に説明する。作業機10Cは、作業機10の直流電源接続部11及び交流電源接続部12を1箇所にまとめて電源接続部130としたものである。換言すると、作業機10Cは、直流電源接続部11及び交流電源接続部12が共通の電源接続部130に配置される
【0061】
電源接続部130の電源接続凹部131は、ハウジング16の後端部に設けられて後方に臨む。電源接続部130は、図3に示すアダプタ100の直流出力プラグ107と、交流230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142と、を択一的に接続可能である。すなわち、電源接続部130は、直流出力プラグ107と作業機側プラグ142の一方が接続されているとき、直流出力プラグ107と作業機側プラグ142の他方を接続できないよう構成される。
【0062】
電源接続部130は、直流電源接続端子21A、交流電源接続端子23A、電源接続凹部131を有する。電源接続凹部131は、後方に開放し、内部に直流電源接続端子21A及び交流電源接続端子23Aが配置される。2つの直流電源接続端子21Aは左右に並んで配置される。2つの交流電源接続端子23Aは上下に並んで配置され、いずれも左右方向において2つの直流電源接続端子21Aの間に配置される。電源接続凹部131は、図1(C)に示す直流電源接続凹部22を90度回転させて横長にして、図1(C)に示す交流電源接続凹部24と組み合わせた形状である。電源接続凹部131は、図10(B)に示す姿勢において、図3に示すアダプタ100の直流出力プラグ107が横長の姿勢で嵌まる形状であり、かつ、図3に示す230V電源ケーブル140の作業機側プラグ142が縦長の姿勢で嵌まる形状である。直流電源接続端子21A及び交流電源接続端子23Aは、それぞれ電源接続凹部131内で後方に突出する。
【0063】
本実施形態によれば、電源接続部130は、直流出力プラグ107及び作業機側プラグ142の各々が接続されたときの配置領域が互いに重複するように形成されているため、電源接続部130に直流出力プラグ107と作業機側プラグ142の一方が接続されているとき、電源接続部130に直流出力プラグ107と作業機側プラグ142の他方はプラグ同士の干渉によって接続できない。このため、電源接続部130に直流出力プラグ107と作業機側プラグ142の双方が接続されること、すなわち作業機10の交流230Vと直流325Vが同時に入力されることを抑制できる。
【0064】
以上、実施形態を例に本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されない。実施形態で具体的に説明した各事項には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【0065】
実施形態で具体的な数値として例示した電圧や電力等は、発明の範囲を何ら限定するものではなく、要求される仕様に合わせて任意に変更できる。モータ17は、ブラシ付きモータであってもよい。本発明の作業機は、グラインダ以外にも、作動部としてのドリルビットを有するドリルなどの電動工具や、作動部としての圧縮機構を有するエアコンプレッサ、作動部としてのファンを有する送風機等、モータ部の駆動力を受けて作動する任意の作動部を有する任意の作業機であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1~6…システム、10、10A~10C…作業機、11…直流電源接続部、12…交流電源接続部、13~14…配線、15…基板、16…ハウジング、17…モータ、18…ギヤケース、19…回転伝達機構、20…砥石(作動部)、21、21A…直流電源接続端子、22…直流電源接続凹部、23、23A…交流電源接続端子、24…交流電源接続凹部、25…交流230V電源、26…ノイズフィルタ、27…ダイオードブリッジ(整流回路)、28…コンデンサ(平滑回路)、29…12V電源回路、30…5V電源回路、31…モータ制御回路、32…インバータ回路、33…ダイオード、34…リレー、100、100A~100D…アダプタ、101…交流100V電源ケーブル、102…ハウジング、103…基板、104…電池パック接続部、105…直流出力ケーブル、106…プラグ、107、107A…直流出力プラグ、108…ノイズフィルタ、109…ダイオードブリッジ(整流回路)、110…コンデンサ(平滑回路)、111…12V電源回路、112…5V電源回路、113…ダイオード、114…昇圧制御回路、115、115A…昇圧電源部、116…ダイオード、117…コンデンサ、118…アダプタ出力部、119…交流入力部(第1接続部)、120…交流100V電源、121…昇圧制御回路、122…リレー、123…コンデンサ、124、124A~124B…昇圧電源部、125…ダイオード、126…MOSFET駆動回路、127…昇圧トランス、130…電源接続部、131…電源接続凹部、140…交流230V電源ケーブル、141…コンセント側プラグ、142…作業機側プラグ、150…電池パック。
図1
図2
図3
図4
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図10