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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127584
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/04 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01H9/04 E
H01H9/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036830
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢朗
【テーマコード(参考)】
5G052
【Fターム(参考)】
5G052AA06
5G052BB01
5G052HA02
(57)【要約】
【課題】防水性が高く、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況であっても、水滴が本体ケース内の各種基板等に到達するようなことのないインターホン機器を提供する。
【解決手段】本体ケースの前面に、操作部材10の操作突起を貫通させるための操作孔12を設けたものにおいて、操作孔12よりも下方に、本体ケース内に連通する引き込み口13、13を設けるとともに、本体ケースの底面に、引き込み口13、13を介して本体ケース内へ引き込んだ水を本体ケース外へ排出するための排水口15、15を設けている。そのため、従来のように操作孔12から浸入した水滴のみを排水するようにしていた排水構造と比較すると、本体ケースの前面側にある水を積極的に本体ケースの下方へ排水することができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面に、後方へ押し込み操作可能な操作部が設けられたインターホン機器であって、
前記本体ケースの前面に、前記操作部を構成する操作孔が設けられ、前記操作孔よりも下方に、前記本体ケース内に連通する引き込み口が設けられているとともに、
前記本体ケースの底面に、前記引き込み口を介して前記本体ケース内へ引き込んだ水を前記本体ケース外へ排出するための排水口が設けられていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記引き込み口及び前記排水口が左右方向へ長い孔として形成されているとともに、
前記引き込み口と前記排水口とが、左右方向について正面視で少なくとも一部重なっていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば住戸の玄関に設置されるインターホン子機等のインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターホン機器としては、本体ケースの前面に開設された操作窓から本体ケース内へ浸入した水滴を、本体ケースの底板に開設された排水口から本体ケース外へ排水するための排水構造を設けてなるものがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-192215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排水構造では、たとえば本体ケースの前面と本体ケースの前面を覆う化粧カバーとの隙間に多くの水が入り込む等して、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況になると、本体ケース内へ浸入した水を十分に排水することができず、本体ケース内において水滴が各種基板に到達してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、防水性が高く、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況であっても、水滴が本体ケース内の各種基板等に到達するようなことのないインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面に、後方へ押し込み操作可能な操作部が設けられたインターホン機器であって、本体ケースの前面に、操作部を構成する操作孔が設けられ、操作孔よりも下方に、本体ケース内に連通する引き込み口が設けられているとともに、本体ケースの底面に、引き込み口を介して本体ケース内へ引き込んだ水を本体ケース外へ排出するための排水口が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、本体ケースの前面に、操作部を構成する操作孔を設けたものにおいて、操作孔よりも下方に、本体ケース内に連通する引き込み口を設けるとともに、本体ケースの底面に、引き込み口を介して本体ケース内へ引き込んだ水を本体ケース外へ排出するための排水口を設けている。そのため、従来のように操作孔から浸入した水滴のみを排水するようにしていた排水構造と比較すると、本体ケースの前面側にある水を積極的に本体ケースの下方へ排水することができる。したがって、防水性が高く、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況であっても、水滴が本体ケース内の各種基板に到達するようなことのないインターホン機器とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、引き込み口及び排水口が左右方向へ長い孔として形成されているとともに、引き込み口と排水口とが、左右方向について正面視で少なくとも一部重なっていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、引き込み口及び排水口を左右方向へ長い孔として形成するとともに、引き込み口と排水口とを、左右方向について正面視で少なくとも一部重なるように設けているため、引き込み口を介して本体ケース内へ引き込んだ水をスムーズに排水口から排水することができ、本体ケースの前面側にある水を一層効率良く本体ケースの下方へ排水可能なインターホン機器とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体ケースの前面に、操作部を構成する操作孔を設けたものにおいて、操作孔よりも下方に、本体ケース内に連通する引き込み口を設けるとともに、本体ケースの底面に、引き込み口を介して本体ケース内へ引き込んだ水を本体ケース外へ排出するための排水口を設けている。そのため、従来のように操作孔から浸入した水滴のみを排水するようにしていた排水構造と比較すると、本体ケースの前面側にある水を積極的に本体ケースの下方へ排水することができる。したがって、防水性が高く、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況であっても、水滴が本体ケース内の各種基板に到達するようなことのないインターホン機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インターホン子機を正面から示した説明図である。
図2】インターホン子機を底面から示した説明図である。
図3】化粧カバーが取り外されたインターホン子機を正面から示した説明図である。
図4】操作部材が取り外されたインターホン子機を正面から示した説明図である。
図5】前ケースを前面側から示した斜視説明図である。
図6】前ケースを後面側から示した斜視説明図である。
図7図4中のA-A線断面を示した説明図である。
図8図7における排水構造部分を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン子機1を正面から示した説明図である。図2は、インターホン子機1を底面から示した説明図である。図3は、化粧カバー4が取り外されたインターホン子機1を正面から示した説明図である。図4は、操作部材10が取り外されたインターホン子機1を正面から示した説明図である。図5は、前ケース2を前面側から示した斜視説明図である。図6は、前ケース2を後面側から示した斜視説明図である。図7は、図4中のA-A線断面を示した説明図である。図8は、図7における排水構造部分を拡大して示した説明図である。
【0012】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2及び後側に配置される後ケース3を組み付けた本体ケースと、その本体ケースを前方から覆うように組み付けられた化粧カバー4とを有してなる。前ケース2は、後面に開口する略方体箱状に成形されている一方、後ケース3は、前ケース2の後面開口内に嵌め込んだ状態でネジ止め可能な略板状に成形されている。また、インターホン子機1の前面上部には、インターホン子機1の前方を撮像するためのカメラ部5が設けられている。さらに、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の右側には、通話のためのマイク部6が設けられている。加えて、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の下側には、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン8が設けられている。該呼出ボタン8は、通話のためのスピーカ部としての機能や夜間照明としての機能をも兼ね備えている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン8が操作されると、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラ部5を作動させて来訪者等を含んだインターホン子機1前方の映像を撮像する。また、インターホン親機において応答ボタンが操作される等の応答操作がなされると、マイク部6及びスピーカ部を作動させ、インターホン親機との間で通話可能な状態とする。
【0013】
ここで、本発明の要部となる排水構造について説明する。
前ケース2の前板2Aの前面下部には、呼出ボタン8を構成する操作部材10を取り付けるための操作取付部11が設けられている。操作取付部11は、後方へ凹んだ凹部として形成されている。また、操作取付部11の下部で、左右方向での略中央となる位置には、操作部材10から後方へ突出する操作突起(図示せず)が貫通する操作孔12が開設されている。この操作突起は、操作部材10の押し込み操作に伴って、本体ケース内に設置されたスイッチ(図示せず)をON/OFF操作するものである。さらに、操作取付部11における操作孔12よりも更に下方、すなわち前板2Aの底部には、本体ケースの前面(操作取付部11内)を流れる水滴を、前板2Aの後側、すなわち本体ケース内へ一旦引き込むための引き込み口13、13が開設されている。引き込み口13は、操作孔12の左側と右側とに夫々1つずつ設けられており、左右方向へ長い角孔状に成形されている。
【0014】
加えて、前ケース2の下端は後方へ折り曲げられて下板2Bが形成されており、下板2Bには、引き込み口13、13から本体ケース内へ引き込んだ水滴を本体ケース外(本体ケースよりも下方)へ排水するための排水用切り欠き14、14が設けられている。各排水用切り欠き14は、下板2Bの後端縁から前方へ切り欠かれて形成され、前後方向での深さよりも左右方向での幅が広い切り欠きとされている。そして、左側の引き込み口13と左側の排水用切り欠き14とは、左右方向について正面視で一部重なっている。一方、右側の引き込み口13と右側の排水用切り欠き14とについても、左右方向について正面視で一部重なっている。
【0015】
また、前板2Aの後面には、操作孔12の周縁から後方へ突出する第2防水リブ16が設けられている。該第2防水リブ16は、操作孔12の周縁のうち上半分に沿って延びている。さらに、前板2Aの後面における各引き込み口13の周縁には、後方へ突出する第1防水リブ17が夫々設けられている。第1防水リブ17は、引き込み口13の左右両側縁及び上縁に沿っており、引き込み口13から本体ケース内へ引き込んだ水滴の移動を、引き込み口13よりも後側及び下側へのみ許容するようになっている。
【0016】
そして、前ケース2の後面開口内に嵌め込むようにして後ケース3を組み付けると、図2に示すように本体ケース内外を連通させる排水口15、15が排水用切り欠き14、14内に形成されるようになっている。したがって、引き込み口13、13から一旦本体ケース内へ水を引き込んだ後、前ケース2の前板2Aの後面底部、及び前ケース2の下板2B上を伝わせて排水口15、15から本体ケース外へ排出するという排水路が形成される。なお、上記排水路を設けたことにより操作孔12から本体ケース内への水滴の浸入は防止されるが、仮に操作孔12から本体ケース内へ水滴が浸入したとしても、当該水滴は、前ケース2の前板2Aの後面底部、及び前ケース2の下板2B上を伝った後、排水口15、15から本体ケース外へ排出されることになる。また、排水口15についても、当然ながら左右方向へ長い孔となる。
【0017】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、本体ケースの前面に、操作部材10の操作突起を貫通させるための操作孔12を設けたものにおいて、操作孔12よりも下方に、本体ケース内に連通する引き込み口13、13を設けるとともに、本体ケースの底面に、引き込み口13、13を介して本体ケース内へ引き込んだ水を本体ケース外へ排出するための排水口15、15を設けている。そのため、従来のように操作孔12から浸入した水滴のみを排水するようにしていた排水構造と比較すると、本体ケースの前面側にある水を積極的に本体ケースの下方へ排水することができる。したがって、防水性が高く、本体ケースの前面側に多くの水が存在する状況であっても、水滴が本体ケース内の各種基板に到達するようなことのないインターホン子機1とすることができる。
【0018】
また、引き込み口13及び排水口15を左右方向へ長い孔として形成するとともに、左側の引き込み口13と排水口15との位置関係、及び右側の引き込み口13と排水口15との位置関係に係り、引き込み口13と排水口15とが左右方向について正面視で少なくとも一部重なるように設けているため、引き込み口13を介して本体ケース内へ引き込んだ水をスムーズに排水口15から排水することができ、本体ケースの前面側にある水を一層効率良く本体ケースの下方へ排水可能なインターホン子機1とすることができる。
【0019】
さらに、前板2Aの後面における各引き込み口13の周縁に、後方へ突出する第1防水リブ17を夫々設け、各第1防水リブ17を、引き込み口13の左右両側縁及び上縁に沿うものとしている。そして、引き込み口13から本体ケース内へ引き込んだ水滴の移動を、引き込み口13よりも後側及び下側へのみ許容するようにしている。したがって、引き込み口13、13から引き込んだ水が不用意に本体ケース内に拡がってしまうという事態を防止することができ、極めて防水性の高いインターホン子機1とすることができる。
【0020】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、本体ケースの底部における排水構造に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
たとえば、上記実施形態では、本体ケースの前面に操作部を構成する操作部材が取り付けられているため、操作孔は、操作部材から後方へ突出する操作突起を貫通させるための構成要素として形成されているが、操作部の構成としては、本体ケース内に操作部材を取り付け、該操作部材の一部を本体ケースの前面に露出若しくは本体ケースよりも前方へ突出させるという従来周知の構成であってもよく、その場合には、操作孔は、操作部材の一部を露出させたり前方へ突出させたりするための構成要素として形成されることになる。
また、引き込み口及び排水口の数や形状については言うまでもなく設計変更可能であるし、前ケースや後ケースの具体的構造等についても適宜設計変更可能である。
さらに、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、本発明は、本体ケースの前面に後方へ押し込み操作可能な操作部が設けられてさえいれば、インターホン親機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、2A・・前板、2B・・下板、3・・後ケース(本体ケース)、8・・呼出ボタン(操作部)、10・・操作部材、12・・操作孔、13・・引き込み口、14・・排水用切り欠き、15・・排水口、17・・第1防水リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8