(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127595
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両の制御方法及び車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 29/02 20060101AFI20240912BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20240912BHJP
F02D 17/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F02D29/02 321A
F02D45/00 345
F02D45/00 362
F02D45/00 360Z
F02D17/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036845
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 拓也
【テーマコード(参考)】
3G092
3G093
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AC03
3G092EA14
3G092FA30
3G092FB02
3G092GA04
3G092GB10
3G092HF21
3G093AA01
3G093BA11
3G093BA22
3G093CA04
3G093CB14
3G093DB03
3G093DB06
3G384AA29
3G384BA47
3G384CA05
3G384CB09
3G384DA46
3G384EB10
3G384ED11
3G384FA79
(57)【要約】
【課題】停車状態でないにもかかわらずエンジン自動停止を防止することを目的とする。
【解決手段】
エンジン20の駆動力を利用して走行する車両1に搭載され、車両1の制御を行う車両1の制御装置10に適用される。車両1の制御装置10は、車速を検出する車速検出部21と、車速検出部21が停車状態であることを検出した場合に、検出から所定時間経過後にエンジン自動停止を行うエンジン自動停止部140と、を備え、車速検出部21が故障であると検出した場合は、エンジン自動停止部140によるエンジン自動停止を禁止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの駆動力を利用して走行する車両に搭載され、前記車両の制御を行う車両の制御方法であって、
車速を検出する車速検出部と、
前記車速検出部の検出結果により前記車両が停車状態であることを判定した場合に、前記判定から所定時間が経過した後にエンジン自動停止を行うエンジン自動停止部と、
を備え、
前記車速検出部の故障を検出した場合は、前記エンジン自動停止部による前記エンジン自動停止を禁止する、
車両の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
運転者に対して報知を行う報知部を備え、
前記エンジン自動停止を禁止する場合は、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う、
車両の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
前記車両が駐車状態であることを検出する駐車状態検出部を備え、
前記車両が停車状態の後駐車状態となった場合に、当該検出から前記所定時間が経過した後に前記エンジン自動停止を行い、
前記車速検出部の故障を検出した場合は、前記車両が駐車状態であるか否かにかかわらず、前記エンジン自動停止部による前記エンジン自動停止を禁止する、
車両の制御方法。
【請求項4】
請求項2に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止を行う前記所定時間よりも前に、前記エンジン自動停止を行う旨を報知し、
前記車速検出部の故障を検出した場合は、前記エンジン自動停止を行う旨の報知に代えて前記エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う、
車両の制御方法。
【請求項5】
請求項2に記載の車両の制御方法であって、
前記車両の運転者側ドアの開閉を検出するドア開閉検出部を備え、
前記エンジン自動停止が禁止された場合は、前記運転者側ドアが開かれたことを検出したときに、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う、
車両の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止が禁止された場合は、前記運転者側ドアが開かれる前とドアが開かれる後とで、報知態様が変更される、
車両の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止が禁止された場合は、前記運転者側ドアが開かれる前の前記報知態様の報知レベルよりも、前記運転者側ドアが開かれた後の前記報知態様の報知レベルを高くする、
車両の制御方法。
【請求項8】
請求項2に記載の車両の制御方法であって、
前記報知部は、前記車両の運転席に備えられる表示装置として構成され、
前記表示装置に、前記エンジン自動停止を行う旨の報知、及び/又は、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知を表示する、
車両の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止を行う旨の報知態様の報知レベルよりも、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知態様の報知レベルを高くする、
車両の制御方法。
【請求項10】
請求項8に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止を行わない旨の文章を表示する、
車両の制御方法。
【請求項11】
請求項2に記載の車両の制御方法であって、
前記エンジン自動停止を行う場合は、前記エンジン自動停止を行う前記所定時間よりも前に、前記報知部に、前記エンジン自動停止を行う旨を報知し、
その後、前記車速検出部の故障を検出した場合は、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う、
車両の制御方法。
【請求項12】
請求項1に記載の車両の制御方法であって、
前記車速検出部は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサと、変速機内のギアの回転を検出するギア回転センサとを含み、
前記車輪速センサ及び前記ギア回転センサのいずれもが故障したことを検出した場合に、前記エンジン自動停止を禁止する、
車両の制御方法。
【請求項13】
エンジンの駆動力を利用して走行する車両に搭載され、前記車両の制御を行う車両の制御装置であって、
車速を検出する車速検出部と、
前記車速検出部の検出結果により前記車両が停車状態であることを判定した場合に、前記判定から所定時間が経過した後にエンジン自動停止を行うエンジン自動停止部と、
を備え、
前記エンジン自動停止部は、前記車速検出部の故障を検出した場合は、前記エンジン自動停止を禁止する、
車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御方法及び車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンにより駆動される車両において、停車状態で一定時間以上アイドル運転状態にある場合に、事前にエンジン停止警報を発してからエンジンを停止させるエンジンのアイドル運転停止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に記載のものは、車速を検出する車速センサにより停止状態であることを判断する。このため、車速センサが故障した場合、停車状態を正しく判断できないことにより、停車状態でないにもかかわらずエンジンを自動停止させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、停車状態でないにもかかわらずエンジンが自動停止することを防止できる車両の制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のある態様は、エンジンの駆動力を利用して走行する車両に搭載され、車両の制御を行う車両の制御装置に適用される。この車両の制御装置は、車速を検出する車速検出部と、車速検出部が停車状態であることを検出した場合に、検出から所定時間経過後にエンジン自動停止を行うエンジン自動停止部と、を備える。車速検出部が故障であると検出した場合は、エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を禁止する。
【0007】
本発明によれば、車速を検出する車速検出部が故障した場合にはエンジン自動停止を禁止するので、停車状態でないにもかかわらずエンジンが自動停止することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の車両の制御装置の構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、制御装置が行う処理のフローチャートである。
【
図3】
図3は、制御装置が行う処理のタイムチャートである。
【
図4】
図4は、制御装置が行う処理のタイムチャートである。
【
図5A】
図5Aは、報知部における報知の一例の説明図である。
【
図5B】
図5Bは、報知部における報知の一例の説明図である。
【
図5C】
図5Cは、報知部における報知の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る車両1の制御装置10の説明図である。
【0011】
制御装置10は、車両1に搭載され、車両1を駆動するエンジン20の動作を制御する。エンジン20は、図示しない減速機又は変速機を介して車輪を回転させることにより、車両1を駆動する。後述するように、制御装置10は、エンジン20を自動停止させるエンジン自動停止を実行する。
【0012】
なお、車両1は、エンジン20の回転により車輪を駆動させる構成に限られず、エンジン20の回転により発電機を駆動して、発電機が発電した電力によりモータを駆動して走行するように構成されていてもよい。
【0013】
制御装置10は、インターフェース部110、車両状態検出部120、タイマー部130及びエンジン自動停止部140を備える。制御装置10は、図示しないコントローラを備えている。コントローラは予めプログラムを記憶しており、コントローラがプログラムを実行することによって、制御装置10が有する各部の構成及び
図2に示す制御が実現される。
【0014】
インターフェース部110は、車両1に備えられる各種センサやスイッチ等から送られる信号を受信する。受信した信号は、車両状態検出部120に送信される。また、インターフェース部110は、後述するように、エンジン20に信号を送信して、エンジン20の自動停止を実行する。また、インターフェース部110は、報知部24に、エンジン自動停止を実行する旨の報知、及び、エンジン自動停止を禁止する旨の報知を行わせる。
【0015】
インターフェース部110は、車速センサ21、アクセルペダルセンサ22、ブレーキペダルセンサ23、シフトポジションセンサ25、サイドブレーキセンサ26、運転席側ドアセンサ27及び運転席着座センサ28からの信号を受信する。
【0016】
車速センサ21は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ211と変速機のギアの回転を検出するギア回転センサ212とを備える。
【0017】
アクセルペダルセンサ22は、運転者により操作されたアクセルペダルのON/OFF及びアクセル開度(アクセルペダル踏み込み量)を検出する。
【0018】
ブレーキペダルセンサ23は、運転者により操作されたブレーキペダルのON/OFF及びブレーキペダル踏み込み量を検出する。
【0019】
シフトポジションセンサ25は、運転者により操作されたシフトレバーのシフトポジションを検出する。
【0020】
サイドブレーキセンサ26は、運転者により操作されたサイドブレーキのON/OFF及びブレーキ踏み込み量を検出する。
【0021】
運転席側ドアセンサ27は、運転者により操作された運転席側ドアの開閉を検出する。
【0022】
運転席着座センサ28は、運転席の運転者の着座状態、すなわち、運転者が着座している(ON)か、着座していない(OFF)か、を検出する。
【0023】
報知部24は、映像を表示するディスプレイ等からなる表示装置241と、音声を発するスピーカ242とを備える。
【0024】
インターフェース部110が受信した各種センサからの信号は、車両状態検出部120に送られる。車両状態検出部120は、インターフェース部110から送られた各種センサの信号に基づいて、車両1の状態、すなわち、車両1が停車状態であるか駐車状態であるかを検出する。
【0025】
車両1が停車状態であることは、車速センサ21からの信号に基づいて検出される。車両状態検出部120は、車速センサ21の車輪速センサ211及びギア回転センサ212からの信号に基づいて、車速が0[km/h]である状態がある一定の時間(例えば30秒)以上経過したときに、車両1が停車状態であることを検出する。
【0026】
車両1が駐車状態であることは、シフトポジションセンサ25からの信号に基づいて検出される。車両状態検出部120は、シフトポジションセンサ25からの信号に基づいて、シフトレバーがパーキング状態であることをある一定の時間(例えば5分)以上経過したときに、車両1が駐車状態であることを検出する。これにより駐車状態検出部が構成される。なお、シフトポジションセンサ25からの信号に代えて、サイドブレーキセンサ26からの信号に基づいて、サイドブレーキがONの状態であることをある一定の時間(例えば5分)以上経過したときに、車両1が駐車状態であることを検出してもよい。
【0027】
車両状態検出部120は、車両1が停車状態であることを検出したとき、及び、車両1が駐車状態であることを検出したとき、その旨を示す信号をエンジン自動停止部140に送る。
【0028】
エンジン自動停止部140は、エンジン自動停止を実行する。エンジン自動停止とは、車両状態検出部120により、車両1が駐車状態となったことが所定時間(例えば30分)以上継続して検出されたとき、運転者の操作によらず、エンジン20を自動的に停止させる処理である。
【0029】
エンジン自動停止部140は、エンジン自動停止を実行するときに、報知部24により、運転者に対してエンジン自動停止が実行されることの予告を報知する。エンジン自動停止部140は、報知部24の表示装置241に、所定時間の経過後にエンジン自動停止が実行される旨の予告を、文章又は画像により表示させる。このとき、報知部24のスピーカ242を介してアラーム音を発してもよい。また、エンジン自動停止が実行される直前(例えば5分前)にも、エンジン自動停止がまもなく実行される旨の予告を報知する。
【0030】
このように、制御装置10がエンジン自動停止を実行することにより、車両1が長時間駐車状態となることによるエンジン20の燃料消費量の増加及びエミッションの増加が抑制される。
【0031】
次に、このように構成された車両1の制御装置10において、車速センサ21の故障が発生した場合について説明する。
【0032】
車両状態検出部120は、車速センサ21(車輪速センサ211及びギア回転センサ212)からの信号を取得し、これらセンサが故障であるか否かの検出を常に行っている。
【0033】
車両状態検出部120は、車輪速センサ211又はギア回転センサ212からの信号が正常でないことを検出した場合に、車輪速センサ211又はギア回転センサ212が故障であることを検出する。なお、車輪速センサ211又はギア回転センサ212のセンサ自体の故障や信号線の断線や短絡等を原因として、信号が規定の範囲(例えば0~300[km/h])外である状態が一定時間(例えば1分)以上継続している場合に故障が検出される。
【0034】
車両状態検出部120は、車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれか一方が故障であることを検出した場合は、故障を検出していない他方のセンサからの信号に基づいて、車速を検出することができる。
【0035】
一方で、車両状態検出部120が車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれもが故障であることを検出した場合は、車両状態検出部120は、車両1の車速を検出することができなくなり、停車状態か否かを検出することができなくなる。このような状態では、エンジン自動停止が実行されることは好ましくない。
【0036】
そこで、エンジン自動停止部140は、車両状態検出部120が車速を検出できず、停車状態か否かを検出することができないと判定した場合は、エンジン自動停止が実行されないように、エンジン自動停止を禁止する。
【0037】
エンジン自動停止部140がエンジン自動停止を禁止し、運転者がこれに気付かない場合には、運転者は、通常通りエンジン自動停止が実行されると思い込み、車両1から離れてしまうおそれがある。この場合は、エンジン自動停止が実行されないことでエンジン20の運転が継続され、燃料消費量が増加したりエミッションが増加したりするという問題が発生する。
【0038】
そこで、本実施形態では、次のような構成により、燃料消費量が増加する問題及びエミッションが増加することを抑制する。
【0039】
図2は、本実施形態の制御装置10により実行されるエンジン自動停止の処理のフローチャートである。このフローチャートは、制御装置10において、所定の間隔で実行される。
【0040】
まず、ステップS10では、車両状態検出部120は、車速センサ21が故障であるか否かを判定する。車速センサ21が故障であるか否かの判定は、前述のように、車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれもが故障であることを検出したか否かにより判定される。
【0041】
車速センサ21が故障でないと判定された場合はステップS20に移る。車速センサ21が故障であると判定された場合はステップS150に移る。
【0042】
ステップS20では、車両状態検出部120は、車両1が停車状態か否かを判定する。車両1が停車状態か否かの判定は、前述のように、車速センサ21からの信号により検出される。車両1が停車状態であると判定された場合はステップS30に移る。車両1が停車状態でないと判定された場合はステップS80に移る。
【0043】
ステップS30では、車両状態検出部120は、車両1が駐車状態か否かを判定する。車両1が駐車状態か否かの判定は、前述のように、シフトポジションセンサ25からの信号により検出される。車両1が駐車状態であると判定された場合はステップS40に移る。車両1が停車状態でないと判定された場合はステップS80に移る。
【0044】
ステップS40では、車両状態検出部120は、走行操作系デバイスが操作されたか否かを判定する。走行操作系デバイスにはアクセルペダル及びブレーキペダルが含まれる。運転者が走行操作系デバイスを操作した場合は、運転者が車両1を走行させようとする意図があると推定されるので、駐車状態が中断されたと判定する。
【0045】
車両状態検出部120は、走行操作系デバイスが操作されたことをアクセルペダルセンサ22からの信号及びブレーキペダルセンサ23からの信号に基づき判定する。走行操作系デバイスが操作されていない場合は、車両1の駐車状態が継続されていると判定して、ステップS50に移る。走行操作系デバイスが操作された場合は、車両1の駐車状態が中断されたと判定して、ステップS80に移る。
【0046】
ステップS50では、エンジン自動停止部140は、ステップS10からステップS40の結果に基づき車両1が駐車状態であると判定して、エンジン自動停止を実行することを決定する。
【0047】
次に、ステップS60では、エンジン自動停止部140は、報知部24に、所定時間(30分)経過後にエンジン自動停止が実行される旨の予告の報知を行わせる。
【0048】
次に、ステップS70では、エンジン自動停止部140は、タイマー部130に設定されているタイマー値をカウントアップする。タイマー値とは、所定時間が満了したか否かを判定するために用いる値であり、初期値がゼロに設定され、1秒ごとにカウントアップされる。
【0049】
次に、ステップS90では、エンジン自動停止部140は、現在のタイマー値が所定時間を満了したか否かを判定する。タイマー値が所定時間に満たない場合は、ステップS10に戻る。タイマー値が所定時間を満了した場合は、ステップS100に移る。
【0050】
ステップS100では、エンジン自動停止部140は、エンジン自動停止処理を実行する。具体的には、エンジン自動停止部140は、まず、エンジン自動停止に先立って、エンジン自動停止がまもなく実行される旨の予告の報知を報知部24に行わせる。その後、エンジン20に対してエンジン停止の信号を送信して、エンジン20を停止させる。
【0051】
次に、ステップS110では、エンジン自動停止部140は、車両1のシステム停止を実行する。これにより車両1はシステム停止状態(パワーオフ)となる。その後、本フローチャートの処理を終了し、他の処理に戻る。
【0052】
ステップS20で車両1が停車状態でないと判定された場合、ステップS30で車両1が停車状態でないと判定された場合、及び、走行操作系デバイスが操作されて駐車状態が中断された場合は、ステップS80に移る。ステップS80では、タイマー値をゼロに初期化して、ステップS90に移る。
【0053】
ステップS10で車速センサ21が故障であると判定された場合は、ステップS150に移る。ステップS150では、エンジン自動停止部140は、エンジン自動停止の禁止を決定する。そしてステップS160に移行し、エンジン自動停止部140は、報知部24に、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知を行う。その後、本フローチャートの処理を終了し、他の処理に戻る。
【0054】
このように、制御装置10が
図2に示すフローチャートの処理を実行することによって、車両1が停車状態となった後に駐車状態となり、かつ走行系デバイスが操作されていない状態である場合に、エンジン自動停止の実行が決定される。一方で、車速センサ21の故障が検出された場合は、エンジン自動停止を禁止する。
【0055】
図3は、本実施形態の制御装置10により実行されるエンジン自動停止の処理のタイムチャートである。
【0056】
図3において、車速センサ21により検出された車速、シフトポジションセンサ25により検出されたシフトポジション、アクセルペダルセンサ22により検出されたアクセル開度、ブレーキペダルセンサ23により検出されたブレーキ踏込量、サイドブレーキセンサ26により検出されたサイドブレーキの状態、がそれぞれ時間軸により示されている。
【0057】
さらに、制御装置10において検出される、停車状態であるか駐車状態であるか、タイマー値、エンジン自動停止の報知及びエンジン自動停止の実行のタイミングが、それぞれ時間軸により示されている。
【0058】
制御装置10は、タイミングT1において、車速センサ21により検出された車速により、車両1が停車状態となったことを判定する。
【0059】
さらに、制御装置10は、タイミングT2において、シフトポジションセンサ25により検出されたシフトポジションにより、車両1が停車状態となった後に駐車状態となったことを判定する。
【0060】
制御装置10は、車両1が停車状態となった後に駐車状態となったと判定した場合は、報知部24に対して、所定時間経過した後にエンジン自動停止が実行される旨の予告の報知を行う。このとき、タイマー値のカウントアップが開始される。
【0061】
図5Aは、報知部24の表示装置241に表示される、エンジン自動停止が実行される旨の予告の報知の一例の説明図である。
図5Aに示すように、制御装置10は、報知部24に対して所定時間経過後にエンジン自動停止が実行される旨の文章を表示する。このとき同時に、スピーカ242からアラームや音声を発するようにしてもよい。
【0062】
その後、タイミングT3において、制御装置10は、タイマー値が満了(30分)となる直前(例えば5分前)に、報知部24に対して、エンジン自動停止がまもなく実行される旨の予告の報知を行う。
【0063】
そして、タイミングT4において、タイマー値が満了して所定時間が経過した場合に、制御装置10は、エンジン自動停止を実行する。
【0064】
図4は、本実施形態の制御装置10により実行されるエンジン自動停止の処理のタイムチャートであって、車速センサ21の故障が検出された場合のタイムチャートである。
【0065】
図4において、車速センサ21により検出された車速、制御装置10において検出される、車速センサ21が故障であるか否か、エンジン自動停止の禁止状態、運転席着座センサ28により検出された運転席の着座状態、運転席側ドアセンサ27により検出された運転席側ドアの開閉状態及びエンジン自動停止の報知のタイミングが、それぞれ時間時により示されている。
【0066】
制御装置10は、タイミングT11において、車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれもが故障となり、車速センサ21の故障が検出された場合は、エンジン自動停止の禁止を決定する。そして、制御装置10は、報知部24に、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知を行わせる。このときの報知を「第1の報知態様」と呼ぶ。
【0067】
図5Bは、報知部24の表示装置241に表示される、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知の一例の説明図であり、第1の報知態様を示す説明図である。
【0068】
図5Bに示すように、制御装置10は、報知部24に対して、エンジン自動停止が禁止され、エンジン自動停止が行われない旨の文章を表示する。この文章は、
図5Aに示すエンジン自動停止が実行される旨の予告の報知よりも、文字の大きさや色を視覚的に目立つように設定する。このとき同時に、車速センサ21の故障を示すランプの表示や、スピーカ242からアラームや音声を発するようにしてもよい。
【0069】
その後、制御装置10は、タイミングT12において、運転席側ドアが開状態となったことを検出したとき、報知部24に、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知をさらに行わせる。このとき、ドアが開かれる前の第1の報知態様とは報知態様が異なる報知を行わせる。この報知を「第2の報知態様」と呼ぶ。なお、運転席側ドアが開状態となったことの検出とあわせて、運転席着座センサ28が運転者は着座していないことを検出してもよい。
【0070】
図5Cは、報知部24の表示装置241に表示される、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知の一例の説明図であり、第2の報知態様を示す説明図である。
【0071】
図5Cに示すように、制御装置10は、報知部24に対して、エンジン自動停止が禁止され、エンジン自動停止が行われない旨の文章を、第2の報知態様で表示する。第2の報知態様は、第1の報知態様と比較して、文字サイズがより大きく、文字の太さや色がより目立つよう、さらに文字が点滅するように報知レベルを高くして表示される。このとき同時に、スピーカ242から発するアラーム音の音量レベルや音質を、第2の報知態様により発するようにしてもよい。
【0072】
制御装置10は、第1の報知態様と比較して、第2の報知態様の報知レベルを高くする。報知のレベルとは、運転者に対して行われる報知の注意喚起の度合いの大きさであり、報知のレベルが大きいほど、より運転者に対する注意喚起が成される。
【0073】
より具体的には、報知レベルが大きいほど、表示装置241に表示される文字の大きさや太さを大きくする、色を強調させる、文字を点滅させる、等が挙げられる。さらに、スピーカ242から発するアラーム音の音量レベルを大きくする、アラーム音の音質をより差し迫ったものに切り換える、等が挙げられる。
【0074】
図4のタイミングT12のように、運転者が運転席から離れ、運転席側ドアを開けた場合は、運転者が車両1のパワーオフを行わない状態で車両1から離れようとしていることが推定される。このような場合は、第1の報知態様と比較して報知レベルを高くした第2の報知態様によりエンジン自動停止が禁止されている旨の報知を行う。
【0075】
このように、運転者が車両1のパワーオフを行わない状態で車両1から離れようとしているときに、第2の態様で報知を行うことにより、運転者が通常通りエンジン自動停止が実行されると思い込み、車両1から離れてしまうことに対して注意喚起を行なうことができる、これにより、運転者が車両1から離れる前にエンジン20を停止させることを促すことができるので、燃料消費量が増加したり、エミッションが増加したりすることを抑制できる。
【0076】
なお、
図3のタイミングT2でエンジン自動停止が実行される旨の予告の報知を行なった後に、車速センサ21の故障を検出した場合は、
図4のタイミングT11に示すようにエンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知を行う。このような場合は、さらに、
図3のタイミングT3と同じタイミング、すなわち、エンジン自動停止が実行される旨が予告されたタイミングで、エンジン自動停止が実行される旨の予告の報知に代えて、エンジン自動停止が禁止されたことを示す旨の報知を行ってもよい。
【0077】
また、第1の報知態様よりも報知レベルが高い第2の報知態様は、
図4のタイミングT12のような運転者が運転者側ドアを開にしたタイミングだけではなく、タイミングT11で1回目の報知を行った後、所定の間隔(例えば5分ごと)で、第2の報知態様での報知を繰り返し行ってもよい。この場合、第2の報知態様は、報知を行う度に、報知レベルが徐々に高くなるように設定してもよい。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、エンジン20の駆動力を利用して走行する車両1に搭載され、車両1の制御を行う車両1の制御装置10は、車速を検出する車速検出部としての車速センサ21と、車速センサ21の検出結果により車両1が停車状態であることを判定した場合に、判定から所定時間が経過した後にエンジン自動停止を行うエンジン自動停止部140とを備える。車速センサ21の故障を検出した場合は、エンジン自動停止部140によるエンジン自動停止を禁止する。
【0079】
この構成では、エンジン自動停止を行うように構成された場合において、車速センサ21の故障を検出したときは、エンジン自動停止を禁止するので、車速センサ21の故障により停車状態であるか否か不明である状況において、エンジン20が自動停止することを防止できる。
【0080】
また、本実施形態では、運転者に対して報知を行う報知部24を備え、エンジン自動停止を禁止する場合は、報知部24によりエンジン自動停止を行わない旨の報知を行う。
【0081】
この構成では、運転者がエンジン自動停止の禁止に気づかず通常通りエンジン自動停止が実行されると思い込み、車両1から離れてしまうことを防ぐために、運転者に報知を行なって、運転者が車両1から離れる前にエンジン20を停止させることを促すことができる。これにより、燃料消費量の増加及びエミッションの増加を抑制できる。
【0082】
また、本実施形態では、車両1が駐車状態であることを検出する駐車状態検出部(車両状態検出部120)を備え、車両1が駐車状態である場合に、当該検出から所定時間が経過した後にエンジン自動停止を行い、車速センサ21の故障を検出した場合は、車両1が駐車状態であるか否かにかかわらず、エンジン自動停止部140によるエンジン自動停止を禁止する。
【0083】
この構成では、車速センサ21が故障である場合は、車両1が駐車状態であるか否に関わらず、エンジン20が自動停止することを防止できる。
【0084】
また、本実施形態では、報知部24は、エンジン自動停止を行う所定時間よりも前に、エンジン自動停止を行う旨を報知し、車速センサ21の故障を検出した場合は、エンジン自動停止を行う旨の報知に代えてエンジン自動停止を行わない旨の報知を行う。
【0085】
この構成では、エンジン自動停止を行う旨の報知に代えてエンジン自動停止を行わない旨の報知を行うことにより、エンジン自動停止が行われないことを運転者に確実に伝えることができる。
【0086】
また、本実施形態では、車両1の運転者側ドアの開閉を検出するドア開閉検出部(運転席側ドアセンサ27)を備え、報知部24は、エンジン自動停止が禁止された場合は、運転者側ドアが開かれたことを検出したときに、エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う。
【0087】
この構成では、運転者が運転者側ドアを開けたタイミングで報知を行うことで、運転者がエンジン自動停止の禁止に気づかず、車両1から離れてしまうことを防ぐことができる。
【0088】
また、本実施形態では、エンジン自動停止が禁止された場合は、運転者側ドアが開かれる前とドアが開かれる後とで、報知態様が変更される。
【0089】
この構成では、運転者が車両1から離れてしまう前に運転者にエンジン自動停止が禁止されていることを確実に伝えることができる。
【0090】
また、本実施形態では、エンジン自動停止が禁止された場合は、運転者側ドアが開かれる前の報知態様の報知レベルよりも、運転者側ドアが開かれた後の報知態様の報知レベルを高くする。
【0091】
この構成では、運転者がエンジン自動停止の禁止が報知されたことを失念して通常通りエンジン自動停止が実行されると思い込み、車両1から離れてしまうことを防ぐことができる。
【0092】
また、本実施形態では、報知部24は、前記車両の運転席に備えられる表示装置241として構成され、表示装置241に、エンジン自動停止を行う旨の報知、及び/又は、エンジン自動停止を行わない旨の報知を表示する。
【0093】
この構成では、エンジン自動停止が行われないことを運転者に視覚的に伝えることができる。
【0094】
また、本実施形態では、表示装置241に、エンジン自動停止を行う旨の報知と、前記エンジン自動停止を行わない旨の報知と、を異なる態様で表示する。
【0095】
この構成では、ので、エンジン自動停止が行なわれる場合と比較して、エンジン自動停止が行われないことを運転者に注意喚起することができる。
【0096】
また、本実施形態では、表示装置241に、エンジン自動停止を行わない旨の文章を表示するので、エンジン自動停止が行われないことを文章によって運転者に伝えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、エンジン自動停止を行う場合は、エンジン自動停止を行う所定時間よりも前に、報知部24に、エンジン自動停止を行う旨を報知し、その後、車速センサ21の故障を検出した場合は、エンジン自動停止を行わない旨の報知を行う。
【0098】
この構成では、エンジン自動停止を行う旨の報知の後に、エンジン自動停止を行わない旨の報知を行うことにより、エンジン自動停止が行われないことを運転者に確実に伝えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、車速センサ21は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ211と、変速機内のギアの回転を検出するギア回転センサ212とを含み、車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれもが故障したことを検出した場合に、エンジン自動停止を禁止する。
【0100】
この構成では、車速を検出するためのセンサのいずれもが故障した場合に、車速センサ21の故障を検出するので、車速センサ21の故障を確実に検出することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0102】
前述した
図2のフローチャートでは、車両1が停車状態となった後に駐車状態となったことを判定した場合に、エンジン自動停止の実行を決定するとしたが、これに限られず、車両1が停車状態となったことを判定した場合に、エンジン自動停止の実行を決定し、停車状態が所定時間以上継続した場合に、エンジン自動停止を実行するように制御してもよい。
【0103】
また、前述した
図2のフローチャートでは、走行操作系デバイスが操作された場合にタイマーを初期化するとしたが、これに限られない。車両1が停車状態又は駐車状態であることが継続している場合は、走行系デバイスの操作にかかわらずタイマー値をカウントアップして、エンジン自動停止を実行するように制御してもよい。
【0104】
また、本実施形態の車速センサ21は、車輪速センサ211及びギア回転センサ212から構成され、これらのいずれもが故障を検出した場合に車速センサ21の故障を検出したが、これに限られない。車速センサ21が、車輪速センサ211及びギア回転センサ212のいずれか一方により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1:車両、10:制御装置、20:エンジン、21:車速センサ(車速検出部)、22:アクセルペダルセンサ、23:ブレーキペダルセンサ、24:報知部、25:シフトポジションセンサ、26:サイドブレーキセンサ、27:運転席側ドアセンサ、28:運転席着座センサ、120:車両状態検出部、140:エンジン自動停止部、211:車輪速センサ、212:ギア回転センサ、241:表示装置、242:スピーカ