(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127596
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体ウェハ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240912BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240912BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240912BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240912BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240912BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240912BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H01L27/00 301C
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H10B41/27
H10B41/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036847
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】岩下 康紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晋
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC03
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR05
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】貼り合わされたウェハから基板を適切に剥離することが可能な半導体装置の製造方法および半導体ウェハを提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、第1基板上に、前記第1基板よりも薬液への耐性が低い第1膜を形成することを具備する。前記方法は更に、前記第1膜上に、第1半導体素子を形成することを具備する。前記方法は更に、第2基板上に、第2半導体素子を形成することを具備する。前記方法は更に、前記第2基板を前記第1基板に接合することを具備する。前記方法は更に、前記第1膜を前記薬液により除去して、前記第1半導体素子から前記第1基板を剥離することを具備する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上に、前記第1基板よりも薬液への耐性が低い第1膜を形成し、
前記第1膜上に、第1半導体素子を形成し、
第2基板上に、第2半導体素子を形成し、
前記第2基板を前記第1基板に接合し、
前記第1膜を前記薬液により除去して、前記第1半導体素子から前記第1基板を剥離する、
ことを具備する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2基板の前記第1基板への接合は、前記第2半導体素子に設けられた第2パッドが、前記第1半導体素子に設けられた第1パッドに接続されるように行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1膜は、窒化物を含有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1膜は、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とを交互に含む積層膜である、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1膜は、金属を含有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1膜は、ポーラスシリコンを含有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2基板を前記第1基板に接合する前に、
前記第1パッドに接するように前記第1半導体素子上に第2膜を形成し、
前記第2膜上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜、前記第2膜、および前記第1膜を加工して、前記第1パッドと、前記第1基板の外周縁部上の前記第1膜の側面とを露出させることを更に具備し、
前記第1基板の剥離は、露出された前記第1膜の側面を前記薬液に晒すことを含む、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2膜は、前記第1膜よりも前記薬液への耐性が高く、
前記第1半導体素子上への前記第2膜の形成は、前記第2膜が、前記第1半導体素子に設けられた前記第1膜よりも前記薬液への耐性が低い第3膜の側面に接するように行う、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1基板上に前記第1膜を形成する前に、前記第1基板の上面に溝を形成することを更に具備し、
前記第1基板上への前記第1膜の形成は、前記第1膜が前記第1基板の上面および前記溝の内部に形成されるように行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1基板上への前記第1膜の形成は、前記溝の内部に形成される前記第1膜に空隙部が設けられるように行う、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1基板の上面への前記溝の形成は、前記溝の幅に対する前記溝の高さの比であるアスペクト比が1以上になるように行う、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1基板の上面への前記溝の形成は、前記溝が格子状を有するように行う、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1半導体素子から前記第1基板を剥離した後に、前記第1半導体素子に配線を形成することを更に具備する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1半導体素子から剥離された前記第1基板を半導体装置の製造に再利用することを更に具備する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた前記第1基板よりも薬液への耐性が低い第1膜と、
前記第1膜上に設けられた第1半導体素子と、
前記第1半導体素子上に設けられた第2半導体素子と、
前記第2半導体素子上に設けられた第2基板と、
を備える、半導体ウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法および半導体ウェハに関する。
【背景技術】
【0002】
基板および基板上に設けられた半導体素子をそれぞれ備える複数のウェハを互いに貼り合わせた後に、貼り合わされたウェハから基板を剥離して半導体装置を製造する場合、基板を適切に剥離することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼り合わされたウェハから基板を適切に剥離することが可能な半導体装置の製造方法および半導体ウェハを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、第1基板上に、前記第1基板よりも薬液への耐性が低い第1膜を形成することを具備する。前記方法は更に、前記第1膜上に、第1半導体素子を形成することを具備する。前記方法は更に、第2基板上に、第2半導体素子を形成することを具備する。前記方法は更に、前記第2基板を前記第1基板に接合することを具備する。前記方法は更に、前記第1膜を前記薬液により除去して、前記第1半導体素子から前記第1基板を剥離することを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置の一例を示す断面図である。
【
図2】
図1の半導体装置の柱状部を示す拡大断面図である。
【
図3】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4】
図3に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態による半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【
図6】
図5に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図6に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図7に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図8に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】
図9に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】
図10に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図13】
図12に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図14】
図13に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】
図14に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】
図15に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図16に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図18】
図17に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図19】
図18に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】
図19に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図21】
図20に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図22】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図23】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図24】
図22に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図25】
図24に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す斜視図である。
【
図26】
図25に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す拡大断面図である。
【
図27】
図26に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図28】
図27に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図29】
図28に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図30】
図29に続く、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から
図30において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置の一例を示す断面図である。
図1の半導体装置は、アレイチップ1と回路チップ2が貼り合わされた3次元メモリである。
【0009】
アレイチップ1は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ11と、メモリセルアレイ11下の層間絶縁膜13とを備えている。メモリセルアレイ11は、第1半導体素子の一例である。層間絶縁膜13は例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0010】
回路チップ2は、アレイチップ1下に設けられている。符号Sは、アレイチップ1と回路チップ2との貼合面を示す。回路チップ2は、層間絶縁膜14と、層間絶縁膜14下の基板15とを備えている。基板15は、第2基板の一例である。層間絶縁膜14は例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。基板15は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
【0011】
図1は、基板15の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板15の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。
【0012】
アレイチップ1は、メモリセルアレイ11内の電極層として、複数のワード線WLと、ソース線SLとを備えている。
図1は、メモリセルアレイ11の階段構造部21を示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。複数のワード線WLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ24を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、半導体層である第1層SL1と、金属層である第2層SL2とを含んでいる。
【0013】
回路チップ2は、複数のトランジスタ31を備えている。トランジスタ31は、第2半導体素子の一例である。各トランジスタ31は、基板15上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板15内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。また、回路チップ2は、これらのトランジスタ31のゲート電極32、ソース拡散層、またはドレイン拡散層上に設けられた複数のコンタクトプラグ33と、これらのコンタクトプラグ33上に設けられ、複数の配線を含む配線層34と、配線層34上に設けられ、複数の配線を含む配線層35とを備えている。
【0014】
回路チップ2はさらに、配線層35上に設けられ、複数の配線を含む配線層36と、配線層36上に設けられた複数のビアプラグ37と、これらのビアプラグ37上に設けられた複数の金属パッド38とを備えている。金属パッド38は例えば、Cu(銅)層またはAl(アルミニウム)層である。金属パッド38は、第2パッドの一例である。回路チップ2は、アレイチップ1の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。この制御回路は、トランジスタ31などにより構成されており、金属パッド38に電気的に接続されている。
【0015】
アレイチップ1は、金属パッド38上に設けられた複数の金属パッド41と、金属パッド41上に設けられた複数のビアプラグ42とを備えている。また、アレイチップ1は、これらのビアプラグ42上に設けられ、複数の配線を含む配線層43と、配線層43上に設けられ、複数の配線を含む配線層44とを備えている。金属パッド41は例えば、Cu層またはAl層である。金属パッド41は、第1パッドの一例である。上述のビット線BLは、配線層44に含まれている。
【0016】
アレイチップ1はさらに、配線層44上に設けられた複数のビアプラグ45と、これらのビアプラグ45上に設けられた金属パッド46と、金属パッド46上に設けられたパッシベーション膜47とを備えている。金属パッド46は、配線の一例である。金属パッド46は例えば、Cu層またはAl層であり、
図1の半導体装置の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。パッシベーション膜47は例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜であり、金属パッド46の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド46は、この開口部Pを介してボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能である。
【0017】
図2は、第1実施形態の柱状部CLの構造を示す断面図である。
【0018】
図2に示すように、メモリセルアレイ11は、層間絶縁膜13(
図1)上に交互に積層された複数のワード線WLと複数の絶縁層51とを備えている。ワード線WLは、例えばW(タングステン)層である。絶縁層51は、例えばシリコン酸化膜である。
【0019】
柱状部CLは、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を順に含んでいる。電荷蓄積層53は、例えばシリコン窒化膜であり、ワード線WLおよび絶縁層51の側面にブロック絶縁膜52を介して形成されている。電荷蓄積層53は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。チャネル半導体層55は、例えばポリシリコン層であり、電荷蓄積層53の側面にトンネル絶縁膜54を介して形成されている。ブロック絶縁膜52、トンネル絶縁膜54、およびコア絶縁膜56は、例えばシリコン酸化膜または金属絶縁膜である。
【0020】
図3および
図4は、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0021】
図3は、複数のアレイチップ1を含むアレイウェハW1と、複数の回路チップ2を含む回路ウェハW2とを示している。アレイウェハW1は「メモリウェハ」とも呼ばれ、回路ウェハW2は「CMOSウェハ」とも呼ばれる。
【0022】
図3のアレイウェハW1の向きは、
図1のアレイチップ1の向きとは逆であることに留意されたい。第1実施形態では、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせることで半導体装置を製造する。
図3は、貼合のために向きを反転される前のアレイウェハW1を示しており、
図1は、貼合のために向きを反転されて貼合およびダイシングされた後のアレイチップ1を示している。
【0023】
図3において、符号S1はアレイウェハW1の上面を示し、符号S2は回路ウェハW2の上面を示している。アレイウェハW1は、メモリセルアレイ11やビアプラグ45の下に設けられた基板16を備えている。基板16は第1基板の例である。基板16は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
図3に示す基板15および基板16は、ダイシングされる前の半導体ウェハであり、円盤形状(ディスク形状)を有している。
【0024】
第1実施形態ではまず、
図3に示すように、アレイウェハW1の基板16上にメモリセルアレイ11、層間絶縁膜13、階段構造部21、金属パッド41などを形成し、回路ウェハW2の基板15上に層間絶縁膜14、トランジスタ31、金属パッド38などを形成する。例えば、基板16上にビアプラグ45、配線層44、配線層43、ビアプラグ42、および金属パッド41が順に形成される。また、基板15上にコンタクトプラグ33、配線層34、配線層35、配線層36、ビアプラグ37、および金属パッド38が順に形成される。なお、後述するように、アレイウェハW1には、剥離層7、キャップ膜8、および絶縁膜9(
図16参照)が設けられるが、
図3においては図示が省略されている。また、
図3においては、回路ウェハW2に設けられる後述するキャップ膜103および絶縁膜104(
図16参照)の図示が省略されている。
【0025】
次に、
図4に示すように、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを機械的圧力により貼り合わせる。これにより、層間絶縁膜13と層間絶縁膜14とが接着される。次に、アレイウェハW1および回路ウェハW2を例えば400℃でアニールする。これにより、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。
【0026】
その後、基板15をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により薄膜化し、後述する剥離層7のウェットエッチングにより基板16を剥離した後、アレイウェハW1および回路ウェハW2を複数のチップに切断する。このようにして、
図1の半導体装置が製造される。
図1は、金属パッド38および層間絶縁膜14を含む回路チップ1と、金属パッド38および層間絶縁膜14上にそれぞれ配置された金属パッド41および層間絶縁膜13を含むアレイチップ1とを示している。なお、金属パッド46とパッシベーション膜47は例えば、基板15の薄膜化および基板16の剥離の後に、ビアプラグ45上およびメモリセルアレイ11上に形成される。
【0027】
なお、第1実施形態ではアレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせているが、代わりにアレイウェハW1同士を貼り合わせてもよい。
図1から
図4を参照して前述した内容や、
図5から
図30を参照して後述する内容は、アレイウェハW1同士の貼合にも適用可能である。
【0028】
また、
図1は、金属パッド41と金属パッド38との境界面を示しているが、上記のアニール後はこれらの境界面が観察されなくなることが一般的である。しかしながら、これらの境界面のあった位置は、例えば金属パッド41の側面や金属パッド38の側面の傾きや、金属パッド41の側面と金属パッド38との位置ずれを検出することで推定することができる。
【0029】
なお、第1実施形態の半導体装置は、複数のチップに切断された後の
図1の状態で取引の対象となってもよいし、複数のチップに切断される前の
図4の状態で取引の対象となってもよい。
図1は、チップの状態の半導体装置を示し、
図4は、ウェハの状態の半導体装置を示している。第1実施形態では、1つのウェハ状の半導体装置(
図4)から、複数のチップ状の半導体装置(
図1)が製造される。
図4に示すウェハ状の半導体装置は、半導体ウェハの一例である。
【0030】
以下、
図5から
図21を参照し、第1実施形態による半導体装置の製造方法のさらなる詳細を説明する。
【0031】
図5(a)に示すように、先ず、基板16上に、後述する貼り合わされたアレイウェハW1と回路ウェハW2からの基板16の剥離に用いられる剥離層7を形成する。剥離層7は、基板16よりも薬液(すなわち、エッチング液)への耐性が低い。剥離層7は、第1膜の一例である。
図5(a)に示される例において、剥離層7は、シリコン窒化膜71とシリコン酸化膜72とを交互に含む積層膜である。
図5(a)に示される例において、剥離層7は、後述するメモリセルアレイ11用の積層膜61,64と同じ成膜プロセスを用いて形成することができる。なお、基板16は、ダイシングされる前の半導体ウェハであり、円盤形状を有している。
【0032】
剥離層7を形成した後、
図5(b)に示すように、剥離層7上に、メモリセルアレイ11の一部を形成するための積層膜61を形成する。積層膜61は、剥離層7上に交互に形成された複数の絶縁層51および複数の絶縁層57と、これら絶縁層51および絶縁層57の表面を覆うように形成されたカバー絶縁膜58とを含んでいる。絶縁層51は、例えばシリコン酸化膜である。絶縁層57は、例えばシリコン窒化膜である。カバー絶縁膜58は、例えばシリコン酸化膜である。積層膜61を形成した後、
図5(b)に示すように、積層膜61を貫通する周辺開口部H1を形成する。なお、
図5(b)において、基板16上のソース層SL(
図3参照)の図示は省略されている。
【0033】
より具体的には、積層膜61は、例えば次のように形成される。先ず、基板16上に複数の絶縁層51と複数の絶縁層57とを交互に形成する。次に、これら絶縁層51および絶縁層57の一部を、
図5(b)に示すように、階段形状に加工する。
図5(b)は、基板16の外周縁部付近で傾斜した絶縁層51および絶縁層57の表面を示している。次に、これら絶縁層51および絶縁層57上にカバー絶縁膜58を形成する。その後、基板16の外周縁部付近において積層膜61に周辺開口部H1を形成する。
【0034】
周辺開口部H1を形成した後、
図6(a)に示すように、剥離層7上に、積層膜61を介して、絶縁膜13dを形成する。絶縁膜13dは、例えばdTEOS(densified tetraethyl orthosilicate)膜である。
図6(a)に示される例において、絶縁膜13dは、周辺開口部H1が絶縁膜13dで埋まるように形成される。
【0035】
絶縁膜13dを形成した後、
図6(b)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、周辺開口部H1の上方の絶縁膜13d上にレジスト膜62を形成する。
【0036】
レジスト膜62を形成した後、
図7(a)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、基板16の外周縁部の上方の絶縁膜13d上にレジスト膜63を形成する。
図7(a)に示される例において、レジスト膜63は、積層膜61の階段部分を覆うように形成される。
【0037】
レジスト膜63を形成した後、
図7(b)に示すように、レジスト膜62、63をマスクとして用いたエッチングにより、絶縁膜13dの一部を除去する。これにより、絶縁膜13dが、周辺開口部H1内、周辺開口部H1付近、および基板16の外周縁部上に残存する。絶縁膜13dの一部を除去した後、
図7(b)に示すように、レジスト膜62、63を除去する。
【0038】
レジスト膜62、63を除去した後、
図8(a)に示すように、絶縁膜13dの表面をCMPにより平坦化する。その結果、周辺開口部H1付近などに残存する絶縁膜13dが除去される。
図8(a)に示される例において、絶縁膜13dは、基板16の外周縁部上には残存する。
【0039】
絶縁膜13dの表面を平坦化した後、
図8(b)に示すように、基板16上に、積層膜61や絶縁膜13dを介して、メモリセルアレイ11の別の一部を形成するための積層膜64を形成する。積層膜64は、積層膜61と同様に、基板16上に交互に形成された複数の絶縁層51および複数の絶縁層57と、これら絶縁層51および絶縁層57の表面を覆うように形成されたカバー絶縁膜58とを含んでいる。積層膜64を形成した後、
図8(b)に示すように、積層膜64を貫通する周辺開口部H2を形成する。周辺開口部H2は、周辺開口部H1上に形成される。
【0040】
より具体的には、積層膜64は、例えば次のように形成される。まず、基板16上に複数の絶縁層51と複数の絶縁層57とを交互に形成する。次に、これら絶縁層51および絶縁層57の一部を、
図8(b)に示すように、階段形状に加工する。
図8(b)は、基板16の外周縁部付近で傾斜した絶縁層51および絶縁層57の表面を示している。次に、これら絶縁層51および絶縁層57上にカバー絶縁膜58を形成する。その後、基板21の外周縁部付近の積層膜64に周辺開口部H2を形成する。
【0041】
図8(b)に示される例において、積層膜64の階段部分の先端は、積層膜61の階段部分の先端よりも、基板16の中心軸側に位置するように形成される。別言すると、
図8(b)に示される例において、積層膜64の階段部分の右端は、積層膜61の階段部分の右端よりも左側に位置するように形成される。
【0042】
積層膜64を形成した後、
図9(a)に示すように、基板16上に、積層膜61、64や絶縁膜13dを介して、層間絶縁膜13の別の一部である絶縁膜13eを形成する。絶縁膜13eは、例えばdTEOS膜である。
図9(a)に示される例において、絶縁膜13eは、周辺開口部H2が絶縁膜13eで埋まるように形成される。また、
図9(a)に示される例において、絶縁膜13eは、周辺開口部H2付近だけでなく基板16の外周縁部上にも形成される。
【0043】
絶縁膜13eを形成した後、
図9(b)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、周辺開口部H2の上方の絶縁膜13e上にレジスト膜65を形成する。
【0044】
レジスト膜65を形成した後、
図10(a)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、基板16の外周縁部の上方の絶縁膜13e上にレジスト膜66を形成する。
図10(a)に示される例において、レジスト膜66は、積層膜64の階段部分を覆うように形成される。
【0045】
レジスト膜66を形成した後、
図10(b)に示すように、レジスト膜65、66をマスクとして用いたエッチングにより、絶縁膜13eの一部を除去する。これにより、絶縁膜13eが、周辺開口部H2内、周辺開口部H2付近、基板16の外周縁部上、および外周縁部付近に残存する。絶縁膜13eの一部を除去した後、
図10(b)に示すように、レジスト膜65、66を除去する。
【0046】
レジスト膜65、66を除去した後、
図11(a)に示すように、絶縁膜13eの表面をCMPにより平坦化する。その結果、周辺開口部H2付近などに残存する絶縁膜13eが除去される。
図11(a)に示される例において、絶縁膜13eは、基板16の外周縁部上には残存する。また、
図11(a)に示される例において、積層膜61の階段部分と積層膜64の階段部分との間には、絶縁膜13dの一部が介在している。
【0047】
絶縁膜13eの表面を平坦化した後、
図11(b)に示すように、絶縁層57の一部をワード線WL(すなわち、電極層)に置き換えるリプレイス工程を実行する。より具体的には、リプレイス工程は、例えば次のように行われる。まず、積層膜61、64を貫通する不図示のスリットを形成し、スリットを用いたウェットエッチングにより絶縁層57を除去する。これにより、互いに隣接する絶縁層51間に空洞が形成される。次に、空洞内にワード線WLの材料を埋め込む。これにより、積層膜61、64が、複数の絶縁層51と複数のワード線WLとを交互を含むように変化する。ただし、絶縁層57を除去する際に、
図11(b)の階段部分以外の絶縁層57は除去されるが、
図11(b)の階段部分の絶縁層57は除去されずに残存する。よって、
図11(b)の階段部分は、依然として複数の絶縁層51と複数の絶縁層57とを交互を含んでいる。このようにワード線WLは絶縁層57の一部が除去されて形成されることから、これらのワード線WLは、残存するこれらの絶縁層57と同じ高さに形成される。残存する絶縁層57は、第3膜の一例である。
【0048】
リプレイス工程を実行した後、
図11(b)に示すように、周辺開口部H1、H2内の絶縁膜13d、13e内にビアプラグ45を形成し、ワード線WLを含む積層膜61、64内に柱状部CLを形成する。このようにして、メモリセルアレイ11が形成される。
【0049】
ビアプラグ45および柱状部CLを形成した後、
図11(b)に示すように、基板16上に、積層膜61、64や絶縁膜13d、13eを介して、層間絶縁膜13の別の一部である絶縁膜13fを形成する。絶縁膜13fは、例えばdTEOS膜である。
図11(b)に示される例において、絶縁膜13fは、基板16の外周縁部上にも形成される。
【0050】
絶縁膜13fを形成した後、
図11(b)に示すように、絶縁膜13f内に、複数のビアプラグ42を形成する。
図11(b)に示される例において、複数のビアプラグ42は、配線層44、43を介してビアプラグ45に電気的に接続され、または、配線層44、43を介して柱状部CLに電気的に接続されるように形成される。また、
図11(b)に示される例においては、これらのビアプラグ42を形成する前に、配線層44、43を形成する。柱状部CLとビアプラグ42との間の配線層44は、ビット線BLに相当する。なお、
図11(b)において、柱状部CLと配線層43との間のビアプラグ24(
図3参照)の図示は省略されている。
【0051】
複数のビアプラグ42を形成した後、
図12(a)に示すように、絶縁膜13f上に、これらのビアプラグ42を覆うように、層間絶縁膜13の別の一部である絶縁膜13gを形成する。絶縁膜13gは、例えばdTEOS膜である。
図12(a)に示される例において、絶縁膜13gは、基板16の外周縁部上にも形成される。
【0052】
絶縁膜13gを形成した後、
図12(b)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、基板16の外周縁部の上方の絶縁膜13g上にレジスト膜67を形成する。
図12(b)に示される例において、レジスト膜67は、積層膜64の階段部分の上方の絶縁膜13gを覆うように形成する。
【0053】
レジスト膜67を形成した後、
図13(a)に示すように、レジスト膜67をマスクとして用いたエッチングにより、絶縁膜13gの一部を除去する。これにより、絶縁膜13gが、基板16の外周縁部上や外周縁部付近の基板16上などに残存する。絶縁膜13gの一部を除去することで、
図13(a)に示すように、絶縁膜13gからビアプラグ42が露出する。
【0054】
絶縁膜13gの一部を除去した後、
図13(b)に示すように、レジスト膜67を除去する。レジスト膜67を除去した後、
図13(b)に示すように、絶縁膜13f、g上に、複数のビアプラグ42を覆うように、層間絶縁膜13の別の一部である絶縁膜13hを形成する。絶縁膜13hは、例えばdTEOS膜である。
図13(b)に示される例において、絶縁膜13hは、基板16の外周縁部上にも形成される。絶縁膜13hの膜厚は、絶縁膜13gの膜厚とほぼ同じである。
図13(b)に示される例において、絶縁膜13fの上面に直接形成された絶縁膜13hと、絶縁膜13gの上面に直接形成された絶縁膜13hとの間には、段差が形成されている。
【0055】
絶縁膜13hを形成した後、
図14(a)に示すように、絶縁膜13hの表面をCMPにより平坦化する。その結果、上記の段差付近で、絶縁膜13gの上面に直接形成された絶縁膜13hの一部が除去され、層間絶縁膜13の上面の高さが均一になる。
図14(a)に示される例において、基板16の外周縁部上の絶縁膜13g等は残存している。
【0056】
絶縁膜13hの表面を平坦化した後、
図14(b)に示すように、絶縁膜13h内において、ビアプラグ42上に金属パッド41を形成する。金属パッド41を形成した後、
図14(b)に示すように、基板16の外周縁部上の層間絶縁膜13を除去するトリミングを行う。
図14(b)に示される例において、トリミングによって形成された端面D1には、積層膜61の絶縁層57の側面が露出している。また、
図14(b)に示される例において、基板16の外周縁部上には、トリミングによって剥離層7の上面(すなわち、シリコン酸化膜72の上面)が露出している。
【0057】
トリミングを行った後、
図15(a)に示すように、層間絶縁膜13の上面、トリミングによって形成された端面D1、およびトリミングによって露出した剥離層7の上面に、キャップ膜8を形成する。キャップ膜8は、第2膜の一例である。キャップ膜8は、例えば、SiCN膜である。
図15(a)に示される例において、キャップ膜8は、金属パッド41の上面および積層膜61の絶縁層57の側面に接するように形成される。キャップ膜8を形成することで、金属パッド41の金属材料の絶縁膜への拡散を低減することができるとともに、後述する基板16の剥離の際に絶縁層57を薬液から保護することができる。
【0058】
キャップ膜8を形成した後、
図15(a)に示すように、キャップ膜8上に絶縁膜9を形成する。絶縁膜9は、例えば、TEOS膜である。このようにして、アレイウェハW1が形成される。
【0059】
絶縁膜9を形成した後、
図15(b)に示すように、RIE(Reactive Ion Etching)により、絶縁膜9、キャップ膜8、および剥離層7を加工して、絶縁膜9およびキャップ膜8から金属パッド41の上面と、剥離層7の側面7a(すなわち、加工面)とを露出させる。
図15(b)に示される例においては、RIEによって、剥離層7を構成する複数層のシリコン窒化膜71の側面が露出する。
【0060】
以上のようにしてアレイウェハW1を準備するとともに、
図16に示すように回路ウェハW2を準備する。
図3を参照して既に説明したように、回路ウェハW2は、基板15と、層間絶縁膜14と、層間絶縁膜14内に形成されたトランジスタ31、ゲート電極32、複数のコンタクトプラグ33、配線層34、35、36、複数のビアプラグ37、および複数の金属パッド38とを有する。
図16に示される例において、層間絶縁膜14およびトランジスタ31が形成された領域を除く基板15の表面には、絶縁層101が設けられている。絶縁層101は、例えばシリコン窒化膜である。絶縁層101の表面には、絶縁層102が設けられている。絶縁層102は、例えばシリコン酸化膜である。また、
図16に示すように、回路ウェハW2はさらに、層間絶縁膜14の上面および端面D2に設けられたキャップ膜103と、キャップ膜103上に設けられた絶縁膜104とを有する。キャップ膜103は、例えばSiCN膜である。絶縁膜104は、例えばシリコン酸化膜である。層間絶縁膜14の端面D2は、アレイウェハW1の層間絶縁膜13の端面D1と同様に、トリミングによって形成された面である。金属パッド38上のキャップ膜103および絶縁膜104は、RIEにより加工されている。これにより、金属パッド38の上面が露出している。
【0061】
アレイウェハW1および回路ウェハW2を準備した後、
図17に示すように、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせる。アレイウェハW1と回路ウェハW2との貼り合わせは、アレイウェハW1の絶縁膜9と回路ウェハW2の絶縁膜104とを互いに接触させるとともに、アレイウェハW1の金属パッド41と回路ウェハW2の金属パッド38とを互いに対向させて行われる。
【0062】
アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせた後、
図18に示すように、アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールする。アニールにより、金属パッド41および金属パッド38の金属材料が結晶成長して、金属パッド41と金属パッド38とが接合される。
【0063】
アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールした後、
図19に示すように、薬液を用いたウェットエッチングによって剥離層7を除去する。ウェットエッチングでは、既述したトリミングによって形成された剥離層7の側面を薬液に晒すことで、剥離層7の側面から剥離層7の中央側に向かってウェットエッチングを進行させる。薬液としては、剥離層7の材質に応じた好適な薬液を用いることができる。第1実施形態においては、剥離層7がシリコン窒化膜71を有する。このため、第1実施形態においては、シリコン窒化膜71以外の絶縁膜や基板16に対してシリコン窒化膜71の選択比が高いリン酸(H
3PO
4)を好適に用いることができる。薬液は、所定の温度に加熱されていてもよい。
【0064】
剥離層7を除去した後、
図20に示すように、アレイウェハW1(すなわち、メモリセルアレイ11)から基板16を剥離する。基板16を剥離することで、ビアプラグ45が露出する。なお、
図20において、柱状部CL上のソース層SLの図示は省略されている。
【0065】
アレイウェハW1から剥離された基板16は、半導体装置の製造(すなわち、新たなアレイウェハW1の形成)のために再利用することができる。
【0066】
基板16を剥離した後、
図21に示すように、メモリセルアレイ11上、ビアプラグ45上、および積層膜61上にパッシベーション膜47を形成する。パッシベーション膜47は、例えばシリコン酸化膜である。パッシベーション膜47を形成した後、ビアプラグ45上のパッシベーション膜47に開口部Pを形成する。開口部Pを形成することで、パッシベーション膜47からビアプラグ45が露出する。開口部Pを形成した後に、ビアプラグ45上に金属パッド46を形成する。
【0067】
以上述べたように、第1実施形態によれば、ウェットエッチングにより剥離層7を除去することでメモリセルアレイ11から基板16を剥離することができるので、基板16を損傷させずに適切に剥離することができる。基板16を適切に剥離できるので、基板16を半導体装置の製造に適切に再利用することができる。
【0068】
また、第1実施形態によれば、剥離層7をシリコン窒化膜71とシリコン酸化膜72との積層膜で構成することで、既存のメモリセルアレイ11の成膜プロセスを剥離層7の形成に活用することができ、コストの増大を低減することができる。
【0069】
また、第1実施形態によれば、金属パッド41に接するとともにリプレイス工程後においても残存する絶縁層57の側面に接するようにメモリセルアレイ11上にキャップ膜8を形成することで、キャップ膜8上の絶縁膜9への金属パッド41の金属材料の拡散を低減することができるとともに、薬液による絶縁層57の浸食を低減することができる。
【0070】
(第2実施形態)
以下、
図22~
図30を参照して、第2実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図22~
図30に示す方法は、
図3および
図4に示す方法を、
図5~
図21に示す方法とは異なる工程により実行する。
【0071】
図22および
図23は、第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す図である。第2実施形態においては、先ず、
図22(a)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、基板16の上面に溝161を形成する
図22(a)に示される例において、溝161の形成は、溝161が格子状を有するように行う。
【0072】
溝161を形成した後、
図22(b)および
図23(a)に示すように、基板16上に剥離層7を形成する。剥離層7の形成は、剥離層7が基板16の上面および溝161の内部に形成されるように行う。
図22(b)および
図23(a)に示される例において、剥離層7は、単層のシリコン窒化膜71と、単層のシリコン酸化膜72とを順に積層させた積層膜である。また、
図22(b)および
図23(a)に示される例において、剥離層7の形成は、溝161の内部に形成される剥離層7に空隙部711が設けられるように行う。
図22(b)および
図23(a)に示される例において、溝161の内部には、シリコン窒化膜71が形成される。したがって、空隙部711は、シリコン窒化膜71に設けられる。
【0073】
空隙部711を設けることで、
図23(a)に示すように、剥離層7をウェットエッチングで除去する際に、空隙部711を介して剥離層7に薬液Lを浸透させ易くすることができる。これにより、剥離層7のウェットエッチングを促進させることができる。
図23(b)に示すように、空隙部711は、溝161の幅Wに対する溝161の高さHの比(すなわち、H/W)であるアスペクト比を1以上とすることで効果的に形成することができる。溝161の幅Wは、例えば、200nmである。この場合、溝161の高さHは、200nm以上である。
【0074】
剥離層7を形成した後、
図24(a)に示すように、剥離層7上に、
図14(b)と同様のメモリセルアレイ11および層間絶縁膜13等を有する上部構造を形成する。なお、上部構造の具体的な形成方法は、
図5乃至
図14と同様である。
【0075】
剥離層7の上部構造を形成した後、
図24(b)に示すように、層間絶縁膜13の上面、トリミングによって形成された層間絶縁膜13の端面D1、およびトリミングによって露出した剥離層7の上面に、キャップ膜8を形成する。キャップ膜8を形成した後、
図24(b)に示すように、キャップ膜8上に絶縁膜9を形成することで、アレイウェハW1を形成する。
【0076】
絶縁膜9を形成した後、
図25に示すように、RIEにより、絶縁膜9、キャップ膜8、および剥離層7を加工して、絶縁膜9およびキャップ膜8から、金属パッド41の上面と、剥離層7の側面7aと、基板16の外周縁部上の溝161の内部に形成された剥離層7のシリコン窒化膜71とを露出させる。
【0077】
以上のようにしてアレイウェハW1を準備するとともに、
図26に示すように回路ウェハW2を準備する。回路ウェハW2の構造は、
図15(b)と同様である。
【0078】
アレイウェハW1および回路ウェハW2を準備した後、
図27に示すように、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせる。
【0079】
アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせた後、
図28に示すように、アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールする。アニールを行うことで、金属パッド41と金属パッド38とが金属材料の結晶成長によって接合される。
【0080】
アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールした後、
図29に示すように、薬液を用いたウェットエッチングによって剥離層7を除去する。ウェットエッチングでは、既述したトリミングによって形成された剥離層7の側面と、基板16の外周縁部上の溝161の内部に形成された剥離層7のシリコン窒化膜71とを薬液に晒すことで、剥離層7の側面から剥離層7の中央側に向かってウェットエッチングを進行させる。このとき、溝161の内部のシリコン窒化膜71およびシリコン窒化膜71に設けられた空隙部711を介して、剥離層7への薬液の浸透が促進される。これにより、剥離層7を迅速に除去することができる。剥離層7を迅速に除去することで、基板16をアレイウェハW1から迅速かつ適切に剥離することができる。
【0081】
アレイウェハW1から剥離された基板16は、
図30に示すように、半導体装置の製造のために再利用することができる。
【0082】
以上述べたように、第2実施形態によれば、基板16の上面に形成された溝161の内部に剥離層7を形成することで、剥離層7への薬液の浸透を促進することができるので、剥離層7を迅速に除去することができる。剥離層7を迅速に除去することで、基板16の剥離の所要時間を短縮することができる。基板16の剥離の所要時間を短縮することで、半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【0083】
また、第2実施形態によれば、溝161を格子状に形成することで、剥離層7への薬液の浸透を更に促進することができる。これにより、基板16の剥離の所要時間を更に短縮することができる。
【0084】
また、第2実施形態によれば、溝161の内部に形成される剥離層7に空隙部711を設けることで、空隙部711を介して剥離層7への薬液の浸透を更に促進することができる。これにより、基板16の剥離の所要時間を更に短縮することができる。
【0085】
また、第2実施形態によれば、溝161のアスペクト比を1以上に形成することで、溝161の内部に形成される剥離層7に空隙部711を有効に形成することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態以外にも、例えば、剥離層7は、単層のシリコン窒化膜であってもよい。または、剥離層7は、銅や鉄などの金属を含有する金属膜であってもよい。あるいは、剥離層7は、多孔質構造を有するシリコンを含有するポーラスシリコン膜であってもよい。これらの剥離層7を用いる場合であっても、剥離層7の材質に好適な薬液を用いたウェットエッチングによって剥離層7を除去することで、基板16を適切に剥離することができる。
【0087】
また、上述した実施形態では、薬液としてリン酸を用いた例について説明したが、リン酸以外の薬液を用いて剥離層7を除去することも可能である。例えば、薬液として、リン酸以外にも、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)、塩酸(HCL)、王水またはこれらを適宜混合させた混合液を用いることも可能である。
【0088】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なウェハおよび方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したウェハおよび方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0089】
11 メモリセルアレイ、15 基板、16 基板、161 溝、31 トランジスタ、38 金属パッド、41 金属パッド、46 金属パッド、57 絶縁層、7 剥離層、71 シリコン窒化膜、711 空隙部、72 シリコン酸化膜、8 キャップ膜、9 絶縁膜