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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127616
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】リニア搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20240912BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20240912BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B61B13/00 V
B61D15/00 B
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036884
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健雄
【テーマコード(参考)】
3D101
3F021
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BA08
3D101BB05
3D101BB20
3D101BB57
3D101BE10
3F021AA05
3F021BA02
(57)【要約】
【課題】給油された潤滑油がレールに適量残るよう拭き延ばして、余分な潤滑油に起因する問題の発生を防然に防止し得るリニア搬送装置を提供する。
【解決手段】ガイドレール10に、その延在方向に沿ってV溝16aが形成されている。リニアモータ駆動によりガイドレール10に沿って走行するメンテナンスシャトル12に、磁力によってガイドレール10に引き寄せられることでV溝16aに嵌り込む第1のガイドローラ28と、該V溝16aに密着する拭き延ばしローラ31が回転可能に配設される。メンテナンスシャトル12に、第1のガイドローラ28の表面に潤滑油を供給する油含浸体が設けられる。メンテナンスシャトル12をガイドレール10に沿って走行することで、油含浸体の潤滑油が第1のガイドローラ28を介してV溝16aに転移されると共に、該潤滑油は拭き延ばしローラ31によって走行範囲全域に亘ってムラなく拭き延ばされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路に延在して溝が形成されたガイドレールと、前記溝に圧接されてリニアモータ駆動制御により走行するリニアシャトルを案内するガイドローラを備えたリニア搬送装置であって、
前記リニアシャトルに、前記溝および溝の両側に臨むレール表面の所定範囲となる溝部に接して回転するよう、前記ガイドローラと異なる位置に支持した拭き延ばしローラを有するメンテナンスシャトルを備え、
前記拭き延ばしローラは、少なくともその周面を、前記メンテナンスシャトルの走行時に前記溝部に給油された潤滑油を拭き延ばし可能な弾性体により構成した
ことを特徴とするリニア搬送装置。
【請求項2】
前記拭き延ばしローラの周面は、前記溝部において溝に沿う形状の突出部と、該突出部の両側に接続し、前記溝部において溝より両側でレール表面に接する段差部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項3】
前記ガイドレールには、溝を2列備え、前記メンテナンスシャトルは走行時に前記2列の溝の一方と他方とに斜めに離間して位置付く2つのガイドローラと、それとは逆の斜め配置により拭き延ばしローラを設けたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項4】
前記メンテナンスシャトルは、前記拭き延ばしローラを、前記各ガイドローラと同軸心で前記2列の溝の一方と他方とに密着可能な間隔で配置したことを特徴とする請求項3記載のリニア搬送装置。
【請求項5】
前記拭き延ばしローラの周面は、前記溝と接した拭き延ばしローラが回転可能な硬度と、前記ガイドレールに付着した余剰潤滑油を吸収して拭き延ばし可能な油含侵性と、を有するポリウレタンスポンジ多孔質体により構成したことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項6】
前記ガイドレールは、互いに平行な直線部と、両直線部を接続するリターン部とからループ状に形成され、
前記直線部に向けたリニアシャトルの進入路を形成する送入レールと、前記直線部からのリニアシャトルの退出路を形成する退避レールと、を備えたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項7】
メンテナンス開始信号により、前記送入レールから前記ガイドレールの直線部へメンテナンスシャトルを進入させ、メンテナンス終了信号により、ガイドレールの直線部から前記退避レールへメンテナンスシャトルを退出するよう、メンテナンスシャトルを動作制御することを特徴とする請求項6記載のリニア搬送装置。
【請求項8】
メンテナンス時期を設定し、その設定したメンテナンス時期に、前記メンテナンスシャトルを前記送入レールから前記ガイドレールに進入させて所定時間走行した後に、メンテナンスシャトルをガイドレールから前記退避レールへ退出させるよう、リニアシャトルを動作制御するようにしたことを特徴とする請求項6記載のリニア搬送装置。
【請求項9】
前記リニアシャトルは、各種の物品処理作業を実施可能に物品の支持部を備えた複数のワークシャトルと、前記拭き延ばしローラを備えたメンテナンスシャトルと、を設け、ワークシャトルの走行中において、作業休止中の何れかのワークシャトルをメンテナンスシャトルに入れ替えるように、該メンテナンスシャトルをガイドレールへ進入して走行させると共に、所定のメンテナンス時間走行した後にメンテナンスシャトルをガイドレールから退出させ、該メンテナンスシャトルに代えてワークシャトルを進入させるよう、ワークシャトルとメンテナンスシャトルとの交代動作制御を行うようにしたことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載のリニア搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿ってリニアモータ駆動により走行するシャトルによって物品を搬送するリニア搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の搬送装置として、搬送動作の自由度や、搬送する物品の種類・サイズの兼用性などの理由から、物品を支持可能なシャトルを、レールに沿ってリニアモータ駆動により走行するよう構成したリニアモータ駆動式のリニア搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示のリニア搬送装置は、電磁コイルが配設されたレールに設けたV溝に、永久磁石が配設されたシャトルに自由回転するように設けたガイドローラが、磁力の吸引作用によって嵌り込んで走行可能に支持され、電磁コイルを通電制御することでシャトルがレールに沿って移動するよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記リニア搬送装置では、シャトルに設けたガイドローラが、レールのV溝に圧接された状態で走行する。そして、ガイドローラのスムーズな回転を促し、ローラ表面やレールにおけるローラとの接触面の摩耗を抑えるために、ローラとレールとの接触面に潤滑油が塗布された状態でシャトルが走行できるように、定期的に給油するための、メンテナンス作業が実施されることが好ましい。このように給油された潤滑油は、給油量が多すぎたりした場合や、装置の稼働により時が経つことに伴って、その給油された潤滑油がローラの回転により飛び散ったり、レールの溝部の外側まで垂れ落ちて、周りの構成部材を汚したり、シャトル本体に付着して油汚れを生じたり、シャトルに支持されて搬送される物品などを汚してしまったりするなどの不具合が生じてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、レール溝から溢れた潤滑油によって、周囲の構造物やシャトルの構成部材、その他の各種部材などが汚れたり、残った潤滑油によって、シャトルのスムーズな走行が阻害されたりすることなく、給油された潤滑油がレールの溝と溝に接するローラの周面に適量の油が残って油膜を形成し、塗布状態が維持された状態で、余分な油を拭き取ることなく拭き延ばし可能なリニアシャトルを備えたリニア搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明のリニア搬送装置は、
走行路に延在して溝(16a)が形成されたガイドレール(10)と、前記溝(16a)に圧接されてリニアモータ駆動制御により走行するリニアシャトルを案内するガイドローラ(28)を備えたリニア搬送装置であって、
前記リニアシャトルに、前記溝(16a)および溝(16a)の両側に臨むレール表面(16b)の所定範囲となる溝部(16a,16b)に接して回転するよう、前記ガイドローラ(28)と異なる位置に支持した拭き延ばしローラ(31)を有するメンテナンスシャトル(12)を備え、
前記拭き延ばしローラ(31)は、少なくともその周面を、前記メンテナンスシャトル(12)の走行時に前記溝部(16a,16b)に給油された潤滑油を拭き延ばし可能な弾性体により構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ガイドレールに給油された潤滑油が、拭き延ばしローラによって、ガイドレールに油が適正な塗布状態となって残るように拭き延ばすことができ、リニアシャトルのスムーズな走行が阻害されることなく、ガイドレールおよびリニアシャトルのガイドローラに係る摩耗を効果的に抑制することができる。また、溝から漏れ出た余分な潤滑油も拭き延ばしローラによって拭き延ばすことができるので、ガイドレールから垂れたり飛び散ったりした潤滑油により周囲のユニットやリニアシャトルに支持されて搬送中の被搬送物品などを汚したりする不具合の発生を、未然に防止することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記拭き延ばしローラ(31)の周面は、前記溝部(16a,16b)において溝(16a)に沿う形状の突出部(31a)と、該突出部(31a)の両側に接続し、前記溝部(16a,16b)において溝(16a)より両側でレール表面(16b)に接する段差部(31b)と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、ガイドレールの溝から漏れ出た潤滑油を含めて、ガイドレールの表面に給油された潤滑油を均等に拭き延ばすことができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記ガイドレール(10)には、溝(16a)を2列備え、前記メンテナンスシャトル(12)は走行時に前記2列の溝(16a,16a)の一方と他方とに斜めに離間して位置付く2つのガイドローラ(28)と、それとは逆の斜め配置により拭き延ばしローラ(31)を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、ガイドレールに沿ってリニアシャトルが安定して走行でき、拭き延ばしローラを溝部のレール表面に均等な圧力で密着させて、潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記メンテナンスシャトル(12)は、前記拭き延ばしローラ(31)を、前記各ガイドローラ(28)と同軸心で前記2列の溝(16a,16a)の一方と他方とに密着可能な間隔で配置したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、拭き延ばしローラによって2列の溝に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記拭き延ばしローラ(31)の周面は、前記溝(16a)と接した拭き延ばしローラ(31)が回転可能な硬度と、前記ガイドレール(10)に付着した余剰潤滑油を吸収して拭き延ばし可能な油含侵性と、を有するポリウレタンスポンジ多孔質体により構成したことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、拭き延ばしローラが大きく変形することなく、メンテナンスシャトルの走行範囲全域の溝に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記ガイドレール(10)は、互いに平行な直線部(13,13)と、両直線部(13,13)を接続するリターン部(14,14)とからループ状に形成され、
前記直線部(13)に向けたリニアシャトルの進入路を形成する送入レール(19)と、前記直線部(13)からのリニアシャトルの退出路を形成する退避レール(20)と、を備えたことを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、ループ状のガイドレールに沿って搬送処理を行うように構成されたリニアシャトルを、必要な時に進入路または退出路から送り込んだり取り出したりして、ガイドレールの余分な潤滑油の拭き取り作業を自動で行わせることができる。そして、メンテナンスが必要な時期に、リニアシャトルによる搬送動作中であってもガイドレールにメンテナンスシャトルをスムーズに送り込むことができるので、搬送装置の搬送処理作業を停止して、作業者が手作業でレールの油を拭き取るメンテナンス作業をする必要が無く、搬送処理に伴う作業効率が向上するなど、メンテナンス性に優れる。
【0012】
請求項7に係る発明では、メンテナンス開始信号により、前記送入レール(19)から前記ガイドレール(10)の直線部(13)へメンテナンスシャトル(12)を進入させ、メンテナンス終了信号により、ガイドレール(10)の直線部(13)から前記退避レール(20)へメンテナンスシャトル(12)を退出するよう、メンテナンスシャトル(12)を動作制御することを特徴とする。
請求項7に係る発明によれば、メンテナンスシャトルの、ガイドレールへの進入時と、ガイドレールからの退出時の動作を、走行中のリニアシャトルの位置との関係で、送入レールからの進入タイミングと、退避レールへの退出タイミングを適正タイミングにより行うことができる。
【0013】
請求項8に係る発明では、メンテナンス時期を設定し、その設定したメンテナンス時期に、前記メンテナンスシャトル(12)を前記送入レール(19)から前記ガイドレール(10)に進入させて所定時間走行した後に、メンテナンスシャトル(12)をガイドレール(10)から前記退避レール(20)へ退出させるよう、リニアシャトルを動作制御するようにしたことを特徴とする。
請求項8に係る発明によれば、予め設定しておいたメンテナンス作業時期になると、リニアシャトルの搬送動作中または搬送動作を休止して、メンテナンスシャトルをガイドレール内に自動で進入してガイドレールのメンテナンスを実施するように、リニアシャトルの動作を制御することができる。このため、作業者によるメンテナンス作業を実施する必要がない。
【0014】
請求項9に係る発明では、前記リニアシャトルは、各種の物品処理作業を実施可能に物品の支持部を備えた複数のワークシャトル(11)と、前記拭き延ばしローラ(31)を備えたメンテナンスシャトル(12)と、を設け、ワークシャトル(11)の走行中において、作業休止中の何れかのワークシャトル(11)をメンテナンスシャトル(12)に入れ替えるように、該メンテナンスシャトル(12)をガイドレール(10)へ進入して走行させると共に、所定のメンテナンス時間走行した後にメンテナンスシャトル(12)をガイドレール(10)から退出させ、該メンテナンスシャトル(12)に代えてワークシャトル(11)を進入させるよう、ワークシャトル(11)とメンテナンスシャトル(12)との交代動作制御を行うようにしたことを特徴とする。
請求項9に係る発明によれば、ワークシャトルの走行中にメンテナンスシャトルがガイドレールに自動で進入してメンテナンス作業を実施すると共に、メンテナンス作業の終了に伴ってメンテナンスシャトルがガイドレールを自動退出するので、メンテナンスのための時間を別途設ける必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給油された潤滑油を、ガイドレールに適量残して拭き延ばしてレール全体をムラ無く給油された状態にしておく作業を、作業者に代わって実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】リニア搬送装置を示す概略平面図である。
図2】リニア搬送装置を示す要部概略斜視図である。
図3】リニア搬送装置を示す要部概略斜視図である。
図4】メンテナンスシャトルを一部切欠いて示す要部概略斜視図である。
図5】メンテナンスシャトルを一部切欠いて示す要部断面図である。
図6】リニア搬送装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係るリニア搬送装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0018】
図1図2図3に示す如く、リニア搬送装置は、物品の搬送路に沿って延在するガイドレール10と、該ガイドレール10に沿ってリニアモータ駆動によって走行可能に、物品の搬送処理を行う(リニアシャトルからなる)ワークシャトル11およびメンテナンスシャトル12と、を備える。ガイドレール10は、互いに平行な直線部13,13と、両直線部13,13を接続する2つの弧状のリターン部14,14とから周回するループ状に形成される。ガイドレール10には、複数のワークシャトル11が走行可能に支持されて、各ワークシャトル11には物品を搬送処理(各種の処理作業)するための、図示しない各種支持部材(支持部)が配設される。物品は、複数のワークシャトル11に配設された異なる支持部材の組み合わせにより支持する場合や、あるいは、各ワークシャトル11に配設された個別の支持部材によって支持する場合などによって、物品をガイドレール10に沿って搬送する。また、ガイドレール10には、搬送軌道全長に亘ってコイル10aが内装されたリニアガイド15と、該リニアガイド15の上方と下方に近接して配設された溝付きレール16と、平面レール17とで構成される。溝付きレール16には、ガイドレール10の周回方向と交差する幅方向に所定間隔で形成された、2列のV溝(溝)16aが周回する側面に周回方向(リニアシャトルの走行路)に延在するように形成され、平面レール17は、周回する側面がフラットな平面により形成されている。ワークシャトル11およびメンテナンスシャトル12のシャトル本体18に設けた永久磁石の磁力によって、シャトル本体18がリニアガイド15の表面に引き寄せられ、後述する第1のガイドローラ28および拭き延ばしローラ31が溝付きレール16のV溝16aに嵌り込んで密着すると共に、第2のガイドローラ30が平面レール17の表面に当接した状態で、コイル10aへの通電が制御されてワークシャトル11およびメンテナンスシャトル12とからなるリニアシャトルがガイドレール10に沿って走行するリニアモータ駆動により動作制御される。なお、リニアガイド15は、磁石を吸着する鉄等の金属からなる強磁性体や前記コイル10aの鉄心に対してシャトル本体18の永久磁石を引き寄せるように磁力が作用するよう構成されて、コイル10aへ通電されていない場合においても、リニアシャトルは、磁力によってガイドレール10に対して保持状態となるよう構成されている。
【0019】
図1図2に示す如く、リニア搬送装置は、前記ガイドレール10における一方のリターン部14には、該リターン部14から一方の直線部13へ移行する接続部に対応する位置に所定間隔離間して、直線部13の外側に平行で直線軌道として延びる送入レール19が配設されると共に、リターン部14から他方の直線部13へ移行する接続部に対応する位置に所定間隔離間して、直線部13の外側に平行で直線軌道として延びる退避レール20が配置されている。送入レール19および退避レール20は、ガイドレール10と同様に、コイル19a,20aを内装したリニアガイド21,22と、該リニアガイド21,22の上部に設けられて直線部13との対向面に所定間隔で2列のV溝23a,24aが形成された溝付きレール23,24および下部に設けられて直線部13との対向面がフラットな平面に形成された平面レール25,26とで構成される。また、メンテナンスシャトル12は、シャトル本体18の一方の側が前記ガイドレール10に対向する状態で該ガイドレール10に磁力で引き寄せられて走行し得ると共に、シャトル本体18の他方の側が前記送入レール19や退避レール20に対向する状態で該レール19,20に引き寄せられて走行し得るよう、ガイドレール10との離間間隔が設定されている。そして、ガイドレール10、送入レール19および退避レール20の各コイル10a,19a,20aへの通電を制御することで、送入レール19のメンテナンスシャトル12をガイドレール10の直線部13に進入させたり、直線部13のメンテナンスシャトル12を退避レール20へ退出させたりすることができるよう構成される。すなわち、送入レール19は、直線部13に向けたメンテナンスシャトル12の進入路を形成し、退避レール20は、直線部13からのメンテナンスシャトル12の退出路を形成している。なお、送入レール19および退避レール20の軌道長さは、複数基のメンテナンスシャトル12を待機させ得る長さに設定される。
【0020】
前記ワークシャトル11および前記メンテナンスシャトル12の基本構造は同じであるので、共通部分についてはメンテナンスシャトル12を挙げて説明する。
【0021】
図3図4図5に示す如く、メンテナンスシャトル12には、前記シャトル本体18の一端部から上方に延びるホルダ27が配設される。ホルダ27には図示しない搬送装置用の各種支持部材が配設される。また、ホルダ27は、ポスト36と、上下の関係で離間してポスト36から左右に延出する取着部36a,36aを有し、第1のガイドローラ28がポスト36を挟んだ左右に所定距離離間する配置となって各取着部36aに、前記V溝16aの離間間隔と同じ間隔により自由回転可能に軸支される。第1のガイドローラ28は、各取着部36aに配設された支軸37に、軸受を介して回転可能に支持される。各第1のガイドローラ28は、ガイドレール10、送入レール19および退避レール20における夫々のV溝16a,23a,24aに嵌り込んでメンテナンスシャトル12の走行を案内する。第1のガイドローラ28は、エンジニアリングプラスチック材により形成されており、その外周が山形に突出し、2つの第1のガイドローラ28,28の一方と他方が、前記2列のV溝16a,16a/23a,23a/24a,24aの一方と他方とに夫々分かれて嵌り込む配置となるよう、前記ホルダ27に、2つのガイドローラ28,28が各レール10,19,20の延在方向に対して斜めに位置付くように支持される。また、シャトル本体18の他端部から下方に突出するサブホルダ29は、上下の関係でサブホルダ29から左右に延出する取着部29a,29aを有し、第1のガイドローラ28,28と同じ軸間距離で各レール10,19,20の延在方向に対して斜めに離間する配置となるように、取着部29a,29aに自由回転可能に支持された2つの第2のガイドローラ30がサブホルダ29に配設されている。第2のガイドローラ30は、平らな外周面を備えたローラであって、ガイドレール10、送入レール19および退避レール20に設けた平面レール17,25,26の一側面となる平らな表面に、第2のガイドローラ30が外周面を当接して回転するよう構成される。そして、メンテナンスシャトル12が、磁力によってガイドレール10、送入レール19または退避レール20に引き寄せられることで、第1のガイドローラ28が溝付きレール16,23,24のV溝16a,23a,24aに嵌り込むと共に、第2のガイドローラ30の外周面が平面レール17,25,26の表面に当接された状態で、ガイドレール10,19,20に設けた前記リニアガイド15,21,22とシャトル本体18との対向面間に隙間を設けて、メンテナンスシャトル12が各レール10,19,20に沿って自由に走行するよう構成される。
【0022】
図4図5に示す如く、前記ホルダ27には、前記各取着部36aの支軸37に、対応する第1のガイドローラ28と同軸で拭き延ばしローラ31が軸受を介して自由回転可能に支持されている。拭き延ばしローラ31は、スペーサ34によって第1のガイドローラ28に対して軸方向に一定間隔で離間して配置されており、ホルダ27に軸支される2つの拭き延ばしローラ31,31は、レール10,19,20の延在方向に対して2つの第1のガイドローラ28,28とは反対(逆)の斜めに位置付くように配置される。拭き延ばしローラ31は、第1のガイドローラ28と略同形状で形成され、ガイドレール10のV溝16aに嵌り込むよう、外周(周面)がV溝16aに沿う山形に突出する突出部31aと、該突出部31aの軸方向両端部に接続する小径の段差部31b,31bとから構成される。段差部31b,31bは、V溝16aの形成面における該V溝16aを挟む上下両側の平らに形成されたレールの細幅面部(レール表面)16bに、段差部31b,31bの外周面が当接するよう構成される。拭き延ばしローラ31は、第1のガイドローラ28より外寸が、例えば0.5ミリなど、1ミリ以内のサイズ差となる、僅かに大きなサイズにより形成されている。それにより、磁力でガイドレール10に引き寄せられて圧着された状態で、突出部31aが弾性変形してV溝16aに隙間なく接して密着すると共に、段差部31b,31bがV溝16aを挟む上下両側の細幅面部16b,16bのレール表面に接して、V溝内および該V溝16aの上下に連続して形成される細幅面部16b,16bのレール表面に付着している潤滑油を拭き延ばし得るよう構成される。拭き延ばしローラ31,31は、第1のガイドローラ28,28と同軸に、ホルダ27に対して前記2列のV溝16a,16aの離間間隔に対応して、上下に離間して支持されることで、各拭き延ばしローラ31が2列のV溝16a,16aの夫々に分かれて嵌り込み可能に配設される。本実施例では、ガイドレール10に設けたV溝16aおよびV溝の両側に続くガイドレール10の表面に形成された所定範囲となる細幅面部16bが、拭き延ばしローラ31が密着して油を拭き延ばすべき領域の溝部となる。なお、段差部31bが細幅面部16bに密着する幅方向(ガイドレール10の延在方向と交差する方向)の前記所定範囲は、幅方向の全域でなくともよく、複数のV溝16aの間隔やV溝16aの外側のレール表面形成幅などの条件により、少なくともV溝16aから漏れ出た油を拭き延ばすことが可能な範囲内であればよい。
【0023】
前記拭き延ばしローラ31は、前記V溝16aと密着状態で回転しながらメンテナンスシャトル12の走行範囲全域に亘り前記ガイドレール10に付着した余分な潤滑油(余剰潤滑油)を吸収して拭き延ばし可能な、適度な硬度と油含侵性と、を備えた、ポリウレタンスポンジ多孔質体(弾性体)よりなる材料から形成される。本実施例では、アスカーF型硬度計(タイプDデュロメータ)による硬さ試験での硬度が81となるトーヨーポリマー株式会社製のポリウレタンスポンジにより形成された拭き延ばしローラ31を採用することで、拭き延ばしローラ31により、レール表面(V溝16a内および細幅面部16の表面)に対する潤滑油の拭き延ばし作用と余分な潤滑油の吸い取り作用とが得られ、潤滑油が適度に含浸した拭き延ばしローラ31により、メンテナンスシャトル12の走行範囲全域に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばし得ることが確認できた。すなわち、拭き延ばしローラ31は、給油されている潤滑油を拭き取ってしまうことなく、レールへ圧着された際に、適度に変形を伴ってレール表面へ隙間なく密着し、ガイドレール10に付着した余分な潤滑油を吸収して拭き延ばし可能な所定サイズに形成されたスポンジやフエルト等の材質からなる拭き延ばしローラ31が用いられることが望ましい。なお、拭き延ばしローラ31は、少なくとも周面が、前記材質の弾性体から構成されていれば、エンジニアリングプラスチック材よりなる本体の外周を所定厚みの弾性体で被覆したものであってもよい。
【0024】
図4に示す如く、前記ワークシャトル11には、前記ホルダ27に設けた給油口27aから給油路27bを経て滴下した潤滑油が含浸する油含侵体32が、各第1のガイドローラ28に対応して設けられており、フエルトからなる各油含侵体32に第1のガイドローラ28の表面が接触するよう構成されて、油含侵体32の潤滑油が、第1のガイドローラ28を介して前記V溝16aに転移されるよう構成される。また、本実施例では、給油口27aへの給油は、作業者によって定期的に行われる。なお、前記メンテナンスシャトル12は、パーツ兼用の観点から油含浸体32を備えたものであっても良い。また、レールメンテナンス時には、油含浸体32には油が浸透していない、無給油状態のメンテナンスシャトル12を走行させることが推奨される。
【0025】
図6に示す如く、リニア搬送装置の制御部33には、前記ガイドレール10のコイル10a、前記送入レール19のコイル19aおよび前記退避レール20のコイル20aが、該コイル10a,19a,20aへの通電を制御可能に接続される。また、制御部33には、メンテナンス作業時におけるメンテナンスシャトル12の周回数や時間などの各種データを入力、設定可能なタッチパネルなどの操作パネルからなる動作開始信号入力手段35が接続される。リニア搬送装置では、前記送入レール19に待機しているメンテナンスシャトル12のガイドレール10への進入およびガイドレール10から退避レール20へのメンテナンスシャトル12の退出は、搬送装置の稼働時間や、ワークシャトル11の走行距離などの装置運転情報やメンテナンス日を、動作開始信号入力手段35によってカレンダ設定するなどによる、メンテナンス時期の設定を行う。そして、制御部33は、設定されたメンテナンススケジュールに従って所定のメンテナンスタイミングとなった際に入力されるメンテナンス開始信号により、メンテナンスシャトル12をガイドレール10へ送り込み動作し、設定された時間や周回数だけメンテナンスシャトル12がガイドレール10を周回した後のメンテンス終了信号により、メンテナンスシャトル12をガイドレール10から自動退出させるよう、メンテナンスシャトル12を動作制御する。本実施例では、このようなレールメンテナンス動作制御運転が自動で実施される。また、本実施例では、レールメンテナンス動作制御運転は、リニア搬送装置による搬送処理作業中(ワークシャトル11の走行中)であって、処理作業を休止しているワークシャトル11とメンテナンスシャトル12とを入れ替えるよう、ワークシャトル11とメンテナンスシャトル12との交代動作制御を行う。
【0026】
次に、実施例に係るリニア搬送装置の作用について説明する。
前記油含浸体32に含まれた潤滑油が第1のガイドローラ28の表面に塗布されたワークシャトル11が、前記ガイドレール10を走行するのに伴って、溝付きレール16のV溝16aに塗り広げられた潤滑油は、複数のワークシャトル11による連続走行が繰り返されることで、V溝16aとその周りのガイドレール10の表面には、必要以上の潤滑油が塗布された状態となる。そのような場合において、過度に給油された潤滑油が飛び散るなどして、周りを汚したりする前に、以下のレールメンテナンス制御が実施される。前記制御部33は、メンテナンススケジュールに従って所定のメンテナンスタイミングとなって入力されるメンテナンス開始信号によって、走行中で処理作業を休止している複数のワークシャトル11の内の1つが退避レール20の設置位置に到達するタイミングに合わせて、ガイドレール10および退避レール20のコイル10a,20aを通電制御し、ワークシャトル11の内の1つまたは数個のワークシャトル11を退避レール20に退出させる。また、制御部33は、送入レール19およびガイドレール10のコイル19a,10aを通電制御し、退出したワークシャトル11に代えて、送入レール19に吸着させて待機していたメンテナンスシャトル12を、ワークシャトル11の退出数と同数送入レール19からガイドレール10の走行中の各ワークシャトル11の間に進入させる。メンテナンスシャトル12の進入動作は、送入レール19のコイル19aを通電制御してメンテナンスシャトル12を、シャトル本体18がガイドレール10の直線部13と対向する位置まで移動した状態で、送入レール19およびガイドレール10のコイル19a,10aを通電制御して、メンテナンスシャトル12を直線部13に引き寄せて吸着させる。これにより、直線部13に移行したメンテナンスシャトル12は、リニア搬送装置による搬送処理中に走行中のワークシャトル11の間に位置して、ガイドレール10に吸着されて所定回数ガイドレール10のループを周回する。メンテナンスシャトル12がガイドレール10を走行する際には、溝付きレール16のV溝16aに嵌って回転する拭き延ばしローラ31は、突出部31aがV溝16aに嵌り込んで密着し、段差部31b,31bが2列のV溝16aの間の細幅面部16bおよび両V溝16aの外側に位置する細幅面部16bのレール表面に密着して回転する。それにより、V溝16aとその他のレール表面の余分な潤滑油は、拭き延ばしローラ31によって吸収されると共に、ガイドレール全域が一様に適度な給油状態となるように拭き延ばされる。すなわち、搬送運転によるワークシャトル11の連続走行に伴う第1のガイドローラ28とガイドレール10との摩耗を効果的に防止できる。
【0027】
前記制御部33は、メンテナンスシャトル12が、予め設定された回数分についてガイドレール10を周回走行した後に、ガイドレール10および退避レール20のコイル10a,20aを通電制御し、メンテナンスシャトル12をガイドレール10から退避レール20に退出させる。メンテナンスシャトル12の退出動作は、メンテナンスシャトル12のシャトル本体18が退避レール20と対向する位置まで移動したタイミングで、退避レール20およびガイドレール10のコイル20a,10aの通電制御が行われ、磁力が退避レール20に切り替わって引き寄せられて、退避レール20に移行したメンテナンスシャトル12は、退避レール20の下流へ送り出される。また、制御部33は、退避レール20から送入レール19へ移し替えたワークシャトル11を、所定タイミングでガイドレール10に進入させて通常の搬送運転へ復帰するよう、送入レール19およびガイドレール10のコイル19a,10aを通電制御する。なお、潤滑油の拭き取りメンテナンスに際し、ワークシャトル11とメンテナンスシャトル12との交代は同数ずつで、リニア搬送装置の搬送運転中にメンテナンス運転を実施するのが生産効率の点から望ましいが、両シャトル11,12の交代数は、搬送運転条件その他の条件次第では同数でなくても良いし、搬送運転中にメンテナンス運転を行うことに限るものではない。
【0028】
実施例のリニア搬送装置では、メンテナンスシャトル12は、V溝16aおよびV溝16aを挟む上下の細幅面部16b,16bのレール表面に密着する拭き延ばしローラ31を備えているので、メンテナンスシャトル12をガイドレール10に沿って周回走行することで、第1のガイドローラ28からV溝16aに転移した潤滑油を、拭き取ってしまうことなく、ガイドレール10のローラ走行軌道に適量の油が塗布された状態となるように、塗布された油を均等(均一)に拭き延ばすことができる。すなわち、V溝16a内や、該V溝16aから漏れ出た余分な潤滑油が拭き延ばしローラ31によって吸収されて拭き延ばされ、ガイドレール10の周囲やワークシャトル11により支持して搬送される物品が汚れたり、拭き残されて劣化した潤滑油によってワークシャトル11のスムーズな走行が阻害されたりするのを未然に防止することができると共に、ガイドレール10や第1のガイドローラ28の摩耗(消耗)を効果的に抑制することができる。また、メンテナンスシャトル12には、ガイドレール10に上下に2列で設けたV溝16aに対応して幅方向に離間して2つの第1のガイドローラ28,28を備えると共に、各第1のガイドローラ28と同軸で拭き延ばしローラ31を設けたので、ガイドレール10に沿ってメンテナンスシャトル12を安定して走行させることができ、拭き延ばしローラ31を各V溝16aおよびV溝16aの上下の細幅面部16b,16bのレール表面に均等な圧力で密着させることができ、2列のV溝16aに潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。また、拭き延ばしローラ31は、V溝16aと密着状態で回転することを維持可能な硬度と、メンテナンスシャトル12の走行範囲全域のガイドレール10に付着した潤滑油を拭き延ばし可能な油含侵性と、を有する材料から形成されているので、拭き延ばしローラ31が大きく変形することなく、メンテナンスシャトル12の走行範囲全域のV溝16aおよびV溝16aの上下の細幅面部16b,16bのレール表面に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0029】
実施例のリニア搬送装置では、搬送処理中において、予め設定したメンテナンス時期に自動でメンテナンスシャトル12をガイドレール10に進入させて複数回周回させた後にガイドレール10から自動退出させるようにすることで、メンテナンスのための時間を別途設ける必要がなく、生産効率が大幅に向上すると共に、作業者による手動操作や清掃忘れなどに対応できる。すなわち、メンテナンスが長期間に亘って行われない事態が発生するのを防ぐことができ、ガイドレール10のメンテナンスを適時に自動で行って、ガイドレール10を適正な状態に維持することができる。また、作業者によるメンテナンス作業を実施する必要はないので、省力化を図ることができる。
【0030】
実施例のリニア搬送装置では、ループ状に形成したガイドレール10の直線部13,13に対してメンテナンスシャトル12を進入させる送入レール19および退出させる退避レール20を設けたので、ワークシャトル11による搬送動作中であってもガイドレール10にメンテナンスシャトル12をスムーズに送り込むことができる。また、メンテナンスシャトル12の、ガイドレール10への進入時と、ガイドレール10からの退出時の動作を、走行中のワークシャトル11の位置との関係で、送入レール19からの進入タイミングと、退避レール20への退出タイミングを適正タイミングにより行うことができる。
【0031】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用することができる。
(1) ガイドレール10は、水平方向へ周回するループ状に限られものでなく、シャトル11,12が直線状に移動する、上下方向へ周回するなど、の実施態様としても良い。
(2) メンテナンスシャトル12の送入レール19への配置や退避レール20からの回収は、作業者が行うことなく、退避レール20から送入レール19へメンテナンスシャトル12を自動で送る接続路を設ける構成を採用するようにしてもよい。
(3) 拭き延ばしローラ31は、第1のガイドローラ28と同軸に設けて2列のV溝16a,16aに合わせた間隔で配置する構成の他に、同軸心状の別の支軸に配置する形態を採用しても良い。また、拭き延ばしローラ31は、第1のガイドローラ28と偏心した支軸に配設するよう構成してもよい。
(4) 第1のガイドローラ28と拭き延ばしローラ31とを一体で形成し、拭き延ばしローラ31のみ、ポリウレタンスポンジ多孔質体(弾性体)よりなる材料の被覆材で被覆した構成を採用するようにしてもよい。
(5) 実施態様では、ワークシャトル11を、給油口27aから給油した潤滑油が第1のガイドローラ28の表面に塗布される給油態様として説明したが、作業者がガイドレール10のV溝16aに給油したり、あるいは、ガイドレール10の所定の位置に設けた自動油滴下手段などにより自動給油される態様であったりしても良い。
(6) 実施態様では、2列のV溝16aに、該溝形状に密着可能な山形形状による第1のガイドローラ28が嵌り込む態様として説明したが、他の溝形状や、異なる溝の列数に対応したメンテナンスシャトル12やワークシャトル11を採用することができる。
(7) 第2のガイドローラ30においても、実施例とは異なる他の実施態様を採用するメンテナンスシャトル12やワークシャトル11による構成を採用することができる。
(8) 実施態様では、予め設定されたメンテナンス時期に応じて自動でメンテナンス運転を行うようにしたが、タッチパネルに表示したシャトルメンテスイッチや、別途設けた押しボタンスイッチや、その他の各種切り替えスイッチなどの動作開始信号入力手段の作業者によるスイッチ操作によって制御部33に入力されるメンテナンス開始信号によりメンテナンス運転を開始させ、メンテナンスシャトル12の所定時間あるいは所定回数分の周回走行によるメンテナンス終了信号によって、メンテナンス運転を自動終了させるようにリニアシャトルを動作制御する構成を採用することができる。また、必要に応じて、メンテナンスモードを設け、タッチパネル(動作開始信号入力手段35)により切り替え設定されたメンテナンスモードでの運転時に、メンテナンスシャトル12をガイドレール10へ進入させる構成を採用することができる。
(9) 実施態様では、リニア搬送装置による物品の搬送作業中に、メンテナンスシャトル12によりメンテナンスを同時に行うよう構成したが、リニア搬送装置による物品の搬送作業を中断したもとで、メンテナンスシャトル12をガイドレール10に進入させてメンテナンスを行う構成を採用することができる。なお、実施態様では物品を支持する支持部材を備えていないメンテナンスシャトル12によってメンテナンス作業を行うようにしたが、支持部材を備えたメンテナンスシャトル12をワークシャトル11として兼用することで、部品の共通化を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
10 ガイドレール,11 ワークシャトル,12 メンテナンスシャトル
13 直線部,14 リターン部,16a V溝(溝,溝部)
16b 細幅面部(溝の両側のレール表面,溝部),19 送入レール,20 退避レール
28 第1のガイドローラ(ガイドローラ),31 拭き延ばしローラ,31a 突出部
31b 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6