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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127617
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】外観検査装置、及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240912BHJP
   G06T 3/14 20240101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G06T3/00 750
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036886
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 信吾
【テーマコード(参考)】
2G051
5B057
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051AC04
2G051AC15
2G051CA04
2G051EA12
2G051EA14
2G051ED02
5B057AA03
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE08
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】基板の画像を複数合成し、合成画像を生成する際に、合成画像において、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目において画像の不連続点が発生することを防止することを可能とする外観検査装置、及び外観検査方法を提供する。
【解決手段】外観検査装置は、隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像部と、重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理部と、所定の処理を実施した二の撮像画像を合成し、合成画像を生成する画像生成部と、所定の量、及び合成画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、を備え、所定の処理は、二の撮像画像のうち、最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、所定の方向に向かって濃度を下げ、次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外観検査を実行する外観検査装置であって、
軸に沿って所定の方向に水平移動しつつ、隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像部と、
前記撮像部から取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理部と、
前記画像処理部による前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成画像を生成する画像生成部と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成部が生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、を備え、
前記画像処理部による前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査装置。
【請求項2】
前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う前記所定の量を、自動的に設定する設定部をさらに備え、
前記表示部は、前記設定部が前記所定の量を自動的に設定する旨を表示することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記画像処理部が前記所定の処理を実施した後の、
前記第1の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向に向かって直線状に減少し、
前記第2の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向と反対の方向に向かって直線状に減少することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記所定の量、及び前記撮像部から取得した前記二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記撮像部から取得した任意の撮像画像において、前記基板における特定の箇所が前記隣り合う二の撮像視野に亘って分布しているか否かを判断する判断部をさらに備え、
前記判断部が、前記隣り合う二の撮像視野において、前記基板における前記特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布していると判断した場合にのみ、前記画像処理部は、前記所定の処理を実施することを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記特定の箇所は、前記基板の表面に形成されたビアであることを特徴とする、請求項5に記載の外観検査装置。
【請求項7】
基板の外観検査を実行する外観検査方法であって、
隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像工程と、
前記撮像工程において取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理工程と、
前記画像処理工程において前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成
画像を生成する画像生成工程と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成工程において生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示工程と、を有し、
前記画像処理工程における前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査方法。
【請求項8】
前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う前記所定の量を、自動的に設定する設定工程をさらに有し、
前記表示工程においては、前記設定工程において前記所定の量を自動的に設定する旨を表示することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の外観検査方法。
【請求項9】
前記画像処理工程において前記所定の処理を実施した後の、
前記第1の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向に向かって直線状に減少し、
前記第2の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向と反対の方向に向かって直線状に減少することを特徴とする、請求項7に記載の外観検査方法。
【請求項10】
前記表示工程においては、前記所定の量、及び前記撮像工程において取得した前記二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することを特徴とする、請求項7に記載の外観検査方法。
【請求項11】
前記撮像工程において取得した任意の撮像画像において、前記基板における特定の箇所が前記隣り合う二の撮像視野に亘って分布しているか否かを判断する判断工程をさらに有し、
前記判断工程において、前記隣り合う二の撮像視野においても、前記基板における前記特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布していると判断した場合にのみ、前記画像処理工程において前記所定の処理を実施することを特徴とする、請求項7に記載の外観検査方法。
【請求項12】
前記特定の箇所は、前記基板の表面に形成されたビアであることを特徴とする、請求項11に記載の外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の外観検査を実行する外観検査装置、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画像を撮像する撮像手段と、複数の画像のうち、隣り合う画像の間の輝度の差に基づいて、画像にグラデーション状のゲインをかける調整手段と、調整手段がグラデーション状のゲインをかけた後の画像に対して合成を行い、合成画像を生成する合成手段と、を有する撮像装置が公知である。当該撮像装置を用いてパノラマ撮像を行う際には、撮像画像に対してグラデーション状のゲインをかけるために、合成画像における輝度段差を低減することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記の合成画像を自然に生成するためには、隣り合う画像の間の輝度の差の他、例えば隣り合う画像の各々に係る撮像視野の間隔等も問題となり得る。具体的には、基板の外観検査を行う外観検査装置が備える、軸に沿って所定の方向に移動可能なカメラを用いて、基板を連続して撮像する場合について例示する。このとき、隣り合う撮像視野の間隔を空けず、かつ、それらの撮像視野が互いに重なり合わないように撮像するものとする。このように撮像した結果、生成された合成画像において、撮像視野どうしのつなぎ目において画像の不連続点が発生する虞がある。
【0004】
この不連続点は、合成画像において基板の外観検査を行う際に、不良として過検出される虞がある。また、外観検査を行う領域を指定する際に、つなぎ目を境目として、生成された合成画像を構成する画像のうち、いずれの画像を基準とすればよいか、判断することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-120194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件開示の技術は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板の画像を複数合成し、合成画像を生成する際に、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目において画像の不連続点が発生することを防止することを可能とする外観検査装置、及び外観検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本開示は、撮像部と、画像処理部と、画像生成部と、表示部と、を備える外観検査装置を含む。本開示においては、外観検査装置を用いて、基板の外観検査を実行する準備を行う。撮像部は、軸に沿って所定の方向に水平移動しつつ、隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、基板の表面を連続して撮像することが可能である。ここで、基板の表面における、外観検査の対象箇所の一例としては、基板の表面に形成されたビア等が挙げられる。
【0008】
画像処理部は、撮像部から取得した、隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して以下の処理を実施する。すなわち、二の撮像画像のうち、一方の撮像画像に対しては、その撮像画像における所定の位置から、所定の方向に向かって濃度を下げる処理を実施する。
もう一方の撮像画像に対しては、その撮像画像における所定の位置から、所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理を実施する。なお、撮像画像の濃度を下げることは、撮像画像の透明度を上げることを示す。
【0009】
画像生成部は、二の撮像画像の各々のうち、上記の処理を実施した領域の濃度どうしを互いに加算し、新たに一の合成画像を生成する。表示部は、重なり合い領域における所定の量、及び画像生成部が生成した合成画像の少なくとも何れかを表示する。
【0010】
より詳細には、
基板の外観検査を実行する外観検査装置であって、
軸に沿って所定の方向に水平移動しつつ、隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像部と、
前記撮像部から取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理部と、
前記画像処理部による前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成画像を生成する画像生成部と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成部が生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示部と、を備え、
前記画像処理部による前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査装置を含む。
【0011】
このようにして生成した合成画像には、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目に段差等の不連続箇所が発生しない。そのため、本開示における外観検査装置を用いることによって、合成画像において基板の外観検査を行う際に、つなぎ目の不連続箇所が不良として過検出されることを抑制することが可能である。また、外観検査を行う領域を指定する際に、つなぎ目を境目として、生成された合成画像を構成する画像のうち、いずれの画像を基準とすればよいか判断できない問題を解消することも可能である。すなわち、本開示における外観検査装置は、基板の外観検査の精度を向上させることが可能である点において有用である。
【0012】
また、本開示においては、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う前記所定の量を、自動的に設定する設定部をさらに備え、前記表示部は、前記設定部が前記所定の量を自動的に設定する旨を表示することが可能であることとしてもよい。これによれば、設定部は、所定の量を容易に設定することが可能であると共に、外観検査装置のユーザは、設定部による設定内容を確認しつつ、合成画像を確認することが可能である。
【0013】
なお、所定の量を大きく設定した場合は、二の撮像画像の各々における重なり合い領域の面積も大きくなる。その結果、重なり合い領域における位置の差異による濃度の変化率を抑制することが可能であり、これによって、濃度のムラ等の発生が抑制され、画像生成部は、高画質な合成画像を生成することが可能である。反対に、所定の量を小さく設定した場合は、撮像部の撮像にかかる工数が少なくなるため、画像生成部が合成画像を生成するために要するタクトタイムを抑制することが可能である。その結果、生産に要する時間を短縮し、生産性を向上させることが可能である。また、設定部は、基板の検査対象箇所の大きさや形状に基づいて、所定の量を自動的に設定してもよい。
【0014】
また、本開示においては、前記画像処理部が前記所定の処理を実施した後の、前記第1の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向に向かって直線状に減少し、前記第2の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向と反対の方向に向かって直線状に減少することとしてもよい。ここで、直線状に減少するとは、一次関数的に減少することである。すなわち、より容易な演算に基づいて濃度を変化させることが可能である。なお、減少の仕方は直線状に制限しない。
【0015】
また、本開示においては、前記表示部は、前記所定の量、及び前記撮像部から取得した前記二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することとしてもよい。これによれば、ユーザは、所定の量や二の撮像画像の各々の位置を示す座標を容易に確認し、必要な場合にはそれらを調整することが可能である。その結果、画像生成部は、高精度に合成画像を生成することが可能である。
【0016】
また、本開示においては、前記撮像部から取得した任意の撮像画像において、前記基板における特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布しているか否かを判断する判断部をさらに備え、前記判断部が、前記任意の撮像画像のいずれにおいても、前記基板における前記特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布していると判断した場合にのみ、前記画像処理部は、前記所定の処理を実施することとしてもよい。
【0017】
反対に言えば、判断部が、任意の撮像画像のいずれかにおいても、基板における特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布していないと判断した場合には、一の撮像画像に基づいて特定の箇所の外観検査を実施することが可能である。すなわち、画像生成部が合成画像を生成する必要が無いため、特定の箇所の外観検査を実施するまでに要する工数を削減し、生産性を向上させることが可能である。
【0018】
また、本開示においては、前記特定の箇所は、前記基板の表面に形成されたビアであることとしてもよい。ビアの検査項目の一つとして、例えばビアの径の測定が挙げられる。ビアの径の測定にあたっては、合成画像において、ビアの形状が明確に表示されることが重要である。そのため、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目の不連続箇所が発生しないようにビアの合成画像を生成することは、ビアの径の測定を行うにあたって有用である。
【0019】
また、上記の課題を解決するための本開示は、
基板の外観検査を実行する外観検査方法であって、
隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像工程と、
前記撮像工程において取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理工程と、
前記画像処理工程において前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成画像を生成する画像生成工程と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成工程において生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示工程と、を有し、
前記画像処理工程における前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査方法を含んでもよい。
【0020】
本開示における外観検査装置以外の外観検査装置を、本開示における外観検査方法に適
用することによっても、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目の不連続箇所が発生しない合成画像を生成することが可能である。
【0021】
また、本開示においては、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う前記所定の量を、自動的に設定する設定工程をさらに有し、前記表示工程においては、前記設定工程において前記所定の量を自動的に設定する旨を表示することが可能であることとしてもよい。これによれば、設定工程において、所定の量を容易に設定することが可能であると共に、表示工程において、設定工程における設定内容を確認しつつ、合成画像を確認することが可能である。
【0022】
また、本開示においては、前記画像処理工程において前記所定の処理を実施した後の、前記第1の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向に向かって直線状に減少し、前記第2の撮像画像における前記重なり合い領域の濃度は、前記所定の方向と反対の方向に向かって直線状に減少することとしてもよい。これによれば、第1の撮像画像及び第2の撮像画像の各々における重なり合い領域において、任意の箇所の位置座標を求めることによって、その箇所の濃度を算出することが可能である。
【0023】
また、本開示においては、前記表示工程においては、前記所定の量、及び前記撮像工程において取得した前記二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することとしてもよい。これによれば、表示工程において、所定の量や二の撮像画像の各々の位置を示す座標を容易に確認し、必要な場合にはそれらを調整することが可能である。その結果、画像生成工程において、高精度に合成画像を生成することが可能である。
【0024】
また、本開示においては、前記撮像工程において取得した任意の撮像画像において、前記基板における特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布しているか否かを判断する判断工程をさらに有し、前記判断工程において、前記任意の撮像画像のいずれにおいても、前記基板における前記特定の箇所が複数の撮像視野に亘って分布していると判断した場合にのみ、前記画像処理工程において前記所定の処理を実施することとしてもよい。これによれば、判断工程における判断結果によっては、画像生成工程において合成画像を生成する必要が無いため、特定の箇所の外観検査を実施するまでに要する工数を削減し、生産性を向上させることが可能である。
【0025】
また、本開示においては、前記特定の箇所は、前記基板の表面に形成されたビアであることとしてもよい。生成工程において、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目の不連続箇所が発生しないようにビアの合成画像を生成することは、ビアの径の測定を行うにあたって有用である。
【0026】
なお、上記の課題を解決するための手段は、可能な限り互いに組み合わせて用いることができる。
【発明の効果】
【0027】
本件開示の技術によれば、基板の画像を複数合成し、合成画像を生成する際に、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目において画像の不連続点が発生することを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施例1に係る外観検査装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、実施例1に係る外観検査装置を用いて回路基板を撮像する方法を示す模式図である。
図3図3は、実施例1に係る外観検査装置の機能構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、実施例1に係る設定部の設定内容を表示する、表示部の表示画面の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施例1に係る画像処理部が実施する所定の処理を具体的に説明するための模式図である。
図6図6A及び図6Bは、実施例1に係る画像処理部が実施する所定の処理をさらに詳細に説明するための模式図である。図6Aにおいては、実施例1に係る第1の撮像画像における重なり合い領域に対する所定の処理について説明する。図6Bにおいては、実施例1に係る第2の撮像画像における重なり合い領域に対する所定の処理について説明する。
図7図7は、実施例1に係る外観検査装置を用いた外観検査方法の手順を示すフローチャートである。
図8図8Aは、図7に示す工程を全て実施して生成された、ビアの合成画像の一例である。図8Bは、図8Aに示すビアの合成画像との対比としての、従来の実施例に係るビアの合成画像の一例である。
図9図9は、実施例2に係る外観検査装置の機能構成の一例を示す模式図である。
図10図10は、実施例2に係る外観検査装置を用いた外観検査方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔適用例〕
以下に本開示の適用例の概要について一部の図面を用いて説明する。図1は、本適用例に係る外観検査装置1のハードウェア構成の一例を示す模式図である。本適用例に係る外観検査装置1は、カメラ10、制御装置11、データ管理用サーバ12、端末13、及び第1アクチュエータ14と第2アクチュエータ15が無線または有線の通信回線を介して相互に接続されて構成されている。カメラ10は略矩形のプレート16に設置されており、プレート16はボールねじ装置等の移動軸3に、移動可能に結合している。従って、第1アクチュエータ14の駆動によって、カメラ10は移動軸3の長手方向に沿って水平移動する。なお、カメラ10は、第2アクチュエータ15の駆動により上下方向にも移動可能となっている。
【0030】
制御装置11は、検査対象である回路基板2の撮像画像を生成し、撮像画像を処理することにより、回路基板2の表面の状態が良好であるか不良であるかを判定する。制御装置11は、ハードウェア構成として、例えばCPU等のプロセッサや、RAMやROM等の記憶装置や、外部装置とのインターフェース等を含む。ここで、カメラ10は、本開示における撮像部に相当する。
【0031】
データ管理用サーバ12には、検査プログラムや回路基板2の表面における検査項目及び検査基準を定めた検査内容データが保存されるほか、端末13における処理に必要な様々な情報が登録される。なお、端末13は、据え置き型のものであっても可搬式のものであってもよい。
【0032】
図2は、本適用例に係る外観検査装置1を用いて回路基板2を撮像する方法を示す模式図である。なお、図2においては、カメラ10の撮像視野を図示し、簡単のため、カメラ10や第1アクチュエータ14等については図示を省略する。本適用例においては、カメラ10は、移動軸3の長手方向に沿って、図2に示す矢印の方向に水平移動しつつ、基板2の表面を撮像する。なお、カメラ10は、図2に示す矢印の方向と反対の方向にも移動可能であるが、以下、図2に示す矢印の方向にのみ水平移動するものとする。ここで、図
2に示す矢印の方向は、本開示における所定の方向に相当する。
【0033】
また、図2に示す第1の撮像視野は、カメラ10が基板2の表面を撮像する特定の範囲を示している。同様に図2に示す第2の撮像視野は、カメラ10が第1の撮像視野において基板2の表面を撮像した後に、所定の方向に水平移動し、連続して基板2の表面を撮像する範囲を示している。本適用例においては、基板2の表面を撮像する際には、隣り合う第1の撮像視野と第2の撮像視野が、図2に示す斜線領域の分だけ重なり合うようにする。なお、この重なり合いの量を、以下、オーバーラップ量ともいう。ここで、オーバーラップ量は、本開示における所定の量に相当する。また、本適用例においては、カメラ10は基板2の表面を二回撮像する例を示すが、撮像する回数に制限はない。
【0034】
図3は、本適用例に係る外観検査装置1の機能構成の一例を示す模式図である。本適用例に係る外観検査装置1の制御装置11は、画像処理部110や画像生成部111等を備えて構成される。また、外観検査装置1の端末13は、表示部130等を備えて構成される。本適用例においては、外観検査装置1を用いて回路基板2の外観検査を実行する準備として、最初に、図2を用いて上記で説明したように回路基板2の表面を連続して撮像する。
【0035】
隣り合う二の撮像視野がオーバーラップ量だけ重なり合うように撮像したカメラ10から取得した二の撮像画像の各々においては、当然に二の撮像視野が重なり合う部分が含まれる。画像処理部110は、この二の撮像視野が重なり合う部分に対して所定の処理を実施する。なお、所定の処理については、図5を用いて具体的に後述する。画像生成部111は、画像処理部110による所定の処理を実施した二の撮像画像を合成し、合成画像4を生成する。合成画像4については、後述の図5に図示する。
【0036】
表示部130は、例えば端末13のディスプレイ等であり、カメラ10から取得した二の撮像画像、及び画像生成部111が生成した合成画像4の少なくとも何れかを、外観検査装置1のユーザが認識可能に表示する。表示部130によって、回路基板2の外観検査に係る情報を容易に把握することが可能となる。
【0037】
図5は、本適用例に係る画像処理部110が実施する所定の処理を具体的に説明するための模式図である。図5に示す第1の撮像画像は、図2に示す第1の撮像視野において撮像され、カメラ10から取得した画像である。同様に図5に示す第2の撮像画像は、図2に示す第2の撮像視野において撮像され、カメラ10から取得した画像である。
【0038】
画像処理部110は、カメラ10から取得した第1の撮像画像における、第1の撮像視野と第2の撮像視野が重なり合う部分(すなわち、図2に示す斜線領域)に相当する重なり合い領域に対して、所定の処理を実施する。具体的には、画像処理部110は、第1の撮像画像に含まれる重なり合い領域における、所定の方向(図2に示す所定の方向と同じ、以降も同様)の始点に近い側の端部(すなわち、図5に示す第1の撮像画像における破線)から、所定の方向に向かって濃度を徐々に下げる。同様に、画像処理部110は、第2の撮像画像に含まれる重なり合い領域における、所定の方向の終点に近い側の端部(すなわち、図5に示す第2の撮像画像における破線)から、所定の方向と反対の方向に向かって濃度を徐々に下げる。なお、撮像画像の濃度を下げることは、撮像画像の透明度を上げることを示す。
【0039】
画像生成部111は、重なり合い領域における、所定の方向の始点に近い側(以下、簡単のため左側ともいう)の端部から、所定の方向に向かって濃度を徐々に下げた第1の撮像画像と、重なり合い領域における、所定の方向の終点に近い側(以下、簡単のため右側ともいう)の端部から、所定の方向と反対の方向に向かって濃度を徐々に下げた第2の撮
像画像を合成し、合成画像4を生成する。すなわち、合成画像4においては、各々の撮像画像における、所定の処理を実施した領域の濃度どうしが互いに加算されている。これによって、合成画像4においては、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目の不連続箇所が発生せず、合成画像4を用いて回路基板2の外観検査を実行することが容易となる。なお、このような濃度を下げる処理を経て生成された合成画像4の詳細な具体例については、後述の図8Aに図示する。
【0040】
図3を用いて上記で説明したように、回路基板2の外観検査に係る情報を表示部130が表示するまでのフローについて、図7に示すフローチャートの一部(ステップS102乃至S105)を用いて簡単に説明する。最初に、ステップS102において、隣り合う二の撮像視野がオーバーラップ量だけ重なり合うように、カメラ10を用いて回路基板2の表面を連続して撮像する。ここで、ステップS102は、本開示における撮像工程に相当する。次にステップS103において、画像処理部110は、ステップS102において取得した、二の撮像画像の各々における重なり合い領域に対して、図5を用いて上記で説明したような、濃度を下げる処理を実施する。ここで、ステップS103は、本開示における画像処理工程に相当する。
【0041】
次にステップS104において、画像生成部111は、濃度を下げる処理を実施した二の撮像画像を合成し、合成画像4を生成する。ここで、ステップS104は、本開示における画像生成工程に相当する。最後にステップS105において、表示部130は、ステップS102において取得した二の撮像画像、及びステップS104において生成した合成画像4の少なくとも何れかを表示する。ここで、ステップS105は、本開示における表示工程に相当する。なお、図7に示すフローチャートの詳細については、後述の実施例で説明する。
【0042】
〔実施例1〕
以下、本開示の実施例1に係る外観検査装置1、及び外観検査装置1を用いた外観検査方法について、図面(上記の適用例で一旦説明した図面も含む)を用いてより詳細に説明する。なお、本開示の実施例に係る外観検査装置1、及び外観検査方法は、以下の構成に限定する趣旨のものではない。
【0043】
<構成>
ここで、適用例において説明した図1に示す制御装置11の構成として、再度図3を用いて、設定部112について説明する。なお、本実施例に係る外観検査装置1は、適用例において説明した外観検査装置1と同様の構成を有するため、適用例において説明した内容については、詳細な説明は省略する。また、本明細書では同一の構成要素については同一の符号を用いて説明を行う。
【0044】
図3に図示する設定部112は、オーバーラップ量を自動的に設定する。このとき、設定部112は、回路基板2の検査対象箇所の大きさや形状に基づいて、オーバーラップ量を自動的に設定してもよい。そして、カメラ10は、設定部112が設定したオーバーラップ量に従って、回路基板2の表面を連続して撮像する。また、表示部130は、設定部112がオーバーラップ量を自動的に設定する旨等、設定部112における設定内容を、外観検査装置1のユーザが認識可能に表示する。これによって、設定部112は、オーバーラップ量を容易に設定することが可能であると共に、ユーザは、合成画像4に対してその設定値を紐付けすることが可能である。なお、設定部112は、手動によってオーバーラップ量を設定してもよい。
【0045】
また、表示部130は、オーバーラップ量、及びカメラ10から取得した二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することとしてもよい。これによって
、ユーザは、オーバーラップ量や二の撮像画像の各々の位置を示す座標を容易に確認し、必要な場合にはそれらを調整することによって、画像生成部111は、高精度に合成画像4を生成することが可能である。
【0046】
<表示画面>
図4は、実施例1に係る設定部112の設定内容を表示する、表示部130の表示画面の一例を示す説明図である。一点鎖線aで囲んだ範囲においては、設定部112がオーバーラップ量を自動的に設定するか手動によって設定するかを選択することが可能である。手動によって設定することを選択した場合、一点鎖線bで囲んだ範囲において、オーバーラップ量を選択することが可能である。なお、設定部112がオーバーラップ量を自動的に設定する場合であっても、オーバーラップ量の設定値が表示されるようにしてもよい。オーバーラップ量を自動的に設定するか手動によって設定するか、及び手動によって設定する場合にはオーバーラップ量を選択した後は、一点鎖線cで囲んだ範囲のボタンをクリックすることにより、設定内容に従って、回路基板2の表面の撮像から、合成画像4の生成まで一貫して行われる。図4に示す表示画面によって、ユーザは、入力情報を設定しつつ、その入力情報に伴って変化する撮像画像や合成画像4の表示を即時に確認することが可能となる。
【0047】
ここで、オーバーラップ量を大きく設定するか小さく設定するかによって、異なる効果が得られる。オーバーラップ量を大きく設定した場合は、二の撮像画像の各々における重なり合い領域の面積も大きくなる。また、二の撮像画像を合成する際には、上記で図5を用いて説明した通り、重なり合い領域の濃度が徐々に変化する。すなわち、面積が大きい重なり合い領域においては、重なり合い領域における位置の差異による濃度の変化率が小さい。これによって、濃度のムラ等の発生が抑制され、画像生成部111は、高画質な合成画像4を生成することが可能である。オーバーラップ量を小さく設定した場合は、検査対象である回路基板2の全体を撮像する場合の撮像回数を減らすことができるため、画像生成部111が合成画像4を生成するために要するタクトタイムを抑制することが可能である。その結果、生産に要する時間を短縮し、生産性を向上させることが可能である。
【0048】
<演算>
また、適用例において説明した図5に示す、第1の撮像画像及び第2の撮像画像における、重なり合い領域の濃度を下げる処理について、図6A及び図6Bを用いて詳細に説明する。図6A及び図6Bにおいては、簡単のため、所定の方向と平行な方向をx方向とし、図6A及び図6Bに示す向きで、第1の撮像画像及び第2の撮像画像の各々の下側の長辺がx軸上にあるものとする。なお、x方向以外の方向は考慮しないものとする。また、図6A及び図6Bに示す斜線領域は、第1の撮像画像及び第2の撮像画像の各々における重なり合い領域である。また、第1の撮像画像及び第2の撮像画像の各々の左側の端部を原点とする。すなわち、第1の撮像画像及び第2の撮像画像の各々におけるx座標は、原点からのx方向の距離とすることが可能である。
【0049】
また、xParamはオーバーラップ量を示し、wは第1の撮像画像のx方向の幅(第2の撮像画像についても同じ)を示し、xLengthは重なり合い領域を除く第1の撮像画像のx方向の幅(第2の撮像画像についても同じ)を示す。
【0050】
図6Aについて、重なり合い領域を除く第1の撮像画像のx方向の幅を示すxLengthは、次のような式(1)で表される。
【数1】

また、次のような式(2)を用いて、第1の撮像画像における重なり合い領域の濃度を示すV1´は、次のような式(3)で表される。
【数2】

【数3】

ここで、式(3)において、V1´は、第1の撮像画像における重なり合い領域の濃度を示すため、xはxLengthより大きいものとする。また、V1は、第1の撮像画像における重なり合い領域の初期濃度(すなわち、重なり合い領域を除く第1の撮像画像の濃度)を示す。
【0051】
式(3)より、xが増加する程、すなわち、第1の撮像画像における重なり合い領域の右側に向かう程、V1´は直線状に減少することが分かる。図6Aにおいては、V1を100%、第1の撮像画像における重なり合い領域の右端におけるV1´を0%として、第1の撮像画像の濃度の変化を概略的に示す。
【0052】
同様に図6Bについて、第2の撮像画像における重なり合い領域の濃度を示すV2´は、次のような式(4)で表される。
【数4】

ここで、式(4)において、V2´は、第2の撮像画像における重なり合い領域の濃度を示すため、xはxParamより小さいものとする。また、V2は、第2の撮像画像における重なり合い領域の初期濃度(すなわち、重なり合い領域を除く第2の撮像画像の濃度)を示す。式(4)より、xが減少する程、すなわち、第2の撮像画像における重なり合い領域の左側に向かう程、V2´は直線状に減少することが分かる。図6Bにおいては、V2を100%、第2の撮像画像における重なり合い領域の左端におけるV2´を0%として、第2の撮像画像の濃度の変化を概略的に示す。
【0053】
以上のように算出したV1´及びV2´を互いに加算することによって、画像生成部111は合成画像4を生成する。また、V1´及びV2´はいずれも直線状に変化するため、xに対応してV1´及びV2´を求めることが可能である。すなわち、いずれの重なり合い領域においても、xを求めることによって、任意の箇所における濃度を算出することが可能である。
【0054】
<フローチャート>
ここで、図7の説明に戻る。なお、ステップS102乃至S105については、上記の適用例において説明した部分については、再度の説明を省略する。本フローチャートでは
、ステップS101乃至S105は、外観検査装置1を用いて回路基板2の外観検査を実行する準備を行う工程に相当する。
【0055】
ステップS101においては、設定部112は、オーバーラップ量を自動的に設定する。なお、上記の通り、オーバーラップ量を手動によって設定してもよい。ここで、ステップS101は、本開示における設定工程に相当する。ステップS101の完了後、ステップS102において、カメラ10は、ステップS105において設定したオーバーラップ量に従って、回路基板2の表面を連続して撮像する。また、ステップS105において、表示部130は、ステップS101において設定した内容を表示する。また、ステップS105においては、オーバーラップ量、及びステップS102において取得した二の撮像画像の各々の位置を示す座標の少なくとも何れかを表示することとしてもよい。
【0056】
図8Aは、図7に示す工程を全て実施して生成された、ビア5の合成画像4の一例である。この合成画像4には、隣り合う撮像視野どうしのつなぎ目の不連続箇所が発生しておらず、滑らかにつながっている。そのため、例えば合成画像4を用いて正確にビア5の径を測定することが可能である。また、ビア5を検査対象として容易に定めやすい。なお、ビア5は、本実施例における、回路基板2の表面における検査対象の一例であり、当該検査対象は他に、はんだボールや異物等であってもよい。ここで、ビア5は、本開示における特定の箇所に相当する。
【0057】
なお、図8Bには、図8Aに示すビア5の合成画像4との対比として、従来の実施例に係るビア5の合成画像4aの一例を示す。図8Bにおいては、破線で囲った箇所につなぎ目の不連続箇所が生じており、つなぎ目を境目に、図8Bに示す向きで、合成画像4aの左側は上方向に、合成画像4aの右側は下方向にずれている。これに起因して、例えば合成画像4aを用いてビア5の径を測定する際に、つなぎ目の不連続箇所が不良として過検出される虞がある。また、つなぎ目を境目に、どちら側のビア5を基準として径を測定すればよいか、判断することが困難である。なお、図8Bに示す合成画像4aは、隣り合う二の撮像視野が重なり合うことなく、隣接するようにビア5を撮像することによって得られたものである。
【0058】
〔実施例2〕
次に、図9を用いて、本開示の実施例2に係る外観検査装置1aについて説明する。外観検査装置1aは、実施例1の外観検査装置1と多くの構成を共通にしているため、そのような構成については同一の符号を付し、改めての説明は省略する。また、外観検査装置1aに示す構成を実施例1の外観検査装置1に適用することが可能である。
【0059】
<構成>
実施例1における図3に示す外観検査装置1との相違点として、図9に示す外観検査装置1aは、判断部113を備えている。画像生成部111が合成画像4を生成する準備として、カメラ10は、図8Aに示した検査対象であるビア5が撮像視野に含まれるように撮像する。このとき、判断部113は、カメラ10から取得した撮像画像において、基板における検査対象であるビア5の全てが、ある撮像画像の中に含まれているか否かを判断する。仮に判断部113が、検査対象であるビア5のうちのいずれかが、当該撮像画像から外れた場所に存在すると判断した場合、すなわち、全てのビア5を一の撮像画像内に収めることが不可能と判断した場合にのみ、画像処理部110は、撮像画像における重なり合い領域に対して、濃度を下げる処理を実施する。
【0060】
反対に、判断部113が、いずれかの撮像画像において、ビア5が当該撮像画像の中に含まれていると判断した場合には、その一の撮像画像に基づいてビア5の径を測定することが可能である。すなわち、画像生成部111が合成画像4を生成する必要が無いため、
ビア5の径を測定するまでに要する工数を削減し、生産性を向上させることが可能である。
【0061】
<フローチャート>
また、図10は、本開示の実施例2に係る外観検査装置1aを用いた外観検査方法の手順を示すフローチャートである。実施例1における図5に示す外観検査方法との相違点として、図8に示す外観検査方法は、ステップS102において取得した回路基板2の表面の撮像画像に基づき、上記の様に、判断部113が、ビア5が撮像画像からはみ出すことなく含まれているか否かを判断する工程(ステップS106)を有する。ここで、ステップS106は、本開示における判断工程に相当する。
【0062】
判断部113が、いずれの撮像画像においても、ビア5がはみ出すことなく含まれていないと判断した場合にのみ(ステップS106:no)、ステップS103に進み、以降は実施例1と同様の工程を実行する。反対に、判断部113が、いずれかの撮像画像において、ビア5がはみ出すことなく含まれていると判断した場合には(ステップS106:yes)、一連のフローを終了する。
【0063】
<付記1>
基板(2)の外観検査を実行する外観検査装置(1、1a)であって、
軸(3)に沿って所定の方向に水平移動しつつ、隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像部(10)と、
前記撮像部から取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理部(110)と、
前記画像処理部による前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成画像(4)を生成する画像生成部(111)と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成部が生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示部(130)と、を備え、
前記画像処理部による前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査装置(1、1a)。
【0064】
<付記2>
基板(2)の外観検査を実行する外観検査方法であって、
隣り合う二の撮像視野が所定の量だけ重なり合うように、前記基板の表面を連続して撮像することが可能である撮像工程(ステップS102)と、
前記撮像工程において取得した、前記隣り合う二の撮像視野に係る二の撮像画像の各々における、前記隣り合う二の撮像視野が重なり合う部分に相当する重なり合い領域に対して所定の処理を実施する画像処理工程(ステップS103)と、
前記画像処理工程において前記所定の処理を実施した前記二の撮像画像を合成し、合成画像(4)を生成する画像生成工程(ステップS104)と、
前記重なり合い領域における前記所定の量、及び前記画像生成工程において生成した前記合成画像の少なくとも何れかを表示する表示工程(ステップS105)と、を有し、
前記画像処理工程における前記所定の処理は、前記二の撮像画像のうち、
最初に撮像して取得した第1の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の始点に近い側の端部から、前記所定の方向に向かって濃度を下げ、
次に撮像して取得した第2の撮像画像においては、前記重なり合い領域における、前記所定の方向の終点に近い側の端部から、前記所定の方向と反対の方向に向かって濃度を下げる処理であることを特徴とする、外観検査方法。
【符号の説明】
【0065】
1、1a・・外観検査装置
10・・・・カメラ
11・・・・制御装置
110・・・画像処理部
111・・・画像生成部
112・・・設定部
113・・・判断部
12・・・・データ管理用サーバ
13・・・・端末
130・・・表示部
14・・・・第1アクチュエータ
15・・・・第2アクチュエータ
16・・・・プレート
2・・・・・回路基板
3・・・・・移動軸
4、4a・・合成画像
5・・・・・ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10