(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127631
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】部品打込工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/02 20060101AFI20240912BHJP
B25D 1/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B25C1/02
B25D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036927
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘川 邦彦
【テーマコード(参考)】
2D058
3C068
【Fターム(参考)】
2D058AA03
2D058AA04
2D058BB15
3C068AA01
3C068BB02
(57)【要約】
【課題】部品打込工具の軽量化を図る。
【解決手段】打込部品を対象物に打ち込む部品打込工具100は、端部に打込部品を保持する保持部130が設けられるパイプ部材110と、パイプ部材110に摺動自在に設けられるハンマー部材120とを備え、パイプ部材110は、ハンマー部材120の打撃力を受ける打撃力受面111aを有し、上記打撃力受面111aは、パイプ部材110の長手方向に垂直、かつ、環状に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打込部品を対象物に打ち込む部品打込工具であって、
端部に上記打込部品を保持する保持部が設けられるパイプ部材と、
上記パイプ部材に摺動自在に設けられるハンマー部材と、
を備え、
上記パイプ部材は、上記ハンマー部材の打撃力を受ける打撃力受面を有し、上記打撃力受面は、上記パイプ部材の長手方向に垂直、かつ、環状に形成されていることを特徴とする部品打込工具。
【請求項2】
請求項1の部品打込工具であって、
上記パイプ部材は、第1、および第2のパイプ部と、
上記第1、および第2のパイプ部を連結する連結部材と、
を有し、
上記ハンマー部材は、上記第2のパイプ部に摺動自在に設けられ、
上記打撃力受面は、上記第1のパイプ部の端部に設けられ、上記連結部材を介して、上記ハンマー部材の打撃力を受けることを特徴とする部品打込工具。
【請求項3】
請求項2の部品打込工具であって、
上記連結部材は、一端側に上記第1のパイプ部が挿入され、他端側に上記第2のパイプ部が挿入されることにより、上記第1のパイプ部と第2のパイプ部とを連結するように構成されるとともに、
上記連結部材の内周部に、内径が小径となる内周側凸部が形成され、上記内周側凸部が、上記打撃力受面としての上記第1のパイプ部の端面に当接し、
上記連結部材における上記第2のパイプ部が挿入される側の端面が、上記ハンマー部材の打撃力を受けるように構成されていることを特徴とする部品打込工具。
【請求項4】
請求項2の部品打込工具であって、
上記連結部材は、長手方向の中間部に外周が大径となるフランジ部が形成されるとともに、一端側が上記第1のパイプ部材に挿入され、他端側が上記第2のパイプ部に挿入されることにより、上記第1のパイプ部と第2のパイプ部とを連結するように構成されるとともに、
上記連結部材の大径部における上記第1のパイプ部側の環状の面が、上記打撃力受面としての上記第1のパイプ部の端面に当接し、
上記連結部材の大径部における上記第2のパイプ部側の環状の面が、上記ハンマー部材の打撃力を受けるように構成されていることを特徴とする部品打込工具。
【請求項5】
請求項1の部品打込工具であって、
上記パイプ部材は、第1のパイプ部と、
上記第1のパイプ部よりも外径が小径の第2のパイプ部と、
を有し、
上記第1のパイプ部の端部に形成された凹部に上記第2のパイプ部が嵌合され、
上記ハンマー部材は、上記第2のパイプ部に摺動自在に設けられ、
上記打撃力受面は、上記第1のパイプ部における上記第2のパイプ部側の端面であることを特徴とする部品打込工具。
【請求項6】
請求項1の部品打込工具であって、
上記パイプ部材は、大径パイプ部と小径パイプ部とが一体的に形成されて成り、
上記ハンマー部材は、上記小径パイプ部に摺動自在に設けられ、
上記打撃力受面は、上記大径パイプ部における上記小径パイプ部との段差部の端面であることを特徴とする部品打込工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブのデッキプレートにインサート金具を打ち込む場合などに用いられる部品打込工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業者が立ったままの姿勢で鋼板等の下孔に部品を打ち込む工具として、長尺状の金属棒の上端側に、下向きの衝撃力を付与するハンマー部が形成された工具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この工具では、フランジを有する金属棒状体に同軸状のハンマー部を摺動させて衝撃力を付与するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような工具では、ハンマー部の衝撃力に耐えられるようにするために中実な金属棒状体が用いられている。そのため、工具の重量が増加しがちであり、軽量化を図ることが容易ではない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、部品打込工具の軽量化を図ることが容易にできるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
打込部品を対象物に打ち込む部品打込工具であって、
端部に上記打込部品を保持する保持部が設けられるパイプ部材と、
上記パイプ部材に摺動自在に設けられるハンマー部材と、
を備え、
上記パイプ部材は、上記ハンマー部材の打撃力を受ける打撃力受面を有し、上記打撃力受面は、上記パイプ部材の長手方向に垂直、かつ、環状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、ハンマー部材の打撃力はパイプ部材の長手方向に垂直、かつ、環状に形成された打撃力受面で受けられるので、パイプ部材の肉厚を薄く設定したり、軽量な材料を適用したりして軽量化を図ることが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、部品打込工具の軽量化を図ることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1の部品打込工具の全体構成を示す部分断面斜視図
【
図2】実施形態1の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図3】実施形態2の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図4】変形例の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図5】変形例の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図6】変形例の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図7】変形例の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【
図8】変形例の部品打込工具の要部の構成を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、例えば床スラブのデッキプレートやフェローデッキなどにインサート金具を打ち込む場合などに用いられる部品打込工具の例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態、および変形例において、他の実施形態等と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1の部品打込工具100は、
図1に示すように、下パイプ部111(第1のパイプ部)と上パイプ部112(第2のパイプ部)とが連結部材113によって連結されたパイプ部材110を有している。上記上パイプ部112には、ハンマー部材120が摺動自在に設けられている。下パイプ部111の下方側の端部には、インサートなどの打込部品を磁力などにより吸着して保持する保持部130が設けられている。上パイプ部112の上方側の端部には、例えばT型のグリップ部140が設けられている。上記下パイプ部111および上パイプ部112と、連結部材113、保持部130、およびグリップ部140とは、それぞれ、例えばリベット150等によって固定されている。
【0012】
上記下パイプ部111と上パイプ部112とは、より詳しくは、
図2に示すように連結されている。ここで、
図2では便宜上、リベット150の図示を省略している。
【0013】
連結部材113は、下パイプ部111、および上パイプ部112が嵌合可能な内径を有している。連結部材113の長手方向の中央付近の内周部には、内径が小径となる内周側凸部113aが形成されている。下パイプ部111、および上パイプ部112は、連結部材113の両側から嵌合し、連結部材113の内周側凸部113aが、下パイプ部111の端面である環状の打撃力受面111aに当接するようになっている。また、連結部材113における上パイプ部112が挿入される側の端面113bは、ハンマー部材120が当接して、その打撃力を直接受けるようになっている。
【0014】
上記のように構成された部品打込工具100では、例えば、インサート金具等を下端部の保持部130に保持させて、デッキプレート等に空けられた孔に挿入し、グリップ部140を下方に押し付けることによって打ち込むことができる。また、ハンマー部材120をグリップ部140に当接する付近などまで持ち上げて振り下ろすことによって、大きな力をかけなくてもハンマー部材120の慣性力により打ち込むこともできる。この場合、ハンマー部材120は、連結部材113の端面113bに当接し、その打撃力は、連結部材113を介して下パイプ部111の打撃力受面111aによって受けられる。
【0015】
上記のようにハンマー部材120の打撃力は下パイプ部111の端面の打撃力受面111aで受けられ、打撃力を比較的広い面積に分散させることができるので、下パイプ部111等の肉厚を薄く設定したり、アルミニウムなどの比較的に軽量な材料を適用したりして、部品打込工具100の軽量化を図ることが容易にできる。
【0016】
(実施形態2)
実施形態2の部品打込工具100は、
図3に示すように、連結部材113が、下パイプ部111、および上パイプ部112に嵌合可能な外径を有している。連結部材113の長手方向の中央部付近の外周部には、外径が大径となるフランジ部113c(大径部)が形成されている。連結部材113は、その両側が下パイプ部111、および上パイプ部112に嵌合し、連結部材113のフランジ部113cにおける下パイプ部111側の環状の面が、下パイプ部111の端面である環状の打撃力受面111aに当接するようになっている。また、連結部材113のフランジ部113cにおける上パイプ部112側の環状の面は、ハンマー部材120が当接して、その打撃力を直接受けるようになっている。
【0017】
上記のように構成された部品打込工具100でも、ハンマー部材120の打撃力は下パイプ部111の端面の打撃力受面111aで受けられ、打撃力を比較的広い面積に分散させることができるので、部品打込工具100の軽量化を図ることが容易にできる。
【0018】
(その他の変形例)
ハンマー部材120の打撃力を広い面積に分散させて受けるためには、上記に限らず、パイプ部材110の長手方向に垂直、かつ、環状の打撃力受面を形成すればよく、そのような打撃力受面は、種々の構造によって形成することができる。ここで、上記の例では打撃力受面が円環状である例、すなわち上下パイプ部112・111等に丸パイプなどが用いられる例を示したが、これに限らず、例えば角パイプが用いられるなどしてもよい。また、上記実施形態や以下の変形例において、各部の長さや径などは種々設定してもよい。また、各部の接続、固定方法も特に限定されず、圧入などの嵌め合い、螺合、接着、リベットやねじ等による固定など、種々の固定方法が用いられてもよい。
【0019】
例えば、実施形態1のように連結部材113の内周に内周側凸部113aを形成するのに限らず、
図4に示すように、閉塞壁113dを形成してもよい。
【0020】
また、
図5に示すように、連結部材113に大径部113eと小径部113fとを形成し、大径部113eの内部に下パイプ部111が挿入されて下パイプ部111の端面が打撃力受面111aとされ、連結部材113の小径部113fが、上パイプ部112の内部に挿入されるようにするとともに、連結部材113における上記大径部113eと小径部113fとの段差部113gに、ハンマー部材120が当接するようにしてもよい。
【0021】
また、
図6に示すように、連結部材113の下パイプ部111側に小径部113h、上パイプ部112側に大径部113iを形成し、小径部113hが下パイプ部111の内部に挿入され、大径部113iの内部に上パイプ部112が挿入されるようにしてもよい。この場合には、小径部113hと大径部113iとの段差部が当接する下パイプ部111の端面が打撃力受面111aとされ、連結部材113の大径部113i側の端面113jにハンマー部材120が当接するようにされる。
【0022】
また、必ずしも連結部材113が用いられるのに限らず、
図7に示すように、下パイプ部111の端部に凹部111bを形成して上パイプ部112が挿入されるようにしてもよい。この場合には、下パイプ部111の端部の外周部付近が打撃力受面111aとされ、ハンマー部材120の打撃力を直接受けるようにされる。
【0023】
さらに、パイプ部材110が下パイプ部111と上パイプ部112から構成されるのに限らず、
図8に示すように、パイプ部材110が、大径パイプ部110aと小径パイプ部110bとが一体的に形成されて成るようにして、大径パイプ部110aにおける小径パイプ部110bとの段差部の端面が打撃力受面110cとされるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 部品打込工具
110 パイプ部材
110a 大径パイプ部
110b 小径パイプ部
110c 打撃力受面
111 下パイプ部
111a 打撃力受面
111b 凹部
112 上パイプ部
113 連結部材
113a 内周側凸部
113b 端面
113c フランジ部
113d 閉塞壁
113e 大径部
113f 小径部
113g 段差部
113h 小径部
113i 大径部
113j 端面
120 ハンマー部材
130 保持部
140 グリップ部
150 リベット