IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱媒循環システム 図1
  • 特開-熱媒循環システム 図2
  • 特開-熱媒循環システム 図3
  • 特開-熱媒循環システム 図4
  • 特開-熱媒循環システム 図5
  • 特開-熱媒循環システム 図6
  • 特開-熱媒循環システム 図7
  • 特開-熱媒循環システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127649
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】熱媒循環システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/02 20060101AFI20240912BHJP
   F24H 1/12 20220101ALI20240912BHJP
【FI】
F24D3/02 Z
F24H1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036989
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】秋永 草平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】川又 淳二
(72)【発明者】
【氏名】近藤 幹太
【テーマコード(参考)】
3L034
3L070
【Fターム(参考)】
3L034BA11
3L070BC03
3L070DE05
3L070DE09
(57)【要約】
【課題】複数の熱媒ボイラを並列設置したシステムにおいて熱媒を循環させ得るとともに、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプを効率良く設置することが可能となる熱媒循環システムを提供する。
【解決手段】複数の熱媒ボイラ、および負荷機器に接続され、前記熱媒ボイラごとに当該熱媒ボイラと前記負荷機器を通る循環経路を形成し、前記循環経路ごとに設けた循環ポンプが駆動して、当該循環経路に熱媒を循環させる熱媒循環システムであって、2個以上の所定の前記循環経路のうちの何れかに選択的に接続可能である予備経路を、少なくとも一つ備え、前記予備経路それぞれには、予備ポンプが設けられ、前記予備経路が接続された前記循環経路において、前記循環ポンプの代わりに当該接続された予備経路の前記予備ポンプが使用される熱媒循環システムとする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱媒ボイラ、および負荷機器に接続され、
前記熱媒ボイラごとに当該熱媒ボイラと前記負荷機器を通る循環経路を形成し、前記循環経路ごとに設けた循環ポンプが駆動して、当該循環経路に熱媒を循環させる熱媒循環システムであって、
2個以上の所定の前記循環経路のうちの何れかに選択的に接続可能である予備経路を、少なくとも一つ備え、
前記予備経路それぞれには、予備ポンプが設けられ、
前記予備経路が接続された前記循環経路において、前記循環ポンプの代わりに当該接続された予備経路の前記予備ポンプが使用されることを特徴とする熱媒循環システム。
【請求項2】
前記循環経路それぞれにおいて、前記熱媒ボイラを迂回するバイパス経路を備え、
前記バイパス経路を通る前記熱媒の量を調節可能としたことを特徴とする請求項1に記載の熱媒循環システム。
【請求項3】
前記循環経路それぞれは、
前記負荷機器から出た前記熱媒が前記循環ポンプと前記バイパス経路への分岐点を順に経て前記熱媒ボイラへ入るように形成されており、
前記予備経路が接続されることにより、前記負荷機器から出た前記熱媒が当該接続された予備経路の前記予備ポンプと前記分岐点を順に経て前記熱媒ボイラへ入るように設定されることを特徴とする請求項2に記載の熱媒循環システム。
【請求項4】
前記予備経路は、
前記予備ポンプの後段側を前記熱媒ボイラの何れも通さずに前記負荷機器へ接続可能とする補助ラインを備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱媒循環システム。
【請求項5】
前記予備経路の個数を1としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の熱媒循環システム。
【請求項6】
前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの何れか一つの選択を受付け、
前記予備ポンプまたは前記循環ポンプそれぞれのうち、選択されたものを駆動させず、その他の全てを駆動させることを特徴とする請求項5に記載の熱媒循環システム。
【請求項7】
前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの動作を、前記熱媒ボイラそれぞれの動作制御から独立して制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の熱媒循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒を循環させる熱媒循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱媒ボイラと負荷機器を含む循環経路において循環ポンプで熱媒を循環させるシステムが利用されており、当該システムに関しては、これまでに種々の改良案が提案されている。例えば特許文献1によれば、熱媒ボイラの故障などの状態に影響を受けずに、循環ポンプの運転を継続することのできる熱媒ボイラシステムが提案されている。
【0003】
また、熱媒ボイラの利用形態の一つとして、例えば必要な熱出力を確保するため、一つの熱媒系統内において複数の熱媒ボイラを設置する形態が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-133726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した熱媒を循環させるシステムに関して、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプの設置が要望されることがある。予備ポンプが設置されていれば、もし何らかの理由で循環ポンプが使用できなくなった場合であっても、迅速に予備ポンプで代用することが可能である。
【0006】
しかし複数の熱媒ボイラを設けたシステムにおいて、熱媒ボイラそれぞれに一対一に対応させるように予備ポンプを設置しようとすると、多くの予備ポンプが必要となってしまい、システムのコスト削減などの点から好ましいとは言えない。そのため予備ポンプが必要以上に多くならないように、予備ポンプは効率良く設置されることが望ましい。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑み、複数の熱媒ボイラを並列設置したシステムにおいて熱媒を循環させ得るとともに、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプを効率良く設置することが可能となる熱媒循環システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱媒循環システムは、複数の熱媒ボイラ、および負荷機器に接続され、前記熱媒ボイラごとに当該熱媒ボイラと前記負荷機器を通る循環経路を形成し、前記循環経路ごとに設けた循環ポンプが駆動して、当該循環経路に熱媒を循環させる熱媒循環システムであって、2個以上の所定の前記循環経路のうちの何れかに選択的に接続可能である予備経路を、少なくとも一つ備え、前記予備経路それぞれには、予備ポンプが設けられ、前記予備経路が接続された前記循環経路において、前記循環ポンプの代わりに当該接続された予備経路の前記予備ポンプが使用される構成とする。
【0009】
本構成によれば、複数の熱媒ボイラを並列設置したシステムにおいて熱媒を循環させ得るとともに、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプを効率良く設置することが可能となる。また上記構成としてより具体的には、前記循環経路それぞれにおいて、前記熱媒ボイラを迂回するバイパス経路を備え、前記バイパス経路を通る前記熱媒の量を調節可能とした構成としても良い。
【0010】
上記構成としてより具体的には、前記循環経路それぞれは、前記負荷機器から出た前記熱媒が前記循環ポンプと前記バイパス経路への分岐点を順に経て前記熱媒ボイラへ入るように形成されており、前記予備経路が接続されることにより、前記負荷機器から出た前記熱媒が当該接続された予備経路の前記予備ポンプと前記分岐点を順に経て前記熱媒ボイラへ入るように設定される構成としても良い。
【0011】
上記構成としてより具体的には、前記予備経路は、前記予備ポンプの後段側を前記熱媒ボイラの何れも通さずに前記負荷機器へ接続可能とする補助ラインを備えた構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、前記予備経路の個数を1とした構成としても良い。
【0012】
上記構成としてより具体的には、前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの何れか一つの選択を受付け、前記予備ポンプまたは前記循環ポンプそれぞれのうち、選択されたものを駆動させず、その他の全てを駆動させる構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、前記予備ポンプおよび前記循環ポンプそれぞれの動作を、前記熱媒ボイラそれぞれの動作制御から独立して制御する制御装置を備えた構成としても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る熱媒循環システムによれば、複数の熱媒ボイラを並列設置したシステムにおいて熱媒を循環させ得るとともに、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプを効率良く設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る熱媒循環システム100およびその周辺の構成図である。
図2】動作状態が第1動作モードに設定された当該熱媒循環システムの説明図である。
図3】動作状態が第2動作モードに設定された当該熱媒循環システムの説明図である。
図4】動作状態が第3動作モードに設定された当該熱媒循環システムの説明図である。
図5】動作状態が第4動作モードに設定された当該熱媒循環システムの説明図である。
図6】動作状態が第5動作モードに設定された当該熱媒循環システムの説明図である。
図7】当該熱媒循環システムにおける予備経路に関する各パターンの説明図である。
図8】本発明の別の実施形態に係る熱媒循環システム200における予備経路に関する各パターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について各図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る熱媒循環システム100およびその周辺の構成を概略的に示している。本図に示すように熱媒循環システム100は、複数の熱媒ボイラ(第1ボイラB1と第2ボイラB2)、および負荷機器Lに接続されている。
【0016】
第1ボイラB1は、熱媒流入口B1aから流入する熱媒Zをボイラ本体において加熱し、当該加熱後の熱媒Zを熱媒流出口B1bから流出させる。第1ボイラB1においては、ボイラ本体と熱媒流入口B1aの間、およびボイラ本体と熱媒流出口B1bの間に、それぞれバルブVb1が設けられている。バルブVb1は基本的に開状態とされるが、第1ボイラB1のメンテナンス時や動作停止時等においてはバルブVb1を閉じて、ボイラ本体への熱媒Zの流入を完全に防ぐことが可能である。
【0017】
第2ボイラB2は、熱媒流入口B2aから流入する熱媒Zをボイラ本体において加熱し、当該加熱後の熱媒Zを熱媒流出口B2bから流出させる。第2ボイラB2においては、ボイラ本体と熱媒流入口B2aの間、およびボイラ本体と熱媒流出口B2bの間に、それぞれバルブVb2が設けられている。バルブVb2は基本的に開状態とされるが、第2ボイラB2のメンテナンス時や動作停止時等においてはバルブVb2を閉じて、ボイラ本体への熱媒Zの流入を完全に防ぐことが可能である。
【0018】
なお本実施形態における各ボイラB1,B2は、熱媒Zとして熱媒油が採用される熱媒ボイラである。但し、各ボイラB1,B2および熱媒Zの具体的形態はこれに限定されない。例えば、各ボイラB1,B2は、熱媒Zとして温水が採用される温水ボイラとしても良い。
【0019】
負荷機器Lは、熱媒流入口Laから流入する熱媒Zの熱を利用して、当該利用後の熱媒Zを熱媒流出口Lbから流出させる。負荷機器Lは、熱媒Zの熱を利用して動作する各種の機器等が該当し、その具体的な形態は特に限定されない。
【0020】
次に熱媒循環システム100の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0021】
熱媒循環システム100は、第1~第9の各熱媒ラインR1~R9、第1~第3の各ポンプユニットQ1~Q3(第1~第3の各バルブV1~V3を含む)、第4~第6の各バルブV4~V6、第1および第2流量調節ユニットF1,F2、第1および第2温度センサT1,T2、およびポンプ制御盤PC(制御装置)を備えている。
【0022】
第1~第9の各熱媒ラインR1~R9は、それぞれ上流側から下流側に向けて熱媒Zを通すラインである。第1熱媒ラインR1は、上流側端部が負荷機器Lの熱媒流出口Lbに繋がり、下流側端部が第1ボイラB1の熱媒流入口B1aに繋がっている。第2熱媒ラインR2は、上流側端部が第2ボイラB2の熱媒流出口B2bに繋がり、下流側端部が負荷機器Lの熱媒流入口Laに繋がっている。第3熱媒ラインR3は、上流側端部が第1ボイラB1の熱媒流出口B1bに繋がり、下流側端部が第2熱媒ラインR2の所定の位置P1に繋がっている。第4熱媒ラインR4は、上流側端部が第1熱媒ラインR1の所定の位置P2に繋がり、下流側端部が第2ボイラB2の熱媒流入口B2aに繋がっている。
【0023】
第5熱媒ラインR5は、上流側端部が第4熱媒ラインR4の所定の位置P5に繋がり、下流側端部が第1熱媒ラインR1の所定の位置P3に繋がっている。第6熱媒ラインR6は、上流側端部が第5熱媒ラインR5の所定の位置P6に繋がり、下流側端部が第4熱媒ラインR4の所定の位置P4に繋がっている。第7熱媒ラインR7は、上流側端部が第5熱媒ラインR5の所定の位置P7に繋がり、下流側端部が第3熱媒ラインR3の所定の位置P8に繋がっている。第8熱媒ラインR8は、上流側端部が第1熱媒ラインR1の所定の位置P9に繋がり、下流側端部が第3熱媒ラインR3の所定の位置P10に繋がっている。第9熱媒ラインR9は、上流側端部が第4熱媒ラインR4の所定の位置P11に繋がり、下流側端部が第2熱媒ラインR2の所定の位置P12に繋がっている。
【0024】
第1熱媒ラインR1において、位置P3は位置P2よりも下流側にあり、位置P9は位置P3よりも下流側にある。第1熱媒ラインR1における位置P2と位置P3の間には、第1ポンプユニットQ1が設けられている。第2熱媒ラインR2において、位置P1は位置P12よりも下流側にある。第2熱媒ラインR2において、位置P1と位置P12の間の所定位置には第2温度センサT2(例えば熱電対)が設けられており、第2温度センサT2により検出された温度情報は第2ボイラB2に伝送される。第2ボイラB2は、この温度情報に基づいて自機における熱媒Zの加熱の強さを制御することが可能であり、例えば、当該温度情報の値が所定の許容範囲内に収まるように熱媒Zの加熱の強さを制御する。
【0025】
第3熱媒ラインR3において、位置P10の下流側の所定位置には第1温度センサT1(例えば熱電対)が設けられており、第1温度センサT1により検出された温度情報は第1ボイラB1に伝送される。第1ボイラB1は、この温度情報に基づいて自機における熱媒Zの加熱の強さを制御することが可能であり、例えば、当該温度情報の値が所定の許容範囲内に収まるように熱媒Zの加熱の強さを制御する。第4熱媒ラインR4において、位置P4は位置P5よりも下流側にあり、位置P11は位置P4よりも下流側にある。第4熱媒ラインR4における位置P5と位置P4の間には、第2ポンプユニットQ2が設けられている。
【0026】
第5熱媒ラインR5において、位置P6は位置P7よりも下流側にある。第5熱媒ラインR5における位置P7よりも上流側には、第3ポンプユニットQ3が設けられている。第5熱媒ラインR5における位置P6よりも下流側には、第4バルブV4が設けられている。第6熱媒ラインR6には第5バルブV5が設けられており、第7熱媒ラインR7には第6バルブV6が設けられている。第8熱媒ラインR8には第1流量調節ユニットF1が設けられており、第9熱媒ラインR9には第2流量調節ユニットF2が設けられている。これらの流量調節ユニットF1,F2は、例えばオリフィスを利用して熱媒Zの流量を調節できるように構成されている。
【0027】
第1ポンプユニットQ1は、第1循環ポンプQ1a、および、第1循環ポンプQ1aの上流側と下流側それぞれに配置された第1バルブV1を有する。第2ポンプユニットQ2は、第2循環ポンプQ2a、および、第2循環ポンプQ2aの上流側と下流側それぞれに配置された第2バルブV2を有する。第3ポンプユニットQ3は、第3循環ポンプQ3a、および、第3循環ポンプQ3aの上流側と下流側それぞれに配置された第3バルブV3を有する。各バルブV1~V6,Vb1,Vb2は、遠隔操作或いは直接操作により開閉自在となっており、開状態のときには熱媒Zを通し、閉状態のときには熱媒Zを通さない。
【0028】
後述の説明により明らかとなるが、上述した構成の熱媒循環システム100は、複数のボイラB1,B2ごとに当該ボイラと負荷機器Lを通る循環経路を形成し、これらの循環経路ごとに設けた循環ポンプが駆動して、当該循環経路に熱媒Zを循環させる。本実施形態の例では、第1ボイラB1に対応する第1循環経路Y1には第1循環ポンプQ1aが設けられ、第2ボイラB2に対応する第2循環経路Y2には第2循環ポンプQ2aが設けられている。なお熱媒循環システム100は、循環ポンプをボイラの入口側に設置した押込み仕様の構成であり、負荷機器Lの耐圧が低い場合にも適用可能である。
【0029】
さらに熱媒循環システム100は、上記の循環経路Y1,Y2のうちの何れかに選択的に接続可能である予備経路YSを備え、予備経路YSには予備ポンプとしての第3循環ポンプQ3aが設けられている。なお本実施形態での「接続」とは、熱媒Zを通す状態(或いは熱媒Zを通す状態にすること)を指し、本実施形態の例では、バルブの開閉によって接続の有無を切替えることが可能である。
【0030】
そして熱媒循環システム100では、予備経路YSが接続された循環経路において、循環ポンプの代わりに当該接続された予備経路YSの予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)が使用される。なお、以下の説明では便宜的に、予備経路YSが接続された第1循環経路Y1を「接続済み第1循環経路Y1a」と称し、予備経路YSが接続された第2循環経路Y2を「接続済み第2循環経路Y2a」と称することがある。
【0031】
なお本実施形態の例では概ね、第3ポンプユニットQ3から第4~第6の各バルブV4~V6までの経路が予備経路YSに相当する。また、予備経路YSにおける位置P7から位置P8へ向かう経路は、予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)の後段側を複数のボイラB1,B2の何れも通さずに負荷機器Lへ接続可能とする補助ラインSLに相当する。予備経路YSの各循環経路Y1,Y2への接続の有無、および、補助ラインSLの利用の有無は、第3~第6のバルブV3~V6の開閉によって切替可能であり、この点は後述する各動作モードの説明により明らかとなる。
【0032】
ポンプ制御盤PCは、第1循環ポンプQ1a、第2循環ポンプQ2a、および予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)それぞれの動作を、各ボイラB1,B2の動作制御から独立して制御する。ポンプ制御盤PCは、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aそれぞれに制御信号を送信し、これらの動作を制御することが可能である。
【0033】
熱媒Zを加熱するために第1ボイラB1と第2ボイラB2の両方を利用する通常時において、熱媒循環システム100の動作状態は、第1~第3の3通りの動作モードの何れかに自在に設定可能である。
【0034】
第1動作モードは、予備経路YSを何れの循環経路にも接続させず、予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)を使用せずに、第1循環ポンプQ1aと第2循環ポンプQ2aを使用する動作状態である。第2動作モードは、予備経路YSを第2循環経路Y2に接続させ、第2循環ポンプQ2aを使用せずに、第1循環ポンプQ1aと第3循環ポンプQ3aを使用する動作状態である。第3動作モードは、予備経路YSを第1循環経路Y1に接続させ、第1循環ポンプQ1aを使用せずに、第2循環ポンプQ2aと第3循環ポンプQ3aを使用する動作状態である。以下、これらの各動作モードについて具体的に説明する。
【0035】
まず第1動作モードについて説明する。図2は、動作状態が第1動作モードに設定された熱媒循環システム100を模式的に示している。なお図2(後述する図3図6も同様)において、各バルブV1~V6,Vb1,Vb2については、閉状態のものは着色表示とし、開状態のものは非着色表示としている。
【0036】
熱媒循環システム100の動作状態を第1動作モードとするためには、ポンプ制御盤PCにおいて第3循環ポンプQ3aを選択し、これ以外の循環ポンプ(つまり、第1循環ポンプQ1aと第2循環ポンプQ2a)を駆動させるようにする。更に、第3バルブV3、第4バルブV4、第5バルブV5、および第6バルブV6を閉状態とし、その他のバルブを開状態とすることにより、熱媒循環システム100の動作状態が第1動作モードに設定される。なおこの際、第3バルブV3と第6バルブV6の何れか一方を閉状態としつつ、他方を開状態とすることがより好ましい。これにより、第3バルブV3と第6バルブV6の間(位置P7を含む部分)において熱媒ラインの閉ループが形成されないようにし、当該閉ループに閉じ込められた熱媒Zの膨張による機器や配管の破損等を未然に防ぐことが可能となる。
【0037】
第1動作モードでは、第1循環ポンプQ1aが駆動することにより、図2に太い実線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、先述した第1循環経路Y1(第1ボイラB1に対応した循環経路)に相当する。第1循環経路Y1は、負荷機器Lから、位置P2、第1ポンプユニットQ1、位置P3、位置P9、第1ボイラB1、位置P10、および位置P1を順に経て、負荷機器Lに戻る経路となっている。第1循環経路Y1において熱媒Zを循環させることにより、第1ボイラB1で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0038】
更に第1動作モードでは、第2循環ポンプQ2aが駆動することにより、図2に太い点線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、先述した第2循環経路Y2(第2ボイラB2に対応した循環経路)に相当する。第2循環経路Y2は、負荷機器Lから、位置P2、位置P5、第2ポンプユニットQ2、位置P4、位置P11、第2ボイラB2、位置P12、および位置P1を順に経て、負荷機器Lに戻る経路となっている。第2循環経路Y2において熱媒Zを循環させることにより、第2ボイラB2で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0039】
次に第2動作モードについて説明する。図3は、動作状態が第2動作モードに設定された熱媒循環システム100を模式的に示している。
【0040】
熱媒循環システム100の動作状態を第2動作モードとするためには、ポンプ制御盤PCにおいて第2循環ポンプQ2aを選択し、これ以外の循環ポンプ(つまり、第1循環ポンプQ1aと第3循環ポンプQ3a)を駆動させるようにする。更に、第2バルブV2、第4バルブV4、および第6バルブV6を閉状態とし、その他のバルブを開状態とすることにより、熱媒循環システム100の動作状態が第2動作モードに設定される。
【0041】
第2動作モードでは、第1循環ポンプQ1aが駆動することにより、図3に太い実線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、図2に太い実線で示す経路と同等であり、先述した第1循環経路Y1(第1ボイラB1に対応した循環経路)に相当する。第1循環経路Y1において熱媒Zを循環させることにより、第1ボイラB1で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0042】
更に第2動作モードでは、第3循環ポンプQ3aが駆動することにより、図3に太い点線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、先述した接続済み第2循環経路Y2a(予備経路YSが接続された第2循環経路Y2)に相当する。接続済み第2循環経路Y2aは、負荷機器Lから、位置P2、位置P5、第3ポンプユニットQ3、位置P7、位置P6、位置P4、位置P11、第2ボイラB2、位置P12、および位置P1を順に経て、負荷機器Lに戻る経路となっている。接続済み第2循環経路Y2aにおいて熱媒Zを循環させることにより、第2ボイラB2で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0043】
次に第3動作モードについて説明する。図4は、動作状態が第3動作モードに設定された熱媒循環システム100を模式的に示している。
【0044】
熱媒循環システム100の動作状態を第3動作モードとするためには、ポンプ制御盤PCにおいて第1循環ポンプQ1aを選択し、これ以外の循環ポンプ(つまり、第2循環ポンプQ2aと第3循環ポンプQ3a)を駆動させるようにする。更に、第1バルブV1、第5バルブV5、および第6バルブV6を閉状態とし、その他のバルブを開状態とすることにより、熱媒循環システム100の動作状態が第3動作モードに設定される。
【0045】
第3動作モードでは、第3循環ポンプQ3aが駆動することにより、図4に太い実線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、先述した接続済み第1循環経路Y1a(予備経路YSが接続された第1循環経路Y1)に相当する。接続済み第1循環経路Y1aは、負荷機器Lから、位置P2、位置P5、第3ポンプユニットQ3、位置P7、位置P6、位置P3、位置P9、第1ボイラB1、位置P10、および位置P1を順に経て、負荷機器Lに戻る経路となっている。接続済み第1循環経路Y1aにおいて熱媒Zを循環させることにより、第1ボイラB1で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0046】
更に第3動作モードでは、第2循環ポンプQ2aが駆動することにより、図2に太い点線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、図2に太い点線で示す経路と同等であり、先述した第2循環経路Y2(第2ボイラB2に対応した循環経路)に相当する。第2循環経路Y2において熱媒Zを循環させることにより、第2ボイラB2で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0047】
また、通常時においては、上述したとおり熱媒Zを加熱するために第1ボイラB1と第2ボイラB2の両方が利用されるが、例えばメンテナンスの実施等により何れかのボイラを停止させる場合には、第1ボイラB1と第2ボイラB2の一方のみを利用して熱媒Zを加熱する必要がある。更にこの場合でも、例えば負荷機器L側の要請等により、負荷機器Lを通る熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分の流量を要することが多い。
【0048】
この点、本実施形態の熱媒循環システム100によれば、第1ボイラB1と第2ボイラB2の一方のみを利用して熱媒Zを加熱しながらも、先述した補助ラインSLを利用して、熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分の流量を確保することが可能である。より具体的に説明すると、熱媒循環システム100の動作状態は、第1ボイラB1のみを利用して熱媒Zを加熱しながらも、熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分の流量を確保することが可能となる第4動作モード、および、第2ボイラB2のみを利用して熱媒Zを加熱しながらも、熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分の流量を確保することが可能となる第5動作モードにも設定可能である。以下、これらの各動作モードについて説明する。
【0049】
まず第4動作モードについて説明する。図5は、動作状態が第4動作モードに設定された熱媒循環システム100を模式的に示している。なお図5に示す例では、使用されない第2ボイラB2の本体への熱媒Zの流入を完全に防ぐため、バルブVb2は閉じられている。
【0050】
熱媒循環システム100の動作状態を第4動作モードとするためには、ポンプ制御盤PCにおいて第2循環ポンプQ2aを選択し、これ以外の循環ポンプ(つまり、第1循環ポンプQ1aと第3循環ポンプQ3a)を駆動させるようにする。更に、第2バルブV2、第4バルブV4、および第5バルブV5を閉状態とし、その他のバルブを開状態とすることにより、熱媒循環システム100の動作状態が第4動作モードに設定される。
【0051】
第4動作モードでは、第1循環ポンプQ1aが駆動することにより、図5に太い実線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、図2に太い実線で示す経路と同等であり、先述した第1循環経路Y1(第1ボイラB1に対応した循環経路)に相当する。第1循環経路Y1において熱媒Zを循環させることにより、第1ボイラB1で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。
【0052】
更に第4動作モードでは、第3循環ポンプQ3aが駆動することにより、図5に太い点線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は補助ラインSLを含む経路であり、負荷機器Lから、位置P2、位置P5、第3ポンプユニットQ3、位置P7、位置P8、および位置P1を順に経て、負荷機器Lに戻る経路となっている。この経路において熱媒Zを循環させることにより、負荷機器Lから流出した熱媒Zを、複数のボイラB1,B2の何れも通さずに、負荷機器Lへ流入させることが可能である。このように第4動作モードでは、第1ボイラB1のみを利用して熱媒Zを加熱しながらも、熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分(第1循環ポンプQ1aと第3循環ポンプQ3aの分)の流量を確保することが可能となっている。
【0053】
次に第5動作モードについて説明する。図6は、動作状態が第5動作モードに設定された熱媒循環システム100を模式的に示している。なお図6に示す例では、使用されない第1ボイラB1の本体への熱媒Zの流入を完全に防ぐため、バルブVb1は閉じられている。
【0054】
熱媒循環システム100の動作状態を第5動作モードとするためには、ポンプ制御盤PCにおいて第1循環ポンプQ1aを選択し、これ以外の循環ポンプ(つまり、第2循環ポンプQ2aと第3循環ポンプQ3a)を駆動させるようにする。更に、第1バルブV1、第4バルブV4、および第5バルブV5を閉状態とし、その他のバルブを開状態とすることにより、熱媒循環システム100の動作状態が第5動作モードに設定される。
【0055】
第5動作モードでは、第3循環ポンプQ3aが駆動することにより、図6に太い実線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、図5に太い点線で示す経路と同等であり、先述した補助ラインSLを含む経路である。この経路において熱媒Zを循環させることにより、負荷機器Lから流出した熱媒Zを、複数のボイラB1,B2の何れも通さずに、負荷機器Lへ流入させることが可能である。
【0056】
更に第5動作モードでは、第2循環ポンプQ2aが駆動することにより、図6に太い点線で示す経路を熱媒Zが流れる。この経路は、図2に太い点線で示す経路と同等であり、先述した第2循環経路Y2(第2ボイラB2に対応した循環経路)に相当する。第2循環経路Y2において熱媒Zを循環させることにより、第2ボイラB2で発生させた熱を負荷機器Lへ継続的に供給することが可能である。このように第5動作モードでは、第2ボイラB2のみを利用して熱媒Zを加熱しながらも、熱媒Zの流量として循環ポンプ2個分(第2循環ポンプQ2aと第3循環ポンプQ3aの分)の流量を確保することが可能となっている。
【0057】
なお先述したとおり、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aそれぞれの動作は、各ボイラB1,B2の制御系統とは別に設けられたポンプ制御盤PCによって制御される。より詳細に説明すると、ポンプ制御盤PCは、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aそれぞれの何れか一つの選択を受付ける。この選択は、例えば、ポンプ制御盤PCに設けられた操作スイッチの操作によって行われるようにしても良い。
【0058】
そしてポンプ制御盤PCは、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aそれぞれのうち、選択されたものを駆動させず、その他の全てを駆動させる。例えば第1循環ポンプQ1aが選択された場合には、ポンプ制御盤PCは、第1循環ポンプQ1aを駆動させず、第2循環ポンプQ2aと第3循環ポンプQ3aを駆動させる。このようにしたことで、熱媒循環システム100の管理者等は、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aのうち駆動させないものを選択するだけで良い。
【0059】
またポンプ制御盤PCは、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aの動作に加えて、第1~第6の各バルブV1~V6の開閉を遠隔制御するようにしても良い。この場合にポンプ制御盤PCは、第1~第5動作モードの何れかの選択(例えば、ポンプ制御盤PCに設けられた操作スイッチの操作による選択)を受付けるようにし、選択された動作モードが実現されるように、第1~第3の循環ポンプQ1a~Q3aの動作および第1~第6の各バルブV1~V6の開閉を制御するようにしても良い。
【0060】
また熱媒循環システム100では、第1循環経路Y1においては、第1ボイラB1を迂回するバイパス経路として第8熱媒ラインR8が備えられ、第2循環経路Y2においては、第2ボイラB2を迂回するバイパス経路として第9熱媒ラインR9が備えられている。また、第8熱媒ラインR8には第1流量調節ユニットF1を設けて、第8熱媒ラインR8を通る熱媒Zの量を調節可能としている。更に、第9熱媒ラインR9には第2流量調節ユニットF2を設けて、第9熱媒ラインR9を通る熱媒Zの量を調節可能としている。
【0061】
これにより各循環経路Y1,Y2を循環する熱媒Zの一部がバイパス経路を通るようにし、各ボイラB1,B2に流入する熱媒Zの量を調節することが可能である。そのため、第1~第3の各循環ポンプQ1a~Q3aを同一仕様のものに統一することが容易である。
【0062】
第1循環経路Y1は、負荷機器Lから出た熱媒Zが第1循環ポンプQ1aとバイパス経路(第8熱媒ラインR8)への分岐点(位置P9)を順に経て第1ボイラB1へ入るように形成されており、予備経路YSが接続されることにより、負荷機器Lから出た熱媒Zが当該接続された予備経路YSの予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)と当該分岐点を順に経て第1ボイラB1へ入るように設定される。そのため、予備経路YSが接続された接続済み第1循環経路Y1aにおいても、循環する熱媒Zの一部がバイパス経路を通るようにし、第1ボイラB1に流入する熱媒Zの量を調節することが可能である。
【0063】
第2循環経路Y2は、負荷機器Lから出た熱媒Zが第2循環ポンプQ2aと上述した第2バイパス経路への分岐点(位置P11)を順に経て第2ボイラB2へ入るように形成されており、予備経路YSが接続されることにより、負荷機器Lから出た熱媒Zが当該接続された予備経路YSの予備ポンプ(第3循環ポンプQ3a)と当該分岐点を順に経て第2ボイラB2へ入るように設定される。そのため、予備経路YSが接続された接続済み第2循環経路Y2aにおいても、循環する熱媒Zの一部がバイパス経路を通るようにし、第2ボイラB2に流入する熱媒Zの量を調節することが可能である。
【0064】
また予備経路YSは、予備ポンプの後段側を各ボイラB1,B2の何れも通さずに負荷機器Lへ接続可能とする補助ラインを備える。そのため熱媒循環システム100は、動作状態を先述した第4動作モードおよび第5動作モードに設定することが可能である。なお第4動作モードおよび第5動作モードが不要である場合には、補助ラインの設置を省略しても良い。
【0065】
図7は、熱媒循環システム100における予備経路YSの状態の各パターン(第1パターンα1~第5パターンα5)を模式的に示している。本図に示すように熱媒循環システム100は、予備経路YSを複数のパターンα1~α5の何れかに切替自在に設定し、そのときの状況に応じて、先述した第1~第5の動作モードのうち最適な動作モードで動作することが可能である。
【0066】
第1パターンα1は、第1動作モードにおける予備経路YSのパターンであり、何れの循環経路にも接続されていない状態を示す。第2パターンα2は、第2動作モードにおける予備経路YSのパターンであり、第2循環ポンプQ2aの代わりに予備経路YS内の循環ポンプ(第3循環ポンプQ3a)を用いて、第2ボイラB2に対応する第2循環経路Y2で熱媒Zを循環させる状態を示す。第3パターンα3は、第3動作モードにおける予備経路YSのパターンであり、第1循環ポンプQ1aの代わりに予備経路YS内の循環ポンプを用いて、第1ボイラB1に対応する第1循環経路Y1で熱媒Zを循環させる状態を示す。第4パターンα4は、第4動作モードにおける予備経路YSのパターンであり、第2ボイラB2に熱媒Zを通さない状況において、予備経路YS内の循環ポンプを用いて、負荷機器Lから流出した熱媒Zを何れのボイラも通さずに負荷機器Lへ流入させる状態を示す。第5パターンα5は、第5動作モードにおける予備経路YSのパターンであり、第1ボイラB1に熱媒Zを通さない状況において、予備経路YS内の循環ポンプを用いて、負荷機器Lから流出した熱媒Zを何れのボイラも通さずに負荷機器Lへ流入させる状態を示す。
【0067】
上述のとおり熱媒循環システム100においては、2個の熱媒ボイラB1,B2が接続されるとともに1個の予備経路YSを備え、この予備経路YSが2個の循環経路Y1,Y2のうちの何れかに選択的に接続可能となっている。なお熱媒循環システム100は、予備経路の個数を1としたことにより、予備経路の個数を2以上とした場合に比べて構成の簡素化やコスト削減が可能となっている。
【0068】
但し本発明に係る熱媒循環システムは、3個以上の熱媒ボイラが接続されるようにしても良く、予備経路を2個以上備えるようにしても良い。また予備経路は、3個以上の所定の循環経路のうちの何れかに選択的に接続可能であるようにしても良い。一例として、本発明に係る熱媒循環システムは、図8に示す熱媒循環システム200としても良い。
【0069】
図8に示す熱媒循環システム200は、5個のボイラA~Eが接続されるとともに2個の予備経路J,Kを備える。予備経路Jは、3個の循環経路(ボイラAに対応する循環経路、ボイラBに対応する循環経路、およびボイラCに対応する循環経路)のうちの何れかに選択的に接続可能となっており、予備経路Kは、2個の循環経路(ボイラDに対応する循環経路、およびボイラEに対応する循環経路)のうちの何れかに選択的に接続可能となっている。
【0070】
図8に示すように熱媒循環システム200においても、図7に示す例と同様に、予備経路Jを複数のパターンα1~α7の何れかに切替自在に設定し、予備経路Kを複数のパターンβ1~β5の何れかに切替自在に設定することが可能である。なお熱媒循環システム200の具体的な構成や動作内容は、図1図6に示す構成に準じたものとすることが可能である。
【0071】
以上に説明した熱媒循環システム100,200は、複数の熱媒ボイラ、および負荷機器に接続され、当該熱媒ボイラごとに熱媒ボイラと負荷機器を通る循環経路を形成し、循環経路ごとに設けた循環ポンプが駆動して、循環経路に熱媒を循環させるシステムとなっている。また、熱媒循環システム100,200においては、2個以上の所定の循環経路のうちの何れかに選択的に接続可能である予備経路を少なくとも一つ備え、予備経路それぞれには予備ポンプが設けられている。更に熱媒循環システム100,200は、予備経路が接続された循環経路において、循環ポンプの代わりに当該接続された予備経路の予備ポンプが使用されるようにしている。そのため熱媒循環システム100,200によれば、複数の熱媒ボイラを並列設置したシステムにおいて熱媒を循環させ得るとともに、循環ポンプの代わりに使用できる予備ポンプを、循環経路ごとに予備ポンプを別々に設置するような場合に比べて効率良く設置することが可能となっている。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0073】
100、200 熱媒循環システム
B1、B2 第1、第2ボイラ
F1、F2 第1、第2流量調節ユニット
L 負荷機器
PC ポンプ制御盤
Q1~Q3 第1~第3ポンプユニット
Q1a~Q3a 第1~第3循環ポンプ
R1~R9 第1~第9熱媒ライン
SL 補助ライン
T1、T2 第1、第2温度センサ
V1~V6 第1~第6バルブ
Y1、Y2 第1、第2循環経路
Y1a 接続済み第1循環経路
Y2a 接続済み第2循環経路
YS 予備経路
Z 熱媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8