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  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図1
  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図2
  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図3
  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図4
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  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図6
  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図7
  • 特開-まつ毛用又は眉毛用の定着シート 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127650
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】まつ毛用又は眉毛用の定着シート
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/00 20060101AFI20240912BHJP
   A45D 2/48 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A45D44/00 Z
A45D2/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036990
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】503290030
【氏名又は名称】株式会社 トップエレガンス
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 芳江
(57)【要約】
【課題】まつ毛のカール施術や眉毛の毛流れを整える施術において、用いられる化粧品の液垂れや成分揮発を抑制して施術効果を向上させることができるセッティングペーパー(まつ毛用又は眉毛用の定着シート)を提供する。
【解決手段】瞼4の上にロット2を接着してロット2の湾曲面に沿って上まつ毛6を巻き上げ、グルーでロット2に貼り付けた後、トリートメントクリーム8を塗付し、トリートメントクリーム8の上に柔軟性を有する素材からなるセッティングペーパー16Aが貼り付けられる。これによりトリートメントクリーム8の液垂れが防止されるとともに成分の揮発が抑制される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛のカール施術で使用されるクリーム状の化粧品の塗布部分または眉毛の毛流れを整える施術で使用されるクリーム状の化粧品の塗布部分に貼り付けるまつ毛用又は眉毛用の定着シートであって、
柔軟性を有する素材で形成され、顔の縦方向における前記塗布部分を覆う縦幅と、顔の横方向における前記塗布部分を覆う横幅と、を有し、
前記横幅は、前記塗布部分を超えて目や眉の近傍またはカール形成用部材に貼り付ける長さを有していることを特徴とするまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【請求項2】
前記素材が吸水性を有する紙素材又は布素材であることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【請求項3】
前記まつ毛や前記眉毛の輪郭に沿った形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【請求項4】
引き剥がすための摘まみ部を一体に備えていることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【請求項5】
外縁に一又は複数の切込みを有してなることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【請求項6】
前記まつ毛や前記眉毛の太さ又は剛性に応じて厚みが異なることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛用又は眉毛用の定着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛のカール施術や眉毛の毛流れを整える施術に用いられる化粧品の液垂れや緩みの抑制に好適なまつ毛用又は眉毛用の定着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
目や眉は顔立ちをはっきりさせるための重要な部位であり、女性のメイクではまつ毛のカール施術や眉毛の毛流れを整える施術は特に関心が高く、重要視されている。まつ毛のカール施術においては、特許文献1に開示されているように、シリコン製のロットを瞼の上にグルーで接着し、上まつ毛をロットの湾曲面に沿わせて巻き上げてグルーで貼り付け、カール性を付与する成分である還元剤や酸化剤を含む化粧品を機能分けして段階的に塗布する方法が知られている。
【0003】
まつ毛のカール施術等で用いられる化粧品は、液状であると目に入ったり目的外の範囲まで流れたりする懸念があるため、ある程度の粘度を持つクリーム状のものが普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-102563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の施術では、各段階で使用される化粧品の機能を効果的に発現させるために、塗布後に数分から十数分の放置時間が必要となる。このため、ある程度の粘度を持つクリーム状であっても放置時間の間に液垂れや緩みが生じるとともに、それに伴う表面積の拡大によって成分の揮発が進行して化粧品本来の機能効果が低減するという問題があった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、まつ毛のカール施術や眉毛の毛流れを整える施術において、用いられる化粧品の液垂れや成分揮発を抑制して施術効果を向上させることができるまつ毛用又は眉毛用の定着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、まつ毛(6)のカール施術で使用されるクリーム状の化粧品(8)の塗布部分または眉毛(12)の毛流れを整える施術で使用されるクリーム状の化粧品(18)の塗布部分に貼り付けるまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)であって、柔軟性を有する素材で形成され、顔の縦方向における塗布部分を覆う縦幅(W1)と、顔の横方向における塗布部分を覆う横幅(W2)と、を有し、横幅(W2)は、塗布部分を超えて目や眉の近傍またはカール形成用部材(2)に貼り付ける長さを有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るまつ毛用又は眉毛用の定着シートによれば、クリーム状の化粧品の塗布部分に当該まつ毛用又は眉毛用の定着シートを貼り付けることで、放置時間における化粧品の液垂れや緩みを簡単な操作で抑制できるとともに成分の揮発も抑制でき、まつ毛や眉毛の施術効果を向上させることができる。
【0009】
また、上記のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)では、素材が吸水性を有する紙素材又は布素材であってよい。これによれば、定着シートがクリーム状の化粧品に含まれる水分を吸収することで、化粧品の液垂れをより効果的に防止できる。また、定着シートが化粧品に含まれる水分を吸収することで、柔らかくなると共にいわゆる粘着剤が付着したテープのような状態となることで、まつ毛をロット等に押し当てた状態とすることが容易に可能となるので、まつ毛のより効果的なカール施術が可能となる。また、定着シートの素材が吸水性を有する紙素材又は布素材であることで、低コストで且つ化粧品への馴染みやすさを高めることもできる。
【0010】
また、上記のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)は、まつ毛(6)や眉毛(12)の輪郭(全体形状)に沿った形状を有していてもよい。これによれば、個人差によるまつ毛や眉毛の形状の違いにも任意に対応できる。
【0011】
また、上記のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)は、引き剥がすための摘まみ部(16a、16b)を一体に備えていてもよい。これによれば、使用後の除去操作が容易となる。
【0012】
また、上記のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)は、外縁に切り欠き(16c)を有していてもよい。これによれば、眉や瞼の立体的な凹凸の変化に追従して変形できるようになる。
【0013】
また、上記のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(16)は、まつ毛(6)や眉毛(12)の太さ又は剛性に応じて厚みが異なるようにしてもよい。これによれば、まつ毛や眉毛の太さや剛性に応じて化粧品を介した良好な押え機能を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、まつ毛のカール施術や眉毛の毛流れを整える施術において、用いられる化粧品の液垂れや成分揮発を抑制して施術効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかるまつ毛用又は眉毛用の定着シートの一実施形態であるセッティングペーパーを使用する前の施術の途中の状態を示す一部省略の正面図である。
図2図1のX1-X1線の部位における模式的拡大断面図で、(a)はトリートメントクリームを塗付した直後の状態を示す図、(b)は時間経過とともに液垂れが生じている状態を示す図である。
図3図1で示したトリートメントクリームの塗布後にセッティングペーパーを貼り付けた状態を示す一部省略の正面図である。
図4図3で示したセッティングペーパーの平面図である。
図5図3のX2-X2線の部位における模式的拡大断面図である。
図6図3で示したセッティングペーパーの種々の変形例を示す平面図である。
図7】本実施形態に係るセッティングペーパーの眉毛への使用例を示す施術工程図である。
図8】他の形状のロットの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、カール形成用部材としてのロット2を瞼4の上にグルーで接着して位置ずれしないように固定し、上まつ毛6をロット2の断面半円形状の湾曲面に沿って巻き上げた後、第1段階の化粧品であるトリートメントクリーム8を塗布した状態を示している。符号10は下まつ毛を、12は眉毛を、13は顔をそれぞれ示している。
【0018】
図2(a)に示すように、ロット2は、例えば、シリコンやスチレン系熱可塑性エラストマー等の軟質の合成樹脂材で形成されており、瞼4の立体曲面にフィットする柔軟性を有している。ロット2は、断面が半円形状のロット本体部2aと、瞼4の上に接着される薄肉の固定面部(把持部)2bと、を備え、固定面部2bには瞼4の表面に密着させるための空気抜き用穴2cが形成されている。なお、図2では分かりやすくするためにトリートメントクリーム8の厚みを誇張して表示している(図5において同じ)。
【0019】
上まつ毛6は、不図示のカールピックやツィーザーでテンションを掛けながらロット本体部2aの湾曲面に沿って巻き上げられ、水溶性のまつ毛用のり(グルー)14で貼り付けられる。その後上まつ毛6に潤いを与えてしなやかにするためのトリートメントクリーム8が塗布される。被施術者は寝た状態であるため、重力は矢印Gで示す方向に作用する。トリートメントクリーム8を塗布して放置するだけの施術方法では、図2(b)に示すように、放置時間の間に重力の作用でトリートメントクリーム8の凝集が崩れて液垂れが起こり、表面積の拡大によってトリートメントクリーム8の成分の揮発(成分の濃度低下)が進行してトリートメントクリーム8の塗布効果が低減する。
【0020】
この問題に対処すべく、図3に示すように、トリートメントクリーム8の塗布後、本実施形態に係るセッティングペーパー(まつ毛用又は眉毛用の定着シート)16Aがクリーム8の上面を押えるように貼り付けられる。セッティングペーパー16Aは、まつ毛6のカール施術で使用されるクリーム状の化粧品の塗布部分または眉毛12の毛流れを整える施術で使用されるクリーム状の化粧品の塗布部分に貼り付けるシート状の部材であって、柔軟性を有する吸水性の素材で形成され、図4に示すように、顔13の縦方向(矢印Z方向)における塗布部分を覆う縦幅W1と、顔13の横方向(矢印Y方向)における塗布部分を覆う横幅W2と、を有し、横幅W2は、塗布部分W2aを超えて目の近傍またはロット2に貼り付ける長さを有している。符号W2b、W2cは目の近傍またはロット2に貼り付ける部分の長さを示している。本実施形態では、セッティングペーパー16Aは、薄葉紙や不織布など吸水性を有する紙素材又は布素材で細長い矩形状(テープ状)に形成されており、W1=5mm、W2=50mmのサイズである。
【0021】
図5は、図3のX2―X2線の部位での断面図である。上記のような吸水性を有する紙素材又は布素材からなるセッティングペーパー16Aを不図示のピンセットで摘まみながら塗布されたトリートメントクリーム8の上面に片側から順次被せるように載せると、直ちにトリートメントクリーム8の水分を吸収して馴染み、トリートメントクリーム8と一体化するように貼り付けられる。これにより、トリートメントクリーム8の底面側は上まつ毛6及びロット本体部2aに密着し、上面側はセッティングペーパー16Aに密着する。このため、重力が作用してもトリートメントクリーム8の凝集が崩れず、放置時間の間に液垂れを起こすことなく塗布した状態が維持される。液垂れによる表面積の拡大が生じず、トリートメントクリーム8の上面側はセッティングペーパー16Aで被覆されているので、成分の揮発も抑制される。これにより、トリートメントクリーム8の塗布目的である、上まつ毛6に潤いを与えるとともにしなやかにする機能が最大限に発揮される。
【0022】
セッティングペーパー16Aによってトリートメントクリーム8の凝集が崩れないので、トリートメントクリーム8によるロット本体部2aに対する上まつ毛6の押え機能、特に短い毛の留め機能も得られ、このことは上まつ毛6の最終的なカール性にも寄与する。すなわち、セッティングペーパー16Aはトリートメントクリーム8を介して間接的に上まつ毛6の緩み防止、ひいては上まつ毛6の良好なカール形成に寄与する。左側の上まつ毛6のカール施術について説明したが、右側の上まつ毛6のカール施術においても同様である。
【0023】
トリートメントクリーム8は、保湿、潤い付与、しなやかさ付与、ハリ、コシの形成、最終的な仕上げなど複数段階に機能分けされて成分が異なるものが使用され、その都度新たなセッティングペーパー16Aが使用される。セッティングペーパー16Aの材質としては、薄葉紙や不織布など吸水性を有する紙素材又は布素材に限らず、不織布以外の布、ゴム、プラスチックなど、柔軟性を有する素材であれば良く、吸水性を有していない素材であってもよい。
【0024】
セッティングペーパー16Aの形状も上記の細幅の矩形形状に限定されない。その幾つかの変形例を図6に示す。
【0025】
図6(a)は、瞼4の少なくとも一部を覆う形状のセッティングペーパー16Bを示している。図6(b)は、顔の凹凸の個人差に対応すべく上方に凸となるように長手方向が湾曲しているセッティングペーパー16Cを示しており、図6(c)はその逆の下方に凸となるように長手方向が湾曲しているセッティングペーパー16Dを示している。これらは換言すれば、上まつ毛6や眉毛12の輪郭(全体形状)に沿った形状を有している。図6(d)は、中央の面積が広い楕円形状のセッティングペーパー16Eを示している。図6(e)は、引き剥がすための摘まみ部16aを両端部に一体に備えているセッティングペーパー16Fを示しており、図6(f)は中央にも摘まみ部16aを一体に備えたセッティングペーパー16Gを示している。図6(g)は、貼り付けを安定化するための摘まみ部16bを両端部に備えたセッティングペーパー16Hを示している。図6(h)は、眉毛12や瞼4の立体的な凹凸の変化に追従して変形できるように外縁に切れ目(切り欠き)16cを入れたセッティングペーパー16Iを示している。セッティングペーパー16の厚みは、上まつ毛6や眉毛12の太さまたは剛性に応じて異ならせてもよい。
【0026】
上記では上まつ毛6のカール施術におけるセッティングペーパー16の使用例を説明したが、眉毛12においても同様に実施することができる。図7(a)は、左の眉毛12の毛流れを専用のブラシで整えた状態を示している。図7(b)は、保湿、潤い等を目的とした眉毛専用の化粧品であるデザインクリーム18を塗付した状態を示しており、図7(c)は、デザインクリーム18の上に図6(b)で示したセッティングペーパー16Cを載せて貼り付けた状態を示している。この例においても上記の例と同様に、液垂れや成分揮発を抑制でき、デザインクリーム18の機能を最大限に発揮させることができる。右の眉毛12においても同様である。
【0027】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示す施術で用いたロット2は、断面が半円形状のロット本体部2aと、瞼4の上に接着される薄肉の固定面部(把持部)2bと、を備え、固定面部2bには瞼4の表面に密着させるための空気抜き用穴2cが形成されているものであったが、本発明のまつ毛用又は眉毛用の定着シート(セッティングペーパー)を用いて行う施術に使用するロットは、上記実施形態に示す以外にも様々な形状のものであってよい。図8は、他の形状のロットの一例を示す図である。同図(a)~(g)では、(i)と(ii)にそれぞれ各ロットの側面図と断面図を示している。同図(a)~(d)のロット2A~2Dはいずれも棒状で、かつ、同図(a)に示すロット2Aは断面が略水滴形状であり、同図(b)に示すロット2Bは断面が半円状であり、同図(c)のロット2Cは断面が円形であり、同図(d)のロット2Dは断面が中空の円環状になっている。また、同(e)に示すロット2Eは、ロット2と同様にその断面が半円形の本体部と薄肉の固定面部とを有している。また、同図(f)のロット2Fは、長手方向が湾曲する細片状で、断面が楕円形状である。また、同図(g)のロット2Gは、長手方向が湾曲する湾曲棒状で、断面が矩形状(長方形状)である。ロット2の変形例の一例として上記の各形状のロット2A~2Gを示したが、さらに、これら以外の形状のロットを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0028】
2 ロット(カール形成用部材)
2a ロット本体部
2b 固定面部
4 瞼
6 上まつ毛
8 トリートメントクリーム(化粧品)
10 下まつ毛
12 眉毛
14 まつ毛用のり(グルー)
16A~16I セッティングペーパー(まつ毛用又は眉毛用の定着シート)
16a、16b 摘まみ部
16c 切れ目(切り欠き)
18 デザインクリーム(化粧品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8