(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127652
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】シートフレーム及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20240912BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B60N2/68
F16B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036993
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 健朗
【テーマコード(参考)】
3B087
3J023
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DB03
3B087DB04
3B087DB09
3J023AA01
3J023BA03
3J023EA02
3J023FA03
3J023GA02
(57)【要約】
【課題】ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制する。
【解決手段】クッションフレーム24は、当該クッションフレーム24の一部を構成する筒状フレーム30及びクッションフレーム24の他の一部を構成するワイヤ32を備えている。筒状フレーム30は筒状に形成されている。また、筒状フレーム30には、内部42と外部44とを連通するワイヤ挿入孔40が形成されている。ワイヤ32は棒状に形成されている。このワイヤ32の端部46がワイヤ挿入孔40に挿入された状態で、ワイヤ32が筒状フレーム30に接合されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されていると共に内部と外部とを連通するワイヤ挿入孔が形成され、車両用シートの骨格の一部を構成する筒状フレームと、
棒状又は筒状に形成されていると共にその端部が前記ワイヤ挿入孔に挿入された状態で前記筒状フレームに接合され、車両用シートの骨格の他の一部を構成するワイヤと、
を備えたシートフレーム。
【請求項2】
前記ワイヤの端部は、先端側へ向かうにつれて次第に窄まる形状に形成され、
前記ワイヤの端部が前記ワイヤ挿入孔の縁に当接している状態で、前記ワイヤが前記筒状フレームに接合されている請求項1に記載のシートフレーム。
【請求項3】
前記ワイヤの端部側には、屈曲部が形成されており、
前記ワイヤの端部が前記ワイヤ挿入孔に挿入されかつ前記屈曲部が前記筒状フレームの外面に沿って配置された状態で、前記ワイヤが前記筒状フレームに接合されている請求項1に記載のシートフレーム。
【請求項4】
着座乗員の各部をそれぞれ支持する複数の乗員支持部と、
複数の前記乗員支持部のうちの少なくとも1つの前記乗員支持部の骨格を構成する請求項1に記載のシートフレームと、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートフレーム及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用シートのシートフレームが開示されている。この文献に記載されたシートフレームのシートバックフレームは、左右一対のバックサイドフレームと、左右一対のバックサイドフレームを連結するパイプ状の上部フレームと、を備えている。また、上部フレームには、ワイヤ(ワイヤフレーム)が掛け渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤを含んで構成されたシートフレームにおいては、当該ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制できることが望ましいが、上記特許文献1に記載された車両用シートには、この点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制することができるシートフレーム及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のシートフレームは、筒状に形成されていると共に内部と外部とを連通するワイヤ挿入孔が形成され、車両用シートの骨格の一部を構成する筒状フレームと、棒状又は筒状に形成されていると共にその端部が前記ワイヤ挿入孔に挿入された状態で前記筒状フレームに接合され、車両用シートの骨格の他の一部を構成するワイヤと、を備えている。
【0007】
第1の態様のシートフレームでは、ワイヤの端部が筒状フレームに形成されたワイヤ挿入孔に挿入された状態で、ワイヤが筒状フレームに接合されている。この構成では、ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制することができる。
【0008】
第2の態様のシートフレームは、第1の態様のシートフレームにおいて、前記ワイヤの端部は、先端側へ向かうにつれて次第に窄まる形状に形成され、前記ワイヤの端部が前記ワイヤ挿入孔の縁に当接している状態で、前記ワイヤが前記筒状フレームに接合されている。
【0009】
第2の態様のシートフレームでは、ワイヤの端部をワイヤ挿入孔の縁に当接させることで、ワイヤの筒状フレームに対する位置決めをすることができる。
【0010】
第3の態様のシートフレームは、第1の態様又は第2の態様のシートフレームにおいて、前記ワイヤの端部側には、屈曲部が形成されており、前記ワイヤの端部が前記ワイヤ挿入孔に挿入されかつ前記屈曲部が前記筒状フレームの外面に沿って配置された状態で、前記ワイヤが前記筒状フレームに接合されている。
【0011】
第3の態様のシートフレームでは、ワイヤの端部をワイヤ挿入孔に挿入して、ワイヤの屈曲部を筒状フレームの外面に沿って配置させることで、ワイヤの筒状フレームに対する位置決めをすることができる。
【0012】
第4の態様の車両用シートは、着座乗員の各部をそれぞれ支持する複数の乗員支持部と、複数の前記乗員支持部のうちの少なくとも1つの前記乗員支持部の骨格を構成する第1の態様~第3の態様のいずれか1つの態様のシートフレームと、を備えている。
【0013】
第4の態様の車両用シートでは、複数の乗員支持部のうちの少なくとも1つの乗員支持部の骨格が第1の態様~第3の態様のいずれか1つの態様のシートフレームを含んで構成されている。このシートフレームでは、ワイヤの端部が筒状フレームに形成されたワイヤ挿入孔に挿入された状態で、ワイヤが筒状フレームに接合されている。この構成では、ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシートフレーム及び車両用シートは、ワイヤの端部が周辺の部品へ接触することを防止又は抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】第1実施形態のクッションフレームの一部を示す斜視図である。
【
図3】ワイヤの一部及び筒状フレームの一部を模式的に示す斜視図である。
【
図4】ワイヤと筒状フレームとの接合部の断面を示す断面図である。
【
図5】第2実施形態のクッションフレームを構成するワイヤと筒状フレームとの接合部の断面を示す断面図である。
【
図6】第3実施形態のクッションフレームを構成するワイヤの一部及び筒状フレームの一部を模式的に示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態のクッションフレームを構成するワイヤと筒状フレームとの接合部の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図4を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。また、シート左右方向は、シート幅方向と一致している。
【0017】
図1に示されるように、車両用シート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を後方側から支持するシートバック14と、着座乗員の頭部を後方側から支持するヘッドレスト16と、を備えている。また、車両用シート10は、着座乗員の腕を下方側から支持するアームレスト18と、着座乗員の脹脛を下方側から支持するオットマン20と、を備えている。ここで、シートクッション12、シートバック14、ヘッドレスト16、アームレスト18及びオットマン20は、それぞれ着座乗員の各部を支持する乗員支持部22を構成している。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、シートクッション12は、当該シートクッション12の骨格を構成する第1実施形態のクッションフレーム24と、クッションフレーム24に取り付けられていると共に着座乗員側の面が表皮材26に覆われたクッションパッド28と、を備えている。なお、クッションフレーム24はシートフレームの一例である。
【0019】
ここで、
図2には、クッションフレーム24の一部を構成する筒状フレーム30及びクッションフレーム24の他の一部を構成するワイヤ32が示されている。
【0020】
筒状フレーム30は、一例として円筒状かつ金属製のパイプ材を用いて形成されていると共に上方側から見て矩形枠状に形成されている。この筒状フレーム30は、左右方向に間隔をあけて配置された一対のサイドフレーム部34と、一対のサイドフレーム部34の前端部を左右方向につなぐ前フレーム部36と、一対のサイドフレーム部34の後端部を左右方向につなぐ後フレーム部38と、を備えている。
【0021】
図2~
図4に示されるように、一対のサイドフレーム部34の前側の部位におけるシート幅方向内側には、それぞれワイヤ挿入孔40が形成されている。このワイヤ挿入孔40は、サイドフレーム部34の内部42と外部44とを連通する貫通孔となっている。また、ワイヤ挿入孔40の縁をシート幅方向内側から見た形状は、円形となっている。
【0022】
ワイヤ32は、一例として棒状かつ金属製の部材を用いて形成されている。このワイヤ32を長手方向と直交する方向に沿って切断した断面は円形の断面となっている。なお、ワイヤ32は、筒状の部材を用いて形成されていてもよい。
【0023】
そして、ワイヤ32の一方側の端部46は、一方のサイドフレーム部34に形成されたワイヤ挿入孔40に挿入されている。また、ワイヤ32の他方側の端部46は、他方のサイドフレーム部34に形成されたワイヤ挿入孔40に挿入されている。これにより、ワイヤ32が一対のサイドフレーム部34間に掛け渡される。また、ワイヤ32の一部は、一方のサイドフレーム部34のワイヤ挿入孔40の周辺において一方のサイドフレーム部34の外面48に溶接で接合されている。また、ワイヤ32の他の一部は、他方のサイドフレーム部34のワイヤ挿入孔40の周辺において他方のサイドフレーム部34の外面48に溶接で接合されている。ここで、
図4には、ワイヤ32とサイドフレーム部34とを接合する溶接ビード50が示されている。本実施形態では、溶接ビード50がワイヤ挿入孔40の上縁に沿って形成されている。なお、溶接ビード50がワイヤ挿入孔40の縁の全周に渡って形成された構成としてもよい。
【0024】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0025】
図1~
図4に示されるように、以上説明した車両用シート10は、上記構成のクッションフレーム24を含んで構成されている。このクッションフレーム24では、ワイヤ32の端部46が筒状フレーム30のサイドフレーム部34に形成されたワイヤ挿入孔40に挿入された状態で、ワイヤ32が筒状フレーム30に溶接で接合された構成となっている。この構成では、ワイヤ32の端部46が筒状フレーム30の外側に露出しない。これにより、ワイヤ32の端部46が周辺の部品(一例としてクッションパッド28や配線等)へ接触することを防止又は抑制することができる。また、この構成では、ワイヤ32の端部46が筒状フレーム30の外部に配置される構成と比べて、ワイヤ32の端部46の周辺の部品への影響を少なくすることができる。これにより、周辺の部品のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0026】
(第2実施形態のクッションフレーム52)
次に、
図5を用いて第2実施形態のクッションフレーム52について説明する。なお、第2実施形態のクッションフレーム52において前述の第1実施形態のクッションフレーム24と対応する部材及び部分には、第1実施形態のクッションフレーム24と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0027】
図5に示されるように、本実施形態のクッションフレーム52では、ワイヤ32の端部46が先端側へ向かうにつれて次第に窄まる形状に形成されている、これにより、ワイヤ32の端部46の外面がテーパ面54を有する構成となっている。
【0028】
そして、ワイヤ32の端部46に形成されたテーパ面54がワイヤ挿入孔40の縁に当接している状態で、ワイヤ32が筒状フレーム30に溶接で接合されている。ここで、ワイヤ32の端部46に形成されたテーパ面54がワイヤ挿入孔40の縁に当接している状態では、ワイヤ32の端部46の筒状フレーム30に対する上下方向及び前後方向への変位が制限される。これにより、ワイヤ32の筒状フレーム30に対する位置決めを容易にすることができる。
【0029】
(第3実施形態のクッションフレーム56)
次に、
図6及び
図7を用いて第3実施形態のクッションフレーム56について説明する。なお、第3実施形態のクッションフレーム56において前述の第1実施形態のクッションフレーム24と対応する部材及び部分には、第1実施形態のクッションフレーム24と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0030】
図6及び
図7に示されるように、本実施形態のクッションフレーム56では、L字状に曲げられた屈曲部58がワイヤ32の端部46側に形成されている。また、本実施形態のクッションフレーム56では、ワイヤ挿入孔40がサイドフレーム部34の上方側に形成されている。
【0031】
そして、
図7に示されるように、ワイヤ32の端部46がワイヤ挿入孔40に上方側から挿入されて、屈曲部58が筒状フレーム30の外面48に沿って配置された状態で、ワイヤ32が筒状フレーム30に接合されている。ここで、ワイヤ32の端部46側に屈曲部58が形成された構成では、ワイヤ32の端部46の筒状フレーム30の内部42への挿入量が制限される。これにより、ワイヤ32の筒状フレーム30に対する位置決めを容易にすることができる。
【0032】
なお、以上説明した例では、筒状フレーム30及びワイヤ32を有する本発明のシートフレームの構成をシートクッション12の骨格を構成するクッションフレーム24、52、56に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。筒状フレーム30及びワイヤ32を有する本発明のシートフレームの構成は、シートバック14、ヘッドレスト16、アームレスト18及びオットマン20等の他の乗員支持部22の骨格を構成するシートフレームに適用することもできる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
10 車両用シート
22 乗員支持部
24 クッションフレーム(シートフレーム)
30 筒状フレーム
32 ワイヤ
40 ワイヤ挿入孔
46 ワイヤの端部
48 筒状フレームの外面
52 クッションフレーム(シートフレーム)
56 クッションフレーム(シートフレーム)
58 屈曲部