(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127674
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】拡張増殖可能な圧着植生式浮体型植物養生基
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240912BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240912BHJP
A01G 22/30 20180101ALI20240912BHJP
【FI】
A01G31/00 604
A01G9/02 F
A01G22/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023052358
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】507203744
【氏名又は名称】武田 実
(71)【出願人】
【識別番号】501453477
【氏名又は名称】新家 一男
(71)【出願人】
【識別番号】523111865
【氏名又は名称】末永 光
(71)【出願人】
【識別番号】523110204
【氏名又は名称】工藤 慧
(72)【発明者】
【氏名】武田 実
(72)【発明者】
【氏名】新家 一男
(72)【発明者】
【氏名】末永 光
(72)【発明者】
【氏名】工藤 慧
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314ND06
2B327NC12
2B327NC22
2B327NC25
2B327NC27
2B327NC56
2B327ND13
2B327UA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既存の植物養生基盤を使用しても、基盤上に植物体を養生したままの移動や輸送の際に基盤上の植物体が落下や剥離しまう問題、および、植物の生長が基盤の範囲に制限されてしまうといった問題が認められる。
【解決手段】浮体式基盤の養生部内に毛管網成分を被覆した圧力支持板を挿入することで、挿入した植物体の地下部と水面との間に内部空間(絶対空間領域)を確保することを可能にしただけでなく、植物体の落下や剥離がなく、養生基盤の移動や輸送を行うことを可能にした。さらに、浮力盤本体とは別に独立して浮力する浮力体を、本体から一定の距離を保ちつつ囲むようにして配置することにより、植物体が浮力盤本体の周辺部に達した場合にも、その水上空間領域を起点として、外側に配置された浮力盤周辺部上で生長範囲を拡大し続けることを可能にした。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水または養液のある水域に浮体させ、これら液体が存在する領域から、毛細管現象、またはこれと同等の性質を有する輸送体を介して、植物を養生する領域に水あるいは養液を供給させる浮体植生基盤内部に、毛管膜成分を被覆した圧力支持板を挿入することで、各支持板の間にミズゴケを高密度に圧着して養生することを特徴とする浮体植生基盤。
【請求項2】
浮力盤本体とは別に独立して浮力する浮力体を、本体から一定の距離を保ちつつ囲むように配置することにより、植物体が浮力盤本体の周辺部に達した場合にも、外側に配置された浮力盤上で生長範囲を拡大し続けることを可能にした請求項1記載の浮体植生基盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植生基盤、具体的には根菜類、木本植物またはその苗、草本性植物全般、およびシダ・コケ植物全般の養生を行うことを主要な目的とする浮体植生基盤、およびその使用方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、植物養生基盤として、水あるいは養液のある水域から、これらを毛細管現象によって植物養生領域へ輸送する構造物(「輸送体」、「揚水体」または「浸潤体」ともいう)を介し、植物を養生する基盤および手法が開発されている。この原理をもとに開発された基盤技術として、輸送体の素材には生物系のミズゴケおよびその乾燥体が、非生物系素材としては石質やプラスチックを加工した薄層系の揚水体および浸潤体が開発された。これにより、ミズゴケあるいは乾燥させたミズゴケを介してコケ植物およびその他植物の栽培・増殖、さらには絶滅危惧植物であるミズゴケ属に属する種を含むその他希少種が安定かつ容易に大量栽培することが可能になった。この発明をもとに、現在、ダムや湖水でのフロー栽培ならびに自然環境に生息する環境修復など屋外条件下を前提としたフィールドだけでなく屋上緑化、さらには壁面緑化におけるミズゴケ、ミズゴケ以外のコケ植物、またはシダ植物を含む維管束植物の生育基盤とし大きく貢献している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記基盤には、地面に固定された固定式基盤と、水面に浮上する浮き式基盤(「浮体式」、「フロート式」または「いかだ式」基盤ともいう)の2つの型に大別される。前者は、地面や屋上といった固体の場に、基盤を固定して植物の養生を行うものであり、田畑での植物の栽培、緑化では「人工地盤」として古来あるいは従来実施されている方法に基づいた栽培方法を応用して開発された基盤、あるいは技法である。これに対して後者の浮体式は浮体物を用いて水面上にある領域で植物を養生する技法であり、「浮き島」や「人工浮島」として主に水辺の植物を中心に「人工湿原」構築の技法として開発されてきた経緯をもつ。また、近年では植物工場の養液栽培にも利用され、具体的には発泡スチロール等を加工した浮き式の基盤を用い、浮体の上部に植物の地上部にあたる器官(主に葉)を、浮体の下部にあたる水域では植物の地下部にあたる器官(主に根)を養生し、いわゆる「水耕栽培」形式として浮き式基盤が利用されている。
【0004】
近年、土層構造をもつ浮体基盤が発明され、これにより樹木や根菜類などを含め限定されることなく栽培植物を養生できるようになった(特願2021-146494:浮体式植物養生基盤)。この基盤構造の特徴は、浮体式の基盤養生部に水または養液が直接侵入することを遮断する絶対空間領域を設けた点と、かつこの気体領域の空間配置が浮体状態で水面に対し同じ状態に保たれて傾かないための、空間配置維持機能としてはたらく開放系部が設けられたこと、さらに基盤内の養生部の湿潤状態を一定の含水率に保たせたことである。
【0005】
さらにこれを改良し、この浮体基盤の上部に、この基盤とは別に独立して浮力する中核浮力体を設置することで、植物の養生に適した浮体基盤を発明した(特願2022-116762:二段式浮体型植物養生基盤)。本体である浮体式基盤の養生部に、この基盤とは別に独立して浮力する中核浮力体を設置することで、幼苗および幼植物体などの小型植物体の生育を順化や育苗の段階を経ることなく養生を行うことが可能となり、また本体および中核浮力体に開口部を設けることで、植物養生下部の絶対空間領域の通気性を確保し、これにより、当該空間内部の湿潤状態を保ちながらも水あるいは養液の循環または気化熱発生により養生植物の生育を阻害してしまう養生下部領域の温度上昇を抑えることに成功した。
【0006】
しかしながらこの構造を有する二段式浮体型植物養生基盤を使用しても、1)基盤上に植物体を養生したままの移動や輸送の際に基盤上の植物体が落下や剥離しまう問題、および2)植物が生長を続けた場合に浮体基盤の大きさを超えて生長を続けることが困難であるので植物の生長が基盤の範囲に制限されてしまうといった未解決の問題が認められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はこの課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、本体である浮力盤の養生部内に毛管網成分を被覆した圧力支持板を挿入することで、各支持板の間にミズゴケを高密度に圧着して配置させることが出来るようになり、挿入した植物体の地下部と水面との間に内部空間(絶対空間領域)を確保することを可能にしただけでなく、植物体の落下や剥離がなく、養生基盤の移動や輸送を行うことを可能にした。さらに、浮力盤本体とは別に独立して浮力する浮力体を、本体から一定の距離を保ちつつ囲むようにして配置することにより、浮力盤本体と追加浮力盤の間に水上空間領域を配置することを確保し、これにより植物体が浮力盤本体の周辺部に達した場合にも、その水上空間領域を起点として、外側に配置された浮力盤周辺部上で生長範囲を拡大し続けることを可能にした。
【0008】
すなわち本発明は、浮体によって液面から浮上させた基盤部分をもたせ、その浮体基盤の上部に、独立した浮体基盤(中核浮力体)を設置し、かつ本体および中核浮力体に開口部を設けることで、植物養生下部の絶対空間領域の通気性を確保し、これにより、当該空間内部の湿潤状態を保ちながらも水あるいは養液の循環または気化熱発生が飛躍的に向上した二段式浮体型植物養生基盤をさらに改良したもので、この浮体基盤の養生部に中核浮力対を設置せず、毛管膜成分を被覆した圧力支持板を挿入することで、各支持板の間にミズゴケを高密度に圧着して養生させることが出来るようになり、挿入した植物体の地下部と水面との間に内部空間(絶対空間領域)を確保することを可能にしただけでなく、基盤上に植物体を養生したままの移動や輸送の際に基盤上の植物体が落下や剥離しまう問題を克服した。かつ、本発明は、浮力盤本体とは別に独立して浮力する浮力体を、本体から一定の距離を保ちつつ囲むように配置することにより、植物体が浮力盤本体の周辺部に達した場合にも、外側に配置された浮力盤周辺部上で生長範囲を拡大し続けることを可能にし、植物の生長が基盤の範囲に制限されてしまう問題を解決した。
【0009】
なお、養液とは、特に断らない限り、任意生物を生存、生長あるいは増殖可能な全ての溶液である。また、蒸留水や培養液を含め、前記の生長可能な養生液に殺菌・消毒処理を施したものも範疇に含み(市販品も可)、さらに、前記の養生液に微生物などの生物が加えられても、自然増殖してもよい。いずれにしても、「養液」とは、主に、水あるいは生物を生存あるいは成長・増殖させるための培養液であるものを意味するもので、生物の種類のいかんに問わず、水と同様に循環するものであれば問題とならない。
【0010】
なお、輸送体(「揚水体」または「浸潤体」)とは、毛細管現象による水の移動を含め、紙、布、綿、パルプなどの天然の植物性繊維素材、およびスポンジなどの化学合成系のプラスチック素材、発泡性のセラミック・陶磁、グリーンビズ、モルタル、コンクリート二次製品、レンガ、タイル、など、養液を水位よりも上部に引き上げることが可能な構造体であればよく、その材質およびその組み合わせは特に限定されるものではない。またミズゴケ、砂岩・泥岩などの砕屑性、凝灰岩などの火砕性、氷河堆積岩などの破砕性といった堆積岩、溶岩・火山噴出物・マグマなどから形成される火成岩、あるいは生物の堆積物でできる石灰岩、人工的につくられるコンクリート材や、これら粉砕物を単独あるいは複合して形状化したものも輸送体の範疇に含める。例えば、薄層表面加工して、粒形を一律にした砂や溶岩の粉末粒子を接着剤等で固着するものなども、これに該当する
【0011】
「輸送体」は、養液を養生部に移動させるものであればよく、上部が開放された水路状の構造(水路ともいう)や、流入および流出部を主な開放部とするパイプ状の構造、あるいは水を溜めることが可能な袋状構造など、形状やその役割・用途は限定されない。また輸送体は、吸水性素材としてのミズゴケや石質素材もこれに該当し、本発明においてはこのような単独素材での利用や素材自体が限定されなくても利用できる点であり、例えば、非吸水性や疎水性の素材表面あるいは内部に吸水性素材を付着・充填させたり、あるいはそれらを粒上にしたものを混合して形状化したりした物体で、輸送体から養生部に養液を浸潤させての植物養生も可能である。
【0012】
本基盤において養生される植物は特に限定されず、維管束植物全般の養生が可能である。またコケ・シダ類全般やキノコ・菌類全般の養生も可能である。特に、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、イモ類などの根菜類や、サンショ、柑橘系樹木など人工地盤や畑作で一般に作付される農作物の養生が可能である。また、発芽した実生を利用する植物であるもやし、スプラウト類である、ダイズ、緑豆、レタス、ゴマの種子および実生等を挙でることができる。また、ハーブ類などの植物としてアーティチョーク、アイスランドポピー、アガスタケ、アグリモニー、アチェトサ、アニス、アルカネット、アルニカ、アルファルファ、アンゼリカ、イエローフロスフラワー、イタリアンパセリ、インジェローニ・ミラノ、ウェルド・ダイヤース、ウォーター・クレス、ウォード、ウッドセージ、ウッドラフ、エキナセア、エルバガット、エルバステラ、エレカンペイン、エンダイブ、オーナメンタル・グラス、オールド・マンズ・ビヤード、オネスティー、オレガノ、オレチ、クレソン、カイヤール、ケシ(食用・観賞用)、コリアンダー、香菜、コウサイ、サットン、サフォークハーブ、シソ、セージ、セイボリー・ウインター、セロリ、ソーレル・ブルーキャットニップ、キャットミント、ナスターチューム・ドワーフシングルフェンネル・スイート(スイートフェンネル)、フレンチ、チャービル、ティル、バジル、パセリ、ヒソップ、フランキ、マロウコモン・ラージフラワー、マロウブルー、ペッパー、ペパーミント、ペニーロイヤルミント、カラミントなどのミント類、ポピー、ミントペニーロイヤル、ルッコラ、レモンバーム、レモングラス、ロイヤルフルール、ロケット、ローズマリー、ヤロウ、ワームウッドなどが例示できる。また、蔬菜類や野菜類の食用となる植物として、イチゴ、トマト、ナス、キュウリ、メロン、オクラ、トマト、ピーマン、パプリカ、ハバネロ、カボチャ、ズッキーニ、ニガウリ、スイカ、チシャ、アブラナ、キャベツ、レタス、ハクサイ、ホウレンソウ、ネギ、ニラ、ブロッコリー、カリフラワー、カイワレ、カイワレダイコン、トウガラシなどが挙げられる。花、花卉類、観賞植物、緑化植物として、パンジー、ビオラなどのスミレ類、コスモス、ヒマワリ、アスターなどの菊類、ユリ類、コチョウランやデンドロビウムなどのラン類、シバ類(日本シバ、オニシバ、キャッツグラス、リジェネラジオン、ケンタッキブルーグラス、ジェイターフツー、バミューダグラス、ベントグラス)、トルコギキョウなどのキキョウ類、キンレンカ、キンセンカ、ジニア(百日草)、アグロステンマ、ナデシコ、アゲラタム、アサガオ、アジサイ、アスクレピアス、アナキクルス、アネモネ、アマランテ、アブラナ、アビラス、アリッサム、アンセミス、アンドロサセ、イベリスケイトウ、インスタンツ、インパチェンス、ヴァレリアン、エーデルワイス、エキナセア、エキノプス、オーブリエチア、オエノテラ、オキシペタラム、おじぎ草、オシロイバナ、オステオスペルマム、オダマキ、オックスリップ、オミナエシ、カタバミ、キキョウ、サルタン、デイジー、ハゴロモルコウソウ、ヒビスカス、バラ、マーガレット、マリーゴールド、ヤグルマギク、ワレモコウ等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また湿原植物や水生植物(水中~水周辺を中心に生活する植物の総称)一般を挙げることができる。具体的には、シュロガヤツリ、地性ラン(アツモリソウ、クマガイソウ、ミズトンボ、シュンラン、トキソウ、カキラン、サギソウ、パフィオペディルム属、フラグミペディウム属、コチョウラン等)、ユキノシタ科に属する植物、アヤメ科に属する植物、モウセンゴケ科に属する植物(モウセンゴケ、コモウセンゴケ、ドロセラファルコネリー、ドロセラペティオラリス、ドロセラアデラエ、アフリカナガバノモウセンゴケ、ドロセラピグミー、イトバモウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケ、イシモチソウ、ハエトリソウ、ドロソフィラムルシタニカム、ムジナモ等)、ムシトリスミレ属に属する植物、ビブリス属に属する植物、ウツボカズラ属に属する植物、セファロータス属に属する植物、サラセニア属に属する植物、ダーリングトニア属に属する植物、ホソバノセイタカギク等を例示できるが、養生植物はこれらに限定されるものではない。
【0013】
ここて゛、生長した植物は、「収穫物」として、また本基盤で作付けされる植物全般の苗床として利用することも可能である。
【0014】
図1は浮力盤養生部にミズゴケを配列した際の断面姿図である。浮力盤上の養生部において圧力支持板4を設け、浮力盤2側部との間で垂直方向にミズゴケ1を挿入し、圧縮支持方向5に加圧し養生する。圧力支持板の厚さは特に限定されないが、1mm~100mm程度、通常は2mm~50mmが好適である。また、その素材は発泡スチロール、断熱材全般(スタイロホームなど)、プラスチック、木材、ビニール、樹脂、ゴム、コンクリート、石材、金属等、特に限定されない。浮力盤下面に滑落防護網3を設置しても良い。
【0015】
浮力盤の素材としては、素材のうち、発泡スチロール、断熱材全般(スタイロホームなど)、プラスチック、木材、ビニール、樹脂、ゴムなど浮力のあるものであれば特に限定されない。内部に気体部分を設けた構造であれば、コンクリート、石材、金属類でもよい。ただし、発泡スチロールや断熱素材は、水不透性で、かつ、生物の栄養源を実質的に含有しないだけではなく、所望の形状への加工が容易であり、かつ、軽量であり、取り扱い易いという長所がある。また、上述したように水に浮くので、本発明においては特に好適な素材である。
【0016】
滑落防護網3の素材は、プラスチック、木材、ビニール、樹脂、ゴム、コンクリート、石材、金属等、特に限定されないが、折り曲げが容易で、かつ、経時的な耐久性に優れた素材であることが好適である。このような点から、ビニール、プラスチック(防水ゴム)等の耐錆性に優れたもの、特にバードネット等が好適な素材として例示される。
【0017】
図2は浮力盤養生部にミズゴケを圧縮して配置した際の断面姿図である。浮力盤上の養生部において圧力支持板を圧縮固定支持方向5aに加圧した圧縮状圧力支持板4a’と、浮力盤側部2との間で垂直方向に圧縮状挿入ミズゴケ1aを養生する。続いて、2次圧力支持板4a’’を設け2次圧縮支持方向5a’に加圧し、圧縮状圧力支持板4a’との間で垂直方向に圧縮状挿入ミズゴケを養生する。この結果、圧縮状挿入ミズゴケ1と滑落防護網の間に内部空間6が生じ、挿入ミズゴケに水または養液が直接侵入することを遮断することができる。圧縮固定支持方向5aの数は1~100枚程度、通常は1~10枚が好適である。
【0018】
図3は浮力盤養生部にミズゴケを配列し養生した際の横断面姿図である。浮力盤上の養生部には圧力支持板を設け、浮力盤2a側部との間に、挿入前生長ミズゴケ1a’を垂直方向に挿入し、圧力支持板を圧縮支持方向5’に加圧し、相互に圧着した挿入後生長ミズゴケ1a’’を養生する。なお。圧力支持板の一部あるいは全部を毛管網で被覆し輸送体として使用する。
【0019】
図4は浮力盤養生部にミズゴケを圧縮して配置した際の横断面姿図である。浮力盤上の養生部には複数の圧力支持板を設け、圧縮指示方向5’’に加圧し、浮力盤2aの側面と圧力支持板の間、および圧力支持板と圧力支持板の間に圧着した挿入後生長ミズゴケ1a’’’を養生する。
【0020】
図5は巻き板ミズゴケ配列図である。棒状巻き板8に沿って頭頂部が上部に出るようにして生長ミズゴケ1’を配置する。巻き板にはスポンジ、ゴム、合成ゴム、合成ネット、メラミン材、弾性木板、金属板を使用できる。また、疎水性のない素材の場合には毛管不織布を巻くことができる。
【0021】
図6は巻き状ミズゴケの姿図である。
図5の棒状巻き板8を配列生長ミズゴケ1’と共に巻き上げ、ミズゴケを巻き上げ板8’に圧着することによって、巻き上げ生長ミズゴケ1a’’’’を垂直に配置することができる。
【0022】
図7は巻きミズゴケを圧縮固定した姿図である。
図6で巻き上げたものを固定化することで、円状巻き板8’’の間で巻き固定ミズゴケ1a’’’’’を垂直方向に養生することができる。
【0023】
図8は筒状浮力盤の内部に円状にミズゴケ圧縮固定を行うための組み立て図である。筒状中核浮力盤12の内部に円状圧力支持板を挿入方向10に挿入する。筒状中核浮力盤12の内部壁面と円状圧力支持板端部9’’の間にミズゴケを垂直方向に挿入する。次いで円状圧力支持板端部9’’と円状圧力支持板端部9’の間にミズゴケを垂直方向に挿入する。同様に次々と円状圧力支持板を挿入し、その間にミズゴケを垂直方向に挿入することで、ミズゴケを垂直に養生できる。
【0024】
図9は
図8に従い筒状浮力盤の内部に円状にミズゴケ圧縮固定を行った中核浮力盤の完成図である。円状圧力支持板と筒状中核浮力盤の間には空気口11を設けても良い。
【0025】
図10は
図9において完成させた筒状中核浮力盤を、より大型の浮力盤に挿入した図である。生長ミズゴケ1aaを挿入しているミズゴケ固定済筒状中核浮力盤13を、内部を筒状に刳り抜いた大型の浮力盤である挿入受基盤14の内部に、ミズゴケ固定済筒状中核浮力盤13と挿入受基盤14の間に空間を設けておいて挿入することによってミズゴケを養生することができる。これにより成長が増幅したミズゴケ1aa’を得られる。
【0026】
図11はミズゴケを方形に配置した円形の中核浮力盤をより大型の浮力基盤に挿入した図である。ミズゴケ1aaを方形に配置し固定したミ筒状中核浮力盤を、内部を筒状に刳り抜いた大型の浮力盤である挿入受基盤内部に挿入することも可能である。
【0027】
表面処理を行った浮力盤15を用いてもよい。浮力盤の表面処理を行う場合、表面を事後的に硬化し、かつ固化前は粘調な液体素材を塗布する。かかる事後的な硬化素材としては、接着剤又は水性塗料、例えば、シリコン系接着剤、水性樹脂塗料(水性アクリル樹脂塗料等)、ウレタン系接着剤、酢酸ビニール系接着剤、セルロース系接着剤、合成ゴム系接着剤、紫外線硬化系接着剤、嫌気性接着剤、紫外線嫌気性接着剤等を挙げることができるが、水性樹脂塗料(水性アクリル樹脂塗料等)又はシリコン系接着剤が好適である。なお、水性樹脂塗料を用いる場合には、所望する色彩を選択することも可能である。
【0028】
この塗布の方法は、特に限定されず、例えば、上記液体素材を入れた射出用容器(射出用チューブ等)から、当該液体素材を対象物の表面に射出し、これをヘラ等で均すことも可能であり、薄く塗りたい場合は、刷毛等に当該液体素材を付着させて、これを対象物表面に塗布することも可能である。
【0029】
次に、対象物の表面に塗布された上記液体素材を毛羽立たせたり白色素材で施工したりすることが好適である。この工程を行う方法は、特に限定されないが、例えば、毛羽立たせる場合は、対象物表面の液体素材の表面に剛性を有する起毛性部材(例えば、針金の刷毛)でたたくなどの方法をとる。
【0030】
次に、対象物表面に塗布した液体素材の上から、粒子(砂利、砂、土、陶器粉、ガラス粉、灰類、軽量骨材、粘土、ピートモス、乾燥ミズゴケの粉砕物、パーライト等)、顔料、色素、コケ植物、緑藻類等をふりかけた後、好適には固着後、対象物表面に、通常の上水道口にシャワーノズルを付加して生成させた程度の水流を接触させて、余分なふりかけ物を洗い流す。次いで、好ましくは、対象物表面を軽くなでつけてならし、次いで、この液体素材を固化(乾燥、紫外線照射、嫌気等の事後的硬化素材の種類に応じた固化方法による)させることにより、土壁にも似た、自然な風合い表面を、対象物上に形成することができる。また、後述する透水組成物の前駆組成物を、上記の土質細物として用いることも可能である。
【0031】
上記の対象物の表面に、塗膜を設けることが、対象物の表面における微生物の栄養源が表面に露出するのを防ぐために好適である。ただし、対象物の表面上にふりかけた物が、ミズゴケ以外のコケ植物や緑藻のような生物である場合は、この塗膜を設ける工程を行うことは、当該生物が生命活動を行う上での障害になるため、好適ではない。塗膜は、対象物の表面上に所望するコーティング素材の塗布を行い、これを乾燥・固化させることで設けることができる。このコーティング素材としては、特に限定されず、現在、上薬として提供されている製品を用いることが可能であるが、可能な限り、透明性が保たれ、かつ、安全性の高いものを用いることが好適である。例えば、水性の下地安定剤として販売されているアクリル樹脂の水性剤(アトミクス株式会社製等)を、このコーティング素材として転用することが非常に好適である。さらに、必要に応じて、このコーティング素材の上面に防水処理、例えば、シリコーンコーティング剤の塗布処理を行うことにより、防水を行うことができる。
【0032】
図12はミズゴケが増幅している方形中核円形浮力基盤の姿図である。
図11の中核基盤上で方形に配置固定されたミズゴケは、養生後に中核基盤の辺縁まで成長し、円状に増幅したミズゴケ1aa’を得ることができる。
【0033】
図13は各種圧力支持体の図である。支持板の一部を切断することで、植物養生下部の内部空間領域の通気性を確保し、これにより、当該空間内部の湿潤状態を保ちながらも水あるいは養液の循環または気化熱発生により養生植物の生育を阻害してしまう養生下部領域の温度上昇を抑えることができる。切断の部位により、たとえば両端部を切断した両端部斜形支持板16、上部と両端部をともに切断した上部両端部斜形支持板17、中部空気口19を擁する中部空気口支持板18があげられるがこれに限定されない。
【0034】
図14は毛管網で被覆した圧力支持体を形成する方法図である。例として両端部斜形支持板16に毛管網20を被覆する方法を示す。毛管網の素材は、毛細管現象による水の移動を含め、紙、布、綿、ウェットティッシュ、パルプなどの天然の植物性繊維素材、およびスポンジなどの化学合成系のプラスチック素材、など、養生液を水位よりも上部に引き上げることが可能で加工が容易な構造体であればよく、その材質は特に限定されるものではない。
【0035】
図15は
図14の方法で制作した毛管網支持板である。毛管網を固定して毛管網支持板20’を作製できる。毛管網は例えば、くぎ、留めネジ、ホッチキス針、接着剤、テープなどで固定できるが、これらに限定されない。
【0036】
図16は圧力支持板でミズゴケを固定した浮力盤の側面図である。
図2および
図4の方法で作製した浮力盤を水面に浮遊させた場合には、水面位とミズゴケ下部との間に下部空間6aを生じ、両端部斜形支持板と浮遊盤内部側面の間には側部空気通管口6aaが生じることになる。下部空間6aと側部空気通管口6aaを設けることによって、植物養生下部の絶対空間領域の通気性を確保し、これにより、当該空間内部の湿潤状態を保ちながらも水あるいは養液の循環または気化熱発生により養生植物の生育を阻害してしまう養生下部領域の温度上昇を抑えることが可能である。また
図11のように、壁面に粒径物22で被覆した塗膜層を形成しても良い。
【0037】
図17は圧力支持板でミズゴケを固定した浮力盤の上面図である。両端部斜形支持板と浮遊盤内部側面の間には側部空気通管口6a’が生じる設計である。側部空気通管口6a’は、
図16の下部空間6aと側部空気通管口6aaを通じてつながることになる。
【0038】
図18はミズゴケ浮力盤を湖沼に設置した敷設図である。湖沼水面27に、単配列のミズゴケ浮力盤25、あるいは複数組配列で連結したミズゴケ連結浮力盤26を設置することができる。浮力盤は係留ロープ24に固定し、係留ロープ24の末端は桟橋作業足場23上に設置された巻き上げロープ留33あるいは護岸28に設置されたに巻き上げロープ留33aに固定することで安定に浮遊できる。
【0039】
図19はミズゴケ浮力盤を湖沼に設置した集合固定枠内に浮かせた敷設図である。湖沼上に設置した集合固定枠30の内側に複数のミズゴケ浮力盤を配置し浮かせることができる。ミズゴケ基盤が設置された集合固定枠30、ミズゴケ基盤設置前の集合固定枠30a、集合固定枠予定地32は湖沼あるいは桟橋作業足場に設置された巻き上げロープ帯33に固定することができる。また、管理作業ポート29をボート移設用係留ロープ31に連結し、末端を湖沼あるいは桟橋作業足場に固定することで、湖沼上で安定に管理作業を行うことが可能である。
【0040】
図20はミズゴケ浮力盤を水上に固定係留する姿図である。水底地盤40に挿入した浮力輪留め35に係留輪38を通し、係留ロープ固定輪37を介して、ミズゴケ浮力盤と連結している係留ロープ41と連結することができる。これにより、水面が水上方向36に変動した際にもミズゴケ基盤が安定的に水平を維持することが可能となる。
【0041】
図21はミズゴケ浮力盤を水上に浮遊定係留する姿図である。浮力輪42と水底に没している錘42’とを連結している水中係留ロープ41aに係留輪38を通し、係留ロープ固定輪37を介して、ミズゴケ浮力盤と連結している係留ロープと連結することができる。これにより、ミズゴケ基盤が安定的に水平を維持することが可能となる。
【0042】
図22は左右に移設可能なミズゴケ浮力盤係留装置の姿図である。
図20の係留支持棒の替わりに左右係留支持棒34’を使用することで複数列のミズゴケ浮力盤を水上に設置することができる。ミズゴケを連結した係留ロープは、左右係留支持棒34’と係留支持棒の間に張られた横張ワイヤーロープ45と、係留ロープ止め金具44を介して連結することができる。さらに連結ロープは、足場杭47を土台に建設された管理作業用足場46の上に設置された巻き上げリールとも連結することができる。
【0043】
図23はミズゴケ浮力盤を水上に筏式に集約浮遊する姿図である。浮力体48をミズゴケ浮力体留め枠49を使用し相互に連結して筏状にすることができる。配置したミズゴケ浮力体留め枠49の内部にミズゴケ浮力基盤を集約して浮かべることが可能である。また、浮力体48の上部に浮力盤足場を設置することで安定的な作業が可能になる。なお浮力体は中空の物や発泡体のものでも良いがこれらに限定されない。
【0044】
図24は太陽光を遮光しミズゴケを防護する移動型の舟の図である。集合ミズゴケ浮力基盤帯55の周囲に複数の上部建物支持浮力体56を配置し、その上部に遮光網固定建物51を建設することができる。遮光網固定建物51には遮光網52やカーテン敷遮光網53を設置することができるが、遮光可能な様式であるならこれらに限定されない。また、上部建物支持浮力体56は固定係留ロープ54’に連結されているので水上で安定に存在するが、移設係留ロープを54連結して集合ミズゴケ浮力基盤帯55の上部より移動させることも可能である。
【0045】
図25はミズゴケの自然増殖を可能とするミズゴケ浮力体基盤の姿図である。被覆加工した浮力体57の中央部分に圧縮ミズゴケ群58を配置し、浮力体57と圧縮ミズゴケ群58と接する側には内部斜面部60を、浮力体57の外側の辺縁部には外輪斜面部を設ける。
【0046】
図26はミズゴケの自然増殖を可能とする増幅ミズゴケ浮力基盤の構成図である。
図25の浮力基盤体の上部平面状一杯に成長した圧縮ミズゴケ増殖群58’に対して、その周囲を囲むように2次枠浮力体61を設置することができる。ミズゴケ浮力体基盤と2次枠浮力体61の間には一定距離の空間を確保するために空域支持板70を設けることができる。
【0047】
図27は増幅ミズゴケ浮力基盤の断面図である。ミズゴケ浮力体と増幅2次浮力体64の側部壁面の間は、空域支持板断面70’を設けているために、一定距離の空間を確保することができる。この状態で、ミズゴケ浮力体の上部平面状一杯に成長した増殖ミズゴケは、浮力体外側の辺縁部に設けた外輪斜面部に沿って、浮力体と増幅2次浮力体64の側部壁面の間に生じた空間内を水面に落ち込むようにしてさらに増殖することができる。
【0048】
図28は2次増幅ミズゴケ浮力基盤の断面図である。
図27の状態の生育を続けると、ミズゴケ浮力体の上部平面状一杯に成長した増殖ミズゴケの重量でミズゴケ増殖基盤63は沈降し、沈降したミズゴケ増殖基盤63’では増殖したミズゴケの下部は水面に達することとなる。さらに養生を続けることによって、浮力体と増幅2次浮力体の間の空間を水面に落ち込むように増殖していたミズゴケは水面に達し、1次沈降ミズゴケ増殖体63aを形成することができる。ここで、1次沈降ミズゴケ増殖体63は水面を起点として水上面に向かって増殖することができるようになる。さらに養生を続けることによって、増殖ミズゴケは増幅2次浮力体64の上部平面状一杯に成長し、増殖ミズゴケの重量で増幅2次浮力体64は沈降し、沈降したミズゴケ増殖基盤64’では増殖したミズゴケの下部は水面に達することとなる。さらに養生を続けることによって、2次沈降ミズゴケ増殖基盤64’と増幅3次浮力体65の間の空間を水面に落ち込むように増殖していたミズゴケは水面に達し、2次沈降ミズゴケ増殖体63bを形成することができる。ここで同様に、2次沈降ミズゴケ増殖体63bは水面を起点として水上面に向かって増殖することができるようになる。さらに養生を続けることによって、増殖ミズゴケは増幅3次浮力体65の上面に達することができる。
【0049】
図29は3次増幅ミズゴケ浮力基盤の断面図である。
図28の状態の生育を続けると、増殖ミズゴケは増幅3次浮力体65の上部平面状一杯に成長し、増殖ミズゴケの重量で増幅3次浮力体65は沈降し、沈降したミズゴケ増殖基盤65’では増殖したミズゴケの下部は水面に達することとなる。さらに養生を続けることによって、3次沈降ミズゴケ増殖基盤65’と増幅4次浮力体66の間の空間を水面に落ち込むように増殖していたミズゴケは水面に達し、3次沈降ミズゴケ増殖体63cを形成することができる。ここで同様に、3次沈降ミズゴケ増殖体63cは水面を起点として水上面に向かって増殖することができるようになる。さらに養生を続けることによって、増殖ミズゴケは増幅4次浮力体66の上面に達することができる。
【0050】
次々に増幅浮力体を追加配置することによってミズゴケ増殖範囲の永続的な拡張が可能となる。
【0051】
図30はミズゴケ拡幅輪の構成姿図である。上部平面状一杯に成長したミズゴケを有する増殖基盤71に対して、その周囲を囲むように、空域支持板を付随した初回ミズゴケ増殖拡幅輪69を設置することができる。次に、初回ミズゴケ増殖拡幅輪69に対して、その周囲を囲むように、空域支持板を付随したミズゴケ増殖拡幅輪68を設置することができる。
【0052】
次々に増殖拡幅輪を追加配置することによってミズゴケ増殖範囲の永続的な拡張が可能となる。
【0053】
図31はミズゴケ拡幅棒の構成姿図である。
図30において設置したミズゴケ増殖拡幅輪68に対して、さらに拡大した増殖拡幅輪を設置することが困難な場合には、空域調整板70を付随した増幅棒板72を使用することができる。ミズゴケ増殖拡幅輪68と増幅棒板72は連結板73を介して連結することができ、増幅棒板72同士は角連結板74を介して連結することができる。増幅棒板72を移動係留ロープ75に連結し、さらにそのロープの末端を係留ロープ留めピンに連結することによって、増幅棒板72をミズゴケ増殖拡幅輪68と共に、設置回転方向77に回転することができる。これにより、全ての増幅棒板72を護岸側において容易に設置することが可能になる。
【0054】
図32は円状ミズゴケ拡幅輪の構成姿図である。上部平面状一杯に成長したミズゴケを有する円状ミズゴケ増殖基盤78に対して、その周囲を囲むように、空域支持板を付随した円状増殖1次浮力体79を設置することができる。次に、円状増殖1次浮力体79に対して、その周囲を囲むように、空域支持板を付随した円状増殖2次浮力体80を設置することができる。
【0055】
次々に円状増幅浮力体を追加配置することによってミズゴケ増殖範囲の永続的な拡張が可能となる。
【0056】
図33は任意にミズゴケ増殖基盤を配置している構成上面図である。方形ミズゴケ増幅基盤81同士を基盤連結体82によって連結することによって、ミズゴケ増殖基盤を任意に配置することが可能となる。ここでは方形の増殖基盤を使用しているが、この形に限定されない。
【0057】
図34はミズゴケ増幅枠の設置構成の姿図である。水上に浮遊しているミズゴケ増殖基盤86に対して、吊り上げロープ84を連結した吊り上げ拡幅枠85をドローン83によって空中に吊り上げてから設置することも可能である。
【0058】
図35はミズゴケ基盤の移動手段の構成図である。追突防止用牽引板によって係留浮枠87に連結している牽引ホバークラフト88を作動させることによって、係留浮枠内87に浮遊しているミズゴケ基盤を移動させることが可能である。また、係留浮枠87上に設置されている牽引ロープ止め具92と牽引ドローン91を牽引ロープ90によって連結し、牽引ドローンを作動させることで係留浮枠内87に浮遊しているミズゴケ基盤を移動させることが可能である。
【0059】
図36はミズゴケ増殖基盤の浮力を調整する姿図である。たとえば増殖基盤上面での不均一なミズゴケの増殖など、ミズゴケ増殖基盤93を水平に調整する必要がある場合には、ミズゴケ増殖基盤93に連結された浮力支持腕板96と、浮力板95に連結した浮力調整棒94とを連結することができる。ここで、浮力支持腕板96と浮力調整棒94の連結部位には上下留めピンが存在し、ミズゴケ増殖基盤93が水平になるように調整することができる。
【図面の簡単な説明】