(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127676
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】リチウム塩粉末の溶解装置
(51)【国際特許分類】
B01F 21/00 20220101AFI20240912BHJP
B01F 21/20 20220101ALI20240912BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20240912BHJP
B01F 35/60 20220101ALI20240912BHJP
B01F 21/10 20220101ALI20240912BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240912BHJP
B01F 25/53 20220101ALI20240912BHJP
B01F 25/52 20220101ALI20240912BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240912BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240912BHJP
【FI】
B01F21/00 101
B01F21/20
B01F23/50
B01F35/60
B01F21/10
B01F23/53
B01F25/53
B01F25/52
B01F35/71
H01M10/0568
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064381
(22)【出願日】2023-04-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0030539
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523136282
【氏名又は名称】現代ビーシーエンジニアリング株式会社
【氏名又は名称原語表記】Hyundai BC Engineering Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】具 教先
(72)【発明者】
【氏名】宋 潤惠
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
5H029
【Fターム(参考)】
4G035AA19
4G035AB44
4G035AB46
4G035AC30
4G035AC31
4G035AE09
4G035AE13
4G037AA03
4G037AA07
4G037DA30
4G037EA01
4G037EA03
5H029AJ14
5H029AM07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粉末容器の内部でリチウム塩粉末が架橋現象を防止することによって、溶解チャンバに供給されるリチウム塩粉末を円滑に排出できるリチウム塩粉末溶解装置を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池の電解液を製造するのに用いられるリチウム塩粉末の溶解装置に関し、電解質溶液を供給する反応器10と、リチウム塩粉末を供給する粉末ホッパ20と、電解質溶液とリチウム塩粉末を強制混合する溶解チャンバと、粉末ホッパ20と溶解チャンバを連結する粉末供給管40と、を含むリチウム塩粉末の溶解装置において、粉末ホッパ20の周辺には、ホッパ立て枠70が設置されており、ホッパ立て枠70は、ホッパ振動部80上に分離可能に搭載され、粉末ホッパ20の粉末排出口は、防塵連結管により粉末供給管40に連結されている構造を有するリチウム塩粉末の溶解装置とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極液製造用の電解質溶液を供給する密閉型の反応器と、
リチウム塩粉末を供給する粉末ホッパと、
前記電解質溶液と前記リチウム塩粉末を強制混合して前記反応器に循環させる溶解チャンバと、
前記粉末ホッパと前記溶解チャンバを連結する粉末供給管と、
前記反応器と前記溶解チャンバを連結する溶液排出管及び溶液搬送管を含んで構成されるリチウム塩粉末の溶解装置において、
前記粉末ホッパの周辺には、粉末排出口が下端に位置した状態でまっすぐ立てられるように支持するホッパ立て枠が設置されており、前記ホッパ立て枠は、前記粉末ホッパに対して振動を付与するホッパ振動部上に分離可能に搭載され、前記粉末排出口は、振動を吸収するエラストマー材質の防塵連結管により前記粉末供給管に連結されていることを特徴とする、リチウム塩粉末の溶解装置。
【請求項2】
前記ホッパ立て枠は、
前記粉末ホッパの上側に配置される四角形状の上部フレームと、
前記粉末ホッパの下側に配置される四角形状の下部フレームと、
前記上部フレームと下部フレームを上下に連結する多数個の縦フレームと、
前記縦フレームの中間部位で粉末ホッパの下端斜面を支える支持フレームと、
前記粉末ホッパの側面を前記縦フレームにそれぞれ固定する固定ブラケットと、
を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム塩粉末の溶解装置。
【請求項3】
前記ホッパ振動部は、前記ホッパ立て枠を搭載するものであって、
中央に前記粉末供給管が非接触状態で通過する中央ホールが貫通されているホッパ搭載板と、
前記ホッパ搭載板を支える防塵マウントと、
前記ホッパ搭載板を振動させるバイブレーターと、
を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム塩粉末の溶解装置。
【請求項4】
前記ホッパ搭載板の端には、前記ホッパ立て枠の離脱を防止する離脱防止金具が突出しており、ホッパ搭載板の底面には、前記防塵マウントが設置される補強フレームが付着されていることを特徴とする、請求項3に記載のリチウム塩粉末の溶解装置。
【請求項5】
前記ホッパ振動部の周辺には、前記ホッパ立て枠の出入りをガイドして前記ホッパ立て枠の離脱を防止するガードレールが設置されており、
前記ガードレールは、
前記ホッパ立て枠の左側及び右側にそれぞれ配置される側方レールと、
前記ホッパ立て枠の後方に配置される後方レールと、
前記側方レール及び前記後方レールを所定の高さで支持するレール支持台と、を含み、
前記ガードレールの前方は、前記ホッパ立て枠の出入りが可能となるように開放されていることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム塩粉末の溶解装置。
【請求項6】
前記側方レールの内側には、それぞれ前記ホッパ立て枠の出入りをガイドするガイドローラーが設置されていることを特徴とする、請求項5に記載のリチウム塩粉末の溶解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の電解液を製造するのに用いられるリチウム塩粉末の溶解装置に関し、より詳しくは、電解質溶液を供給する反応器と、リチウム塩粉末を供給する粉末ホッパと、前記電解質溶液と前記リチウム塩粉末を強制混合する溶解チャンバと、前記粉末ホッパと前記溶解チャンバを連結する粉末供給管を含むが、前記粉末ホッパの周辺には、ホッパ立て枠が設置されており、前記ホッパ立て枠は、ホッパ振動部上に分離可能に搭載され、前記粉末ホッパの粉末排出口は、防塵連結管により粉末供給管に連結されている構造を有するリチウム塩粉末の溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池用電解液を製造するのに用いられるリチウム塩は、非常に不安定な化合物である。例えば、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)の場合、空気中で極少量の水分とも反応して毒性と腐食性が非常に強いフッ化水素(HF)を生成する。したがって、リチウムイオン電池用電解液を生産する工程は、製造設備と作業者を保護して電解液の品質を保障するために、全ての生産工程で電解質溶液が極少量の水分とも接触しないように厳格に管理されなければならない。
【0003】
従来にも大韓民国公開特許第10-2013-0018504号(2013.02.25.)と大韓民国公開特許第10-2015-29300号(2015.03.18.)及び大韓民国公開特許第10-2018-80016号(2018.07.11.)などには、電解液の製造設備に用いられ得る粉末溶解装置が紹介されている。このような従来の粉末溶解装置は、粉末を供給するホッパ(Hopper)が反応容器上に配置されている上下構造からなる。
【0004】
したがって、このような従来の粉末溶解装置を利用してリチウムイオン電池用電解液を製造する場合、リチウム塩粉末を供給するホッパが約3m以上の高さに設置されなければならない。それによって、リチウム塩粉末ホッパを運送及び設置するためのホイスト(hoist)を設置する必要があり、さらに前記粉末ホッパを交替及び設置する作業をするのが非常に危険で且つ困難であった。
【0005】
このような問題を解消するために、本発明者らは、大韓民国登録特許第10-2382880号(2022.03.31.)において添付
図1のような新しい構造のリチウム塩粉末の溶解装置を提示したことがある。前記リチウム塩粉末溶解装置は、電解質溶液を貯蔵する密閉型反応器10とリチウム塩粉末を貯蔵する密閉型粉末容器20との間に前記電解質溶液とリチウム塩粉末を強制的に混合及び溶解する溶解チャンバ30が配置されている構造からなる。
【0006】
前記粉末容器20と溶解チャンバ30との間には、リチウム塩粉末を供給する粉末供給管40が設置されており、反応器10と溶解チャンバ30との間には、電解質溶液を移送する溶液排出管50と溶液搬送管60が設置されている。それによって、前記溶解チャンバ30から発生する陰圧により粉末容器20からリチウム塩粉末が自動で溶解チャンバ30に流入される。
【0007】
前記
図1のリチウム塩粉末溶解装置は、反応器10と粉末容器20が互いに左右位置に分離されており、その間に配置された溶解チャンバ30を利用して全体的に密閉された一つのシステム内で電解質溶液とリチウム塩粉末を強制的に混合及び溶解することによって、作業環境が安全で且つ高品質の電解液を効率的に製造することができる。
【0008】
しかし、前記粉末容器20からリチウム塩粉末を排出するとき、粉末容器20の内部に満たされたリチウム塩粉末が固まって互いに凝り固まる架橋現象が起きれば、リチウム塩粉末が溶解チャンバ30に円滑に供給されない問題が発生し得るという点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2018-0080016号
【特許文献2】大韓民国公開特許第10-2015-0029300号
【特許文献3】大韓民国公開特許第10-2001-0022018号
【特許文献4】大韓民国登録特許第10-2382880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、本発明の一番目の解決課題は、前記リチウム塩粉末溶解装置の構造を改善することである。
【0011】
本発明の二番目の解決課題は、粉末容器の内部でリチウム塩粉末が架橋現象を起こすことを防止することによって、溶解チャンバに供給されるリチウム塩粉末を残留物なしに円滑に排出できるリチウム塩粉末溶解装置を提供することである。
【0012】
本発明の三番目の解決課題は、粉末容器の運送及び交替作業をより迅速で且つ容易に実施し得るリチウム塩粉末溶解装置を提供することである。
【0013】
以下、本発明で「電解質溶液」とは、有機カーボネート化合物からなる溶媒にリチウム塩粉末がまだ溶解されていない状態を意味してもよく、前記溶媒に所定量のリチウム塩粉末が溶解されている状態を意味してもよい。また、本発明の構成要素のうち前記
図1のリチウム塩粉末溶解装置と実質的に同一の構成要素に対しては同一の名称と図面符号を用いる。ただし、「粉末容器20」という名称は、「粉末ホッパ20」に変更して使用する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電極液製造用の電解質溶液を供給する密閉型の反応器と、リチウム塩粉末を供給する粉末ホッパと、前記電解質溶液と前記リチウム塩粉末を強制混合して前記反応器に循環させる溶解チャンバと、前記粉末ホッパと前記溶解チャンバを連結する粉末供給管と、前記反応器と前記溶解チャンバを連結する溶液排出管及び溶液搬送管を含んで構成されるリチウム塩粉末の溶解装置において、前記粉末ホッパの周辺には、粉末排出口が下端に位置した状態でまっすぐ立てられるように支持するホッパ立て枠が設置されており、前記ホッパ立て枠は、前記粉末ホッパに対して振動を付与するホッパ振動部上に分離可能に搭載され、前記粉末排出口は、振動を吸収するエラストマー材質の防塵連結管により前記粉末供給管に連結されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記ホッパ振動部の周辺には、前記ホッパ立て枠の出入りをガイドして前記ホッパ立て枠の離脱を防止するガードレールが設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるリチウム塩粉末の溶解装置は、反応器と粉末ホッパが互いに水平構造で分離配置されているので、施設及び作業空間を便利で且つ効率的に用いることができ、さらに第1粉末溶解ラインと第2粉末溶解ラインを選択的に稼動することができるので、粉末ホッパを交替する途中にも待機時間なしに溶解装置を連続的に稼動できる効果がある。
【0017】
また、本発明によるリチウム塩粉末の溶解装置は、ホッパ振動部を利用して粉末ホッパの内部に貯蔵されているリチウム塩粉末を残留物なしに円滑に排出することができ、さらにホッパ立て枠の構造がフォークリフトを利用して粉末ホッパを容易に持ち上げられるように構成されているので、粉末ホッパの交替及び移送作業を迅速で且つ安全に実施し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来の電解液製造用リチウム塩粉末の溶解装置の構成図である。
【
図2】本発明のリチウム塩粉末の溶解装置を例示した斜視図である。
【
図3】
図2から粉末ホッパ、ホッパ立て枠、ホッパ振動部及びガードレールを分離した上方斜視図である。
【
図4】
図2から粉末ホッパ、ホッパ立て枠、ホッパ振動部及びガードレールを分離した下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を利用して本発明を詳しく説明する。ただし、添付図面は、本発明の好ましい実施例を例示したものに過ぎず、これら実施例によって本発明の権利範囲が制限されるものではない。また、本発明を実施するのに必ず必要な構成と言っても、従来技術に紹介されているか、通常の技術者が公知技術から容易に実施できる事項に対しては具体的な説明を省略する。
【0020】
本発明による電解液製造用リチウム塩粉末の溶解装置は、
図2に示したように、反応器10、粉末ホッパ20、溶解チャンバ30、粉末供給管40、溶液排出管50、溶液搬送管60、ホッパ立て枠70及びホッパ振動部80を含んで構成される。このうち反応器10、粉末ホッパ20、溶解チャンバ30、粉末供給管40、溶液排出管50及び溶液搬送管60の構造と機能は添付した
図1とほとんど同一である。
【0021】
まず、前記反応器10は、密閉型反応容器であって、本発明による電解液製造工程が始まる以前には電解液の製造に用いられる溶媒、例えば、有機カーボネート化合物を貯蔵していて、電解液製造工程が進行されると、リチウム塩が溶解されている電解質溶媒を回収して貯蔵及び循環させる機能を有する。前記反応器10の外面には、
図1のように冷却水が循環する冷却ポケット11が設置されている。
【0022】
次に、前記粉末ホッパ20は、粉末状態のリチウム塩を貯蔵する所であって、外部空気との接触を遮断するように密閉型構造からなる。前記粉末ホッパ20は、反応器10から離隔された位置に類似する高さで設置されていてもよい。前記粉末ホッパ20には、リチウムイオン電池の電解液を製造するのに用いられるリチウム塩粉末、例えば、LiPF6、LiBF4、LiBOBなどが貯蔵される。
【0023】
前記溶解チャンバ30は、前記反応器10と粉末ホッパ20の間、好ましくは、前記粉末ホッパ20の下端に配置されて反応器10から供給される電解質溶液と粉末ホッパ20から供給されるリチウム塩粉末を強制的に混合及び溶解させる機能をする。
図2で、前記溶解チャンバ30は、本発明による溶解装置の本体内部に隠れているので見えない。
【0024】
前記粉末供給管40は、前記粉末ホッパ20から溶解チャンバ30にリチウム塩粉末を供給する通路であって、前記粉末ホッパ20と溶解チャンバ30の間に上下方向に設置されている。前記粉末供給管40には、リチウム塩粉末の供給を制御又は遮断する制御バルブが設置され得る。
図2で、前記粉末供給管40は、上端部のみ露出されている。
【0025】
前記溶液排出管50は、反応器10の下端から溶解チャンバ30に電解質溶液を移送する通路であり、前記溶液搬送管60は、溶解チャンバ30から反応器10の上端にリチウム塩粉末が混合された電解質溶液を移送する通路である。前記溶液排出管50と溶液搬送管60には、それぞれ電解質溶液の移送を制御又は遮断する制御バルブが設置され得る。
【0026】
一方、溶解チャンバ30には、駆動モーターにより回転するインペラが具備されている。それによって、前記インペラの回転力により電解質溶液とリチウム塩粉末が強制混合され、同時にその混合物が溶液排出管50から溶液搬送管60に強制的に押し出される。そして、溶解チャンバ30から発生する陰圧により粉末ホッパ20に貯蔵されているリチウム塩粉末が粉末供給管40を通じて溶解チャンバ30に自動で流入される。
【0027】
また、前記粉末ホッパ20と粉末供給管40には、
図1のように窒素ガスを供給する窒素ファジー管21,41が連結され得、前記窒素ファジー管21,41の端部には、窒素供給手段が設置されている。前記粉末ホッパ20に設置された窒素ファジー管21は、リチウム塩粉末が排出されるとき、粉末ホッパ20の内部に真空が発生しないように窒素ガスを供給し、また、リチウム塩粉末が全て排出された以後には、粉末ホッパ20の内部に残っている残留物をきれいに除去して空気との接着を遮断する機能をする。
【0028】
本発明の好ましい実施例によると、前記溶液排出管50と溶液搬送管60の間には、第1粉末溶解ラインAと第2粉末溶解ラインBが並列に並んで設置されていてもよい。ここで、前記第1粉末溶解ラインAは、第1粉末ホッパ20aと第1溶解チャンバ30a及び第1粉末供給管40aからなり、前記第2粉末溶解ラインBは、第2粉末ホッパ20bと第2溶解チャンバ30b及び第2粉末供給管40bからなる。
【0029】
前記第1粉末溶解ラインAと第2粉末溶解ラインBは、実質的に作動構造及び機能が同一であり、ただし、必要に応じて、これらのうちいずれか一つを選択的に稼動し得るように構成されている。したがって、第1粉末溶解ラインAが稼動するときは、窒素ファジー管21,41を利用して第2粉末ホッパ20bと第2粉末供給管40bに対する窒素ファジーを実施し、第2粉末溶解ラインBが稼動するときは、第1粉末ホッパ20aと第1粉末供給管40aに対する窒素ファジーを実施することができる。
【0030】
一方、
図3~
図5に示したように、前記ホッパ立て枠70は、粉末ホッパ20の周辺に設置されるものであって、粉末ホッパ20の粉末排出口22が下端に位置した状態でまっすぐ立てられるように支持する機能をする。本発明の好ましい実施例によると、前記ホッパ立て枠70は、直方体構造からなり、上部フレーム71、下部フレーム72、縦フレーム73、支持フレーム74及び固定ブラケット75を含んで構成され得る。
【0031】
前記上部フレーム71と下部フレーム72は、それぞれ粉末ホッパ20の上側と下側に配置されるものであって、四角形状からなる。縦フレーム73は、上部フレーム71と下部フレーム72の角部位を上下で連結する。支持フレーム74は、縦フレーム73の中間部位に横長方向に設置されて粉末ホッパ20の下端斜面を支える。最後に、固定ブラケット75は、粉末ホッパ20の側面を縦フレーム73にそれぞれ固定する。
【0032】
前記ホッパ振動部80は、ホッパ立て枠70を分離可能に搭載した状態で粉末ホッパ20に対して振動を付与する機能をする。このとき、粉末ホッパ20の下端に位置する粉末排出口22は、エラストマー材質の防塵連結管23により粉末供給管40に連結される。前記防塵連結管23は、クランプ23aにより粉末供給管40の上端に堅固に締結され、ホッパ振動部80による振動を吸収する。
【0033】
本発明でホッパ立て枠70と粉末ホッパ20は、ホッパ振動部80により振動するが、粉末供給管40は振動しない。したがって、前記防塵連結管23がなければ、ホッパ振動部80の振動により粉末排出口22と粉末供給管40の間に離隔が発生することがあり、このようになれば、前記離隔を通じてリチウム塩粉末が漏出される深刻な事故が発生し得る。
【0034】
前記ホッパ振動部80は、ホッパ搭載板81と、防塵マウント82及びバイブレーター83で構成され、追加的に補強フレーム84をさらに含んでもよい。まず、前記ホッパ搭載板81は、ホッパ立て枠70を搭載するものであって、その中央には、粉末供給管40を非接触状態で露出させる中央ホール81aが貫通している。前記ホッパ搭載板81の上には、ホッパ立て枠70が搭載され得、前記ホッパ搭載板81の端には、下部フレーム72の離脱を防止する離脱防止金具81bが突出している。
【0035】
次に、防塵マウント82は、本発明による溶解装置の本体から前記ホッパ搭載板81を弾力的に支えるものであって、ホッパ搭載板81の振動が溶解装置本体に伝達されることを遮断する。このような防塵マウント82としては、例えば、スプリングマウントを用いてもよく、ゴムマウントを用いてもよい。
【0036】
前記バイブレーター83は、ホッパ搭載板81を上下又は左右に振動させる機能をするものであって、例えば、空圧式や油圧式又は電動式バイブレーターを用いることができる。最後に、補強フレーム84は、ホッパ搭載板81の底面に付着されて構造的な強度を補強するものであって、ここに前記防塵マウント82とバイブレーター83が設置され得る。
【0037】
本発明の好ましい実施例によると、前記ホッパ振動部80の周辺には、前記ホッパ立て枠70の出入りをガイドして離脱を防止するガードレール90が設置され得、前記ガードレール90は、側方レール91と後方レール92及びレール支持台93を含んで構成され得る。
【0038】
前記側方レール91は、ホッパ立て枠70の左側及び右側にそれぞれ横長方向に配置され、後方レール92は、ホッパ立て枠70の後方に横長方向に配置される。レール支持台93は、側方レール91と後方レール92を所定の高さで支持する。このとき、側方レール91と後方レール92の高さは、ホッパ立て枠70の支持フレーム74に対応する高さを有することが好ましい。
【0039】
前記ガードレール90の前方は、ホッパ立て枠70の出入りが可能に開放されており、前記側方レール91の内側には、ホッパ立て枠70の出入りをガイドするガイドローラー94が設置され得る。前記レール支持台93は、ホッパ搭載板81を離隔状態で取り囲むレール設置板95の上に立てられ、前記レール設置板95は、溶解装置本体に固定される。
【0040】
本発明による溶解装置で電解液の製造工程が始まる以前には、反応器10にリチウム塩が溶解されない純粋溶媒のみ貯蔵されていて、電解液の製造工程が始まれば、反応器10に貯蔵されていた溶媒が溶液排出管50を通じて溶解チャンバ30に流入される。そして、粉末ホッパ20から供給されるリチウム塩粉末が溶解チャンバ30内で前記溶媒に強制混合及び溶解される。
【0041】
前記溶解チャンバ30を通過した電解質溶液は、少量のリチウムイオンが溶解された状態で溶液搬送管60を通じて再び反応器10に回収された後、前記反応器10の内部に残っていた電解質溶媒と混合される。このようにして、前記電解質溶液は、反応器10と溶液排出管50、溶解チャンバ30及び溶液搬送管60を循環しながらリチウムイオンの濃度が少しずつ上昇するようになり、前記電解質溶液に溶解されたリチウムイオンの濃度が予め設定された値に至ると、電解液製造工程が終わる。
【0042】
このような電解液製造過程でリチウム塩粉末が全て消尽された粉末ホッパ20は、新しい粉末ホッパ20に交替される。このとき、粉末ホッパ20の内部にリチウム塩粉末が残っていると、交替過程で臭気性煙や粉塵又は有毒性フッ化水素などが発生して作業者の安全を害することがある。しかし、本発明では、前記ホッパ振動部80と窒素ファジー管21を利用して粉末ホッパ20の内部に残っているリチウム塩粉末を架橋現象や残留物なしにきれいに排出させ得る。
【0043】
また、前記ホッパ立て枠70は、フォークリフトを利用して粉末ホッパ20を移送するのに非常に適合する構造を有する。すなわち、ホッパ立て枠70の支持フレーム74の下端にフォークリフトの両側フォークをかけると、ホッパ立て枠70と一緒に粉末ホッパ20を容易に持ち上げることができる。
【0044】
したがって、本発明では、フォークリフトを利用して粉末ホッパ20を容易に交替することができる。そして、第1粉末溶解ラインAと第2粉末溶解ラインBで交互に粉末ホッパ20を交替することによって、本発明の溶解装置を待機時間なしに連続的に稼動することができる。
【符号の説明】
【0045】
10:反応器
11:冷却ポケット
20,20a,20b:粉末ホッパ
21,41:窒素ファジー管
22:粉末排出口
23:防塵連結管
30,30a,30b:溶解チャンバ
40,40a,40b:粉末供給管
50:溶液排出管
60:溶液搬送管
70:ホッパ立て枠
71:上部フレーム
72:下部フレーム
73:縦フレーム
74:支持フレーム
75:固定ブラケット
80:ホッパ振動部
81:ホッパ搭載板
82:防塵マウント
83:バイブレーター
84:補強フレーム
90:ガードレール
91:側方レール
92:後方レール
93:レール支持台
94:ガイドローラー
95:レール設置板