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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127690
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】測色装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/52 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01J3/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089634
(22)【出願日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2023035341
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅英
(72)【発明者】
【氏名】宮川 正好
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA15
2G020DA36
2G020DA43
(57)【要約】
【課題】測色装置の大型化を伴わずに測色対象物に形成されたパッチを容易に位置ズレすることなく測色する。
【解決手段】測色対象物10のパッチ11を測色する測色器100を取り付け可能な測色装置1であって、測色対象物10を支持する支持台41と、測色器100を支持するキャリッジ30と、支持台41上において、キャリッジ30を走査する走査機構部20と、走査機構部20を制御する制御部52と、を備え、キャリッジ30は、測色器100が支持された状態において測色部122をキャリッジから露呈させる開口部302aを有する支持部310と、開口部302aを挟んで設けられる第1検出部37及び第2検出部38と、を有し、制御部52は、第1検出部37及び第2検出部38による被検出部12の検出結果により、パッチ11の位置を特定する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、
前記測色対象物を支持する支持台と、
前記測色器を支持するキャリッジと、
前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、
前記走査機構部を制御する制御部と、を備え、
前記キャリッジは、
前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、
前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする測色装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測色装置において、
前記走査機構部は、前記キャリッジを第1方向及び第1方向と交差する第2方向に移動可能であり、
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられることを特徴とする測色装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測色装置において、
前記測色対象物は四角形であるとともに前記測色対象物の四辺に沿って前記被検出部としての線状被検出部が形成され、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記線状被検出部を検出した結果に基づいて、前記パッチの位置を特定することを特徴とする測色装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測色装置において、
前記制御部は、
前記第1検出部及び前記第2検出部が前記測色対象物の各一辺に対応する前記線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、前記線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、前記直線同士の交点の位置と、を算出し、
算出した前記交点の位置に基づいて前記パッチの位置を特定することを特徴とする測色装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の測色装置において、
前記測色対象物は四角形であるとともに前記測色対象物の四隅の内少なくとも三隅に前記被検出部としての隅部被検出部が形成され、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記隅部被検出部を検出した結果に基づいて、前記支持台に支持された前記測色対象物の向きを特定することを特徴とする測色装置。
【請求項6】
パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、
前記測色対象物を支持する支持台と、
前記測色器を支持するキャリッジと、
前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、
を備える測色装置を制御する制御方法であって、
前記キャリッジは、
前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、
前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、
を有し、
前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測色対象物を測色する様々な測色装置が使用されている。このうち、パッチと該パッチの位置を把握することなどのために使用される被検出部とが形成された測色対象物の該パッチを測色することが可能な測色装置がある。例えば、特許文献1には、精度の高い測色を行うために第1の基準ラインなどが形成された測色対象物のパッチを測色することが可能な測色装置が開示されている。第1の基準ラインの傾きを把握することで測色対象物の傾きを把握することができる。また、特許文献2には、被測定物を測色する測色計が着脱可能に取り付けられる自動測色装置が開示されている。特許文献2の自動測色装置は、測色部である測色計が測色対象物である被測定物に対して非接触の状態で測色する測色装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-241248号公報
【特許文献2】特開2016-212001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の測色装置は、第1の基準ラインの傾きを把握する際、測色器を第1の基準ラインの延設方向の長さを超えて移動させなければならないため、測色装置が大型化する。なお、特許文献2の自動測色装置において、特許文献1の技術を採用した場合であっても、測色計を測色対象物の測色面に沿って移動させる領域は大きいままとなるので、測色装置が大型化する。このため、従来の測色装置においては、測色装置の大型化を伴わずに測色対象物に形成されたパッチを位置ズレすることなく測色することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の測色装置は、パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色対象物を支持する支持台と、前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、前記走査機構部を制御する制御部と、を備え、前記キャリッジは、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有し、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための、本発明の制御方法は、パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色対象物を支持する支持台と、前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、を備える測色装置を制御する制御方法であって、前記キャリッジは、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有し、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る測色装置で使用可能な測色器の概略斜視図。
図2】本発明の一実施例に係る測色装置の斜視図。
図3】本発明の一実施例に係る測色装置の内部構成を表す斜視図。
図4】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す底面図であって、図1の測色器を収容した状態を表す図。
図5】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともにキャリッジを走査する際の配置を表す図。
図6】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図5の状態からキャリッジを下方に移動させて測色部が測色対象物と接触した瞬間の配置を表す図。
図7】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図6の状態からキャリッジをさらに下方に移動させて測色対象物の測色をする際の配置を表す図。
図8】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図7の状態からキャリッジをさらに下方に移動させてキャリッジの底面が測色対象物と接触した配置を表す図。
図9】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともにキャリッジをホームポジションに移動させた状態の配置を表す図。
図10】本発明の一実施例に係る測色装置を使用して行う制御方法の一例であって、第1検出部及び第2検出部による被検出部の検出結果によりパッチの位置を特定するフローを表すフローチャート。
図11】測色対象物の平面図であって、第1検出部及び第2検出部による被検出部の検出の際の第1検出部及び第2検出部の位置を説明するための図。
図12】第1検出部による被検出部の検出の際の第1検出部の位置と出力値との関係を表すグラフ。
図13】本発明の一実施例に係る測色装置を使用して自動でパッチの位置を特定することができなかった場合に、手動でパッチの位置を特定する際の方法について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様の測色装置は、パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色対象物を支持する支持台と、前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、前記走査機構部を制御する制御部と、を備え、前記キャリッジは、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有し、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部の検出結果によりパッチの位置を特定する。すなわち、被検出部に対してキャリッジの移動距離が短くて済む第1検出部及び第2検出部のうちのいずれか一方で被検出部の検出を行うことができる。第1検出部と第2検出部とは開口部を挟んで設けられるので、少なくとも開口部の長さ分、キャリッジの移動距離を短くすることが可能になる。このため、被検出部の検出を行うことで被検出部の検出位置から測色対象物に形成されたパッチの位置を把握することができ、キャリッジの移動距離を短くすることで測色装置が大型化することを抑制することができる。したがって、測色装置の大型化を伴わずに測色対象物に形成されたパッチを位置ズレすることなく自動で容易に測色することができる。
【0010】
次に、第2の態様の測色装置は、第1の態様に従属する態様であって、前記走査機構部は、前記キャリッジを第1方向及び第1方向と交差する第2方向に移動可能であり、前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、キャリッジを第1方向及び第2方向に移動可能であり、第1検出部及び第2検出部は第1方向及び第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられる。このため、例えば、第1方向において異なる2カ所と第2方向において異なる2カ所とに被検出部が形成された測色対象物に対して、第1方向においても第2方向においてもキャリッジの移動距離を短くすることができる。このため、測色装置が大型化することを特に効果的に抑制しつつ測色対象物に形成されたパッチを位置ズレすることなく測色することができる。
【0012】
次に、第3の態様の測色装置は、第1または第2の態様に従属する態様であって、前記測色対象物は四角形であるとともに前記測色対象物の四辺に沿って前記被検出部としての線状被検出部が形成され、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記線状被検出部を検出した結果に基づいて、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、四角形であるとともに四辺に沿って被検出部としての線状被検出部が形成される測色対象物に対して、第1検出部及び第2検出部が線状被検出部を検出した結果に基づいてパッチの位置を特定する。このような構成とすることで、四辺を測定できるので、例えば、四辺の交点を算出することで測色対象物の支持台に対する傾きなどを正確に把握することができ、パッチの位置を特に正確に特定することができる。
【0014】
次に、第4の態様の測色装置は、第3の態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記測色対象物の各一辺に対応する前記線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、前記線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、前記直線同士の交点の位置と、を算出し、算出した前記交点の位置に基づいて前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0015】
例えば、柔らかい素材の測色対象物は変形しやすく、長方形の測色対象物が台形状になって支持台に支持される場合がある。このような場合、測色対象物が長方形であるとしてパッチの位置を特定しようとすると実際の位置からズレる虞がある。しかしながら、本態様によれば、第1検出部及び第2検出部が測色対象物の各一辺に対応する線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、直線同士の交点の位置と、を算出し、算出した交点の位置に基づいてパッチの位置を特定する。このため、長方形の測色対象物が台形状になって支持台に支持されている場合でも、第1検出部及び第2検出部の検出結果に基づいて測色対象物が台形状になって支持台に支持されていることを把握でき、算出した交点の位置に基づいてパッチの位置を正確に特定することができる。
【0016】
次に、第5の態様の測色装置は、第1から第4のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記測色対象物は四角形であるとともに前記測色対象物の四隅の内少なくとも三隅に前記被検出部としての隅部被検出部が形成され、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記隅部被検出部を検出した結果に基づいて、前記支持台に支持された前記測色対象物の向きを特定することを特徴とする。
【0017】
例えば、ユーザーのミスなどにより、長方形の測色対象物は、支持台の支持方向から見て180°回転した方向で測色対象物が支持台に支持される場合がある。しかしながら、本態様によれば、四角形であるとともに測色対象物の四隅の内少なくとも三隅に被検出部としての隅部被検出部が形成された測色対象物に対して、第1検出部及び第2検出部が隅部被検出部を検出した結果に基づいて支持台に支持された測色対象物の向きを特定する。このため、支持台の支持方向から見て180°回転した方向で長方形の測色対象物が支持台に支持された場合であっても、そのことを認識し、パッチの位置を正確に特定することができる。
【0018】
次に、第6の態様の制御方法は、パッチと前記パッチの位置を把握するための被検出部とが形成された測色対象物の前記パッチを測色する測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色対象物を支持する支持台と、前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において、前記キャリッジを走査する走査機構部と、を備える測色装置を制御する制御方法であって、前記キャリッジは、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部と、前記被検出部を検出する第1検出部及び第2検出部であって、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有し、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果により、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部の検出結果によりパッチの位置を特定する。すなわち、被検出部に対してキャリッジの移動距離が短くて済む第1検出部及び第2検出部のうちのいずれか一方で被検出部の検出を行うことができる。第1検出部と第2検出部とは開口部を挟んで設けられるので、少なくとも開口部の長さ分、キャリッジの移動距離を短くすることが可能になる。このため、被検出部の検出を行うことで被検出部の検出位置から測色対象物に形成されたパッチの位置を把握することができ、キャリッジの移動距離を短くすることで測色装置が大型化することを抑制することができる。したがって、測色装置の大型化を伴わずに測色対象物に形成されたパッチを位置ズレすることなく自動で容易に測色することができる。
【0020】
以下、本発明を具体的に説明する。
なお、各図に示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X-Y平面が水平面であり、X-Z平面及びY-Z平面が垂直面となる。ここで、Z軸方向は鉛直方向すなわち高さ方向であって、+Z方向が鉛直上方向、-Z方向が鉛直下方向である。また、X軸方向は鉛直方向であるZ軸方向と直交する水平方向である。また、Y軸方向は水平方向であるとともにX軸方向及びZ軸方向のいずれとも直交する方向である。なお、以下の説明では、測色装置1の+Y方向側を背面方向側、測色装置1の-Y方向側を正面方向側、測色装置1の+X方向側を右方向側、測色装置1の-X方向側を左方向側としている。
【0021】
最初に、図1を参照して、本発明の一実施例の測色装置1で使用可能な測色器100の一実施例について説明する。本実施例の測色器100は、測色口106を備え、測色口106から-Z方向に光を照射して、図2で表されるような測色対象物であるカラーチャート10により反射された光を受光することで測色する光学装置である。別の表現をすると、光軸方向はZ軸方向であり、光軸の位置は測色口106の位置に対応する。
【0022】
本実施例の測色器100は、+Z方向側の面である上面121、-Z方向側の底面であって測色口106が設けられた測色面122、+Y方向側の面である背面123、-Y方向側の面である前面124、+X方向側の面である右側面125、-X方向側の面である左側面126、を有する筐体120を備えている。
【0023】
上面121には、操作部110と画面部105とがY軸方向に沿って配置されている。詳細には、上面121の+Y方向側に操作部110が設けられ、上面121の-Y方向側に画面部105が設けられている。操作部110は、Y軸方向に沿って延設されるバー形状111aとX軸方向に沿って延設されるバー形状111bとからなるプラス形ボタン111と、プラス形ボタン111の中心に設けられた決定ボタン112と、を備えている。例えば、ユーザーは、画面部105に表示される複数のメニューに対して、プラス形ボタン111を押すことで前後左右にアクティブとなるメニューを移動させ、決定ボタン112を押すことで所望のメニューを決定することができる。
【0024】
背面123には、図2などで表されるUSBケーブル50を接続することが可能な端子101が形成されている。また、本実施例の測色器100は、Y軸方向に沿って見たときに外側に向かって凸状となる凸部127及び凸部128が設けられている。詳細には、凸部127は右側面125におけるZ軸方向の中央部よりも+Z方向側の領域に設けられており、凸部128は左側面126におけるZ軸方向の中央部よりも+Z方向側の領域に設けられている。
【0025】
次に、図2から図9を参照して、本発明の一実施例の測色装置1の詳細な構成について説明する。図2は、本実施例の測色装置1の構成を表している。測色装置1は、X軸方向及びY軸方向に延設される支持台41を有する本体部40を備え、また、支持台41の一部を+Z方向側から覆うようにY軸方向に延設されるガントリー20を備えている。
【0026】
ガントリー20には、測色器100を収容可能な支持部310を有するキャリッジ30が取り付けられる。ガントリー20は支持台41に対してX軸方向に沿って移動可能であり、キャリッジ30はガントリー20に対してY軸方向に沿って移動可能である。これらの移動は、走査とも呼ばれる。ここで、キャリッジ30は、ガントリー20に対してY軸方向に沿って移動可能であるとともに、ガントリー20に対してZ軸方向に沿って移動することも可能である。ガントリー20にはUSBケーブル50の一端が接続されるとともに、USBケーブル50の他端はキャリッジ30に収容された測色器100に接続される。
【0027】
支持台41には測定対象物の一例であるカラーチャート10を載置可能であり、カラーチャート10は例えば複数のカラーパッチ11と黒枠12と隅部被検出部13とが生地部14に形成されることで構成される。カラーチャート10は、例えば粘着テープをカラーチャート10の周囲に貼り付けることで支持台41に固定され、例えばA3サイズまでの自動測色に対応している。ただし、ガントリー20はX軸方向から見て門形状となっており該門形状に対応する空間部21を有するので、X軸方向においてA3サイズを超えるような長尺紙も支持台41に載置することが可能である。カラーチャート10の詳細については後述する。
【0028】
なお、本体部40の-Y方向側には支持台41よりも-Z方向側に下がった位置にフロント面42が設けられ、本体部40の+Y方向側には支持台41よりも-Z方向側に下がった位置にリア面43が設けられている。そして、フロント面42には、測色装置1の操作部の一例である電源ボタン42aが設けられている。
【0029】
図3は、測色装置1の内部構成を表し、図2の外装部品を外した図である。ケースロア48の上方である+Z方向側にはフロントフレーム44とリアフレーム45が間隔を空けてX軸方向に延設されるように配置されており、ガントリー20の一部を構成する門形状をしたガントリーフレーム26がフロントフレーム44及びリアフレーム45に沿ってX軸方向に沿って移動する。
【0030】
フロントフレーム44とリアフレーム45とは本体部40の+X方向側の位置で連結軸46によって連結されており、ガントリー20をX軸方向に沿って移動させるための動力源であるガントリーモーター47から不図示の歯車群を介して連結軸46にガントリーモーター47の回転駆動が伝わる。そして、連結軸46に伝わった回転駆動により、連結軸46の-Y方向側であるフロントフレーム44側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、連結軸46の+Y方向側であるリアフレーム45側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、を周回させ、これらの無端ベルトに接続されたガントリーフレーム26を移動させる。
【0031】
ガントリーフレーム26の-Y方向側に対応する手前側にはキャリッジモーター22が固定されており、手前プーリー24と奥プーリー25に掛けられた無端状のキャリッジベルト23が、キャリッジモーター22に接続される手前プーリー24を介して周回する。キャリッジ30の一部を構成するキャリッジスライダー31は、キャリッジベルト23に固定されており、キャリッジモーター22の周回動作に伴うキャリッジベルト23の周回動作に伴ってY軸方向に沿って移動する。なお、本体部40の内部には、制御部としてのメイン基板52及びサブ基板53や、電源ボックス51などが設けられている。なお、制御部としてのメイン基板52には、情報を記憶することが可能な不揮発性の記憶部52aが設けられている。
【0032】
図4は測色器100をキャリッジ30に取り付けた状態におけるキャリッジ30周辺を表す底面図である。測色器100は、キャリッジ30に対して、キャリッジ30に設けられたリブ301でY軸方向において右側面125及び左側面126が支持されるとともに、キャリッジ30に設けられたリブ303でX軸方向において背面123及び前面124が支持される。なお、図4で表されるように、キャリッジ30の-Z方向側の面にはカラーチャート10の黒枠12の位置を読み取ることでカラーチャート10の幅やカラーパッチ11の位置を検出することが可能なフロント側センサー37とリア側センサー38とが設けられている。フロント側センサー37とリア側センサー38の詳細については後述する。
【0033】
キャリッジ30は、駆動源であるZ軸移動方向移動モーター36の動力がモーターギア61、ウォームギア62、第1駆動ギア63、第2駆動ギア64、と順に伝わることで、図5などで表されるラックギア65を介してガントリー20に対してキャリッジ30はZ軸方向に沿ってスライド移動する。また、図4で表されるように、キャリッジ30にはガントリー20に対するキャリッジ30のZ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー39が設けられている。
【0034】
次に、主に図5から図9を参照して、キャリッジ30のガントリー20に対するZ軸方向における位置、すなわち、キャリッジ30及びキャリッジ30に収容された測色器100の支持台41に載置された測定対象物に対するZ軸方向における位置、について説明する。図5は、測色器100をキャリッジ30に収容させた状態でキャリッジ30を走査する際、すなわち、ガントリー20に対してキャリッジ30をY軸方向に沿って移動させる際の配置を表す図である。この際は、測色器100の測色面122及びキャリッジ30の底面302のいずれも、測定対象物であるカラーチャート10に対して、Z軸方向において隙間が空いた状態となっている。
【0035】
図6は、図5の状態からキャリッジを下方である-Z方向に移動させて測色器100の測色面122がカラーチャート10と接触した瞬間の配置を表す図である。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ30の底面302とカラーチャート10とのZ軸方向の隙間G1は2mmとなっている。ここで、本実施例においては、測色器100は、キャリッジ30に対して、凸部127及び凸部128がキャリッジ30に設けられたリブ301に自重により引っ掛かって載置された状態で収容されているとともに、測色器100の測色面122が図4で表されるキャリッジ30の底面302に設けられた開口部302aから-Z方向に突出する構成となっている。
【0036】
このため、図7で表されるように、図6の状態からキャリッジ30をさらに-Z方向に移動させると、測色面122には測色器100の自重がかかる。なお、図7は、測色対象物の測色の際の配置、すなわち、カラーチャート10のカラーパッチ11や黒枠12の測色をする際の配置を表している。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ30の底面302とカラーチャート10とのZ軸方向の隙間G2は1mmとなっている。別の表現をすると、本実施例の測色装置1は、測色対象物の測色の際、測色対象物に対して測色面122は接触するがキャリッジ30の底面302は隙間が設けられた状態となる。
【0037】
本実施例の測色装置1においては、測色器100の測色面122のZ軸方向から見た全周が支持台41上のカラーチャート10に接触してカラーチャート10の表面に倣った状態で測色する。このような構成であることで、測色器100の光軸開口である測色口106が測色面122で覆われた状態で測色できるので、外光の影響を受けにくく測色精度が上がる。なお、図6の状態でも外光の影響を受けにくい状態で測色することは可能であるが、キャリッジ30や測色器100や支持台41には部品の製造ばらつきなどに伴う公差が生じるので、キャリッジ30の測色器100の保持位置や測色面122から支持台41までの距離にずれが生じる場合がある。しかしながら、図6の状態からさらにキャリッジ30を下げることで、このような公差の影響を受けずに測色を行うことが可能になる。
【0038】
また、図7の状態では、キャリッジ30の底面302とカラーチャート10との間に隙間G2ができており、キャリッジ30の底面302とカラーチャート10とが離間した状態となっている。このため、キャリッジ30の重量がカラーチャート10に伝わらず、測色器100の自重のみカラーチャート10に掛かった状態になる。したがって、測色器100は適度な荷重が掛かった状態でカラーチャート10に接触するので、カラーチャート10を損傷させにくい。
【0039】
なお、本実施例の測色装置1は、様々な測色対象物の測色が可能である。本実施例の測色装置1が測色可能な測色対象物には様々な厚みのものがある。このため、本実施例の測色装置1は、使用する測色対象物に対してキャリッジ30をZ軸方向に移動させることでキャリッジ30を測色対象物に当接させ、その当接時のキャリッジ30の高さである度当て高さを測定することができる。別の観点から説明すると、キャリッジ30の度当て高さとは、測色対象物に接触したときのキャリッジ30の高さのことである。具体的には、本実施例の測色装置1は、キャリッジ30の度当て高さを知るために、キャリッジ30の底面302が測色対象物に当たりZ軸移動方向移動モーター36の負荷がある閾値を超えるまでZ軸移動方向移動モーター36を駆動してキャリッジ30の高さを下げ続け、その閾値を超えた高さを検出することでキャリッジ30の度当て高さを知ることができる。図8は、キャリッジ30の度当て高さを知るために、キャリッジ30の底面302が測色対象物であるカラーチャート10に度当たりZ軸移動方向移動モーター36の負荷がある閾値を超えた際の状態を表している。
【0040】
また、本実施例の測色装置1は、上記のように、ガントリー20に対するキャリッジ30のZ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー39が設けられている。図9は、キャリッジ30がZ軸方向においてホームポジションにある状態を表している。
【0041】
上記のように、本実施例の測色装置1は、カラーパッチ11とカラーパッチ11の位置を把握するための被検出部としての黒枠12が形成されたカラーチャート10のカラーパッチ11を測色する測色器100を取り付け可能な測色装置である。そして、本実施例の測色装置1は、カラーチャート10を支持する支持台41と、測色器100を支持するキャリッジ30と、を備えている。また、本実施例の測色装置1はガントリー20を備え、ガントリー20は、キャリッジモーター22、キャリッジベルト23、手前プーリー24及び奥プーリー25などを備え、支持台41上においてキャリッジ30を走査する走査機構部としての役割をしている。また、本実施例の測色装置1は、測色器100とキャリッジ30と走査機構部とを制御する制御部としてのメイン基板52などを備えている。
【0042】
以下に、本実施例の測色装置1を使用して行う制御方法の一例であって、第1検出部としてのフロント側センサー37及び第2検出部としてのリア側センサー38によって被検出部としての黒枠12を検出し、その検出結果によりカラーパッチ11の位置を特定するフローについて説明する。ここで、図4などで表されるように、キャリッジ30は測色器100を支持する支持部310を有し、支持部310は測色器100が支持された状態において測色器100の測色面122をキャリッジ30から露呈させる開口部である孔部302aを有する。そして、孔部302aを挟んで、被検出部としての黒枠12や隅部被検出部13を検出するフロント側センサー37及びリア側センサー38が、キャリッジ30に設けられている。
【0043】
さらに、以下では、本実施例の測色装置1のフロント側センサー37及びリア側センサー38の詳細、並びに、本実施例の測色装置1で測色すること可能なカラーチャート10の詳細についても併せて説明する。ここで、図10は、フロント側センサー37及びリア側センサー38による黒枠12の検出結果によりカラーパッチ11の位置を特定するフローを表すフローチャートである。また、図11は、カラーチャート10の平面図であって、フロント側センサー37及びリア側センサー38による黒枠12の検出の際のフロント側センサー37及びリア側センサー38位置を説明するための図である。なお、図11では、各構成部材の位置がわかりやすいように、キャリッジ30の透視図となっている。そして、図12は、リア側センサー38による黒枠12aの検出の際のリア側センサー38の位置と出力値との関係を表すグラフである。
【0044】
なお、図10のフローチャートで表される制御方法は、いずれも、制御部としてのメイン基板52の制御により各ステップが実行される。また、図10のフローチャートで表される制御方法においては、図11で表されるカラーチャート10のZ軸方向から見た支持台41に対する傾きを特定し、その結果に基づいて、カラーパッチ11の位置を特定する。図11で表されるカラーチャート10は、四角形であるとともに、カラーパッチ11が形成される領域の周囲に、カラーチャート10の四辺に沿って被検出部としての線状被検出部である黒枠12が形成されている。詳細には、図11で表されるカラーチャート10は、黒枠12として、カラーチャート10の-X方向側の辺の近傍に形成された黒枠12a、カラーチャート10の+X方向側の辺の近傍に形成された黒枠12b、カラーチャート10の+Y方向側の辺の近傍に形成された黒枠12c、カラーチャート10の-Y方向側の辺の近傍に形成された黒枠12dを有している。そして、測色装置1の記憶部52aには、黒枠12a、黒枠12b、黒枠12c及び黒枠12dに対する各カラーパッチ11の位置関係に関する情報が記憶されている。すなわち、各々の黒枠12の位置から各カラーパッチ11の位置を把握することが可能な構成になっている。なお、本実施例の各黒枠12はカラーチャート10の辺に沿って連続的に形成されていが、例えば点線のように不連続的に形成されていてもよく、また、辺に沿って特定の箇所のみ設けられる構成であってもよい。
【0045】
図10のフローチャートを開始すると、最初に、ステップS110で、キャリッジモーター22などを駆動して、キャリッジ30を図11で表される位置PAに移動する。そして、次に、ステップS120で、ガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図11で表される位置PBに移動する。ここで、キャリッジ30を位置PAから位置PBに移動する際、フロント側センサー37をオンにしその出力値を記録する。図12のグラフは、キャリッジ30を位置PAから位置PBに移動した際のフロント側センサー37の出力値を表している。
【0046】
次に、ステップS130で、ステップS120で取得した出力値から黒枠12aの生地部14に対する境界位置PC及びPDを求める。具体的には、出力値が予め定められた閾値を下回った時点を境界位置PCとし、出力値がこの閾値を再度上回った時点を境界位置PDとする。そして、境界位置PC及びPDの中間地点を黒枠12aの中心位置PEとして求める。
【0047】
次に、ステップS140で、キャリッジモーター22やガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図11で表される位置PFに移動する。そして、さらに、ガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図11で表される位置PGに移動する。なお、この際も、フロント側センサー37をオンにしその出力値を記録する。そして、その出力値から黒枠12aの中心位置PHを求める。ここで、中心位置PHは中心位置PEに対してY軸方向にずれており、中心位置PHと中心位置PEとを結ぶ直線は、黒枠12aの中心直線となる。ステップS150では、この黒枠12aの中心直線を求める。
【0048】
次に、ステップS160で、ステップS110からステップS150と同様の手順で、黒枠12bの中心位置PI及びPJ、並びに、黒枠12bの中心直線を求める。ただし、この際、フロント側センサー37ではなくリア側センサー38が使用される。図11で表されるようにリア側センサー38はフロント側センサー37よりも+X方向側に設けられている。このため、-X方向側の黒枠12aの検出をフロント側センサー37で行い、+X方向側の黒枠12bの検出をリア側センサー38で行うことで、X軸方向におけるガントリー20及びキャリッジ30の走査範囲を狭くすることができ、X軸方向における支持台41の長さを短くすることができる。
【0049】
次に、ステップS170で、ステップS110からステップS150と同様の手順で、黒枠12cの中心位置PK及びPL、並びに、黒枠12cの中心直線を求める。ただし、黒枠12cを検出する際のキャリッジ30の移動方向はY軸方向に沿う方向となる。また、この際、リア側センサー38が使用される。次に、ステップS180で、ステップS110からステップS150と同様の手順で、黒枠12dの中心位置PM及びPN、並びに、黒枠12dの中心直線を求める。黒枠12dを検出する際のキャリッジ30の移動方向もY軸方向に沿う方向となる。また、この際、フロント側センサー37が使用される。図11で表されるように、フロント側センサー37はリア側センサー38よりも-Y方向側に設けられている。このため、+Y方向側の黒枠12cの検出をリア側センサー38で行い、-Y方向側の黒枠12dの検出をフロント側センサー37で行うことで、Y軸方向におけるキャリッジ30の走査範囲を狭くすることができ、Y軸方向における支持台41の長さを短くすることができる。
【0050】
次に、ステップS190で、黒枠12aの中心直線、黒枠12bの中心直線、黒枠12cの中心直線及び黒枠12dの中心直線から、これらの交点PO、PP、PQ及びPRを求める。ここで、メイン基板52は、交点PO、PP、PQ及びPRの位置から、例えば本来長方形のカラーチャート10が変形などして台形になっていないかなどを認識することが可能である。そこで、ステップS200で、メイン基板52は、交点PO、PP、PQ及びPRの位置から、台形補正などの補正処理を行い、あわせて、カラーパッチ11の位置を特定し、本フローチャートを終了する。なお、本フローチャートを終了すると、本フローチャートにより位置を特定したカラーパッチ11の測色動作を開始することができる。
【0051】
上記のように、本実施例の測色装置1は、孔部302aを挟んで、フロント側センサー37とリア側センサー38とを設けており、メイン基板52の制御によって、フロント側センサー37及びリア側センサー38の検出結果に基づいてカラーパッチ11の位置を特定する。このように、孔部302aを挟んで設けられるフロント側センサー37及びリア側センサー38の検出結果によりカラーパッチ11の位置を特定することで、黒枠12に対してキャリッジ30の移動距離が短くて済むフロント側センサー37及びリア側センサー38のうちのいずれか一方で黒枠12の検出を行うことができる。
【0052】
具体的には、フロント側センサー37とリア側センサー38とは、Y軸方向において孔部302aを挟んで設けられるので、黒枠12cと黒枠12dとを検出する際、少なくとも孔部302aのY軸方向における長さ分、キャリッジ30の移動距離を短くすることが可能になる。本実施例の測色装置1は、黒枠12の検出を行うことで黒枠12の検出位置からカラーチャート10に形成されたカラーパッチ11の位置を把握することができるとともに、Y軸方向におけるキャリッジ30の移動距離を短くすることで測色装置1がY軸方向において大型化することを抑制することができている。したがって、本実施例の測色装置1は、大型化を伴わずにカラーチャート10に形成されたカラーパッチ11を位置ズレすることなく自動で容易に測色することができる構成になっている。
【0053】
また、自動でカラーパッチ11の位置決めができるのでユーザーが手動でカラーパッチ11の位置決めをする時間を短縮でき、検出のばらつきも抑制できることで測色精度を向上することができる。なお、本実施例の測色装置1は、Z軸方向から見たカラーチャート10の支持台41に対する傾きも検出できるので、Z軸方向から見たカラーチャート10の支持台41に対する傾きを把握するための黒枠12が形成されたカラーチャート10のカラーパッチ11を測色する測色器100を取り付け可能な測色装置であって、フロント側センサー37及びリア側センサー38の検出結果により、カラーチャート10の傾きを特定する測色装置であると表現することもできる。
【0054】
また、上記のように、フロント側センサー37及びリア側センサー38は、第1方向としてのY軸方向だけでなく、Y軸方向と交差する方向である第2方向としてのX軸方向においても異なる位置に設けられている。このため、図11で表されるような、Y軸方向において異なる2カ所とX軸方向において異なる2カ所とに黒枠12が形成されたカラーチャート10に対して、Y軸方向においてもX軸方向においてもキャリッジ30の移動距離を短くすることができる。このため、本実施例の測色装置1は、測色装置1が大型化することを特に効果的に抑制しつつカラーチャート10に形成されたカラーパッチ11を位置ズレすることなく測色することができる。
【0055】
ここで、本実施例の測色装置1は、図4及び図11で表されるように、フロント側センサー37及びリア側センサー38が孔部302aを基準に略対角線上に設けられている。ただしこのような構成に限定されない。フロント側センサー37及びリア側センサー38は、少なくともX軸方向及びY軸方向の一方において孔部302aを挟みこむように設けられていればよく、対角線上に設けられていなくてもよい。
【0056】
また、図11で表されるカラーチャート10は、四角形であるとともにカラーチャート10の四辺に沿って被検出部としての線状被検出部である黒枠12が形成されている。そして、本実施例の測色装置1は、上記のように、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37及びリア側センサー38が黒枠12を検出した結果に基づいて、カラーパッチ11の位置を特定することができる。このような構成とすることで、カラーチャート10の四辺を測定できるので、例えば、カラーチャート10の四辺の交点PO、PP、PQ及びPRを算出することでカラーチャート10の支持台41に対する傾きなどを正確に把握することができ、カラーパッチ11の位置を特に正確に特定することができる。
【0057】
また、例えば、柔らかい素材のカラーチャート10は変形しやすく、長方形のカラーチャート10が台形状になって支持台41に支持される場合がある。このような場合、カラーチャート10が長方形であるとしてカラーパッチ11の位置を特定しようとすると実際の位置からズレる虞がある。しかしながら、本実施例の測色装置1は、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37及びリア側センサー38がカラーチャート10の各一辺に対応する黒枠12につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、4つの黒枠12の中心直線の位置と、中心直線同士の交点PO、PP、PQ及びPRの位置と、を算出し、算出した交点PO、PP、PQ及びPRの位置に基づいてカラーパッチ11の位置を特定する。このため、長方形のカラーチャート10が台形状に変形した状態で支持台41に支持されている場合でも、フロント側センサー37及びリア側センサー38の検出結果に基づいてカラーチャート10が台形状になって支持台41に支持されていることを把握でき、算出した交点PO、PP、PQ及びPRの位置に基づいてカラーパッチ11の位置を正確に特定することができる。
【0058】
なお、図10のフローチャートの制御方法においては、ステップS200で、メイン基板52は、交点PO、PP、PQ及びPRの位置から、台形補正などの補正処理を行い、あわせて、カラーパッチ11の位置を特定することとした。しかしながら、長方形のカラーチャート10が台形状になって支持台41に支持されていることが検出された場合には、測色器100の画面部105などにエラー表示をしてもよい。特に、例えば、カラーチャート10の変形が大きくカラーパッチ11の位置がキャリッジ30の動作領域外になる場合などにおいては、エラー表示をすることが好ましい。
【0059】
また、図11で表されるように、図11のカラーチャート10は四角形であるとともにカラーチャート10の四隅に隅部被検出部13が形成されている。そして、隅部被検出部13のうちの隅部被検出部13a、隅部被検出部13b及び隅部被検出部13cは黒色のパッチであるが、隅部被検出部13dは白色のパッチである。そして、本実施例の測色装置1は、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37及びリア側センサー38に4つの隅部被検出部13のうちの少なくとも3つを検出させることができ、フロント側センサー37及びリア側センサー38の検出結果に基づいて、支持台41に支持されたカラーチャート10の向きを特定することができる。
【0060】
例えば、ユーザーのミスなどにより、長方形のカラーチャート10は、支持台41の支持方向であるZ軸方向から見て180°回転した方向でカラーチャート10が支持台41に支持される場合がある。しかしながら、四角形であるとともにカラーチャート10の四隅の内少なくとも三隅に被検出部としての隅部被検出部13が形成されたカラーチャート10に対して、フロント側センサー37及びリア側センサー38が隅部被検出部13を検出した結果に基づいて支持台41に支持されたカラーチャート10の向きを特定することで、Z軸方向から見て180°回転した方向で長方形のカラーチャート10が支持台41に支持された場合であっても、そのことを認識し、カラーパッチ11の位置を正確に特定することができる。また、このような場合に、測色器100の画面部105などにエラー表示をさせることもできる。なお、カラーチャート10がZ軸方向から見て180°回転した方向まで傾いていなくても、Z軸方向から見たカラーチャート10の傾きが大きく、例えば、カラーパッチ11の位置がキャリッジ30の動作領域外になる場合などにおいては、エラー表示をすることが好ましい。
【0061】
具体的には、本実施例の測色装置1は、リア側センサー38で隅部被検出部13のうちの図11における左上の位置の隅部被検出部13について黒色か白色かを検出する。次に、リア側センサー38で隅部被検出部13のうちの図11における右上の位置の隅部被検出部13について黒色か白色かを検出する。そして、フロント側センサー37で図11における左下の位置の隅部被検出部13について黒色か白色かを検出する。なお、図11における右下の位置の隅部被検出部13についての検出は行ってもよいが行わなくてもよい。図11における右下の位置の隅部被検出部13についての検出を行う場合は、フロント側センサー37を使用する。
【0062】
図11における左上、右上及び左下の3つの隅部の位置の隅部被検出部13がいずれも黒色である場合に、カラーチャート10が正常な向きで支持台41上に配置していると判断する。一方、カラーチャート10がZ軸方向から見て180°回転した向きで支持台41上に配置している場合は、図11における左上の位置の隅部は隅部被検出部13dが配置することとなるので、リア側センサー38でのこの位置の隅部被検出部13の検出結果は白色となり、メイン基板52はカラーチャート10がZ軸方向から見て180°回転した方向で支持台41に支持されていることを認識する。
【0063】
なお、上記のように、本実施例の測色装置1は、図10のフローチャートの制御方法を実行することにより、自動でカラーチャート10の支持台41上における位置や傾き、すなわち、カラーパッチ11の位置、を特定することができる。一方、本実施例の測色装置1を使用して図10のフローチャートの制御方法を実行しても、自動でカラーパッチ11の位置を特定することができない虞がある。例えば、測色装置1の使用環境などによってフロント側センサー37やリア側センサー38で黒枠12を検出する際に図12で表される閾値を跨ぐ出力値が得られなかった場合や、カラーチャート10の支持台41上における傾きが大きすぎる場合に、本実施例の測色装置1は、図10のフローチャートの制御方法を実行しても、自動でカラーパッチ11の位置を特定することができない虞がある。
【0064】
そこで、本実施例の測色装置1は、自動でカラーパッチ11の位置を特定することができなかった場合に、ユーザーが手動でカラーパッチ11の位置を特定することも可能な構成となっている。以下に、ユーザーが手動でカラーパッチ11の位置を特定する際の方法の一例について図13を参照して説明する。
【0065】
本実施例の測色装置1は、自動でカラーパッチ11の位置を特定することができなかった場合などにおいて、ユーザーは、例えば図2及び図3で表される手動調整部305などを把持して、図13で表されるように位置合わせ枠304の位置がカラーパッチ11のうちの平面視で左上の左上パッチ11Aの位置に合うように、キャリッジ30の位置を位置PSに調整する。次に、ユーザーは、キャリッジ30を位置PSに位置させた状態で操作部110などを介して測色器100を操作してキャリッジ30の座標を取得する。
【0066】
次に、ユーザーは、位置合わせ枠304の位置がカラーパッチ11のうちの平面視で右上の右上パッチ11Bの位置に合うようにキャリッジ30の位置を位置PTに調整し、その座標を取得する。次に、ユーザーは、位置合わせ枠304の位置がカラーパッチ11のうちの平面視で右下の右下パッチ11Cの位置に合うようにキャリッジ30の位置を位置PUに調整し、その座標を取得する。さらに、ユーザーは、位置合わせ枠304の位置がカラーパッチ11のうちの平面視で左下の左下パッチ11Dの位置に合うようにキャリッジ30の位置を位置PVに調整し、その座標を取得する。
【0067】
そして、本実施例の測色装置1は、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVの座標に基づいて、各々のカラーパッチ11の位置を特定する。なお、上記では、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVの4つの位置の座標に基づいて、各々のカラーパッチ11の位置を特定することとしたが、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVのうちのいずれか3つの位置の座標に基づいて、各々のカラーパッチ11の位置を特定することとしてもよい。また、上記では、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVの順、別の表現をすると、平面視で時計回りに順に4つの位置の座標を取得したが、座標の取得順序に特に限定はない。
【0068】
また、上記のように手動でカラーパッチ11の位置を特定する場合において、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVのうちの少なくともいずれか1つが想定される範囲内の位置に無い場合などはエラー表示を測色装置1に接続されたコンピューターなどに表示させることとしてもよい。さらには、位置PS、位置PT、位置PU及び位置PVの検出の際に、これらのうちの1つが想定される範囲内の位置に無いことが判明すると直ぐに、他の位置の検出結果を待つことなくエラー表示をさせることとしてもよい。なお、エラー表示をさせた後に、もう一度手動でのカラーパッチ11の位置の特定動作を促す表示をさせてもよいし、或いは、図10のフローチャートの制御方法で表される自動でのカラーパッチ11の位置の特定動作を促す表示などをさせてもよい。
【0069】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、本実施例の測色装置1は測色対象物と接触した状態で測色対象物を測色する構成であるが、測色対象物と非接触の状態で測色対象物を測色する構成に適用してもよい。また、例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…測色装置、10…カラーチャート(測色対象物)、11…カラーパッチ、12…黒枠、20…ガントリー(走査機構部)、21…空間部、22…キャリッジモーター、23…キャリッジベルト、24…手前プーリー、25…奥プーリー、26…ガントリーフレーム、30…キャリッジ、31…キャリッジスライダー、36…Z軸移動方向移動モーター、37…フロント側センサー(第1検出部)、38…リア側センサー(第2検出部)、39…ホームポジションセンサー、40…本体部、41…支持台、42…フロント面、42a…電源ボタン、43…リア面、44…フロントフレーム、45…リアフレーム、46…連結軸、47…ガントリーモーター、48…ケースロア、50…USBケーブル、51…電源ボックス、52…メイン基板(制御部)、52a…記憶部、53…サブ基板、61…モーターギア、62…ウォームギア、63…第1駆動ギア、64…第2駆動ギア、65…ラックギア、100…測色器、101…端子、105…画面部、106…測色口、110…操作部、111…プラス形ボタン、111a…バー形状、111b…バー形状、112…決定ボタン、120…筐体、121…上面、122…測色面(測色部)、123…背面、124…前面、125…右側面、126…左側面、127…凸部、128…凸部、301…リブ、302…底面、302a…孔部(開口部)、303…リブ、304…位置合わせ枠、305…手動調整部、310…支持部、G1…隙間、G2…隙間
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