IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海睿光新材料科技有限公司の特許一覧

特開2024-127699シームレス折り畳み鏡及びその製造方法
<>
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図1
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図2
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図3
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図4
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図5
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図6
  • 特開-シームレス折り畳み鏡及びその製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127699
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】シームレス折り畳み鏡及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/04 20060101AFI20240912BHJP
   A47G 1/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A47G1/04 Z
A47G1/04 B
A47G1/02 M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120599
(22)【出願日】2023-07-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】202310214657.7
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521405377
【氏名又は名称】上海睿光新材料科技有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 405,Unit 1,Apartment 3,No.518 Shuangbai Rd.,Minhang District,Shanghai,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】李 強
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111AB07
3B111AC02
3B111AC03
3B111AC08
3B111AD02
(57)【要約】
【課題】映像の完全性と折り畳み機能との両立を図ることができるシームレス折り畳み鏡を提供する。
【解決手段】シームレス折り畳み鏡は、2つの単一フレーム1と、これら2つの単一フレーム1を互いに回動可能に連結する蝶番2とを備える。また、シームレス折り畳み鏡は、2つの単一フレーム1に塗布した接着剤層と、この接着剤層への貼り付けにより2つの単一フレーム1にわたって連続的に設けたPETミラーフィルム4と、2つの単一フレーム1を展開状態に固定するバレルボルト構造とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに回動可能に連結された少なくとも2つのフレームと、
前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能なミラーフィルムと
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡。
【請求項2】
少なくとも2つのフレームと、
前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する連結体と、
前記2つのフレームに塗布された接着剤層と、
前記接着剤層に貼り付けられることにより、前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能なミラーフィルムと
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡。
【請求項3】
ミラーフィルムは、引張力下で接着剤層に貼り付けられている
ことを特徴とする請求項2記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項4】
ミラーフィルムは、少なくとも2つのフレーム間の隙間に臨んだ部分に切断線を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項5】
少なくとも2つのフレームをこれら両方の正面が同一面上に位置する展開状態に解除可能に固定する固定体を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項6】
少なくとも2つのフレームを製造する工程と、
連結体を用いて前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する工程と、
前記2つのフレームに接着剤層を塗布する工程と、
ミラーフィルムを前記接着剤層に貼り付けることにより、前記ミラーフィルムを前記2つのフレームにわたって連続的に設ける工程と、
前記接着剤層が固化した後、前記ミラーフィルムを熱収縮処理する工程と、
前記ミラーフィルムが展開及び折り畳み可能となるように、前記ミラーフィルムの所定部分を切断する工程と、
前記2つのフレームをこれら両方の正面が同一面上に位置する展開状態に解除可能に固定する固定体を前記2つのフレームの背面に設ける工程と
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シームレス折り畳み鏡及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鏡は表面が滑らかで、光を反射するものである。最もよく使われる鏡は平面鏡で、主として身だしなみ、装飾、反射光源等に用いられ、家庭、オフィス、商業、工業等の多くの分野に広く応用され、日常生活に欠かせないものである。
【0003】
従来の鏡は、主にガラス素材で形成されている。しかし、ガラス鏡(ガラスミラー)は重くて、持ち運びや取り付けにも不便である。また、ガラス鏡は壊れやすく、落ちたガラス鏡が人にぶつかったり、人を傷つけたりするおそれもある。さらに、ガラス鏡の生産には大量の鉱物資源を消費する必要があり、敷地が広く、エネルギー消費が高く、汚染が深刻で、生態環境に大きな破壊をもたらしている。特に鏡が大きいほど、重量も重くなり、運搬や輸送がさらに不便になり、割れたら人への傷害をもたらしやすく、回収時も不便である。
【0004】
現在、市場には、金属フレームを主体とし、その上に薄い高分子ポリエステルフィルムを被覆し、加熱又は延伸した後、平らな鏡面を形成し、ガラス鏡と同じ反射効果を得ることができるものがある。その重量は通常のガラス鏡の10~20%しかない。そのようなフィルムミラー(例えば特許文献1)は、軽量だけでなく、割れないので、壊れても人を傷付けない。そして、フィルムミラーならサイズが大きくても、運搬、輸送、設置、移動が便利であり、また大量の鉱物資源を節約でき、エコ商品としてエネルギー消費の低減にも有利である。フィルムミラーの普及に伴い、ますます多くの消費者がフィルムミラーを購入し、使用し始めている。人の日増しに増加する物質への需要が高まり、大型サイズの鏡の需要はますます旺盛になっている。しかし、大きなサイズのフィルムミラーの場合も、場所を取り、運賃が高く、且つ回収が不便といった輸送や回収の際に不便な状況が依然として存在している。
【0005】
そして、大きな鏡を折り畳めるようにする従来の方法では、複数の小さな鏡を組み合わせて、つなぎ合わせて、大きな鏡を形成する。しかし、このような大きな鏡は、複数の鏡から構成されたものであるから、1つの鏡ではなく、大きなサイズの組み合わせ鏡としか言えない。その組み合わせ鏡は、使用時に映像(ミラー像)が区切られてその映像にも継ぎ目が存在し、映像の完全性を損ねる場合がある。それより、完全な1つの大きいミラーの方が映り効果が良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-239529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題の一つは、映像の完全性と折り畳み機能との両立を図ることができるシームレス折り畳み鏡及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るシームレス折り畳み鏡は、互いに回動可能に連結された少なくとも2つのフレームと、前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能なミラーフィルムとを備えるものである。
【0009】
また、本発明の実施形態に係るシームレス折り畳み鏡は、少なくとも2つのフレームと、前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する連結体と、前記2つのフレームに塗布された接着剤層と、前記接着剤層に貼り付けられることにより、前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能なミラーフィルムとを備えるものである。
【0010】
さらに、本発明の実施形態に係るシームレス折り畳み鏡の製造方法は、少なくとも2つのフレームを製造する工程と、連結体を用いて前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する工程と、前記2つのフレームに接着剤層を塗布する工程と、ミラーフィルムを前記接着剤層に貼り付けることにより、前記ミラーフィルムを前記2つのフレームにわたって連続的に設ける工程と、前記接着剤層が固化した後、前記ミラーフィルムを熱収縮処理する工程と、前記ミラーフィルムが展開及び折り畳み可能となるように、前記ミラーフィルムの所定部分を切断する工程と、前記2つのフレームをこれら両方の正面が同一面上に位置する展開状態に解除可能に固定する固定体を前記2つのフレームの背面に設ける工程とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像の完全性と折り畳み機能との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るシームレス折り畳み鏡の正面図(表面図)である。
図2】同上シームレス折り畳み鏡の背面図(裏面図)である。
図3】同上シームレス折り畳み鏡の折り畳み図である。
図4】同上シームレス折り畳み鏡の側面図であって、(a)は展開状態の側面図、(b)は折り畳み状態の側面図である。
図5図1におけるA-A拡大端面図である。
図6】同上シームレス折り畳み鏡の部分斜視図であって、(a)は正面側の部分斜視図、(b)は背面側の部分斜視図である。
図7】同上シームレス折り畳み鏡の製造方法における切断工程を説明するための背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図3等に示すように、本実施の形態におけるシームレス折り畳み鏡(正面全体に位置する鏡面に継ぎ目がないシームレスな折り畳み鏡)は、例えば2つのフレームである単一フレーム1と、2つの連結体である蝶番2と、2つの固定体であるバレルボルト構造3と、接着剤層(接着剤塗布層)と、1枚のミラーフィルムであるPETミラーフィルム(合成樹脂製のフィルムミラー)4とを備えている。
【0015】
本実施例における2枚の単一フレーム1は、縦方向(図1上では上下方向)に連結されて1つの完成フレームを形成している。図2に示すように、2つの単一フレーム1の互いに隣接する2つの隣接辺11に2つの蝶番2が設けられている。2つの単一フレーム1は、図3に示すように、蝶番2によって折り畳むことができる。2つの単一フレーム1の突き合わせ辺12の背面には、バレルボルト構造3が設けられている(これに限らず、留め具構造であってもよい)。2つの単一フレーム1をバレルボルト構造3によりロック(固定)し、図2に示すような平板状の展開状態となる。あるいは、バレルボルト構造3によるロック(固定)を解除することにより、図3に示すような折り畳み可能な状態にする。図1に示すように、2つの単一フレーム1がバレルボルト構造3によりロックされ、図2に示すような展開状態となった場合、当該展開状態の2つの単一フレーム1の正面は同一水平面(同一平面)となる。2つの単一フレーム1の背面には、PETミラーフィルム4を貼り付ける際に十分な接着性を維持するために、特に接合部に高強度の接着剤層が塗布されている。接着剤層には、2つの単一フレーム1の隣接辺における側辺及び背面が上下に分離された状態であるが、図1及び図2に示すように、2つの単一フレーム1の正面(表面)が全体平面であるPETミラーフィルム4が貼り付けられている。なお、接着剤層(例えば図5及び図6に示す接着剤層S)は、例えば2つの単一フレーム1の正面及び側面には塗布されておらず、各単一フレーム1の背面のみに塗布されている。また、各単一フレーム1の正面には突条部20が形成されている。
【0016】
本願は複数の単一フレーム及びPET鏡面を蝶番で結合されている。フィルム鏡の割れない、軽量、安全等のメリットを有するだけでなく、折り畳んだ後、包装、運搬、輸送、貯蔵、移動、回収等にメリットもあり、展開した後、1つの大きな鏡になれる。そして、見栄えがよく、実用性と便利性とを兼ね備えており、環境にも優しく、消費者に利便性をもたらしている。
【0017】
注意すべきは、縦方向に連結する場合には、2つの隣接する単一フレームの隣接辺の幅を同じにする必要があり、また横方向に連結する場合には、2つの隣接する単一フレームの隣接辺の高さを同じにする必要があることである。つまり、連結体で互いに回動可能に連結される少なくとも2つのフレームの互いに隣接して対向する両隣接辺(両対向フレーム部)の長さを同じにする必要がある。そうすると、連結部ではPETミラーフィルムを引き裂くことがなく、鏡面を十分に平らにできる。
【0018】
ここで、図4ないし図6(当該図6では蝶番及びバレルボルトの図示が省略されている)にも示すように、可撓性を有する展開及び折り畳み可能な1枚のミラーフィルムであるPETミラーフィルム4は、例えば矩形環状をなす2つの単一フレーム1の背面(例えば合計4つの突き合わせ辺12の背面全体)のみに塗布された接着剤層Sに貼り付けられて接着固定されている。
【0019】
つまり、1枚状のPETミラーフィルム4は、2つの単一フレーム1の正面及び側面(左右の両側面)を覆うように両単一フレーム1の背面側の接着剤層Sに貼り付けられることにより、2つの単一フレーム1の両方にわたって(跨って)連続的に設けられている。その結果、シームレス折り畳み鏡には、PETミラーフィルム4からなる継ぎ目のない鏡面(展開及び折り畳み可能なシームレスな鏡面)が当該シームレス折り畳み鏡の正面全体にわたって形成されている。なお、PETミラーフィルム4は、後述する切断線26,27の存在により、その正面側が内側になるように二つ折りに折り畳み可能となっている。
【0020】
より具体的には、PETミラーフィルム4は、例えばシームレス折り畳み鏡の正面全体にわたって位置する正面フィルム部21と、シームレス折り畳み鏡の両側面に位置する左右の側面フィルム部22と、接着剤層Sに貼り付けられてシームレス折り畳み鏡の背面両側に位置する左右の背面フィルム部(貼付部)23を有している。
【0021】
そして、各側面フィルム部22のうち、2つの単一フレーム1間の隙間25に臨んだ部分には、切断線(スリット)26が形成されている。また、各背面フィルム部23のうち、2つの単一フレーム1間の隙間25に臨んだ部分には、切断線(スリット)27が切断線26に連続して形成されている。これら両切断線26,27は互いに繋がっており、当該両切断線の存在によってミラーフィルム4が展開及び折り畳み可能となっている。なお、正面フィルム部21は切断されておらず、この正面フィルム部21には切断線が存在しない。2つの単一フレーム1同士を互いに回動可能に連結した蝶番2は、隙間25に配置されている。
【0022】
また、正面フィルム部21は、2つの単一フレーム1のうちのいずれか一方の単一フレーム1に対するいずれか他方の単一フレーム1の回動によって屈曲状(湾曲状を含む)に折れ曲がる折曲部31を有している。折曲部31は、正面フィルム部21のうち、2つの単一フレーム1間の隙間25に臨んだ長手状(帯状)の部分で構成されている。そして、折曲部31は、2つの単一フレーム1の両方の正面が同一面上(同一平面上)に位置する展開状態において、視認不可能(認識不可能)である。それゆえ、正面全体の鏡面である正面フィルム部21には、継ぎ目のない連続した映像(シームレスなミラー像)が映し出されることになる。
【0023】
本願のシームレス折り畳み鏡の製造方法は、次のとおりである。
【0024】
ステップ1では、実際の寸法に基づいて前記単一フレームを製造する。単一フレームの製造は、設計寸法の大きさに応じて、例えばアルミニウム合金形材を2長2幅の4段に切断し、各アルミニウム合金形材の両端を45度角に斜め切り、さらに4段のアルミニウム合金形材を組み立て、単一のアルミニウム合金フレームの完成品になる。フレームごとに縦方向に接続するか、横方向に接続するかどちらかにして、縦方向に接続する場合は各フレームの幅が同じであり、横方向に接続する場合は各フレームの高さが同じであることを確保しなければならない。
【0025】
ステップ2では、前記単一フレームを組み合わせる。2つ及びそれ以上の前記単一フレームの各隣接辺を前記蝶番(連結体)を用いて接続(連結)し、各隣接辺の正面が蝶番によって下側に折り畳まれ又は展開されるようにすることができる。構造設計に基づいて、枠線の長さに応じて、2つ又はそれ以上の蝶番を使用して、隣接する2つのフレームを接続する。接続後、大きなフレームの正面が同じ水平面上にあり、また、接続されていない隣接する2辺はそれぞれ平行になっていることを確保する必要がある。複数のフレーム接続の場合、同じやり方で2つずつ接続する。
【0026】
ステップ3では、前記バレルボルト構造(分離可能な固定金具等の固定体)を2つ及びそれ以上の前記単一フレームの各接合辺(例えば隣接辺でもよい)にそれぞれ固定し、前記バレルボルト構造によって互いに隣接する単一フレームを完成フレームにロックし、隣接する単一フレームの正面は同じ水平面にある。なお、例えば図2及び図3に示す固定体(バレルボルト構造)を用いた構成の場合、このステップ3は、後述するステップ7の切断工程後に行う。つまり、当該構成の場合、固定体は、貼り付け状態のミラーフィルムを介して両フレームの背面に取り付けられることになる。
【0027】
ステップ4では、接着剤層を塗布する。二つ及びそれ以上の前記単一フレームの所定面、すなわち例えば背面のみに接着剤を塗布して接着剤層を形成する。なお、単一フレームの側面及び背面に接着剤を塗布して接着剤層を形成してもよい。
【0028】
ステップ5では、ミラーフィルムを接着剤層に貼り付ける。PETミラーフィルムを所定の大きさに裁断し、手作業又は延伸装置(引張設備)を用いて一定の引張力下で完成品フレームの接着剤層に貼り付ける。一定の引張力は例えば5kg~8kgが望ましい。なお、PETミラーフィルムの厚さは例えば0.04mmである。
【0029】
ステップ6では、接着剤層が固化した後、PET鏡面への熱収縮処理の実施により、鏡面が完全なフラットの大鏡面を正面全体に形成する。固化後の接着剤層の引張強度は、例えば14N/cmが望ましい。
【0030】
ステップ7では、ミラーフィルムを切断(切開)する。大きなフレームの折り畳み及び展開をスムーズにするために、前記単一フレームの継ぎ目の側面及び背面のPETミラーフィルムを刃(カッターやハサミ等の切断具)で切断する。つまり、シームレス折り畳み鏡を折り畳む際にミラーフィルムが折り畳まれるように、切断具を使用して、ミラーフィルムの側面及び背面における所定部分を切断して切断線(切込み線)を形成する(図7参照)。しかし、シームレス折り畳み鏡の正面全体に継ぎ目のない鏡面を確保するため、ミラーフィルムの正面(正面フィルム部)を切断してはいけない。
【0031】
なお、前記単一フレームは、例えば図示したような矩形環状には限定されず、正方形、長方形、三角形又は台形等でもよい。また、一つの固定形状の接続に限定されるものではなく、複数の異なる形状の組み合わせであってもよい。
【0032】
そして、上述した展開及び折り畳み可能なシームレス折り畳み鏡(折り畳み式ミラー)によれば、少なくとも2つのフレームである単一フレーム1と、これら2つの単一フレーム1を互いに回動可能に連結する連結体である蝶番2と、2つの単一フレーム1の少なくとも背面に塗布された接着剤層と、この接着剤層に貼り付けられることにより、シームレス折り畳み鏡の少なくとも正面全体にわたって位置するように2つの単一フレーム1の両方にわたって連続的に設けられ、かつ、映像が区切られないように(映像が複数に分割されないように)継ぎ目のない連続した1枚状に形成された展開及び折り畳み可能なミラーフィルムであるPETミラーフィルム4と、2つの単一フレーム1の背面に設けられ、これら2つの単一フレーム1をこれら両方の正面が同一面上(同一平面上)に位置する展開状態に解除可能に固定する固定体であるバレルボルト構造3とを備えるため、シームレス折り畳み鏡を折り畳むことができるばかりでなく、継ぎ目のない連続した大きな映像(ミラー像)を得ることが可能であり、よって、映像の完全性と折り畳み機能との両立を適切に図ることができ、しかも、バレルボルト構造3によって両フレーム(シームレス折り畳み鏡)を所望の展開状態に適切に固定できる。
【0033】
また、展開及び折り畳み可能なPETミラーフィルム4は、少なくとも2つの単一フレーム1のうちのいずれか一方の単一フレーム1に対するいずれか他方の単一フレーム1の回動によって折れ曲がる折曲部31を正面中央部に有し、この折曲部31は展開状態で視認不可能であるので、継ぎ目のない連続した大きな映像を適切に得ることができる。
【0034】
さらに、シームレス折り畳み鏡の製造方法は、少なくとも2つの単一フレーム1を製造する工程と、蝶番2を用いて2つの単一フレーム1を互いに回動可能に連結する工程と、2つの単一フレーム1の少なくとも背面に接着剤層を塗布する工程と、可撓性を有するPETミラーフィルム4を所定の大きさに裁断した後、このPETミラーフィルム4を手で又は引張設備を用いて一定の引張力(例えば5kg~8kg)下で2つの単一フレーム1の正面及び側面を覆うように背面側の接着剤層に貼り付けることにより、このPETミラーフィルム4をシームレス折り畳み鏡の少なくとも正面全体に位置するように2つの単一フレーム1の両方にわたって連続的に設ける工程と、接着剤層が固化した後(この固化後の接着剤の引張強度は例えば14N/cm以上)、PETミラーフィルム4を熱収縮処理して滑らかな平面状の大きな鏡面を形成する工程と、PETミラーフィルム4を展開及び折り畳み可能となるようにカッター等の切断具を用いて互いに隣接する2つの単一フレーム1間の継ぎ目の側面及び裏面のPETミラーフィルム4の所定部分(隙間25に臨んだ部分)を切断して切断線26,27を形成する工程と、2つの単一フレーム1をこれら両方の正面が同一面上に位置する展開状態に解除可能に固定するバレルボルト構造3を2つの単一フレーム1の背面に設ける工程とを備えるため、映像の完全性と折り畳み機能との両立を図ることが可能なシームレス折り畳み鏡を効率的かつ適切に製造することができる。
【0035】
なお、フレームの素材は、アルミニウム等の金属には限定されず、例えば樹脂等の非金属でもよく任意である。ミラーフィルムの素材についても任意であり、例えばPC、PVC等の樹脂を用いてもよい。
【0036】
また、フレームの数は3つ以上でよく、この場合には、1枚のミラーフィルムを3つ以上の全フレームにわたって連続的に設けることが好ましい。
【0037】
さらに、接着剤層がフレームの背面のみに塗布された構成には限定されず、例えば接着剤層がフレームの側面及び背面に塗布された構成等でもよい。
【0038】
また、固定体は、少なくとも2つのフレームを展開状態にした際に両フレームを展開状態に自動的に固定(自動ロック)し、かつ固定解除用の操作部を操作しない限りその固定を解除できないような構成としてもよい。
【0039】
さらに、シームレス折り畳み鏡は、例えば両フレームを平板状の展開状態に固定するための展開用の固定体と、両フレームを折畳状態(例えば180度折りの状態)に固定するための折畳用の固定体とを備えた構成等でもよい。なお、固定体は必ずしも必要なものではない。
【0040】
また、ミラーフィルムは、例えばシームレス折り畳み鏡の正面全体にわたって連続して位置する正面フィルム部のみからなるもの等でもよい。
【0041】
なお、以上述べた実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するためにのみ用いられる。当業者の設計者が本発明に対して行った均等な変化と修飾等は、いずれも本発明に添付された請求項の範囲に属すべきである。
【符号の説明】
【0042】
1 フレームである単一フレーム
2 連結体である蝶番
3 固定体であるバレルボルト構造
4 ミラーフィルムであるPETミラーフィルム
25 隙間
26,27 切断線
S 接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに回動可能に連結された少なくとも2つのフレームと、
前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能な1枚状のミラーフィルムと
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡。
【請求項2】
少なくとも2つのフレームと、
前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する連結体と、
前記2つのフレームに塗布された接着剤層と、
前記接着剤層に貼り付けられることにより、前記2つのフレームにわたって連続的に設けられた展開及び折り畳み可能な1枚状のミラーフィルムと
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡。
【請求項3】
ミラーフィルムは、シームレス折り畳み鏡の正面に位置する正面フィルム部を有し、
前記正面フィルム部は、少なくとも2つのフレームのうちのいずれか一方のフレームに対するいずれか他方のフレームの回動によって折れ曲がる折曲部を有し、
前記折曲部は、前記2つのフレームの両方の正面が同一面上に位置する展開状態において認識不可能である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項4】
折曲部は、正面フィルム部のうち少なくとも2つのフレーム間の隙間に臨んだ長手状の部分で構成されている
ことを特徴とする請求項3記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項5】
ミラーフィルムは、
シームレス折り畳み鏡の正面に位置する正面フィルム部と、
前記シームレス折り畳み鏡の側面に位置する側面フィルム部と、
前記シームレス折り畳み鏡の背面に位置する背面フィルム部とを有し、
前記側面フィルム部のうち少なくとも2つのフレーム間の隙間に臨んだ部分には、切断線が形成され、
前記背面フィルム部のうち前記2つのフレーム間の隙間に臨んだ部分には、前記側面フィルム部の前記切断線に繋がった切断線が形成され、
前記側面フィルム部の前記切断線及び前記背面フィルム部の前記切断線の存在によって、前記ミラーフィルムが展開及び折り畳み可能となっている
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシームレス折り畳み鏡。
【請求項6】
少なくとも2つのフレームを製造する工程と、
連結体を用いて前記2つのフレームを互いに回動可能に連結する工程と、
前記2つのフレームに接着剤層を塗布する工程と、
1枚状のミラーフィルムを前記接着剤層に貼り付けることにより、前記ミラーフィルムを前記2つのフレームにわたって連続的に設ける工程と、
前記接着剤層が固化した後、前記ミラーフィルムを熱収縮処理する工程と、
前記ミラーフィルムが展開及び折り畳み可能となるように、前記ミラーフィルムの所定部分を切断する工程と、
前記2つのフレームをこれら両方の正面が同一面上に位置する展開状態に解除可能に固定する固定体を前記2つのフレームの背面に設ける工程と
を備えることを特徴とするシームレス折り畳み鏡の製造方法。