(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127701
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201M
H01G4/30 201D
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125499
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0031408
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】具 信一
(72)【発明者】
【氏名】任 珍亨
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC07
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE22
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れた積層型電子部品及び/又は単位体積当たりの容量が向上した積層型電子部品を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含む容量形成部、上記第1面と容量形成部との間に配置される下部カバー部、及び上記第2面と容量形成部との間に配置される上部カバー部を含む本体と、上記第3面上に配置されて上記第1内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第1外部電極と、上記第4面上に配置されて上記第2内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第2外部電極と、を含み、上記上部カバー部及び下部カバー部のうち上部カバー部のみがバッファ電極を含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含み、誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む容量形成部、前記第1面と前記容量形成部との間に配置される下部カバー部、及び前記第2面と前記容量形成部との間に配置される上部カバー部を含む本体と、
前記第3面上に配置されて前記第1内部電極と連結され、前記第1面の一部に延びて配置される第1外部電極と、
前記第4面上に配置されて前記第2内部電極と連結され、前記第1面の一部に延びて配置される第2外部電極と、
を含み、
前記上部カバー部及び前記下部カバー部のうち前記上部カバー部のみがバッファ電極を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記バッファ電極の平均厚さは0.1μm以上4μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記バッファ電極は、前記第1外部電極と連結される第1バッファ電極及び前記第2外部電極と連結される第2バッファ電極を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1バッファ電極及び前記第2バッファ電極は、それぞれ前記第1方向に2個以上10個以下配置される、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1バッファ電極のうち隣接した第1バッファ電極間の平均間隔は0.2μm以上10μm以下である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記バッファ電極は、前記第1方向及び前記第3方向の断面において線形である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記バッファ電極は、前記上部カバー部の前記第1方向の15/100地点と85/100地点との間に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記バッファ電極は、Ni、Cu、Pt、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記バッファ電極は、セラミック粒子及びガラスのうち一つ以上の添加剤を含み、
前記バッファ電極の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記バッファ電極の全面積に対する前記添加剤が占める面積比率は20%以上60%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記バッファ電極の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記バッファ電極は線形である第1層及び前記第1層上に配置され、複数の凸部を含む第2層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記バッファ電極の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記凸部の前記第1方向の平均サイズは0.1μm以上4μm以下であり、前記第3方向の平均サイズは10μm以上100μm以下である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記バッファ電極の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、前記凸部は半円形状を有する、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記上部カバー部は、前記第1バッファ電極と前記第2バッファ電極との間に配置され、前記第1バッファ電極及び前記第2バッファ電極と離隔して配置される第3バッファ電極をさらに含む、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記第2面の延長線の下部に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記第2面上には配置されない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記第1外部電極の一端は前記第2面と前記第3面を連結するコーナー上に配置され、他端は前記第1面上に配置され、前記第2外部電極の一端は前記第2面と前記第4面を連結するコーナー上に配置され、他端は前記第1面上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができ、コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。また、自動車用電装部品などへの適用が増加するにつれて、様々な環境での高信頼性が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を達成するためには、外部電極の体積を最小化して積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させる必要がある。
【0005】
外部電極の体積を最小化するために、外部電極を本体中の内部電極が露出する面と本体の下面に配置するものの、本体の上面には配置しないL字構造で形成することにより、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させようとする試みがあった。しかし、この場合、本体の上面に外部電極が配置されていないため、耐湿信頼性が劣化することがあった。
【0006】
また、これを解決するために、L字構造の外部電極を有する積層セラミックキャパシタの外部にコーティング層を配置して、外部からの水分がチップの内部に浸透しないようにする方案が提示されている。しかし、コーティング層を形成する場合、コーティング工程時にチップ間の癒着が多く発生し、コーティング層が外部衝撃によって容易に破壊することがあった。
【0007】
したがって、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させながらも耐湿信頼性を向上させることができる方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、単位体積当たりの容量が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0010】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び上記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含み、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む容量形成部、上記第1面と上記容量形成部との間に配置される下部カバー部、及び上記第2面と上記容量形成部との間に配置される上部カバー部を含む本体と、上記第3面上に配置されて上記第1内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第1外部電極と、上記第4面上に配置されて上記第2内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第2外部電極と、を含み、上記上部カバー部及び上記下部カバー部のうち上記上部カバー部のみがバッファ電極を含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果のうち一効果として、上部カバー部にのみバッファ電極を配置することにより、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0013】
本発明の様々な効果のうち一効果として、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0014】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示す。
【
図2】
図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示す。
【
図3】
図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示す。
【
図4】
図1のIII-III’線に沿った断面図を概略的に示す。
【
図6】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品に対する
図4のP1領域に対応する図である。
【
図7】本発明のさらに他の一実施形態による積層型電子部品に対する
図1のI-I’線に沿った断面図に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0017】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
図において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0019】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、
図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図3は、
図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図4は、
図1のIII-III’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図5は、
図4のP1領域を拡大した図である。
【0020】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0021】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含み、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む容量形成部Ac、上記第1面と容量形成部との間に配置される下部カバー部113、及び上記第2面と容量形成部との間に配置される上部カバー部112を含む本体110と、上記第3面上に配置されて上記第1内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第1外部電極131と、上記第4面上に配置されて上記第2内部電極と連結され、上記第1面の一部に延びて配置される第2外部電極132と、を含み、上記上部カバー部及び下部カバー部のうち上部カバー部のみがバッファ電極123、124を含むことができる。
【0022】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を達成するためには、外部電極の体積を最小化して積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させる必要がある。外部電極の体積を最小化するために、外部電極を本体中の内部電極が露出する面と本体の下面に配置するものの、本体の上面には配置しないL字構造で形成することにより、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させようとする試みがあったが、この場合、本体の上面に外部電極が配置されないため、耐湿信頼性が劣化することがあった。
【0023】
また、これを解決するために、L字構造の外部電極を有する積層セラミックキャパシタの外部にコーティング層を配置して外部からの水分がチップの内部に浸透しないようにする方案が提示されたが、コーティング層を形成する場合、コーティング工程時にチップ間の癒着が多く発生し、コーティング層が外部衝撃によって容易に破壊することがあった。
【0024】
一方、本発明の一実施形態によれば、外部電極がL字構造を有し、上部カバー部及び下部カバー部のうち上部カバー部にのみバッファ電極123、124を含ませることにより、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させながらも耐湿信頼性を向上させることができる。
【0025】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0026】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0027】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0028】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0029】
一実施形態において、本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナーc1-3、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナーc1-4、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナーc2-3、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーc2-4を含み、上記第1-3コーナー及び第2-3コーナーは、上記第3面に近づくほど、上記本体の第1方向の中央に収縮した形態を有し、上記第1-4コーナー及び第2-4コーナーは、上記第4面に近づくほど、上記本体の第1方向の中央に収縮した形態を有することができる。
【0030】
誘電体層111上に内部電極121、122が配置されていないマージン領域が重なることによって、内部電極121、122の厚さによる段差が発生し、第1面と第3~第5面を連結するコーナー及び/又は第2面と第3~第5面を連結するコーナーは、第1面又は第2面を基準として見たとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。あるいは、本体の焼結過程での収縮挙動により、第1面1と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナー及び/又は第2面2と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナーは、第1面又は第2面を基準として見たとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。あるいは、チッピング不良などを防止するために、本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することにより、第1面と第3~第6面を連結するコーナー及び/又は第2面と第3~第6面を連結するコーナーはラウンド形状を有することができる。
【0031】
上記コーナーは、第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含むことができる。また、コーナーは、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。本体110の第1~第6面は概して平坦な面であることができ、平坦でない領域をコーナーと見なすことができる。以下、各面の延長線とは、各面の平坦な部分を基準として延びた線を意味することができる。
【0032】
一方、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成する場合には、第1面と第5及び第6面を連結する部分、並びに、第2面と第5及び第6面を連結する部分が収縮した形態を有さなくてもよい。
【0033】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0035】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0036】
一方、誘電体層111の厚さは特に限定する必要はない。
【0037】
但し、一般に誘電体層を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に誘電体層の厚さが0.35μm以下の場合には、本体の内部に浸透する水分、めっき液等によって信頼性が低下する可能性が高い。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、上部カバー部112にバッファ電極123、124を配置することにより、水分、めっき液等が本体の内部に浸透することを防止できるため、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtdが0.35μm以下の場合でも優れた信頼性を確保することができる。
【0039】
したがって、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さtdが0.35μm以下の場合に、本発明による信頼性向上効果がより顕著になり得る。
【0040】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0041】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0042】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113とを含むことができる。
【0043】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成することができる。
【0044】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0045】
上部カバー部112は第2面2と容量形成部Acとの間に配置され、下部カバー部113は第1面1と容量形成部Acとの間に配置されることができる。
【0046】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、上部カバー部112及び下部カバー部113のうち上部カバー部112のみがバッファ電極123、124を含むことができる。
【0048】
バッファ電極123、124は、上部カバー部112に配置され、水分、めっき液等が本体の内部に浸透することを防止する役割を果たすことができる。本体の第2面2には外部電極が配置されないため、本体の内部に水分、めっき液等が容易に浸透することができる。本発明の一実施形態によって上部カバー部112にバッファ電極123、124を配置する場合、本体の第2面2に浸透する水分、めっき液等は優先的にバッファ電極123、124と反応し、容量形成部Acの内部電極121、122まで水分、めっき液等が浸透することを防止することができる。
【0049】
一実施形態において、
図5を参照すると、バッファ電極123、124の平均厚さt1は、0.1μm以上4μm以下であってもよい。このとき、バッファ電極の平均厚さt1とは、一つのバッファ電極の平均厚さを意味することができる。
【0050】
バッファ電極の平均厚さt1が0.1μm未満の場合には、水分、めっき液等が浸透することを防止する効果が不十分である可能性があり、4μmを超える場合には、上部カバー部112の厚さが厚くなることがあるため、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下する可能性がある。
【0051】
バッファ電極の平均厚さt1は、本体110の幅及び厚さ方向(W-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つのバッファ電極を幅方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0052】
一実施形態において、バッファ電極123、124は、第1外部電極131と連結される第1バッファ電極123、及び第2外部電極132と連結される第2バッファ電極124を含むことができる。
【0053】
第1バッファ電極123は第1外部電極131と連結され、第2バッファ電極124は第2外部電極132と連結されることによって、より容易に水分、めっき液等と先に反応することができ、容量形成部Acの内部電極121、122まで水分、めっき液等が浸透することを防止することができる。
【0054】
一実施形態において、第1及び第2バッファ電極123、124はそれぞれ、上記第1方向に2個以上10個以下配置されることができる。第1バッファ電極123は、第1方向に2個以上10個以下配置されてもよく、第2バッファ電極124は、第1方向に2個以上10個以下配置されてもよく、第1バッファ電極123の積層個数と第2バッファ電極124の積層個数とは必ずしも一致する必要はない。
【0055】
バッファ電極123、124を第1方向に2個以上配置することにより、水分、めっき液等が浸透することを防止する効果をより向上させることができるが、10個以上配置する場合、上部カバー部112の厚さが厚くなることがあり、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下する可能性がある。
【0056】
このとき、第1バッファ電極のうち隣接した第1バッファ電極間の平均間隔t2は、0.2μm以上10μm以下であってもよい。
【0057】
隣接した第1バッファ電極間の平均間隔t2が0.2μm未満の場合には、第1バッファ電極を2個以上配置することによる効果が不十分である可能性があり、10μm超過の場合には、上部カバー部112の厚さが厚くなることがあるため、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下する可能性がある。
【0058】
隣接した第1バッファ電極間の平均間隔t2は、本体110の幅及び厚さ方向(W-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、互いに隣接した2つのバッファ電極間の厚さ方向の間隔を幅方向に等間隔である30個の地点で測定して平均値を測定することができる。
【0059】
一実施形態において、上記バッファ電極123、124は、上記上部カバー部112の第1方向の15/100地点と85/100地点との間に配置されてもよい。
【0060】
バッファ電極123、124が内部電極と過度に近接して配置される場合、容量形成部Acの内部電極121、122まで水分、めっき液等が浸透する可能性が高くなることがあり、第1及び第2バッファ電極123、124が第2面2と過度に近接して配置される場合は、第1及び第2バッファ電極123、124が第2面2に露出して第2面上に外部電極が形成されるか、又はめっき層が形成される恐れがあるためである。
【0061】
一実施形態において、バッファ電極123、124は、Ni、Cu、Pt、Pd、及びそれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0062】
バッファ電極123、124は、積層型電子部品の製造工程を単純化するために誘電体と同時に焼成可能な物質で構成することが好ましく、めっき、水分液等と容易に反応できる物質で構成することが好ましい。
【0063】
一実施形態において、バッファ電極123、124は、セラミック粒子及びガラスのうち一つ以上の添加剤を含み、バッファ電極123、124の第1及び第3方向の断面において、上記バッファ電極123、124の全面積に対する上記添加剤が占める面積比率は、20%以上60%以下であり得る。セラミック粒子は、誘電体層111とバッファ電極123、124間の焼結開始温度の差を減らしてバッファ電極123、124の凝集や切れを防止する役割を果たすことができ、ガラスは誘電体層111との結合力を向上させてデラミネーションが発生することを防止する役割を果たすことができる。
【0064】
バッファ電極123、124の全面積に対する上記添加剤が占める面積比率が20%未満である場合には、上述の効果が不十分である可能性があり、60%超過の場合には、水分、めっき液等との反応性が低下し、本発明による耐湿信頼性向上効果が不十分となる可能性がある。
【0065】
上部カバー部112は、バッファ電極の他に、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。下部カバー部113は内部電極及びバッファ電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0066】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0067】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは15μm以下であってもよい。
【0068】
カバー部112、113の平均厚さtcは第1方向のサイズを意味することができ、容量形成部Acの上部又は下部において等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0069】
一実施形態において、
図4及び
図5を参照すると、バッファ電極123、124は、第1及び第3方向の断面において線形であり得る。これは、内部電極121、122を形成する方法と同様に、セラミックグリーンシート上にバッファ電極用導電性ペーストを塗布してバッファ電極パターンを形成することによって、バッファ電極は第1及び第3方向の断面において線形で観察されることができる。
【0070】
但し、本発明はこれに限定されるものではなく、バッファ電極123、124が線形以外の他の形状を有することを排除するものではないことに留意する必要がある。
【0071】
例えば、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品に対する
図4のP1領域に対応する図である
図6を参照すると、バッファ電極123’の第1及び第3方向の断面においてバッファ電極123’は、線形である第1層123a及び上記第1層上に配置され、複数の凸部を含む第2層123bを含むことができる。
図6では、第1バッファ電極のみを示しているが、第2バッファ電極も線形である第1層及び上記第1層上に配置され、複数の凸部を含む第2層を含むことができる。
【0072】
複数の凸部を含む第2層123bは、バッファ電極123’の表面積を広げて水分、めっき液等との反応性をさらに高めることができ、これによって、より優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0073】
このとき、上記バッファ電極の第1及び第3方向の断面において、上記凸部の第1方向の平均サイズt1bは0.1μm以上4μm以下であり、第3方向の平均サイズdbは10μm以上100μm以下であることができる。凸部の第1方向の平均サイズt1bが0.1μm未満の場合は、上述した第2層123bによる効果が不十分である可能性があり、4μm超過の場合には、バッファ電極が過度に厚くなって上部カバー部112が過度に厚くなる恐れがある。凸部の第3方向の平均サイズdbが10μm未満の場合には凸部の形成が難しくなることがあり、100μm超過の場合には、上述した第2層123bによる効果が不十分となることがある。
【0074】
また、上記バッファ電極の第1及び第3方向の断面において、上記凸部は半円形状を有することができる。
【0075】
複数の凸部を含む第2層123bを形成する方法は特に限定されない。例えば、セラミックグリーンシート上にバッファ電極用導電性ペーストを塗布して第1層123aを形成した後、上記第1層123a上にさらにバッファ電極用導電性ペーストをライン状に印刷して複数の凸部を含む第2層123bを形成することができる。
【0076】
一方、第1層123aの平均厚さは特に限定するものではないが、0.1μm以上4μm以下であってもよい。また、隣接したバッファ電極123’間の間隔も特に限定するものではないが、0.2μm以上10μm以下であってもよい。
【0077】
また、本発明のさらに他の一実施形態による積層型電子部品に対する
図1のI-I’線に沿った断面図に対応する図である
図7を参照すると、上部カバー部112は、上記第1バッファ電極123と上記第2バッファ電極124との間に配置され、上記第1及び第2バッファ電極と離隔して配置される第3バッファ電極125をさらに含むことができる。
【0078】
外部電極と本体との間が主な水分浸透経路となるが、本体の表面を介しても水分などが浸透することができる。したがって、第1バッファ電極123と第2バッファ電極124との間に第3バッファ電極125を配置することにより、第2面を介して浸透する水分などによる耐湿信頼性の低下を抑制することができる。
【0079】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0080】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と、第6面6に配置された第2マージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0081】
マージン部114、115は、
図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0082】
マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0083】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0084】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成してもよい。
【0085】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であってもよい。
【0086】
マージン部114、115の平均幅は、内部電極が第5面と離隔した領域の第3方向の平均サイズ、及び内部電極が第6面と離隔した領域の第3方向の平均サイズを意味することができ、容量形成部Acの側面において等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0087】
したがって、一実施形態において、内部電極121、122が第5及び第6面と離隔した領域の第3方向の平均サイズはそれぞれ15μm以下であることができる。
【0088】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0089】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0090】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4において一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3において一定距離離隔して形成されることができる。また、第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第5及び第6面と離隔して配置されることができる。
【0091】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0092】
本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0093】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0094】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等を使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
一方、内部電極121、122の厚さは特に限定する必要はない。
【0096】
但し、一般に内部電極を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に内部電極の厚さが0.35μm以下である場合には、本体の内部に浸透する水分、めっき液等による信頼性の低下に脆弱になる可能性がある。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、上部カバー部112にバッファ電極123、124を配置することにより、水分、めっき液等が本体の内部に浸透することを防止することができるため、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteが0.35μm以下の場合でも、優れた信頼性を確保することができる。
【0098】
したがって、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さteが0.35μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著となることができ、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0099】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0100】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0101】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置され、第1面の一部に延びて配置されてもよい。
【0102】
外部電極131、132は、第3面上に配置されて第1内部電極121と連結され、第1面の一部に延びて配置される第1外部電極131、及び第4面上に配置されて第2内部電極122と連結され、第1面の一部に延びて配置される第2外部電極132を含むことができる。
【0103】
一方、本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0104】
一方、外部電極131、132は、 金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0105】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0106】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0107】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。また、電極層131a、132aは、めっき層で形成されてもよく、スパッタリング工法、ALD(Atomic layer deposition)などの蒸着方式を用いて形成された層であってもよい。
【0108】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であってもよい。
【0109】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0110】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。また、めっき層131b、132bは、電極層131a、132a上にNiめっき層及びPdめっき層が順次に形成された形態であってもよい。
【0111】
一実施形態において、第1及び第2外部電極131、132は、第2面の延長線E2の下部に配置されてもよい。
【0112】
第1及び第2外部電極131、132が第2面の延長線E2の下部に配置されることにより、外部電極が積層型電子部品で占める体積を減少させて単位体積当たりの容量を向上させることができる。第1及び第2外部電極131、132が第2面の延長線E2の下部に配置される場合、第2面に水分、めっき液等が浸透して耐湿信頼性が低下することがあるが、上述したように、本発明によれば、上部カバー部及び下部カバー部のうち上部カバー部にのみバッファ電極123、124を含ませることで、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量を向上させながらも耐湿信頼性を向上させることができる。
【0113】
ここで、第1及び第2外部電極131、132が第2面の延長線E2の下部に配置されるとは、第1及び第2外部電極131、132が第2面上には配置されないことを意味することができる。
【0114】
一実施形態において、第1外部電極131の一端は、上記第2面と第3面を連結するコーナーC2-3上に配置され、他端は上記第1面上に配置され、第2外部電極132の一端は、上記第2面と第4面を連結するコーナーC2-4上に配置され、他端は上記第1面上に配置されることができる。
【0115】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0116】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明による信頼性向上効果がより顕著になり得る。
【0117】
したがって、製造誤差、外部電極サイズ等を考慮すると、積層型電子部品100の長さが1.1mm以下、幅が0.55mm以下である場合、本発明による信頼性向上効果がより顕著となり得る。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大サイズを意味することができる。
【0118】
(実施例)
上部カバー部にバッファ電極を配置しない場合(比較例)、上部カバー部に線形の第1及び第2バッファ電極をそれぞれ1個ずつ含む場合(発明例1)、上部カバー部に線形の第1及び第2バッファ電極をそれぞれ2個ずつ含む場合(発明例2)、上部カバー部に線形の第1及び第2バッファ電極をそれぞれ3個ずつ含む場合(発明例3)、上部カバー部に複数の凸部を含む第1及び第2バッファ電極をそれぞれ1個ずつ含む場合(発明例4)、上部カバー部に複数の凸部を含む第1及び第2バッファ電極をそれぞれ2個ずつ含む場合(発明例5)、及び上部カバー部に複数の凸部を含む第1及び第2バッファ電極をそれぞれ3個ずつ含む場合(発明例6)について、耐湿信頼性を評価して下記表1に記載した。
【0119】
比較例及び発明例1~6は、上部カバー部の構成を除けば、実質的に同じ構成を有し、外部電極はL字構造で形成した。
【0120】
耐湿信頼性の評価は85℃、相対湿度85%で昇圧条件100V/sで48時間の間、電圧を印加して800個のサンプルに対して不良が発生するか否かを確認した。このとき、最初の絶縁抵抗(IR、Insulation Resistance)値から101倍以上減少するサンプルを不良と判定した。
【0121】
【0122】
比較例の場合、電圧印加時間が12hrを経過しながら不良サンプルが発生し、40hrを経過しながら全てのサンプルに不良が発生したことが確認できる。
【0123】
これに対し、発明例1の場合、電圧印加時間が25hrを経過しながら不良サンプルが発生し、48hrが経過した後にも200個のサンプルにのみ不良が発生して耐湿信頼性が著しく向上したことが確認できる。
【0124】
発明例1~3を比較してみると、バッファ電極の積層数が増加するにつれて耐湿信頼性向上効果が増加することが分かる。
【0125】
また、発明例1~3と発明例4~6とを比較してみると、バッファ電極が線形である第1層及び上記第1層上に配置され、複数の凸部を含む第2層を含む発明例4~6の場合は、バッファ電極が線形にのみ形成された発明例1~3よりも耐湿信頼性が向上したことが確認できる。
【0126】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定するものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0127】
また、本発明において使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【0128】
本発明において使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0129】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
123、124:バッファ電極
131、132:外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:めっき層