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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127702
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20240912BHJP
   H02K 1/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129165
(22)【出願日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2023034321
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】中村 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】花島 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】峰松 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】緒方 海希
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601CC15
5H601CC20
5H601DD02
5H601DD11
5H601EE03
5H601EE06
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GD02
5H601GD09
(57)【要約】
【課題】巻線を施しやすいモータを提供すること。
【解決手段】ロータ6と、ロータ6の回転軸X方向に重なった、第1ステータ21,2021および第2ステータ22,2022と、を備え、第1ステータ21,2021および第2ステータ22,2022は、第1相を形成する第1コイル群3を備え、第1コイル群3のうち、第1ステータ21,2021が備える部分31は、第2ステータ22,2022が備える部分32に対して直列に電気接続されている、モータ1,1000,2000。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
前記ロータの回転軸方向に重なった、第1ステータおよび第2ステータと、を備え、
前記第1ステータおよび前記第2ステータは、第1相を形成する第1コイル群を備え、
前記第1コイル群のうち、前記第1ステータが備える部分は、前記第2ステータが備える部分に対して直列に電気接続されている、モータ。
【請求項2】
前記第1ステータおよび前記第2ステータは、第2相を形成する第2コイル群を備え、
前記第2コイル群のうち、前記第1ステータが備える部分は、前記第2ステータが備える部分に対して直列に電気接続されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1ステータおよび前記第2ステータは、第3相を形成する第3コイル群を備え、
前記第3コイル群のうち、前記第1ステータが備える部分は、前記第2ステータが備える部分に対して直列に電気接続されている、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1コイル群、前記第2コイル群、前記第3コイル群は、デルタ結線を構成している、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1コイル群、前記第2コイル群、前記第3コイル群のうち、1つのコイル群を形成する複数のコイルは、直列に電気接続されている、請求項3または4に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なモータにおいては、ステータコアのティースにコイルが巻かれている(例えば、特許文献1)。モータの高出力化および小型化のため、ステータコアのティース数の増加および巻線密度(占積率)の向上が求められる場合がある。しかしながら、ステータコアのサイズを維持したままティース数を増加させると、隣接するティース間の距離が小さくなるため、巻線作業がしづらく、占積率の向上が困難となる。
【0003】
巻線作業を容易にする方法として、例えば、各ティースの先端の周方向における寸法を小さくし、隣接するティースの先端間の距離(スロットオープニング)を大きくすることが考えられる。しかしながら、その場合、スロットオープニングが、十分なモータ特性を得るための理想値よりも大きくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/060600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、巻線を施しやすいモータの提供を課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例であるモータは、ロータと、前記ロータの回転軸方向に重なった、第1ステータおよび第2ステータと、を備え、前記第1ステータおよび前記第2ステータは、第1相を形成する第1コイル群を備え、前記第1コイル群のうち、前記第1ステータが備える部分は、前記第2ステータが備える部分に対して直列に電気接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータのステータの平面図である。
図2】本発明の例である第1~第3の実施の形態にかかるモータの結線図である。
図3】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータのステータの分解斜視図である。
図4】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータのステータの斜視図である。
図5】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータのステータを拡大して示す分解斜視図である。
図6】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータのステータを拡大して示す平面図である。
図7】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータの第1コイル群の模式図である。
図8】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるモータの第1~第3コイル群の模式図である。
図9】本発明の一例である第2の実施の形態にかかるモータの第1~第3コイル群の模式図である。
図10】本発明の一例である第3の実施の形態にかかるモータのステータの分解斜視図である。
図11】本発明の一例である第3の実施の形態にかかるモータの第1~第3コイル群の模式図である。
図12】本発明の例である第1~第3の実施の形態にかかるモータにおいて、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分を、第2ステータが備える部分に対して並列に電気接続した場合における結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態の説明において、説明の便宜上、ロータの回転軸Xに沿った方向(回転軸方向)を単に軸方向と称する。軸方向において、図3図4および図10における矢印a方向を一方側、その反対方向である矢印b方向を他方側と称する。回転軸Xに直交する平面内において、回転軸Xに近づいたり離れたりする方向を径方向と称する。径方向において、回転軸Xから離れる矢印c方向(外側)を一方側と称し、回転軸Xに近づく矢印d方向(内側)を他方側と称する。回転軸Xの周りに回転する方向を周方向と称する。
【0009】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の一例である第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態にかかるモータ1のステータ2の平面図であり、図2は、モータ1の結線図であり、図3は、ステータ2の分解斜視図であり、図4は、ステータ2の斜視図であり、図5は、ステータ2を拡大して示す分解斜視図であり、図6は、ステータ2を拡大して示す平面図であり、図7は、モータ1の第1コイル群3の模式図であり、図8は、モータ1の第1コイル群3、第2コイル群4、第3コイル群5の模式図である。ただし、図3図5において、各コイル群は省略されている。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係るモータ1は、ステータ2と、第1コイル群3と、第2コイル群4と、第3コイル群5と、ロータ6と、を備えるアウターロータ型の3相ブラシレスDCモータである。図2に示すように、モータ1では、第1相(U相)を形成する第1コイル群3と、第2層(V相)を形成する第2コイル群4と、第3相(W相)を構成する第3コイル群5と、がデルタ結線を構成している。
【0011】
具体的には、第1コイル群3と第2コイル群4とが接点13で接続され、第2コイル群4と第3コイル群5とが接点14で接続され、第3コイル群5と第1コイル群3とが接点15で接続されている。デルタ結線の接点13,14,15には、図示しない制御装置が電気的に接続されている。接点13,14,15のうち2つに対して直流電源が電気的に接続され、接続が順次切り替えられることによって各コイル群が周期的に励磁され、永久磁石を備えるロータ6が回転する。なお、本実施の形態において、ロータ6における永久磁石の磁極数は、例えば42極である。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0012】
第1コイル群3は、後述する第1ステータ21が備える部分31と、後述する第2ステータ22が備える部分32とを有する。第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、第2ステータ22が備える部分32に対して直列に電気接続されている。第2コイル群4は、第1ステータ21が備える部分41と、第2ステータ22が備える部分42とを有する。第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、第2ステータ22が備える部分42に対して直列に電気接続されている。第3コイル群5は、第1ステータ21が備える部分51と、第2ステータ22が備える部分52とを有する。第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、第2ステータ22が備える部分52に対して直列に電気接続されている。
【0013】
図3および図4に示すように、ステータ2は、互いに別体に形成された第1ステータ21および第2ステータ22を備える。第1ステータ21および第2ステータ22は、それぞれ、薄板状の磁性体が積層されることで形成されていてもよいし、塊状の一部材によって形成されていてもよい。
【0014】
第1ステータ21と第2ステータ22とは、ロータの軸方向に重なっている。軸方向において、第1ステータ21は一方側(矢印a方向)に、第2ステータ22は他方側(矢印b方向)に配置されている。第1ステータ21と第2ステータ22とは、共通の形状を有している。
【0015】
第1ステータ21は、円環状のヨーク(環状部)211と、ヨーク211から径方向における一方側(矢印c方向)に延在する、T字状の断面形状を有する複数(本実施の形態では18本)のティース(磁極部)212と、を有する。第2ステータ22は、円環状のヨーク(環状部)221と、ヨーク221から径方向における一方側(矢印c方向)に延在する、T字状の断面形状を有する複数(本実施の形態では18本)のティース(磁極部)222と、を有する。ティース212,222の数は18本に限られないが、モータ1が3相ブラシレスDCモータである場合にはそれぞれ3の倍数となる。
【0016】
第1ステータ21において、ティース212の径方向における他方側(矢印d方向)の端部の、軸方向における一方側(矢印a方向)が、ヨーク211の外周面(径方向における一方側(矢印c方向)の周面)に接続されている。軸方向において、ティース212は、ヨーク211の他方側(矢印b方向)に突出している。
【0017】
第2ステータ22において、ティース222の径方向における他方側(矢印d方向)の端部の、軸方向における他方側(矢印b方向)が、ヨーク221の外周面(径方向における一方側(矢印c方向)の周面)に接続されている。軸方向において、ティース222は、ヨーク221の一方側(矢印a方向)に突出している。
【0018】
軸方向において、ヨーク211,221の寸法(厚さ)は、それぞれ、ティース212,222の寸法(厚さ)の略半分となっている。したがって、軸方向において、ティース212,222の略半分がヨーク211,221によって支持されている。
【0019】
図5に示すように、ティース212の径方向における他方側(矢印d方向)の端部の、軸方向における他方側(矢印b方向)の部分212Aは、ヨーク211によって支持されずに径方向における他方側(矢印b方向)に露出している。同様に、ティース222の径方向における他方側(矢印d方向)の端部の、軸方向における一方側(矢印a方向)の部分222Aは、ヨーク221によって支持されずに径方向における他方側(矢印b方向)に露出している。したがって、ティース212,222と、ヨーク211,221との間には、段部212B,222Bが形成されている。
【0020】
第1ステータ21と第2ステータ22とは、第1ステータ21のヨーク211と第2ステータ22のヨーク221とが軸方向に重なるように組み付けられることで、一体となってステータ2を形成する。また、第1ステータ21と第2ステータ22とは、ティース212とティース222とが周方向に隣り合う(互い違いとなる)ように組み付けられる。
【0021】
ステータ2において、第1ステータ21のヨーク211の外周面(径方向における一方側(矢印c方向)の周面)のうち、隣り合う2つのティース212の間の部分211Aに対し、第2ステータ22のティース222の部分222Aが対向している。同様に、ステータ2において、第2ステータ22のヨーク221の外周面(径方向における一方側(矢印c方向)の周面)のうち、隣り合う2つのティース222の間の部分221Aに対し、第1ステータ21のティース212の部分212Aが対向している。
【0022】
図6に示すように、第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられ、一体となってステータ2を形成している状態において、隣接するティース212とティース222との間には、各コイル群を形成する電線が配置された空間23が形成される。電線は、空間23において、図示しないインシュレータを介して、ティース212,222に巻き回されている。
【0023】
第1ステータ21の複数のティース212のうち、任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向(図1における反時計回り方向)Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。同様に、第2ステータ22の複数のティース222のうち任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、第1ステータ21の1番目のティースに対し、第2ステータ22の1番目のティースが第1方向Aに隣り合うものとする。
【0024】
以下、便宜上、第1ステータ21の複数のティース212のうち、1番目のティースをU11、4番目のティースをU12、7番目のティースをU13、10番目のティースをU14、13番目のティースをU15、16番目のティースをU16とする。第1ステータ21の2番目のティースをV11、5番目のティースをV12、8番目のティースをV13、11番目のティースをV14、14番目のティースをV15、17番目のティースをV16とする。第1ステータ21の3番目のティースをW11、6番目のティースをW12、9番目のティースをW13、12番目のティースをW14、15番目のティースをW15、18番目のティースをW16とする。すなわち、第1ステータ21の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU11、V11、W11、U12、V12、W12、U13、V13、W13、・・・、U16、V16、W16となる。第1ステータ21において、W16の第1方向Aに隣接するティースはU11である。
【0025】
同様に、第2ステータ22の複数のティース222のうち、1番目のティースをU21、4番目のティースをU22、7番目のティースをU23、10番目のティースをU24、13番目のティースをU25、16番目のティースをU26とする。第2ステータ22の2番目のティースをV21、5番目のティースをV22、8番目のティースをV23、11番目のティースをV24、14番目のティースをV25、17番目のティースをV26とする。第2ステータ22の3番目のティースをW21、6番目のティースをW22、9番目のティースをW23、12番目のティースをW24、15番目のティースをW25、18番目のティースをW26とする。すなわち、第2ステータ22の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU21、V21、W21、U22、V22、W22、U23、V23、W23、・・・、U26、V26、W26となる。第2ステータ22において、W26の第1方向Aに隣接するティースはU21である。
【0026】
第1相(U相)を形成する第1コイル群3は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、U11、U12、U13、U14、U15、U16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、U21、U22、U23、U24、U25、U26に巻き回されている。第2相(V相)を形成する第2コイル群4は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、V11、V12、V13、V14、V15、V16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、V21、V22、V23、V24、V25、V26に巻き回されている。第3相(W相)を形成する第3コイル群5は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、W11、W12、W13、W14、W15、W16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、W21、W22、W23、W24、W25、W26に巻き回されている。第1ステータ21と第2ステータ22への巻線は、第1ステータ21と第2ステータ22が組み付けられていない状態(分離している状態)で施される。以下、第1ステータ21と第2ステータ22への巻線の方法について、主に第1コイル群3を例に挙げて詳細に説明する。
【0027】
第1コイル群3は、第1ステータ21が備える部分31と、第2ステータ22が備える部分32と、を備える。第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、1本の電線が、U11、U12、U13、U14、U15、U16の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線310と、によって構成される。第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分32は、1本の電線が、U21、U22、U23、U24、U25、U26の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線320と、によって構成される。
【0028】
図7は、第1ステータ21および第2ステータ22を、径方向の他方側(内側、矢印d方向)から見たうえで、平面に展開して表した模式図である。図7には、第1ステータ21の複数のティース212のうち、U11、U12、U13、U14、U15、U16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、U21、U22、U23、U24、U25、U26が、抜粋して示されている。すなわち、図7には、第1ステータ21の複数のティース212および第2ステータ22の複数のティース222のうち、電線が巻き回されて第1コイル群3が形成されるティースが抜粋して示されている。図7において、矢印は、電線の巻き回し方向を示すものであり、電流の流れる方向とは無関係である。図7において、電線は一部省略して示されている。
【0029】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、以下のように形成される。まず、U11近傍において、巻き始め部31Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にU11に巻き回してコイルを形成する。なお、本明細書において、「時計回り(cw)」および「反時計回り(ccw)」とは、径方向の他方側(内側、矢印d方向)から見た巻き回し方向を意味する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側(第2ステータ22とは反対側)において渡り線310(図8参照)を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にU12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をU13、U14、U15、U16に対して順に巻き回して各コイルを形成し、U16近傍の巻き終わり部31Bに到達する。電線の巻き始め部31Aおよび巻き終わり部31Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0030】
第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分32は、以下のように形成される。まず、U21近傍において、巻き始め部32Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にU21に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側(第1ステータ21とは反対側)において渡り線320(図8参照)を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にU22に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をU23、U24、U25、U26に対して順に巻き回して各コイルを形成し、U26近傍の巻き終わり部32Bに到達する。電線の巻き始め部32Aおよび巻き終わり部32Bは、ステータ2のそれぞれ軸方向における一方側に引き出される。
【0031】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ22が備える部分32の巻き終わり部32Bと結線される。すなわち、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり側の端部31eが、第2ステータ22が備える部分32の巻き終わり側の端部32eと電気的に接続される。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、第2ステータ22が備える部分32に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分32に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0032】
図8に示すように、第2コイル群4および第3コイル群5は、上記した第1コイル群3の形成方法に準じて形成される。すなわち、本実施の形態においては、第1コイル群3、第2コイル群4および第3コイル群5が、電線を、複数のティース212,222に対し、周方向における第1方向Aに向かって順に巻き回していくことで形成される。
【0033】
第2コイル群4は、第1ステータ21が備える部分41と、第2ステータ22が備える部分42と、を備える。第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、1本の電線が、V11、V12、V13、V14、V15、V16の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線410と、によって構成される。第2コイル群4のうち、第2ステータ22が備える部分42は、1本の電線が、V21、V22、V23、V24、V25、V26の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線420と、によって構成される。
【0034】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、以下のように形成される。まず、V11近傍において、巻き始め部41Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にV11に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側(第2ステータ22とは反対側)において渡り線410を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をV13、V14、V15、V16に対して順に巻き回して各コイルを形成し、V16近傍の巻き終わり部41Bに到達する。電線の巻き始め部41Aおよび巻き終わり部41Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0035】
第2コイル群4のうち、第2ステータ22が備える部分42は、以下のように形成される。まず、V21近傍において、巻き始め部42Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にV21に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側(第1ステータ21とは反対側)において渡り線420を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV22に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をV23、V24、V25、V26に順に巻き回して各コイルを形成し、V26近傍の巻き終わり部42Bに到達する。電線の巻き始め部42Aおよび巻き終わり部42Bは、ステータ2のそれぞれ軸方向における一方側に引き出される。
【0036】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ22が備える部分42の巻き終わり部42Bと結線される。すなわち、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり側の端部41eが、第2ステータ22が備える部分42の巻き終わり側の端部42eと電気的に接続される。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、第2ステータ22が備える部分42に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分42に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0037】
第3コイル群5は、第1ステータ21が備える部分51と、第2ステータ22が備える部分52と、を備える。第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、1本の電線が、W11、W12、W13、W14、W15、W16の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線510と、によって構成される。第3コイル群5のうち、第2ステータ22が備える部分52は、1本の電線が、W21、W22、W23、W24、W25、W26の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線520と、によって構成される。
【0038】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、以下のように形成される。まず、W11近傍において、巻き始め部51Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にW11に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側(第2ステータ22とは反対側)において渡り線510を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にW12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をW13、W14、W15、W16に対して順に巻き回して各コイルを形成し、W16近傍の巻き終わり部51Bに到達する。電線の巻き始め部51Aおよび巻き終わり部51Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0039】
第3コイル群5のうち、第2ステータ22が備える部分52は、以下のように形成される。まず、W21近傍において、巻き始め部52Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にW21に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側(第1ステータ21とは反対側)において渡り線520を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にW22に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、時計回り(cw)、反時計回り(ccw)を交互に繰り返しながら、電線をW23、W24、W25、W26に対して順に巻き回して各コイルを形成し、W26近傍の巻き終わり部52Bに到達する。電線の巻き始め部52Aおよび巻き終わり部52Bは、ステータ2のそれぞれ軸方向における一方側に引き出される。
【0040】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ22が備える部分52の巻き終わり部52Bと結線される。すなわち、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり側の端部51eが、第2ステータ22が備える部分52の巻き終わり側の端部52eと電気的に接続される。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、第2ステータ22が備える部分52に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分52に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0041】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5を形成した後、第1ステータ21と第2ステータ22とを組み付けて一体のステータ2とすることで、巻線作業が完了する。
【0042】
上記のように第1コイル群3~第3コイル群5における各コイルを形成する際、各ティースに対し、径方向における他方側(内側、矢印d方向)から一方側(外側、矢印c方向)に向かうように、またはその反対に向かうように、螺旋状に電線を巻き付けることでコイルが形成される。コイルの巻き数は任意である。
【0043】
巻き数によっては、例えば径方向における他方側(内側、矢印d方向)から一方側(外側、矢印c方向)に向かうように一層目のコイルを形成し、続いて、径方向における一方側(外側、矢印c方向)から他方側(内側、矢印d方向)に向かうように二層目のコイルを形成してもよい。層数は任意である。コイルが複数層に形成される場合、ティースに近い側の層(内側層)が巻き始め側となり、ティースから離れた側の層(外側層)が巻き終わり側となることから、渡り線で接続された2つのコイルにおいて、渡り線が外側層に接続されたコイルが巻き始め側のコイルであり、渡り線が内側層に接続されたコイルが巻き終わり側のコイルであると判断することができる。
【0044】
また、あるコイルを径方向における他方側(内側、矢印d方向)から一方側(外側、矢印c方向)に向かうように巻き回して形成した場合、次に形成するコイルは、径方向における一方側(外側、矢印c方向)から他方側(内側、矢印d方向)に向かうように巻き回して形成してもよい。その場合、周方向に順に形成される複数の渡り線が、径方向における他方側(内側、矢印d方向)および一方側(外側、矢印c方向)の交互に配置されてもよいし、常に巻き始め側が径方向における他方側(内側、矢印d方向)または一方側(外側、矢印c方向)のいずれかとなるように配置されてもよい。
【0045】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5が形成されることにより、第1ステータ21において、第1コイル群3を構成するコイルと、第2コイル群4を構成するコイルと、第3コイル群5を構成するコイルと、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。同様に、第2ステータ22において、第1コイル群3を構成するコイルと、第2コイル群4を構成するコイルと、第3コイル群5を構成するコイルと、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。
【0046】
第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられたステータ2において、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31を構成するコイルと、第2ステータ22が備える部分32を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。同様に、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41を構成するコイルと、第2ステータ22が備える部分42を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。また、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51を構成するコイルと、第2ステータ22が備える部分52を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。
【0047】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分32の巻き始め側の端部32sが、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き始め側の端部41sに接続され、デルタ結線の接点13となる(図2参照)。第2コイル群4のうち、第2ステータ22が備える部分42の巻き始め側の端部42sが、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き始め側の端部51sに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5のうち、第2ステータ22が備える部分52の巻き始め側の端部52sが、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き始め側の端部31sに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0048】
本実施の形態にかかるモータ1は、第1ステータ21および第2ステータ22のそれぞれに巻線を施してから組み付けることができる。第1ステータ21および第2ステータ22のそれぞれは、組み付け後のステータ2と比較して半数のティースを有する。ステータ2全体としてティース数が多い場合であっても、組み付け前の第1ステータ21および第2ステータ22において、隣接するティース間には例えばティース1本分の空間が生じることから、第1ステータ21および第2ステータ22のそれぞれへの巻線作業は容易である。第1ステータ21および第2ステータ22のそれぞれへ巻線を施した後、これらを組み付けて一体のステータ2とすれば、ステータ2全体としての巻線作業も完了する。したがって、本実施の形態にかかるモータ1は、巻線を施しやすい。
【0049】
また、同様の理由から、本実施の形態にかかるモータ1は、ステータ2において隣接するティースの先端間の距離(スロットオープニング)を大きくする必要がない。したがって、スロットオープニングを理想値により近づけることが可能となり、モータ特性を改善しやすい。
【0050】
本実施の形態にかかるモータ1は、第1コイル群3、第2コイル群4、第3コイル群5のそれぞれにおいて、第1ステータ21が備える部分は、第2ステータ22が備える部分に対して直列に電気接続されている。したがって、第1コイル群3、第2コイル群4、第3コイル群5のそれぞれにおいて、第1ステータ21が備える部分によって発生する電圧と、第2ステータ22が備える部分によって発生する電圧との間に位相差が生じ難くなり、意図しない還流電流の発生や、それによるモータ特性の悪化、異常なトルクの発生などを抑制できる。
【0051】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の一例である第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態にかかるモータ1000の各コイル群の模式図である。本実施の形態にかかるモータ1000は、各コイル群の第1ステータ21と第2ステータ22への巻線の方法が異なる点を除き、第1の実施の形態にかかるモータ1と同様の構成を有する。以下、第1の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0052】
以下、便宜上、第1ステータ21の複数のティース212のうち、1番目のティースをU11、2番目のティースをU12、6番目のティースをU13、10番目のティースをU14、11番目のティースをU15、15番目のティースをU16とする。第1ステータ21の3番目のティースをV11、7番目のティースをV12、8番目のティースをV13、12番目のティースをV14、16番目のティースをV15、17番目のティースをV16とする。第1ステータ21の4番目のティースをW11、5番目のティースをW12、9番目のティースをW13、13番目のティースをW14、14番目のティースをW15、18番目のティースをW16とする。すなわち、第1ステータ21の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU11、U12、V11、W11、W12、U13、V12、V13、W13、U14、U15、V14、W14、W15、U16、V15、V16、W16となる。第1ステータ21において、W16の第1方向Aに隣接するティースはU11である。
【0053】
同様に、第2ステータ22の複数のティース222のうち、1番目のティースをU21、5番目のティースをU22、6番目のティースをU23、10番目のティースをU24、14番目のティースをU25、15番目のティースをU26とする。第2ステータ22の2番目のティースをV21、3番目のティースをV22、7番目のティースをV23、11番目のティースをV24、12番目のティースをV25、16番目のティースをV26とする。第2ステータ22の4番目のティースをW21、8番目のティースをW22、9番目のティースをW23、13番目のティースをW24、17番目のティースをW25、18番目のティースをW26とする。すなわち、第2ステータ22の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU21、V21、V22、W21、U22、U23、V23、W22、W23、U24、V24、V25、W24、U25、U26、V26、W25、W26となる。第2ステータ22において、W26の第1方向Aに隣接するティースはU21である。
【0054】
第1相(U相)を形成する第1コイル群3は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、U11、U12、U13、U14、U15、U16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、U21、U22、U23、U24、U25、U26に巻き回されている。第2相(V相)を形成する第2コイル群4は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、V11、V12、V13、V14、V15、V16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、V21、V22、V23、V24、V25、V26に巻き回されている。第3相(W相)を形成する第3コイル群5は、第1ステータ21の複数のティース212のうち、W11、W12、W13、W14、W15、W16と、第2ステータ22の複数のティース222のうち、W21、W22、W23、W24、W25、W26に巻き回されている。
【0055】
したがって、図9に示すように、第1ステータ21の複数のティース212において、同一のコイル群に属する電線に巻き回されたティースが、複数のティース212の総数の1/3となる数存在し、そのうち、同一のコイル群に属する電線に巻き回された、周方向に連続する(隣り合う)2つのティース(例えば、U11とU12等。以下、「連続ティース」とも称する)と、同一のコイル群に属する電線に巻き回されたティースと隣り合わないティース(例えば、U13等。以下、「単独ティース」とも称する)とが、他のコイル群に属する電線に巻き回された、周方向に連続する3つのティース(例えば、V11、W11、W12等)を挟んで交互に並んでいる。また、第2ステータ22の複数のティース222において、同一のコイル群に属する電線に巻き回されたティースが、複数のティース222の総数の1/3となる数存在し、そのうち、連続ティースと、単独ティースとが、他のコイル群に属する電線に巻き回された、周方向に連続する3つのティースを挟んで交互に並んでいる。
【0056】
換言すれば、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分は、1つのティースに巻き回されているが、当該ティースに周方向に隣り合ういずれのティースにも巻き回されていない部分(以下、非連続部分とも称する)と、周方向に隣り合う2つのティースに連続して巻き回されている部分(以下、連続部分とも称する)と、を周方向に交互に有し、非連続部分と、連続部分との間には、他のコイル群に属する電線に巻き回された、隣り合う3つのティースが挟まれている。第2コイル群4および第3コイル群5も同様である。また、第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分も、非連続部分と、連続部分と、を周方向に交互に有し、非連続部分と、連続部分との間には、他のコイル群に巻き回された、隣り合う3つのティースが挟まれている。第2コイル群4および第3コイル群5も同様である。
【0057】
第1ステータ21において、連続ティースを構成する2つのティースにおける電線の巻き回し方向は同一であり、かつ、当該巻き回し方向は、単独ティースにおける電線の巻き回し方向とは反対である。また、第2ステータ22において、連続ティースを構成する2つのティースにおける電線の巻き回し方向は同一であり、かつ、当該巻き回し方向は、単独ティースにおける電線の巻き回し方向とは反対である。さらに、第1ステータ21の連続ティースにおける電線の巻き回し方向は、第2ステータ22の連続ティースにおける電線の巻き回し方向とは反対であり、第2ステータ22の単独ティースにおける電線の巻き回し方向と同一である。ただし、必要に応じて、第1ステータ21の連続ティースにおける電線の巻き回し方向を、第2ステータ22の連続ティースにおける電線の巻き回し方向と同一とし、第2ステータ22の単独ティースにおける電線の巻き回し方向とは反対としてもよい。
【0058】
さらに、第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられたステータ2において、周方向において、第1ステータ21の連続ティースの間には、同一のコイル群に属する電線に巻き回された、第2ステータの単独ティースが挟まれている。同様に、周方向において、第2ステータ22の連続ティースの間には、同一のコイル群に属する電線に巻き回された、第1ステータの単独ティースが挟まれている。したがって、ステータ2において、同一のコイル群に属する電線に巻き回されたティースは、周方向に連続する(隣り合う)3つのティースからなるティース群を複数形成しており、あるティース群と、当該ティース群と周方向において隣り合う他のティース群との間には、周方向に連続する、他のコイル群に属する電線に巻き回された6つのティースが挟まれている。
【0059】
第1ステータ21と第2ステータ22への巻線は、第1ステータ21と第2ステータ22が組み付けられていない状態(分離している状態)で施される。以下、第1ステータ21と第2ステータ22への巻線の方法について詳細に説明する。図9は、第1ステータ21および第2ステータ22を、径方向の他方側(内側、矢印d方向)から見たうえで、平面に展開して表した模式図である。図9において、矢印は、電線の巻き回し方向を示すものであり、電流の流れる方向とは無関係である。図9において、電線は一部省略して示されている。
【0060】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、以下のように形成される。まず、U11近傍において、巻き始め部31Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にU11に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するU12に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側(第2ステータ22とは反対側)において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にU13に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にU14に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するU15に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成する。そして、第1ステータ21の、軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にU16に巻き回してコイルを形成し、U16近傍の巻き終わり部31Bに到達する。電線の巻き始め部31Aおよび巻き終わり部31Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0061】
第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分32は、以下のように形成される。まず、U26近傍において、巻き始め部32Bから巻線を開始し、電線を反時計回り(ccw)にU26に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するU25に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側(第1ステータ21とは反対側)において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にU24に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にU23に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するU22に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成する。そして、第2ステータ22の、軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にU21に巻き回してコイルを形成し、U21近傍の巻き終わり部32Aに到達する。電線の巻き始め部32Bおよび巻き終わり部32Aは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0062】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ22が備える部分32の巻き始め部32Bと結線される。すなわち、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり側の端部31eが、第2ステータ22が備える部分32の巻き始め側の端部32sと電気的に接続される。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、第2ステータ22が備える部分32に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分32に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0063】
図9に示すように、第2コイル群4および第3コイル群5は、上記した第1コイル群3の形成方法に準じて形成される。本実施の形態においては、第1コイル群3、第2コイル群4および第3コイル群5が、電線を、複数のティース212に対し、周方向における第1方向Aに向かって順に巻き回し、かつ、複数のティース222に対し、周方向における第2方向Bに向かって順に巻き回していくことで形成される。すなわち、本実施の形態において、第1ステータ21において電線を巻き回して複数のコイルを形成していく方向は、第2ステータ22において電線を巻き回してコイルを形成していく方向とは反対である。
【0064】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、以下のように形成される。まず、V11近傍において、巻き始め部41Aから巻線を開始し、電線を反時計回り(ccw)にV11に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にV12に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するV13に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV14に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にV15に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するV16に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成し、V16近傍の巻き終わり部41Bに到達する。電線の巻き始め部41Aおよび巻き終わり部41Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0065】
第2コイル群4のうち、第2ステータ22が備える部分42は、以下のように形成される。まず、V26近傍において、巻き始め部42Bから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にV26に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV25に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するV24に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にV23に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV22に巻き回してコイルを形成する。そして、隣接するV21に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成し、V21近傍の巻き終わり部42Aに到達する。電線の巻き始め部42Bおよび巻き終わり部42Aは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0066】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ22が備える部分42の巻き始め部42Bと結線される。すなわち、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり側の端部41eが、第2ステータ22が備える部分42の巻き始め側の端部42sと電気的に接続される。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、第2ステータ22が備える部分42に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分42に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0067】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、以下のように形成される。まず、W11近傍において、巻き始め部51Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にW11に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するW12に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第1ステータ21の、軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にW13に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にW14に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するW15に電線を時計回り(cw)に巻き回してコイルを形成する。そして、第1ステータ21の、軸方向における一方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にW16に巻き回してコイルを形成し、W16近傍の巻き終わり部51Bに到達する。電線の巻き始め部51Aおよび巻き終わり部51Bは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0068】
第3コイル群5のうち、第2ステータ22が備える部分52は、以下のように形成される。まず、W26近傍において、巻き始め部52Bから巻線を開始し、電線を反時計回り(ccw)にW26に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するW25に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成する。次に、第2ステータ22の、軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にW24に巻き回してコイルを形成する。次に、再び軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にW23に巻き回してコイルを形成する。次に、隣接するW22に電線を反時計回り(ccw)に巻き回してコイルを形成する。そして、第2ステータ22の、軸方向における他方側において渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にW21に巻き回してコイルを形成し、W21近傍の巻き終わり部52Aに到達する。電線の巻き始め部52Bおよび巻き終わり部52Aは、ステータ2の軸方向における一方側に引き出される。
【0069】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ22が備える部分52の巻き始め部52Bと結線される。すなわち、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり側の端部51eが、第2ステータ22が備える部分52の巻き始め側の端部52sと電気的に接続される。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、第2ステータ22が備える部分52に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分52に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0070】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5を形成した後、第1ステータ21と第2ステータ22とを組み付けて一体のステータ2とすることで、巻線作業が完了する。
【0071】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5が形成されることにより、第1ステータ21において、第1コイル群3を構成するコイル2つ、第2コイル群4を構成するコイル1つ、第3コイル群5を構成するコイル2つ、第1コイル群3を構成するコイル1つ、第2コイル群4を構成するコイル2つ、第3コイル群5を構成するコイル1つ、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。また、第2ステータ22において、第1コイル群3を構成するコイル1つ、第2コイル群4を構成するコイル2つ、第3コイル群5を構成するコイル1つ、第1コイル群3を構成するコイル2つ、第2コイル群4を構成するコイル1つ、第3コイル群5を構成するコイル2つ、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。
【0072】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3のうち、第2ステータ22が備える部分32の巻き終わり側の端部32eが、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き始め側の端部41sに接続され、デルタ結線の接点13となる(図2参照)。第2コイル群4のうち、第2ステータ22が備える部分42の巻き終わり側の端部42eが、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き始め側の端部51sに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5のうち、第2ステータ22が備える部分52の巻終わり側の端部52eが、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き始め側の端部31sに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0073】
本実施の形態にかかるモータ1000は、第1の実施の形態に係るモータ1と同様の理由により、巻線を施しやすく、モータ特性を改善しやすく、かつ、意図しない還流電流の発生や、それによるモータ特性の悪化、異常なトルクの発生などを抑制できる。
【0074】
また、本実施の形態にかかるモータ1000において、ロータ6における永久磁石の磁極数は特に制限されないが、本実施の形態にかかるモータ1000における巻線の方法は、例えば、磁極数が40極であるロータ6と好適に組み合わせることができる。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0075】
[第3の実施の形態]
続いて、本発明の一例である第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図10は、本実施の形態にかかるモータ2000のステータ2002の分解斜視図であり、図11は、モータ2000の第1コイル群3、第2コイル群4、第3コイル群5の模式図である。本実施の形態にかかるモータ2000は、ステータ2の代わりにステータ2002を備える点、および各コイル群の巻線の方法が異なる点を除き、第1の実施の形態にかかるモータ1と同様の構成を有する。以下、第1の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図10に示すように、ステータ2002は、互いに別体に形成された第1ステータ2021および第2ステータ2022を備える。第1ステータ2021および第2ステータ2022は、それぞれ、薄板状の磁性体が積層されることで形成されていてもよいし、塊状の一部材によって形成されていてもよい。
【0077】
第1ステータ2021および第2ステータ2022は、ティース(磁極部)の本数が異なる点を除き、それぞれ、第1の実施の形態に係るモータ1の第1ステータ21および第2ステータ22と同様の構成を有する。第1ステータ2021は、T字状の断面形状を有する複数(本実施の形態では12本)のティース(磁極部)2212を有し、第2ステータ2022は、T字状の断面形状を有する複数(本実施の形態では12本)のティース(磁極部)2222を有する。
【0078】
第1ステータ2021と第2ステータ2022とは、第1ステータ2021のヨーク211と第2ステータ2022のヨーク221とが軸方向に重なるように組み付けられることで、一体となってステータ2002を形成する。また、第1ステータ2021と第2ステータ2022とは、ティース2212とティース2222とが周方向に隣り合う(互い違いとなる)ように組み付けられる。
【0079】
第1ステータ2021の複数のティース2212のうち、任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。同様に、第2ステータ2022の複数のティース2222のうち任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。第1ステータ2021と第2ステータ2022とが組み付けられた状態において、第1ステータ2021の1番目のティースに対し、第2ステータ2022の1番目のティースが第1方向Aに隣り合うものとする。
【0080】
以下、便宜上、第1ステータ2021の複数のティース2212のうち、1番目のティースをU11、4番目のティースをU12、7番目のティースをU13、10番目のティースをU14とする。第1ステータ2021の2番目のティースをV11、5番目のティースをV12、8番目のティースをV13、11番目のティースをV14とする。第1ステータ2021の3番目のティースをW11、6番目のティースをW12、9番目のティースをW13、12番目のティースをW14とする。すなわち、第1ステータ2021の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU11、V11、W11、U12、V12、W12、U13、V13、W13、U14、V14、W14となる。第1ステータ2021において、W14の第1方向Aに隣接するティースはU11である。
【0081】
同様に、第2ステータ2022の複数のティース2222のうち、1番目のティースをU21、4番目のティースをU22、7番目のティースをU23、10番目のティースをU24とする。第2ステータ2022の2番目のティースをV21、5番目のティースをV22、8番目のティースをV23、11番目のティースをV24とする。第2ステータ2022の3番目のティースをW21、6番目のティースをW22、9番目のティースをW23、12番目のティースをW24とする。すなわち、第2ステータ2022の1番目のティースから、第1方向Aに向かうにしたがってU21、V21、W21、U22、V22、W22、U23、V23、W23、U24、V24、W24となる。第2ステータ2022において、W24の第1方向Aに隣接するティースはU21である。
【0082】
第1相(U相)を形成する第1コイル群3は、第1ステータ2021の複数のティース2212のうち、U11、U12、U13、U14と、第2ステータ2022の複数のティース2222のうち、U21、U22、U23、U24に巻き回されている。第2相(V相)を形成する第2コイル群4は、第1ステータ2021の複数のティース2212のうち、V11、V12、V13、V14と、第2ステータ2022の複数のティース2222のうち、V21、V22、V23、V24に巻き回されている。第3相(W相)を形成する第3コイル群5は、第1ステータ2021の複数のティース2212のうち、W11、W12、W13、W14と、第2ステータ2022の複数のティース2222のうち、W21、W22、W23、W24に巻き回されている。第1ステータ2021と第2ステータ2022への巻線は、第1ステータ2021と第2ステータ2022が組み付けられていない状態(分離している状態)で施される。以下、第1ステータ2021と第2ステータ2022への巻線の方法について詳細に説明する。
【0083】
第1コイル群3は、第1ステータ2021が備える部分31と、第2ステータ2022が備える部分32と、を備える。第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31は、1本の電線が、U11、U12、U13、U14の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。第1コイル群3のうち、第2ステータ2022が備える部分32は、1本の電線が、U24、U23、U22、U21の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0084】
図11は、第1ステータ2021および第2ステータ2022を、径方向の他方側(内側、矢印d方向)から見たうえで、平面に展開して表した模式図である。図11において、作図の便宜上、周方向における各ティース間の距離は様々であるように描かれているが、実際は、周方向における各ティース間の距離は一定である。図11において、矢印は、電線の巻き回し方向を示すものであり、電流の流れる方向とは無関係である。図11において、電線は一部省略して示されている。
【0085】
第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31は、以下のように形成される。まず、U11近傍において、巻き始め部31Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にU11に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にU12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をU13およびU14に対して順に時計回りに巻き回して各コイルを形成し、U14近傍の巻き終わり部31Bに到達する。
【0086】
第1コイル群3のうち、第2ステータ2022が備える部分32は、以下のように形成される。まず、U24近傍において、巻き始め部32Bから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にU24に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にU23に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をU22およびU21に対して順に時計回りに巻き回して各コイルを形成し、U21近傍の巻き終わり部32Aに到達する。
【0087】
第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ2022が備える部分32の巻き始め部32Bと結線される。すなわち、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31の巻き終わり側の端部31eが、第2ステータ2022が備える部分32の巻き始め側の端部32sと電気的に接続される。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31は、第2ステータ2022が備える部分32に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分32に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0088】
図11に示すように、第2コイル群4および第3コイル群5は、上記した第1コイル群3の形成方法に準じて形成される。本実施の形態においては、第1コイル群3、第2コイル群4および第3コイル群5が、電線を、複数のティース2212に対し、周方向における第1方向Aに向かって順に巻き回し、かつ、複数のティース2222に対し、周方向における第2方向Bに向かって順に巻き回していくことで形成される。すなわち、本実施の形態において、第1ステータ2021において電線を巻き回して複数のコイルを形成していく方向は、第2ステータ2022において電線を巻き回してコイルを形成していく方向とは反対である。
【0089】
第2コイル群4は、第1ステータ2021が備える部分41と、第2ステータ2022が備える部分42と、を備える。第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41は、1本の電線が、V11、V12、V13、V14の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。第2コイル群4のうち、第2ステータ2022が備える部分42は、1本の電線が、V24、V23、V22、V21の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0090】
第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41は、以下のように形成される。まず、V11近傍において、巻き始め部41Aから巻線を開始し、電線を反時計回り(ccw)にV11に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をV13およびV14に対して順に反時計回りに巻き回して各コイルを形成し、V14近傍の巻き終わり部41Bに到達する。
【0091】
第2コイル群4のうち、第2ステータ2022が備える部分42は、以下のように形成される。まず、V24近傍において、巻き始め部42Bから巻線を開始し、電線を反時計回り(ccw)にV24に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を反時計回り(ccw)にV23に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をV22およびV21に対して順に反時計回りに巻き回して各コイルを形成し、V21近傍の巻き終わり部42Aに到達する。
【0092】
第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ2022が備える部分42の巻き始め部42Bと結線される。すなわち、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41の巻き終わり側の端部41eが、第2ステータ2022が備える部分42の巻き始め側の端部42sと電気的に接続される。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41は、第2ステータ2022が備える部分42に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分42に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0093】
第3コイル群5は、第1ステータ2021が備える部分51と、第2ステータ2022が備える部分52と、を備える。第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51は、1本の電線が、W11、W12、W13、W14の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。第3コイル群5のうち、第2ステータ2022が備える部分52は、1本の電線が、W24、W23、W22、W21の順に巻き回されることにより形成されており、直列に電気接続された複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0094】
第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51は、以下のように形成される。まず、W11近傍において、巻き始め部51Aから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にW11に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にW12に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をW13およびW14に対して順に時計回りに巻き回して各コイルを形成し、W14近傍の巻き終わり部51Bに到達する。
【0095】
第3コイル群5のうち、第2ステータ2022が備える部分52は、以下のように形成される。まず、W24近傍において、巻き始め部52Bから巻線を開始し、電線を時計回り(cw)にW24に巻き回してコイルを形成する。次に、渡り線を形成しつつ、電線を時計回り(cw)にW23に巻き回してコイルを形成する。その後、同様に、電線をW22およびW21に対して順に時計回りに巻き回して各コイルを形成し、W21近傍の巻き終わり部52Aに到達する。
【0096】
第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ2022が備える部分52の巻き始め部52Bと結線される。すなわち、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51の巻き終わり側の端部51eが、第2ステータ2022が備える部分52の巻き始め側の端部52sと電気的に接続される。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51は、第2ステータ2022が備える部分52に対して直列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分52に電流が流れる方向に対して反対向きとなる。
【0097】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5を形成した後、第1ステータ2021と第2ステータ2022とを組み付けて一体のステータ2002とすることで、巻線作業が完了する。
【0098】
以上のように第1コイル群3~第3コイル群5が形成されることにより、第1ステータ2021において、第1コイル群3を構成するコイルと、第2コイル群4を構成するコイルと、第3コイル群5を構成するコイルと、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。同様に、第2ステータ2022において、第1コイル群3を構成するコイルと、第2コイル群4を構成するコイルと、第3コイル群5を構成するコイルと、が周方向における第1方向Aにこの順で並ぶ。
【0099】
第1ステータ2021と第2ステータ2022とが組み付けられたステータ2002において、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31を構成するコイルと、第2ステータ2022が備える部分32を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。同様に、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41を構成するコイルと、第2ステータ2022が備える部分42を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。また、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51を構成するコイルと、第2ステータ2022が備える部分52を構成するコイルと、が周方向に隣り合う。
【0100】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3のうち、第2ステータ2022が備える部分32の巻き終わり側の端部32eが、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41の巻き始め側の端部41sに接続され、デルタ結線の接点13となる(図2参照)。第2コイル群4のうち、第2ステータ2022が備える部分42の巻き終わり側の端部42eが、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51の巻き始め側の端部51sに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5のうち、第2ステータ2022が備える部分52の巻き終わり側の端部52eが、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31の巻き始め側の端部31sに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0101】
本実施の形態にかかるモータ2000は、第1の実施の形態に係るモータ1と同様の理由により、巻線を施しやすく、モータ特性を改善しやすく、かつ、意図しない還流電流の発生や、それによるモータ特性の悪化、異常なトルクの発生などを抑制できる。
【0102】
また、本実施の形態にかかるモータ2000において、ロータ6における永久磁石の磁極数は特に制限されないが、本実施の形態にかかるモータ2000における巻線の方法は、例えば、磁極数が28極であるロータ6と好適に組み合わせることができる。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0103】
[その他の実施の形態]
上述した第1~第3の実施の形態においては、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分は、第2ステータが備える部分に対して直列に電気接続されている。一方、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分を、第2ステータが備える部分に対して並列に電気接続した場合においても、巻線を施しやすいモータを提供可能である。以下、そのようなモータの例について、第1~第3の実施の形態のそれぞれの変形例として説明する。
【0104】
(変形例1)
以下、第1の実施の形態において、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分を、第2ステータが備える部分に対して並列に電気接続した場合(変形例1)について説明する。変形例1に係るモータは、電線の結線方法が異なる点を除き、第1の実施の形態に係るモータ1と同様の構成を有するため、こちらも同じ符号を用いてモータ1と称する。以下、第1の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図面については、主に図8および図12を参照されたい。
【0105】
変形例1において、第1コイル群3、第2コイル群4、および第3コイル群5の巻線方法は、第1の実施の形態に係るモータ1と同様である。図12に示すように、変形例1では、第1相(U相)を形成する第1コイル群3と、第2層(V相)を形成する第2コイル群4と、第3相(W相)を構成する第3コイル群5と、がデルタ結線を構成している。
【0106】
具体的には、第1コイル群3と第2コイル群4とが接点13で接続され、第2コイル群4と第3コイル群5とが接点14で接続され、第3コイル群5と第1コイル群3とが接点15で接続されている。デルタ結線の接点13,14,15には、図示しない制御装置が電気的に接続されている。接点13,14,15のうち2つに対して直流電源が電気的に接続され、接続が順次切り替えられることによって各コイル群が周期的に励磁され、永久磁石を備えるロータ6が回転する。
【0107】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き始め部31Aは、第2ステータ22が備える部分32の巻き始め部32Aと結線され、図12に示す第1コイル群3の一方の端部33Aとなる。第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ22が備える部分32の巻き終わり部32Bと結線され、図12に示す第1コイル群3の他方の端部33Bとなる。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、第2ステータ22が備える部分32に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分32に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0108】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き始め部41Aは、第2ステータ22が備える部分42の巻き始め部42Aと結線され、図12に示す第2コイル群4の一方の端部43Aとなる。第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ22が備える部分42の巻き終わり部42Bと結線され、図12に示す第2コイル群4の他方の端部43Bとなる。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、第2ステータ22が備える部分42に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分42に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0109】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き始め部51Aは、第2ステータ22が備える部分52の巻き始め部52Aと結線され、図12に示す第3コイル群5の一方の端部53Aとなる。第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ22が備える部分52の巻き終わり部52Bと結線され、図12に示す第3コイル群5の他方の端部53Bとなる。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、第2ステータ22が備える部分52に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分52に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0110】
なお、各コイル群3,4,5において、第2ステータ22が備える部分に電流が流れる方向は、第1の実施の形態とは反対向きとなることから、必要に応じて、第2ステータ22における全てのコイルの巻き回し方向(時計回り(cw)または反時計回り(ccw))を、第1の実施の形態の逆としてもよい。
【0111】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3の他方の端部33Bが、第2コイル群4の一方の端部43Aに接続され、デルタ結線の接点13となる。第2コイル群4の他方の端部43Bが、第3コイル群5の一方の端部53Aに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5の他方の端部53Bが、第1コイル群3の一方の端部33Aに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0112】
変形例1にかかるモータ1は、第1の実施の形態に係るモータ1と同様の理由により、巻線を施しやすく、モータ特性を改善しやすい。また、変形例1にかかるモータ1において、ロータ6における永久磁石の磁極数は特に制限されないが、変形例1にかかるモータ1における巻線の方法は、例えば、磁極数が42極であるロータ6と好適に組み合わせることができる。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0113】
(変形例2)
以下、第2の実施の形態において、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分を、第2ステータが備える部分に対して並列に電気接続した場合(変形例2)について説明する。変形例2に係るモータは、電線の結線方法が異なる点を除き、第2の実施の形態に係るモータ1000と同様の構成を有するため、こちらも同じ符号を用いてモータ1000と称する。以下、第2の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第2の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図面については、主に図9および図12を参照されたい。
【0114】
変形例2において、第1コイル群3、第2コイル群4、および第3コイル群5の巻線方法は、第2の実施の形態に係るモータ1000と同様である。変形例2においても、変形例1と同様、図12に示すように、第1相(U相)を形成する第1コイル群3と、第2層(V相)を形成する第2コイル群4と、第3相(W相)を構成する第3コイル群5と、がデルタ結線を構成している。
【0115】
第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き始め部31Aは、第2ステータ22が備える部分32の巻き終わり部32Aと結線され、図12に示す第1コイル群3の一方の端部33Aとなる。第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ22が備える部分32の巻き始め部32Bと結線され、図12に示す第1コイル群3の他方の端部33Bとなる。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31は、第2ステータ22が備える部分32に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ21が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分32に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0116】
第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き始め部41Aは、第2ステータ22が備える部分42の巻き終わり部42Aと結線され、図12に示す第2コイル群4の一方の端部43Aとなる。第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ22が備える部分42の巻き始め部42Bと結線され、図12に示す第2コイル群4の他方の端部43Bとなる。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41は、第2ステータ22が備える部分42に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ21が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分42に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0117】
第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き始め部51Aは、第2ステータ22が備える部分52の巻き終わり部52Aと結線され、図12に示す第3コイル群5の一方の端部53Aとなる。第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ22が備える部分52の巻き始め部52Bと結線され、図12に示す第3コイル群5の他方の端部53Bとなる。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51は、第2ステータ22が備える部分52に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ21が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ22が備える部分52に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0118】
なお、各コイル群3,4,5において、第2ステータ22が備える部分に電流が流れる方向は、第2の実施の形態とは反対向きとなることから、必要に応じて、第2ステータ22における全てのコイルの巻き回し方向(時計回り(cw)または反時計回り(ccw))を、第2の実施の形態の逆としてもよい。
【0119】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3の他方の端部33Bが、第2コイル群4の一方の端部43Aに接続され、デルタ結線の接点13となる。第2コイル群4の他方の端部43Bが、第3コイル群5の一方の端部53Aに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5の他方の端部53Bが、第1コイル群3の一方の端部33Aに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0120】
変形例2にかかるモータ1000は、第2の実施の形態に係るモータ1000と同様の理由により、巻線を施しやすく、モータ特性を改善しやすい。また、変形例2にかかるモータ1000において、ロータ6における永久磁石の磁極数は特に制限されないが、変形例2にかかるモータ1000における巻線の方法は、例えば、磁極数が40極であるロータ6と好適に組み合わせることができる。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0121】
(変形例3)
以下、第3の実施の形態において、各コイル群のうち、第1ステータが備える部分を、第2ステータが備える部分に対して並列に電気接続した場合(変形例3)について説明する。変形例3に係るモータは、電線の結線方法が異なる点を除き、第3の実施の形態に係るモータ2000と同様の構成を有するため、こちらも同じ符号を用いてモータ2000と称する。以下、第3の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第3の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図面については、主に図11および図12を参照されたい。
【0122】
変形例3において、第1コイル群3、第2コイル群4、および第3コイル群5の巻線方法は、第3の実施の形態に係るモータ2000と同様である。変形例3においても、変形例1と同様、図12に示すように、第1相(U相)を形成する第1コイル群3と、第2層(V相)を形成する第2コイル群4と、第3相(W相)を構成する第3コイル群5と、がデルタ結線を構成している。
【0123】
第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31の巻き始め部31Aは、第2ステータ2022が備える部分32の巻き終わり部32Aと結線され、図12に示す第1コイル群3の一方の端部33Aとなる。第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31の巻き終わり部31Bは、第2ステータ2022が備える部分32の巻き始め部32Bと結線され、図12に示す第1コイル群3の他方の端部33Bとなる。これにより、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31は、第2ステータ2022が備える部分32に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第1コイル群3のうち、第1ステータ2021が備える部分31に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分32に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0124】
第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41の巻き始め部41Aは、第2ステータ2022が備える部分42の巻き終わり部42Aと結線され、図12に示す第2コイル群4の一方の端部43Aとなる。第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41の巻き終わり部41Bは、第2ステータ2022が備える部分42の巻き始め部42Bと結線され、図12に示す第2コイル群4の他方の端部43Bとなる。これにより、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41は、第2ステータ2022が備える部分42に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第2コイル群4のうち、第1ステータ2021が備える部分41に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分42に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0125】
第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51の巻き始め部51Aは、第2ステータ2022が備える部分52の巻き終わり部52Aと結線され、図12に示す第3コイル群5の一方の端部53Aとなる。第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51の巻き終わり部51Bは、第2ステータ2022が備える部分52の巻き始め部52Bと結線され、図12に示す第3コイル群5の他方の端部53Bとなる。これにより、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51は、第2ステータ2022が備える部分52に対して並列に電気接続される。したがって、周方向において、第3コイル群5のうち、第1ステータ2021が備える部分51に電流が流れる方向は、第2ステータ2022が備える部分52に電流が流れる方向と同じ向きとなる。
【0126】
なお、各コイル群3,4,5において、第2ステータ2022が備える部分に電流が流れる方向は、第3の実施の形態とは反対向きとなることから、必要に応じて、第2ステータ2022における全てのコイルの巻き回し方向(時計回り(cw)または反時計回り(ccw))を、第3の実施の形態の逆としてもよい。
【0127】
第1コイル群3~第3コイル群5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3の他方の端部33Bが、第2コイル群4の一方の端部43Aに接続され、デルタ結線の接点13となる。第2コイル群4の他方の端部43Bが、第3コイル群5の一方の端部53Aに接続され、デルタ結線の接点14となる。第3コイル群5の他方の端部53Bが、第1コイル群3の一方の端部33Aに接続され、デルタ結線の接点15となる。
【0128】
変形例3にかかるモータ2000は、第3の実施の形態に係るモータ2000と同様の理由により、巻線を施しやすく、モータ特性を改善しやすい。また、変形例3にかかるモータ2000において、ロータ6における永久磁石の磁極数は特に制限されないが、変形例3にかかるモータ2000における巻線の方法は、例えば、磁極数が28極であるロータ6と好適に組み合わせることができる。ただし、ロータ6は、他の磁極数を有していてもよい。
【0129】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明の回転機器は上記実施の形態および変形例の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態および変形例において、モータ1,1000,2000は、アウターロータ型の3相ブラシレスDCモータであるが、本発明のモータは、その他のモータであってもよい。例えば、本発明のモータは、インナーロータ型のモータであってもよい。
【0130】
上記実施の形態および変形例において、モータ1,1000,2000の第1コイル群3、第2コイル群4、第3コイル群5は、デルタ結線を構成しているが、本発明のモータは、各コイル群がスター結線(Y結線)を構成していてもよい。
【0131】
上記実施の形態および変形例において、モータ1,1000,2000は、第1ステータ21,2021および第2ステータ22,2022を備えるが、本発明のモータは、必要に応じて、3つ以上のステータを備えていてもよい。
【0132】
上記第1の実施の形態および変形例1においては、第1コイル群3、第2コイル群4および第3コイル群5が、電線を、複数のティース212,222に対し、周方向における第1方向Aに向かって順に巻き回していくことで形成される。しかしながら、本発明のモータにおいて、電線を巻き回して各コイル群を形成していく方向は任意であり、例えば全ての各コイル群が上記実施の形態の逆の方向に向かって形成されてもよいし、コイル群のうちの一部が第1方向Aに向かって形成され、他の一部が第2方向Bに向かって形成されてもよい。
【0133】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変し、また各種構成の形状、寸法および組み合わせを変更することができる。かかる変更によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
1,1000,2000…モータ、2,2002…ステータ、21,2021…第1ステータ、22,2022…第2ステータ、3…第1コイル群、4…第2コイル群、5…第3コイル群、6…ロータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12