(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127707
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】打ち込み工具
(51)【国際特許分類】
B25C 7/00 20060101AFI20240912BHJP
B25C 1/06 20060101ALI20240912BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B25C7/00 A
B25C1/06
B25C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130992
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2023034519
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徳和
(72)【発明者】
【氏名】栗木 駿
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 聖展
(72)【発明者】
【氏名】村上 聡哉
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC07
3C068DD13
3C068FF02
3C068HH09
3C068HH17
(57)【要約】
【課題】打ち込み工具のマガジンに設けられる空打ち防止機構は起動用のコンタクトアームの移動経路内に進入してそのオン操作を規制するロック部材を備える。従来ロック部材は回動可能に設けて移動経路内から退避させるため大きなスペースを必要とし、ドライバのリフト機構を備えるガスばね式の打ち込み工具には適用困難であった。本開示では限られたスペースに配置できる空打ち防止機構を提供する。
【解決手段】打ち込み具tを送り方向Tに押すプッシャ22にロック部材28がスライド可能に設けられる。ロック部材28の係合部28bがコンタクトアームのロック部に係合してコンタクトアームのオン操作が規制される。ロック部材28は、係合部28bがコンタクトアームに突き当てられるとロック用付勢部材29に抗して相対的に後退する。これによりプッシャ片23bに押されて打ち込み具tが打ち込み通路に確実に供給される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち込み工具であって、
打ち込み具を被打ち込み材に打ち込むドライバと、
前記ドライバを前記打ち込み具の打ち込み方向とは反対方向に戻すリフト機構と、
前記被打ち込み材に押されて工具本体に対して移動して前記ドライバの打ち込み動作を許容するコンタクトアームと、
前記打ち込み具が装填されるマガジンと、
前記マガジンに移動可能に設けられて、前記打ち込み具を前記ドライバの打ち込み通路に向けて押すプッシャと、
前記プッシャに、前記プッシャの移動方向を含む面に沿って変位可能に設けられるロック部材と、を有し、
前記ロック部材が前記コンタクトアームの移動経路に進入して前記コンタクトアームの移動を規制する打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み工具であって、
前記プッシャに押された前記打ち込み具は、待機位置の前記ドライバの打ち込み方向の端部の側面に当接される打ち込み工具。
【請求項3】
請求項2記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバが前記待機位置から上死点に至る間に、前記打ち込み具が前記プッシャに押されて前記ドライバの前記打ち込み通路に供給される打ち込み工具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は、前記プッシャの移動方向と平行な方向に前記プッシャに変位可能に設けられる打ち込み工具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は、先端面が前記コンタクトアームに面当たりして退避位置に変位する打ち込み工具。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記プッシャには、前記ロック部材を移動可能に支持するガイド部と、前記ガイド部から前記ロック部材が抜けることを止める抜け止め部材が設けられている打ち込み工具。
【請求項7】
請求項6記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は板状の部材で、前記ガイド部内に位置する支持部と、前記ガイド部の外部に位置し、前記支持部に対して曲げ加工されて前記ガイド部を横切る面に沿って延在される係合部を有し、前記係合部が前記コンタクトアームの前記移動経路に進入される打ち込み工具。
【請求項8】
請求項1~3の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は、前記プッシャに、前記プッシャの移動方向とは異なる方向に変位可能に設けられる打ち込み工具。
【請求項9】
請求項8記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は、前記打ち込み方向である下部に係合部を有し、上部に当接部を有し、
前記当接部が前記工具本体の規制面によって上方への変位が規制され、前記係合部が前記コンタクトアームの前記移動経路に進入する打ち込み工具。
【請求項10】
請求項9記載の打ち込み工具であって、
前記当接部は前記工具本体に向けて突き出された部位である打ち込み工具。
【請求項11】
請求項8~10の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ロック部材は、前記プッシャの移動方向を含む面に沿って回転する打ち込み工具。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記プッシャを前記打ち込み通路に向けて付勢するプッシャ用付勢部材と、
前記ロック部材を前記プッシャから突出する方向に付勢するロック用付勢部材を有し、
前記ロック用付勢部材の付勢力は、前記プッシャ用付勢部材よりも付勢力が小さい打ち込み工具。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記プッシャは、前記ロック部材が変位可能に設けられるホルダと、前記ホルダに回転可能に設けられて打ち込み具に当接されるプッシャ片を有する打ち込み工具。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記打ち込み具は、前記打ち込み通路に近づくほど前記打ち込み方向に向けて送られる打ち込み工具。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバが結合されたピストンを有し、前記ピストンの移動によって生じたガス圧により前記ドライバが打ち込み動作する打ち込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、打ち込み具を被打ち込み材に打ち込むための打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の打ち込み工具は多数本の打ち込み具を収容するマガジンを備えている。収容した打ち込み具は例えばばね付勢されたプッシャに押されて打ち込み通路に送られる。マガジンにはいわゆる空打ちを未然に防止するために打ち込み具の残り本数が一定本数に達した時点で打ち込み動作を規制する空打ち防止機構を備える。特許文献1,2に開示された空打ち防止機構では、残り本数が一定本数に達してプッシャが特定の位置に至るとロック部材がコンタクトアームの移動経路内に進入する。これにより、コンタクトアームのオン動作が規制されて打ち込み動作が規制される。特許文献1にはオフ位置にないコンタクトアームに対するロック部材の係合を回避するため、ロック部材がコンタクトアームから離間する方向に回転可能に設けられている。これにより不用意な係合状態が回避されることで打ち込み具に対するプッシャの送り動作が阻害されないようになっている。特許文献2にはコンタクトアームに衝撃が付加された場合等においてロック部材が弾性変形することで係合状態が回避されるようになっている。特許文献2のロック部材は樹脂製半割り構造のマガジンにプッシャとは別に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3558884号公報
【特許文献2】特許第6766727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば打ち込みノーズ部とドライバ巻き上げ部のハウジングが別構造となる充電式の打ち込み工具では、特許文献1の回転式のロック部材を適用するための十分なスペースを確保しづらい問題がある。また耐久性を重視したアルミ引き抜き材を用いるマガジンに、特許文献2のロック部材を適用することが困難であった。本開示では、従来の回転式ロック部材のようなスペースを必要とせず、かつアルミ引き抜き材のマガジンにも容易に適用できる打ち込み動作規制構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面によれば、打ち込み工具は、例えば打ち込み具を被打ち込み材に打ち込むドライバと、ドライバを打ち込み具の打ち込み方向とは反対方向に戻すリフト機構を有する。打ち込み工具は、例えば被打ち込み材に押されて工具本体に対して移動してドライバの打ち込み動作を許容するコンタクトアームと、打ち込み具が装填されるマガジンを有する。打ち込み工具は、例えばマガジンに移動可能に設けられて、打ち込み具をドライバの打ち込み通路に向けて押すプッシャと、プッシャに、プッシャの移動方向を含む面に沿って変位可能に設けられるロック部材とを有する。例えばロック部材がコンタクトアームの移動経路に進入してコンタクトアームの移動を規制する。
【0006】
従って、ロック部材がコンタクトアームの移動経路に進入することによりコンタクトアームの移動が規制される。コンタクトアームの移動が規制されることで例えば空打ち等の打ち込み動作が規制される。ロック部材は、プッシャに、プッシャの移動方向を含む面に沿って変位可能に設けられていることで、従来の回転式ロック部材のようなスペースを必要とせず、かつアルミ引き抜き材のマガジンに組み込むことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】工具本体及びリフト機構の内部構造を
図1中矢印II方向から見た前面図である。本図はドライバが待機位置に位置する状態を示している。
【
図3】打ち込み工具の左側面図である。本図では打ち込みノーズ部が縦断面で示されている。
【
図4】工具本体及びリフト機構の内部構造の前面図である。本図はドライバが上死点に至った状態を示している。
【
図5】打ち込み工具の左側面図である。本図は打ち込み通路に打ち込み具が供給された状態を示している。
【
図6】打ち込みノーズ部の前面図である。本図はドライバが下動端に至って打ち込み具が被打ち込み材に打ち込まれた状態を示している。
【
図7】打ち込みノーズ部とプッシャの左側面図である。本図は、ロック部材がコンタクトアームの移動経路内に進入していない状態を示している。
【
図8】打ち込みノーズ部とプッシャの左側面図である。本図は、ロック部材がコンタクトアームの移動経路内に進入した状態を示している。
【
図9】
図7中IX-IX線断面矢視図であって、マガジンの縦断面図である。
【
図13】第2実施例に係る打ち込み工具の左側面図である。
【
図14】第2実施例に係る空打ち防止機構の左側面図である。本図は、最後の打ち込み具が打ち込み通路に供給された状態であって、空打ち防止が作動する直前の状態を示している。
【
図15】第3実施例に係る打ち込み工具の左側面図である。
【
図16】第3実施例に係るプッシャ及びその周辺の左側面図である。
【
図17】第3実施例に係るプッシャの斜視図である。本図ではホルダが送り方向に沿った縦断面で示されている。
【
図18】ロック部材の動作状態を示す左側面図である。本図は、打ち込み具の残量が一定以上あり、ロック部材の当接部が工具本体部の当接面から離れた状態を示している。
【
図19】ロック部材の動作状態を示す左側面図である。本図は、ロック部材の当接部が工具本体の当接面に当接した状態を示している。
【
図20】ロック部材の動作状態を示す左側面図である。本図は、打ち込み具の残量が一定本数に達して、ロック部材の係合部がコンタクトアームの移動経路中に進入した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばプッシャに押された打ち込み具は、待機位置のドライバの打ち込み方向の端部の側面に当接される。従って、不用意な打ち込み動作が防止される。
【0009】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバが待機位置から上死点に至る間に、打ち込み具がプッシャに押されてドライバの打ち込み通路に供給される。従って、ドライバが上死点に至る直前に打ち込み具が打ち込み通路に供給され、その後ドライバが打ち込み通路を移動することで打ち込み動作がなされる。
【0010】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は、プッシャの移動方向と平行な方向にプッシャに変位可能に設けられる。従って、ロック部材がプッシャにコンパクトに組み込まれる。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は、先端面がコンタクトアームに面当たりして退避位置に変位する。従って、ロック部材がコンタクトアームの移動経路中に進入することが回避されてコンタクトアームの移動が許容される。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばプッシャには、ロック部材を移動可能に支持するガイド部と、ガイド部からロック部材が抜けることを止める抜け止め部材が設けられている。従って、ロック部材がプッシャに対して離脱不能に支持される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は板状の部材で、ガイド部内に位置する支持部と、ガイド部の外部に位置し、支持部に対して曲げ加工されてガイド部を横切る面に沿って延在される係合部を有する。例えば係合部がコンタクトアームの移動経路に進入される。従って、簡易かつ安価な構成のロック部材が大きなスペースを要することなくコンパクトに組み込まれる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は、プッシャに、プッシャの移動方向とは異なる方向に変位可能に設けられる。従って、ロック部材がプッシャにコンパクトに組み込まれる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は、打ち込み方向である下部に係合部を有し、上部に当接部を有する。例えば当接部が工具本体の規制面によって上方への変位が規制される。例えば係合部がコンタクトアームの移動経路に進入する。従って、上部の当接部が工具本体の規制面によって上方への変位が規制されることで係合部がコンタクトアームの移動経路に進入するようにロック部材が変位する。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば当接部は工具本体に向けて突き出された部位である。従って、当接部が工具本体の規制面に当接して上方への変位が確実に規制される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばロック部材は、プッシャの移動方向を含む面に沿って回転する。従って、プッシャの移動方向についてよりコンパクトな領域でロック部材が変位する。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばプッシャを打ち込み通路に向けて付勢するプッシャ用付勢部材と、ロック部材をプッシャから突出する方向に付勢するロック用付勢部材を有する。例えば、ロック用付勢部材の付勢力は、プッシャ用付勢部材よりも付勢力が小さい。従って、ロック部材がコンタクトアームに面当たりした状態であっても、プッシャの打ち込み具に対する供給方向の押し力が確実に発揮される。これにより打ち込み具の供給が確実になされる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばプッシャは、ロック部材が変位可能に設けられるホルダと、ホルダに回転可能に設けられて打ち込み具に当接されるプッシャ片を有する。従って、プッシャ片が打ち込み具に当接された状態でプッシャが移動することで打ち込み具が打ち込み通路に向けて送られる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば打ち込み具は、打ち込み通路に近づくほど打ち込み方向に向けて送られる。従って、打ち込み具の送り方向が打ち込み方向に対して傾斜するアングルタイプの打ち込み工具について、プッシャにコンパクトに組み込まれたロック部材により確実な空打ち防止が実現される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばドライバが結合されたピストンを有し、ピストンの移動によって生じたガス圧によりドライバが打ち込み動作する。従って、ガス圧を推力として打ち込み動作を行う形態の打ち込み工具について上記の各形態が適用される。
【実施例0022】
本開示の実施例では、打ち込み工具1の一例として、シリンダ上方の蓄圧室のガス圧を打ち込み具tを打ち込むための推力として利用するガスばね式の打ち込み工具を例示する。打ち込み具tには例えば棒状の釘が適用される。以下の説明では、打ち込み具tの打ち込み方向を下方向とし、反打ち込み方向を上方向とする。打ち込み工具1の使用者は、
図1において打ち込み工具1の右側(グリップ3側)に位置する。使用者の手前側を後方向(使用者側)、手前側と反対側を前方向とする。左右方向についてはグリップ3を把持した使用者を基準とする。
【0023】
図1,2に示すように打ち込み工具1は、工具本体10を有する。工具本体10は、
図1,2では省略されている本体ハウジング11(
図7,8参照)にシリンダ12を収容した構成を有する。シリンダ12内にはピストン13が上下に往復動可能に収容される。ピストン13よりも上方のシリンダ12の上部は、蓄圧室14に連通される。蓄圧室14には、例えば空気等の圧縮ガスが封入される。蓄圧室14のガス圧は、ピストン13の上面に下動させる推力として作用する。
【0024】
工具本体10の下部に打ち込みノーズ部15が設けられている。打ち込みノーズ部15はドライバガイド16とコンタクトアーム17を備える。ドライバガイド16の内周側が打ち込み通路16aとなっている。打ち込み通路16aはシリンダ12の内周側に連通されている。打ち込み通路16a内を長尺のドライバ2が上下に往復動可能に進入される。
【0025】
ドライバガイド16の周囲にコンタクトアーム17が上下に変位可能に支持されている。コンタクトアーム17は、ドライバガイド16の下端(射出口18)の周囲から上方へ延びている。コンタクトアーム17は圧縮ばね17bにより下方のオフ位置側に付勢されている。オフ位置ではコンタクトアーム17の下端が射出口18よりも下方に位置する。コンタクトアーム17を被打ち込み材Wに押し付けて相対的に上動(オン操作)させることでスイッチレバー4の引き操作が有効になる。圧縮ばね17bの下方には打ち込み深さ調整用のダイヤル17aが設けられている。ダイヤル17aを回転操作することで、コンタクトアーム17のオフ位置を上下に変位させることができる。これによりコンタクトアーム17のストロークが変更されて、オン操作時の被打ち込み材Wに対する射出口18の位置が変更される。これにより打ち込み具tの被打ち込み材Wに対する打ち込み深さが切り替えられる。
【0026】
打ち込みノーズ部15の後面側にマガジン20が結合されている。
図3,5に示すようにマガジン20に多数本の打ち込み具tが装填される。マガジン20内から打ち込み通路16a内に供給された1つの打ち込み具tが下動するドライバ2で打撃される。
【0027】
工具本体10の後面側に使用者が把持するグリップ3が設けられる。グリップ3の前部下面には、使用者が指先で引いて操作する起動用のスイッチレバー4が設けられる。スイッチレバー4の上方にスイッチ本体4aが内装されている。スイッチレバー4を上方へ引き操作するとスイッチ本体4aがオンする。スイッチ本体4aがオンすると後述するリフト機構30に電源供給される。
【0028】
グリップ3の後部にバッテリ取付部5が設けられている。バッテリ取付部5の後面に、バッテリパック6が装着される。バッテリパック6は上下にスライドさせることでバッテリ取付部5に対して着脱できる。バッテリパック6は、バッテリ取付部5から取り外して別途用意した充電器で充電することで繰り返し使用できる。バッテリパック6は、他の電動工具の電源としても利用できる汎用性を有する。バッテリパック6の電力を電源としてリフト機構30の電動モータ31が動作する。
【0029】
バッテリ取付部5には平板形のコントローラ5aが内装されている。スイッチレバー4のオン操作とコンタクトアーム17のオン操作で動作が開始される。コントローラ5aにより主としてリフト機構30の電動モータ31の動作制御がなされる。
【0030】
シリンダ12の下部に、ピストン13の下動端での衝撃を吸収するための下動端ダンパ19が配置される。ピストン13の下面中心にドライバ2が結合されている。ドライバ2はピストン13の下面から下方へ長く延びている。ドライバ2の打ち込み方向の先端側(下部側)は下動端ダンパ19の内周側を経て打ち込み通路16a内に進入している。ドライバ2は、ピストン13の上面に作用する蓄圧室14のガス圧によって打ち込み通路16a内を下動する。打ち込み通路16a内を下動するドライバ2の先端(下端)が打ち込み通路16a内に供給された1本の打ち込み具tを打撃する。
図6に示すようにピストン13が下動端に至って打撃された打ち込み具tが射出口18から射出される。射出された打ち込み具tは被打ち込み材Wに打ち込まれる。
【0031】
図1,3,5に示すようにグリップ3の下方にリフト機構30が設けられる。リフト機構30は駆動源として電動モータ31を有する。電動モータ31の前方に減速ギア列32を介して1つのリフタ33が支持されている。下動端に至ったドライバ2及びピストン13がリフト機構30により上方の待機位置(打ち込み具tの打ち込み方向とは反対方向)に戻される。リフタ33の詳細が
図2,4,6に示されている。リフタ33は減速ギア列32の出力軸32aに支持されている。リフタ33は、
図2,4,6中矢印Rで示す方向(図において反時計回り方向)に回転する。これによりドライバ2が上方(反打ち込み方向)に戻される。
【0032】
図2,4,6に示すようにドライバ2の右側部に、複数(図では9個)の係合部2aが設けられている。各係合部2aは、右方に突き出すラック歯形状を有している。複数の係合部2aはドライバ2の長手方向(上下方向)に一定の間隔で配置される。複数の係合部2aに、リフト機構30のリフタ33が順次係合される。
【0033】
ドライバ2の右側方にリフタ33が配置されている。リフタ33は、ドライバ2の係合部2aに順次係合される複数(例えば9個)の係合ピン34を有する。各係合ピン34には、円柱形の軸部材が用いられている。複数の係合ピン34は、リフタ33の外周縁に沿って一定間隔をおいて配置されている。矢印Rで示す回転方向の最初の係合ピン34と最終の係合ピン34との間には回転方向の大きな間隔(係合ピン34が存在しない逃がし領域33a)が設けられている。この逃がし領域33aがドライバ2側に向けられると、ドライバ2の係合部2aに対するリフタ33の係合状態が解除される。
図4は、係合状態が解除される直前の上死点に至った状態を示している。
図6は係合状態が解除された打ち込み状態を示している。
【0034】
電動モータ31の起動によりリフタ33が矢印Rの方向に回転する。
図6に示すようにドライバ2が下動端に至った後、リフタ33の矢印R方向の回転により、係合ピン34が順次ドライバ2の係合部2aに下方から係合されることでドライバ2が上方へ戻される。リフト機構30によりピストン13が上方へ戻されることで、蓄圧室14のガス圧が高められる。ドライバ2が
図2に示す待機位置に戻されると、電動モータ31が停止して一連の打ち込み動作が終了する。
【0035】
再度スイッチレバー4が引き操作されると、リフト機構30が再起動する。これによりリフタ33が矢印R方向に回転し始めることでドライバ2及びピストン13が待機位置からさらに上方へリフトされる。
図4はドライバ2及びピストン13が上動端位置にリフトされた状態を示している。
【0036】
ドライバ2及びピストン13が上動端位置に至った後、リフタ33が引き続き矢印R方向に回転することでドライバ2の係合部2aに対するリフタ33の係合が外れる。これによりリフタ33の逃がし領域33aがドライバ2側に向けられて、ドライバ2がピストン13に作用する蓄圧室14のガス圧により下動する。ドライバ2が打ち込み通路16aを下動することで、打ち込み具tが打撃されて被打ち込み材Wに打ち込まれる。
図6はピストン13が下動端に至って打ち込み具tが被打ち込み材Wに打ち込まれた状態を示している。
【0037】
マガジン20はドライバガイド16の後面に結合されている。マガジン20はアルミニウムの引き抜き材を素材とする長尺のマガジン本体21を有する。
図1,2に示すようにマガジン本体21は、ドライバガイド16の後面から斜め左方かつ斜め上方へ傾斜する方向に延在される。これによりマガジン本体21はバッテリ取付部5の左側方を通過する長さで延在されている。マガジン本体21の内部に並列状態に仮止めされた多数本の打ち込み具tが装填される。図中白抜き矢印で示すようにマガジン本体21の長手方向であって、打ち込み通路16aに向かう方向が打ち込み具tの送り方向Tに相当する。
【0038】
このように打ち込み通路16aに対する打ち込み具tの送り方向Tが打ち込み通路16aの延在方向(ドライバ2の打ち込み方向)に対して傾斜している。このため、打ち込み具tは、打ち込み通路16aに近づくほど打ち込み方向に変位するように送られる。このアングルタイプのマガジン20を備える打ち込み工具1はアングル釘打ち機とも称される。通常アングルタイプのマガジン20は、収容する打ち込み具tが頭部taを有する釘(例えばブラッドネイル)である場合に適用される。軸部tbの軸方向に頭部taをずらして相互に連結された多数本の打ち込み具tを収容することから、送り方向T(マガジン本体21の長手方向)が打ち込み方向(釘軸方向)に対して傾斜する。
【0039】
図1,3,5に示すようにマガジン本体21の後部に装填口21fが開口されている。平板形に仮止めされた多数本の打ち込み具tが装填口21fを経てマガジン本体21の収容部21a内に装填される。
図9に示すように収容部21aは打ち込み具tを上下に沿わせて収容可能な平板形の空間部で、上部に打ち込み具tの頭部taを保持する頭部収容部21bを有する。頭部収容部21bから下方へ軸部収容部21cが延在されている。軸部収容部21c内に打ち込み具tの軸部tbが収容される。軸部tbの長さが異なる打ち込み具tが頭部taの位置を共通化して収容部21a内に収容される。
【0040】
収容部21aの左側部に、プッシャ22が保持されている。プッシャ22は打ち込み具tを打ち込み通路16a側に押すプッシャ爪23と、プッシャ爪23を支持するホルダ24を有する。ホルダ24の上下面に案内縁部24a,24bが設けられている。マガジン本体21の左側部に上下一対の案内レール21d,21eが設けられている。上側の案内縁部24aが上側の案内レール21dに保持され、下側の案内縁部24bが下側の案内レール21eに保持されている。これによりホルダ24がマガジン本体21の長手方向(打ち込み具tの送り方向T及び反送り方向)に沿ってスライド可能に支持されている。
【0041】
図11,12に示すようにプッシャ爪23はホルダ24に支軸25を介して左右に回動可能に支持されている。プッシャ爪23の送り方向の先端には2つのプッシャ片23bが設けられている。
図9に示すようにプッシャ爪23は、圧縮ばね26によりプッシャ片23bを収容部21aの底部21gに当接させる方向(
図12において反時計回り方向)に付勢されている。
【0042】
図10,11に示すようにプッシャ爪23の後部にレバー23aが設けられている。使用者がレバー23aを指先で傾動操作することでプッシャ爪23を回動させることができる。圧縮ばね26に抗してレバー23aを後方へ傾動操作することで、プッシャ爪23の先端部(プッシャ片23b)が収容部21aの底部21gから浮き上がる方向(左方)に変位させることができる。これによりマガジン本体21の装填口21fから装填した打ち込み具tをプッシャ爪23の右方を通過させて送り方向前側(打ち込み通路16a側)に移動させることができる。レバー23aの傾動操作を解除すると、プッシャ片23bが圧縮ばね26の付勢力により収容部21aの底部21gに当接された状態に戻されての送り方向後端の打ち込み具tに係合される。2つのプッシャ片23bの間には打ち込み具tの左方への浮きを規制するための規制爪23cが設けられている。
【0043】
ホルダ24の後部には、プッシャ22を打ち込み通路16aに向けて付勢するプッシャ用付勢部材27が設けらている。プッシャ用付勢部材27には、コイル状に巻かれたリーフスプリングが用いられている。プッシャ用付勢部材27の一端側(巻きの中心側)はホルダ24に結合されている。
図7に示すようにプッシャ用付勢部材27の他端27a側はマガジン本体21の前端に引き掛けられて結合されている。プッシャ用付勢部材27を引き延ばしつつプッシャ22が反送り方向にスライドされる。上記したように圧縮ばね26に抗してレバー23aを後方へ傾動操作しつつプッシャ22をプッシャ用付勢部材27に抗して反送り方向にスライドさせることで、装填口21fから装填した打ち込み具tをプッシャ爪23の右方を通過させて送り方向前側へ移動させることができる。
【0044】
ホルダ24の左側面には指引き掛け部24hが設けられている。使用者は指引き掛け部24hに指を引き掛けることで、プッシャ22の反送り方向へのスライド操作を楽に行うことができる。指引き掛け部24hはレバー23aの後方に配置されている。プッシャ22を反送り方向にスライドさせる際には、指先をレバー23aと指引き掛け部24hの双方に引き掛けることができる。これによりプッシャ爪23のプッシャ片23bを収容部21aの底部21gから浮かせた状態でプッシャ22を反送り方向へスライドさせる操作を楽に行うことができる。
【0045】
プッシャ22の後方へのスライド操作を解除すると、プッシャ22がプッシャ用付勢部材27の付勢力により送り方向前側へ付勢される。これにより送り方向後端側の打ち込み具tに係合されたプッシャ爪23により装填した打ち込み具tの全体が送り方向に押される。プッシャ用付勢部材27の付勢力がプッシャ爪23が打ち込み具tを押す力に相当する。
【0046】
プッシャ22には1つのロック部材28が設けられている。ロック部材28は板状の素材を曲げ加工して製作されている。ロック部材28、支持部28aと係合部28bを有する。支持部28aと係合部28bは曲げ加工により面方向が直交している。
図12に示すように支持部28aは、ホルダ24に設けたガイド部24c内に位置している。これにより、ロック部材28がホルダ24に、プッシャ22の移動方向(打ち込み具tの送り方向T)を含む面に沿って変位可能に支持されている。
【0047】
支持部28aには凹部28cが設けられている。凹部28cには、ガイド部24cに設けた抜け止め部材24dが進入されている。本実施例では抜け止め部材24dに軸部材が用いられている。抜け止め部材24dはロック部材28の板厚方向に支持されている。抜け止め部材24dによりロック部材28がガイド部24cから抜け出ることが規制されている。凹部28c内において抜け止め部材24dが相対変位可能な範囲で、ロック部材28がホルダ24に対して相対的に送り方向T及び反送り方向に変位可能に支持されている。
【0048】
抜け止め部材24dに弾性リング24eが装着されている。これにより抜け止め部材24dの支持孔24fからの抜け出しが防止されている。弾性リング24eは装着孔24g内に位置することで支持孔24fとほぼ同時に位置される。ホルダ24に対するロック部材28の組付け時に、装着孔24g内に弾性リング24eを位置させた状態で抜け止め部材24dを支持孔24fに挿入することで弾性リング24eが抜け止め部材24dに装着される。これにより抜け止め部材24dのホルダ24への組付け性が良くなっている。
【0049】
ロック部材28の係合部28bは、ガイド部24cの外部に位置している。係合部28bは、ガイド部24cを横切る面に沿って延在される。ロック部材28の先端面28dは、打ち込み具tの打ち込み方向であってコンタクトアーム17の移動方向(上下方向)に略平行な先端面に形成されている。このためロック部材28の先端面28dは、打ち込み具tの送り方向T(ロック部材28のスライド方向)に対して傾斜している。
【0050】
図12に示すようにロック部材28とホルダ24との間にロック用付勢部材29が介装されている。ロック用付勢部材29には圧縮ばねが用いられている。ロック用付勢部材29によりロック部材28はホルダ24に対して送り方向に突き出す方向に付勢されている。このためロック部材28はロック用付勢部材29に抗して反送り方向に変位可能に設けられている。
【0051】
ロック用付勢部材29の付勢力は、プッシャ用付勢部材27の付勢力よりも小さい。このため例えばロック部材28がコンタクトアーム17に突き当てられた場合等においても、ロック用付勢部材29に抗してロック部材28を後退させることでプッシャ22が送り方向に移動する。これによりロック用付勢部材29の付勢力がプッシャ爪23が打ち込み具tを押す力を阻害することがないようにプッシャ用付勢部材27とロック部材28の付勢力が適切に設定されている。
【0052】
プッシャ22に設けたロック部材28は、マガジン20内の打ち込み具tの残量が一定数に達した時点で工具本体10の打ち込み動作を規制する空打ち防止機能を有する。
図1~3に示すドライバ2の待機位置において、ドライバ2の打ち込み方向の端部(下端部)の側面に、プッシャ22に押された打ち込み具tの頭部taが当接される。従って、
図3に示すようにドライバ2の待機状態では、打ち込み通路16aに打ち込み具tが未だ供給されていない状態となっている。また、この段階では、
図1,7に示すようにプッシャ22のロック部材28がコンタクトアーム17の移動経路に進入していない状態となっている。従って、コンタクトアーム17のオン操作が可能な状態であって、打ち込み動作が許容される状態となっている。
【0053】
図4,5に示すようにコンタクトアーム17のオン操作及びスイッチレバー4のオン操作がなされるとリフト機構30が起動してドライバ2が待機位置から上死点に向けて移動する。ドライバ2が待機位置から上死点に至る間に、ドライバ2の下端部に対する打ち込み具tの頭部taの当接状態が解消される。これにより打ち込み具tがプッシャ22に押されて打ち込み通路16aに供給される。
【0054】
空打ち防止が作動する直前の打ち込み具t(最後の打ち込み具t)が打ち込み通路16aに供給された場合(マガジン20内の残量が予め設定した一定本数(例えばゼロ本あるいは数本程度)に達した場合)には、オン操作により上動されたコンタクトアーム17に対してロック部材28の先端面28dが側方から突き当てられる。突き当てられたロック部材28はロック用付勢部材29に抗して後退される。このためプッシャ22はプッシャ用付勢部材27の付勢力により送り方向に移動する。これにより最後の打ち込み具tがプッシャ爪23により十分な力(プッシャ用付勢部材27の付勢力)で押されて確実に打ち込み通路16aに供給される。
【0055】
ドライバ2が上死点に至った後、引き続きリフタ33が矢印R方向に回転することで、ドライバ2の係合部2aに対する係合ピン34の係合が外れる。これにより蓄圧室14のガス圧によりピストン13及びドライバ2が下動して最後の打ち込み具tが打撃される。
図6に示すようにドライバ2が下動端に至ると、打ち込み具tが被打ち込み材Wに打ち込まれる。
【0056】
ドライバ2が下動端に至った後、引き続きリフタ33が矢印R方向に回転することでドライバ2が待機位置に戻される。打ち込み時の反動により、あるいは打ち込み後に使用者のオン操作が解除されることでコンタクトアーム17がオフ位置に戻される。コンタクトアーム17に対して側方から突き当てられたロック部材28の先端面28dは、コンタクトアーム17の移動方向に平行な面に形成されている。このため、コンタクトアーム17がオフ位置に戻される途中の段階では、ロック部材28がコンタクトアーム17に押されて反送り方向にスムーズに後退する。これによりロック部材28がコンタクトアーム17の移動経路内に進入することがない。このように本実施例ではロック部材28が反送り方向にスライドされることで戻し途中のコンタクトアーム17に対する係合が回避される。これにより従来の回転動作により退避させる構成に比してより限られたスペースでロック部材28が退避される。
【0057】
図8に示すようにコンタクトアーム17がオフ位置に戻されると、ロック部材28がロック用付勢部材29により突き出されて、コンタクトアーム17のロック部17cの上方に進入する。これによりコンタクトアーム17のオン操作(上方への移動)が規制された状態となる。また、コンタクトアーム17がオフ位置に戻され、かつドライバ2が待機位置に戻された状態では、前記と同様に次の打ち込み具tの頭部taがドライバ2の下端部に対して側方から当接された状態であり、未だ打ち込み通路16aに供給されていない状態となっている。
【0058】
以上のようにマガジン20内の打ち込み具tの残量が一定本数に達した時点で、プッシャ22に設けたロック部材28がコンタクトアーム17のロック部17cの上方であって、コンタクトアーム17の移動経路内に進入した状態となる。これによりコンタクトアーム17のオン操作が規制された状態となって空打ち防止がなされる。
【0059】
以上説明した第1実施例によれば、ロック部材28がコンタクトアーム17の移動経路に進入することによりコンタクトアーム17のオン操作が規制されて空打ち防止がなされる。ロック部材28は、プッシャ22の移動方向(打ち込み具tの送り方向T)を含む面に沿って変位可能にプッシャ22に設けられている。
【0060】
従って、従来の回転式ロック部材のような大きなスペースを必要とせず、限られたスペース内にロック部材28を進退可能に組み込むことができる。この点で、打ち込み通路16aの周辺にリフト機構30が配置される等により大きなスペースを確保できないガスばね式の打ち込み工具1について例示した空打ち防止機構(ロック部材28)を組み込むことが容易になる。
【0061】
また、空打ち防止のためにコンタクトアーム17の移動を規制するロック部材28がプッシャ22に設けられる。このためプッシャとは別にマガジンに組み込まれる従来構成に比してロック部材28の組み込みが容易になる。この点で、アルミニウムの引き抜き材をマガジン本体21とするマガジン20について例示した空打ち防止機構(ロック部材28)を組み込むことが容易になる。
【0062】
第1実施例によれば、プッシャ22に押された打ち込み具tは、待機位置のドライバ2の打ち込み方向の端部の側面に当接される。従って、不用意な打ち込み動作が防止される。
【0063】
第1実施例によれば、ドライバ2が待機位置から上死点に至る間に、打ち込み具tがプッシャ22に押されて打ち込み通路16aに供給される。従って、ドライバ2が上死点に至る直前に打ち込み具tが打ち込み通路16aに供給され、その後ドライバ2が打ち込み通路16aを移動することで打ち込み動作がなされる。
【0064】
第1実施例によれば、ロック部材28は、プッシャ22のホルダ24に、プッシャ22の移動方向と平行な方向に変位可能に設けられる。従って、ロック部材28がプッシャ22にコンパクトに組み込まれる。
【0065】
第1実施例によれば、ロック部材28は、係合部28bの先端面28dがコンタクトアーム17に面当たりして退避位置に変位する。これにより、ロック部材28がコンタクトアーム17の移動経路中に進入することが回避されてコンタクトアーム17のオフ位置側への移動が許容される。
【0066】
第1実施例によれば、プッシャ22には、ロック部材28を移動可能に支持するガイド部24cと、ガイド部24cからロック部材28が抜けることを止める抜け止め部材24dが設けられている。これにより、ロック部材28がプッシャ22に対して離脱不能に支持される。
【0067】
第1実施例によれば、ロック部材28は板状の部材で、ガイド部24c内に位置する支持部28aと、ガイド部24cの外部に位置し、支持部28aに対して曲げ加工されてガイド部24cを横切る面に沿って延在される係合部28bを有する。係合部28bがコンタクトアーム17の移動経路に進入されて空打ち防止がなされる。従って、簡易かつ安価な構成のロック部材28が大きなスペースを要することなくマガジン20にコンパクトに組み込まれる。
【0068】
第1実施例によれば、プッシャ22を打ち込み通路16aに向けて付勢するプッシャ用付勢部材27と、ロック部材28をプッシャ22から突出する方向に付勢するロック用付勢部材29を有する。ロック用付勢部材29の付勢力は、プッシャ用付勢部材27の付勢力よりも小さい。従って、ロック部材28の係合部28bがコンタクトアーム17に突き当てられた状態であっても、プッシャ22の打ち込み具tに対する供給方向の押し力が確実に発揮される。これにより打ち込み具tの供給が確実になされる。
【0069】
第1実施例によれば、プッシャ22は、ロック部材28が変位可能に設けられるホルダ24と、ホルダ24に回転可能に設けられて打ち込み具tに当接されるプッシャ片23bを有する。従って、プッシャ片23bが打ち込み具tに当接された状態でプッシャ22が移動することで打ち込み具tが打ち込み通路16aに向けて送られる。
【0070】
第1実施例によれば、ドライバ2が結合されたピストン13を有し、ピストン13の移動によって生じたガス圧によりドライバ2が打ち込み動作する。従って、ガス圧を推力として打ち込み動作を行うガスばね式の打ち込み工具1について上記の各形態が適用される。
【0071】
第1実施例には種々変更を加えることができる。例えば、ロック部材28の移動範囲を規制する抜け止め部材24dは軸部材に代えて突起部を用いる構成としてもよい。突起部を凹部28c内に突出させることでロック部材28のガイド部24cからの抜け出しを規制することができる。
【0072】
抜け止め部材24dはスプリングピンに変更してもよい。スプリングピンを支持孔24fに圧入する構成とすることで、弾性リング24e及び装着孔24gを省略することができる。
【0073】
ロック部材28を打ち込み通路16a側に付勢するロック用付勢部材29として圧縮ばねを例示したが、引っ張りばねや板バネあるいはウレタンゴム等をロック用付勢部材として用いる構成としてもよい。
【0074】
ロック部材28の支持部28aと係合部28bが曲げ加工により相互の面方向を直交させる構成を例示したが、係る曲げ加工を省略して全体が同一平板形のロック部材としてもよい。丸棒形のロック部材を用いる構成としてもよい。
【0075】
支持部28aをガイド部24cに挿入してロック部材28を打ち込み具tの送り方向Tに沿ってスライド可能に支持する構成を例示したが、例えば2本のスライドバーを用いてロック部材をスライド可能に支持する構成としてもよい。
【0076】
圧縮ばね26によりプッシャ片23bを収容部21a内に進入させる方向に付勢する構成を例示したが、圧縮ばね26に代えて引っ張りばねや捩じりばねを用いてプッシャ爪23を付勢する構成としてもよい。
【0077】
プッシャ22を打ち込み具tの送り方向Tに付勢するプッシャ用付勢部材27としてコイル状に巻かれるリーフスプリングを例示したが、これに代えて圧縮ばねや引っ張りばねをプッシャ用付勢部材とする構成としてもよい。
【0078】
図13,14には第2実施例に係る打ち込み工具40が示されている。第1実施例の打ち込み工具1は、例えば建築用柱材の結合作業に用いられる。このため比較的長い打ち込み具を多数本収容可能な大型のマガジン20を備える。第2実施例の打ち込み工具40は、例えばフローリング材の結合作業に用いられる。このため比較的短く細い打ち込み具を多数本収容可能でコンパクトなマガジン41を備える。第2実施例ではマガジン41の、特にロック部材の構成が異なっている。変更を要しない部材及び構成については同位の符合を用いて説明を省略する。
【0079】
第2実施例の打ち込み工具40も第1実施例と同じガスばね式の打ち込み工具で、工具本体10と打ち込みノーズ部15を備えている。工具本体10から後方へグリップ3が延びている。グリップ3の後部にバッテリ取付部5が設けられている。バッテリ取付部5にバッテリパック6が取り付けられる。グリップ3の下面基部に起動操作用のスイッチレバー4が設けられている。図では見えていないが工具本体10の本体ハウジング11にシリンダ12とピストン13と蓄圧室14が内装されている。ピストン13に複数の係合部2aを有するドライバ2が結合されている。ドライバ2はドライバガイド16の打ち込み通路16a内を上下に移動する。
【0080】
工具本体10の下部にドライバガイド16が結合されている。ドライバガイド16にリフト機構30が隣接されている。ドライバガイド16に対して上下に変位可能にコンタクトアーム17を備えている。コンタクトアーム17のオン操作とスイッチレバー4のオン操作がなされることで、リフト機構30が起動して打ち込み動作がなされる。
【0081】
マガジン41はドライバガイド16の後面側に結合されている。マガジン41はドライバガイド16から後方へ延びている。マガジン41は打ち込み方向に直交する方向に沿って延びている。マガジン41は多数本の打ち込み具tを収容するマガジン本体42とプッシャ43を備える。
【0082】
図14に示すようにプッシャ43はホルダ44とロック部材45とプッシャ片46を備えている。ホルダ44の左側部(紙面手前側)にロック部材45が支持されている。ホルダ44の右側部(紙面奥側、打ち込み具t側)にプッシャ片46が設けられている。プッシャ片46は捩じりばね47によりマガジン本体42の収容部の底部に当接する方向に付勢されている。プッシャ片46により打ち込み具tが打ち込み通路側に押される。
【0083】
第1実施例と同じくプッシャ43はコイル状に巻かれたリーフスプリング(プッシャ用付勢部材)により打ち込み通路側に付勢されている。プッシャ43の付勢力により打ち込み具tが打ち込み通路側に押される。
【0084】
第2実施例のロック部材45は平板形状を有している。ロック部材45は、ホルダ44の前面に開口するガイド部44a内に支持されている。ロック部材45はその面方向を打ち込み具tの送り方向T(プッシャ43の移動方向)を含む面に平行に位置させた姿勢で、かつ打ち込み具tの送り方向Tを含む面に沿ってスライド可能に支持されている。ロック部材45は2つの規制部48,49によりガイド部44aから抜け出る方向の移動が規制されている。上側の規制部48は前後に長い溝孔45a内に位置している。下側の規制部49は、ロック部材45の下部に設けた当接部45bの前側に当接されている。
【0085】
ロック部材45とガイド部44aの奥部との間に1つの圧縮ばね50が介装されている。圧縮ばね50によりロック部材45がガイド部44aから抜け出る方向(打ち込み通路側)に付勢されている。ロック部材45は圧縮ばね50の付勢力に抗して後方へスライド可能に支持されている。圧縮ばね50がロック用付勢部材に相当する。
【0086】
ロック部材45の前部には係合部45cが設けられている。マガジン41内の打ち込み具tの残量が予め設定した本数に至って、許容される最後の打ち込み具t(空打ち防止が作動する直前の打ち込み具t)の打撃がなされた後に、ロック部材45がコンタクトアーム17の移動経路中に進入する。このためロック部材45の係合部45cにコンタクトアーム17のロック部17cが下方から係合されることで、コンタクトアーム17のオン操作が規制される。これによりマガジン41内の残量が一定本数に至った時点で空打ち防止がなされる。
【0087】
第1実施例と同じく、ロック部材45を送り方向Tに付勢する圧縮ばね50の付勢力は、プッシャ43を送り方向Tに付勢するリーフスプリング(プッシャ用付勢部材)の付勢力よりも小さい。このため、例えばコンタクトアーム17がオン位置からオフ位置に戻される途中の段階でロック部材45がコンタクトアーム17に対して後方から突き当てられた場合には、ロック部材45が圧縮ばね50に抗して後退することでプッシャ43がプッシャ用付勢部材により送り方向Tに移動する。これにより打ち込み通路に打ち込み具tが適切な姿勢で確実に供給されるとともに、コンタクトアーム17がスムーズにオフ位置に戻される。
【0088】
第2実施例によれば、平板形状のロック部材45がコンタクトアーム17の移動経路に進入することによりコンタクトアーム17のオン操作が規制されて空打ち防止がなされる。ロック部材45は、プッシャ43の移動方向(打ち込み具tの送り方向T)を含む面に沿ってスライド可能にプッシャ43に設けられている。
【0089】
従って、第1実施例と同様、従来の回転式ロック部材のような大きなスペースを必要とせず、限られたスペース内にロック部材45を進退可能に組み込むことができる。この点で、打ち込みノーズ部15の周辺にリフト機構30が配置される等により大きなスペースを確保できないガスばね式の打ち込み工具40について例示した空打ち防止機構(ロック部材45)を組み込むことが容易になる。
【0090】
また、空打ち防止のためにコンタクトアーム17の移動を規制するロック部材45がプッシャ43に設けられる。このためプッシャとは別にマガジンに組み込まれる従来構成に比してマガジン41の構成の簡略化が図られる。
【0091】
以上説明した第1、第2実施例にはさらに変更を加えることができる。例えば、ホルダ24,44に対するロック部材28,45の位置を変更し、若しくはロック部材28,45の送り方向Tの長さを変更することにより、空打ち防止がなされる残量を変更することができる。例えば、マガジン20,41内の残量が例えばゼロ本あるいは数本程度になった時点でロック部材28,45がコンタクトアーム17の移動経路中に進入するようにロック部材28,45のホルダ24,44に対する相対位置を変更し、若しくはロック部材28,45の送り方向Tの長さを変更することができる。
【0092】
図15には第3実施例に係る打ち込み工具60が示されている。第3実施例に係る打ち込み工具60は、第1、第2実施例と同じくガスばね式の打ち込み工具で、工具本体10と打ち込みノーズ部15を備えている。工具本体10にシリンダ12とピストン13が内装されている。打ち込みノーズ部15にドライバ2が上下に往復動可能に挿通される打ち込み通路16aが設けられている。グリップ3やバッテリ取付部5あるいはリフト機構30等の変更を要しない部材及び構成については第1、第2実施例と同位の符号を用いる等してその説明を省略する。
【0093】
第3実施例に係る打ち込み工具60はいわゆるアングル釘打ち機で、第1実施例と同じく打ち込み具tの送り方向Tが打ち込み方向に対して傾斜するマガジン70を備えている。マガジン70は、第1実施例とは異なるロック部材80を備えている。
【0094】
図16に示すように第3実施例に係るドライバガイド16は前ガイド部16bと後ガイド部16cが前後に相互に重ね合わせ状に結合された構成を有する。前ガイド部16bと後ガイド部16cの間に打ち込み通路16aが形成されている。ドライバガイド16にコンタクトアーム17が上下に変位可能に支持されている。コンタクトアーム17は圧縮ばね(図では見えていない)により下方のオフ位置側に付勢されている。コンタクトアーム17はオフ位置では、ドライバガイド16の下部(射出口18)から下方へ突き出されている。
図15に示すようにコンタクトアーム17の上部に打ち込み深さ調整用のダイヤル17aが設けられている。
【0095】
マガジン70は、打ち込み具tを収容するマガジン本体71と打ち込み具tを送り方向Tに押すプッシャ72を有する。マガジン本体71の前端部がドライバガイド16の後ガイド部16cに結合されている。後ガイド部16cを貫通してマガジン本体71の内部(打ち込み具tの収容部71a)が打ち込み通路に連通されている。マガジン本体71はドライバガイド16から後方かつ斜め上方に向けて延在されている。マガジン本体71の後部に打ち込み具tの装填口71bが設けられている。
【0096】
図16、
図17に示すようにプッシャ72は、マガジン本体71に送り方向Tに沿って移動可能に支持されている。プッシャ72はホルダ73とプッシャ片74とロック部材80を備えている。ホルダ73がマガジン本体71に対して送り方向Tに移動可能に支持されている。プッシャ72は、ホルダ73の後部に収容したプッシャ用付勢部材77により送り方向Tに付勢されている。プッシャ用付勢部材77の先端部はマガジン本体71の前部に引き掛けられている。
【0097】
ホルダ73に対してプッシャ片74が支軸75を介してその前部側を収容部71aの底部に接近離間させる方向(左右方向)に回動可能に支持されている。支軸75には捩じりばね76が装着されている。捩じりばね76の一端76aはプッシャ片74の上面に係合されている。捩じりばね76の他端76bはホルダ73に係合されている。これによりプッシャ片74は、その前部側を収容部71aの底部に当接させる方向(右方)に付勢されている。プッシャ片74の前部側が打ち込み具tに当接されて、打ち込み具tが送り方向Tに押される。
【0098】
プッシャ片74の前部側の上下の縁部にそれぞれ案内部74aが設けられている。上下の案内部74aがマガジン本体71に設けた上下の案内溝内に進入している。これによりプッシャ片74の前部が送り方向Tに移動可能に案内される。手動操作によりプッシャ72を後方へ移動させると上下の案内部74aが案内溝の幅広部(図では見えていない)に至る。これによりプッシャ片74の前部側を収容部71aの底部から離間させる方向に変位可能になる。プッシャ片74の前部側が捩じりばね76に抗して収容部71aの底部から浮き上がることで、装填口71bから装填した打ち込み具tをプッシャ片74に対して送り方向Tの前方側へ移動させることができる。その後手動操作を解除することで打ち込み具tがプッシャ片74により送り方向Tに押される。
【0099】
ホルダ73の前部に上下に長い開口部73aが設けられている。開口部73aを形成する左右の壁部73b間に平板形状を有するロック部材80が支持されている。ロック部材80は左右の壁部73b間において、プッシャ72の移動方向(打ち込み具tの送り方向T)を含む面に沿って変位可能に支持されている。ロック部材80は、プッシャ72の移動方向およびプッシャ72の移動方向とは異なる方向に移動可能に支持されている。
【0100】
ロック部材80は送り方向Tの前部側に係合部80aと当接部80bを有する。係合部80aと当接部80bは相互に上下に一定の間隔を置いて設けられている。下側の係合部80aはおおむね山形を有して前方へ突き出されている。当接部80bはおおむね半円形を有して前方に突き出されている。
【0101】
ロック部材80の後部側には下側のアーム部80cと上側の案内部80dが設けられている。アーム部80cはおおむね下方へ向けて突き出されている。案内部80dは溝孔で概ね後方へ向けて延在されている。ロック部材80の後方にはホルダ73の一部である後壁部73cが設けられている。ロック部材80の後部であってアーム部80cと案内部80dとの間とホルダ73の後壁部73cとの間にロック用付勢部材81が介装されている。ロック用付勢部材81には圧縮ばねが用いられている。ロック用付勢部材81によりロック部材80はおおむね送り方向Tの前方に向けて付勢されている。
【0102】
ホルダ73の左右の壁部73b間には2つの係合軸82,83が設けられている。下側の係合軸82に対してロック部材80のアーム部80cが後方から当接されている。アーム部80cはロック用付勢部材81の付勢力により係合軸82に押圧されて常時当接した状態に保持される。上側の係合軸83はロック部材の案内部80d内に進入している。案内部80d内で係合軸83が相対変位可能な範囲でロック部材80の移動が許容される。
【0103】
図16に示すようにロック部材80の前方においてドライバガイド16の後ガイド部16cに案内凹部16dが設けらている。案内凹部16dは前後方向が深さ方向に相当し、上下に長く延在されている。コンタクトアーム17に一体に設けたロック部17cが案内凹部16dに沿って上下に変位可能に案内される。コンタクトアーム17が上方へオン操作されると、ロック部17cが案内凹部16d内を上方へ変位する。
【0104】
案内凹部16dの底部(前面)が突き当て面16eとなっている。突き当て面16eの上部に規制面16fが設けられている。規制面16fは案内凹部16dの上面に相当し、突き当て面16eに対してほぼ直角に延在されている。
【0105】
図16,18は、マガジン70内の打ち込み具tの残量が一定本数以上の状態を示している。このためプッシャ72は打ち込み通路から後方へ離れている。この状態では、ロック部材80はロック用付勢部材81により送り方向Tの前方に押された非ロック位置に位置する。ロック部材80の非ロック位置では、下側の係合軸82がアーム部80cの基部側(上部側)に当接され、上側の係合軸83が案内部80dの後部に当接された状態となる。
【0106】
図19に示すようにマガジン70内の打ち込み具tの残量が少なくなるとプッシャ72が送り方向Tに前進する。打ち込み可能な本数が例えば残り1本になると、ロック部材80の当接部80bが案内凹部16dの突き当て面16eに突き当てられる。
【0107】
打ち込み可能な本数の最後の打ち込み具tが打ち込まれた後、ドライバ2が上方の待機位置に戻されると、プッシャ72が打ち込み具tの1本分に相当する距離だけ前進する。プッシャ72は、ロック部材80の当接部80bが案内凹部16dの突き当て面16eに突き当てられた状態で、送り方向Tに前進する。このため、
図20に示すように当接部80bが上方へ変位して案内凹部16dの規制面16fに当接するとともに、ロック部材80がロック用付勢部材81に抗して上部側を後方斜め上方へ変位させ、下部側を前方斜め上方へ変位させたロック位置に変位する。すなわち、ロック部材80がロック用付勢部材81の付勢力によりおおむね下側の係合軸82を中心にして全体として図示時計回り方向に回転する。これによりロック部材80がホルダ73に対して
図18,19に示す非ロック位置から
図20に示すロック位置に変位する。
【0108】
このように打ち込み可能な本数の最後の打ち込み具tが打ち込まれた後、プッシャ72が送り方向Tに前進することで、ロック部材80がロック位置に変位する。ロック部材80がロック位置に変位すると、下側の係合軸82に対してアーム部80cの先端側が当接され、上側の係合軸83が案内部80dの前端部に当接された状態となる。これにより当接部80bがロック用付勢部材81の付勢力により規制面16fに押圧されてロック部材80がロック位置に保持される。
【0109】
また、ロック部材80がロック位置に変位すると係合部80aが案内凹部16d内に進入する。これによりロック部材80の係合部80aがコンタクトアーム17のロック部17cの移動経路に進入する。係合部80aはロック部17cの上方に進入する。これによりロック部17cの上方への変位が規制されてコンタクトアーム17のオン操作が規制された状態となる。当接部80bが規制面16fに押圧されてロック部材80がロック位置に確実に保持されることから、係合部80aによりロック部17cの上方への変位が確実に規制される。これにより打ち込み具tの残量が一定本数に達した後における打ち込み動作が規制される(空打ち防止機構)。
【0110】
第3実施例によれば、ロック部材80の係合部80aがコンタクトアーム17の移動経路に進入することでコンタクトアーム17のオン操作が規制されて空打ち防止がなされる。ロック部材80は、プッシャ72の移動方向(打ち込み具tの送り方向T)を含む面に沿って変位可能にプッシャ72に設けられている。このため、第3実施例によっても従来の回転式のロック部材のような大きなスペースを必要とせず、かつプッシャ72にロック部材80が設けられることで従来よりもコンパクトな構成により空打ち防止が実現される。
【0111】
第3実施例によれば、ロック部材80は、プッシャ72に、プッシャ72の移動方向とは異なる方向に変位可能に設けられる。従って、ロック部材80がプッシャ72にコンパクトに組み込まれる。第3実施例によれば、プッシャ22の移動方向に沿ってロック部材28が進退する第1実施例に比して、プッシャ72の移動方向によりコンパクトな領域でロック部材80を変位させることができる。
【0112】
第3実施例によれば、ロック部材80は、打ち込み方向である下部に係合部80aを有し、上部に当接部80bを有する。従って、上部の当接部80bが工具本体10の規制面16fによって上方への変位が規制されることで係合部80aがコンタクトアーム17の移動経路に進入するようにロック部材80が変位する。
【0113】
第3実施例によれば、当接部80bは工具本体10側に向けて突き出された部位である。従って、当接部80bが工具本体10の規制面16fに当接して上方への変位が確実に規制される。
【0114】
第3実施例によれば、ロック部材80は、プッシャ72の移動方向を含む面に沿って回転する。従って、プッシャ72の移動方向についてよりコンパクトな領域でロック部材80が変位する。
【0115】
第3実施例によれば、マガジン70において打ち込み具tは、打ち込み通路16aに近づくほど打ち込み方向に向けて送られる。従って、打ち込み具tの送り方向が打ち込み方向に対して傾斜するアングルタイプの打ち込み工具60について、プッシャ72にコンパクトに組み込まれたロック部材80により確実な空打ち防止が実現される。
【0116】
第1実施例の打ち込み工具1、第2実施例の打ち込み工具40、第3実施例の打ち込み工具60が本開示の1つの局面における打ち込み工具の一例である。第1、第2、第3実施例の打ち込み具tが本開示の1つの局面における打ち込み具の一例である。第1、第2、第3実施例の被打ち込み材Wが本開示の1つの局面における被打ち込み材の一例である。第1、第2、第3実施例のドライバ2が本開示の1つの局面におけるドライバの一例である。
【0117】
第1、第2、第3実施例のリフト機構30が本開示の1つの局面におけるリフト機構の一例である。第1、第2、第3実施例の工具本体10が本開示の1つの局面における工具本体の一例である。第1、第2、第3実施例のコンタクトアーム17が本開示の1つの局面におけるコンタクトアームの一例である。
【0118】
第1実施例のマガジン20、第2実施例のマガジン41、第3実施例のマガジン70が本開示の1つの局面におけるマガジンの一例である。第1、第2、第3実施例の打ち込み通路16aが本開示の1つの局面における打ち込み通路の一例である。第1実施例のプッシャ22、第2実施例のプッシャ43、第3実施例のプッシャ72が本開示の1つの局面におけるプッシャの一例である。
【0119】
第1実施例のロック部材28、第2実施例のロック部材45、第3実施例のロック部材80が本開示の1つの局面におけるロック部材の一例である。第1、第2、第3実施例のロック部17cの上方が、本開示の1つの局面におけるコンタクトアームの移動経路の一例である。