(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127710
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】座席指定装置、及び座席指定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132128
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2023036717
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023036718
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】照内 拓之
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA12
5L049AA12
(57)【要約】
【課題】フリーアドレス座席の中から業務に適した座席を指定する。
【解決手段】座席指定装置10は、情報取得部11及び座席指定部12を有する。情報取得部11は、対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の情報を取得する。座席指定部12は、WEB会議の情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、対象日にユーザが使用する座席をユーザに対して指定する。これにより、フリーアドレス座席の中から業務内容に応じた適切な座席を指定することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の情報を取得する情報取得部と、
前記WEB会議の情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する座席指定部と、を備える、
座席指定装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、対象日における前記ユーザが参加する予定のWEB会議における参加予定者に関する情報を取得し、
前記座席指定部は、前記WEB会議における参加予定者に関する情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項1に記載の座席指定装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記ユーザが参加する予定のWEB会議の参加予定者に関する情報として、前記WEB会議の参加予定者の属性に関する情報を取得し、
前記座席指定部は、前記WEB会議の参加者予定者の属性に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項2に記載の座席指定装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、前記WEB会議の参加予定者の属性に関する情報として、前記ユーザが属する組織において上位の属性を有する参加者の人数又は割合を取得し、
前記座席指定部は、前記上位の属性を有する参加者の人数又は割合が多いほど、情報秘匿性の高い座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項3に記載の座席指定装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記WEB会議の参加予定者の属性に関する情報として、前記ユーザと異なる組織に属する参加者の人数又は割合を取得し、
前記座席指定部は、前記ユーザと異なる組織に属する参加者の人数又は割合が多いほど、情報秘匿性の高い座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項3又は4に記載の座席指定装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、対象日における前記ユーザが参加する予定のWEB会議における実施予定情報を取得し、
前記座席指定部は、前記WEB会議の実施予定情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項1に記載の座席指定装置。
【請求項7】
前記情報取得部は、前記WEB会議における実施予定情報として、前記ユーザが参加する予定のWEB会議の合計参加予定時間または参加予定回数を取得し、
前記座席指定部は、前記合計参加予定時間または前記参加予定回数に応じて、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項6に記載の座席指定装置。
【請求項8】
前記座席指定部は、前記合計参加予定時間が長いほど、情報秘匿性の高い座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項7に記載の座席指定装置。
【請求項9】
前記座席指定部は、前記参加予定回数が多いほど、情報秘匿性の高い座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項7に記載の座席指定装置。
【請求項10】
前記情報取得部は、対象日における前記ユーザが参加する予定のWEB会議の開催時間に関する情報を取得し、
前記座席指定部は、前記WEB会議の開催時間に関する情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項1に記載の座席指定装置。
【請求項11】
前記座席指定部は、WEB会議の開催時間の共通性が高い人物が集まるように、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項10に記載の座席指定装置。
【請求項12】
前記座席指定部は、WEB会議の開催時間の共通性が高い順に配置されるように、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項11に記載の座席指定装置。
【請求項13】
前記座席指定部は、WEB会議の開催時間の共通性が低い人物が集まるように、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
請求項10に記載の座席指定装置。
【請求項14】
対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の情報を取得し、
前記WEB会議の情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する、
座席指定装置が実行する座席指定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、座席指定装置、及び座席指定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業において、座席を固定しないフリーアドレスシステム(例えば、特許文献1及び2)の導入が拡大している。フリーアドレスを導入することで、様々な部署の人のコミュニケーションの増大、オフィスの省スペース化、必要に応じて必要なメンバーが集合できる、レイアウトの変更が用意であるなど、様々なメリットが有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-212096号公報
【特許文献2】特開2022-146524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、フリーアドレスシステムでは、フリーアドレス座席の中から指定された座席が、行うべき業務にとって支障のある環境である場合も生じ得る。これに対し、特許文献1及び2においては、1日の業務内容における発話や表示資料の秘匿レベルや周囲の発話状態などを考慮した座席の指定を行うことができない。その結果、秘匿が求められる情報の漏洩防止や、周囲の音声による集中力の低下を抑制することが困難である。
【0005】
本開示の目的は、上記の事情に鑑み、フリーアドレス座席の中から業務に適した座席を指定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる座席指定装置は、対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の情報を取得する情報取得部と、前記WEB会議の情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する座席指定部と、を備える。
【0007】
本開示にかかる座席指定装置が実行する座席指定方法は、対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の情報を取得し、前記WEB会議の情報に基づき、フリーアドレス座席の中から、前記対象日に前記ユーザが使用する座席を前記ユーザに対して指定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、フリーアドレス座席の中から業務に適した座席を指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる座席指定装置を実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる社内システムの構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる座席指定装置の構成を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態1にかかる社内システムにおける座席指定処理のフローチャートである。
【
図5】社員証に座席アドレスを表示する例について示す図である。
【
図6】フリーアドレス座席のクラスの例を示す図である。
【
図7】実施の形態1にかかる座席決定処理のフローチャートである。
【
図8】実施の形態2にかかる座席決定処理のフローチャートである。
【
図9】上位属性の参加者の数及び社外属性の参加者の有無に応じた座席決定処理のフローチャートである。
【
図10】実施の形態3にかかる座席決定処理のフローチャートである。
【
図11】実施の形態4にかかる座席決定処理のフローチャートである。
【
図12】実施の形態5にかかる社内システムの構成を模式的に示す図である。
【
図13】実施の形態5にかかる社内システムにおける座席指定処理のフローチャートである。
【
図14】実施の形態5にかかる座席決定処理のフローチャートである。
【
図15】複数の社員のWEB会議参加予定の例を示す図である。
【
図16】フリーアドレス座席の指定の第1の例を示す図である。
【
図17】フリーアドレス座席の指定の第2の例を示す図である。
【
図18】フリーアドレス座席の指定の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
まず、以下の実施の形態において説明する座席指定装置を理解するための前提として、座席指定装置を実現するためのシステム構成について説明する。
図1に、実施の形態1にかかる座席指定装置を実現するためのシステム構成の一例を示す。座席指定装置は、社内で運用されるサーバなどの専用コンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータ1000により実現可能である。但し、コンピュータは、物理的に単一である必要はなく、分散処理を実行する場合には、複数であってもよい。
図1に示すように、コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002及びRAM(Random Access Memory)1003を有し、これらがバス1004を介して相互に接続されている。尚、コンピュータを動作させるためのOS(Operating System)ソフトなどは、説明を省略するが、この情報処理装置を構築するコンピュータも当然有しているものとする。
【0012】
バス1004には、入出力インターフェイス1005が接続されている。入出力インターフェイス1005には、入力部1006、出力部1007、通信部1008及び記憶部1009が接続される。
【0013】
入力部1006は、例えば、キーボード、マウス、センサなどより構成される。出力部1007は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ装置やヘッドフォン及びスピーカなどの音声出力装置により構成される。通信部1008は、例えば、ルータやターミナルアダプタなどにより構成される。記憶部1009は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶装置により構成される。
【0014】
CPU1001は、ROM1002に記憶されている各種プログラム、又は記憶部1009からRAM1003にロードされた各種プログラムに従って各種の処理を行うことが可能である。本実施の形態においては、CPU1001は、例えば後述する座席指定装置10、情報管理装置110及び勤怠管理システム120の全て又は一部における各処理を実行する。CPU1001とは別にGPU(Graphics Processing Unitを設け、CPU1001と同様に、ROM1002に記憶されている各種プログラム、又は記憶部1009からRAM1003にロードされた各種プログラムに従って各種の処理、本実施の形態においては、例えば後述する座席指定装置10、情報管理装置110及び勤怠管理システム120の全て又は一部における各処理を実行してもよい。なお、GPUは、定型的な処理を並列的に行う用途に適しており、後述するニューラルネットワークにおける処理などに適用することで、CPU1001に比べて処理速度を向上させることも可能である。RAM1003には又、CPU1001及びGPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0015】
通信部1008は、ネットワークを介して、後述する、他のサーバや他のシステムと双方向の通信を行う、例えば、通信モジュールなどで構成される。通信部1008は、CPU1001から提供されたデータを他のサーバや他のシステムへ送信したり、他のサーバや他のシステムから受信したデータをCPU1001、RAM1003及び記憶部1009などへ出力することができる。通信部1008は、例えば、LAN(Local Area Network)や、Wi-Fi(登録商標)を用いた通信を行う。
【0016】
実施の形態1
以下で説明する座席指定装置は、複数のフリーアドレス座席が設定された空間において、座席の割り当てが必要なユーザに対して、特定のフリーアドレス座席を指定する装置として構成される。座席指定装置は、例えば、特定の企業に設置される社内のサーバで運用される。
【0017】
以下、座席指定装置は、特定の企業の社内システムに設けられるものとして説明する。
図2に、実施の形態1にかかる社内システム100の構成を模式的に示す。社内システム100は、社員の勤務管理や社内における情報の管理を行うシステムとして構成される。この例では、社内システム100は、座席指定装置10、情報管理装置110及び勤怠管理システム120を有する。座席指定装置10、情報管理装置110及び勤怠管理システム120は、ネットワーク101を介して通信可能に接続される。
【0018】
情報管理装置110は、各社員の職位などを示す社員情報INFと、各社員のWEB会議の予定情報として、WEB会議への参加予定を示すWEB会議参加予定情報MSと、を少なくとも保持しており、要求に応じて特定の社員の社員情報INF及びWEB会議参加予定情報MSを提供することができる。WEB会議参加予定情報MSは、WEB会議への参加人数、参加する者を特定するための情報、開催方法、開催時間などが含まれる。WEB会議へ参加する者は、特定の企業の社員に限られるものではなく、他の企業の社員などの他の組織や機関に属する者など、各種の属性を有する者が含まれてもよい。WEB会議参加予定情報MSは、WEB会議システムを提供する外部のシステムから取得してもよい。社員情報INFは、各社員の職位を示す情報や、各社員がフリーアドレス座席の指定対象の社員であるか否かを示す情報を含んでいる。
【0019】
勤怠管理システム120は、フリーアドレス座席を利用する社員の出社及び退社を管理するシステムとして構成される。この例では、勤怠管理システム120は、ゲート装置121及び勤怠管理装置122を有する。
【0020】
ゲート装置121は、フリーアドレス座席が設けられた部屋又は区画を含む企業の出入口に配置される装置であり、出入口を通過する社員の出社及び退社を検出する。例えば、社員が所持している社員証などのIDカードをゲート装置121にかざすことで、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)によって、その社員の出社及び退社を検出できる。ゲート装置121は、社員の出社または退社を検出した場合、検出したことを勤怠管理装置122に通知する。このとき、ゲート装置121は、例えば、IDカードから読み取ったゲート装置121を通過した社員を識別するための情報、例えば社員IDなどの情報、ゲート装置121を通過した時刻を示す情報などを、勤怠管理装置122に通知することができる。
【0021】
勤怠管理装置122は、ゲート装置121から特定の社員についての出社通知を受け取った場合、通知信号NSを座席指定装置10へ送信する。勤怠管理装置122は、特定の社員についての出社通知含む通知信号NSを、当日の初回の出社時に、座席指定装置10へ送信することとしてもよい。
【0022】
なお、勤怠管理システム120が座席指定装置10と連携して管理する範囲は、フリーアドレス座席が設けられた部屋又は区画に限定されてもよい。
【0023】
座席指定装置10は、フリーアドレス座席の対象者となる社員に対して、その日に使用する座席を、フリーアドレス座席の中から指定する。
図3に、座席指定装置10の構成を模式的に示す。座席指定装置10は、情報取得部11及び座席指定部12を有する。
【0024】
情報取得部11は、対象日におけるユーザが参加する予定のWEB会議の予定情報を取得する。この場合の対象日とは、フリーアドレス座席の対象者となる社員に対して座席を指定する任意の日であり、フリーアドレス座席の対象者となる社員が出社した日である。また、この場合のユーザとは、フリーアドレス座席の対象者となる社員である。
【0025】
情報取得部11は、勤怠管理装置122から、フリーアドレス座席の対象者となる社員が出社したことを示す通知信号NSを受け取った場合、情報管理装置110から、通知信号NSにかかる社員Wの社員情報INF及びその日のWEB会議参加予定情報MSを取得する。
【0026】
情報取得部11は、社員WのWEB会議参加予定情報MSとして、社員Wが参加予定のWEB会議の回数、各々のWEB会議における他の参加予定者に関する情報を取得する。WEB会議における他の参加予定者に関する情報とは、WEB会議における他の参加予定者の人数、および他の参加予定者各々の属性を示す情報である。WEB会議における他の参加予定者の属性を示す情報とは、例えば、職位を示す情報であり、社員Wに対して上位属性、つまり上位の職位であることが判断できる情報である。
【0027】
情報取得部11は、WEB会議における他の参加予定者の属性を示す情報に基づき、社員Wが属する組織において上位の属性を有する参加者の人数又は割合を取得する。
【0028】
座席指定部12は、情報取得部11が取得した情報に応じて、フリーアドレス座席の中から、社員Wに割り当てる座席を指定する情報を生成する。以下では、社員Wに割り当てる座席を指定する情報を、座席指定情報OUTと称する。
【0029】
座席指定部12は、情報取得部11が取得した、WEB会議参加予定情報MSに基づき、フリーアドレス座席の中から、社員Wに割り当てる座席を指定する情報を生成する。WEB会議参加予定情報MSとは、前記WEB会議の参加予定者の属性を示す情報である。座席指定部12は、例えば、WEB会議の参加予定者が、社員Wに対して、上位の属性を有する参加者の人数又は割合が多いほど、情報秘匿性の高い座席を社員Wに割り当てる。
【0030】
次いで、社員Wに対する座席指定処理について説明する。
図4に、実施の形態1にかかる社内システム100における座席指定処理のフローチャートを示す。
図4に示すフローチャートは、説明を容易にするために、処理の開始及び処理の終了を示しているが、
図4に示す処理は、常時動作している。
【0031】
ステップS1
勤怠管理装置122は、ゲート装置121からの通知に応じて社員Wが出社したことを検出した場合(ステップS1:YES)、通知信号NSを座席指定装置10へ送信し、ステップS2に推移する。言い換えると、勤怠管理装置122は、ゲート装置121を通過した社員を特定し、特定した社員が出社したことを検出する。ここでは、出社した社員を社員Wとして説明する。
【0032】
ステップS2
情報取得部11は、通知信号NSを受けとった場合、情報管理装置110から社員Wの社員情報INFを取得し、社員情報INFに基づいて、社員Wがフリーアドレス座席を指定すべき対象の社員であるか否かを判定する。
【0033】
社員Wがフリーアドレスを指定する対象の社員ではない場合(ステップS2:NO)、フリーアドレス座席を指定する必要はないので、座席指定装置10は処理を終了する。
【0034】
ステップS3
社員Wがフリーアドレスを指定する対象の社員である場合(ステップS2:YES)、情報取得部11は、情報管理装置110から、対象日における社員WのWEB会議参加予定情報MSを取得して、座席指定部12に転送する。
【0035】
ステップS4
座席指定部12は、WEB会議参加予定情報MSに基づいて、社員Wにフリーアドレス座席を指定する。
【0036】
例えば、座席指定部12は、フリーアドレス座席の中から、社員Wに割り当てる座席を指定する座席指定情報OUTを生成し、各種の方法によって、社員Wに対して座席指定情報OUTを提供する。社員Wは、座席指定情報OUTを参照することにより、その対象日に使用すべき座席を把握することができる。
【0037】
例えば、座席指定部12は、座席指定情報OUTを勤怠管理システム120に送信して、ゲート装置121に設けたモニタなどの表示装置に、座席指定情報OUTを表示してもよい。
【0038】
また、例えば、社員Wがゲート装置121に社員証をかざしたときに、NFCを利用して、社員証に設けられた電子インク(例えば、E-ink、登録商標)などの電子表示部に、座席アドレスを表示してもよい。
図5に、社員証に座席アドレスを表示する例について示す。社員Wは、社員証130の表示欄131に表示された指定座席を確認することで、どの座席を使用すればよいかを把握することができる。
【0039】
次いで、座席指定部12における社員Wの座席の指定方法について説明する。まず、社員Wに割り当てるフリーアドレスの座席は、周囲の座席との距離やパーテーション等の有無によって、複数のクラスに分類される。
【0040】
図6に、フリーアドレス座席のクラスの例を示す。ここでは、フリーアドレスの座席が、クラスS及びクラスA~Cの4つのクラスに分類されるものとする。
【0041】
クラスSの座席は、周囲の座席との距離が大きい座席であり、パーテーションが有る座席や個室の座席なども含まれる。クラスSの座席は、隣接する座席から大きく離れ、又は、パーテーションや個室によって仕切られているため、WEB会議の内容が周囲に漏洩しにくい情報秘匿性の高い座席である。
【0042】
クラスAの座席は、周囲の座席との距離が大きい座席であり、例えば、周囲の座席に対して半径で5m以上離れている座席である。クラスAの座席は、クラスSの座席と比べて隣の座席に近いが5m以上は離れており、クラスSの座席には及ばないものの、情報秘匿性が比較的高い座席である。
【0043】
クラスBの座席は、クラスAの座席と比較して周囲の座席との距離が小さく、例えば、周囲の座席に対して半径で4m程度離れている座席である。クラスBの座席は、隣の座席から4m程度は離れており、クラスAの座席には及ばないものの、一定の情報秘匿性が確保された座席である。
【0044】
クラスCの座席は、クラスBの座席と比較して周囲の座席との距離が小さく、例えば、周囲の座席に対して半径2m程度離れている座席である。クラスBの座席は、隣の座席から2m程度しか離れてらず、情報秘匿性が低いと考えられる座席である。
【0045】
本実施の形態では、座席指定部12は、社員Wが参加する予定のWEB会議の参加者の中で上位属性の参加者の人数が多いほど、社員Wに対して、密集性の低い座席、すなわち情報秘匿性の高い座席を指定する。上位属性の参加者とは、例えば部長以上などの職位が高く、機密情報を扱うことが多い参加者を指している。また、本実施の形態では、フリーアドレス座席から使用する座席が指定される社員Wは、上位属性の参加者ではないものとする。
【0046】
WEB会議に参加する上位属性の者の人数(他の参加者)と対応座席の例を示す。この例では、社員Wに対して、以下の基準によって、指定する座席のクラスが決定される。
上位属性参加人数が3名以上:クラスSの座席
上位属性参加人数が1名又は2名:クラスAの座席
上位属性参加人数が0名:クラスCの座席
【0047】
座席指定部12は、対象日について、社員Wが1つ以上のWEB会議に参加する場合、上位属性の参加予定人数が最大のWEB会議における上位属性の参加予定人数に基づいて、社員Wの座席を指定する。
図7に、実施の形態1にかかる座席決定処理のフローチャートを示す。
図7に示す処理は、
図4におけるステップS4において実行される処理である。
【0048】
ステップS11
座席指定部12は、対象日、つまり社員Wが出社した当日について、特定の社員Wが参加する1つ以上のWEB会議の上位属性の参加予定人数が最大のWEB会議を特定し、特定したWEB会議の上位属性の参加予定人数が3名以上であるか否かを判定する。
【0049】
ステップS12
特定したWEB会議の上位属性の参加予定人数が3名以上である場合(ステップS11:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスSの座席を指定して、処理を終了する。
【0050】
ステップS13
特定したWEB会議の上位属性の参加予定人数が3名よりも少ない場合(ステップS11:NO)、座席指定部12は、そのWEB会議の上位属性の参加予定人数が1名又は2名であるか否かを判定する。
【0051】
ステップS14
特定したWEB会議の上位属性の参加予定人数が1名又は2名である場合(ステップS13:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスAの座席を指定して、処理を終了する。
【0052】
ステップS15
特定したWEB会議の上位属性の参加予定人数が1名又は2名ではない場合(ステップS13:NO)、すなわち、上位属性の参加者が居ない場合、座席指定部12は、社員Wに対してクラスCの座席を指定して、処理を終了する。
【0053】
以上の処理により、座席指定部12は、上位属性の参加人数に応じて、適切なクラスの座席を社員Wに対して指定することができる。
【0054】
次いで、具体例について説明する。この例では、対象日において、特定の社員Wが参加する3つのWEB会議M1~M3が予定されており、それぞれのミーティングの上位属性参加予定者の人数は、以下の通りである場合を想定する。
WEB会議M1:上位属性の参加予定者:0名
WEB会議M2:上位属性の参加予定者:2名
WEB会議M3:上位属性の参加予定者:1名
【0055】
この場合、WEB会議M1~M3での上位属性の参加予定者の最大値は2名であるので、社員Wに対してクラスAの座席が指定されることとなる。
【0056】
また、上位属性の参加者が予定されているWEB会議が所定回数(例えば1回)以下であり、かつ、各WEB会議の予定時間が所定時間(例えば30分)以下である場合には、これらのWEB会議時に用いる座席として、クラスCの座席を指定してもよい。また、上位属性の参加者が予定されているWEB会議の時間が所定時間以上で有る場合には、そのWEB会議を行うときに用いる座席として、クラスAの座席を指定してもよい。つまり、この場合には、社員Wは、参加するWEB会議に応じて、指定されたクラスAの座席とクラスCの座席との間で、移動することとなる。
【0057】
一般に、WEB会議に参加する上位属性参加者の人数が多いほど、そのWEB会議において機密性の高い情報を扱う可能性が高くなることが予想される。そこで、本構成では、WEB会議に参加する上位属性参加者の人数が多いほど、社員Wに対して、WEB会議への参加に使用する座席として密集性の低い座席を指定することで、周囲への情報漏洩を防止することができる。換言すれば、社員Wに対して、WEB会議への参加に使用する座席として密集性の低いことにより情報秘匿性が高い座席を指定することができる。
【0058】
次いで、座席指定部12による座席指定について、具体例によって説明する。例えば、ある区画Fにおいて200座席のフリーアドレス座席が設定されており、ある対象日に、利用人数140名に対して区画Fのフリーアドレス座席を割り当てる場合について検討する。
【0059】
区画Fのフリーアドレス座席200座席の内訳は、デフォルト状態において、クラスSが10座席、クラスAが20座席、クラスBが60座席、クラスCが110座席であるものとする。
【0060】
また、対象日における区画Fの利用人数は140名であり、座席需要の内訳は、クラスSが12座席、クラスAが20座席、クラスBが30座席、クラスCが78座席であるものとする。
【0061】
この場合、クラスSについては、設定されている座席の数よりも需要の方が多いため、このままでは需要に見合った座席の割り当てができない。そこで、座席指定部12は、各クラスに設定されている座席の数を変更して、需要に見合う座席の指定を行う。ここでは、以下のルールに従って、座席のクラス変更を行うものとする。
【0062】
クラス変更ルール1:クラスC→クラスB
デフォルトで設定されたクラスCの3座席を、クラスBの1座席に変更する。例えば、デフォルトで設定されたクラスCの1座席の左右の2座席を空席とし、この3座席をクラスBの1座席として運用することができる。
【0063】
クラス変更ルール2:クラスB→クラスA
デフォルトで設定されたクラスBの3座席を、クラスAの1座席に変更する。例えば、デフォルトで設定されたクラスBの1座席の左右の2座席を空席とし、この3座席をクラスAの1座席として運用することができる。
【0064】
クラス変更ルール3:クラスA→クラスS
デフォルトで設定されたクラスAの5座席を、クラスSの1座席に変更する。この場合、例えば、デフォルトで設定されたクラスAの1座席の前後左右の4座席を空席とすることで、この5座席をクラスSの1座席として運用する。
【0065】
座席指定部12は、このルールに従って、座席のクラス変更を行って、需要に応じた座席の指定を行う。クラスSの座席需要が12座席であるのに対し、デフォルト状態においてクラスSには10座席しか設定されていないため、座席指定部12は、このクラスSの10座席の全てを需要に対して指定する。しかし、需要に対してクラスSの座席が2座席足りないため、上記のクラス変更ルール3に従って、クラスAの10座席をクラスSの2座席に変更して、指定する。この結果、クラスSの座席数は10座席から12座席に変更され、かつ、クラスAの座席数は20座席から10座席に変更される。
【0066】
次に、クラスAの座席需要が20座席であるのに対し、クラスAには10座席しか設定されていないため、座席指定部12は、このクラスAの10座席の全てを需要に対して指定する。しかし、需要に対してクラスAの座席が10座席足りないため、上記のクラス変更ルール2に従って、クラスBの30座席をクラスAの10座席に変更して、指定する。この結果、クラスAの座席数は10座席から20座席に変更され、かつ、クラスBの座席数は60座席から30座席に変更される。
【0067】
次に、クラスBの座席需要が30座席であるのに対し、クラスBには30座席が設定されているため、座席指定部12は、このクラスBの30座席の全てを需要に対して指定する。これにより、クラスBの座席需要を充足することができる。また、クラスCの座席需要が78座席であるので、クラスCの110座席から78座席を指定することで、クラスCの座席需要を充足することができる。
【0068】
このように、座席指定部12は、各クラスの座席需要に応じて、下位クラスの複数の座席を、1つ上位のクラスの座席に変更する処理を行うことで、各クラスの座席需要に応じた座席を指定することができる。
【0069】
実施の形態2
実施の形態1では、WEB会議には社員のみが参加するものとして想定したが、WEB会議によっては社外の者が参加する場合も想定される。そこで、本実施の形態では、社外の参加者がいる場合の座席の指定方法について説明する。
【0070】
情報取得部11は、社員WのWEB会議参加予定情報MSとして、社員Wが参加予定のWEB会議の回数、各々のWEB会議における他の参加予定者に関する情報を取得する。WEB会議における他の参加予定者に関する情報とは、WEB会議における他の参加予定者の人数、および他の参加予定者各々の属性を示す情報である。WEB会議における他の参加予定者の属性を示す情報とは、例えば、社外の参加者、つまり社外属性の参加者であることを示す情報であり、社員Wとは異なる組織に属していることが判断できる情報である。
【0071】
情報取得部11は、WEB会議における他の参加予定者の属性を示す情報に基づき、社員Wと異なる組織に属する参加者の人数又は割合を取得する。
【0072】
座席指定部12は、ある対象日について、特定の社員Wが1つ以上のWEB会議に参加する場合、社外属性の参加者の有無に基づいて、社員Wの座席を指定する。座席指定部12は、例えば、WEB会議の参加予定者において、社員Wとは異なる組織に属する参加者の人数又は割合が多いほど、情報秘匿性の高い座席を社員Wに割り当てる。
図8に、実施の形態2における座席決定処理のフローチャートを示す。
図8に示す処理は、
図4におけるステップS4において実行される処理である。
【0073】
ステップS21
座席指定部12は、ある対象日、つまり社員Wが出社した当日について、特定の社員Wが参加する1つ以上のWEB会議のいずれかに、社外属性の参加者の有無を判定する。
【0074】
ステップS22
社外属性の参加者が有ると判定された場合(ステップS21:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスSの座席を指定して、処理を終了する。
【0075】
ステップS23
社外属性の参加者が有ると判定されない場合(ステップS21:NO)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスCの座席を指定して、処理を終了する。
【0076】
以上の処理により、座席指定部12は、社外属性の参加者の有無に応じて、適切なクラスの座席を社員Wに対して指定することができる。つまり、ある対象日について、社外属性の参加するWEB会議が1つ以上でも有る場合には、社員Wに対して情報秘匿性が高いクラスSの座席が指定される。社外属性の参加するWEB会議が無い場合には、情報秘匿性に対する要求を緩和できるため、社員Wに対してクラスCの座席が指定される。
【0077】
次いで、具体例について説明する。対象日において、特定の社員Wが参加する3つのWEB会議M1~M3が予定されており、それぞれのミーティングの社外属性参加予定者の有無が、以下の通りである場合を想定する。
WEB会議M1:社外属性の参加予定者:無
WEB会議M2:社外属性の参加予定者:無
WEB会議M3:社外属性の参加予定者:有
【0078】
よって、上述の例では、WEB会議M3では社外属性の参加者がいるため、社員Wに対してクラスSの座席が指定されることとなる。
【0079】
また、社外属性の参加者が予定されているWEB会議が所定回数(例えば1回)以下であり、かつ、そのWEB会議の予定時間が所定時間(例えば30分)以下である場合には、これらのWEB会議時に用いる座席として、クラスCなどの、クラスSよりも情報秘匿性が低い座席を指定してもよい。この場合には、社外の参加社とのWEB会議であっても、短時間の開催であることに鑑みれば、機密性の高い情報が取り扱われる可能性は低いと考えられるため、これに応じて、情報秘匿性が低い座席を指定している。これにより、多くのスペースを必要とする情報秘匿性の高い座席の使用を抑制し、フリーアドレス座席を効率的に運用することが可能となる。
【0080】
また、上述した説明においては、WEB会議において、社外属性の参加者の有無に基づき、社外属性の参加者が含まれる場合は、情報秘匿性の高い座席を指定することとした。これに対し、社外属性の参加者の人数又は割合が多いほど、情報秘匿性の高い座席を指定することとしてもよい。
【0081】
例えば、WEB会議の参加者において、社外属性の参加者の人数が3名未満の場合と3名以上の場合とで、3名以上の場合は、3名未満の場合よりさらに情報秘匿性の高い座席を指定することとしてもよい。また、WEB会議の参加者において、社外属性の参加者の割合が10%未満である場合と、10%以上である場合とで、10%以上の場合は、10%未満の場合よりさらに情報秘匿性の高い座席を指定することとしてもよい。
【0082】
なお、実施の形態1における上位属性の参加者の数に応じた座席決定と、実施の形態2における社外属性の参加者の有無に応じた座席決定とは、組み合わせて用いることも可能である。
図9に、上位属性の参加者の数及び社外属性の参加者の有無に応じた座席決定処理のフローチャートを示す。
【0083】
図9の座席決定処理では、
図7のステップS11の前にステップS21が挿入される。そして、ステップS21において社外属性の参加者が居る場合と判定された場合にはステップS12へ処理を進め、社外属性の参加者が無いと判定された場合にはステップS11へ処理を進める。
【0084】
これによれば、座席指定部12は、上位属性の参加者の数及び社外属性の参加者の有無に応じて、適切なクラスの座席を社員Wに対して指定することができる。
【0085】
実施の形態3
上述の実施の形態では、WEB会議の参加者の人数及び属性に応じてた座席指定について説明した。しかし、WEB会議の参加者の人数及び属性以外の情報に着目して、社員Wの座席を指定することも可能である。そこで、本実施の形態では、ある対象日において、社員WのWEB会議の合計参加予定時間に基づいて、座席を指定する。
【0086】
情報管理装置110は、各社員の職位などを示す社員情報INFと、各社員のWEB会議の実施予定情報として、WEB会議の実施予定を示すWEB会議実施予定情報MSと、を少なくとも保持しており、要求に応じて特定の社員の社員情報INF及びWEB会議実施予定情報MSを提供することができる。WEB会議実施予定情報MSは、WEB会議への参加人数、参加する者を特定するための情報、開催方法、開催回数、開催予定時間などが含まれる。WEB会議の参加予定時間は、WEB会議毎に設定されたWEB会議の開始予定時刻から終了予定時刻までの時間長である。
【0087】
情報取得部11は、対象日におけるユーザである社員Wが参加する予定のWEB会議の実施予定情報を取得する。情報取得部11は、勤怠管理装置122から、フリーアドレス座席の対象者となる社員が出社したことを示す通知信号NSを受け取った場合、情報管理装置110から、通知信号NSにかかる社員Wの社員情報INF及びその日のWEB会議実施予定情報MSを取得する。
【0088】
情報取得部11は、社員WのWEB会議実施予定情報MSとして、社員Wが参加する予定のWEB会議の回数、各々のWEB会議における合計参加予定時間に関する情報を取得する。WEB会議の合計参加予定時間とは、社員Wが参加予定のWEB会議における予定された時間長の合計である。したがって、本実施の形態においては、
図4におけるステップS3の処理において、「WEB会議参加予定情報を取得」を、「WEB会議実施予定情報を取得」に置き換える。
【0089】
座席指定部12は、情報取得部11が取得した、WEB会議実施予定情報MSに基づき、フリーアドレス座席の中から、社員Wに割り当てる座席を指定する情報を生成する。WEB会議実施予定情報MSとは、社員Wが参加予定のWEB会議の合計参加予定時間であり、座席指定部12は、WEB会議の合計参加予定時間に応じて、フリーアドレス座席の中から、社員Wが使用する座席を指定する。
【0090】
座席指定部12は、社員Wが参加予定のWEB会議の合計参加予定時間が長いほど、情報秘匿性の高い座席を指定する。
【0091】
ここでは、社員WのWEB会議の合計参加予定時間Tに応じて、以下のルールで座席を指定する。
合計参加予定時間Tが0時間(WEB会議予定なし)の場合:クラスC
合計参加予定時間Tが2時間以下の場合(0時間<T≦2時間):クラスB
合計参加予定時間Tが2時間より長く、かつ、4時間以下の場合(2時間<T≦4時間):クラスA
合計参加予定時間Tが4時間より長い場合(4時間<T):クラスS
【0092】
図10に、実施の形態3にかかる座席決定処理のフローチャートを示す。
【0093】
ステップS31
座席指定部12は、ある対象日について、社員Wが参加するWEB会議の有無、すなわち、WEB会議への合計参加予定時間が0であるか否かを判定する。
【0094】
ステップS32
社員Wが参加予定のWEB会議が無いと判定された場合、すなわちWEB会議への合計参加予定時間が0であると判定された場合(ステップS31:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスCの座席を指定して、処理を終了する。
【0095】
ステップS33
社員Wが参加するWEB会議が有ると判定された場合、すなわちWEB会議への合計参加予定時間が0ではないと判定された場合(ステップS31:NO)、座席指定部12は、社員Wが参加するWEB会議への合計参加予定時間が4時間よりも長いか否かを判定する。
【0096】
ステップS34
合計参加予定時間が4時間よりも長いと判定された場合(ステップS33:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスSの座席を指定して、処理を終了する。
【0097】
ステップS35
合計参加予定時間が4時間よりも長いと判定されない場合(ステップS33:NO)、座席指定部12は、合計参加予定時間が2時間よりも長く、かつ、4時間以下であるか否かを判定する。
【0098】
ステップS36
合計参加予定時間が2時間よりも長く、かつ、4時間以下であると判定された場合(ステップS35:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスAの座席を指定して、処理を終了する。
【0099】
ステップS37
合計参加予定時間が2時間よりも長く、かつ、4時間以下であると判定されない場合、つまり、合計参加予定時間が0ではなく、且つ、2時間以下であると判定された場合(ステップS35:NO)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスBの座席を指定して、処理を終了する。
【0100】
以上の処理により、座席指定部12は、社員WのWEB会議への合計参加予定時間に応じて、適切なクラスの座席を社員Wに対して指定することができる。
【0101】
次いで、具体例について説明する。対象日において、特定の社員Wに対し、参加予定のWEB会議M1~M3が設定されており、それぞれのWEB会議における予定時間が、以下の通りである場合を想定する。
WEB会議M1の予定時間:1時間
WEB会議M2の予定時間:1時間
WEB会議M3の予定時間:1時間
【0102】
この場合、対象日における社員WのWEB会議の合計参加予定時間は3時間であるので、上記のルールに基づいて、社員Wに対してクラスAの座席が指定される。
【0103】
一般に、WEB会議に参加する時間が長いほど、扱われる情報の管理が困難になることが想定される。そのため、社員Wに対して、WEB会議に参加する時間が長いほど情報秘匿性の高い座席を指定することで、情報漏洩のおそれを低減することができる。
【0104】
なお、社員Wが参加するWEB会議において、機密性の高い情報を取り扱う可能性が無い又は低いことが予め判明している場合には、クラスCなどの、情報秘匿性の低い座席を指定してもよい。
【0105】
実施の形態4
実施の形態3では、ある対象日における社員WのWEB会議の合計参加予定時間に応じて座席を指定した。これに対し、本実施の形態では、ある対象日における社員Wが参加するWEB会議の参加予定回数に基づいて、座席を指定する。
【0106】
情報管理装置110は、各社員の職位などを示す社員情報INFと、各社員のWEB会議の実施予定情報として、WEB会議への実施予定を示すWEB会議実施予定情報MSと、を少なくとも保持しており、要求に応じて特定の社員の社員情報INF及びWEB会議実施予定情報MSを提供することができる。WEB会議実施予定情報MSは、WEB会議への参加人数、参加する者を特定するための情報、開催方法、開催回数、開催予定時間などが含まれる。
【0107】
情報取得部11は、社員WのWEB会議実施予定情報MSとして、社員Wが参加予定のWEB会議の回数に関する情報を取得する。本実施の形態においては、
図4におけるステップS3の処理において、「WEB会議参加予定情報を取得」を、「WEB会議実施予定情報を取得」に置き換える。
【0108】
座席指定部12は、情報取得部11が取得した、WEB会議実施予定情報MSに基づき、フリーアドレス座席の中から、社員Wに割り当てる座席を指定する情報を生成する。WEB会議実施予定情報MSとは、社員Wが参加予定のWEB会議の参加予定回数であり、座席指定部12は、WEB会議の参加予定回数に応じて、フリーアドレス座席の中から、社員Wが使用する座席を指定する。
【0109】
座席指定部12は、社員Wが参加予定のWEB会議の参加予定回数が多いほど、情報秘匿性の高い座席を指定する。
【0110】
ここでは、対象日において社員Wが参加するWEB会議の参加予定回数Nに応じて、以下のルールで座席を指定する。
参加予定回数Nが0回の場合(N=0、WEB会議予定なし):クラスC
参加予定回数Nが1回又は2回の場合(1≦N≦2):クラスB
参加予定回数Nが3回以上5回以下の場合(3≦N≦4):クラスA
参加予定回数Nが6回以上の場合(6≦以下):クラスS
【0111】
図11に、実施の形態4にかかる座席決定処理のフローチャートを示す。
【0112】
ステップS41
座席指定部12は、ある対象日について、特定の社員WのWEB会議の参加予定回数Nが6回以上であるか否かを判定する。
【0113】
ステップS42
参加予定回数Nが6回以上であると判定された場合(ステップS41:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスSの座席を指定して、処理を終了する。
【0114】
ステップS43
参加予定回数Nが6回よりも少ないと判定された場合(ステップS41:NO)、座席指定部12は、参加予定回数Nが3回以上かつ5回以下であるか否かを判定する。
【0115】
ステップS44
参加予定回数Nが3回以上かつ5回以下であると判定された場合(ステップS43:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスAの座席を指定して、処理を終了する。
【0116】
ステップS45
参加予定回数Nが3回以上かつ5回以下ではないと判定された場合(ステップS43:NO)、座席指定部12は、参加予定回数Nが1回以上かつ2回以下であるか否かを判定する。
【0117】
ステップS46
参加予定回数Nが1回以上かつ2回以下であると判定された場合(ステップS45:YES)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスBの座席を指定して、処理を終了する。
【0118】
ステップS47
参加予定回数Nが1回以上かつ2回以下ではないと判定された場合、つまり、参加予定回数が0回であると判定された場合(ステップS45:NO)、座席指定部12は、社員Wに対してクラスCの座席を指定して、処理を終了する。
【0119】
以上の処理により、座席指定部12は、社員WのWEB会議への参加予定回数に応じて、適切なクラスの座席を社員Wに対して指定することができる。
【0120】
次いで、具体例について説明する。例えば、対象日において、特定の社員WがWEB会議に2回参加することが予定されている場合、上記のルールに基づき、クラスBの座席が指定される。
【0121】
一般に、WEB会議に参加する回数が長いほど、様々な情報が扱われ、その結果、情報の管理が困難になることが想定される。そのため、社員Wに対して、WEB会議に参加する回数が多いほど情報秘匿性の高い座席を指定することで、情報漏洩のおそれを低減することができる。
【0122】
なお、社員Wが参加するWEB会議において機密性の高い情報を取り扱う可能性が無い又は低いことが予め判明している場合には、クラスCなどの、情報秘匿性の低い座席を指定してもよい。
【0123】
実施の形態5
実施の形態1~4では、フリーアドレス座席を指定すべき対象の社員に割り当てる座席を決定するにあたり、クラス分けされたフリーアドレス座席から適切な座席を対象社員に割り当てるものとして説明した。これに対し、本実施の形態では、各社員が参加するWEB会議の開催時間に応じて、フリーアドレス座席が設けられた部屋又は区画において指定する座席の位置を調整することで、WEB会議中の発話による周囲への影響を抑制する。
【0124】
図12に、実施の形態5にかかる社内システム500の構成を模式的に示す。社内システム500は、実施の形態1にかかる社内システム100と比較して、情報管理装置110に、WEB会議参加予定情報MS及び社員情報INFだけでなく、出社予定社員情報WSが更に格納されている。
【0125】
本実施の形態においては、WEB会議参加予定情報MSは、対象日において、フリーアドレス座席設置区域内のフリーアドレス座席を使用する予定の複数の社員のWEB会議参加予定情報を含んでいる。具体的には、WEB会議実施予定情報MSは、フリーアドレス座席設置区域内のフリーアドレス座席を使用する予定の複数の社員のそれぞれについて、対象日に参加予定の1つ以上のWEB会議のそれぞれの開催時間を示す情報が含まれる。WEB会議の開催時間を示す情報は、WEB会議の開始予定時刻及び終了予定時刻を少なくとも含んでいる。
【0126】
また、情報管理装置110は、対象日に出社予定の社員を示す出社予定社員情報WSを保持している。出社予定社員情報WSは、例えば対象日の始業開始前の一定の時刻などの、対象日の所定の時刻に更新されてもよい。また、社員の出社及び退社の状況に応じて、又は定期的に、対象日において複数回更新されてもよい。
【0127】
座席指定装置10は、WEB会議実施予定情報MS及び出社予定社員情報WSを参照して、対象日に出社予定の複数の社員のWEB会議参加予定を分析し、開催時間の共通性の程度に応じて、各社員が使用するフリーアドレス座席を指定する。ここで、開催時間の共通性とは、複数の社員が参加する会議の開催時間の程度を指し、開催時間の重複が長いほど共通性が高いものと定義する。
【0128】
社内システム500における座席指定処理について説明する。
図13に、実施の形態5にかかる社内システムにおける座席指定処理のフローチャートを示す。
【0129】
ステップS1及びS2
ステップS1及びS2は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0130】
ステップS5
社員Wがフリーアドレスを指定する対象の社員である場合(ステップS2:YES)、情報取得部11は、情報管理装置110から、対象日における複数の社員のWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSを取得して、座席指定部12に転送する。情報取得部11がWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSを読み込むタイミングは、定期的であってもよい。また、例えば、情報管理装置110において社員の出勤及び退勤に応じて出社予定社員情報WSが更新されたことに応じて、情報管理装置110又は勤怠管理システム120が、情報取得部11に更新通知を送信してもよい。この場合、情報取得部11は、更新通知に応じて、WEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSを読み込んでもよい。
【0131】
ステップS6
座席指定部12は、WEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSに基づいて、社員Wにフリーアドレス座席を指定する。
【0132】
実施の形態5にかかるステップS6の座席決定処理について説明する。
図14に、実施の形態5にかかる座席決定処理のフローチャートを示す。
【0133】
ステップS61
座席指定部12は、情報取得部11取得したWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSが、座席指定部12が既に保持しているWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSと同じであるかを判定する。
【0134】
ステップS62
情報取得部11が取得したWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSが、座席指定部12が既に保持しているWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSと異なる場合(ステップS61:NO)、座席指定部12は、既に保持しているWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSを破棄し、情報取得部11が取得したWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSを新たに保持する。
【0135】
ステップS63
情報取得部11が取得したWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSが、座席指定部12が既に保持しているWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSと同じ場合(ステップS61:YES)、座席指定部12は、保持しているWEB会議参加予定情報MS及び出社予定社員情報WSに基づいて生成した座席配分情報を、既に保持しているかを判定する。
【0136】
ステップS64
ステップS62の後、及び、座席指定部12が座席配分情報を保持していない場合(ステップS63:NO)、座席指定部12は、WEB会議実施予定情報MS及び出社予定社員情報WSに基づき、出社予定の複数の社員が参加する会議の開催時間の共通性を分析する。
図15に、複数の社員のWEB会議参加予定の例を示す。
図15では、8:00~18:00の間の14人の社員W1~W14のWEB会議参加予定を示した。
【0137】
この例では、社員W7のWEB会議の予定が、社員W12のWEB会議の予定と3時間重複している。この重複時間は、他の社員間のWEB会議参加予定の重複時間よりも長く、WEB会議参加予定時間の共通性が高いと考えられる。
【0138】
WEB会議の予定が2時間重複している社員は、社員W2及び社員W7並びに社員W7及び社員W9である。WEB会議の予定が1時間重複している社員は、社員W2及び社員W9、社員W2及び社員W12、社員W3及び社員W10、社員W5及び社員W12、社員W9及び社員W12、並びに社員W10及び社員W14である。WEB会議の予定が重複していない社員は、社員W4である。WEB会議の予定がない社員は、社員W1、社員W6、社員W8、社員W11及び社員W13である。
【0139】
ステップS65
座席指定部12は、分析結果に基づいて、参加するWEB会議の開催時間の共通性が高い社員が集まるように、フリーアドレス座席を配分する。以下、フリーアドレス座席の配分例を示す。以下の例においては、ある部屋において、4つの座席の組が縦3行横4列配列され、合計48のフリーアドレス座席が配置されているものとする。
【0140】
図16に、フリーアドレス座席の配分の第1の例を示す。第1の例では、WEB会議参加予定時間の共通性が高い社員ほど、部屋の中央に近いフリーアドレス座席が指定される。その結果、WEB会議の参加中に発話の機会が多いと考えられる社員には部屋の中央近傍の座席が指定され、発話の機会が少ない又は無いと考えられる社員には部屋の中央から離れた座席が指定される。
【0141】
図17に、フリーアドレス座席の配分の第2の例を示す。第2の例では、WEB会議参加予定時間の共通性が高い社員ほど、紙面左側のフリーアドレス座席が指定される。その結果、WEB会議の参加中に発話の機会が多いと考えられる社員には部屋の左側の座席が指定され、発話の機会が少ない又は無いと考えられる社員には部屋の右側の座席が指定される。
【0142】
図18に、フリーアドレス座席の配分の第3の例を示す。第3の例では、WEB会議参加予定時間の共通性が高い社員ほど、部屋の中央から離れたフリーアドレス座席が割り当てられている。その結果、WEB会議の参加中に発話の機会が多いと考えられる社員には部屋の中央から離れた座席が指定され、発話の機会が少ない又は無いと考えられる社員には部屋の中央付近の座席が指定される。
【0143】
本実施の形態では、第1~第3の例のように、発話の機会の程度に応じて、社員に対して指定する座席を空間的に分離することができる。
【0144】
その後、座席指定部12は、対象日に出社予定の複数に社員に対するフリーアドレス座席の配分の状況を示す座席配分情報を生成する。座席配分情報は、座席指定部12がそのまま保持してもよいし、座席指定装置10の内部又は外部の任意の場所に設けられた記憶手段に格納されてもよい。座席指定部12は、必要に応じて、記憶手段から座席配分情報を読み出してもよい。
【0145】
ステップS66
ステップS65の後、及び、座席指定部12が座席配分情報を保持している場合(ステップS63:YES)、座席指定部12は、座席配分情報を参照して、社員Wが使用するフリーアドレス座席を指定する。
【0146】
以上説明したように、本構成によれば、発話の機会の程度に応じて、社員に対して指定する座席を空間的に分離することができる。よって、対象日において発話の機会が少ない又はない社員に対して静謐な環境のフリーアドレス座席を指定できる。これにより、他の社員の発話による業務への悪影響を抑制することができる。
【0147】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、所定の属性の人数に応じて座席を指定する例について説明したが、WEB会議に参加する合計参加人数に占める所定の属性の人数の割合に応じて座席を指定してもよい。
【0148】
上述の実施の形態にかかる座席指定装置が実行する処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、CPU、GPU、MPU、DSP(Digital Signal Processor))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。具体的には、これらの送信信号処理又は受信信号処理に関するアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0149】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、様々な磁気記録媒体、光学式記録媒体、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0150】
10 座席指定装置
11 情報取得部
12 座席指定部
100、500 社内システム
101 ネットワーク
110 情報管理装置
120 勤怠管理システム
121 ゲート装置
122 勤怠管理装置
130 社員証
131 表示欄
INF 社員情報
MS WEB会議参加予定情報、WEB会議実施予定情報
NS 通知信号
WS 出社予定社員情報
OUT 座席指定情報
1000 コンピュータ
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 バス
1005 入出力インターフェイス
1006 入力部
1007 出力部
1008 通信部
1009 記憶部