(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127714
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/24 20090101AFI20240912BHJP
H04W 24/06 20090101ALI20240912BHJP
H04W 28/084 20230101ALI20240912BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20240912BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20240912BHJP
【FI】
H04W28/24
H04W24/06
H04W28/084
H04W36/14
H04W36/30
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142890
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2023036802の分割
【原出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小峯 敏彦
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA23
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE16
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】通信品質が改善するユーザに対してスライスネットワークを適用できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザが使用するユーザ端末2が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合におけるユーザ端末2の通信品質である第1通信品質を特定するとともに、ユーザ端末2の通信に対し、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであるスライスネットワークを適用した場合におけるユーザ端末2の通信品質である第2通信品質を特定する特定部131と、第2通信品質の第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて、ユーザ端末2にスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する通知部132と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ端末が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合における前記ユーザ端末の通信品質である第1通信品質を特定するとともに、前記ユーザ端末の通信に対し、前記無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであるスライスネットワークを適用した場合における前記ユーザ端末の通信品質である第2通信品質を特定する特定部と、
前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて、前記ユーザ端末に前記スライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する通知部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末それぞれの第1通信品質を特定するとともに、前記複数のユーザ端末それぞれの前記第2通信品質を特定し、
前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれの前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末それぞれの通信リソースの利用効率を特定し、
前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記利用効率に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末それぞれの所定期間における移動量を特定し、
前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記移動量に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末のうち、外部装置との通信を行う所定のサービスを利用中のユーザ端末を特定し、
前記通知部は、前記所定のサービスを利用中のユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末それぞれの所定期間におけるデータ通信量を特定し、
前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記データ通信量に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記第1通信品質と、前記第2通信品質とを示す情報を前記ユーザ端末に通知する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークの混雑状況である第1混雑状況と、前記スライスネットワークの混雑状況である第2混雑状況とを特定し、
前記通知部は、前記第1混雑状況と前記第2混雑状況とを示す情報を前記ユーザ端末に通知する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ユーザ端末から、前記スライスネットワークの適用指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記スライスネットワークの適用指示を受け付けると、前記スライスネットワークを前記ユーザ端末の通信に適用する適用部と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記無線通信ネットワークに適用可能な複数のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付ける、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受付部は、前記複数のスライスネットワークのうち、前記ユーザ端末に対して適用可能な一以上のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付ける、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記特定部は、前記スライスネットワークが適用された後の前記ユーザ端末の通信品質である適用後通信品質を特定し、
前記通知部は、前記適用後通信品質を前記ユーザ端末に通知する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
ユーザが使用するユーザ端末が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合における前記ユーザ端末の通信品質である第1通信品質を特定するステップと、
前記ユーザ端末の通信に対し、前記無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであるスライスネットワークを適用した場合における前記ユーザ端末の通信品質である第2通信品質を特定するステップと、
前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて、前記ユーザ端末に前記スライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを仮想的に分割する技術であるネットワークスライシングが知られている。例えば、特許文献1には、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークである複数のスライスネットワークそれぞれの帯域情報や混雑度合を示す品質情報を取得し、ユーザ端末を品質が保証されるスライスネットワークに振り分けるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信ネットワークにおいては、ユーザ端末の位置に存在する他のユーザ端末の数や電波の受信状況等のユーザ端末の環境により、ユーザ端末が通信を行う際の通信品質が異なる。このため、ユーザ端末の環境によっては、ユーザ端末に対して通信品質が保証されたスライスネットワークを適用したとしても、スライスネットワークが保証する通信品質を確保することができず、通信品質が改善されないことがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、通信品質が改善するユーザに対してスライスネットワークを適用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザが使用するユーザ端末が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合における前記ユーザ端末の通信品質である第1通信品質を特定するとともに、前記ユーザ端末の通信に対し、前記無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであるスライスネットワークを適用した場合における前記ユーザ端末の通信品質である第2通信品質を特定する特定部と、前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて、前記ユーザ端末に前記スライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する通知部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末それぞれの第1通信品質を特定するとともに、前記複数のユーザ端末それぞれの前記第2通信品質を特定し、前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれの前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末それぞれの通信リソースの利用効率を特定し、前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記利用効率に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末それぞれの所定期間における移動量を特定し、前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記移動量に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末のうち、外部装置との通信を行う所定のサービスを利用中のユーザ端末を特定し、前記通知部は、前記所定のサービスを利用中のユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記複数のユーザ端末それぞれの所定期間におけるデータ通信量を特定し、前記通知部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれに対して特定された前記データ通信量に基づいて前記複数のユーザ端末の中から選択したユーザ端末に対して前記レコメンド情報を通知してもよい。
【0012】
前記通知部は、前記第1通信品質と、前記第2通信品質とを示す情報を前記ユーザ端末に通知してもよい。
【0013】
前記特定部は、前記無線通信ネットワークの混雑状況である第1混雑状況と、前記スライスネットワークの混雑状況である第2混雑状況とを特定し、前記通知部は、前記第1混雑状況と前記第2混雑状況とを示す情報を前記ユーザ端末に通知してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記ユーザ端末から、前記スライスネットワークの適用指示を受け付ける受付部と、前記受付部が前記スライスネットワークの適用指示を受け付けると、前記スライスネットワークを前記ユーザ端末の通信に適用する適用部と、をさらに有してもよい。
【0015】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記無線通信ネットワークに適用可能な複数のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付けてもよい。
前記受付部は、前記複数のスライスネットワークのうち、前記ユーザ端末に対して適用可能な一以上のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付けてもよい。
前記特定部は、前記スライスネットワークが適用された後の前記ユーザ端末の通信品質である適用後通信品質を特定し、前記通知部は、前記適用後通信品質を前記ユーザ端末に通知してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザが使用するユーザ端末が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合における前記ユーザ端末の通信品質である第1通信品質を特定するステップと、前記ユーザ端末の通信に対し、前記無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであるスライスネットワークを適用した場合における前記ユーザ端末の通信品質である第2通信品質を特定するステップと、前記第2通信品質の前記第1通信品質に対する通信品質の改善度合いに基づいて、前記ユーザ端末に前記スライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信品質が改善するユーザに対してスライスネットワークを適用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】情報処理装置に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであって、所定の通信品質が保証されたスライスネットワークのユーザ端末2への適用を制御するコンピュータである。
【0020】
無線通信ネットワークは、例えば、第5世代通信(5G)専用の通信設備と5Gの基地局とにより無線通信を行う方式(5G SA方式)の携帯電話ネットワークである。無線通信ネットワークを利用するユーザ端末の通信に割り当てられるリソースブロックの割当を制御する技術であるネットワークスライシングを用いることにより、ユーザ端末の通信に対して所定の通信品質が保証することができる。ネットワークスライシングによりユーザ端末の通信に適用される仮想的なネットワークをスライスネットワークという。
【0021】
本実施の形態では、一つの無線通信ネットワークにおいて、一以上のスライスネットワークのいずれかを適用可能であるものとする。また、ユーザは、所定の対価を支払うことにより、ユーザが使用するユーザ端末2の通信にスライスネットワークの適用を受けることができるものとする。なお、無線通信ネットワークは、通信品質が保証されないものとするが、これに限らず、スライスネットワークの通信品質よりも低い通信品質が保証されていてもよい。
【0022】
情報処理装置1は、例えばユーザが使用するユーザ端末2と接続されている。情報処理装置1は、ユーザ端末2が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合におけるユーザ端末2の通信品質である第1通信品質を特定するとともに、ユーザ端末2の通信に対し、当該無線通信ネットワークを仮想的に分割したスライスネットワークを適用した場合における第2通信品質を特定する(
図1における(1))。
【0023】
情報処理装置1は、特定した第2通信品質が第1通信品質に比べて改善している場合に、ユーザ端末2に対してスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する(
図1における(2))。情報処理装置1は、レコメンド情報を通知したユーザ端末2から、スライスネットワークのユーザ端末2の通信への適用を要求する適用要求を受信する(
図1における(3))。情報処理装置1は、適用要求を受信すると、スライスネットワークをユーザ端末2の通信に適用する(
図1における(4))。このようにすることで、情報処理装置1は、通信品質が改善するユーザに対してスライスネットワークを適用することができる。
【0024】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の機能構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0025】
通信部11は、ユーザ端末2や、無線通信ネットワークを管理する通信装置等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、特定部131、通知部132、受付部133、適用部134及び支払管理部135として機能させるプログラムを記憶する。
【0026】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、特定部131、通知部132、受付部133、適用部134及び支払管理部135として機能する。
【0027】
特定部131は、ユーザが使用するユーザ端末2が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合におけるユーザ端末2の通信品質である第1通信品質を特定する。例えば、特定部131は、無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末2それぞれの第1通信品質を特定する。
【0028】
例えば、特定部131は、レコメンド情報を送信する対象のエリアである対象エリアに対応する無線通信ネットワークを管理する通信装置に対し、当該無線通信ネットワークを使用して通信を行っている複数のユーザ端末2それぞれの通信の通信品質を問い合わせる。特定部131は、通信装置から、これらのユーザ端末2の現在の通信品質を示す通信品質情報を取得することにより、複数のユーザ端末2それぞれの通信の通信品質である第1通信品質を特定する。ここで、通信品質は、例えばスループットであるが、これに限らず、通信遅延時間、パケットエラー率、パケットの到達間隔のゆらぎ等であってもよい。
【0029】
なお、特定部131は、ユーザ端末2の現在の通信品質を示す通信品質情報を通信装置から取得することにより当該ユーザ端末2の第1通信品質を特定したが、これに限らない。特定部131は、ユーザ端末2から通信品質情報を取得することにより第1通信品質を特定してもよい。また、特定部131は、ユーザ端末2が使用している無線通信ネットワークの過去の通信品質の統計情報に基づいて第1通信品質を特定してもよい。この場合、例えば、無線通信ネットワークの時間帯別の通信品質の統計情報を記憶させておいてもよい。そして、特定部131は、現在の時刻に対応する統計情報に基づいて第1通信品質を特定してもよい。
【0030】
また、特定部131は、ユーザ端末2の通信に対し、対象エリアに対応する無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであって、通信品質が保証されるネットワークであるスライスネットワークを適用した場合におけるユーザ端末2の通信品質である第2通信品質を特定する。特定部131は、無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末2それぞれの第2通信品質を特定する。
【0031】
例えば、特定部131は、無線通信ネットワークに対応するスライスネットワークが保証する通信品質を第2通信品質として特定する。特定部131は、無線通信ネットワークに対して複数のスライスネットワークが設けられる場合、複数のスライスネットワークそれぞれの第2通信品質を特定してもよい。
【0032】
通知部132は、特定部131が特定した第2通信品質が第1通信品質に比べて改善している場合に、ユーザ端末2にスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する。通知部132は、複数のスライスネットワークそれぞれの第2通信品質を特定した場合には、特定部131が特定した複数のスライスネットワークそれぞれの第2通信品質の少なくともいずれかが、第1通信品質に比べて改善している場合に、ユーザ端末2にスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する。
【0033】
例えば、通知部132は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報をプッシュ通知する。例えば、通知部132は、「通信品質が気になった時には、品質を向上することができます。」等のメッセージを示すレコメンド情報を通知する。ユーザ端末2において、当該レコメンド情報が閲覧されたことに応じて、通知部132は、第1通信品質と、第2通信品質とを示す情報を含むレコメンド画面をユーザ端末2に送信することにより、第1通信品質と、第2通信品質とをユーザ端末2に通知する。
【0034】
図3は、レコメンド画面の一例を示す図である。
図3に示すレコメンド画面は、「現在1.8Mbps」と表示され、第1通信品質である現在のスループットと、「改善後20Mbps」と表示され、第2通信品質である、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用した後のスループットとが表示されていることが確認できる。また、レコメンド画面には、「通信品質を向上する」と表示され、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークの適用を受け付けるための受付画面を表示させるボタンが含まれており、ユーザ端末2において当該ボタンが選択されることにより、ユーザ端末2から情報処理装置1に対して受付画面の表示要求が送信される。
【0035】
なお、通知部132は、第1通信品質と、第2通信品質とをユーザ端末2に通知したが、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用することを促す他の情報を通知してもよい。例えば、特定部131が、ユーザ端末2が使用している無線通信ネットワークの混雑状況である第1混雑状況と、当該無線通信ネットワークに対応するスライスネットワークの混雑状況である第2混雑状況とを特定してもよい。
【0036】
例えば、特定部131は、第1混雑状況として、無線通信ネットワークを使用しているユーザ端末の数を特定し、第2混雑状況として、スライスネットワークを適用しているユーザ端末の数を特定する。そして、通知部132は、第1混雑状況と第2混雑状況とを示す情報をユーザ端末2に通知してもよい。例えば、通知部132は、第1混雑状況と第2混雑状況とを比較可能な状態で、第1混雑状況と第2混雑状況とを示す情報をユーザ端末2に通知する。このようにすることで、ユーザ端末2のユーザは、スライスネットワークを適用することにより、通信品質が改善することを認識することができる。
【0037】
ここで、レコメンド情報が通知されたユーザ端末2の数と、スライスネットワークが既に適用されているユーザ端末2の数との合計が、スライスネットワークを適用するユーザ端末2の上限数を超えると、スライスネットワークを適用しようとするユーザ端末2の数が、許容数を超えるおそれがある。この場合、スライスネットワークの適用を希望する全てのユーザのユーザ端末2にスライスネットワークを適用できないという問題が発生する。
【0038】
これに対し、通知部132は、複数のユーザ端末2のそれぞれに対して特定された第1通信品質と第2通信品質とに基づいて、複数のユーザ端末2それぞれの、スライスネットワークを適用した場合の通信品質の改善量又は改善割合を特定してもよい。そして、通知部132は、複数のユーザ端末2のうち、通信品質の改善量又は改善割合が相対的に大きい一部のユーザ端末2に対してレコメンド情報を通知してもよい。
【0039】
例えば、通知部132は、スライスネットワークを適用するユーザ端末2の上限数から、スライスネットワークが既に適用されているユーザ端末2の数を減算し、新たにスライスネットワークを適用可能なユーザ端末2の数である適用可能数を算出する。通知部132は、複数のユーザ端末2のうち、通信品質の改善量又は改善割合が相対的に大きい順に、適用可能数のユーザ端末2を選択し、選択したユーザ端末2に対してレコメンド情報を通知し、選択されなかったユーザ端末2にレコメンド情報を通知しないように制御する。このようにすることで、情報処理装置1は、スライスネットワークの適用を希望するユーザのユーザ端末2にスライスネットワークを適用できなくなることを抑制することができる。
【0040】
また、通知部132は、複数のユーザ端末2のうち、通信品質の改善量又は改善割合が所定量以上のユーザ端末2に対してレコメンド情報を通知し、通信品質の改善量又は改善割合が所定量未満のユーザ端末2にレコメンド情報を通知しないようにしてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、スライスネットワークがレコメンド情報を通知したユーザ端末2の通信に適用された場合のスライスネットワークの利用効率を高めることができる。
【0041】
また、特定部131は、複数のユーザ端末2それぞれの通信リソースの利用効率を特定してもよい。例えば、特定部131は、複数のユーザ端末2それぞれの通信におけるパケットエラー率を特定し、当該パケットエラー率に基づいて通信リソースの利用効率を特定する。そして、通知部132は、複数のユーザ端末2のそれぞれに対して特定された通信リソースの利用効率に基づいて、当該利用効率が相対的に高いユーザ端末2に対してレコメンド情報を優先して通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、通信リソースの利用効率が低く、スライスネットワークを適用しても通信品質が改善しにくいユーザ端末2にスライスネットワークが適用されることを抑制することができる。
【0042】
また、特定部131は、複数のユーザ端末2それぞれの所定期間における移動量を特定してもよい。この場合、特定部131は、複数のユーザ端末2それぞれの、基地局との接続履歴を取得する。基地局との接続履歴には、ユーザ端末2が基地局に接続を開始した時刻と、基地局を識別する基地局IDと、ユーザ端末2を識別するためのユーザIDとが含まれている。また、基地局IDには、当該基地局IDに対応する基地局が無線通信をカバーするエリアを示すエリア情報が関連付けられている。特定部131は、複数のユーザ端末2それぞれの基地局との接続履歴と、基地局IDに関連付けられているエリアとの関係に基づいて、複数のユーザ端末2がどのくらいエリアを移動したか否かを特定し、当該特定状況に基づいて、複数のユーザ端末2のそれぞれの移動量を特定する。
【0043】
なお、特定部131は、ユーザ端末2から、ユーザ端末2の位置を示す端末位置情報を取得し、時間ごとの端末位置情報が示す位置に基づいてユーザ端末2の移動量を特定してもよい。そして、通知部132は、複数のユーザ端末2のそれぞれに対して特定された移動量に基づいて、相対的に移動量が少ないユーザ端末2に対してレコメンド情報を優先して通知する。
【0044】
移動しているユーザ端末2は、通信を行う基地局が切り替わることがあり、移動していないユーザ端末2の通信に対してスライスネットワークを適用する場合に比べて、通信制御が複雑となり、通信品質を保証することが困難になることがある。これに対し、情報処理装置1は、相対的に移動量が少なく、通信品質を保証しやすいユーザ端末2に優先してレコメンド情報を優先して通知するので、スライスネットワークが適用されたユーザ端末2の通信品質が良好に保たれる確率を高めることができる。
【0045】
また、特定部131は、複数のユーザ端末2のうち、外部装置との通信を行う所定のサービスを利用中のユーザ端末2を特定してもよい。例えば、特定部131は、複数のユーザ端末2のそれぞれから、ユーザ端末2が現在使用している通信を行うサービスを識別するためのサービスIDを取得する。特定部131は、取得したサービスIDに基づいて、所定のサービスを利用中のユーザ端末2を特定する。所定のサービスは、例えば、オンラインゲームサービスや動画サービスといった、データ通信量が多かったり、良好な通信品質が求められたりするサービスである。
【0046】
そして、通知部132は、所定のサービスを利用中のユーザ端末2に対してレコメンド情報を優先して通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、複数のユーザ端末2のうち、所定のサービスを利用し、スライスネットワークを適用することによる改善を実感しやすいユーザのユーザ端末2に対してレコメンド情報を優先して通知することができる。
【0047】
また、特定部131は、複数のユーザ端末2のそれぞれの所定期間におけるデータ通信量を特定してもよい。例えば、特定部131は、無線通信ネットワークを管理する通信装置に対し、無線通信ネットワークを使用して通信を行っている複数のユーザ端末2の所定期間におけるデータ通信量を問い合わせることにより、複数のユーザ端末2のそれぞれの所定期間におけるデータ通信量を特定する。
【0048】
そして、通知部132は、複数のユーザ端末2のそれぞれに対して特定されたデータ通信量に基づいて、データ通信量が相対的に多いユーザ端末2に対してレコメンド情報を優先して通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、データ通信量が多く、スライスネットワークを適用することによる改善を実感しやすいユーザのユーザ端末2に対してレコメンド情報を通知することができる。
【0049】
受付部133は、ユーザ端末2から、スライスネットワークの適用指示を受け付ける。例えば、受付部133は、通知部132がレコメンド情報を通知したユーザ端末2から、スライスネットワークの適用に係る受付画面の表示要求を取得する。
【0050】
受付部133は、受付画面の表示要求を取得すると、対象エリアに対応する無線通信ネットワークにおいてユーザ端末2に適用可能なスライスネットワークの適用に係る受付画面をユーザ端末2に表示さる。そして、受付部133は、受付画面を介してユーザ端末2から、無線通信ネットワークに適用可能な複数のスライスネットワークのいずれかの適用指示を受け付ける。
【0051】
図4は、受付画面の一例を示す図である。本実施の形態では、スライスネットワークの利用に対する対価の額の支払いとして、ポイントが用いられるものとして説明するが、これに限らず、対価の額の支払いとして電子マネーが用いられてもよい。
図4に示すように、受付画面には、ユーザが保有するポイントの残高が表示されるとともに複数のスライスネットワークそれぞれの通信品質と、ポイントの残高を用いて複数のスライスネットワークそれぞれを利用可能な期間の長さとが関連付けて表示されている。
【0052】
また、受付画面には、通信品質の表示の左側に、通信品質の選択を受け付ける選択ボタンが設けられている。
図4に示す受付画面では、通信品質として「品質保証なし」が選択されていることが確認できる。受付画面において通信品質「10Mbps」、「20Mbps」、「40Mbps」のいずれかの選択を受け付けられると、ユーザ端末2は、情報処理装置1に、選択された通信品質に対応するスライスネットワークの適用を指示する指示情報を送信する。受付部133は、ユーザ端末2から、指示情報を受信することにより、無線通信ネットワークに適用可能な複数のスライスネットワークのいずれかの適用指示を受け付ける。
【0053】
また、本実施の形態では、所定のサービスに対応する通信に限定してスライスネットワークを適用することができる。
図3に示す受付画面では、スライスネットワークを適用するサービスを選択する選択ボタンが表示されていることが確認できる。受付部133は、受付画面を介して、スライスネットワークの適用を受けるサービスの選択を受け付ける。
【0054】
なお、受付部133は、複数のスライスネットワークそれぞれの他のユーザ端末への適用状況に基づいて、複数のスライスネットワークのうち、ユーザ端末2の通信に適用なスライスネットワークを特定してもよい。この場合、受付部133は、ユーザ端末2に対して適用可能な一以上のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付ける受付画面を表示させる。そして、受付部133は、受付画面を介して、無線通信ネットワークに対応する複数のスライスネットワークのうち、ユーザ端末2に対して適用可能な一以上のスライスネットワークいずれかの適用指示を受け付ける。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザ端末2から適用指示を受けたにもかかわらずスライスネットワークがユーザ端末2の通信に適用されないことを抑制することができる。
【0055】
適用部134は、受付部133がスライスネットワークの適用指示を受け付けると、当該適用指示に対応するスライスネットワークをユーザ端末2の通信に適用する。例えば、適用指示には、ユーザ端末2のユーザを識別するユーザIDと、選択された通信品質を示す選択情報とが含まれている。適用部134は、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、適用指示に含まれるユーザIDに対応するユーザ端末2の通信に、選択情報が示す通信品質に対応するスライスネットワークを適用する指示を行うことにより、当該ユーザ端末2の通信に当該スライスネットワークを適用する。
【0056】
なお、特定部131は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークが適用された後のユーザ端末2の通信品質である適用後通信品質を特定してもよい。そして、通知部132は、特定された適用後通信品質を示す情報をユーザ端末2に通知してもよい。この場合、特定部131は、ユーザ端末2の通信に適用されたスライスネットワークが保証する通信品質と、適用後通信品質とを示す情報をユーザ端末2に通知してもよい。このようにすることで、ユーザ端末2のユーザは、適用後通信品質を示す情報を確認することにより、適用後通信品質を把握することができる。
【0057】
支払管理部135は、ユーザ端末2の通信にスライスネットワークが適用された時間の長さに基づいて、ユーザから、スライスネットワークの使用に伴う対価を徴収する。例えば、記憶部12には、無線通信ネットワークに対応する複数のスライスネットワークそれぞれを所定時間適用することに対してユーザが支払う対価の額である単位時間あたりの消費ポイントが記憶されている。支払管理部135は、ユーザ端末2の通信に対するスライスネットワークの適用が所定時間(単位時間)経過したことに応じて、ユーザが保有しているポイントから、当該スライスネットワークの適用に係る単位時間当たりの消費ポイントを減算する。
【0058】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1に係る処理の流れについて説明する。
図5は、情報処理装置1に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、特定部131は、対象エリアに対応する無線通信ネットワークを使用して通信を行っている複数のユーザ端末2それぞれの第1通信品質を特定する(S1)。
続いて、特定部131は、当該無線通信ネットワークを利用して通信を行っている複数のユーザ端末2それぞれの第2通信品質を特定する(S2)。
【0059】
続いて、通知部132は、複数のユーザ端末2それぞれに対して特定した第1通信品質と第2通信品質とに基づいて、複数のユーザ端末2それぞれの、スライスネットワークを適用した場合の通信品質の改善量を特定する(S3)。
【0060】
続いて、通知部132は、複数のユーザ端末2それぞれに対して特定した通信品質の改善量に基づいて、複数のユーザ端末2の中からレコメンド情報を通知するユーザ端末2を選択する(S4)。そして、通知部132は、選択したユーザ端末2にレコメンド情報を送信する(S5)。ここで、レコメンド情報に対応してスライスネットワークを適用可能な期間は、レコメンド情報を送信してから所定時間が経過するまでの期間であるものとする。
【0061】
通知部132は、スライスネットワークを適用可能な期間や適用可能な期限を、
図3に示すレコメンド画面や、
図4に示す受付画面に表示させて、当該期間又は期限をユーザ端末2に通知してもよい。また、適用部134は、通知部132がレコメンド情報を送信したことに応じて、スライスネットワークを提供する通信制御装置に対し、当該ユーザ端末2の通信に割り当てるスライスネットワークリソースブロックを確保することを指示し、適用可能な期限が経過したことに応じて、リソースブロックを開放することを指示してもよい。
【0062】
受付部133は、レコメンド情報を送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(S6)。受付部133は、所定時間が経過したと判定すると(S6のYES)、本フローチャートに係る処理を終了する。受付部133は、所定時間が経過していないと判定すると(S6のNO)、S7に処理を移す。
【0063】
S7において、受付部133は、レコメンド情報を通知した複数のユーザ端末2のいずれかから適用指示を受け付けたか否かを判定する。受付部133は、適用指示を受け付けたと判定すると(S7のYES)、S8に処理を移す。受付部133は、適用指示を受け付けていないと判定すると(S7のNO)、S6に処理を移す。
S8において、適用部134は、適用指示を行ったユーザ端末2、すなわちスライスネットワークの適用対象のユーザ端末2の通信にスライスネットワークを適用する。
【0064】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザ端末2が無線通信ネットワークを使用して通信を行っている場合におけるユーザ端末2の通信品質である第1通信品質を特定するとともに、ユーザ端末2の通信に対し、無線通信ネットワークを仮想的に分割したネットワークであって、通信品質が保証されるネットワークであるスライスネットワークを適用した場合におけるユーザ端末2の通信品質である第2通信品質を特定する。そして、情報処理装置1は、第2通信品質が第1通信品質に比べて改善している場合に、ユーザ端末2にスライスネットワークを適用することを促すレコメンド情報を通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、通信品質が改善するユーザに対してスライスネットワークを適用することができる。
【0065】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0067】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 特定部
132 通知部
133 受付部
134 適用部
135 支払管理部
2 ユーザ端末