(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127716
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】エネルギー消費性能算出システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166780
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023035134
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】久野 悠太
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】建物のエネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減すると共に、設計初期段階においてエネルギー消費性能を把握することができるエネルギー消費性能算出システムを提供する。
【解決手段】建物の平面図から読み取り可能な平面図情報が入力される平面図情報入力部(入力部14)と、平面図情報を、建物に設置される設備機器に関する情報である自動生成情報(設備計算情報)に変換する情報変換部(制御部12)と、設備機器の仕様及び建物の断熱性能の仕様を示す仕様情報が登録される仕様情報登録部(データベース)と、平面図情報と、自動生成情報と、仕様情報と、を用いて前記建物のエネルギー消費性能の算出に必要な算出用情報を作成する情報作成部(制御部12)と、算出用情報に基づいて、建物のエネルギー消費性能の算出を行うエネルギー消費性能算出部(制御部12)と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の平面図から読み取り可能な平面図情報が入力される平面図情報入力部と、
前記平面図情報を、前記建物に設置される設備機器に関する情報である設備計算情報に変換する情報変換部と、
前記設備機器の仕様及び前記建物の断熱性能の仕様を示す仕様情報が登録される仕様情報登録部と、
前記平面図情報と、前記設備計算情報と、前記仕様情報と、を用いて前記建物のエネルギー消費性能の算出に必要な算出用情報を作成する情報作成部と、
前記算出用情報に基づいて、前記建物のエネルギー消費性能の算出を行うエネルギー消費性能算出部と、
を具備するエネルギー消費性能算出システム。
【請求項2】
前記仕様情報登録部には、
前記設備機器の仕様及び前記断熱性能の仕様の等級が異なる複数の前記仕様情報が登録されており、
複数の前記仕様情報のうち、一の前記仕様情報を前記算出用情報の作成に用いる算出用仕様情報として設定する仕様情報設定部を具備する、
請求項1に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項3】
利用者の操作に応じて、前記仕様情報設定部が設定した前記仕様情報とは前記等級が異なる前記仕様情報を、複数の前記仕様情報のうちから選択可能な仕様情報選択部を具備し、
前記仕様情報設定部は、
前記仕様情報選択部により選択された前記仕様情報を、前記算出用仕様情報として設定可能である、
請求項2に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項4】
前記仕様情報選択部により選択された前記算出用仕様情報を用いて、前記情報作成部により作成された前記算出用情報を出力する算出用情報出力部と、
利用者の入力操作に応じて、前記算出用情報出力部により出力された前記算出用情報の内容を変更可能な詳細情報入力部と、
を具備する、
請求項3に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項5】
前記設備計算情報には、
前記建物の各室の方位別の外皮面積が含まれており、
前記平面図情報には、
前記建物の各室の方位別の外壁長さと、前記建物の各室の階高と、が含まれており、
前記情報変換部は、
前記外壁長さ及び前記階高に基づいて、前記外皮面積を算出する、
請求項1に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項6】
前記設備計算情報には、
前記建物の各室の方位別の窓の面積が含まれており、
前記平面図情報には、
前記窓の仕様が含まれており、
前記情報変換部は、
前記窓の仕様ごとに設定された窓面積率と、前記外皮面積と、に基づいて、前記窓の面積を算出する、
請求項5に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項7】
前記設備計算情報には、
定格冷却能力及び定格加熱能力が含まれており、
前記平面図情報には、
前記建物の各室の方位別の外皮面積及び床面積が含まれており、
前記仕様情報には、
前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、が含まれており、
前記情報変換部は、
前記外皮面積及び前記床面積のうちの少なくとも一方と、前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、に基づいて、前記定格冷却能力及び前記定格加熱能力を算出する、
請求項1に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項8】
前記建物のエネルギー消費性能の算出結果の評価を行う評価部と、
前記評価部による評価の結果を出力する評価結果出力部と、
を具備する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項9】
前記平面図情報には、
前記建物の室の名称の情報と、室の方位を示す情報と、が含まれ、
前記平面図情報が入力された第一の室に対して類似する第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、を入力可能な類似情報入力部と、
前記第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、に基づいて、前記第一の室の前記平面図情報を、前記第二の室の前記平面図情報として複製する複製部と、
を具備する、
請求項1に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【請求項10】
前記建物が特定の建物であることを示す特定情報を入力可能な特定情報入力部と、
前記特定情報に基づいて、前記特定情報に紐付けられた前記仕様情報である特定仕様情報を、前記仕様情報登録部から取得する特定仕様情報取得部と、
を具備する、
請求項1に記載のエネルギー消費性能算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー消費性能算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物のエネルギー消費性能を算出する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、入力された情報に基づいて、建物のエネルギー消費性能を算出するシステムが記載されている。上記特許文献1に記載のシステムは、建物の各種図面の情報である建築図情報と、建物の各種設備の情報である設備図情報と、を用いて、上記エネルギー消費性能を算出に必要な情報を取得することができる。
【0004】
しかしながら、上記建築図情報及び設備図情報には多くの情報が含まれる。上記特許文献1に記載のシステムでは、上記建築図情報及び設備図情報に含まれる情報の全てを入力する必要があるため、上記情報の入力作業の負担が大きいことが想定される。また、建物の設計初期段階では平面図程度の情報しかないことも多い。この場合は設備図情報等の詳細な情報がないため、この段階では算出に必要な情報を入力することができず、エネルギー消費性能の算出が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、建物のエネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減すると共に、設計初期段階においてエネルギー消費性能を把握可能なエネルギー消費性能算出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物の平面図から読み取り可能な平面図情報が入力される平面図情報入力部と、前記平面図情報を、前記建物に設置される設備機器に関する情報である設備計算情報に変換する情報変換部と、前記設備機器の仕様及び前記建物の断熱性能の仕様を示す仕様情報が登録される仕様情報登録部と、前記平面図情報と、前記設備計算情報と、前記仕様情報と、を用いて前記建物のエネルギー消費性能の算出に必要な算出用情報を作成する情報作成部と、前記算出用情報に基づいて、前記建物のエネルギー消費性能の算出を行うエネルギー消費性能算出部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記仕様情報登録部には、前記設備機器の仕様及び前記断熱性能の仕様の等級が異なる複数の前記仕様情報が登録されており、複数の前記仕様情報のうち、一の前記仕様情報を前記算出用情報の作成に用いる算出用仕様情報として設定する仕様情報設定部を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、利用者の操作に応じて、前記仕様情報設定部が設定した前記仕様情報とは前記等級が異なる前記仕様情報を、複数の前記仕様情報のうちから選択可能な仕様情報選択部を具備し、前記仕様情報設定部は、前記仕様情報選択部により選択された前記仕様情報を、前記算出用仕様情報として設定可能であるものである。
【0011】
請求項4においては、前記仕様情報選択部により選択された前記算出用仕様情報を用いて、前記情報作成部により作成された前記算出用情報を出力する算出用情報出力部と、利用者の入力操作に応じて、前記算出用情報出力部により出力された前記算出用情報の内容を変更可能な詳細情報入力部と、を具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記設備計算情報には、前記建物の各室の方位別の外皮面積が含まれており、前記平面図情報には、前記建物の各室の方位別の外壁長さと、前記建物の各室の階高と、が含まれており、前記情報変換部は、前記外壁長さ及び前記階高に基づいて、前記外皮面積を算出するものである。
【0013】
請求項6においては、前記設備計算情報には、前記建物の各室の方位別の窓の面積が含まれており、前記平面図情報には、前記窓の仕様が含まれており、前記情報変換部は、前記窓の仕様ごとに設定された窓面積率と、前記外皮面積と、に基づいて、前記窓の面積を算出するものである。
【0014】
請求項7においては、前記設備計算情報には、定格冷却能力及び定格加熱能力が含まれており、前記平面図情報には、前記建物の各室の方位別の外皮面積及び床面積が含まれており、前記仕様情報には、前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、が含まれており、前記情報変換部は、前記外皮面積及び前記床面積のうちの少なくとも一方と、前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、に基づいて、前記定格冷却能力及び前記定格加熱能力を算出するものである。
【0015】
請求項8においては、前記建物のエネルギー消費性能の算出結果の評価を行う評価部と、前記評価部による評価の結果を出力する評価結果出力部と、を具備するものである。
【0016】
請求項9においては、前記平面図情報には、前記建物の室の名称の情報と、室の方位を示す情報と、が含まれ、前記平面図情報が入力された第一の室に対して類似する第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、を入力可能な類似情報入力部と、前記第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、に基づいて、前記第一の室の前記平面図情報を、前記第二の室の前記平面図情報として複製する複製部と、を具備するものである。
【0017】
請求項10においては、前記建物が特定の建物であることを示す特定情報を入力可能な特定情報入力部と、前記特定情報に基づいて、前記特定情報に紐付けられた前記仕様情報である特定仕様情報を、前記仕様情報登録部から取得する特定仕様情報取得部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
本発明においては、建物のエネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減すると共に、設計初期段階においてエネルギー消費性能を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエネルギー消費性能算出システムを示したブロック図。
【
図2】エネルギー消費性能算出システムが実行する処理を示した模式図。
【
図3】エネルギー消費性能算出システムが実行する処理を示したフローチャート。
【
図6】エネルギー消費性能の算出に用いられる各項目を示す表。
【
図7】エネルギー消費性能の算出に用いられる各項目の続きを示す表。
【
図9】(a)「類似する室名」及び「方位別の室数」の項目を有する表。(b)「顧客情報」の項目を有する表。
【
図10】計画精度向上処理を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の一実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1について説明する。エネルギー消費性能算出システム1は、建物のエネルギー消費性能の予測値を算出するものである。
【0022】
本実施形態において、エネルギー消費性能の算出の対象となる建物は、非住宅建物を想定している。上記建物の用途としては、例えば事務所や店舗(物販店舗)等が挙げられる。
【0023】
また、本実施形態においては、エネルギー消費性能算出システム1が算出する省エネルギー性能の指標として、BEI(Building Energy efficiency Index)を採用している。BEIは、対象となる建物のエネルギー消費量を、基準となるエネルギー消費量で除算することで計算される。BEIの値が小さい程、建物の省エネルギー性能が高いことが示される。
【0024】
上記BEIの予測を行う方法としては、評価対象となる全ての室の情報(各室の用途や面積等)を用いてBEIの値を算出する「標準入力法」や、建物用途ごとに形状や室用途などを仮定したモデル建物に対して、実際に設置される設備機器等の仕様を反映させることによりBEIの値を算出する「モデル建物法」がある。標準入力法によれば、実際の各室の情報に基づいてBEIの値の算出を行うため、モデル建物法よりも精緻な評価を行うことができる。
【0025】
標準入力法でBEIの値を算出する場合には、例えば「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」等に準拠したエネルギー消費性能の算出のための計算プログラム(例えば「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」)を用いた計算(シミュレーション等)を実行することが考えられる。上記計算プログラムは、建物の各室の情報(例えば建物の各室の用途や面積、設備等の情報)に基づいてBEIの予測値を計算する。
【0026】
しかしながら、上記標準入力法の計算プログラムを用いた計算を行うには、多くの(例えば180個以上の)項目の情報を入力する必要があり、入力に手間がかかる。また、上記標準入力法の計算プログラムを用いた計算に必要な情報が全てが揃うのは、建物の各図面(平面図や立面図等)が作成され、断熱性能や設備機器の仕様等が概ね決定された、設計の最終段階であると予想される。このため、建物の設計初期段階(例えば平面図のみが作成されている企画段階等)では、BEIの予測を行うことは難しかった。
【0027】
図1に示すエネルギー消費性能算出システム1は、建物の平面図から読み取り可能な情報(後述する平面図情報)を用いて、エネルギー消費性能(BEIの予測値)の算出を行うことができる。エネルギー消費性能算出システム1は、各種の情報の処理が可能な制御装置10により構成される。制御装置10としては、一般的なパーソナルコンピュータやサーバ等を用いることができる。制御装置10は、記憶部11、制御部12、通信部13、入力部14及び表示部15を具備する。
【0028】
記憶部11は、各種のプログラムや取得された各種の情報が記憶されるものである。記憶部11は、HDD、RAM、ROM等により構成される。
【0029】
制御部12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部12は、CPUにより構成される。
【0030】
通信部13は、外部の機器との通信が可能なものである。通信部13は、例えばインターネット等の各種の通信手段を介して、外部の機器との情報のやりとりを行うことができる。通信部13を用いた通信を行うことで、例えば外部のサーバーのデータベース等のアクセスが可能となる。
【0031】
入力部14は、各種の情報を入力するためのものである。入力部14は、キーボード、マウス等により構成される。
【0032】
表示部15は、各種の情報を表示するものである。表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等により構成される。
【0033】
上述の如く構成されるエネルギー消費性能算出システム1(制御装置10)は、例えば建物の設計を行う事業者により管理されている。
【0034】
図2に示すように、エネルギー消費性能算出システム1は、標準入力法の計算プログラムによるエネルギー消費性能(BEIの予測値)の算出に必要な情報である算出用情報を作成し、上記算出用情報に基づいて上記計算プログラムを用いたエネルギー消費性能の算出を行う。
【0035】
本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」を揃えることで、算出用情報を作成する。以下では、
図4から
図7までを用いて「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」の各項目について説明する。
【0036】
図4は、「平面図情報」の各項目の入力例を示す表(入力シート)である。
図5は、「仕様情報」の一例を示す表である。
図6及び
図7は、算出用情報に含まれる各項目が、「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」の何れに該当するかを示した表である。
図6及び
図7の「大項目」は、算出用情報を構成する主たる項目であり、「小項目」は、「大項目」を更に詳細に分類したサブカテゴリである。また、「シート名称」は、算出用情報を構成する各項目(「大項目」)を大まかに分類したものである。
【0037】
図4及び
図6に示す「平面図情報」は、建物の平面図から読み取り可能な情報である。平面図情報には、建物のうち、エネルギー消費性能の評価対象となる各室の情報が含まれる。平面図情報は、利用者が入力部14を用いた入力操作を行うことで、エネルギー消費性能算出システム1(制御装置10)に入力される。利用者は、表示部15に表示された入力シート(
図4を参照)の各項目に、平面図情報を入力することができる。
【0038】
平面図情報には、「階」、「室名」、「建物用途」、「室用途」、「室面積」、「階高」、「天井高」、「空調計算対象室」、「換気計算対象室」、「照明計算対象室」、「給湯計算対象室」、「外壁長さ」及び「窓面積率」の項目が含まれる。
【0039】
「階」は、算出の対象となる室の階の仕様を示す情報が入力される項目である。「階」には、予め登録された選択肢(例えば最下階、最上階、中間階及び平屋)から選択された情報が入力される。
【0040】
「室名」は、算出の対象となる室の名称が入力される項目である。「室名」には、任意の名称を入力可能である。「室名」の一例としては、例えば風除室(吹き抜け)や廊下、EVホール、ミーティングルーム等が挙げられる。
【0041】
「建物用途」は、建物の用途を示す情報が入力される項目である。「建物用途」には、予め登録された選択肢から選択された情報が入力される。「建物用途」の一例としては、例えば事務所等、ホテル等、病院等、店舗等、学校等、飲食店等、集会所等、工場等、共同住宅が挙げられる(
図5を参照)。
【0042】
「室用途」は、算出の対象となる室の用途を示す情報が入力される項目である。「室用途」には、予め登録された選択肢(例えば廊下や事務室、会議室等)から選択された情報が入力される。
【0043】
「室面積」は、算出の対象となる室の面積を示す情報が入力される項目である。「室用途」には、室の面積を示す数値が入力される。
【0044】
「階高」は、算出の対象となる室の階高を示す情報が入力される項目である。「階高」には、室の階高を示す数値が入力される。
【0045】
「天井高」は、算出の対象となる室の天井高を示す情報が入力される項目である。「天井高」には、室の天井高を示す数値が入力される。
【0046】
「空調計算対象室」、「換気計算対象室」、「照明計算対象室」及び「給湯計算対象室」は、ある室が、各計算(空調計算、換気計算、照明計算及び給湯計算)の対象となるか否かを示す情報が入力される項目である。利用者は、ある室が、上記計算(例えば空調計算)の対象となる場合に、上記計算に対応する項目(例えば「空調計算対象室」)にチェックを入れる。
【0047】
「外壁長さ」は、算出の対象となる室の方位(例えば南、西、北、東)別の外壁の長さを示す情報が入力される項目である。
図4及び
図6に示すように、「外壁長さ」には、方位(例えば南、西、北、東)別の小項目が含まれている。利用者は、算出の対象となる室に、外壁(建物の外部に面する壁)が含まれる場合、当該外壁が向く方位に対応する小項目(例えば南及び西)に、当該外壁の長さを示す数値を入力する(
図4を参照)。
【0048】
「窓タイプ」は、算出の対象となる室の窓の仕様を示す情報が入力される項目である。「窓タイプ」には、「外壁長さ」と同様、方位(例えば南、西、北、東)別の小項目が含まれている。「窓タイプ」には、予め登録された窓のサイズの選択肢(例えば腰高窓、小窓及びフルハイト等)から選択された情報が入力される。利用者は、算出の対象となる室の外壁に窓が含まれる場合、当該窓が向く方位に対応する小項目(例えば南及び西)に、選択した情報を入力する。また、上記「窓タイプ」の情報(腰高窓等)には、サイズに応じた窓面積率(外壁の面積に対する窓の面積の割合)の情報が設定されている。
【0049】
以上、「平面図情報」に含まれる項目の一例について説明した。なお、「平面図情報」としては、上記項目に限定されず、種々の平面図から読み取り可能な情報を含めることができる。
【0050】
図5及び
図7に示す「仕様情報」は、建物の各室に設置される設備機器の仕様や、建物の断熱性能の仕様を示す情報である。「仕様情報」は、例えば外部のサーバーや制御装置10のデータベースに登録されている。「仕様情報」には、建物の外皮構成や窓仕様、及び空調機の仕様を示す情報が含まれる。なお、図示は省略するが、「仕様情報」には上記情報の他、熱源、照明、給湯室、昇降機、太陽光発電等の仕様を示す情報等が含まれる。
【0051】
「仕様情報」としては、建物の平面図からは読み取り難く、かつ「建物用途」に応じて設定可能な情報が採用される。
図5に示すように、「仕様情報」は、事務所等やホテル等の複数の「建物用途」ごとに登録されている。データベースに予め登録された複数の「仕様情報」は、利用者により入力された「建物用途」(「平面図情報」)に応じたものが制御部12により選択され、算出用情報として入力される。以下に示す例では、「建物用途」として事務所等が入力された場合の「仕様情報」について説明する。なお、「仕様情報」の選択に用いられる情報は「建物用途」に限定されず、「平面図情報」に含まれる種々の情報を採用可能である。
【0052】
以下では、「仕様情報」に含まれる項目(大項目)の一例として、「壁の種類」、「窓の熱貫流率」及び「外気冷房制御の有無」について説明する(
図7を参照)。
図5に示すように、本実施形態では、1つの項目(例えば「壁の種類」等)に対して、設備機器の仕様及び断熱性能の仕様の等級(グレード)に応じた複数の「仕様情報」が登録されている。具体的には、データベースには、「標準」と、「標準」よりも設備や断熱の性能が高い「高性能」と、の二段階の等級ごとの「仕様情報」が登録されている。
【0053】
「壁の種類」は、算出の対象となる室の壁(外壁)の種類(仕様)を示す情報が入力される項目である。「壁の種類」には、壁の厚さの情報が入力される。本実施形態では、「標準」の等級においては「断熱50mm」、「高性能」の等級においては「断熱75mm」の値が入力される。
【0054】
「窓の熱貫流率」は、算出の対象となる室の窓の熱貫流率の仕様を示す情報が入力される項目である。本実施形態では、「標準」の等級においては「6(w/m2K)」、「高性能」の等級においては「4(w/m2K)」の値が入力される。
【0055】
「外気冷房制御の有無」は、算出の対象となる室の空調機における外気冷房制御(外気の温湿度が室内温湿度よりも低い場合に外気を多く取り入れて冷房に利用する制御)の有無を示す情報が入力される項目である。本実施形態では、「標準」の等級においては「無」、「高性能」の等級においては「有」の値が入力される。
【0056】
以上、「仕様情報」に含まれる項目の一例について説明した。なお、「仕様情報」としては、上記項目に限定されず、種々の設備機器や断熱性能の仕様の情報を含めることができる。
【0057】
「自動生成情報」は、設備機器に関する情報であって、平面図情報や仕様情報に基づいて制御部12により自動で生成(変換)される情報である。以下では、「自動生成情報」に含まれる項目の一例として、「空調ゾーン名」、「室負荷処理」、「外気負荷処理」、「方位」、「外皮面積」、「窓面積」、「冷熱生成」、「温熱生成」及び「送風機定格電力」について説明する。
【0058】
図6に示す「空調ゾーン名」は、複数の空調対象室(空調ゾーン)を区別するために、各空調対象室を示す名称として、互いに重複しない名称が入力される項目である。「空調ゾーン名」は、平面図情報の「室名」に、任意の記号(例えば「AC」等)を加えることで生成される。
【0059】
「室負荷処理」は、各空調ゾーンの室負荷(室の内部発熱および室外からの貫流熱取得、日射熱取得による負荷)を処理する各空調機の名称が入力される項目である。「外気負荷処理」は、各空調ゾーンの外気負荷(新鮮外気導入による負荷)を処理する各空調機の名称が入力される項目である。「室負荷処理」及び「外気負荷処理」は、「空調ゾーン名」と同様、平面図情報の「室名」に、任意の記号を加えることで生成される。
【0060】
図7に示す「方位」は、外皮(外壁及び屋根)の向きを示す情報が入力される項目である。外壁の「方位」は、平面図情報の「外壁長さ」の情報に基づいて生成される。具体的には、
図4に示す平面図情報において、ある方位を示す小項目(例えば南等)に「外壁長さ」の数値が入力されている場合、当該方位に面する外壁があると推定される。このため、制御部12は、算出の対象となる室において「外壁長さ」の数値が入力された方位を、外壁の「方位」として設定(生成)する。
【0061】
屋根の「方位」は、平面図情報の「階」の情報に基づいて生成される。具体的には、制御部12は、「階」の情報が「最上階」である場合は「水平」、「階」の情報が「最下階」である場合は「日陰」、「階」の情報が「平屋」である場合は「水平」及び「日陰」を、屋根の「方位」として設定(生成)する。
【0062】
「外皮面積」は、各室の外皮面積を示す情報が入力される項目である。ここで、外皮面積とは、室の方位別の外壁面積(窓を含めた外壁の面積)と、屋根面積と、床面積とを合わせたものである。制御部12は、平面図情報の「階高」の値と、方位別の「外壁長さ」の値と、を乗算することで、方位別の外壁面積の値を算出する。また、制御部12は、平面図情報の「室面積」の値を、屋根面積及び床面積として用いる。制御部12は、上記方位別の外壁面積、屋根面積及び床面積の各値を合計した値を、「外皮面積」として生成する。
【0063】
「窓面積」は、各室の窓の面積を示す情報が入力される項目である。制御部12は、上記外壁面積の値と、平面図情報の「窓タイプ」の窓面積率の値と、を乗算することで、「窓面積」の値を生成する。
【0064】
「冷熱生成」は、各室の熱源において冷熱の生成に関する情報が入力される項目群である。「冷熱生成」には、「台数」及び「定格冷却能力」の小項目が含まれる。
【0065】
「台数」は、冷熱を生成する機器の台数を示す情報が入力される項目である。制御部12は、「1」の値を「台数」として設定(生成)する。
【0066】
「定格冷却能力」は、冷熱を生成する機器の定格冷却能力が入力される項目である。制御部12は、外壁及び窓の断熱性能、外気/室内温湿度条件、及び室で発生する熱負荷(単位床面積あたりの機器・照明・人・換気などの熱負荷)に基づく値に「外皮面積」又は「室面積(床面積)」を乗じた値を、「定格冷却能力」の値として生成する。なお、上記外壁及び窓の断熱性能、外気/室内温湿度条件、及び室で発生する熱負荷の情報は、「仕様情報」として設定されている。
【0067】
「温熱生成」は、各室の熱源において温熱の生成に関する情報が入力される項目群である。「温熱生成」には、「台数」及び「定格加熱能力」の小項目が含まれる。「温熱生成」の「台数」及び「定格加熱能力」は、上述した「冷熱生成」の「台数」及び「定格冷却能力」と同様な方法で算出される。
【0068】
「送風機定格電力」は、建物の空調機に使用する送風機の電力を示す情報が入力される項目である。制御部12は、「定格冷却能力」及び「定格冷却能力」のうち、値が大きい方を、所定計数(例えばATF(Air Transport Factor)等の指標)で除算することで「送風機定格電力」の値を生成する。
【0069】
以上、「自動生成情報」に含まれる項目の一例について説明した。なお、「自動生成情報」としては、上記項目に限定されず、種々の設備機器に関する情報であって、平面図情報に基づいて生成可能な情報を含めることができる。
【0070】
以下では、
図3のフローチャートを用いて、エネルギー消費性能算出システム1の制御部12が実行する処理について説明する。
【0071】
まず、ステップS101からステップS106までに示す「概算計算」について説明する。「概算計算」において、制御部12は、「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」を用いて、自動でエネルギー消費性能の算出を行う。
【0072】
制御部12は、利用者の操作(例えば入力部14を用いた操作)を契機として、表示部15に入力シート(
図4を参照)を表示させる。これにより、入力シートへの「平面図情報」の入力が可能となる。また、「仕様情報」は、データベースに予め登録されている。
【0073】
ステップS101において、制御部12は、入力シート(
図4を参照)に入力された「平面図情報」を取得する。また、ステップS102において、制御部12は、データベースに登録された複数の「仕様情報」のうちから、上記「平面図情報」の「建物用途」に対応した「仕様情報」を取得する。なお「概算計算」においては、制御部12は、「標準」の等級の「仕様情報」を取得する。
【0074】
ステップS103において制御部12は、「平面図情報」及び「仕様情報」を用いて、「自動生成情報」を算出する。上述のようにして得られた「自動生成情報」、「平面図情報」及び「仕様情報」により、エネルギー消費性能の算出に必要な情報(算出用情報)が揃う。ステップS104において制御部12は、「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」を使用して、算出用情報を作成する。また、算出用情報には、内容が重複した項目が含まれる。制御部12は、ある項目に情報が入力された場合、当該項目と同じ内容の他の項目があれば、自動で他の項目を埋める(転記する)。
【0075】
ステップS105において制御部12は、計算プログラムを用いて、算出用情報に基づく建物のエネルギー消費性能(BEIの予測値)の算出を行う。また、ステップS106において制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果を、表示部15に表示させることで出力する(
図2を参照)。
【0076】
本実施形態において、制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果の良否を判断すると共に、判断結果をエネルギー消費性能の算出結果と共に出力する。制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果が、所定の基準値以下である場合「良」の判断を行う。一方、制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果が、上記基準値を超えた場合、「否」の判断を行う。
【0077】
上述した例(通常の例)では、建物全体のエネルギー消費性能を算出している。なお、エネルギー消費性能算出システム1は、計算プログラムによる計算内容を適宜変更することで、各室ごとのエネルギー消費性能を算出することも可能である。この場合は、上記基準値を各室の用途ごと(例えば事務室では0.5、廊下では0.4等)に設定し、各室ごとに良否の判断を行うことができる。
【0078】
次に、ステップS107からステップS110までに示す「詳細計算」について説明する。利用者は、例えば「概算計算」における良否の判断結果が「否」である場合に、要求される省エネ性能を満足させるエネルギー消費性能の算出結果を得る目的で、「詳細計算」を行うことができる。「詳細計算」は、利用者の操作(例えば入力部14を用いた操作)を契機として実行される。
【0079】
「詳細計算」では、利用者は、「概算計算」で使用した「仕様情報」(「標準」の仕様)とは異なる等級の「仕様情報」(「高性能」の仕様)を選択可能である。制御部12は、「仕様情報」を選択するための画面を表示部15に表示可能である。利用者は、上記画面において、入力部14を用いた操作を行うことで、「仕様情報」の選択を行う。この際に、利用者は、「自動生成情報」に含まれる設備機器に関する情報(空調、照明、換気に要する設備能力)を満たすように、「仕様情報」の選択を行うことができる。
【0080】
ステップS107において、制御部12は、「仕様情報」を選択するための画面を表示部15に表示する。また、制御部12は、選択された「仕様情報」(「高性能」の等級の「仕様情報」)をデータベースから取得する。
【0081】
ステップS108において制御部12は、選択された「仕様情報」に基づいて算出用情報を作成する。なおこの際には、選択された「仕様情報」及び「平面図情報」に基づいて、「自動生成情報」の算出が行われる。
【0082】
ステップS109において制御部12は、上記算出用情報に基づいて計算プログラムを用いたエネルギー消費性能の算出を行う。また、ステップS110において制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果及び算出結果の良否の判断結果を、表示部15に表示させる。
【0083】
次に、ステップS111からステップS114までに示す「超詳細計算」について説明する。利用者は、例えば「詳細計算」における良否の判断結果が「否」である場合等に、「超詳細計算」を行うことができる。「超詳細計算」は、利用者の操作(例えば入力部14を用いた操作)を契機として実行される。
【0084】
「超詳細計算」では、利用者は、「詳細計算」で算出した算出用情報の内容を適宜変更することで、当該変更後の算出用情報に基づいて、更に詳細なエネルギー消費性能の算出結果を得ることができる。
【0085】
ステップS111において、制御部12は、「詳細計算」で算出した算出用情報の内容を、計算用シートとして表示部15に出力する。計算用シートは、表計算プログラム等で閲覧及び編集可能なファイルとして出力される。利用者は、上記画面において入力部14を用いた操作を行うことで、算出用情報の各項目の情報をより正確な情報に変更することができる。
【0086】
ステップS112において、制御部12は、利用者により変更された計算用シート(算出用情報)の情報を取得する。ステップS113において制御部12は、上記算出用情報に基づいて計算プログラムを用いたエネルギー消費性能の算出を行う。また、ステップS114において制御部12は、エネルギー消費性能の算出結果及び算出結果の良否の判断結果を、表示部15に表示させる。
【0087】
以上、エネルギー消費性能算出システム1が実行する処理について説明した。上記処理の「概算計算」によれば、制御部12は、エネルギー消費性能の算出に必要な情報(算出用情報)のうち、「平面図情報」以外の情報を、「仕様情報」及び「自動生成情報」により補完して、自動でエネルギー消費性能の算出を行う。上記構成によれば、利用者が「平面図情報」のみを入力することで、「標準入力法」に基づいたエネルギー消費性能の算出を行うことができる。これにより、エネルギー消費性能の算出に必要な全ての情報を入力する場合とは異なり、エネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減することができる。
【0088】
また、通常の方法で「標準入力法」でのエネルギー消費性能の算出を行う場合は、算出に必要な情報が全てが揃うのは、建物の各図面(平面図だけでなく立面図等)等が作成され、断熱性能や設備機器の仕様等が概ね決定された設計の最終段階になると想定される。一方、本実施形態によれば、「平面図情報」のみを入力することで、エネルギー消費性能の算出を行うことができるので、例えば平面図のみが作成されている設計初期段階においても、建物のエネルギー消費性能を把握することができる。
【0089】
また、本実施形態の「詳細計算」によれば、「概算計算」により自動で算出した算出結果とは異なる算出結果を望む場合、上記自動で設定された仕様情報とは等級が異なる仕様情報(「高性能」の仕様)を用いて、より詳細にエネルギー消費性能の算出を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の「超詳細計算」によれば、「詳細計算」により算出した算出結果とは異なる算出結果を望む場合、利用者の入力操作により変更された算出用情報(計算用シート)を用いて、更に詳細にエネルギー消費性能の算出を行うことができる。
【0091】
また、本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、
図3で示した「概算計算」(ステップS101~ステップS106)に代えて、
図8に示す作業負荷低減処理(S200)や、
図10に示す計画精度向上処理(S300)を実行可能である。以下では、
図8から
図11までを用いて、作業負荷低減処理及び計画精度向上処理について説明する。なお以下の説明では、「概算計算」と異なる処理に注目して説明を行い、「概算計算」と同様な処理の説明は適宜省略する。
【0092】
まず、作業負荷低減処理(S200)について説明する。
【0093】
本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1の算出の対象となる建物には、例えばホテルや病院、介護施設等が含まれる。このようなホテル等の建物は、互いに類似する(「平面図情報」が共通する)室を多数備えている。このような建物のエネルギー消費性能を算出する際に、「平面図情報」として概ね同様な内容の情報を1室ずつ入力するのは、利用者の負担になることが想定される。
【0094】
そこで、本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、互いに類似する室の平面図情報の入力作業の負担を軽減可能な処理である作業負荷低減処理(S200)を実行可能に形成されている。
【0095】
以下では、
図8のフローチャートを用いて、作業負荷低減処理の各処理の説明を行う。ステップS201において制御部12は、入力シートを表示部15に表示させる(
図4を参照)。これにより利用者は、入力シートへの「平面図情報」の入力が可能となる。
【0096】
作業負荷低減処理においては、利用者は、互いに類似する複数の室のうち、任意の数(例えば1つ)の室に対して「平面図情報」の入力を行う。ここで、「類似する室」とは、室形状(例えば階高さや天井高等)や室面積が概ね同様な(差が所定の範囲内である)室を指す。互いに類似する室の一例としては、ホテルの客室や、病院の病室等が挙げられる。以下では、ステップS201において「平面図情報」が入力された室を「第一の室」と称する。また、「第一の室」に類似する室であって、「平面図情報」が入力されていない室を「第二の室」と称する。
【0097】
また、作業負荷低減処理においては、制御部12は、
図9(a)に示す「類似する室名」及び「方位別の室数」の項目を有する表を表示する。上記表は、例えば入力シートと共に表示される(
図4を参照)。利用者は、上記表に、以下で示す「類似する室名」及び「方位別の室数」の情報を入力する。
【0098】
「類似する室名」とは、互いに類似する室の名称である。例えば建物用途がホテルである場合、客室を示す名称を「類似する室名」として入力可能である。ステップS202において利用者は、第二の室の名称を、「類似する室名」に入力する。
【0099】
また、「方位別の室数」とは、上記第二の室が、方位(例えば南、西、北、東)別にいくつあるかを示すものである。ステップS202において、利用者は、例えば南側に外壁を有する第二の室の数が10である場合、「南側に10室」と「方位別の室数」に入力する。
【0100】
ステップS203において、制御部12は、ステップS201において入力された第一の室の「平面図情報」を、第二の室の「平面図情報」として複製すると共に、複製した情報を入力シートに自動で入力する。
【0101】
より詳細には、複製される「平面図情報」のうち、「階」、「室名」、「建物用途」、「室用途」、「室面積」、「階高」、「天井高」、「空調計算対象室」、「換気計算対象室」、「照明計算対象室」、「給湯計算対象室」の項目は、ステップS201で入力された第一の室の「平面図情報」と同じ情報が自動で入力される(
図4を参照)。
【0102】
また、複製される「平面図情報」のうち、方位別の「外壁長さ」及び「窓タイプ」は、「方位別の室数」に入力された方位(例えば南、西、北、東)に対応した情報が自動で入力される(例えば、「方位別の室数」に「南」と入力された場合は、「外壁長さ」に「5.3」、「窓タイプ」に「腰高連窓」が自動で入力される)。上記方位に対応する「外壁長さ」及び「窓タイプ」の情報は、予め設定可能である(
図4を参照)。利用者は、入力部14を用いた操作によって、上記複製された「平面図情報」の内容を適宜変更可能である。
【0103】
また、制御部12は、上記ステップS201で入力された「平面図情報」に対応する「仕様情報」を取得する(
図5を参照)。作業負荷低減処理においては、「平面図情報」と共に、上記「仕様情報」も自動で複製する。これにより、第二の室に対して、第一の室と同様な「仕様情報」が入力される。
【0104】
なお、
図5に示す「仕様情報」の内容は一例である。作業負荷低減処理において複製される「仕様情報」の内容としては、例えば外皮(天井、外壁、床及び窓の熱貫流率、ブラインドの有無等)、空調(熱源機種、熱源COP、定格冷却能力、定格加熱能力等)、換気(換気機種、設計風量、高効率電送機の有無等)、照明(設計照度、室指数、光束、定格消費電力、台数等)、給湯(熱源機種、熱源効率、配管保温仕様、接続口径等)等が挙げられる(
図11も参照)。
【0105】
ステップS204において、制御部12は、ステップS201で入力された「平面図情報」と、ステップS203で複製された「平面図情報」及び「仕様情報」を用いて、「自動生成情報」を算出する。
【0106】
また、ステップS205~S207において、制御部12は、
図3に示すステップS104~S106と概ね同様に、「平面図情報」、「仕様情報」及び「自動生成情報」を用いて算出用情報を作成すると共に、計算プログラムを用いて建物のエネルギー消費性能(BEIの予測値)の算出を行い、算出結果を表示部15に表示させる。
【0107】
上記ステップS207の処理を実行した場合、制御部12は、作業負荷低減処理を終了する。また、制御部12は、作業負荷低減処理におけるエネルギー消費性能の良否の判断を行うことができる。作業負荷低減処理における良否の判断結果が「否」である場合、利用者は、入力部14を用いた操作を行うことで、「詳細計算」や「超詳細計算」を実行することができる(
図3を参照)。
【0108】
上述の如き作業負荷低減処理(S200)によれば、すでに「平面図情報」を入力した室(第一の)に類似する室(第二の室)に対して、複製した「平面図情報」や「仕様情報」を自動で入力することができる。これにより、互いに類似する室の「平面図情報」を1室ずつ入力する必要がなくなり、入力作業の負担を軽減することができる。このように、作業負荷低減処理を採用した場合には、ホテルや病院、介護施設等の同じ仕様の室を多数備える建物のエネルギー消費性能の算出を好適に行うことができる。
【0109】
次に、計画精度向上処理(S300)について説明する。
【0110】
本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、設計初期段階において、建物のエネルギー消費性能を算出することを想定している。エネルギー消費性能算出システム1では、予めデータベースに登録された「仕様情報」が「平面図情報」に紐付けされている(
図5を参照)。なお、上記「仕様情報」は、用途を同じくする建物に適用可能な、比較的汎用性の高い内容に設定されている。
図3で示した「概算計算」(ステップS101~ステップS106)においては、制御部12は、入力された「平面図情報」(建物用途)に対応する「仕様情報」を取得してエネルギー消費性能の算出に用いる(
図3を参照)。
【0111】
しかしながら建物によっては、後に仕様の変更が行われ、上記データベースに登録された「仕様情報」とは異なる(一般的な仕様とは異なる)内容の設計が行われる場合がある。この場合、設計初期段階と設計最終段階との間でエネルギー消費性能の算出結果(BEIの予測値)に差が生じ、設計初期段階における建物のエネルギー消費性能の算出の精度が落ちる可能性がある。
【0112】
ここで、特定の建物では、最終的な仕様が予め(設計初期段階で)決まっている場合がある。上記「特定の建物」としては、例えばドラッグストア等の物販店舗が挙げられる。このような物販店舗では、顧客(建物の施工を発注する施主)ごとに異なる独自の仕様であって、かつ一般的なものとは異なる仕様で、複数の店舗が設計されている場合がある。上述のような最終的な仕様(独自の仕様)が予め決まっている建物では、設計の初期段階で、独自の仕様に基づいた「仕様情報」を用いて算出を行うことで、設計初期段階と設計最終段階との間でのエネルギー消費性能の算出結果の差を低減させることができる。
【0113】
そこで、本実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、エネルギー消費性能の算出対象の建物が、特定の顧客の建物である場合には、顧客ごとに設定された「仕様情報」を用いてエネルギー消費性能の算出を行う計画精度向上処理(S300)を実行可能に形成されている。
【0114】
以下では、
図10のフローチャートを用いて、計画精度向上処理の各処理の説明を行う。本処理におけるエネルギー消費性能の算出対象の建物は、特定の顧客の建物であるものとする。ここで、「特定の顧客の建物」とは、顧客ごとに設定された「仕様情報」が予めデータベースに登録されている建物を指す。以下では、顧客ごとに設定された「仕様情報」を「特定仕様情報」と称する。
【0115】
図11では、「特定仕様情報」を示す表である「特定顧客用初期設定表」の一例を示している。「特定顧客用初期設定表」には、建物の外皮や設備機器(「空調」、「換気」、「照明」及び「給湯」)の仕様を示す情報が含まれている。なお、「初期設定表」の内容は、利用者によって適宜変更可能である。
【0116】
ステップS301において制御部12は、入力シートを表示部15に表示させる(
図4を参照)。これにより利用者は、入力シートへの「平面図情報」の入力が可能となる。制御部12は、
図3に示すステップS101と概ね同様に、「平面図情報」を取得する。
【0117】
また、計画精度向上処理においては、制御部12は、
図9(b)に示す「顧客情報」の項目を有する表を表示する。ここで、「顧客情報」とは、特定の顧客を示す情報である。上記表は、例えば入力シートと共に表示される(
図4を参照)。ステップS302において、利用者は、上記表に、「顧客情報」を入力する。「顧客情報」は、当該顧客に対応する「特定顧客用初期設定表」が紐付けられている。
【0118】
ステップS303において、制御部12は、「顧客情報」に紐付けられた「特定顧客用初期設定表」の「特定仕様情報」を取得する。また、ステップS304において、制御部12は、「平面図情報」と、ステップS303で取得した「特定仕様情報」と、を用いて「自動生成情報」を算出する。
【0119】
また、ステップS305~S307において、制御部12は、
図3に示すステップS104~S106と概ね同様に、「平面図情報」、「特定仕様情報」及び「自動生成情報」を用いて算出用情報を作成すると共に、計算プログラムを用いて建物のエネルギー消費性能(BEIの予測値)の算出を行い、算出結果を表示部15に表示させる。
【0120】
上記ステップS307の処理を実行した場合、制御部12は、計画精度向上処理を終了する。また、制御部12は、計画精度向上処理におけるエネルギー消費性能の良否の判断を行うことができる。計画精度向上処理における良否の判断結果が「否」である場合、利用者は、入力部14を用いた操作を行うことで、「詳細計算」や「超詳細計算」を実行することができる(
図3を参照)。
【0121】
上述の如き計画精度向上処理(S300)によれば、「顧客情報」に紐付けられた「特定仕様情報」を用いて、エネルギー消費性能の算出を行うことができる。これにより、特定の顧客の建物において、設計初期段階と設計最終段階との間でエネルギー消費性能の算出結果(BEIの予測値)の差を低減させることができ、エネルギー消費性能の算出の精度を向上させることができる。
【0122】
なお、上述した例では、作業負荷低減処理(S200)及び計画精度向上処理(S300)を別々に実行した例を示したが、このような構成に限定されない。例えば、上記各処理を組み合わせるようにしてもよい。具体的には、作業負荷低減処理(S200)の「平面図情報」を複製する処理(ステップS202、S203)を行った上で、計画精度向上処理(S300)の「特定仕様情報」を取得する処理(ステップS302、S303)を行うようにしてもよい。これによれば、入力の手間を削減しつつ、エネルギー消費性能の算出の精度を向上させることができる。
【0123】
以上のように、本発明の一実施形態に係るエネルギー消費性能算出システム1は、
建物の平面図から読み取り可能な平面図情報が入力される平面図情報入力部(入力部14)と、
前記平面図情報を、前記建物に設置される設備機器に関する情報である自動生成情報(設備計算情報)に変換する(ステップS103)情報変換部(制御部12)と、
前記設備機器の仕様及び前記建物の断熱性能の仕様を示す仕様情報が登録される仕様情報登録部(データベース)と、
前記平面図情報と、前記自動生成情報と、前記仕様情報と、を用いて前記建物のエネルギー消費性能の算出に必要な算出用情報を作成する(ステップS104)情報作成部(制御部12)と、
前記算出用情報に基づいて、前記建物のエネルギー消費性能の算出を行う(ステップS105)エネルギー消費性能算出部(制御部12)と、
を具備するものである。
【0124】
このような構成により、建物のエネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減すると共に、設計初期段階においてエネルギー消費性能を把握することができる。すなわち、建物の設計の初期段階において作成される平面図情報から、算出用情報を作成すると共に、算出用情報に基づいて建物のエネルギー消費性能の算出結果を得ることができる。これにより、エネルギー消費性能の算出に必要な全ての情報を入力する場合とは異なり、エネルギー消費性能の算出作業の負担を軽減することができる。また、例えば平面図のみが作成されている設計初期段階において、建物のエネルギー消費性能を把握することができる。これにより、早期に建物のエネルギー消費性能を把握することで、断熱性能や設備機器について、目標となる性能を満たす仕様を明らかにし、設計の手戻り等を少なくすることができる。
【0125】
また、前記仕様情報登録部(制御部12)には、
前記設備機器の仕様及び前記断熱性能の仕様の等級が異なる複数の前記仕様情報が登録されており、
複数の前記仕様情報のうち、一の前記仕様情報(「標準」の仕様)を前記算出用情報の作成に用いる算出用仕様情報として設定する仕様情報設定部(制御部12)を具備するものである。
【0126】
このような構成により、仕様情報設定部(制御部12)により自動で設定された仕様情報(「標準」の仕様)を用いて、自動で算出用情報の作成を行うことができる。
【0127】
また、エネルギー消費性能算出システム1は、
利用者の操作に応じて、前記仕様情報設定部(制御部12)が設定した前記仕様情報とは前記等級が異なる前記仕様情報を、複数の前記仕様情報のうちから選択可能な(ステップS107)仕様情報選択部(制御部12)を具備し、
前記仕様情報設定部(制御部12)は、
前記仕様情報選択部(制御部12)により選択された前記仕様情報を、前記算出用仕様情報として設定可能であるものである(ステップS108)。
【0128】
このような構成により、自動で設定された仕様情報(「標準」の仕様)を用いて作成した算出用情報とは異なる算出用情報を望む場合、上記自動で設定された仕様情報とは等級が異なる仕様情報(「高性能」の仕様)を用いて算出用情報の作成を行うことができる。
【0129】
また、エネルギー消費性能算出システム1は、
前記仕様情報選択部(制御部12)により選択された前記算出用仕様情報を用いて、前記情報作成部(制御部12)により作成された前記算出用情報を出力する(ステップS111)算出用情報出力部(表示部15)と、
利用者の入力操作に応じて、前記算出用情報出力部(表示部15)により出力された前記算出用情報の内容を変更可能な(ステップS112)詳細情報入力部(入力部14)と、
を具備するものである。
【0130】
このような構成により、利用者が選択した仕様情報(「高性能」の仕様)を用いて作成した算出用情報とは異なる算出用情報を望む場合、利用者の入力操作により変更された算出用情報を用いて、建物のエネルギー消費性能の算出を行うことができる。
【0131】
また、前記自動生成情報には、
前記建物の各室の方位別の外皮面積が含まれており、
前記平面図情報には、
前記建物の各室の方位別の外壁長さと、前記建物の各室の階高と、が含まれており、
前記情報変換部(制御部12)は、
前記外壁長さ及び前記階高に基づいて、前記外皮面積を算出するものである。
【0132】
このような構成により、平面図情報を用いて、自動生成情報に含まれる建物の外皮面積を算出することができる。
【0133】
また、前記自動生成情報には、
前記建物の各室の方位別の窓の面積が含まれており、
前記平面図情報には、
前記窓の仕様が含まれており、
前記情報変換部(制御部12)は、
前記窓の仕様ごとに設定された窓面積率と、前記外皮面積と、に基づいて、前記窓の面積を算出するものである。
【0134】
このような構成により、平面図情報を用いて、自動生成情報に含まれる建物の窓の面積を算出することができる。
【0135】
また、前記自動生成情報には、
定格冷却能力及び定格加熱能力が含まれており、
前記平面図情報には、
前記建物の各室の方位別の外皮面積及び床面積が含まれており、
前記仕様情報には、
前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、が含まれており、
前記情報変換部(制御部12)は、
前記外皮面積及び前記床面積のうちの少なくとも一方と、前記建物の各室の断熱性能と、前記建物の各室の内外の温湿度条件と、前記建物の各室で発生する単位面積あたりの熱負荷と、に基づいて、前記定格冷却能力及び前記定格加熱能力を算出するものである。
【0136】
このような構成により、平面図情報及び仕様情報を用いて、自動生成情報に含まれる定格冷却能力及び定格加熱能力を算出することができる。
【0137】
また、前記建物のエネルギー消費性能の算出結果の評価を行う評価部(制御部12)と、
前記評価部による評価の結果を出力する評価結果出力部(表示部15)と、
を具備するものである。
【0138】
このような構成により、エネルギー消費性能算出システムによる算出結果の評価を行うことができる。これにより、上記評価結果を鑑みて、算出に用いる仕様情報の等級や、算出用情報の内容を変更して、エネルギー消費性能算出システムによる算出をやり直すことができる。
【0139】
また、前記平面図情報には、
前記建物の室の名称の情報と、室の方位を示す情報と、が含まれ、
前記平面図情報が入力された第一の室に対して類似する第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、を入力可能な類似情報入力部(入力部14)と、
前記第二の室の名称と、前記第二の室の方位別の室数と、に基づいて、前記第一の室の前記平面図情報を、前記第二の室の前記平面図情報として複製する複製部(制御部12)と、
を具備するものである。
【0140】
このような構成により、すでに「平面図情報」を入力した第一の室に類似する第二の室について、複製した「平面図情報」を自動で入力することができる。これにより、互いに類似する室の「平面図情報」を1室ずつ入力する必要がなくなり、入力作業の負担を軽減することができる。
【0141】
また、エネルギー消費性能算出システム1は、
前記建物が特定の建物(特定の顧客の建物)であることを示す特定情報(顧客情報)を入力可能な特定情報入力部(入力部14)と、
前記顧客情報に基づいて、前記顧客情報に紐付けられた前記仕様情報である特定仕様情報を、前記仕様情報登録部(データベース)から取得する特定仕様情報取得部(制御部12)と、
を具備するものである。
【0142】
このような構成により、「顧客情報」に紐付けられた「特定仕様情報」を用いて、エネルギー消費性能の算出を行うことができる。これにより、特定の顧客の建物において、設計初期段階と設計最終段階との間でエネルギー消費性能の算出結果(BEIの予測値)の差を低減させることが可能となり、エネルギー消費性能の算出の精度を向上させることができる。
【0143】
なお、本実施形態に係る制御部12は、本発明に係る情報変換部、情報作成部、エネルギー消費性能算出部、評価部、複製部及び特定仕様情報取得部の一形態である。
また、本実施形態に係るデータベースは、本発明に係る仕様情報登録部の一形態である。
また、本実施形態に係る入力部14は、本発明に係る平面図情報入力部、詳細情報入力部、類似情報入力部及び特定情報入力部の一形態である。
また、本実施形態に係る表示部15は、本発明に係る算出用情報出力部及び評価結果出力部の一形態である。
【0144】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、上記説明で例示した具体的な数値は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0145】
例えば、本実施形態では、データベースに登録されている「仕様情報」の等級を「標準」及び「高性能」の二段階に設定した例を示したが、このような構成に限定されない。例えば、「仕様情報」の等級を三段階以上に設定してもよい。
【0146】
また、本実施形態では、計画精度向上処理(S300)の特定情報(建物が特定の建物であることを示す情報)の一例として顧客情報を採用したが、このような構成に限定されない。特定情報としては、例えば特定の用途の建物であることを示す情報等、「特定仕様情報」を設定可能な建物であることを示す種々の情報を採用可能である。
【0147】
また、本実施形態では、エネルギー消費性能算出システム1が予測するエネルギー消費性能の指標として、BEIを採用した例を示したが、このような構成に限定されず、種々のエネルギー消費性能の指標を採用可能である。
【0148】
また、本実施形態では、制御装置10を、パーソナルコンピュータやサーバ等の制御装置とした例を示したが、このような構成に限定されない。例えば、制御装置10を、タブレットやスマートフォン等の端末としてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 エネルギー消費性能算出システム
12 制御部
14 入力部
15 表示部