(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012772
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】栽培容器および栽培装置
(51)【国際特許分類】
A01G 31/04 20060101AFI20240124BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20240124BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240124BHJP
【FI】
A01G31/04 A
A01G31/00 601B
A01G31/00 613
A01G9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114490
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】512109415
【氏名又は名称】株式会社アイ・エム・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 弘
(72)【発明者】
【氏名】大湾 理江子
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314NA13
2B314NA33
2B314NA37
2B314NC23
2B314ND32
2B314PB08
2B327ND02
2B327TA08
2B327TA10
2B327TC13
2B327UA21
(57)【要約】
【課題】構造を簡単にして、清掃をし易くすること。
【解決手段】栽培装置1は、第1開口部を備え、植物が載置される植物載置部と、栽培用ポット支持部の流路から落下する養液を植物載置部に導く養液誘導部と、養液誘導部41cから流入した流体を貯留するポンドと、ポンドから溢れた養液を流路に排水する第2開口部と、を備えるカップ41と、流路を形成する栽培用ポット支持部に取り付けられる凸部とカップ41が係合する底部支持部および側部支持部と、カップ41が係合しているとき、第1開口部と連通する開口部42b1と、を備えるポット本体42と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口部を備え、植物が載置される載置部と、流路から落下する流体を前記載置部に導く導水板を備える導水部と、前記導水部から流入した流体を貯留する貯留部と、前記貯留部から溢れた流体を前記流路に排水する第2の開口部と、を備える第1のパーツと、
前記流路を形成する部材に取り付けられる取り付け部と前記第1のパーツが係合する係合部と、前記第1のパーツが前記係合部に係合しているとき、前記第1の開口部と連通する第3の開口部と、を備える第2のパーツと、
を有することを特徴とする栽培容器。
【請求項2】
前記流路を形成する部材は長尺状をなしており、
当該栽培容器は、前記部材の長手方向に沿って複数個配置され、
前記第2の開口部から流出した流体が他の栽培容器の前記導水部に落下する請求項1に記載の栽培容器。
【請求項3】
前記第1のパーツが前記係合部に係合し、前記流路を形成する部材に前記取り付け部が取り付けられているとき、平面視で前記導水板が前記排水部を遮る請求項1に記載の栽培容器。
【請求項4】
前記第1のパーツが前記係合部に係合しているとき、前記第1のパーツが前記第2のパーツから離脱することを抑制するロック機構が前記導水部に設けられている請求項1に記載の栽培容器。
【請求項5】
流路を備え、鉛直方向に立設する長尺体と、
第1の開口部を備え、植物が載置される載置部と、流路から落下する流体を前記載置部に導く導水板を備える導水部と、前記導水部から流入した流体を貯留する貯留部と、前記貯留部から溢れた流体を前記流路に排水する第2の開口部と、を備える第1のパーツと、
前記長尺体に取り付けられる取り付け部と前記第1のパーツが係合する係合部と、前記第1のパーツが前記係合部に係合しているとき、前記第1の開口部と連通する第3の開口部と、を備える第2のパーツと、
を有することを特徴とする栽培装置。
【請求項6】
前記長尺体は長手方向に沿って前記取り付け部が取り付けられるガイドレールを有する請求項5に記載の栽培装置。
【請求項7】
前記取り付け部が前記長尺体に取り付けられているとき、
前記導水板が前記載置部に向かう斜面を形成する請求項5に記載の栽培装置。
【請求項8】
前記長尺体は、平面視で環状に複数配置され
流体が流入する流入部と、前記流入部から流入した流体を分岐させる分岐部と、分岐した流体を前記長尺体の端部に導く流出部とを有する流体分配部をさらに有する請求項5に記載の栽培装置。
【請求項9】
複数の前記長尺体を、所定の回転軸を中心に回転させる回転部をさらに有する請求項8に記載の栽培装置。
【請求項10】
前記第1の開口部は、前記長尺体を挟んで前記回転軸の反対側に配置される請求項9に記載の栽培装置。
【請求項11】
前記第1の開口部は、前記長尺体の、前記回転軸と対向する側に配置される請求項9に記載の栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は栽培容器および栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦方向に植物を植える植物載置部(又は栽培ポット)を配置した植物栽培装置が知られている。例えば、養液を供給するための縦方向に延伸した養液用パイプと、栽培植物を植えるための縦方向に延伸した植物用パイプと、栽培植物に対して人工光を照射するための縦方向に延伸した育成光源とからなり、植物用パイプには、栽培植物を載置する植物載置部を先端内部に設置したパイプ管である分岐パイプが、植物用パイプと分岐パイプの上側面との間に空間を形成するように植物用パイプに対して20度から60度の角度を有して斜め上方向に向けて延伸して所定の高さ幅ごとに縦方向直線上に1以上設けられており、養液用パイプ内部から分岐パイプ内部へと養液を供給するための養液供給手段を備えており、分岐パイプに育成光源からの人口光が照射されるように、育成光源、分岐パイプ、植物用パイプ、養液用パイプの順に直線上に配置され、植物用パイプと養液用パイプとは離れて設置されており、養液供給手段は養液用パイプと分岐パイプとを連結する養液供給管であり、養液供給管の1端は養液用パイプに接続されており、植物用パイプと分岐パイプの上側面との間の空間に配される養液供給管の他端は分岐パイプの上側面に接続されており、養液供給管を介して、養液用パイプ内の養液を植物用パイプに配される分岐パイプ内に流入させる植物栽培装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような縦型の植物栽培装置では、植物載置部台と水が落下する流出部が一体型の為、清掃時には接続部から分解しなければならず手間が係ると言う問題がある。
1つの側面では、本発明は構造を簡単にして、流路と植物載置部台を取り付け取り外しがし易い構造として清掃をし易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の栽培容器が提供される。この栽培容器は、第1の開口部を備え、植物が載置される載置部と、流路から落下する流体を載置部に導く導水板を備える導水部と、導水部から流入した流体を貯留する貯留部と、貯留部から溢れた流体を流路に排水する第2の開口部と、を備える第1のパーツと、流路を形成する部材に取り付けられる取り付け部と第1のパーツが係合する係合部と、第1のパーツが係合部に係合しているとき、第1の開口部と連通する第3の開口部と、を備える第2のパーツと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、構造を簡単にして清掃をし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の栽培装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態の栽培用ポット支持部を説明する図である。
【
図4】実施の形態の養液分配部および回転駆動部を説明する図である。
【
図5】実施の形態の栽培用ポットを説明する図である。
【
図6】実施の形態の栽培用ポットを説明する図である。
【
図9】実施の形態のポット本体を説明する図である。
【
図10】実施の形態のポット本体を説明する図である。
【
図11】実施の形態の栽培用ポットの配置および構造を説明する平面図である。
【
図12】実施の形態の養液の流れを説明する図である。
【
図13】実施の形態の養液の流れを説明する図である。
【
図14】変形例の栽培用ポットの配置および構造を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の栽培装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の栽培装置を模式的に示す図である。
【0010】
第1の実施の形態の栽培装置1は、支柱2と、養液分配部3と、複数の栽培用ポット4と、栽培用ポット支持部5と、液体貯留部6と、回転駆動部7と、枠体8とを有している。
図1では、説明を分かりやすくするため、一部の栽培用ポット4と栽培用ポット支持部5の図示を省略している。また、支柱2の内部を透過して示している。
栽培装置1は、重力の作用による自由落下を利用して植物の成長に好ましい養分を水に混ぜた養液を栽培用ポット4に供給する。
【0011】
図1に示すように、栽培装置1は、平面視(
図1中紙面上方向から紙面下方向を見たとき)で支柱2が中央部に配置され、その周りを取り囲むように(平面視で環状に)複数の栽培用ポット支持部5が配置されている。例えば、8つの栽培用ポット支持部5を等間隔に配置することができる。栽培用ポット支持部5の数は8つに限定されない。また、栽培用ポット支持部5の配置間隔も等間隔に限定されないが等間隔に配置するのが採光や見た目の面から好ましい。
支柱2は、中空であり、例えば樹脂やステンレス鋼等の金属で形成されている。支柱2の直径は特に限定されないが、例えば40mmである。
栽培用ポット支持部5は、長尺状の部材であり、栽培用ポット4を支持する。また栽培用ポット支持部5は、栽培用ポット4に養液を供給する流路を形成する。
【0012】
栽培用ポット4は、栽培用ポット支持部5の長手方向に沿って複数個配置することができる。栽培用ポット4には、栽培対象の植物が配置される。栽培用ポット4の構造については後に詳述する。
図2は、実施の形態の栽培用ポット支持部を説明する図である。なお、
図2では、栽培用ポット4の図示を省略している。
【0013】
栽培用ポット支持部5は、平面視で馬の蹄のような、長手方向の4面のうち3面が取り囲まれ、1面が開口した中空の長尺状の部材である。栽培用ポット支持部5の構成材料としては、例えば樹脂が挙げられる。本実施の形態の栽培用ポット支持部5は、可撓性を有している。紙面左右方向に若干の収縮が可能であるのが好ましい。各栽培用ポット支持部5の開口した1面は、支柱2と対向する面とは反対側(すなわち、表側)に配置される。
【0014】
栽培用ポット支持部5は、台座9上に配置されている。台座9は、中央部に支柱2が通過する孔部91を有している。孔部91にはベアリングが配置されており、支柱2が固定された状態で台座9が支柱2の周りを回転できる。本実施の形態では、支柱2は回転せず、台座9および栽培用ポット支持部5が支柱2の周りを回転する。
【0015】
また、台座9の栽培用ポット支持部5を載置する部位には、栽培用ポット支持部5の端部を取り囲むことにより栽培用ポット支持部5の端部を支持する枠92を有している。枠92内には、栽培用ポット支持部5の端部の径よりも小さい径の孔部93が設けられており、栽培用ポット支持部5内部を通過した液体は、この孔部93を通過して液体貯留部6へと落下する。
支柱2には、栽培用ポット支持部5を支持する支持部21が取り付けられている。
図3は、実施の形態の支持部を説明する図である。
【0016】
支持部21は、支柱2を取り囲み、支柱2に固定されたベアリング部211と、ベアリング部211から延伸し各栽培用ポット支持部5を挟むクリップ212とを有している。支持部21を設けることにより、栽培用ポット支持部5の安定性が増す。
再び
図1に戻って説明する。
【0017】
支柱2内部には植物に供給する養液が流れる供給管22が配置されている。供給管22の直径は特に限定されないが、例えば13mmである。供給管22の内径は特に限定されないが9mmである。供給管22の上端部22aには、中継管23が配置されている。中継管23の直径は特に限定されないが18mmである。また、中継管23の内径は、供給管22の直径13mmよりも若干大きい。これにより、中継管23の端部を供給管22に差し込むことができる。また、中継管23に供給管22を差し込んだ状態で、供給管22の周りを中継管23が回転することができる。中継管23の他方の端部には、養液分配部3が配置されている。
【0018】
栽培用ポット支持部5の端部5aには、樋51が配置されている。供給管22、中継管23、および養液分配部3および樋51を通過した養液が栽培用ポット支持部5に供給される。
【0019】
液体貯留部6には、養液が満たされている。液体貯留部6にはポンプ61が配置されている。ポンプ61は液体貯留部に満たされている養液を汲み上げ供給管22に供給する。
回転駆動部7は、養液分配部3を回転駆動する。
図4は、実施の形態の養液分配部および回転駆動部を説明する図である。
養液分配部3は、中継管23から流出する養液を栽培用ポット支持部5の上端部に供給する。
養液分配部3は、流入口31と、分岐部32と、被支持部33とを有している。
【0020】
流入口31は、中継管23の端部に固定されている。この流入口31には、ポンプ61により汲み上げられ、供給管22および中継管23を通過して支柱2の上端部に達した養液が流入する。流入口31と分岐部32とは内部で連通している。
【0021】
分岐部32は、栽培用ポット支持部5の数に応じて設けられている。本実施の形態では8つの栽培用ポット支持部5を配置しているため、8つの分岐部32を有しているが、分岐部32の数は8つに限定されない。流入口31に流入した養液は、8つの分岐部32をそれぞれ通過し、各分岐部32の流出口321から流出する。
【0022】
なお、分岐部32の途中に弁等を設けて、一部の分岐部32について、栽培用ポット支持部5への養液の供給を停止するようにしてもよい。これにより、栽培用ポット支持部5に養液を供給する分岐部32と養液を供給しない分岐部32とをそれぞれ設けることができる。
被支持部33には、回転駆動部7の動力を伝達するギアシャフト74が取り付けられる。
回転駆動部7は、モータ71を有している。
モータ71は、枠体8に取り付けられる駆動部支持部81により支持されることにより、養液分配部3の上部に位置している。
モータ71には、ギア73が取り付けられている。ギア73は、ギアシャフト74と噛み合っている。ギアシャフト74は、被支持部33に挿入されている。
本実施の形態のモータ71は、ギア73およびギアシャフト74を介して養液分配部3の被支持部33に動力を伝達する。
養液分配部3の回転速度は特に限定されないが、例えば3回/mである。
再び
図1に戻って説明する。
【0023】
枠体8は、駆動部支持部81を支持している。また、枠体8は、光源10を支持する光源支持部82を有している。本実施の形態の光源10は、栽培用ポット支持部5を取り囲むように、栽培用ポット支持部5の長手方向に沿って配置される。本実施の形態の光源10の配置間隔は、特に限定されないが、例えば支柱2を中心として90度間隔である。光源10としては特に限定されないが、例えば蛍光灯やLED等が挙げられる。光源10はなくてもよい。
<栽培用ポット>
前述したように、栽培用ポット4は栽培用ポット支持部5の長手方向に沿って複数個配置することができる。
図5および
図6は、実施の形態の栽培用ポットを説明する図である。
栽培用ポット4は、栽培用ポット支持部5により支持され、栽培用ポット支持部5を流れる養液の一部を取り込む。
栽培用ポット4は、カップ(植物載置部)41と、ポット本体42とを有している。カップ41は、ポット本体42に対して着脱可能となっている。
図7および
図8は、実施の形態のカップを説明する図である。
【0024】
カップ41は、第1開口部41aと、植物載置部41bと、養液誘導部41cと、ポンド41dと、第2開口部41eと、係合部41fとを有している。本実施の形態の植物載置部41bとポンド41dには境界がなく、一体的に形成されている。植物載置部41bとポンド41dとの間に何らかの仕切が設けられていてもよい。
【0025】
植物載置部41bには、植物の苗が載置される。なお、植物の栽培に際しては、植物載置部41bの中に配される図示しないスポンジの培地に種を植え付け、植物を栽培するようにしてもよい。スポンジの培地には養液誘導部41cから落下する養液が沁みて植物に養液が供給される。
【0026】
養液誘導部41cは、ポット本体42とカップ41との着脱の際に、利用者が把持する部位である。また、この養液誘導部41cは、植物載置部41bに養液を供給する流路の機能も兼ね備えている。
【0027】
ポンド41dは、養液を貯留する部位である。ポンド41dから溢れる養液は、第2開口部41eから流出する。ポンド41dの容積は特に限定されないが、例えば50ccである。
【0028】
係合部41fは、球状のダボ41f1と養液誘導部41cから突出する板状の突出部41f2とを備えている。係合部41fは、ポット本体42に設けられた形状のスリット(被係合部)と係合することにより、簡易的なロック機構を形成している。
図9および
図10は、実施の形態のポット本体を説明する図である。
ポット本体42は、凸部42aと、収容部42bと、連結部42cと突起部42dを有している。
【0029】
凸部42aは、ポット本体42の長手方向に沿って設けられている。栽培用ポット支持部5のガイドレール(後述)に嵌合する。これにより、ポット本体42は栽培用ポット支持部5の長手方向に沿って移動可能に支持される。
【0030】
収容部42bは、カップ41の形状に対応して設けられ、カップ41を収容する。収容部42bは、カップ41の開口部41aに対応する開口部42b1と、栽培器の底部を支持する底部支持部42b2と、栽培器の側部を支持する側部支持部42b3とを有している。
【0031】
また、収容部42bには、カップ41に設けられた係合部41fに対応する形状のスリット(被係合部)42b4が設けられている。スリット42b4にはダボ41f1および突出部41f2が挿通する挿通部42b41と、突出部41f2が当接する当接部42b42と、突出部41f2が当接部42b42側にスライドして当接部42b42に近づくに連れてダボ41f1が乗り越える段差部42b43と、突出部41f2が当接部に当接したときにダボ41f1を収容するダボ収容部42b44とを有している。スライドにより突出部41f2が当接部42b42と当接することでダボ41f1がダボ収容部42b44に収容され、簡易的なロック機構を形成している。このため、カップ41がポット本体42から簡単に離脱することを抑制することができる。また、栽培装置1の使用時において、栽培用ポット支持部5に栽培用ポット4を配置したときに、スリット42b4が斜めに位置する。これにより、カップ41がポット本体42から簡単に離脱することを抑制することができる。
【0032】
ポット本体42からカップ41を取り外したい場合は、スリットに平行な方向にある程度力を加えることでダボ41f1がダボ収容部42b44から離脱する。これにより、ポット本体42からカップ41を取り外すことができる。
連結部42cは、当該栽培用ポット4の下部に配置された栽培用ポッド4の上部に連結可能な形状をなしている。
【0033】
突起部42dは、ポット本体42の長手方向に沿って設けられている。突起42dの突出方向の長さは、例えば2mmである。突起42dの機能については、後述する。
再び
図6に戻って説明する。
【0034】
カップ41を本体に取り付けたとき養液誘導部41cの上部とポット本体42との間に開口部44が形成される。栽培用ポット支持部5を流れる養液の一部は、この開口部44から植物載置部41bに流入する。
次に、栽培用ポット4の配置および栽培用ポット4の構造について説明する。
図11は、実施の形態の栽培用ポットの配置および構造を説明する平面図である。
【0035】
栽培用ポット支持部5の開口面の両端部には、長手方向に沿ってガイドレール(溝部)52が設けられている。ポット本体42の凸部42aがこのガイドレール52に嵌合することで、栽培用ポット4が栽培用ポット支持部5により支持される。また、凸部42aがガイドレール52に嵌合した状態では、ガイドレール52が、凸部42aを挟み込んで栽培用ポット支持部5が栽培用ポット4を締め付ける構造となっている。ガイドレール52と凸部42aとの間に生じる摩擦により、栽培用ポット4に植物が配置され、養液がポンド41dに満たされても栽培用ポット4は、自重に逆らって停止する。前述した構造により、栽培用ポット支持部5の任意の位置に栽培用ポット4を配置することができる。
<使用方法の一例>
次に、植物栽培装置1の使用方法の一例を説明する。
【0036】
利用者は、カップ41をポット本体42に取り付ける。そして、ポット本体42の凸部42aをガイドレール52に嵌合させる。嵌合方法としては、例えば、栽培用ポット支持部5の端部から凸部42aをガイドレール52に挿入する方法や、栽培用ポット支持部5のガイドレール52を多少反らせて凸部42aをねじ込む方法等が挙げられる。
次に、利用者は、植物の苗をカップ41の植物載置部41bに載置する。
次に、利用者は、モータ71を駆動させる。これにより、養液分配部3および栽培用ポット支持部5が支柱2の周りを回転する。
【0037】
次に、利用者は、ポンプ61を作動させる。これにより、ポンプ61は、液体貯留部6に貯留される養液を汲み上げ、パイプ等を介して供給管22の下端部に供給する。養液は供給管22内を通過して中継管23を通り養液分配部3の流入口31に流入する。前述したように、流入口31に流入した養液は、8つの分岐部32をそれぞれ通過し、分岐部32の流出口321から流出する。各流出口321から流出した養液は、樋51を通過して栽培用ポット支持部5に流入する。
図12は、実施の形態の養液の流れを説明する図である。
図12においては、養液の流れの一例を点線の矢印で示している。
【0038】
栽培用ポット支持部5に流入した養液の一部は、栽培用ポット支持部5に配置されている最上部の栽培用ポット4の養液誘導部41cを伝って植物載置部41bおよびポンド41dに流入する。
【0039】
なお、
図12では、植物を収容できる容器11を図示している。容器11の側部の形状は、ポット本体42の開口部42b1に対応する形状をなしており、容器部10の側部は開口部42b1に係合する。これにより、植物を安定して植物載置部41bに載置できる。
また、養液の一部は、栽培用ポット支持部5を伝って下部の栽培用ポット4に移動する。
【0040】
一定以上の養液がポンド41dに流入すると、ポンド41dから養液が溢れる。溢れた養液は、第2開口部41eから流出し、カップ41の外面41gを伝って下部に落下する。
【0041】
図13は、実施の形態の養液の流れを説明する図である。
図13においては説明を分かりやすくするために、上部の栽培用ポットの符号を栽培用ポット4a、下部の栽培用ポットの符号を栽培用ポット4bとする。
【0042】
本実施の形態では、栽培用ポット4a、4bが栽培用ポット支持部5に取り付けられているとき、平面視(紙面上部から紙面下部を見たとき)で養液誘導部41cが外面41gを遮るようになっている(
図11も参照。なお、
図11では第2開口部41eと外面41gの位置を点線で示している。)。このため、上部の栽培用ポット4aの第2開口部41eから流出し、外面41gを伝って下部に落下した養液の一部または大部分は下部の栽培用ポット4bの養液誘導部41cに当たり、栽培用ポット4bの養液誘導部41cを伝って植物載置部41bおよびポンド41dに流入する。そして、栽培用ポット4bの第2開口部41eから流出し、外面41gを伝って下部に落下した養液の一部または大部分は、さらに下部の図示していない栽培用ポット4の養液誘導部41cに当たる。このようにして、上部の栽培用ポット4aから下部の栽培用ポット4bに向かって順に養液が供給される。
【0043】
栽培用ポット支持部5の下端部に達した養液は、孔部93を通過して液体貯留部6に流入する。液体貯留部6に流入した養液は、再びポンプ61により汲み上げられ供給管22に供給される。
【0044】
以上述べたように、実施の形態の栽培装置1は、第1開口部41aを備え、植物が載置される植物載置部41bと、栽培用ポット支持部5の流路から落下する養液を植物載置部41bに導く養液誘導部41cと、養液誘導部41cから流入した流体を貯留するポンド41dと、ポンド41dから溢れた養液を流路に排水する第2開口部41eと、を備えるカップ41と、流路を形成する栽培用ポット支持部5に取り付けられる凸部42aとカップ41が係合する底部支持部42b2および側部支持部42b3と、カップ41が係合しているとき、第1開口部41aと連通する開口部42b1と、を備えるポット本体42と、を有する。従って、構造を簡単にして植物に養液を行き渡らせることができる。また、カップ41はポット本体42から着脱可能である。カップ41をポット本体42から取り外せるようにしたので、カップ41の清掃が楽になる。また、ポット本体42も栽培用ポット支持部5から取り外せるので、ポット本体42の清掃も楽になる。
【0045】
また、カップ41のポンド41dの容積を、例えば50ccと大きくした。これにより、植物の根がポンド41dから飛び出したり、栽培用ポット支持部5側に接触したりすることを抑制できる。従って、植物の根を十分に成長させることができる。
【0046】
また、溢れた養液が次のポンド41dに落ちる様に養液誘導部41cを設けた。これにより、水が溢れると落下し下部のポンド41dに養液が供給されるので、各栽培用ポット4にまんべんなく養液が供給される。また、栽培用ポット4が栽培用ポット支持部5に取り付けられているとき、平面視で養液誘導部41cが第2開口部41eおよび外面41gを遮る構造とした。これにより、外面41gを伝って落下した養液を、下部の養液誘導部41cにより確実に供給することができる。
【0047】
また、カップ41がポット本体42に取り付けられているとき、ダボ41f1がダボ収容部42b44に収容され、簡易的なロック機構を形成している。これにより、カップ41がポット本体42から離脱することを抑制することができる。
【0048】
また、栽培用ポット支持部5にガイドレール52を配置し、栽培用ポット4に凸部42aを設けてガイドレール52に嵌合させるようにした。これにより、栽培用ポット4を容易に栽培用ポット支持部5に取り付けることができる。また、ガイドレール52が、凸部42aを挟み込んで栽培用ポット支持部5が栽培用ポット4を締め付ける構造となっている。ガイドレール52と凸部42aとの間に生じる摩擦により、栽培用ポット4に植物が配置され、養液がポンド41dに満たされても栽培用ポット4は、自重に逆らって停止する。前述した構造により、栽培用ポット支持部5の任意の位置に栽培用ポット4を配置することができる。
【0049】
また、各栽培用ポット支持部5の開口した1面は、支柱2と対向する面とは反対側(すなわち、表側)に配置され、栽培用ポット4は、表側に配置される。このため、栽培用ポット4の設置や、植物の手入れや、収穫等が容易である。また、植物に光が当たりやすくなる。
【0050】
また、1本の供給管22から供給される養液を複数(本実施の形態では8本)に分配できる養液分配部3を配置した。これにより、単位面積あたりの栽培数が増加する。また、ポンプ61により供給管22と栽培用ポット支持部5との間で養液を循環させるようにしたので、栽培数量が少数で済む。また、栽培用ポット支持部5の上部に貯留部を設けない構造としたことで、装置の安定性が増し、メンテナンスも容易である。
【0051】
また、回転駆動部7を配置し、支柱2を回転軸の中心としてその周りを栽培用ポット支持部5が回転するようにした。これにより、別途送風機等を配置しなくても気流が発生する。また、液体貯留部6は回転しないので、モータ71の消費電力を抑え、小型化することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、栽培装置1の中央部に配置した支柱2を通過する供給管22および中継管23を使用して養液を養液分配部3に供給した。しかし、養液分配部3への養液の供給方法はこれに限らず、例えば養液分配部3の上部に供給管を設け、養液分配部3に養液を供給するようにしてもよい。これにより、例えば大規模な工場で養液を一元管理させることもできる。
【0053】
また、本実施の形態では、支柱2の周りを取り囲むように栽培用ポット支持部5を配置した。しかし、これに限らず、栽培用ポット支持部5を一列または複数列に配置してもよい。このとき、養液分配部3も列方向に並んだ各栽培用ポット支持部5の上部に養液を導ける(各栽培用ポット支持部5の配置に即した)構造にするのが好ましい。
【0054】
また、本実施の形態では、第1開口部41aは、栽培用ポット支持部5を挟んで支柱2(回転軸)の反対側に配置した。しかし、これに限らず、栽培用ポット支持部5の開口した1面を支柱2側に向けて、第1開口部41aを支柱2と対向する側に配置してもよい。このとき、光源10は、第1開口部41a側(すなわち、支柱2近傍)に配置するのが好ましい。これにより、光源10の数を減らして、省電力を図ることができる。また、栽培用ポット4に載置する植物が小さい苗等の場合、光が集中しているのでエネルギーの無駄がない。このため、例えば苗作り(種をまいて苗までを作る期間)には、栽培用ポット支持部5の開口した1面を支柱2側に向けて、苗を生育し、ある程度育ってから第1開口部41aを、栽培用ポット支持部5を挟んで支柱2(回転軸)の反対側に配置してもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、光源10の位置を固定とした。しかし、これに限らず光源10と植物との位置を、植物の生育状態に応じて変更できるようにしてもよい。例えば、植物が小さい場合は、植物と光源10の位置を近づけ、植物が生長するにつれて、植物と光源10の位置を離していくようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、モータ71を養液分配部3の上部に配置した。しかしモータ71の配置位置は、養液分配部3および栽培用ポット支持部5を回転させることができれば特に限定されない。
回転駆動部7および光源10の位置を変更または光源10を省略することにより、枠体8の省略を図ることができる。
<変形例>
次に、栽培装置1の変形例について説明する。
図14は、変形例の栽培用ポットの配置および構造を説明する平面図である。
【0057】
変形例では、凸部42aは、ガイドレール52に嵌合していない。凸部42aは、ガイドレール52の外側に位置している。代わりに、突起42dがガイドレール52の外側に位置している。利用者が栽培用ポット4を把持して上下方向に移動させたとき、突起42dがガイドレール52の外面52aに当たることで、栽培用ポット4が栽培用ポット支持部5から離脱することを抑制している。
【0058】
突起42dがガイドレール52の外側に位置している状態では、ガイドレール52が、凸部42aの外側(
図14中右側)に当接して栽培用ポット支持部5が栽培用ポット4を締め付ける構造となっている。このため、
図11に示した例よりも摩擦力は小さくなるが、ガイドレール52と凸部42aの外側との間に生じる摩擦により、栽培用ポット4に植物が配置され、養液がポンド41dに満たされても栽培用ポット4は、自重に逆らって停止する。
【0059】
変形例の栽培用ポット支持部5から栽培用ポット4を取りつける方法は、栽培用ポット4を把持して
図14中左側から栽培用ポット支持部5に押しつける。これにより、突起42dはガイドレール52を乗り越えて外面52aの右側に位置する。変形例の栽培用ポット支持部5から栽培用ポット4を取り外す方法は、栽培用ポット4を把持して
図14中左側に向かって栽培用ポット4を引っ張る。これにより、突起42dはガイドレール52を乗り越えて栽培用ポット支持部5から離脱する。
【0060】
変形例の栽培用ポット4を栽培用ポット支持部5に取り付けたときの配置構造によれば、栽培用ポット4をより簡単に栽培用ポット支持部5に取り付けることができる。また、栽培用ポット4をより簡単に栽培用ポット支持部5から取り外すことができる。
【0061】
以上、本発明の栽培容器および栽培装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 栽培装置
2 支柱
22 供給管
23 中継管
3 養液分配部
31 流入口
32 分岐部
321 流出口
33 被支持部
4 栽培用ポット
41 カップ
41a 第1開口部
41b 植物載置部
41c 養液誘導部
41d ポンド
41e 第2開口部
41f 係合部
41f1 ダボ
41g 外面
42 ポット本体
42a 凸部
42b 収容部
42b1 開口部
42b2 底部支持部
42b3 側部支持部
42b4 スリット
42b41 挿通部
42b42 当接部
42b43 段差部
42b44 ダボ収容部
42c 連結部
42d 突起
5 栽培用ポット支持部
51 樋
52 ガイドレール
52a 外面
6 液体貯留部
61 ポンプ
7 回転駆動部
8 枠体
71 モータ
8 枠体
9 台座
91 孔部
92 枠
93 孔部
10 光源
11 容器