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特開2024-127721人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127721
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/122 20100101AFI20240912BHJP
   B62M 9/132 20100101ALI20240912BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20240912BHJP
【FI】
B62M9/122
B62M9/132
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182592
(22)【出願日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2023036386
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】光成 一雅
(57)【要約】
【課題】人力駆動車に推進力を付与するモータ、第1変速装置、および、第2変速装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムを提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車の推進をアシストするモータを制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1変速装置、および、第2変速装置の少なくとも1つが前記人力駆動車の変速比を変更する変速動作を実行する場合、前記モータの出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成され、前記第1変速装置の変速動作と前記第2変速装置の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって前記変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車の推進をアシストするモータを制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、
第1変速装置、および、第2変速装置の少なくとも1つが前記人力駆動車の変速比を変更する変速動作を実行する場合、前記モータの出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成され、
前記第1変速装置の変速動作と前記第2変速装置の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって前記変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの一方を実行可能な場合において、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの他方の実行を抑制可能に構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、第1条件に基づいて、前記第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、第2条件に基づいて、前記第2オペレーションの実行を許容可能に構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1条件は、前記人力駆動車の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含み、
前記人力駆動車の走行状態は、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2条件は、前記人力駆動車の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含み、
前記人力駆動車の走行状態は、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、ユーザが操作可能な操作部からの信号に基づいて、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成され、
前記第2オペレーションの実行によって前記変速比を減少させる場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1変速装置は、フロントディレイラであり、
前記制御部は、前記第2オペレーションの実行によって前記第1変速装置が前記人力駆動車に近づく方向に移動するように前記第1変速装置が変速動作する場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2オペレーションにおいて前記第1変速装置が変速動作せず、かつ、前記第2変速装置が変速動作する場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される、請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1変速装置と前記第2変速装置との一方は、内装変速機であり、
前記第1変速装置と前記第2変速装置との他方は、ディレイラである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第1変速装置は、後輪のハブに設けられるリア内装変速機であり、
前記第2変速装置は、リアディレイラである、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成され、
車速が所定車速以上の場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記車速が前記所定車速以上の場合、前記モータを停止させるように前記モータを制御するように構成される、請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
人力駆動車用の変速システムであって、
前記第1変速装置と、
前記第2変速装置と、
請求項1から15のいずれか一項に記載の制御装置と、を備える、変速システム。
【請求項17】
人力駆動車用の変速システムであって、
第1変速装置と、
第2変速装置と、
人力駆動車の推進をアシストするモータと、
前記モータを制御するように構成される制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1変速装置、および、前記第2変速装置の少なくとも1つが前記人力駆動車の変速比を変更する変速動作を実行する場合、前記モータの出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成され、
前記第1変速装置の変速動作と前記第2変速装置の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって前記変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される、変速システム。
【請求項18】
前記制御部は、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの一方を実行可能な場合において、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの他方の実行を抑制可能に構成される、請求項17に記載の変速システム。
【請求項19】
前記第1変速装置は、フロントディレイラ、または、後輪のハブに設けられるリア内装変速機である、請求項17または18に記載の変速システム。
【請求項20】
前記第2変速装置は、リアディレイラである、請求項17または18に記載の変速システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される制御部は、例えば、第1変速装置、および、第2変速装置を連携して制御可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0290412号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、好適に変速できる人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車の推進をアシストするモータを制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、第1変速装置、および、第2変速装置の少なくとも1つが前記人力駆動車の変速比を変更する変速動作を実行する場合、前記モータの出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成され、前記第1変速装置の変速動作と前記第2変速装置の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって前記変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される。
第1側面の制御装置によれば、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行できるため、好適に変速できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの一方を実行可能な場合において、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの他方の実行を抑制可能に構成される。
第2側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方を実行する場合、他方を抑制できるため、変速する場合にモータ、第1変速装置、および、第2変速装置の全てが動作することを抑制できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される。
第3側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行する場合に、第2オペレーションの実行を抑制できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、第1条件に基づいて、前記第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される。
第4側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行する場合、第1条件に基づいて、第2オペレーションの実行を好適に抑制できる。
【0009】
本開示の第1または第2側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、第2条件に基づいて、前記第2オペレーションの実行を許容可能に構成される。
第5側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行する場合、第2条件に基づいて、第2オペレーションを実行できる。
【0010】
本開示の第4側面に従う第6側面の制御装置において、前記第1条件は、前記人力駆動車の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含み、前記人力駆動車の走行状態は、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。
第6側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行する場合、人力駆動車のクランク軸の回転速度、クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む人力駆動車の走行状態、および、人力駆動車の操作状態の少なくとも1つに基づいて、第2オペレーションの実行を抑制できる。
【0011】
本開示の第5側面に従う第7側面の制御装置において、前記第2条件は、前記人力駆動車の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含み、前記人力駆動車の走行状態は、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。
第7側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行可能な場合、人力駆動車のクランク軸の回転速度、クランク軸に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む人力駆動車の走行状態、および、人力駆動車の操作状態の少なくとも1つに基づいて、第2オペレーションを実行できる。
【0012】
本開示の第1側面に従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、ユーザが操作可能な操作部からの信号に基づいて、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成される。
第8側面の制御装置によれば、制御部は、ユーザによる操作部への操作に基づいて、第1オペレーションを実行可能な場合に第2オペレーションの実行を抑制するか、許容するかのいずれかを選択できる。
【0013】
本開示の第1側面に従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成され、前記第2オペレーションの実行によって前記変速比を減少させる場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される。
第9側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行可能な場合において、変速比を減少させる第2オペレーションを実行できる。
【0014】
本開示の第9側面に従う第10側面の制御装置において、前記第1変速装置は、フロントディレイラであり、前記制御部は、前記第2オペレーションの実行によって前記第1変速装置が前記人力駆動車に近づく方向に移動するように前記第1変速装置が変速動作する場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される。
第10側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行可能な場合において、フロントディレイラが人力駆動車に近づく方向に移動するように第1変速装置が変速動作する第2オペレーションを実行できる。
【0015】
本開示の第9側面に従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2オペレーションにおいて前記第1変速装置が変速動作せず、かつ、前記第2変速装置が変速動作する場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1変速装置が変速動作せず、かつ、第2変速装置が変速動作する第2オペレーションを実行できる。
【0016】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、前記第1変速装置と前記第2変速装置との一方は、内装変速機であり、前記第1変速装置と前記第2変速装置との他方は、ディレイラである。
第12側面の制御装置によれば、制御部は、内装変速機、および、ディレイラの少なくとも1つが変速動作を実行する場合にモータの出力を変更する第1オペレーションを実行でき、かつ、内装変速機の変速動作とディレイラの変速動作との組み合わせを含む所定規則によって変速比を変化させる第2オペレーションを実行できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の制御装置において、第1変速装置は、後輪のハブに設けられるリア内装変速機であり、第2変速装置は、リアディレイラである。
第12側面の制御装置によれば、制御部は、リア内装変速機、および、リアディレイラの少なくとも1つが変速動作を実行する場合、モータの出力を変更する第1オペレーションを実行でき、かつ、リア内装変速機の変速動作とリアディレイラの変速動作との組み合わせを含む所定規則によって変速比を変化させる第2オペレーションを実行できる。
【0018】
本開示の第1側面に従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1オペレーションを実行可能な場合において、前記第2オペレーションの実行の抑制と、前記第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成され、車速が所定車速以上の場合、前記第2オペレーションの実行を許容するように構成される。
第14側面の制御装置によれば、制御部は、第1オペレーションを実行可能な場合において、車速が所定車速以上の場合、第2オペレーションを実行できる。
【0019】
本開示の第14側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記車速が前記所定車速以上の場合、前記モータを停止させるように前記モータを制御するように構成される。
第14側面の制御装置によれば、制御部は、車速が所定車速以上の場合、モータを停止するため、車速が所定車速以上の場合にモータによって人力駆動車に推進力が付与されない。
【0020】
本開示の第16側面に従う変速システムは、人力駆動車用の変速システムであって、前記第1変速装置と、前記第2変速装置と、第1から第15側面のいずれか1つに従う制御装置と、を備える。
第16側面の変速システムによれば、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行できるため、好適に変速できる。
【0021】
本開示の第17側面に従う変速システムは、人力駆動車用の変速システムであって、第1変速装置と、第2変速装置と、人力駆動車の推進をアシストするモータと、前記モータを制御するように構成される制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1変速装置、および、前記第2変速装置の少なくとも1つが前記人力駆動車の変速比を変更する変速動作を実行する場合、前記モータの出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成され、前記第1変速装置の変速動作と前記第2変速装置の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって前記変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される。
第17側面の変速システムによれば、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行できるため、好適に変速できる。
【0022】
本開示の第17側面に従う第18側面の変速システムにおいて、前記制御部は、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの一方を実行可能な場合において、前記第1オペレーション、および、前記第2オペレーションの他方の実行を抑制可能に構成される。
第18側面の変速システムによれば、制御部は、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方を実行する場合、他方を抑制できるため、変速する場合にモータ、第1変速装置、および、第2変速装置の全てが動作することを抑制できる。
【0023】
本開示の第17または第18側面に従う第19側面の変速システムにおいて、前記第1変速装置は、フロントディレイラ、または、後輪のハブに設けられるリア内装変速機である。
第19側面の変速システムによれば、フロントディレイラを含む変速システムにおいて、好適に変速できる。
【0024】
本開示の第17または第18側面に従う第20側面の変速システムにおいて、前記第2変速装置は、リアディレイラである。
第20側面の変速システムによれば、リアディレイラを含む変速システムにおいて、好適に変速できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムによれば、好適に変速できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムを含む人力駆動車の側面図である。
図2図1の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の変速システムを含む人力駆動車について、電気的な構成を示すブロック図である。
図3図2の制御部によって実行される第1オペレーションに用いられる第1変速経路の一例を示す模式図である。
図4図2の制御部によって実行される第2オペレーションに用いられる第2変速経路の一例を示す模式図である。
図5図2の制御部によって実行される、第1オペレーションおよび第2オペレーションの実行を許容と抑制との間において切り替えをする処理を示すフローチャートである。
図6図2の制御部によって実行される、第1変速装置、第2変速装置、および、モータを制御する処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態の人力駆動車用の制御装置および変速システムを含む人力駆動車について、電気的な構成を示すブロック図である。
図8】第3実施形態の人力駆動車用の制御装置および変速システムを含む人力駆動車の後輪の車軸の周辺を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1から図6を参照して、人力駆動車用の制御装置70および人力駆動車用の変速システム50が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば、1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、それぞれの実施形態において、人力駆動車は、電動アシスト自転車として説明される。
【0028】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車の基準位置(例えば、サドルまたはシート上)においてハンドルバーを向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0029】
人力駆動車10は、例えば、少なくとも1つの車輪12と、車体14と、を含む。少なくとも1つの車輪12は、例えば、前輪12F、および、後輪12Rを含む。車体14は、例えば、フレーム16を含む。フレーム16には、例えば、サドルが取り付けられる。
【0030】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動力が入力されるクランク18をさらに含む。クランク18は、例えば、フレーム16に対して回転可能なクランク軸20と、クランクアーム22とを含む。クランクアーム22は、例えば、第1クランクアーム22Aおよび第2クランクアーム22Bを含む。第1クランクアーム22Aおよび第2クランクアーム22Bは、例えば、クランク軸20の軸方向の両方の端部にそれぞれ設けられる。
【0031】
クランクアーム22には、例えば、ペダル24が連結される。ペダル24は、例えば、第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bを含む。第1クランクアーム22Aには、例えば、第1ペダル24Aが連結される。第2クランクアーム22Bには、例えば、第2ペダル24Bが連結される。フレーム16には、例えば、フロントフォーク26が接続される。フロントフォーク26には、例えば、前輪12Fが取り付けられる。フロントフォーク26には、例えば、ハンドルバー28がステム30を介して連結される。後輪12Rは、例えば、フレーム16に支持される。
【0032】
クランク18は、例えば、駆動機構32によって前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つと連結される。本実施形態では、クランク18は、駆動機構32によって後輪12Rと連結される。後輪12Rは、例えば、クランク軸20が回転することによって駆動される。駆動機構32は、例えば、クランク軸20に連結される少なくとも1つの第1回転体34を含む。少なくとも1つの第1回転体34は、例えば、フロントスプロケット34Aを含む。少なくとも1つの第1回転体34は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。クランク軸20は、フロントスプロケット34Aと、ワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。
【0033】
駆動機構32は、例えば、少なくとも1つの第2回転体36および伝達体38をさらに含む。伝達体38は、例えば、少なくとも1つの第1回転体34の回転力を少なくとも1つの第2回転体36に伝達するように構成される。伝達体38は、例えば、チェーンを含む。伝達体38は、ベルト、または、シャフトを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、リアスプロケット36Aを含む。少なくとも1つの第2回転体36は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。チェーンは、例えば、フロントスプロケット34Aおよびリアスプロケット36Aに巻き掛けられる。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、後輪12Rに連結される。後輪12Rは、例えば、少なくとも1つの第2回転体36の回転にともなって回転するように構成される。本実施形態では、少なくとも1つの第1回転体34は、複数の第1回転体34を含み、少なくとも1つの第2回転体36は、複数の第2回転体36を含む。
【0034】
人力駆動車10は、例えば、バッテリ40をさらに含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ40は、例えば、制御部72に電力を供給するように構成される。バッテリ40は、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ40は、例えば、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって、制御部72と通信可能に構成される。
【0035】
人力駆動車用の変速システム50は、第1変速装置52と、第2変速装置54と、制御装置70と、を備える。第1変速装置52および第2変速装置54のそれぞれは、例えば、変速比を変更するように構成される。第1変速装置52および第2変速装置54のそれぞれは、例えば、変速比を変更するような変速動作を実行するように構成される。第1変速装置52は、ディレイラまたは内装変速機である。第2変速装置54は、ディレイラまたは内装変速機である。例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の一方は、フロント変速機であり、かつ、第1変速装置52および第2変速装置54の他方は、リア変速機である。
【0036】
フロント変速機は、例えば、クランク軸20の近傍に設けられる。フロント変速機は、例えば、フロントディレイラ52Aまたはフロント内装変速機である。フロント内装変速機は、CVT(Continuously Variable Transmission)を含んでいてもよい。
【0037】
リア変速機は、例えば、人力駆動力の伝達経路において、フロント変速機よりも駆動輪に近い部分に設けられる。リア変速機は、例えば、駆動輪の近傍に設けられる。本実施形態では、駆動輪は、後輪12Rである。リア変速機は、例えば、リアディレイラ54Aまたはリア内装変速機52Bである。リア内装変速機52Bは、例えば、後輪12Rのハブ12Aに設けられる。リア内装変速機52Bは、CVTを含んでいてもよい。後輪12Rのハブ12Aについては、図8に示される。
【0038】
例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の一方は、フロント変速機であり、かつ、第1変速装置52および第2変速装置54の他方は、リア変速機である。本実施形態では、第1変速装置52がフロント変速機であり、かつ、第2変速装置54がリア変速機である。第1変速装置52は、例えば、フロントディレイラ52A、または、後輪12Rのハブ12Aに設けられるリア内装変速機52Bである。第2変速装置54は、例えば、リアディレイラ54Aである。
【0039】
変速比は、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の両方がディレイラである場合、伝達体38が係合する第1回転体34の歯数を、伝達体38が係合する第2回転体36の歯数で割った商として定義される。第1回転体34がフロントスプロケット34Aを含み、第2回転体36がリアスプロケット36Aを含む場合、変速比は、例えば、伝達体38が係合するフロントスプロケット34Aの歯数を、伝達体38が係合するリアスプロケット36Aの歯数で割った商として定義される。変速比は、駆動輪の回転速度をクランク軸20の回転速度で割った商として定義されてもよい。駆動輪の回転速度と、クランク軸20の回転速度とは、それぞれ単位時間あたりの回転数であってもよい。
【0040】
第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つは、例えば、変速比を複数のスピードステージごとに変更可能である。第1変速装置52および第2変速装置54は、例えば、スピードステージを変更するために伝達体38を操作するように構成される。複数のスピードステージのそれぞれには、例えば、異なる変速比が設定される。例えば、スピードステージが大きくなるほど、変速比は大きくなり、変速ステージが小さくなるほど変速比が小さくなる。
【0041】
変速システム50がフロントディレイラ52Aを含む場合、複数の第1回転体34は、例えば、複数のフロントスプロケット34Aを含む。複数のフロントスプロケット34Aは、それぞれ異なる歯数を有している。フロントスプロケット34Aの数は、例えば、2枚である。フロントスプロケット34Aの数は、3枚であってもよい。複数のフロントスプロケット34Aは、例えば、歯数の順に重ねられ、かつ、歯数の少ないフロントスプロケット34Aが車体14の近くに配置されるように、クランク軸20に連結される。
【0042】
フロントディレイラ52Aは、例えば、複数のフロントスプロケット34Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替えることによって変速比を段階的に変更するように構成される。フロントディレイラ52Aは、例えば、複数のフロントスプロケット34Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える変速動作を実行可能に構成される。フロントディレイラ52Aは、例えば、電動アクチュエータによって動作するように構成される。電動アクチュエータは、例えば、電気モータを含む。フロントディレイラ52Aは、例えば、有線または無線によって制御部72に接続される。フロントディレイラ52Aは、例えば、スピードステージを検出するスピードステージセンサを有する。
【0043】
フロントディレイラ52Aの実行する変速動作は、例えば、第1ダウンシフト動作および第1アップシフト動作を含む。フロントディレイラ52Aは、例えば、変速比が増加するように複数のフロントスプロケット34Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える、第1ダウンシフト動作を実行可能に構成される。フロントディレイラ52Aは、例えば、変速比が増加するように複数のフロントスプロケット34Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える、第1アップシフト動作を実行可能に構成される。
【0044】
変速システム50がリアディレイラ54Aを含む場合、少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、複数のリアスプロケットを含む。複数のリアスプロケット36Aは、それぞれ異なる歯数を有している。リアスプロケット36Aの数は、例えば、11枚である。複数のリアスプロケット36Aは、例えば、歯数の順に重ねられ、かつ、歯数の多いリアスプロケット36Aが車体14の近くに配置され、かつ、後輪12Rと一体回転するように、後輪12Rの車輪軸に連結される。
【0045】
リアディレイラ54Aは、例えば、複数のリアスプロケット36Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替えることによって、変速比を段階的に変更するように構成される。リアディレイラ54Aは、例えば、複数のリアスプロケット36Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える変速動作を実行可能に構成される。リアディレイラ54Aは、例えば、電動アクチュエータによって動作するように構成される。電動アクチュエータは、例えば、電気モータを含む。リアディレイラ54Aは、例えば、有線または無線によって制御部72に接続される。リアディレイラ54Aは、例えば、スピードステージを検出するスピードステージセンサを有する。
【0046】
リアディレイラ54Aの実行する変速動作は、例えば、第2ダウンシフト動作および第2アップシフト動作を含む。リアディレイラ54Aは、例えば、変速比が増加するように複数のリアスプロケット36Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える、第2ダウンシフト動作を実行可能に構成される。リアディレイラ54Aは、例えば、変速比が増加するように複数のリアスプロケット36Aの1つから他の1つに伝達体38を掛け替える、第2アップシフト動作を実行可能に構成される。
【0047】
フロントスプロケット34Aの数が2枚の場合、フロントディレイラ52Aによって実現されるスピードステージは、例えば、2個である。例えば、伝達体38が複数のフロントスプロケット34Aのうちの歯数が最小のスプロケットと係合する場合、フロントディレイラ52Aによって実現されるスピードステージは、最小のスピードステージと対応する。例えば、伝達体38が複数のフロントスプロケット34Aのうちの歯数が最大のスプロケットと係合する場合、フロントディレイラ52Aによって実現されるスピードステージは、最大のスピードステージと対応する。
【0048】
リアスプロケット36Aの数が11枚の場合、リアディレイラ54Aによって実現されるスピードステージは、例えば、11個である。例えば、伝達体38が複数のリアスプロケット36Aのうちの歯数が最大のスプロケットと係合する場合、リアディレイラ54Aによって実現されるスピードステージは、最小のスピードステージと対応する。例えば、伝達体38が複数のリアスプロケット36Aのうちの歯数が最小のスプロケットと係合する場合、リアディレイラ54Aによって実現されるスピードステージは、最大のスピードステージと対応する。
【0049】
変速ステージは、例えば、第1変速装置52によって実現されるスピードステージと、第2変速装置54によって実現されるスピードステージとの組み合わせに応じて設定される。例えば、複数のフロントスプロケット34Aのうちの歯数が最小のスプロケットと、複数のリアスプロケット36Aのうちの歯数が最大のスプロケットと、の組み合わせは、第1変速装置52および第2変速装置54によって実現可能な最小の変速ステージと対応する。例えば、複数のフロントスプロケット34Aのうちの歯数が最大のスプロケットと、複数のリアスプロケット36Aのうちの歯数が最小のスプロケットとの組合せは、第1変速装置52および第2変速装置54によって実現可能な最大の変速ステージと対応する。
【0050】
人力駆動車10は、例えば、ユーザが操作可能な操作部56を有する。操作部56は、例えば、ユーザによって操作されると、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つに変速動作をさせることによって変速比を変更する。操作部56は、例えば、ユーザによって操作されると、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つに変速動作を実行させるための信号を制御部72に出力するように構成される。操作部56は、例えば、第1操作部58と、第2操作部60とを含む。
【0051】
第1操作部58は、例えば、左側および右側の一方のハンドルバー28に取り付けられる。第2操作部60は、例えば、左側および右側の他方のハンドルバー28に取り付けられる。本実施形態では、第1操作部58は左側のハンドルバー28に取り付けられ、かつ、第2操作部60は、右側のハンドルバー28に取り付けられる。
【0052】
第1操作部58は、例えば、有線または無線によって制御部72と電気的に接続される。第1操作部58は、例えば、第1変速装置52または第2変速装置54の一方に変速動作を実行させるための信号を制御部72に出力するように構成される。本実施形態では、第1操作部58は、第1変速装置52に変速動作を実行させるための信号を制御部72に出力するように構成される。第1変速装置52に変速動作を実行させるための信号は、例えば、第1変速信号および第2変速信号を含む。第1操作部58は、例えば、第1変速信号を制御部72に出力させるための第1操作部材58Aと、第2変速信号を制御部72に出力させるための第2操作部材58Bとを含む。
【0053】
第1操作部材58Aおよび第2操作部材58Bは、例えば、レバー、スイッチ、および、ダイヤルの少なくとも1つを含む。例えば、第1操作部材58Aがユーザによって操作されると、第1変速信号が制御部72に出力される。例えば、第2操作部材58Bがユーザによって操作されると、第2変速信号が制御部72に出力される。第2変速信号は、例えば、第1変速信号と異なる信号である。第1操作信号は、例えば、第1変速装置52による第1ダウンシフト動作を実行するための信号を含む。第2操作信号は、例えば、第1変速装置52による第1アップシフト動作を実行するための信号を含む。
【0054】
第2操作部60は、例えば、有線または無線によって制御部72と電気的に接続される。第2操作部60は、例えば、第1変速装置52または第2変速装置54の他方に変速動作を実行させるための信号を制御部72に出力するように構成される。本実施形態では、第2操作部60は、第2変速装置54に変速動作を実行させるための信号を制御部72に出力するように構成される。第2変速装置54に変速動作を実行させるための信号は、例えば、第3変速信号および第4変速信号を含む。第2操作部60は、例えば、第3変速信号を制御部72に出力させるための第3操作部材60Aと、第4変速信号を制御部72に出力させるための第4操作部材60Bとを含む。
【0055】
第3操作部材60Aおよび第4操作部材60Bは、例えば、レバー、スイッチ、および、ダイヤルの少なくとも1つを含む。第3操作部材60Aがユーザによって操作されると、例えば、第3変速信号が制御部72に出力される。第4操作部材60Bがユーザによって操作されると、例えば、第4変速信号が制御部72に出力される。第3変速信号は、例えば、第1変速信号および第2変速信号とは異なる信号である。第4変速信号は、例えば、第1変速信号、第2変速信号、および、第3変速信号とは異なる信号である。第3操作信号は、例えば、第2変速装置54による第2ダウンシフト動作を実行するための信号を含む。第4操作信号は、例えば、第2変速装置54による第2アップシフト動作を実行するための信号を含む。
【0056】
人力駆動車用の制御装置70は、制御部72を備える。制御部72は、例えば、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部72に含まれる演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部72は、例えば、車体14に設けられる。制御部72は、例えば、人力駆動車10のシートポストの下部に設けられる。
【0057】
制御部72に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0058】
制御装置70は、例えば、記憶部74をさらに備える。記憶部74は、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。記憶部74には、例えば、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部74は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0059】
制御部72は、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54を制御するように構成される。制御部72は、例えば、変速比を変更する変速条件に応じて、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。変速条件は、例えば、制御部72が操作部56から第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つに変速動作を実行させるための信号を受信する場合に満たされる。制御部72は、例えば、操作部56から第1変速装置52に変速動作を実行させるための信号を受信する場合、第1変速装置52に変速動作を実行させるように構成される。制御部72は、例えば、操作部56から第2変速装置54に変速動作を実行させるための信号を受信する場合、第2変速装置54に変速動作を実行させるように構成される。
【0060】
制御部72は、例えば、第1変速信号を受信する場合、第1変速装置52が第1ダウンシフト動作を実行するように、第1変速装置52を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第2変速信号を受信する場合、第1変速装置52が第1アップシフト動作を実行するように、第1変速装置52を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第3変速信号を受信する場合、第2変速装置54が第2ダウンシフト動作を実行するように、第2変速装置54を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第4変速信号を受信する場合、第2変速装置54が第2アップシフト動作を実行するように、第2変速装置54を制御するように構成される。
【0061】
変速条件は、オート変速に関する変速条件を含んでいてもよい。制御部72は、例えば、オート変速に関する変速条件が満たされると、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。オート変速に関する変速条件は、例えば、人力駆動車10に関する参照値および閾値に基づいて規定される。参照値および閾値は、例えば、人力駆動車10の走行状態および人力駆動車10の走行環境の少なくとも1つに応じて規定される。参照値は、例えば、人力駆動車10に設けられる検出部によって検出されるパラメータである。閾値は、例えば、記憶部74に記憶される。人力駆動車10の走行状態は、例えば、車速、クランク軸20の回転速度、人力駆動力、および、人力駆動車10の傾斜角度の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の走行環境は、例えば、路面の勾配、および、路面抵抗の少なくとも1つを含む。
【0062】
閾値は、例えば、上限閾値および下限閾値を含む。制御部72は、例えば、参照値が上限閾値と下限閾値との間になるように、変速比を変更するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。制御部72は、例えば、参照値が上限閾値よりも大きくなると変速比が大きくなるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。制御部72は、例えば、参照値が下限閾値よりも小さくなると変速比が小さくなるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。制御部72は、参照値が上限閾値よりも大きくなると変速比が小さくなるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成されてもよい。制御部72は、例えば、参照値が下限閾値よりも小さくなると変速比が大きくなるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成されてもよい。
【0063】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動車10の推進をアシストするモータ62を含む。本実施形態の人力駆動車用の変速システム50は、第1変速装置52と、第2変速装置54と、人力駆動車10の推進をアシストするモータ62と、制御部72と、を備える。
【0064】
モータ62は、例えば、人力駆動力に応じて、人力駆動車10の推進をアシストするように構成される。モータ62は、例えば、1または複数の電気モータを含む。モータ62に含まれる電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ62は、例えば、第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bから少なくとも1つの第2回転体36までの人力駆動力の動力伝達経路に含まれる部材の少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。モータ62は、例えば、出力軸を含む。出力軸は、例えば、第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bから少なくとも1つの第2回転体36までの人力駆動力の動力伝達経路に含まれる部材の少なくとも1つにモータ62の回転力を伝達する。
【0065】
モータ62は、例えば、少なくとも1つの第1回転体34を介して伝達体38を駆動するように構成される。モータ62は、例えば、フレーム16に設けられ、少なくとも1つの第1回転体34に回転力を伝達するように構成される。モータ62は、伝達体38を駆動可能であれば、どのような構成であってもよい。モータ62は、第2回転体36を介して伝達体38を駆動するように構成されてもよい。モータ62が第2回転体36を介して伝達体38を駆動するように構成される場合、モータ62は、人力駆動車10のハブに設けられ、第2回転体36に回転力を伝達するように構成されてもよい。
【0066】
人力駆動車10は、例えば、ドライブユニット42をさらに含む。ドライブユニット42は、例えば、モータ62と、ハウジングとを有する。モータ62は、例えば、ハウジングに設けられる。ハウジングは、例えば、フレーム16に取り付けられる。ハウジングは、例えば、クランク軸20を回転可能に支持する。
【0067】
制御装置70は、モータ62の駆動回路をさらに備えていてもよい。制御部72と、駆動回路とは、例えば、同一のハウジングに設けられる。制御部72がドライブユニット42に設けられる場合、制御部72と駆動回路とは、ドライブユニット42のハウジングに設けられる。制御部72と、駆動回路とは、同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路は、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。駆動回路は、例えば、制御部72からの制御信号に応じてモータ62を駆動させる。
【0068】
駆動回路は、例えば、モータ62に電気的に接続される。駆動回路は、例えば、バッテリ40からモータ62への電力の供給を制御する。駆動回路は、例えば、インバータ回路を含む。インバータ回路は、例えば、複数のトランジスタを含む。インバータ回路は、例えば、直列に接続される一対のトランジスタからなる複数のインバータ部が並列に接続される構成を含む。インバータ回路は、インバータ回路に流れる電流を検出する電流センサを有してもよい。電流センサは、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。
【0069】
人力駆動車10は、例えば、車速検出部44Aをさらに含む。車速検出部44Aは、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。車速検出部44Aは、例えば、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。車速検出部44Aは、例えば、車輪12の回転速度に関する情報を検出するように構成される。車速検出部44Aは、例えば、前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つに設けられる磁石を検出するように構成される。
【0070】
車速検出部44Aは、例えば、車輪12が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速検出部44Aは、例えば、車輪12の回転速度に応じた信号を出力する。制御部72は、車輪12の回転速度に応じた信号と、車輪12の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。記憶部74には、例えば、車輪12の周長に関する情報が記憶される。
【0071】
人力駆動車10は、例えば、クランク回転状態検出部44Bをさらに含む。クランク回転状態検出部44Bは、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。クランク回転状態検出部44Bは、例えば、クランク軸20および少なくとも1つの第1回転体34の少なくとも1つの回転量を検出する。
【0072】
クランク回転状態検出部44Bは、例えば、クランク軸20の回転速度および少なくとも1つの第1回転体34の回転速度の少なくとも1つに応じた情報を検出するように構成される。クランク軸20の回転速度に応じた情報は、例えば、クランク軸20の角加速度を含む。少なくとも1つの第1回転体34の回転速度に応じた情報は、例えば、少なくとも1つの第1回転体34の角加速度を含む。
【0073】
クランク回転状態検出部44Bは、例えば、クランク軸20の回転速度および少なくとも1つの第1回転体34の回転速度の少なくとも1つに応じた信号を出力するように構成される。クランク回転状態検出部44Bは、例えば、クランク軸20および少なくとも1つの第1回転体34の少なくとも1つが1回転する間に、クランク軸20および少なくとも1つの第1回転体34の少なくとも1つの回転角度に対応する検出信号を出力するように構成される。
【0074】
クランク回転状態検出部44Bは、例えば、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含む。クランク回転状態検出部44Bは、例えば、周方向に複数の磁極が並ぶ環状の磁石を含む。環状の磁石は、例えば、クランク軸20、少なくとも1つの第1回転体34、または、クランク軸20から少なくとも1つの第1回転体34までの動力伝達経路の間に設けられる。環状の磁石は、例えば、1つのS極と、1つのN極とを含む。1つのS極と、1つのN極とは、クランク軸20の回転中心軸心まわりに、それぞれ180度連続して延びる。クランク回転状態検出部44Bは、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または、トルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0075】
クランク回転状態検出部44Bは、例えば、フレーム16に設けられる。クランク回転状態検出部44Bがフレーム16に設けられる場合、クランク回転状態検出部44Bは、車速センサを含んで構成されていてもよい。クランク回転状態検出部44Bが車速センサを含む場合、制御部72は、車速センサによって検出される車速と、変速比とに応じてクランク軸20の回転速度を算出するように構成されてもよい。クランク回転状態検出部44Bは、ドライブユニット42に設けられてもよい。
【0076】
クランク回転状態検出部44Bは、少なくとも1つの第2回転体36の回転量を検出するように構成されてもよい。クランク回転状態検出部44Bは、少なくとも1つの第2回転体36の回転速度に応じた情報を検出するように構成されてもよい。少なくとも1つの第2回転体36の回転速度に応じた情報は、例えば、少なくとも1つの第2回転体36の角加速度を含む。クランク回転状態検出部44Bは、少なくとも1つの第2回転体36の回転速度に応じた信号を出力するように構成されてもよい。
【0077】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動力検出部44Cをさらに含む。人力駆動力検出部44Cは、例えば、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。人力駆動力検出部44Cは、例えば、人力駆動力によってクランク軸20に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。人力駆動力によってクランク軸20に与えられるトルクに応じた信号は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に関する情報を含む。
【0078】
人力駆動力検出部44Cは、例えば、人力駆動力の伝達経路に含まれる部材または人力駆動力の伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。人力駆動力の伝達経路に含まれる部材は、例えば、クランク軸20、クランク軸20と少なくとも1つの第1回転体34との間において人力駆動力を伝達する部材を含む。人力駆動力検出部44Cは、例えば、クランク軸20から出力部に人力駆動力を伝達するように構成される動力伝達部に設けられる。動力伝達部は、例えば、クランク軸20の外周部に設けられる。
【0079】
人力駆動力検出部44Cは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。人力駆動力検出部44Cは、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。
【0080】
人力駆動力検出部44Cは、例えば、第1クランクアーム22A、第2クランクアーム22B、第1ペダル24A、および、第2ペダル24Bの少なくとも1つに設けられる。人力駆動力検出部44Cが第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bの少なくとも1つに設けられる場合、人力駆動力検出部44Cは、第1ペダル24Aおよび第2ペダル24Bの少なくとも1つに与えられる圧力を検出するセンサを含んでいてもよい。人力駆動力検出部44Cは、伝達体38に含まれるチェーンに設けられてもよい。人力駆動力検出部44Cがチェーンに設けられる場合、人力駆動力検出部44Cは、チェーンの張力を検出するセンサを含んでいてもよい。
【0081】
制御部72は、モータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、人力駆動車10の状態に応じてモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じてモータ62の出力を変更するように、モータ62を制御するように構成される。制御部72は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じて推進力を変更するように、モータ62を制御するように構成されてもよい。
【0082】
制御部72は、例えば、人力駆動力検出部44Cによって検出される人力駆動力に応じて、モータ62を制御するように構成される。制御部72は、クランク回転状態検出部44Bによって検出されるクランク軸20の回転速度および少なくとも1つの第1回転体34の回転速度の少なくとも1つに応じて、モータ62を制御するように構成されてもよい。制御部72は、車速検出部44Aによって検出される人力駆動車10の車速に応じて、モータ62を制御するように構成されてもよい。
【0083】
制御部72は、例えば、車速が所定車速以上の場合、モータ62を停止させるようにモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、人力駆動車10の車速が所定車速よりも小さい場合、人力駆動力またはクランク軸20の回転速度の少なくとも1つに応じて、人力駆動車10に推進力を付与するようにモータ62を駆動するように構成される。所定車速は、例えば、国ごとに法令によって規定される速度である。所定車速は、例えば、24km/h、25km/h、30km/h、32km/h、または、45km/hである。
【0084】
制御部72は、例えば、モータ62によるアシストレベルが、予め定めるアシストレベルになるようにモータ62を制御するように構成される。アシストレベルは、例えば、モータ62の出力の上限値、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ62の出力の比であるアシスト比、および、モータ62の出力が低下する場合におけるモータ62の出力変動の抑制レベルの少なくとも1つを含む。
【0085】
制御部72は、例えば、アシスト比が予め定める比になるように、モータ62を制御するように構成される。予め定める比は、一定ではなく、人力駆動力、クランク軸20の回転速度、少なくとも1つの第1回転体34の回転速度、および、車速の少なくとも1つに応じて変化してもよい。予め定める比は、一定ではなく、人力駆動力、クランク軸20の回転速度、および、少なくとも1つの第1回転体34の回転速度の少なくとも1つと、車速と、に応じて変化してもよい。制御部72は、例えば、アシストモードおよびアシスト停止モードを選択可能に構成される。
【0086】
人力駆動力は、例えば、ユーザがクランク軸20を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。人力駆動力は、例えば、ユーザがクランク軸20を回転させることによって、少なくとも1つの第1回転体34に入力される駆動力に対応する。人力駆動力は、例えば、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。人力駆動力がトルクによって表される場合、例えば、人力駆動力は人力トルクと記載される。人力駆動力の仕事率は、例えば、クランク軸20に与えられるトルクとクランク軸20の回転速度との積である。
【0087】
制御部72は、例えば、アシスト力が最大アシスト力以下になるようにモータ62を制御するように構成される。アシスト力は、例えば、モータ62の出力に応じて少なくとも1つの第1回転体34に入力される駆動力を含む。アシスト力は、例えば、モータ62の回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。ドライブユニット42が減速機を含む場合、例えば、アシスト力は、減速機の出力に対応する。
【0088】
アシスト力は、例えば、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。アシスト力がトルクによって表される場合、例えば、アシスト力はアシストトルクと記載される。アシスト力が仕事率によって表される場合、例えば、アシスト力はアシスト仕事率と記載される。アシスト仕事率は、例えば、減速機の出力トルクと減速機の出力軸の回転速度との積である。人力駆動力に対するアシスト力の比率は、人力トルクに対するアシストトルクの比率であってもよく、人力仕事率に対するアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0089】
制御部72は、例えば、アシストトルクが最大アシストトルク以下になるようにモータ62を制御するように構成される。最大アシストトルクは、例えば、20Nm以上かつ200Nm以下の範囲の値である。最大アシストトルクは、例えば、モータ62の出力特性、および、制御モードの少なくとも1つによって決定される。制御部72は、アシスト仕事率が最大値アシスト仕事率以下になるようにモータ62を制御するように構成されてもよい。
【0090】
制御部72は、例えば、人力駆動力に対するアシストトルクの応答速度が予め定める値になるようにモータ62を制御するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動力が減少する場合の応答速度が、人力駆動力が増加する場合の応答速度よりも遅くなるように、モータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、人力駆動力が減少する場合、フィルタ処理することによって応答速度を遅くする。フィルタは、例えば、時定数を含む。
【0091】
制御部72は、第1変速装置52、および、第2変速装置54の少なくとも1つが人力駆動車10の変速比を変更する変速動作を実行する場合、モータ62の出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成される。制御部72は、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52、および、第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行する場合、モータ62の出力、モータ62の出力の上限値、アシスト比、および、人力駆動力の変化に対するモータ62の出力の応答速度の少なくとも1つを変更するように構成されてもよい。
【0092】
制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52、および、第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、変速条件に応じて、第1変速装置52、および、第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。
【0093】
制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52が変速動作を実行する場合、モータ62の出力トルクを所定トルク以下にするようにモータ62を制御するように構成される。所定トルクは、例えば、0Nmである。
【0094】
制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52が第1ダウンシフト動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52が第1アップシフト動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第2変速装置54が第2ダウンシフト動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションにおいて、第2変速装置54が第2アップシフト動作を実行する場合、モータ62の出力を低下させるようにモータ62を制御するように構成される。
【0095】
制御部72は、第1変速装置52に変速動作をさせる場合、例えば、人力駆動力、クランク軸20の回転角度、第1回転体34の回転速度、および、第1回転体34に設けられる第1変速促進領域の少なくとも1つに応じて、第1変速装置52に変速動作をさせるように、第1変速装置52を制御するように構成される。制御部72は、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52に変速動作をさせる場合、例えば、第1変速装置52が変速動作を開始してから変速動作を完了するまでの期間において、モータ62の出力トルクが所定トルク以下になるように、モータ62を制御するように構成される。
【0096】
制御部72は、第2変速装置54に変速動作をさせる場合、例えば、人力駆動力、クランク軸20の回転角度、第2回転体36の回転速度、および、第2回転体36に設けられる第2変速促進領域の少なくとも1つに応じて、第2変速装置54に変速動作をさせるように、第2変速装置54を制御するように構成される。制御部72は、第1オペレーションにおいて、第2変速装置54に変速動作をさせる場合、例えば、第2変速装置54が変速動作を開始してから変速動作を完了するまでの期間において、モータ62の出力の上限値が所定トルク以下になるように、モータ62を制御するように構成される。
【0097】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行する場合、連続する変速動作の実行を抑制するように構成される。連続する変速動作は、例えば、第1変速装置52または第2変速装置54において、スピードステージが2段階以上変更される変速動作である。制御部72は、例えば、第1変速装置52のみに変速動作をさせるように操作部56が操作される場合、第1オペレーションを実行するように構成される。制御部72は、例えば、第2変速装置54のみに変速動作をさせるように操作部56が操作される場合、第1オペレーションを実行するように構成される。
【0098】
制御部72は、第1変速装置52の変速動作と第2変速装置54の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される。第1変速装置52の変速動作と第2変速装置54の変速動作との組み合わせは、例えば、第1変速装置52の変速動作および第2変速装置54の変速動作の両方が行われる場合と、第1変速装置52の変速動作のみが行われる場合と、第2変速装置54の変速動作のみが行われる場合とを含む。所定規則は、例えば、変速経路に従って、第1変速装置52のスピードステージと第2変速装置54のスピードステージとを変更するための規則である。所定規則に沿って変速が行われる場合、変速経路に沿って、第1変速装置52および第2変速装置54の変速動作の順序が決定される。
【0099】
変速経路は、例えば、第1変速経路を含む。第1変速経路は、例えば、複数のフロントスプロケット34A、複数のリアスプロケット36A、および、伝達体38のそれぞれの位置が適切になるように設定される。第1変速経路に沿って第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行する場合、例えば、チェーンが巻き掛けられるフロントスプロケット34Aと、チェーンが巻き掛けられるリアスプロケット36Aとの横方向における位置ずれが所定範囲内に収まる。第1変速経路では、例えば、いずれの変速ステージの変更段階においても、第2変速装置54が変速動作するように設定される。
【0100】
制御部72は、例えば、第1変速経路に従って第2オペレーションを実行する第1モードを選択可能に構成される。例えば、第1モードが選択される場合、制御部72は、変速条件が満たされると、第1変速経路に従って第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御することによって、第2オペレーションを実行する。制御部72は、例えば、ユーザによる操作部56への操作に応じて、第1変速経路に従って第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作を実行するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御することによって、第2オペレーションを実行可能に構成される。第1変速経路は、例えば、第1ダウンシフト経路および第1アップシフト経路の少なくとも1つを含む。記憶部74は、例えば、第1ダウンシフト経路および第1アップシフト経路を記憶する。
【0101】
第1モードにおいて、制御部72は、例えば、図3の破線の矢印AXによって示される第1ダウンシフト経路、および、図3の一点鎖線の矢印AYによって示される第1アップシフト経路に従って第2オペレーションを実行するように構成される。
【0102】
制御部72は、例えば、第1ダウンシフト経路または第1アップシフト経路に沿って、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御する。制御部72は、例えば、第1モードにおいて、第3変速信号を受信する場合、第1ダウンシフト経路に沿って第2オペレーションを実行するように、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。制御部72は、例えば、第1モードにおいて、第4変速信号を受信する場合、第1アップシフト経路に沿って第2オペレーションを実行するように、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御するように構成される。第1ダウンシフト経路および第1アップシフト経路は、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の両方が動作する第1変速動作、および、第2変速装置54のみが動作する第2変速動作を含む。
【0103】
制御部72は、例えば、第1モードにおいて、第1操作部58から出力される第1変速信号および第2変速信号に応じて、第1変速装置52を制御しないように構成される。制御部72は、第1モードにおいて、第1操作部58から出力される第1変速信号および第2変速信号に応じて、第1変速装置52を制御可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、第1モードにおいて第2オペレーションを実行する場合、連続する変速動作の実行を許容するように構成される。
【0104】
変速経路は、例えば、第2変速経路を含む。第2変速経路は、例えば、変速ショックが抑制されるように設定される。第2変速経路は、例えば、第1変速装置52の変速動作による変速ショックを抑制するために設定される。第2変速経路では、例えば、第2変速経路では、例えば、いずれの変速ステージの変更段階においても、第1変速装置52が変速動作するように設定される。
【0105】
制御部72は、例えば、第2変速経路に従って第2オペレーションを実行する第2モードを選択可能に構成される。制御部72は、例えば、第2モードにおいて、第1操作部58から第1変速信号または第2変速信号を受信し、かつ、複数の第1回転体34のうちの1つと、複数の第2回転体36のうちの1つとの組み合わせが所定の組み合わせとなる場合、第2変速経路に従って第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作を実行するように第1変速装置52および第2変速装置54を制御することによって、第2オペレーションを実行可能に構成される。第2変速経路は、例えば、第1変速装置52の変速動作に合わせて、好適な変速比となるように第2変速装置54の変速動作を複数回実行する変速経路である。第2変速経路は、例えば、第2ダウンシフト経路および第2アップシフト経路の少なくとも1つを含む。記憶部74は、例えば、第2ダウンシフト経路および第2アップシフト経路を記憶する。
【0106】
第2モードにおいて、制御部72は、例えば、図4の破線の矢印BXによって示される第2ダウンシフト経路、または、図4の一点鎖線の矢印BYによって示される第2アップシフト経路に従って第2オペレーションを実行するように構成される。
【0107】
制御部72は、例えば、第2モードにおいて、第1変速信号を受信し、かつ、複数の第1回転体34のうちの1つと、複数の第2回転体36のうちの1つとの組み合わせが所定の組み合わせとなる場合、第2ダウンシフト経路に従って第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作を実行するように第1変速装置52を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第2モードにおいて、第2変速信号を受信し、かつ、複数の第1回転体34のうちの1つと、複数の第2回転体36のうちの1つとの組み合わせが所定の組み合わせとなる場合、第2アップシフト経路に従って第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作を実行するように第1変速装置52を制御するように構成される。制御部72は、例えば、第2モードにおいて第2オペレーションを実行する場合、連続する変速動作の実行を抑制するように構成される。
【0108】
制御部72は、第1モードおよび第2モードの一方のみを備えていてもよい。制御部72は、第1モードおよび第2モードを備え、かつ、第1モードおよび第2モードの一方が選択されるように構成されてもよい。制御部72は、第1変速経路および第2変速経路の両方に従って、第2オペレーションを実行する第3モードを選択可能に構成されてもよい。第3モードでは、例えば、第2操作部60が操作される場合、制御部72は、第1変速経路に沿って第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つに変速動作をさせるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御する。第3モードでは、例えば、第1操作部58が操作される場合、制御部72は、第2変速経路に沿って第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つに変速動作をさせるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御する。
【0109】
制御部72は、第1モードのオンとオフとを切り替え可能に構成されてもよい。第1モードがオフにされる場合、制御部72は、第2操作部60が操作されると、第2変速装置54のスピードステージを1段階変更する。制御部72は、例えば、第2モードのオンとオフとを切り替え可能に構成されてもよい。第2モードがオフにされる場合、制御部72は、第1操作部58が操作されると、第1変速装置52のスピードステージを1段階変更する。第3モードは、例えば、第1モードがオン、かつ、第2モードがオンの場合と対応する。
【0110】
制御部72は、第1モードまたは第2モードにおいて、第1変速装置52および第2変速装置54の両方に変速動作をさせる場合、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の一方が変速動作をした後に、第1変速装置52および第2変速装置54の他方が変速動作をするように、第1変速装置52および第2変速装置54を制御するように構成される。制御部72は、第1モードまたは第2モードにおいて、第1変速装置52および第2変速装置54の両方に変速動作をさせる場合、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の一方が変速動作を完了した後に、第1変速装置52および第2変速装置54の他方が変速動作を開始するように、第1変速装置52および第2変速装置54を制御するように構成される。
【0111】
制御部72は、例えば、第1オペレーション、および、第2オペレーションの一方を実行可能な場合において、第1オペレーション、および、第2オペレーションの他方の実行を抑制可能に構成される。第1オペレーション、および、第2オペレーションの他方の実行を抑制可能な場合は、例えば、第1オペレーション、および、第2オペレーションの他方の実行頻度を減らすことおよび実行をさせないことを含む。
【0112】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成される。第2オペレーションの実行を抑制可能な場合は、例えば、第2オペレーションの実行頻度を減らすことおよび実行をさせないことを含む。制御部72が第1オペレーションを実行可能な場合における第2オペレーションの実行の許容は、例えば、第1モードにおける第2オペレーションの実行の許容および第2モードにおける第2オペレーションの実行の許容の少なくとも1つを含む。制御部72が第1オペレーションを実行可能な場合における第2オペレーションの実行の抑制は、例えば、第1モードにおける第2オペレーションの実行の抑制および第2モードにおける第2オペレーションの実行の抑制の少なくとも1つを含む。
【0113】
制御部72は、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1所定条件に基づいて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。第1所定条件は、例えば、第1条件および第2条件の少なくとも1つを含む。第1条件は、例えば、第2条件と異なる条件である。例えば、第1条件が満たされる場合、第2条件は満たされず、かつ、第2条件が満たされる場合、第1条件は満たされない。第1条件と第2条件とは、互いに排反の関係であってもよい。
【0114】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1条件に基づいて、第2オペレーションの実行を抑制可能に構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1条件が満たされると、第2オペレーションの実行を抑制する。第1条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含む。第1条件における人力駆動車10の走行状態は、例えば、人力駆動車10のクランク軸20の回転速度、クランク軸20に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の操作状態は、例えば、第2オペレーションの実行を抑制するための操作部の操作である。第2オペレーションの実行を抑制するための操作部は、操作部56であってもよい。第2オペレーションの実行を抑制するための操作部は、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0115】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第2条件に基づいて、第2オペレーションの実行を許容可能に構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第2条件が満たされると、第2オペレーションの実行を許容する。第2条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含む。第2条件における人力駆動車10の走行状態は、例えば、人力駆動車10のクランク軸20の回転速度、クランク軸20に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の操作状態は、例えば、第2オペレーションの実行を許容するための操作部の操作である。第2オペレーションの実行を許容するための操作部は、操作部56であってもよい。第2オペレーションの実行を許容するための操作部は、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0116】
第1条件は、例えば、第2オペレーションを実行する場合に、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作にかかる時間が第1所定時間以上になる場合に満たされる。第1条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態が、変速性能が低い走行状態である場合に満たされる。第1条件は、例えば、クランク軸20の回転速度が第1速度よりも小さい場合、車速が第1車速よりも小さい場合、および、人力駆動力が第1駆動力以上の場合の少なくとも1つの場合に満たされる。第1駆動力は、クランク軸20の回転速度ごとに設定されてもよい。
【0117】
第2条件は、例えば、第2オペレーションを実行する場合に、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作にかかる時間が第2所定時間よりも短い場合に満たされる。第2所定時間は、例えば、第1所定時間以下である。第2条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態が、変速性能が高い走行状態である場合に満たされる。第2条件は、例えば、クランク軸20の回転速度が第2速度以上の場合、車速が第2車速以上の場合、および、人力駆動力が第2駆動力よりも小さい場合の少なくとも1つの場合に満たされる。第2駆動力は、クランク軸20の回転速度ごとに設定されてもよい。第2速度は、例えば、第1速度以上である。第2車速は、例えば、第1車速以上である。第2駆動力は、例えば、第1駆動力以下である。
【0118】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、ユーザが操作可能な操作部からの信号に基づいて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成される。ユーザが操作可能な操作部からの信号は、例えば、第1所定条件と対応する。ユーザが操作可能な操作部は、例えば、操作部56である。制御部72は、例えば、操作部56に第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択するための所定操作が行われると、第2オペレーションの実行を抑制と許容との間において切り替える。ユーザが操作可能な操作部は、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0119】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、変速比が減少するか増加するかのいずれかに応じて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行によって変速比を減少させる場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。第2オペレーションの実行によって変速比を減少させる場合は、例えば、第2条件と対応する。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1変速信号を受信する場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第3変速信号を受信する場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行によって変速比を増加させる場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。第2オペレーションの実行によって変速比を増加させる場合は、例えば、第1条件と対応する。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第2変速信号を受信する場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第4変速信号を受信する場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。
【0120】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1変速装置52の動作方向に応じて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行によって第1変速装置52が人力駆動車10に近づく方向に移動するように第1変速装置52が変速動作する場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。第1変速装置52が人力駆動車10に近づく方向に移動するように第1変速装置52が変速動作する場合は、例えば、第1変速装置52によって変速比を減少させる場合である。第2オペレーションの実行によって第1変速装置52が人力駆動車10に近づく方向に移動するように第1変速装置52が変速動作する場合は、例えば、第2条件と対応する。制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行によって第1変速装置52が人力駆動車10から離れる方向に変速動作する場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。第1変速装置52が人力駆動車10から離れる方向に変速動作する場合は、例えば、第1変速装置52によって変速比を増加させる場合である。第2オペレーションの実行によって変速比を増加させる場合は、例えば、第1条件と対応する。
【0121】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、第1変速装置52および第2変速装置54の動作に応じて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、第2オペレーションにおいて第1変速装置52が変速動作せず、かつ、第2変速装置54が変速動作する場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。第2オペレーションにおいて第1変速装置52が変速動作せず、かつ、第2変速装置54が変速動作する場合は、例えば、第2条件と対応する。制御部72は、例えば、第2オペレーションにおいて第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作する場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。第2オペレーションにおいて第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作する場合は、例えば、第1条件と対応する。制御部72は、例えば、第1モードが選択されている場合、かつ、第1変速経路において第2変速装置54のみが変速動作する変速要求がある場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第1モードが選択されている場合、かつ、第1変速経路において第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作する変速要求がある場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。制御部72は、例えば、第2モードが選択されている場合、かつ、第2変速経路において第1変速装置52のみが変速動作する変速要求がある場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第2モードが選択されている場合、かつ、第2変速経路において第1変速装置52および第2変速装置54が変速動作する変速要求がある場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。
【0122】
制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、車速に応じて、第2オペレーションの実行の抑制と、第2オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、車速が所定車速以上の場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。車速が所定車速以上の場合は、例えば、第2条件と対応する。制御部72は、例えば、車速が所定車速よりも小さい場合、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。車速が所定車速よりも小さい場合は、例えば、第1条件と対応する。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、車速が所定車速以上の場合、かつ、第2モードが選択されている場合、第2モードにおける第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行可能な場合において、車速が所定車速以上の場合、かつ、第1モードが選択されている場合、第1モードにおける第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。
【0123】
制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第1オペレーションの実行を抑制可能に構成されてもよい。制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第1オペレーションの実行の抑制と、第1オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成される。制御部72が第2オペレーションを実行可能な場合は、第1モードにおける第2オペレーションおよび第2モードにおける第2オペレーションの少なくとも1つが実行可能な場合を含む。第1オペレーションの実行を抑制可能な場合は、例えば、第1オペレーションの実行頻度を減らすことおよび実行をさせないことを含む。
【0124】
制御部72は、第2オペレーションを実行可能な場合において、第2所定条件に基づいて、第1オペレーションの実行の抑制と、第1オペレーションの実行の許容とのいずれかを選択可能に構成されてもよい。第2所定条件は、例えば、第3条件および第4条件の少なくとも1つを含む。第3条件は、例えば、第4条件と異なる条件である。例えば、第3条件が満たされる場合、第4条件は満たされず、かつ、第3条件が満たされる場合、第4条件は満たされない。第3条件と第4条件とは、互いに排反の関係であってもよい。
【0125】
制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第3条件に基づいて、第1オペレーションの実行を抑制可能に構成される。制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第3条件が満たされると、第1オペレーションの実行を抑制する。第3条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含む。第3条件における人力駆動車10の走行状態は、例えば、人力駆動車10のクランク軸20の回転速度、クランク軸20に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の操作状態は、例えば、第1オペレーションの実行を抑制するための操作部の操作である。第1オペレーションの実行を抑制するための操作部は、操作部56であってもよい。第1オペレーションの実行を抑制するための操作部は、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0126】
制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第4条件に基づいて、第1オペレーションの実行を許容可能に構成される。制御部72は、例えば、第2オペレーションを実行可能な場合において、第4条件が満たされると、第1オペレーションの実行を許容する。第4条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態、および、操作状態の少なくとも1つを含む。第4条件における人力駆動車10の走行状態は、例えば、人力駆動車10のクランク軸20の回転速度、クランク軸20に入力される人力駆動力、および、車速の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の操作状態は、例えば、第1オペレーションの実行を許容するための操作部の操作である。第1オペレーションの実行を許容するための操作部は、操作部56であってもよい。第1オペレーションの実行を許容するための操作部は、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0127】
第3条件は、例えば、第2オペレーションを実行する場合に、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作にかかる時間が第3所定時間以上の場合に満たされる。第3所定時間は、第1所定時間と同じであってもよく、異なっていてもよい。第3条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態が、変速性能が低い走行状態である場合に満たされる。第3条件は、例えば、クランク軸20の回転速度が第3速度よりも小さい場合、車速が第3車速よりも小さい場合、および、人力駆動力が第3駆動力以上の場合の少なくとも1つの場合に満たされる。第3駆動力は、クランク軸20の回転速度ごとに設定されてもよい。第3条件は、第1条件と同じであってもよく、異なっていてもよい。第3速度は、第1速度と同じであってもよく、異なっていてもよい。第3車速は、第1車速と同じであってもよく、異なっていてもよい。第3駆動力は、第1駆動力と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0128】
第4条件は、例えば、第2オペレーションを実行する場合に、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作にかかる時間が第4所定時間よりも短い場合に満たされる。第4所定時間は、例えば、第3所定時間以下である。第4所定時間は、第2所定時間と同じであってもよく、異なっていてもよい。第4条件は、例えば、人力駆動車10の走行状態が、変速性能が高い走行状態である場合に満たされる。第4条件は、例えば、クランク軸20の回転速度が第4速度以上の場合、車速が第4車速以上の場合、および、人力駆動力が第4駆動力よりも小さい場合の少なくとも1つの場合に満たされる。第4駆動力は、クランク軸20の回転速度ごとに設定されてもよい。第4条件は、第2条件と同じであってもよく、異なっていてもよい。第4速度は、例えば、第3速度以上である。第4速度は、第2速度と同じであってもよく、異なっていてもよい。第4車速は、例えば、第3車速以上である。第4車速は、第2車速と同じであってもよく、異なっていてもよい。第4駆動力は、第3駆動力以下である。第4駆動力は、第2駆動力と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0129】
制御部72は、例えば、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方の要求設定が行われると、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方の実行を許容し、かつ、第1オペレーションおよび第2オペレーションの他方の実行を抑制するように構成されてもよい。第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方の実行の要求設定が行われるとは、例えば、ユーザによる所定操作部の操作によって設定される。所定操作部は、操作部56であってもよく、サイクルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、および、タブレット型コンピュータに含まれていてもよい。
【0130】
制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を許容し、かつ、第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を許容し、かつ、第1モードにおける第2オペレーションの実行を抑制し、かつ、第2モードにおける第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を許容し、かつ、第1モードにおける第2オペレーションの実行を抑制し、かつ、第2モードにおける第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を許容し、かつ、第1モードにおける第2オペレーションの実行を許容し、かつ、第2モードにおける第2オペレーションの実行を抑制するように構成される。
【0131】
制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を抑制し、かつ、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第1モードにおける第2オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を抑制し、かつ、第1モードにおける第2オペレーションの実行を許容するように構成される。制御部72は、例えば、第2モードにおける第2オペレーションの実行の要求設定が行われると、第1オペレーションの実行を抑制し、かつ、第2モードにおける第2オペレーションの実行を許容するように構成される。
【0132】
制御部72は、例えば、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方の実行のオフ設定が行われた場合、第1オペレーションおよび第2オペレーションの一方の実行を抑制し、かつ、第1オペレーションおよび第2オペレーションの他方の実行を許容するように構成されてもよい。制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行のオフ設定が行われ、かつ、第2オペレーションの実行のオフ設定が行われた場合、第1オペレーションの実行を抑制し、かつ、第2オペレーションの実行を抑制するように構成されてもよい。
【0133】
表1は、制御部72が選択可能な第1オペレーション、第1モードにおける第2オペレーション、および、第2モードにおける第2オペレーションについて、それぞれの実行の許容または抑制の組み合わせの第1例C1、第2例C1、第3例C3、第4例C4、第5例C5、第6例C6、第7例C7、および、第8例C8を示す。表1における「〇」は、各オペレーションの実行が許容されていることを示す。表1における「×」は、各オペレーションの実行が抑制されていることを示す。第1オペレーションが「〇」の場合、かつ、第2オペレーションが「×」の場合、第2条件が満たされると、第2オペレーションの実行が許容されてもよい。第1オペレーションが「〇」の場合、かつ、第2オペレーションが「〇」の場合、第1条件が満たされると、第2オペレーションの実行が抑制されてもよい。第1オペレーションが「×」の場合、かつ、第2オペレーションが「〇」の場合、第3条件が満たされると、第1オペレーションの実行が許容されてもよい。第1オペレーションが「〇」の場合、かつ、第2オペレーションが「〇」の場合、第4条件が満たされると、第1オペレーションの実行が抑制されてもよい。
【0134】
【表1】
【0135】
図5を参照して、制御部72が第1オペレーションおよび第2オペレーションの実行を許容と抑制との間において切り替えをする処理が説明される。制御部72は、例えば、制御部72に電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部72は、図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0136】
制御部72は、ステップS11において、第1オペレーションの実行の要求設定が行われたか否かを判定する。制御部72は、第1オペレーションの実行の要求設定が行われた場合、ステップS12に移行する。制御部72は、ステップS12において、第1オペレーションの実行を許容し、かつ、第2オペレーションの実行を抑制し、処理を終了する。制御部72は、ステップS12において、例えば、表1の第1例C1、第3例C3、および、第4例C4のうちの、予め設定されている組み合わせを選択する。制御部72は、ステップS12において、表1の第1例C1、第3例C3、および、第4例C4のうちの、1つを選択するように構成されてもよい。
【0137】
制御部72は、ステップS11において、第1オペレーションの実行の要求設定が行われた場合、ステップS13に移行する。制御部72は、ステップS13において、第2オペレーションの実行の要求設定が行われたか否かを判定する。制御部72は、第2オペレーションの実行の要求設定が行われていない場合、処理を終了する。制御部72は、第2オペレーションの実行の要求設定が行われた場合、ステップS14に移行する。制御部72は、ステップS14において、第2オペレーションの実行を許容し、かつ、第2オペレーションの実行を抑制し、処理を終了する。制御部72は、ステップS14において、例えば、表1の第5例C5、第6例C6、および、第7例C7のうちの、予め設定されている組み合わせを選択する。制御部72は、ステップS14において、表1の第5例C5、第6例C6、および、第7例C7のうちの1つを選択するように構成されてもよい。
【0138】
制御部72は、第1オペレーションの実行の要求設定が行われず、かつ、第2オペレーションの実行の要求設定が行われない場合、例えば、第8例C8を選択するように構成されてもよい。
【0139】
図6を参照して、制御部72が第1変速装置52、第2変速装置54、および、モータ62を制御する処理が説明される。制御部72は、例えば、制御部72に電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部72は、図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0140】
制御部72は、ステップS21において、変速条件が満たされるか否かを判定する。制御部72は、変速条件が満たされる場合、ステップS22に移行する。制御部72は、変速条件が満たされない場合、処理を終了する。変速条件は、例えば、操作部56が操作されることによって満たされる。変速条件は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて満たされてもよい。
【0141】
制御部72は、ステップS22において、第2オペレーションの実行が許容されるか否かを判定する。制御部72は、例えば、第2オペレーションの実行の要求設定によって第2オペレーションの実行が許容されている場合、第2オペレーションの実行が許容されると判定する。制御部72は、第1オペレーションの実行の要求設定によって第2オペレーションの実行が抑制されている場合であっても、第1条件が満たされる場合、第2オペレーションの実行が許容されると判定してもよい。
【0142】
制御部72は、ステップS22において、第2オペレーションの実行が許容される場合、ステップS23に移行する。制御部72は、ステップS23において、所定規則に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作を決定し、ステップS24に移行する。
【0143】
制御部72は、ステップS23において、例えば、第1モードが選択されている場合、かつ、第1モードにおける変速条件が満たされている場合、第1変速経路に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作を決定する。制御部72は、ステップS23において、例えば、第1モードが選択されている場合、かつ、第1モードにおける変速条件とは異なる変速条件が満たされている場合、変速規則に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作を決定する。変速規則は、例えば、ユーザによる第1操作部58および第2操作部60への操作に基づいて決定される。変速規則においては、例えば、第1操作部58が操作されると、第1変速装置52のスピードステージが1段階変更される。変速規則においては、例えば、第2操作部60が操作されると、第2変速装置54のスピードステージが1段階変更される。
【0144】
制御部72は、ステップS23において、例えば、第2モードが選択されている場合、かつ、第2モードにおける変速条件が満たされている場合、第2変速経路に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作を決定する。制御部72は、ステップS23において、例えば、第2モードが選択されている場合、かつ、第2モードにおける変速条件とは異なる変速条件が満たされている場合、変速規則に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作を決定する。
【0145】
制御部72は、ステップS22において、第2オペレーションの実行が許容されない場合、ステップS25に移行する。制御部72は、ステップS25において、変速規則に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の動作決定し、ステップS24に移行する。
【0146】
制御部72は、ステップS24において、第1オペレーションの実行が許容されるか否かを判定する。制御部72は、第1オペレーションの実行が許容されない場合、ステップS26に移行する。制御部72は、ステップS26において、変速比を変更するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御して、処理を終了する。制御部72は、ステップS26において、ステップS23またはステップS25において決定された第1変速装置52および第2変速装置54の動作に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御する。
【0147】
制御部72は、ステップS24において、第1オペレーションの実行が許容される場合、ステップS27に移行する。制御部72は、例えば、第1オペレーションの実行の要求設定によって第1オペレーションの実行が許容されている場合、第1オペレーションの実行が許容されると判定する。制御部72は、第1オペレーションの実行が抑制されている場合であっても、第3条件が満たされると、第1オペレーションの実行が許容されると判定してもよい。
【0148】
制御部72は、ステップS27において、モータ62の出力を変更するようにモータ62を制御し、変速比を変更させるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御して、ステップS28に移行する。制御部72は、ステップS27において、モータ62の出力、モータ62の出力の上限値、アシスト比、および、人力駆動力の変化に対するモータ62の出力の応答速度の少なくとも1つを変更するようにモータ62を制御し、変速比を変更させるように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御してもよい。制御部72は、ステップS27において、ステップS23またはステップS25において決定された第1変速装置52および第2変速装置54の動作に基づいて、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つを制御する。
【0149】
制御部72は、ステップS28において、モータ62の出力を変更してから予め定める期間が経過するか否かを判定する。予め定める期間は、例えば、ステップS27において変速動作する第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作の開始から完了までの期間に応じて決定される。制御部72は、モータ62の出力を変更してから予め定める期間が経過していない場合、ステップS28の処理を繰り返す。制御部72は、モータ62の出力を変更してから予め定める期間が経過する場合、ステップS29に移行する。制御部72は、ステップS29において、モータ62の出力の変更を終了するようにモータ62を制御して、処理を終了する。
【0150】
制御部72は、第1オペレーションにおいて、モータ62の出力を低下させることによって、変速性能を向上できる。制御部72は、第1モードにおける第2オペレーションによってチェーンが巻き掛けられるフロントスプロケット34Aと、チェーンが巻き掛けられるリアスプロケット36Aとの横方向における位置ずれを所定範囲内に収めることができる。制御部72は、第2モードにおける第2オペレーションによって、変速ショックを抑制できる。制御部72は、第1オペレーションおよび第2オペレーションを実行可能に構成されるため、ユーザの要望または人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じて、好適な変速を行うことができる。
【0151】
第2オペレーションにおいて、第1変速装置52および第2変速装置54の両方が変速動作する場合、第1変速装置52および第2変速装置54の両方の変速動作が完了するまでの期間が長くなる場合がある。本実施形態の制御部72は、制御部72は、第1オペレーションが実行可能な場合、第2オペレーションの実行を抑制できるため、長期にわたるモータ62の出力の変更が行われることが抑制される。
【0152】
変速比が減少するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが制御される場合、人力駆動力およびモータ62の出力が高くても、変速性能が低下しにくい。したがって、変速比が減少するように第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが制御される場合、制御部72は、第1オペレーションにおけるモータ62の出力の低下量を小さくできる。このため、第2オペレーションの実行によって変速比が減少する場合、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行しても、ライダが第1オペレーションにおけるモータ62による人力駆動車10の推進力の不足を覚えにくい。したがって、第2オペレーションの実行によって変速比が減少する場合、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行することによって、第1オペレーションによって変速性能を確保しつつ、第2オペレーションを実行できる。
【0153】
制御部72は、第1オペレーションが実行可能な場合において、第2オペレーションにおいて第1変速装置52が変速動作せず、かつ、第2変速装置54が変速動作する場合、第2オペレーションの実行を許容する。したがって、第1オペレーションおよび第2オペレーションの両方を実行しても、長期にわたるモータ62の出力の変更が行われない場合には、第1オペレーションおよび第2オペレーションを実行できる。
【0154】
制御部72は、第1オペレーションが実行可能な場合において、車速が所定車速以上の場合、第2オペレーションの実行を許容するように構成される。車速が所定車速以上の場合、モータ62による人力駆動車10の推進力の付与が停止しているため、第1オペレーションにおけるモータ62の出力の低下制御を行わずに、第2オペレーションを実行できる。
【0155】
第1オペレーションが実行される場合において、第1モードにおける第2オペレーションにおいて、第2変速装置54のスピードステージを複数段階変更する変速動作が実行されると、第1オペレーションにおけるモータ62の出力の変更が長期化するおそれがある。制御部72は、第1オペレーションが実行可能な場合において、第1モードにおける第2オペレーションを抑制し、かつ、第2モードにおける第2オペレーションを許容することによって、長期にわたるモータ62の出力の変更が行われることを抑制できる。
【0156】
<第2実施形態>
図7を参照して、第2実施形態の制御装置70および変速システム50が説明される。第2実施形態の制御装置70および変速システム50は、制御部72の設けられる場所が異なる以外は第1実施形態の制御装置70および変速システム50と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明が省略される。
【0157】
本実施形態の変速システム50は、例えば、中継装置64を含む。中継装置64は、例えば、第1変速装置52、第2変速装置54、および、ドライブユニット42とは別体に構成される。中継装置64は、例えば、フレーム16に設けられる。本実施形態では、制御部72の少なくとも一部および記憶部74の少なくとも一部は、例えば、中継装置64に設けられる。
【0158】
中継装置64は、例えば、第1変速装置52、第2変速装置54、第1操作部58、第2操作部60、および、ドライブユニット42のそれぞれと通信可能に接続される。中継装置64は、例えば、第1変速装置52、第2変速装置54、第1操作部58、および、第2操作部60と、第1通信規格によって通信するように構成される。中継装置64は、例えば、ドライブユニット42と、第2通信規格によって通信するように構成される。第1通信規格は、第2通信規格と異なっていてもよく、同じであってもよい。中継装置64は、例えば、ドライブユニット42を介してバッテリ40から電力を供給されるように構成される。
【0159】
本実施形態では、ドライブユニット42は、例えば、ドライブユニット制御部42Aを含む。ドライブユニット制御部42Aは、例えば、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。ドライブユニット制御部42Aに含まれる演算処理装置は、例えば、CPUまたはMPUを含む。
【0160】
ドライブユニット42は、例えば、ドライブユニット記憶部42Bをさらに含む。ドライブユニット記憶部42Bは、例えば、ドライブユニット制御部42Aと有線または無線によって通信可能に接続される。ドライブユニット記憶部42Bには、例えば、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。ドライブユニット記憶部42Bは、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。
【0161】
中継装置64に設けられる制御部72は、例えば、ドライブユニット制御部42Aを介して、モータ62を制御するように構成される。中継装置64に設けられる制御部72は、例えば、第1オペレーションを実行する場合、ドライブユニット制御部42Aに、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作の実行期間に関する情報を、送信する。ドライブユニット制御部42Aは、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つの変速動作の実行期間に関する情報に応じて、モータ62の出力を変更するようにモータ62を制御するように構成される。
【0162】
<第3実施形態>
図8を参照して、第3実施形態の制御装置70および変速システム50が説明される。第3実施形態の制御装置70および変速システム50は、第1変速装置52および第2変速装置54の構成が異なる以外は第1実施形態の制御装置70および変速システム50と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明が省略される。
【0163】
本実施形態の第1変速装置52と第2変速装置54との一方は、内装変速機であり、第1変速装置52と第2変速装置54との他方は、ディレイラである。例えば、第1変速装置52および第2変速装置54の一方は、フロントディレイラ52Aまたはリアディレイラ54Aであり、かつ、第1変速装置52および第2変速装置54の他方は、フロント内装変速機またはリア内装変速機52Bである。フロント内装変速機は、例えば、クランク軸20に設けられる。
【0164】
本実施形態では、例えば、第1変速装置52は、後輪12Rのハブ12Aに設けられるリア内装変速機52Bであり、第2変速装置54は、リアディレイラ54Aである。リア内装変速機52Bは、例えば、人力駆動力の動力伝達経路において、リアディレイラ54Aよりも下流に設けられる。人力駆動力は、例えば、リア内装変速機52Bによって変速された後、リアディレイラ54Aによって変速される。
【0165】
モータ62の出力軸は、例えば、人力駆動力の動力伝達経路において、リアディレイラ54Aよりも上流側の部材にモータ62の回転力を伝達するように構成される。モータ62の出力軸は、人力駆動力の動力伝達経路において、リアディレイラ54Aよりも下流側かつリア内装変速機52Bよりも上流側の部材にモータ62の回転力を伝達するように構成されてもよい。
【0166】
制御部72は、例えば、リア内装変速機52B、および、リアディレイラ54Aの少なくとも1つが変速動作を実行する場合、モータ62の出力を変更する第1オペレーションを実行可能に構成される。制御部72は、例えば、リア内装変速機52Bの変速動作とリアディレイラ54Aの変速動作との組み合わせを含む所定規則によって変速比を変化させる第2オペレーションを実行可能に構成される。
【0167】
<変更例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う制御装置70および変速システム50が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う制御装置70および変速システム50は、例えば、以下に示される各実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、各実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明が省略される。
【0168】
・第3実施形態において、第1変速装置52は、リアディレイラ54Aであり、第2変速装置54は、リア内装変速機52Bであってもよい。第1変速装置52は、フロントディレイラ52Aであり、第2変速装置54は、フロント内装変速機であってもよい。第1変速装置52は、フロント内装変速機であり、第2変速装置54は、フロントディレイラ52Aであってもよい。第1変速装置52は、リアディレイラ54Aであり、第2変速装置54は、フロント内装変速機であってもよい。第1変速装置52は、フロント内装変速機であり、第2変速装置54は、リアディレイラ54Aであってもよい。第1変速装置52は、フロントディレイラ52Aであり、第2変速装置54は、リア内装変速機52Bであってもよい。第1変速装置52は、リア内装変速機52Bであり、第2変速装置54は、フロントディレイラ52Aであってもよい。
【0169】
・第1変速装置52と第2変速装置54との両方が内装変速機であってもよい。例えば、第1変速装置52と第2変速装置54との一方は、リア内装変速機52Bであり、第1変速装置52と第2変速装置54との他方は、フロント内装変速機である。
【0170】
・第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つは、複数の変速機を含んでもよい。複数の変速装置は、例えば、フロントディレイラ52A、リアディレイラ54A、および、フロント内装変速機のうちの2つ以上である。本変更例では、第1オペレーションは、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54に含まれる少なくとも1つの変速装置が変速比を変更する変速動作を実行する場合、モータ62の出力を変更する。本変更例では、第2オペレーションは、例えば、第1変速装置52および第2変速装置54のうちの2つ以上の変速動作との組み合わせを含む所定規則によって変速比を変化させる。
【0171】
・制御部72は、例えば、車体14に設けられてもよく、ドライブユニット42に設けられてもよい。制御部72がドライブユニット42に設けられる場合、制御部72の部分的な機能を有する第1制御部がドライブユニット42に設けられ、かつ、制御部72の他の部分的な機能を有する第2制御部が、ドライブユニット42以外の人力駆動車用のコンポーネントに設けられてもよい。ドライブユニット42以外の人力駆動車用のコンポーネントは、例えば、第1変速装置52、第2変速装置54、および、操作部56の少なくとも1つを含む。
【0172】
・制御部72は、ステップS25の処理の後、ステップS24を省略して、ステップS27に移行してもよい。
【0173】
・制御部72は、第1オペレーションにおいて、モータ62の出力を増加させてもよい。第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作することによって変速比が増加すると、ライダの負荷が増加する。制御部72は、第1オペレーションにおいて、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作することによって変速比が増加する場合、モータ62の出力を増加させることによって、ライダを好適にアシストできるため、変速を好適に実行できる。変速比を減少させると、ライダの負荷を小さくできる。したがって、第1変速装置52および第2変速装置54の少なくとも1つが変速動作することによって変速比が減少する場合、ライダの負荷をより小さくできるため、変速を好適に実行できる、
【0174】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0175】
本明細書において使用される「第1」および「第2」などの序数については、単に同一の名称を区別するために用いられ、特別な意味を持たない。
【符号の説明】
【0176】
10…人力駆動車、12A…ハブ、12R…後輪、20…クランク軸、50…変速システム、52…第1変速装置、52A…フロントディレイラ、52B…リア内装変速機、54…第2変速装置、54A…リアディレイラ、56…操作部、62…モータ、70…制御装置、72…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8