(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127726
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】鉄骨梁の耐火被覆構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E04B1/94 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196321
(22)【出願日】2023-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2023036428
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】城島 裕介
(72)【発明者】
【氏名】依田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】若山 恵英
(72)【発明者】
【氏名】藤 雅史
(72)【発明者】
【氏名】大森 樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 千奈津
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA01
2E001GA24
2E001HF12
2E001LA03
2E001LA11
2E001LA12
2E001LA13
2E001LA14
(57)【要約】
【課題】作業者の安全性を確保しつつ、鉄骨梁に効率良く耐火被覆を取り付けることができる、鉄骨梁の耐火被覆構造を提供すること。
【解決手段】耐火被覆構造1は、H形鋼である鉄骨梁10と、鉄骨梁10の両側面および下面を覆うとともに鉄骨梁10の両側面の上端部に折り返し部21が設けられたシート状の耐火被覆材20と、耐火被覆材20の折り返し部21に取り付けられた一対の取付金物30と、一対の取付金物30を鉄骨梁10に固定する一対の固定金物40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
H形鋼である鉄骨梁と、
前記鉄骨梁の側面を覆うとともに前記鉄骨梁の側面の端部に折り返し部が設けられたシート状の耐火被覆材と、
前記耐火被覆材の折り返し部に差し込まれた取付金物と、
前記取付金物を前記鉄骨梁に固定する固定金物と、を備えることを特徴とする鉄骨梁の耐火被覆構造。
【請求項2】
鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
H形鋼である鉄骨梁と、
前記鉄骨梁の側面を覆うシート状の耐火被覆材と、
前記耐火被覆材の端部を貫通する取付金物と、
前記取付金物を前記鉄骨梁に固定する固定金物と、を備えることを特徴とする鉄骨梁の耐火被覆構造。
【請求項3】
前記固定金物は、前記鉄骨梁の下フランジの上面に反力をとって前記取付金物の一部を前記鉄骨梁の上フランジの下面に付勢するばね状部材、あるいは、前記鉄骨梁の上フランジの下面に設けられて前記鉄骨梁の上フランジの下面との隙間に前記取付金物の一部が収容される板状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨梁の耐火被覆構造。
【請求項4】
鉄骨梁の耐火被覆構造であって、
H形鋼である鉄骨梁と、
前記鉄骨梁の上面の両端部、両側面、および下面を覆うとともに、前記鉄骨梁の上面に折り返し部が設けられたシート状の耐火被覆材と、
前記耐火被覆材の折り返し部に取り付けられて前記鉄骨梁に係止する略コの字形状の取付金物と、を備え、
前記取付金物は、前記鉄骨梁の上フランジの下面に沿って略水平に延びる水平部と、前記水平部の外端から前記鉄骨梁の上フランジの側端面に沿って上方に延びる鉛直部と、前記鉛直部の上端から内側に向かって延びて前記耐火被覆材の折り返し部に挿入された挿入部と、を備えることを特徴とする鉄骨梁の耐火被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁を覆う耐火被覆の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨梁に耐火被覆工事を行う際、シート状の耐火被覆材に溶接ピンを貫通させて、このピンの先端を鉄骨梁に溶接固定することが行われている(特許文献1参照)。
特許文献1には、鉄骨と、この鉄骨の周囲を覆うシート状耐火被覆材と、シート状耐火被覆材を貫通して鉄骨に固定するワッシャー付き溶接ピンと、を備える耐火構造体が示されている。ワッシャー付き溶接ピンの先端は、鉄骨梁に溶接固定されている。
特許文献2には、H形断面の鉄骨梁と、この鉄骨梁を被覆する耐火被覆材と、この耐火被覆材を貫通して鉄骨梁に固定する固定ピンと、を備える鉄骨梁の耐火被覆構造が示されている。固定ピンの先端は、電気溶接により鉄骨梁に溶接固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-152914号公報
【特許文献2】特開2005-179903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、作業者の安全性を確保しつつ、鉄骨梁に効率良く耐火被覆を取り付けることができる、鉄骨梁の耐火被覆構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明の鉄骨梁の耐火被覆構造(例えば、後述の鉄骨梁の耐火被覆構造1、1A)は、鉄骨梁の耐火被覆構造であって、H形鋼である鉄骨梁(例えば、後述の鉄骨梁10)と、前記鉄骨梁の側面を覆うとともに前記鉄骨梁の側面の端部に折り返し部(例えば、後述の折り返し部21)が設けられたシート状の耐火被覆材(例えば、後述の耐火被覆材20)と、前記耐火被覆材の折り返し部に差し込まれた取付金物(例えば、後述の取付金物30)と、前記取付金物を前記鉄骨梁に固定する固定金物(例えば、後述の固定金物40、40A)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、シート状の耐火被覆材の折り返し部に取付金物を取り付けるとともに、この取付金物を固定金物で鉄骨梁に固定することで、鉄骨梁に耐火被覆材を取り付けた。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材を鉄骨梁に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆を鉄骨梁に取り付けることができる。
【0007】
第2の発明の鉄骨梁の耐火被覆構造(例えば、後述の鉄骨梁の耐火被覆構造1C、1D、1E、1F、1G)は、鉄骨梁の耐火被覆構造であって、H形鋼である鉄骨梁(例えば、後述の鉄骨梁10)と、前記鉄骨梁の側面を覆うシート状の耐火被覆材(例えば、後述の耐火被覆材20)と、前記耐火被覆材の端部を貫通する取付金物(例えば、後述の取付金物30C、30D、30E、30F、30G)と、前記取付金物を前記鉄骨梁に固定する固定金物(例えば、後述の固定金物40C、受け金物80)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、鉄骨梁に固定金物を取り付けておき、この状態で、取付金物をシート状の耐火被覆材に貫通させて固定金物に取り付けた。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材を鉄骨梁に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆を鉄骨梁に取り付けることができる。
【0009】
第3の発明の鉄骨梁の耐火被覆構造は、前記固定金物は、前記鉄骨梁の下フランジ(例えば、後述の下フランジ11)の上面(例えば、後述の上面11A)に反力をとって前記取付金物の一部を前記鉄骨梁の上フランジ(例えば、後述の上フランジ12)の下面(例えば、後述の下面12A)に付勢するばね状部材、あるいは、前記鉄骨梁の上フランジの下面に設けられて前記鉄骨梁の上フランジの下面との隙間に前記取付金物の一部が収容される板状部材であることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ばね状部材である固定金物により、鉄骨梁の下フランジの上面に反力をとって、取付金物の一部を鉄骨梁の上フランジの下面に付勢して押さえつけた。あるいは、鉄骨梁の上フランジの下面に板状部材である固定金物を設け、この固定金物と鉄骨梁の上フランジの下面との隙間に取付金物の一部を差し込んだ。よって、特殊工具を使用することなく、耐火被覆材を鉄骨梁に取り付けることができる。
【0011】
第4の発明の鉄骨梁の耐火被覆構造(例えば、後述の鉄骨梁の耐火被覆構造1B)は、鉄骨梁の耐火被覆構造であって、H形鋼である鉄骨梁(例えば、後述の鉄骨梁10)と、前記鉄骨梁の上面の両端部、両側面、および下面を覆うとともに、前記鉄骨梁の上面に折り返し部(例えば、後述の折り返し部21)が設けられたシート状の耐火被覆材(例えば、後述の耐火被覆材20)と、前記耐火被覆材の折り返し部に取り付けられて前記鉄骨梁に係止する一対の略コの字形状の取付金物(例えば、後述の取付金物30B)と、を備え、前記取付金物は、前記鉄骨梁の上フランジ(例えば、後述の上フランジ12)の下面(例えば、後述の下面12A)に沿って略水平に延びる水平部(例えば、後述の水平部34)と、前記水平部の外端から前記鉄骨梁の上フランジの側端面(例えば、後述の側端面12B)に沿って上方に延びる鉛直部(例えば、後述の鉛直部35)と、前記鉛直部の上端から内側に向かって延びて前記耐火被覆材の折り返し部に挿入された挿入部(例えば、後述の挿入部36)と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、シート状の耐火被覆材の折り返し部に取付金物を挿入することで、耐火被覆材の折り返し部を取付金物に係止させて、鉄骨梁に耐火被覆材を取り付けた。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材を鉄骨梁に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆を鉄骨梁に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者の安全性を確保しつつ、鉄骨梁に効率良く耐火被覆を取り付けることができる、鉄骨梁の耐火被覆構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の側面図である。
【
図3】
図1の鉄骨梁の耐火被覆構造の破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【
図4】第1実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造を構築する手順のフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図8】第4実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の斜視図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図10】第5実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造を構成する取付金物の斜視図である。
【
図11】第5実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造を構成する取付金物となる金属板の平面図である。
【
図12】本発明の第6実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図13】第6実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造を構成する取付金物の斜視図である。
【
図14】第6実施形態に係る取付金物の取り付け手順の説明図である。
【
図16】本発明の第7実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図17】第7実施形態に係る取付金物を構成する係止部の側面図および平面図である。
【
図18】第7実施形態に係る取付金物を構成する押さえ部の正面図および側断面図である。
【
図19】第7実施形態に係る取付金物の取り付け手順の説明図(その1、係止部を内側から受け金物に差し込んでいる状況)である。
【
図20】第7実施形態に係る取付金物の取り付け手順の説明図(その2、鉄骨梁の側面に耐火被覆材を配置する状況)である。
【
図21】第7実施形態に係る取付金物の取り付け手順の説明図(その3、耐火被覆材に押さえ部を配置する状況)である。
【
図22】第7実施形態に係る取付金物の取り付け手順の説明図(その4、耐火被覆材に押さえ部を配置した後の状況)である。
【
図23】本発明の第8実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造の縦断面図である。
【
図24】本発明の第1の変形例に係る耐火被覆構造の拡大図である。
【
図25】本発明の第2の変形例に係る耐火被覆構造の拡大図である。
【
図26】本発明の第3の変形例に係る耐火被覆構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、H形鋼である鉄骨梁10の両側面および下面を、シート状の耐火被覆材20で覆うことを特徴とする耐火被覆構造である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1の縦断面図である。
図2は、鉄骨梁の耐火被覆構造1の側面図である。
図3は、
図1の破線Aで囲んだ部分の拡大図である。なお、
図2では、耐火被覆材20の表示が省略されている。
耐火被覆構造1は、H形鋼である鉄骨梁10と、鉄骨梁10の両側面および下面を覆うとともに鉄骨梁10の両側面の上端部に折り返し部21が設けられた可撓性を有するシート状の耐火被覆材20と、耐火被覆材20の折り返し部21に挿入された一対の取付金物30と、一対の取付金物30を鉄骨梁10に固定する固定金物40と、固定金物40の脱落を防止するストッパ50と、を備える。
なお、鉄骨梁10の上面には、一般的には床スラブが形成されるため、本実施形態の鉄骨梁10の上面には、耐火被覆材20が設けられていない。
取付金物30は、鉄骨梁10の長さ方向に沿って所定間隔おきに設けられ、固定金物40およびストッパ50は、この取付金物30と同じ位置に設けられる。
【0016】
鉄骨梁10は、略水平に延びる下フランジ11および上フランジ12と、略鉛直に延びて下フランジ11と上フランジ12とを連結するウエブ13と、を備える。以下、下フランジ11の上面を11A、下フランジ11の側端面を11Bとし、上フランジ12の下面を12A、上フランジ12の側端面を12Bとする。
一対の取付金物30は、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに沿って略水平に延びる水平部31と、水平部31から外側下方に向かって延びる傾斜部32と、傾斜部32の外端から上方に向かって延びて耐火被覆材20の折り返し部21に挿入された挿入部33と、を備える。
【0017】
固定金物40は、鉄骨梁10の下フランジ11の上面11Aに反力をとって取付金物30の水平部31を鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに付勢して押さえつける、断面視で略Z字形状のばね状部材である。
具体的には、この固定金物40は、一枚の鋼板を折り曲げることで形成されており、鉄骨梁10の下フランジ11の上面11Aと鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aとの間で突っ張るばね部41と、ばね部41の下端から下フランジ11の上面11Aに沿って延びて下フランジ11の側端面11Bに係止する係止部42と、ばね部41の上端部60から内側に向かって延びる延出部43と、を備える。
ばね部41は、屈曲部61で折り曲げられており、屈曲部61から上端部60までの部分は、内側に向かうに従って上方に延びる傾斜部62となっている。
係止部42は、下フランジ11の側端面11Bと耐火被覆材20との間に挟まれており、これにより、固定金物40の下端部の移動が防止されている。
また、取付金物30の傾斜部32により、ばね部41の上端部が外側に移動して固定金物40が鉄骨梁10から脱落するのが防止されている。
【0018】
ストッパ50は、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに沿って略水平に延びる板状の水平部51と、水平部51の外端から上方に延びて鉄骨梁10の上フランジ12の側端面12Bに係止する係止部52と、水平部51の内端から下方に延びる壁部53と、を備える。
取付金物30の水平部31は、ストッパ50の水平部51の下面に配置される。
ストッパ50の壁部53には、固定金物40の延出部43の先端が当接しており、これにより、固定金物40の上端部の内側への移動が防止されている。
【0019】
以下、耐火被覆構造1を構築する手順について、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、鉄骨梁10に沿って所定間隔おきに、取付金物30、固定金物40、およびストッパ50を取り付ける。具体的には、ストッパ50を鉄骨梁10の上フランジ12に配置した状態で、固定金物40を取り付けて、鉄骨梁10の下フランジ11とストッパ50の水平部51との間で突っ張らせる。次に、ストッパ50の水平部51と固定金物40のばね部41の上端部60との間に取付金物30の水平部31を差し込む。
【0020】
ステップS2では、鉄骨梁10に耐火被覆材20を巻き付けて、耐火被覆材20の上端部を取付金物30に固定する。具体的には、耐火被覆材20を鉄骨梁10の両側面および下面に巻き付けて、この耐火被覆材20の上端部を折り返して折り返し部21とし、この折り返し部21に取付金物30の挿入部33を挿入する。
なお、耐火被覆材20の折り返し部21を取付金物30の挿入部33に取り付ける方法としては、例えば、取付金物30の傾斜部32を一定間隔で切り欠いておき、この切り欠いた部分に下方からU字形状のクリップを差し込んで、このクリップで耐火被覆材20の折り返し部21と挿入部33とを留め付け固定する方法が好ましい。
【0021】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)シート状の耐火被覆材20の折り返し部21に取付金物30を取り付けるとともに、この取付金物30を固定金物40で鉄骨梁10に固定することで、鉄骨梁10に耐火被覆材20を取り付けた。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材を鉄骨梁に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆材20を鉄骨梁10に取り付けることができる。また、作業者が専門の技量を必要とすることなく、比較的容易に鉄骨梁10を耐火被覆材20で被覆できる。
(2)ばね状部材である固定金物40により、鉄骨梁10の下フランジ11の上面11Aに反力をとって、取付金物30の一部を鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに付勢して押さえつけた。よって、特殊工具を使用することなく、耐火被覆材20を鉄骨梁10に取り付けることができる。
また、ばね部41のうち上端部60と屈曲部61との間に、傾斜部62を設けたので、ストッパ50の水平部51と固定金物40のばね部41の上端部60との間に、取付金物30の水平部31を差し込む際に、傾斜部62がガイドとなるので、取付金物30の水平部31の差し込みが容易となる。
【0022】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Aの縦断面図である。
本実施形態では、固定金物40Aの構造、および、ストッパが設けられていない点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、固定金物40Aは、板状部材であり、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに沿って延びる板状の固定部44と、固定部44から外側に向かって鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aとの間に一定の隙間を形成するように略水平に延びる挟持部45と、を備える。
固定部44は、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに溶接固定されている。挟持部45と鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aとの間には、隙間が形成されており、この隙間に取付金物30の水平部31が差し込まれることで、取付金物30が鉄骨梁10に固定される。
【0023】
本実施形態によれば、上述の(1)に加えて、以下のような効果がある。
(3)取付金物30は、鉄骨梁10の上フランジの下面と挟持部45との間の隙間に、水平部31を差し込むことで、鉄骨梁10に固定される。よって、特殊工具(例えば、溶接機など)を使用することなく、耐火被覆材20を鉄骨梁10に取り付けることができる。
【0024】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明の第3実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Bの縦断面図である。
本実施形態では、耐火被覆材20の折り返し部21の位置、取付金物30Bの構造、および、固定金物およびストッパが設けられていない点が、第1実施形態と異なる。
耐火被覆材20の折り返し部21は、鉄骨梁10の上面の両端部に設けられている。
取付金物30Bは、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに沿って略水平に延びる水平部34と、水平部34の外端から鉄骨梁10の上フランジ12の側端面12Bに沿って上方に延びる鉛直部35と、鉛直部35の上端から内側に向かって延びて耐火被覆材20の折り返し部21に挿入された挿入部36と、を備える。
なお、鉄骨梁10の上面に床スラブを形成する場合には、折り返し部21が鉄骨梁10の上フランジ12と床スラブとの隙間に配置されるようにする。
【0025】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(4)シート状の耐火被覆材20の折り返し部21に取付金物30Bを挿入することで、耐火被覆材20の折り返し部21を取付金物30Bに係止させて、鉄骨梁10に耐火被覆材20を取り付けた。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材20を鉄骨梁10に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆を鉄骨梁に取り付けることができる。
【0026】
〔第4実施形態〕
図7は、本発明の第4実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Cの縦断面図である。
図8は、耐火被覆構造1Cの斜視図である。
本実施形態では、固定金物40Cおよび取付金物30Cの構造、ならびに、ストッパおよび耐火被覆材20の折り返し部が設けられていない点が、第1実施形態と異なる。
【0027】
固定金物40Cは、鉄骨梁10のほぼ全長に亘って設けられている。固定金物40Cは、鉄骨梁10の上フランジ12の側端面12Bおよび下面12Aに沿って延びる略L字形状の板状の固定部46と、固定部46から外側に向かって延びる挟持部47と、を備える。固定部46は、鉄骨梁10の上フランジ12の側端面12Bおよび下面12Aに固定されている。挟持部47と鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aに沿って延びる固定部46との間には、隙間が形成されている。なお、固定部46は、予め、工場にて、鉄骨梁10に溶接固定することが好ましい。
【0028】
取付金物30Cは、鉄骨梁10の長さ方向に沿って所定間隔おきに設けられている。この取付金物30Cは、耐火被覆材20の上端側に貫通されて挟持部47と固定部46との隙間に挿入されて挟持されるピン37と、ピン37の基端側に設けられて耐火被覆材20の側面を押さえる円盤状の押さえ部38と、を備える。ピン37の先端は、少し膨らんだ膨出部39となっている。この膨出部39により、ピン37が挟持部47と固定部46との隙間から抜けるのが防止されている。
【0029】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(5)鉄骨梁10に固定金物40Cを取り付けておき、この状態で、取付金物30Cのピン37を、シート状の耐火被覆材20に貫通させて挟持部47と固定部46との隙間に挿入する。よって、従来のように、ピンを耐火被覆材に貫通させて溶接機で鉄骨梁に溶接することで、耐火被覆材を鉄骨梁に固定する場合と異なり、火気作業が不要となるから、作業者の安全性を確保できるうえに、溶接機を用意する必要がなくなり、効率良く耐火被覆材20を鉄骨梁10に取り付けることができる。また、作業者が専門の技量を必要とすることなく、比較的容易に鉄骨梁10を耐火被覆材20で被覆できる。
(6)板状の固定部46を略L字形状としたので、固定金物40Cを鉄骨梁10の上フランジ12の側端面12Bおよび下面12Aに比較的容易に設置可能である。よって、作業者が専門の技量を必要とすることなく、鉄骨梁10を耐火被覆材20で比較的容易に被覆できる。
【0030】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の第5実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Dの縦断面図である。
図10は、取付金物30Dの斜視図である。
図11は、取付金物30Dとなる金属板70の平面図である。
本実施形態では、取付金物30Dの構造が、第4実施形態と異なる。
取付金物30Dは、
図11に示すような矩形状の金属板70を用意し、この金属板70に切り込み71を入れて一部を折り曲げることで形成される。この取付金物30Dは、
図10に示すように、耐火被覆材20の上端側に貫通されて挟持部47と固定部46との隙間に挿入されて挟持される差し込み部72と、差し込み部72の基端側に設けられて耐火被覆材20の側面を押さえる押さえ部73と、を備える。なお、差し込み部72の先端は折り曲げられて係止部74となっており、これにより、差し込み部72が挟持部47と固定部46との隙間から抜けるのが防止される。
本実施形態によれば、上述の(5)、(6)と同様の効果がある。
【0031】
〔第6実施形態〕
図12は、本発明の第6実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Eの縦断面図である。
図13は、耐火被覆構造1Eを構成する取付金物30Eの斜視図である。
鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aの端部には、棒状の異形鉄筋である固定金物としての受け金物80が溶接固定されており、上フランジ12と受け金物80との間には、隙間が形成されている。
取付金物30Eは、耐火被覆材20の上端側に貫通されて受け金物80に係止する差し込み部81と、差し込み部81の基端側に設けられて耐火被覆材20の側面を押さえる円盤状の押さえ部82と、を備える。
差し込み部81は、金属などの弾性変形可能な棒状部材で形成され、先端側で折り曲げられている。差し込み部81の折り曲げ箇所よりも先端側の部分は、先端部83となっている。
【0032】
次に、耐火被覆構造1Eを構築する手順について、説明する。
予め、鉄骨工場等で、鉄骨梁10の上フランジ12に受け金物80を溶接固定しておく。次に、
図14に示すように、鉄骨梁10の側面に耐火被覆材20を配置して、耐火被覆材20の上端部を取付金物30Eで固定する。具体的には、取付金物30Eの差し込み部81の先端部83を大きく折り曲げておき、この状態で、取付金物30Eの差し込み部81を耐火被覆材20に貫通させて、上フランジ12と受け金物80との隙間に挿入する。すると、差し込み部81の先端部83が弾性力で開いて、異形鉄筋である受け金物80に係止する。これにより、差し込み部81が上フランジ12と受け金物80との隙間から抜けるのが防止される。
【0033】
なお、本実施形態では、押さえ部82を円盤状としたが、これに限らず、
図15に示すように、取付金物30Eを、一本の弾性変形可能な棒状部材を折り曲げて形成し、差し込み部81を2つ設けてもよい。
【0034】
本実施形態によれば、上述の(5)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(7)受け金物80を異形鉄筋としたので、差し込み部81の先端部83が異形鉄筋の表面の凹凸に引っ掛かるから、取付金物30Eの脱落を確実に防止できる。
【0035】
〔第7実施形態〕
図16は、本発明の第7実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Fの縦断面図である。
本実施形態では、取付金物30Fの構造が、第6実施形態と異なる。
鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aの端部には、棒状の異形鉄筋である固定金物としての受け金物80が溶接固定されており、上フランジ12と受け金物80との間には、隙間が形成されている。
取付金物30Fは、受け金物80に内側から係止して先端部87が外側に突出する係止部84と、係止部84の先端部87が係止されて耐火被覆材20の側面を押さえる押さえ部85と、を備える。
【0036】
図17(a)は、係止部84の側面図であり、
図17(b)は、係止部84の平面図である。
図18(a)は、押さえ部85の正面図であり、
図18(b)は、押さえ部85の側断面図である。
係止部84は、金属などの弾性変形可能な棒状部材で形成され、略コの字形状に折り曲げられている。係止部84は、中間の3箇所で内側に向かって凸状に折り曲げられて、3つの凸部86が形成されている。係止部84のうち両端の凸部86よりも先端側の部分は、先端部87となっている。
押さえ部85は、板状であり、上下の2箇所に貫通孔88が形成されている。
【0037】
次に、耐火被覆構造1Fを構築する手順について、説明する。
予め、鉄骨工場等で、鉄骨梁10の上フランジ12に受け金物80を溶接固定しておく。
次に、
図19に示すように、係止部84を内側から受け金物80に差し込む。すると、
図20に示すように、係止部84の3つの凸部86で受け金物80を三方から挟持するとともに、係止部84の先端部87が受け金物80の外側に突出する。
次に、
図20に示すように、鉄骨梁10の側面に耐火被覆材20を配置する。すると、
図21に示すように、係止部84の先端部87が耐火被覆材20を貫通して外側に突出する。
【0038】
次に、耐火被覆材20を押さえ部85で固定する。具体的には、
図21に示すように、取付金物30Fの表面に押さえ部85を配置するとともに、押さえ部85の貫通孔88に係止部84の先端部87を挿通する。すると、
図22に示す状態となる。
次に、係止部84の先端部87のうち押さえ部85の貫通孔88から突出した部分を
図22中矢印方向に折り曲げる。すると、
図16に示すように、耐火被覆材20が押さえ部85で固定される。
【0039】
本実施形態によれば、上述の(5)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(8)係止部84の3つの凸部86で異形鉄筋である受け金物80を挟持したので、係止部84の3つの凸部86が異形鉄筋80の表面の凹凸に引っ掛かるから、取付金物30Fの脱落を確実に防止できる。
(9)係止部84の3つの凸部86で受け金物80を三方から挟持したので、
図16中矢印Xで示すように、耐火被覆材20が自重で下方に下がると、
図16中矢印Yで示すように、係止部84が受け金物80を回転中心として回転する。このとき、係止部84の角部86Aが上フランジの下面12Aに当接するので、係止部84はそれ以上回転せず、その結果、耐火被覆材20の下方への移動が規制される。よって、耐火被覆材20が下方に大きく下がるのを防止できる。
【0040】
〔第8実施形態〕
図23は、本発明の第8実施形態に係る鉄骨梁の耐火被覆構造1Gの縦断面図である。
本実施形態では、取付金物30Gの構造が、第7実施形態と異なる。
すなわち、取付金物30Gには、押さえ部85が設けられておらず、係止部84の先端部87のうち耐火被覆材20から突出した部分を折り曲げることで、耐火被覆材20が固定される。
本実施形態によれば、上述の(5)、(8)と同様の効果がある。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第1実施形態では、固定金物40とストッパ50とを別部材とし、ストッパ50を鉄骨梁10の上フランジ12に配置した状態で、固定金物40を取り付けたが、これに限らず、予めストッパ50と固定金物40とを一体化しておき、この一体化されたストッパ50および固定金物40を鉄骨梁10の上フランジ12に取り付けてもよい。
ストッパ50と固定金物40とを一体化する場合、例えば、
図24に示すように、ストッパ50と固定金物40とを嵌合部90で嵌合させてもよい。この場合、溶接が不要となり、製作コストを低減できる。また、
図25に示すように、ストッパ50と固定金物40とをヒンジ91で互いに回動可能としてもよい。この場合、固定金物40の延出部43を動かしても、ストッパ50に応力が生じて変形するのを抑制できる。あるいは、ストッパ50と固定金物40とを溶接固定してもよい。
【0042】
また、第1実施形態では、固定金物40に取付金物30を取り付けた後、耐火被覆材20の上端部をこの取付金物30に取り付けたが、これに限らず、耐火被覆材20の上端部を取付金物30に取り付けて、その後、この取付金物30を固定金物40に固定してもよい。
また、第1実施形態では、
図1に示すように、鉄骨梁10の上フランジ12の両側に取付金物30および固定金物40を取り付けたが、これに限らず、上述の耐火被覆構造1、1A、1B、1Cを組み合わせてもよい。例えば、上フランジ12の一端側を第1実施形態の耐火被覆構造1とし、他端側を第2実施形態や第3実施形態の耐火被覆構造1A、1Bとしてもよい。
【0043】
また、第1実施形態では、取付金物30の水平部31の下面を平滑な面をとしたが、これに限らず、
図26に示すように、取付金物30の水平部31の下面に固定金物40の上端部60に係止する凸部92を設けてもよいし、取付金物30の水平部31の下面を固定金物40の上端部60に噛み合う形状としてもよい。このようにすれば、取付金物30の水平部31が、ストッパ50の水平部51と固定金物40のばね部41の上端部60との間から抜けてしまうのを防止できる。
【0044】
また、第1実施形態では、取付金物30、固定金物40、およびストッパ50を、鉄骨梁10の長さ方向に沿って所定間隔おきに設けたが、これに限らず、取付金物30、固定金物40、およびストッパ50を、鉄骨梁10のほぼ全長に亘って設けてもよい。
また、第2実施形態では、固定金物40Aの挟持部45を鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aとの間に一定の隙間を形成するように延びる構造としたが、これに限らず、挟持部45を外側に向かうに従って隙間が拡がるように延びる構造としてもよい。このようにすれば、取付金物30の水平部31を挿入し易くなる。
【0045】
また、第2実施形態では、固定金物40Aの挟持部45を表面が平滑な板状としたが、これに限らず、固定金物40Aの挟持部45と取付金物30の水平部31との双方にかみ合わせ部や凸部を設けてもよい。このようにすれば、取付金物30の水平部31を固定金物40Aの挟持部45の所定位置まで差し込んだ場合に、取付金物30の水平部31が固定金物40Aの挟持部45に係止されるとともに、作業者が取付金物30の水平部31を適切な位置まで挿入できたことを認識できる。また、固定金物40Aの挟持部45と取付金物30の水平部31との双方に複数の噛み合わせ部を設けてもよい。このようにすれば、まず、取付金物30の水平部31をある程度押し込んで固定金物40Aの挟持部45に仮固定し、取付金物30の挿入部33と鉄骨梁10のフランジ側面との距離を所定距離確保しておく。次に、挿入部33に耐火被覆材20を折り込んで、取付金物30の水平部31をさらに押し込む。これにより、耐火被覆材20を鉄骨梁10のフランジ側面と取付金物30の挿入部33とで挟み込んで固定できる。
【0046】
また、第4実施形態では、略L字形状の板状の固定部46を鉄骨梁10の上フランジ12の側面および下面に配置したが、これに限らず、固定部46を平板状とし、鉄骨梁10の上フランジ12の下面12Aのみに配置してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G…耐火被覆構造
10…鉄骨梁 11…下フランジ
11A…下フランジの上面 11B…下フランジの側端面 12…上フランジ
12A…上フランジの下面 12B…上フランジの側端面 13…ウエブ
20…耐火被覆材 21…折り返し部
30、30B、30C、30D、30E、30F、30G…取付金物
31…水平部 32…傾斜部
33…挿入部 34…水平部 35…鉛直部 36…挿入部
37…ピン 38…押さえ部 39…膨出部
40、40A、40C…固定金物 41…ばね部 42…係止部 43…延出部
44…固定部 45…挟持部 46…固定部 47…挟持部
50…ストッパ 51…水平部 52…係止部 53…壁部
60…上端部 61…屈曲部 62…傾斜部
70…金属板 71…切り込み 72…差し込み部 73…押さえ部 74…係止部
80…受け金物(固定金物) 81…差し込み部 82…押さえ部 83…先端部
84…係止部 85…押さえ部 86…凸部 86A…角部 87…先端部
88…貫通孔 90…嵌合部 91…ヒンジ 92…凸部