(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012773
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】シャットオフノズル、射出装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/23 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B29C45/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114491
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AJ08
4F206AM03
4F206AM10
4F206AR07
4F206JA07
4F206JN06
4F206JQ57
4F206JQ63
4F206JQ64
(57)【要約】
【課題】漏れ出した樹脂の清掃が容易なシャットオフノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体部(28)と、これと同軸に入れられているニードル弁(30)と、シリンダ機構(40)とバネウケ(41)とからなるニードル駆動機構(32)とを備えたシャットオフノズル(24)とする。ノズル本体部(28)はバルブハウジング(37)を備え、バルブハウジング(37)にニードル弁(30)が挿入されるニードル穴(52)と、バネウケ孔(54)とを形成する。バネウケ(41)はバネウケ孔(54)に軸方向のスライドが許容された状態で軸方向と直交する方向に挿入し、バネウケ(41)の両端をシリンダ機構(40)に固定する。バネウケ(41)の中央部においてニードル弁(30)の後端部を押す。バルブハウジング(37)の両側面に、バネウケ孔(54)と連続するように清掃用拡大部(56)を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に樹脂流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記樹脂流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、
前記ニードル弁を駆動するニードル駆動機構と、を備え、
前記ニードル駆動機構は前記ノズル本体部に設けられているシリンダ機構と、
前記シリンダ機構による駆動力を前記ニードル弁に伝達するバネウケと、から構成され、
前記ノズル本体部はバルブハウジングを備え、
前記バルブハウジングには、前記ニードル弁の後端部が挿入される軸方向のニードル穴と、軸方向に直交するバネウケ孔とが形成されており、
前記バネウケは前記バネウケ孔に軸方向のスライドが許容された状態で軸方向と直交する方向に挿入され、前記バネウケの両端が前記シリンダ機構に固定されていると共に中央部において前記ニードル弁の後端部に接触しあるいは接続され、前記シリンダ機構を駆動すると前記バネウケを介して前記ニードル弁が軸方向に前進して前記出口を閉鎖するようになっており、
前記バルブハウジングの両側面には、前記バネウケ孔と連続していると共に前記バネウケ孔を拡大した形状の清掃用拡大部が形成されている、シャットオフノズル。
【請求項2】
前記清掃用拡大部は扇状に形成されている、請求項1に記載のシャットオフノズル。
【請求項3】
前記バネウケには前記ニードル弁と接触する面と反対側に所定長さの凸状曲面が形成されており、
前記バネウケ孔には、前記バネウケが後退したときに前記凸状曲面が接触するU字状の溝であるU字溝が形成されている、請求項1または2に記載のシャットオフノズル。
【請求項4】
前記U字溝の曲率より前記凸状曲面の曲率の方が大きくなっている、請求項3に記載のシャットオフノズル。
【請求項5】
前記清掃用拡大部には、前記バネウケが後退したときに前記バネウケが接触する凹状溝が形成されている、請求項3に記載のシャットオフノズル。
【請求項6】
前記凹状溝と前記U字溝とは傾斜面を介して滑らかに接続されている、請求項5に記載のシャットオフノズル。
【請求項7】
加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備え、
前記シャットオフノズルは内部に樹脂流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記樹脂流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、
前記ニードル弁を駆動するニードル駆動機構と、を備え、
前記ニードル駆動機構は前記ノズル本体部に設けられているシリンダ機構と、
前記シリンダ機構による駆動力を前記ニードル弁に伝達するバネウケと、から構成され、
前記ノズル本体部はバルブハウジングを備え、
前記バルブハウジングには、前記ニードル弁の後端部が挿入される軸方向のニードル穴と、軸方向に直交するバネウケ孔とが形成されており、
前記バネウケは前記バネウケ孔に軸方向のスライドが許容された状態で軸方向と直交する方向に挿入され、前記バネウケの両端が前記シリンダ機構に固定されていると共に中央部が前記ニードル弁の後端部に接触しあるいは接続され、前記シリンダ機構を駆動すると前記バネウケを介して前記ニードル弁が軸方向に前進して前記出口を閉鎖するようになっており、
前記バルブハウジングの両側面には、前記バネウケ孔と連続していると共に前記バネウケ孔を拡大した形状の清掃用拡大部が形成されている、射出装置。
【請求項8】
前記清掃用拡大部は扇状に形成されている、請求項7に記載の射出装置。
【請求項9】
前記バネウケには前記ニードル弁と接触する面と反対側に所定長さの凸状曲面が形成されており、
前記バネウケ孔には、前記バネウケが後退したときに前記凸状曲面が接触するU字状の溝であるU字溝が形成されている、請求項7または8に記載の射出装置。
【請求項10】
前記U字溝の曲率より前記凸状曲面の曲率の方が大きくなっている、請求項9に記載の射出装置。
【請求項11】
前記清掃用拡大部には、前記バネウケが後退したときに前記バネウケが接触する凹状溝が形成されている、請求項9に記載の射出装置。
【請求項12】
前記凹状溝と前記U字溝とは傾斜面を介して滑らかに接続されている、請求項11に記載の射出装置。
【請求項13】
樹脂を射出する射出装置と、
金型を型締めする型締装置と、を備え、
前記射出装置は加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備え、
前記シャットオフノズルは内部に樹脂流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記樹脂流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、
前記ニードル弁を駆動するニードル駆動機構と、を備え、
前記ニードル駆動機構は前記ノズル本体部に設けられているシリンダ機構と、
前記シリンダ機構による駆動力を前記ニードル弁に伝達するバネウケと、から構成され、
前記ノズル本体部はバルブハウジングを備え、
前記バルブハウジングには、前記ニードル弁の後端部が挿入される軸方向のニードル穴と、軸方向に直交するバネウケ孔とが形成されており、
前記バネウケは前記バネウケ孔に軸方向のスライドが許容された状態で軸方向と直交する方向に挿入され、前記バネウケの両端が前記シリンダ機構に固定されていると共に中央部が前記ニードル弁の後端部に接触しあるいは接続され、前記シリンダ機構を駆動すると前記バネウケを介して前記ニードル弁が軸方向に前進して前記出口を閉鎖するようになっており、
前記バルブハウジングの両側面には、前記バネウケ孔と連続していると共に前記バネウケ孔を拡大した形状の清掃用拡大部が形成されている、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル本体部にニードル弁が同軸に設けられて樹脂流路を開閉するシャットオフノズル、そのようなシャットオフノズルが設けられている射出装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出装置に設けられるシャットオフノズルは、射出ノズルの樹脂が流れる射出流路を開閉していわゆるハナタレを防止することができるようになっている。シャットオフノズルは色々なタイプがあり、例えば特許文献1に記載されているようなタイプがある。このタイプのシャットオフノズルは、ノズル本体と、このノズル本体に対して斜めに設けられたニードル弁とからなる。ノズル本体には、その外周面からノズル本体内の射出流路に達する斜めの穴、つまりニードル穴が開けられている。このニードル穴にニードル弁が進退自在に挿入されている。ニードル弁を前進させると射出流路が閉鎖され、後退させると射出流路が開くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ニードル弁がノズル本体に対して同軸に設けられているシャットオフノズルも知られている。このようなシャットオフノズルではニードル弁がノズル本体に形成されている射出流路に入れられて進退自在になっている。ニードル弁が前進するとノズル本体の先端部において射出流路が閉鎖される。このようなシャットオフノズルにおいてニードル弁は、ノズル本体に形成されているニードル穴に挿入されて後端部が露出しており、所定のニードル駆動機構により後端部を介してニードル弁が駆動されるようになっている。このニードル穴とニードル弁との隙間から樹脂が少しずつ外部に漏れ出す。漏れ出した樹脂は清掃により除去しなければならないが清掃が困難であるという問題がある。
【0005】
本開示において、漏れ出した樹脂の清掃が容易なシャットオフノズルを提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ノズル本体部と、ノズル本体部と同軸に入れられて樹脂流路の出口を開閉するニードル弁と、ニードル弁を駆動するニードルニードル駆動機構とを備えたシャットオフノズルを対象とする。ニードルニードル駆動機構はシリンダ機構とバネウケとから構成する。ノズル本体部にはバルブハウジングを備え、バルブハウジングにニードル弁の後端部が挿入される軸方向のニードル穴と、軸方向に直交するバネウケ孔とを形成する。バネウケはバネウケ孔に軸方向のスライドが許容された状態で軸方向と直交する方向に挿入し、バネウケの両端をシリンダ機構に固定する。そしてバネウケの中央部においてニードル弁の後端部に接触、あるいは接続するようにする。シリンダ機構によりバネウケを介してニードル弁が駆動される。バルブハウジングの両側面には、バネウケ孔と連続していると共にバネウケ孔を拡大した形状の清掃用拡大部を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、漏れ出した樹脂は清掃用拡大部において容易に除去し、清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
【
図2A】本実施の形態に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
【
図2B】本実施の形態に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
【
図3】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバルブハウジングを示す斜視図である。
【
図4A】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバルブハウジングを、
図3におけるX-Xで示す断面図である。
【
図4B】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバルブハウジングを、
図3におけるY-Yで示す断面図である。
【
図5】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバネウケを示す斜視図である。
【
図6A】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバルブハウジングと、ニードル弁の一部とバネウケとを示す断面図である。
【
図6B】本実施の形態に係るシャットオフノズルのバルブハウジングとバネウケとを示す断面図である。
【
図7】比較例に係るシャットオフノズルのバルブハウジングとバネウケの断面図である。
【
図8A】本実施の変形例に係るシャットオフノズルのバネウケを示す斜視図である。
【
図8B】本実施の変形例に係るシャットオフノズルのバルブハウジングの断面図である。
【
図8C】本実施の変形例に係るシャットオフノズルのバルブハウジングを、
図8BにおけるZ-Zで示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
<射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、
図1に示されているように、型締装置2、射出装置3等を備えている。射出成形機1はコントローラつまり制御装置4を備えており、型締装置2、射出装置3等は、制御装置4によって制御されるようになっている。
【0012】
<型締装置>
型締装置2は、ベッドBに固定されている固定盤7と、ベッドB上をスライド自在に設けられている可動盤8と、型締ハウジング9と、を備えている。固定盤7と型締ハウジング9は複数本のタイバー11、11、…により連結されており、可動盤8は固定盤7と型締ハウジング9の間でスライド自在になっている。型締ハウジング9と可動盤8の間には型締機構が、すなわち本実施の形態においてはトグル機構13が設けられている。固定盤7と可動盤8には、それぞれ固定側金型15、可動側金型16が設けられている。従って、トグル機構13を駆動すると金型15、16が型開閉される。
【0013】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ19と、加熱シリンダ19内に設けられているスクリュ20と、スクリュ駆動装置22と、を備えている。加熱シリンダ19はスクリュ駆動装置22に支持されており、スクリュ20はスクリュ駆動装置22によって回転方向と軸方向とに駆動されるようになっている。加熱シリンダ19にはホッパ23と、次に詳しく説明する本実施の形態に係るシャットオフノズル24とが設けられている。
【0014】
<本実施の形態に係るシャットオフノズル>
本実施の形態に係るシャットオフノズル24は、
図2Aに示されているように、内部に樹脂流路26、27が形成されているノズル本体部28と、このノズル本体部28に入れられているニードル弁30と、ニードル弁30を駆動するニードル駆動機構32と、を備えている。水平に設けられている加熱シリンダ19の中心軸を基準にして見ると、ノズル本体部28は加熱シリンダ19と略同軸に設けられ、そしてニードル弁30はノズル本体部28に対して同軸に設けられている。
【0015】
ノズル本体部28は、本実施の形態において3個の部材から構成されている。すなわち、加熱シリンダ19に設けられているノズル基部34と、先端に設けられているノズル先端部35と、ノズル基部34とノズル先端部35とを接続しているバルブハウジング37と、から構成されている。本実施の形態に係るバルブハウジング37には、複数の連通孔38、38、…が形成されており、ノズル基部34内の樹脂流路26とノズル先端部35内の樹脂流路27とが連通している。
【0016】
ニードル駆動機構32は、ノズル基部34の外周を囲むように設けられている環状を呈するシリンダ機構40と、バルブハウジング37に入れられているバネウケ41とから構成されている。バネウケ41について後で詳しく説明するが、バネウケ41はシリンダ機構40に接続されておりシリンダ機構40によって駆動される。そして、ニードル弁30はバネウケ41によって駆動されるようになっている。
【0017】
シリンダ構造40は、例えばエアにより駆動される。シリンダ構造40にエアを供給するとバネウケ41が押されて前進する。これにより、ニードル弁30が前進し、ノズル先端部35内の樹脂流路27を閉鎖する。一方、シリンダ構造40へのエア供給を停止するとバネウケ41が後退する。これにより、ニードル弁30が後退し、樹脂流路27が開放する。ここで、「前進」とは型締装置2に近接する方向(前方)に移動することであり、「後退」とは型締装置2に離反する方向(後方)に移動することである。なお、シリンダ構造40は、作動油や水などその他の流体で駆動するものであってもよい。また、バネウケ41は、例えば電動駆動機構など、シリンダ機構40以外の駆動機構によって駆動されてもよい。
【0018】
<バルブハウジング>
本実施の形態に係るバルブハウジング37を説明する。バルブハウジング37は、
図2A、
図3に示されているように、ノズル基部34に接続される基部接続部43と、 バネウケ41を収納するバネウケ収納部44と、ノズル先端部35が取り付けられる先端部接続部45と、からなりこれらが一体的に形成されている。基部接続部43と先端部接続部45は、それぞれ外周面に雄ネジ47、48が形成され、
図2Aに示されているように、ノズル基部34とノズル先端部35に形成されている雌ネジ49、50に取り付けられている。
図4Aには
図3においてX-Xで切断したバルブハウジング37の断面図が示されているが、先端部接続部45には先端部接続部45と同軸にニードル穴52が形成されている。このニードル穴52は、
図2Aに示されているようにニードル弁30の後端部が挿入されるようになっている。
【0019】
バルブハウジング37のバネウケ収納部44には、
図3に示されているように、バネウケ孔54が開けられている。バネウケ孔54は軸方向と直行しバネウケ収納部44を貫通する孔で、後で説明するバネウケ41(
図2A参照)が挿入されるようになっている。ニードル穴52とバネウケ孔54は、
図4Aに示されているように連通している。従って、ニードル穴52に入れられるニードル弁30(
図2A参照)はバネウケ41にその後端部が接することになり、バネウケ41がスライドするとニードル弁30が駆動される。
【0020】
本実施の形態に係るバルブハウジング37は、バネウケ孔54に関連していくつかの特徴がある。
図3においてY-Yで切断したバルブハウジング37の断面図が
図4Bに示されている。バルブハウジング37の第1の特徴は清掃用拡大部56、56が形成されている点である。清掃用拡大部56、56は、バネウケ収納部44において、両側面から扇状に切り取られた形状になっている。これらの清掃用拡大部56、56はバネウケ孔54と連続しており、漏出してバネウケ孔54に蓄積する樹脂を清掃するのに適した形状になっている。なお、本実施の形態において清掃用拡大部56、56は扇状に形成されているが、バネウケ孔54をその両端部において拡大していればよく、形状は扇状に限定されない。
【0021】
第2の特徴は、
図4Aに示されているように、バネウケ孔54の一部の面にU字状の溝であるU字溝57が形成されている点である。次に説明するバネウケ41(
図2A参照)が接するようになっており、U字溝57が形成されていることにより、後で説明するように漏れ出してバネウケ孔54内に溜まった樹脂を清掃用拡大部56、56に押し出すことができる。この実施の形態においてU字溝57は、
図4Bに示されているようにバネウケ孔54内に止まらず、清掃用拡大部56、56にも延長されている。
【0022】
<バネウケ>
本実施の形態に係るバネウケ41は、
図5に示されているように、平たい棒状を呈している。バネウケ41の両端はその一部が切り欠かれ、段部58、58が形成されている。これら段部58、58がシリンダ機構40(
図2A参照)に固定されるようになっており、シリンダ機構40によってバネウケ41が駆動される。バネウケ41の、
図5において上面60は平面に形成されている。この上面60の中央部においてニードル弁30(
図2A参照)の後端部を押すようになっている。本実施の形態に係るバネウケ41は、底面が凸状に湾曲した凸状曲面61に形成されている点に特徴がある。この凸状曲面61がU字溝57(
図4B参照)に接することにより漏れ出た樹脂が押し出されることになる。なお、U字溝57に比して凸状曲面61の曲率は僅かに大きくなっている。
【0023】
<シャットオフノズルの作用>
本実施の形態に係るシャットオフノズル24の作用を説明する。
図6Aに示されているように、バネウケ41はバネウケ孔54内で軸方向のスライドが許容された状態で挿入されている。そしてニードル弁30の後端部はバネウケ41の上面60に接している。
図2A
に示されているように、シリンダ機構40を駆動してバネウケ41を後退させる。そうするとバネウケ41がニードル弁30を押す力は実質的にゼロになる。射出装置2(
図1参照)においてスクリュ20を軸方向に駆動すると、樹脂流路27において樹脂圧力が高まる。ニードル弁30は先端がテーパ状になっているので樹脂圧力により後退する。これにより樹脂流路27が開口され樹脂を射出することができる。
【0024】
シリンダ機構40を駆動してバネウケ41を前進させる。そうすると
図2Bに示されているように、バネウケ41はバネウケ孔54内でスライドし、ニードル弁30を押す。ニードル弁30の先端が樹脂流路27の出口を閉鎖する。これにより樹脂のハナタレを防止することができる。
【0025】
長期間シャットオフノズル24を運転すると、ニードル穴52とニードル弁30の隙間から樹脂が少しずつ漏れ出す。漏れ出した樹脂63は、
図6Aに示されているようにバネウケ孔54内に溜まる。
図2Aに示されているように、シリンダ機構40を駆動してバネウケ41を後退させる。そうすると樹脂63(
図6A参照)がU字溝57と凸状曲面61とによって押される。樹脂63は押されることによって、
図6Bにおいて矢印65、65、…で示されているように清掃用拡大部56、56に押し出される。つまり、漏れ出した樹脂はバネウケ孔54に留まらずに清掃用拡大部56、56に移動することになる。清掃用拡大部56、56は比較的広くなっているので、メンテナンス時において容易に清掃することができる。
【0026】
<比較例>
図7には、比較例に係るシャットオフノズル101に設けられているバルブハウジング102と、バネウケ103の断面が示されている。このバルブハウジング102にも連通孔105、105、…が形成され、また図には示されていないがニードル穴が開けられてニードル弁が挿入されている。しかしながら比較例に係るバルブハウジング102に形成されているバネウケ孔108が、本実施の形態に係るバルブハウジング37(
図6B参照)と相違している。すなわちバネウケ孔108には、本実施の形態に係るバルブハウジング37に形成されている清掃用拡大部56、56は形成されていない。従って、比較例に係るバルブハウジング37においては、符号110の範囲に漏れた樹脂が溜まりやすく、清掃が困難になっている。
【0027】
<変形例>
本実施の形態に係るシャットオフノズル24は色々な変形が可能である。
図8Aには変形例に係るバネウケ41Aが、そして
図8B、
図8Cには変形例に係るバルブハウジング37Aが、それぞれ示されている。他の部分については
図1、
図2A、等に示されている構成と同じであるので説明を省略する。変形例に係るバネウケ41Aは、
図8Aに示されているように底面側が変形されている。すなわち凸状曲面61Aは中央近傍において一定の長さになっているが、両側に高さの異なる側方凸状曲面67、67が形成されている。凸状曲面61Aと側方凸状曲面67、67は高さが異なっているので、これらの接続部68、68は緩やかな曲面の傾斜面に形成されている。
【0028】
変形例に係るバルブハウジング37Aは
図8B、そして
図8BにおけるZ-Z断面である
図8Cに示されているように、U字溝57Aはバネウケ孔54の範囲にのみ形成されている。そして清掃用拡大部56、56の部分にはU字溝57Aと深さが異なる凹状溝70、70が形成されている。U字溝57Aと、凹状溝70、70は深さが異なっているので、これらの接続部71、71は緩やかな曲面の傾斜面に形成されている。
【0029】
この変形例においても、清掃用拡大部56、56が形成されているので、漏れ出した樹脂を容易に清掃することができる。そしてバネウケ孔54(
図8B参照)におけるU字溝57Aと、バネウケ41A(
図8A参照)における凸状曲面61Aとによってバネウケ孔54に溜まる樹脂を清掃用拡大部56、56に押し出す効果が得られる。さらにこの変形例に係るシャットオフノズル24は、凹状溝70、70の深さが浅くなっており、接続部71、71が緩やかな傾斜面に形成されているので、これらの部分における応力集中を緩和している。従って、シャットオフノズル24の劣化を防止することができる。
【0030】
<他の変形例>
本実施の形態に係るシャットオフノズル24(
図2A参照)は、ニードル弁30の後端部はバネウケ41に接しているように説明した。しかしながら、ニードル弁30の後端部とバネウケ41とを固着するようにしてもよい。
【0031】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 制御装置
7 固定盤 8 可動盤
9 型締ハウジング 11 タイバー
13 トグル機構 15 固定側金型
16 可動側金型 19 加熱シリンダ
20 スクリュ 22 スクリュ駆動装置
23 ホッパ 24 シャットオフノズル
26 樹脂流路 27 樹脂流路
28 ノズル本体部 30 ニードル弁
32 ニードル駆動機構 34 ノズル基部
35 ノズル先端部 37 バルブハウジング
38 連通孔 40 シリンダ機構
41 バネウケ 43 基部接続部
44 バネウケ収納部 45 先端部接続部
47 雄ネジ 48 雄ネジ
49 雌ネジ 50 雌ネジ
52 ニードル穴 54 バネウケ孔
56 清掃用拡大部 57 U字溝
58 段部 60 上面
61 凸状曲面 63 樹脂
67 側方凸状曲面 68 接続部
70 凹状溝 71 接続部