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特開2024-127730エピタキシャル構成及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127730
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】エピタキシャル構成及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 25/18 20060101AFI20240912BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240912BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20240912BHJP
   C30B 29/38 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C30B25/18
C23C16/455
C23C16/34
C30B29/38 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200903
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】112108343
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515124783
【氏名又は名称】環球晶圓股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林伯融
【テーマコード(参考)】
4G077
4K030
【Fターム(参考)】
4G077AA03
4G077AB01
4G077AB08
4G077BE13
4G077BE15
4G077DB08
4G077EA02
4G077EA05
4G077ED06
4G077GA03
4G077GA05
4G077TA03
4G077TA07
4G077TB05
4G077TC06
4G077TC08
4G077TK01
4K030AA11
4K030AA13
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA38
4K030BB02
4K030BB12
4K030CA04
4K030CA12
4K030HA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA15
(57)【要約】
【課題】良好なエピタキシャルの品質を有した核形成層を提供できる、エピタキシャル構成及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】エピタキシャル構成の製造方法は、成長室に設置された炭化ケイ素基板を提供すること、前記炭化ケイ素基板の表面に核形成層を形成することであって、前記核形成層を成長させることに必要な工程ガスは第一ガスを含み、前記核形成層を成長させる工程は生長ステップを実行することを含み、前記生長ステップは第一動作を実行してから継続的に第二動作を実行することを含み、前記第一動作は前記第一ガスを前記成長室に導入することを含み、前記第二動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止すること、及び、前記核形成層を形成するように複数回だけ前記生長ステップを繰り返して実行することを含むこと、及び、前記核形成層の表面に窒化物エピタキシャル層を形成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長室に設置された炭化ケイ素基板を提供すること、
前記炭化ケイ素基板の表面に核形成層を形成することであって、前記核形成層を成長させることに必要な工程ガスは第一ガスを含み、前記核形成層を成長させる工程は生長ステップを実行することを含み、前記生長ステップは第一動作を実行してから継続的に第二動作を実行することを含み、前記第一動作は前記第一ガスを前記成長室に導入することを含み、前記第二動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止すること、及び、前記核形成層を形成するように複数回だけ前記生長ステップを繰り返して実行することを含むこと、及び、
前記核形成層の表面に窒化物エピタキシャル層を形成する、ことを含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項2】
前記生長ステップを一回だけ実行しても、核形成層は、2nm以下の厚さだけが成長可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項3】
前記第二動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止してから、30秒以上でありながら180秒以下である時間区間だけ維持することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項4】
前記核形成層のエピタキシャル生長速さは、1.6以上でありながら3.5nm/min以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項5】
前記核形成層を成長させることに必要な工程ガスは、窒素含有ガスである第二ガスを含み、
前記核形成層を成長させる際には、前記第二ガスを途切れたことなく前記成長室に導入する、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項6】
前記第一ガスは、アルミニウム含有ガスである、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項7】
前記生長ステップを実行する場合には、前記成長室を高温温度に維持するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項8】
前記高温温度は、摂氏1150度以上でありながら1250度以下である、ことを特徴とする請求項7に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項9】
前記核形成層は、アルミニウム含有窒化物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成の製造方法。
【請求項10】
炭化ケイ素基板と、
前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触する核形成層であって、前記核形成層の厚さが70nm以上である場合に前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満である、核形成層と、
前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する窒化物エピタキシャル層と、を含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成。
【請求項11】
前記核形成層は、厚さが100nm未満でありながら70nm以上である場合に、前記核形成層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項12】
原子間力顕微鏡を介して5um*5umだけの範囲を走査した場合には、前記核形成層の表面に二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square roughness、RMS)が0.2nm未満である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項13】
前記核形成層は、転位欠陥密度が108/cm2未満である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項14】
前記核形成層の厚さが70nm以上でありながら前記窒化物エピタキシャル層の厚さが2um未満でありながら1.5um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50arcsec未満である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項15】
前記核形成層の厚さが70nm以上でありながら前記窒化物エピタキシャル層の厚さが1.5um未満でありながら1um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50以上でありながら100arcsec以下である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項16】
前記核形成層の厚さが70nm以上でありながら前記窒化物エピタキシャル層の厚さが1um未満でありながら0.7um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が100以上でありながら150arcsec未満である、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項17】
前記核形成層は、アルミニウム含有窒化物を含む、ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル構成。
【請求項18】
炭化ケイ素基板と、
前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触する核形成層であって、前記核形成層の厚さが70nm未満である場合に、前記核形成層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以下でありながら150arcsec以上である、核形成層と、
前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する窒化物エピタキシャル層と、を含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成。
【請求項19】
炭化ケイ素基板と、
前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触し、厚さが70nm以上である核形成層と、
前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する窒化物エピタキシャル層であって、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが0.7um未満でありながら0.4um以上である場合に、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150以上でありながら200arcsec未満である、窒化物エピタキシャル層と、を含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成。
【請求項20】
炭化ケイ素基板と、
前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触する核形成層であって、前記核形成層の厚さが70nm以上である、核形成層と、
前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する窒化物エピタキシャル層であって、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが0.4um未満である場合に、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以上でありながら300arcsec以下である、窒化物エピタキシャル層と、を含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル構成に関し、特に、良好なエピタキシャル品質を有したエピタキシャル構成に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor、HEMT)は、二次元電子ガス(two dimensional electron gas、 2-DEG)を有したトランジスタである。その二次元電子ガスは、バンドギャップが異なる二種類の素材における異質接合面と近接している。高電子移動度トランジスタは、ドーピング領域をトランジスタのキャリアチャネルとして用いることなく、高電子移動度を持った二次元電子ガスをトランジスタのキャリアチャネルとして用いることから、崩潰電圧が高く、電子遷移度が高く、導通抵抗が低く、入力容量が低いなどの特性を有しており、パワーが高い半導体装置に幅広く適用されていく。
【0003】
エピタキシャル層と基板の結晶格子とが合致できない問題を緩和すると共に、エピタキシャル層を基板の上方に円滑に二次元成長させるように促進するためには、高電子移動度トランジスタにおけるエピタキシャル層と基板との間に核形成層を、二つの異質構成間に位置している過渡層として設置することが一般的である。しかしながら、核形成層におけるエピタキシャルの品質は、エピタキシャル層の品質の現れを直接的に左右するものである。従って、良好なエピタキシャル品質を有した核形成層を如何にして提供できるかことは、早めに解決するべき問題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このことに鑑み、本発明は、良好なエピタキシャルの品質を有した核形成層を提供できる、エピタキシャル構成及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明が提供するエピタキシャル構成の製造方法は、成長室に設置された炭化ケイ素基板を提供すること、前記炭化ケイ素基板の表面に核形成層を形成することであって、前記核形成層を成長させることに必要な工程ガスは第一ガスを含み、前記核形成層を成長させる工程は、生長ステップを実行することを含み、前記生長ステップは、第一動作を実行してから継続的に第二動作を実行することを含み、前記第一動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入することを含み、前記第二動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止すること、及び、前記核形成層を形成するように複数回だけ前記生長ステップを繰り返して実行することを含むこと、及び、前記核形成層の表面に窒化物エピタキシャル層を形成することを含む。
【0006】
そのうち、前記生長ステップを一回だけ実行しても、核形成層は、2nm以下の厚さだけが成長可能である。
【0007】
そのうち、前記第二動作は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止してから、30秒以上でありながら180秒以下である第二時間区間だけ維持することを含む。
【0008】
そのうち、前記核形成層のエピタキシャル生長速さは、1.6以上でありながら3.5nm/min以下である。
【0009】
そのうち、前記核形成層を成長させることに必要な工程ガスは、窒素含有ガスである第二ガスを含み、前記核形成層を成長させる際には、前記第二ガスを途切れたことなく前記成長室に導入する。
【0010】
そのうち、前記第一ガスは、アルミニウム含有ガスである。
【0011】
そのうち、前記生長ステップを実行する場合には、前記成長室を高温温度に維持するように制御する。
【0012】
前記高温温度は、摂氏1150度以上でありながら1250度以下である。
【0013】
そのうち、前記核形成層は、アルミニウム含有窒化物を含む。
【0014】
本発明がさらに提供するエピタキシャル構成は、炭化ケイ素基板、核形成層及び窒化物エピタキシャル層を含み、前記核形成層は、前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触し、前記核形成層の厚さが70nm以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満であり、前記窒化物エピタキシャル層は、前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する。
【0015】
そのうち、前記核形成層の厚さが100nm未満でありながら70nm以上である場合には、前記核形成層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満である。
【0016】
そのうち、原子間力顕微鏡を介して5um*5umだけの範囲を走査した場合には、前記核形成層の表面に二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square roughness、RMS)が0.2nm未満である。
【0017】
そのうち、前記核形成層は、転位欠陥密度が108/cm2未満である。
【0018】
そのうち、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが2未満でありながら1.5um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50arcsec未満である。
【0019】
そのうち、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが1.5未満でありながら1um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50以上でありながら100arcsec以下である。
【0020】
そのうち、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが1未満でありながら0.7um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が100以上でありながら150arcsec未満である。
【0021】
そのうち、前記核形成層は、アルミニウム含有窒化物を含む。
【0022】
本発明がさらに提供するエピタキシャル構成は、炭化ケイ素基板、核形成層及び窒化物エピタキシャル層を含み、前記核形成層は、前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触し、前記核形成層の厚さが70nm未満である場合には、前記核形成層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以下でありながら150arcsec以上であり、前記窒化物エピタキシャル層は、前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触する。
【0023】
本発明がさらに提供するエピタキシャル構成は、炭化ケイ素基板、核形成層及び窒化物エピタキシャル層を含み、前記核形成層は、前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触し、前記核形成層は、厚さが70nm以上であり、前記窒化物エピタキシャル層は、前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触し、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが0.7um未満でありながら0.4um以上である場合に、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150以上でありながら200arcsec以下である。
【0024】
本発明がさらに提供するエピタキシャル構成は、炭化ケイ素基板、核形成層及び窒化物エピタキシャル層を含み、前記核形成層は、前記炭化ケイ素基板の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板と直接接触し、前記核形成層は、厚さが70nm以上であり、前記窒化物エピタキシャル層は、前記核形成層の上方に位置すると共に前記核形成層と直接接触し、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが0.4um未満である場合に、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以上でありながら300arcsec以下である。
【発明の効果】
【0025】
本発明による効果は、前記エピタキシャル構成の製造方法により前記核形成層を成長させるように形成することにより、上方に位置する前記窒化物エピタキシャル層に良好な品質の現れを有させることができ、前記核形成層の厚さが70nm以上である場合に、前記窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満であるようになるということにある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明における好ましい一実施例に係るエピタキシャル構成を製造する方法を示すフローチャートである。
図2】上記の好ましい一実施例に係る核形成層を成長させる際にガスを制御することを示す模式図である。
図3】上記の好ましい一実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
図4】実施例1乃至3と比較例1乃至3に係る窒化物エピタキシャル層の厚さと半値全幅とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を一層明確に説明するためには、好ましい実施例を挙げて図面を参照しながら以下のように詳しく説明する。図1は、示すように、本発明の好ましい一実施例に係るエピタキシャル構成1を製造する方法を示すフローチャートである。前記エピタキシャル構成1を製造する方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ステップS02は、成長室に設置された炭化ケイ素基板10を提供する。前記炭化ケイ素基板10は、例に挙げると、偏角が4度になる炭化ケイ素基板10とされてもよく、好ましく、偏角が0度になる炭化ケイ素基板10とされる。次に説明するのは、本実施例において、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)によりエピタキシャル工程を進ませる。前記成長室は、有機金属気相成長設備の成長室である。
【0029】
ステップS04は、前記炭化ケイ素基板10の表面に核形成層20を形成する。そのうち、前記核形成層20を成長させることに必要な工程ガスは、第一ガスを含む。前記核形成層20を成長させる工程は、生長ステップAを実行することを含む。図2に示すように、前記生長ステップAは、第一動作A1を実行してから継続的に第二動作A2を実行することを含む。前記第一動作A1は、前記第一ガスを前記成長室に導入することを含む。前記第二動作A2は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止すること、及び、前記核形成層20を形成するように複数回だけ前記生長ステップAを繰り返して実行することを含む。
【0030】
そのうち、前記核形成層20は、アルミニウム含有窒化物を含む。本実施例において、前記核形成層20は、窒化アルミニウム(AlN)を含む。他の実施例において、前記核形成層20は、さらに、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含んでもよい。例に挙げると、前記核形成層20は、窒化アルミニウムと窒化アルミニウムガリウムとを入れ替えて形成された超格子層とされてもよい。
【0031】
そのうち、前記第一ガスは、アルミニウム含有ガスである。前記第一ガスは、本実施例においてトリメチルアルミニウム(Trimethylaluminum、TMA)を例に説明する一方、他の実施例において、トリエチルアルミニウム(Triethylaluminium、TEAL)とされてもよい。さらに説明するのは、前記核形成層20を成長させることに必要な工程ガスは、第二ガスを含む。前記第二ガスは、窒素含有ガスである。前記核形成層20を成長させる際には、前記第二ガスを途切れたことなく前記成長室に導入する。本実施例において、前記第二ガスをアンモニア(NH3)として例に説明する。つまり、前記核形成層20を形成することを実行する際に、前記核形成層20が分解されてしまうのを避けるようにアンモニア(NH3)を前記成長室に持続的に導入すると共に、予想通りの厚さを有した前記核形成層20を形成するまで前記成長室にトリメチルアルミニウムを導入する動作及びトリメチルアルミニウムを導入しないように停止する動作を繰り返して制御する。
【0032】
そのうち、前記生長ステップAを一回だけ実行しても、核形成層20は、2nm以下だけの厚さが成長可能である。前記生長ステップAを一回だけ実行するとは、前記第一動作A1と前記第二動作A2を一回だけそれぞれ実行すると意味している。前記核形成層20は、エピタキシャル生長速さが1.6以上でありながら3.5nm/min以下である。
【0033】
次に説明するのは、前記生長ステップAを実行する際に、前記成長室を高温温度に維持するように制御する。前記高温温度は、摂氏1150度以上でありながら1250度以下である。また、前記成長室の圧力は、30トル(torr)以上でありながら150トル(torr)以下に保持するように制御される。前記第二動作A2は、前記第一ガスを前記成長室に導入しないように停止すると共に時間区間Tだけ維持することを含む。前記時間区間Tは、30秒以上でありながら180秒以下である。つまり、前記第一動作A1を実行してトリメチルアルミニウムを前記成長室に導入する場合に、前記高温温度及び上記の室圧力で前記核形成層20のエピタキシャルを進行させるようになる。前記第二動作A2を実行してトリメチルアルミニウムを前記成長室に導入しないように停止する場合に、上記のほうと同じである前記高温温度及び圧力でアニーリングを進ませるようになる。従来のエピタキシャル方法として、核形成層のエピタキシャルが一旦完了したら成長室から移出させてアニーリングを一回だけ行う形態を使う方に比べると、本発明は、前記生長ステップAを複数回だけ実行すること、及び、同一の生長腔室にエピタキシャルとアニーリングとが合わせて完了する形態を実行することにより、比較的短いアニーリング時間をかけて比較的低いアニーリング温度で、高温で長時間を掛ける従来のエピタキシャル方法のほうと同じであるエピタキシャル品質が実現され、ひいては、アニーリング時間を短くすることできること、及び、アニーリング温度を低くするできる技術的効果を達成することが可能である。
【0034】
ステップS06は、前記核形成層20の表面に窒化物エピタキシャル層30を形成する。本実施例において、前記窒化物エピタキシャル層30は、窒化ガリウム(GaN)を含む。
【0035】
図3を参照すると、前記エピタキシャル構成1の製造方法を用いて製造されたエピタキシャル構成1は、前記炭化ケイ素基板10、前記核形成層20及び前記窒化物エピタキシャル層30を含む。そのうち、前記エピタキシャル構成1は、前記高電子移動度トランジスタに適用されるものであって、前記窒化物エピタキシャル層30の上方に、他の構成、例えば、バリア層40をさらに成長させたものであってもよい。
【0036】
図3に示すように、前記核形成層20は、前記炭化ケイ素基板10の上方に位置すると共に前記炭化ケイ素基板10と直接接触する。前記窒化物エピタキシャル層30は、前記核形成層20の上方に位置すると共に前記核形成層20と直接接触する。前記核形成層20の厚さが70nm以上である場合には、X線回折装置(XRD)を介して前記窒化物エピタキシャル層30を測った結果、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満になる。それによると分かるように、前記エピタキシャル構成の製造方法を用いて製造されたエピタキシャル構成1は、前記窒化物エピタキシャル層30に良好なエピタキシャル品質を有している。
【0037】
そのうち、前記核形成層20の厚さが100nm未満でありながら70nm以上である場合には、前記核形成層20における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150arcsec未満である。前記核形成層20の厚さが70nm未満である場合には、前記核形成層20における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以下でありながら150arcsec以上である。
【0038】
そのうち、前記核形成層20の厚さが70nm以上であり、合わせて、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが2未満でありながら1.5um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50arcsec未満である。前記核形成層20の厚さが70nm以上であり、合わせて、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが1.5未満でありながら1um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が50以上でありながら100arcsec未満である。そのうち、前記核形成層20の厚さが70nm以上であり、合わせて、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが1未満でありながら0.7um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が100以上でありながら150arcsec未満である。そのうち、前記核形成層20の厚さが70nm以上であり、合わせて、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが0.7未満でありながら0.4um以上である場合には、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が150以上でありながら200arcsec未満である。そのうち、前記核形成層20の厚さが70nm以上であり、合わせて、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが0.4um未満である場合には、前記窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が200以上でありながら300arcsec以下である。
【0039】
そのうち、原子間力顕微鏡を介して5um*5umの範囲だけを走査した場合に、前記核形成層20の表面に二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square roughness、RMS)が0.2nm未満である。前記核形成層20は、転位欠陥密度が108/cm2未満である。
【0040】
比較例1乃至3と実施例1乃至3について一層説明を行う。そのうち、実施例1乃至3は、上記の前記エピタキシャル構成の製造方法を用いて製造されたエピタキシャル構成1についてX線回折装置(XRD)を介して窒化物エピタキシャル層30を測った結果である。前記エピタキシャル構成1は、上記の順番通りに、前記炭化ケイ素基板10、前記核形成層20、前記窒化物エピタキシャル層30及び前記バリア層40を含む。一層説明するのは、前記生長ステップAを一回だけ実行しても、形成層20は、1nmの厚さが成長可能である。また、前記生長ステップAを実行する場合には、前記成長室を1170度の高温温度に維持しながら室内の圧力を75トル(torr)にするように制御する。実施例1乃至3に係るエピタキシャル構成1は、共に、厚さが90nmでありながら(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が100arcsecと等しい核形成層20を有している。実施例1乃至3に係るエピタキシャル構成1と異なっているところは、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さである。実施例1において、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが1umであり、実施例2において、前記窒化物エピタキシャル層30の厚さが0.7umであり、実施例3において、前記窒化物エピタキシャル層の厚さが0.4umである。
【0041】
比較例1乃至3は、従来のエピタキシャル方法を用いて製造されたエピタキシャル構成についてX線回折装置(XRD)を介して窒化物エピタキシャル層を測った結果である。従来のエピタキシャル方法工程を用いて製造されたエピタキシャル構成は、同様に、順番で炭化ケイ素基板、核形成層、窒化物エピタキシャル層及びバリア層を含む。従来のエピタキシャル方法は、本発明に係る前記エピタキシャル構成を製造する方法と相違しているところ、従来のエピタキシャル方法について、核形成層を形成する時に、核形成層のエピタキシャルが既に完了したら成長室から移出させてアニーリングを行い、次に、核形成層の上方に窒化物エピタキシャル層を形成するということである。そのうち、比較例1乃至3に係るエピタキシャル構成は、共に、厚さが90nmでありながら(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が300arcsecと等しい核形成層を有している。比較例1乃至3に係るエピタキシャル構成と異なっているところは、窒化物エピタキシャル層の厚さである。比較例1において、窒化物エピタキシャル層の厚さが2umであり、比較例2において、窒化物エピタキシャル層の厚さが1.5umであり、比較例3において、窒化物エピタキシャル層の厚さが1umである。
【0042】
図4に示すように、比較例であれ、実施例であれ、窒化物エピタキシャル層30の厚さが厚くなるほど、窒化物エピタキシャル層30における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が共に、好適なエピタキシャル品質を有している。比較例3と実施例1とを比較すると、分かるように、比較例3と実施例1は、窒化物エピタキシャル層が同一の厚さを有しているものの、実施例1に係る窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が118arcsecになり、比較例3に係る窒化物エピタキシャル層における(002)結晶面の半値全幅(FWHM)が154arcsecになる。言い換えると、比較例3のほうに比べると、実施例1に係る窒化物エピタキシャル層が、比較的良いエピタキシャル品質を有している。それ以外、従来のエピタキシャル方法を用いて製造されたエピタキシャル構成について、比較的良いエピタキシャル品質を取得するために比較的厚い窒化物エピタキシャル層を成長させることが必要になるが、本発明に係るエピタキシャル方法を用いて製造されたエピタキシャル構成について、比較的薄い窒化物エピタキシャル層を成長させると同一のエピタキシャル品質を取得することができると推測され得る。
【0043】
以上より、前記エピタキシャル構成の製造方法を介して前記核形成層20を成長させるように形成することにより、上方に位置している前記窒化物エピタキシャル層30に良好な品質の現れを有させることができる。
【0044】
以上は、本発明における好ましい実施可能実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許の範囲に基づいた如何なる均等置換が本発明の特許範囲に含まれるとは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 エピタキシャル構成
10 炭化ケイ素基板
20 核形成層
30 窒化物エピタキシャル層
40 バリア層
A 生長ステップ
A1 第一動作
A2 第二動作
T 時間区間
S02、S04、S06 ステップ
図1
図2
図3
図4