(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127749
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】超広照明視野ディフューザのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20240912BHJP
G02B 27/09 20060101ALI20240912BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20240912BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240912BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240912BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240912BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B27/09
G02B5/18
F21V5/00 320
F21V5/04 650
F21V5/04 500
F21V5/00 600
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024005805
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】18/119,358
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ペイ-ソン・カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェーソン・オダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホン-チー・リウ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・スキアットーン
(72)【発明者】
【氏名】イ-ユン・チェン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H249
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA16
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA64
(57)【要約】
【課題】超広照明視野を分布させるための光電子デバイスを提供すること。
【解決手段】例において、電子デバイスは、光を発生させるための光源と、光を受け取り分布させるためのディフューザとを含む。ディフューザは、入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において光線を方向付けるように構成される射出面とを各々が有する、複数の拡張部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広照明視野を分布させるためのディフューザであって、
複数の拡張部
を含み、前記複数の拡張部は、
入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、
前記反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において前記光線を方向付けるように構成される射出面と
を含む、
ディフューザ。
【請求項2】
請求項1に記載のディフューザであって、前記複数の拡張部の各々は、
前記1つまたは複数の透過角度のうちの第1の透過角度で前記光線を方向付けるための第1の形状を有する第1の拡張部と、
前記1つまたは複数の透過角度のうちの第2の透過角度で前記光線を方向付けるための第2の形状を有する第2の拡張部と
を含む、ディフューザ。
【請求項3】
請求項2に記載のディフューザであって、前記第1の拡張部は、中心線に関して、前記第2の拡張部と反対に配置構成される、ディフューザ。
【請求項4】
請求項2に記載のディフューザであって、前記第1および第2の拡張部は、中心線に関して、前記複数の拡張部のうちの第3および第4の拡張部の鏡像として配置構成される、ディフューザ。
【請求項5】
請求項2に記載のディフューザであって、前記第1の形状は、前記第2の形状の1つまたは複数の寸法と実質的に同様の1つまたは複数の寸法を有する、ディフューザ。
【請求項6】
請求項2に記載のディフューザであって、前記第1の形状は、前記第2の形状の1つまたは複数の寸法とは異なる1つまたは複数の寸法を有する、ディフューザ。
【請求項7】
請求項2に記載のディフューザであって、前記第1の形状または前記第2の形状は、全体的に三角形である、ディフューザ。
【請求項8】
請求項1に記載のディフューザであって、前記複数の拡張部のうちの第1の拡張部は、第2の拡張部と隣り合う、ディフューザ。
【請求項9】
請求項1に記載のディフューザであって、前記複数の拡張部を支持し、前記入射光線を受けるための基部をさらに含むディフューザ。
【請求項10】
請求項9に記載のディフューザであって、前記複数の拡張部のうちの第1の拡張部は、前記基部の一部分により第2の拡張部から分離される、ディフューザ。
【請求項11】
請求項1に記載のディフューザであって、前記反射面と前記射出面とのうちの少なくとも1つは、実質的に線形である、ディフューザ。
【請求項12】
請求項1に記載のディフューザであって、前記反射面と前記射出面とのうちの少なくとも1つは、あらかじめ決定された湾曲部を有する、ディフューザ。
【請求項13】
請求項1に記載のディフューザであって、前記ディフューザは、1.4よりも大である屈折率を有する材料を含む、ディフューザ。
【請求項14】
請求項13に記載のディフューザであって、前記材料は、高分子材料である、ディフューザ。
【請求項15】
超広照明視野を分布させるための光電子デバイスであって、
光を発生させるための光源と、
前記光を受け分布させるためのディフューザであって、前記ディフューザは複数の拡張部を含み、前記複数の拡張部は、
入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、
前記反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において前記光線を方向付けるように構成される射出面と
を有する、ディフューザと
を含む光電子デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の光電子デバイスであって、前記光をさらに分布させるための分布光学系をさらに含む光電子デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の光電子デバイスであって、前記分布光学系は、回折光学素子(DOE)と、コリメータと、フィルタ拡散面とのうちの1つまたは複数を含む、光電子デバイス。
【請求項18】
請求項16に記載の光電子デバイスであって、前記光電子デバイスは、スタンドアローン照明器と、カメラシステムと、光ベースの3次元(3D)検知システムとのうちの1つまたは複数である、光電子デバイス。
【請求項19】
請求項15に記載の光電子デバイスであって、前記光源は、端面発光レーザ(EEL)アレイと、リッジ型単一量子井戸(SQW)または多重量子井戸(MQW)半導体レーザと、埋め込みヘテロ構造(BH)SQWまたはMQWレーザと、分布帰還(DFB)または分布ブラッグ反射器(DBR)レーザと、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)と、フォトニック結晶面発光レーザと、InP系レーザと、GaAs系レーザと、GaSb系レーザと、GaN系レーザとのうちの1つまたは複数である、光電子デバイス。
【請求項20】
請求項15に記載の光電子デバイスであって、前記光は、850ナノメートル、940ナノメートル、または、1380ナノメートルの波長を有する、光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]多くの光電子デバイスは、関心の物体を照明するための光学系を用いる。従来の光学ディフューザを、標的の照明視野(FOI)を照明するために使用するとき、入射角度(AOI:angle of incidence)がディフューザ基板材料からの臨界角度、全内部反射が生起する角度に接近するにつれて、フレネル損失が極めて高くなる。このことは、従来のディフューザの達成可能なFOIを制限し、以て、これらのディフューザの有効性および有用性を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002]本開示の主題は、上記で論述された問題の負の側面を回避することに方向付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本開示によれば、超広照明視野を分布させるためのディフューザが提供される。特に、ディフューザは、入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において光線を方向付けるように構成される射出面とを各々が伴う、複数の拡張部を含む。
【0004】
[0004]本開示のこれらおよび他の特徴は、本明細書において以降で論述されるような、後に続く説明、および、添付される特許請求の範囲から、より十分に明らかになることになる。
【0005】
[0005]本開示の上記および他の特徴をさらに明確にするために、主題のより詳しい説明が、添付される図面において図解される、その主題の具体的な例を参照することにより行われることになる。これらの図面は、主題のいくつかの例のみを描写し、それゆえに、その主題の範囲について制限的と考えられるべきではないということが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006]超広照明視野をもたらすためのディフューザを用いる例光電子デバイスの一部分を図解する図である。
【
図2】[0007]
図1のディフューザの詳細な視図を図解する図である。
【
図3A】[0008]
図3Aは、スネルの法則の例図解を提供する図である。
【
図3B】[0009]
図3Bは、スネルの法則の例方程式記述を提供する図である。
【
図4】[0010]平面状面のみを用いる例ディフューザの粗いシミュレーションを提供する図である。
【
図5A】[0011]
図5Aは、変動する寸法を有する例ディフューザを図解する図である。
【
図5B】
図5Bは、変動する寸法を有する例ディフューザを図解する図である。
【
図5C】
図5Cは、変動する寸法を有する例ディフューザを図解する図である。
【
図6A】[0012]
図6Aは、別の例ディフューザを図解する図である。
【
図7-1】[0013]
図7Aは、2つの他の例ディフューザを図解する図である。
【
図7-2】
図7Bは、2つの他の例ディフューザを図解する図である。
図7Cは、2つの他の例ディフューザを図解する図である。
【
図8A】[0014]
図8Aは、異なる開示されるディフューザからの異なる強度分布の例を図解する図である。
【
図8B】
図8Bは、異なる開示されるディフューザからの異なる強度分布の例を図解する図である。
【
図8C】
図8Cは、異なる開示されるディフューザからの異なる強度分布の例を図解する図である。
【
図9】[0015]光学ディフューザについての例設計考慮事項を図解する図である。
【
図10】[0016]代表的な拡張部の1つまたは複数の角度を決定するための例方程式を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0017]超広照明視野を分布させるための電子デバイスが開示される。例において、光電子デバイスは、光を発生させるための光源と、光を受け取り分布させるためのディフューザとを含む。ディフューザは、入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において光線を方向付けるように構成される射出面とを各々が有する、複数の拡張部を含む。
【0008】
[0018]従来の光学ディフューザが、標的の照明視野(FOI)を照明するために使用されるとき、入射角度(AOI)がディフューザ基板材料の臨界角度(例えば、全内部反射(TIR)が生起する角度)に近くなるにつれて、フレネル損失が極めて高くなる。これらの損失は、そのような従来のディフューザの達成可能なFOIを、(例えば、近似的に1.5の屈折率を伴う)付近の標準的な屈折率の材料について、近似的に130~140度の最大値に制限する。
【0009】
[0019]ある程度の適する超広FOIは、魚眼型レンズ光学系などの2次的光学系を用いる、従来のディフューザによって達成され得る。まずまずのFOIが、そのような手法から結果的に生じるが、損失は、面の大きい数に起因して悪化させられる。さらに、そのような光学システムは、典型的には、かなり嵩高く、潜在的に複雑である。最高で近似的に160度のFOIが、より高い屈折率の材料を用いることにより達成され得るが、そのような材料は、典型的には、極めて高価である成形ガラスである。その上、そのような材料による小さい特徴部、複数個の(例えば、2つの)次元における出力プロファイルを形状設定するための特徴部を成形することは困難である。そうして高屈折率材料は、典型的には、単一の拡散次元のためにのみ用いられる。
【0010】
[0020]開示されるディフューザ(例えば、全内部反射(TIR)を使用する超広照明視野(UWFOI)ディフューザ)は、平面状出力面と関連付けられる付きもののフレネル損失を避けるために、1つまたは複数の射出面に光の一部分を方向付けるために、ディフューザ材料のTIRを使用する。開示されるディフューザは、可能なFOI角度を増大するために、そのような射出面に1つまたは複数の角度において光を方向付けるために、単一または複数個のTIR変化面を使用し得る。これらの射出面は、光学出力プロファイルをより良好に形状設定するために、非平面状として設計され得る。
【0011】
[0021]いくつかの例において、ディフューザ102が、超広照明視野(UWFOI)を生み出すために、デバイスおよび/もしくは光学システムによって用いられ、ならびに/または、デバイスおよび/もしくは光学システムと合体させられ得る。例えば、ディフューザ102は、(例えば、低い発散性を伴う光源からの)光を、相対的に高い照明視野(FOI)値(例えば、140度よりも大であり、180度未満である)、および、所望される標的放射強度プロファイルを伴う投光照明器(flood illuminator)へと変換するように構成される。ディフューザ102は、1つまたは複数の標的射出面にディフューザ材料を通して光を方向付けるために、材料のTIR特性の利点を活かす。それゆえに、ディフューザ102は、従来のディフューザのFOIと関連付けられるTIR制約および損失制限を減ずる。その上、ディフューザ102の効率は、TIR面の相対的に高い反射率、および/または、標的射出面に関してのより小さいAOIを伴う光を受け取るようにディフューザ102を用いる光学システムを設計することに基づいて、調整および/または改善され得る。
【0012】
[0022]例光学システムの1つまたは複数の構成要素が、超広照明視野を生むことがある。いくつかの例において、拡散構成要素(例えば、ディフューザ102)の射出面は、1つまたは複数の傾斜したサブ面を含み、それらのサブ面は、追加的または代替的に、最小臨界角度よりも大である傾き角度を有する1つまたは複数の射出面を含むことがある。
【0013】
[0023]UWFOIは、従来のディフューザ、および、追加的な光学系(例えば、2次的魚眼型レンズ光学系)によって達成され得る。しかしながら、FOIは同様であるが、面の相対的に大きい数に起因する損失は、信号損失を引き起こし、さらには、より嵩高いパッケージを結果的に生じさせる。制限された空間、および/または、小さい覆いを伴う用途(例えば、パーソナル電子デバイス)にとって、嵩高いパッケージング、および/または、拡張された物理的光学システムは、従来のディフューザをその用途に適さなくすることがある。
【0014】
[0024]さらに、最高で近似的に160度のFOIが、より大である屈折率を伴う材料において達成され得るが、これらの材料は、典型的には、成形ガラス材料であり、相対的に重く高価である。その上、2つの次元における所望される出力プロファイルを形状設定するための小さい特徴部を成形することは困難であり、そのため、これらの材料は、典型的には、拡散の1つのみの次元のために設計される。
【0015】
[0025]いくつかの例において、追加的な分布光学系108が、ディフューザ102によって用いられ得る。実例として、分布光学系108は、所望される効果(例えば、分布角度、光強度、投影光構造、その他)を生み出すための非制限的な例光学素子の列挙として、1つもしくは複数の回折光学素子(DOE)、コリメータ、フィルタ、別のディフューザ、プリズム、コーティングされた鏡、コーティングされた光学ブロック、レンズ、および/または反射器を含むことがある。
【0016】
[0026]いくつかの例において、デバイス100、ディフューザ102、および/または光源光学構成要素のうちの1つまたは複数は、低照度カメラもしくはカメラシステムのための赤外線照明器、スタンドアローン照明器、および/または、光ベースの3次元(3D)検知システムなど、拡散照明を要するシステム内に組み入れられることがある。
【0017】
[0027]
図1は、全内部反射(TIR)を使用する広角度ディフューザ102(例えば、超広照明視野(UWFOI))を用いる例デバイス100を図解する。いくつかの例において、デバイス100は、光線106を発生させるための光源104を含む、レーザおよび/または他の照明である。
【0018】
[0028]いくつかの例において、光源104は、リッジ型単一量子井戸(SQW)もしくは多重量子井戸(MQW)半導体レーザ、埋め込みヘテロ構造(BH)SQWもしくはMQWレーザ、分布帰還(DFB)もしくは分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、フォトニック結晶面発光レーザ、InP系レーザ、GaAs系レーザ、GaSb系レーザ、GaN系レーザ、または、他の適するレーザのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0019】
[0029]さらに、1つまたは複数のレーザ型および/または波長がいくつもの例において論考されるが、本明細書において開示される概念の適用は、個別のレーザまたは波長に制限されない。いくつかの例において、非制限的な例の列挙として、850ナノメートル、940ナノメートル、980ナノメートル、1350ナノメートル、1380ナノメートル、1480ナノメートル、および/または1550ナノメートルを含む、波長の範囲にわたって動作するレーザが開示される。
【0020】
[0030]示されるように、光線106は、ディフューザ102に方向付けられ、ディフューザの材料を通って進行し、複数個の方向によって射出光線106Aを分布させるように、ディフューザ102の1つまたは複数の面と界面接続する。
【0021】
[0031]
図2の例ディフューザ102の拡大視図において示されるように。図解されるように、ディフューザ102は、中心線116に関して対称的であり、基部112と、線117の上方に基部112から全体的に拡張する1つまたは複数の拡張部114とを含む。各拡張部114は、全体的に、傾斜した側部または反射面110、実質的に垂直な側部または射出面111を伴う、三角形の形状におけるものであり、それらの側部の両方は、(例えば、隣り合う拡張部114の間の)点113において終止することがある。各拡張部114は、
図2の例において示されるように、同様または同一の寸法を有し得るが、拡張部は、異なる寸法を有し得る。実例として、拡張部114A、114B、および114Cは、基部115A、115B、および115Cそれぞれ、ならびに/または、対応する傾斜した側部、垂直な側部、および角度により規定される。
【0022】
[0032]動作において、入射光線106は、90度であることがある角度βにおいて基部112に進入し、角度γにおいて反射面110Cから偏向させられる。結果的に生じる射出光線106Aは、そうして、少なくとも材料の屈折率、および、傾斜した側部110Cの角度に基づいて、元の光学経路から実質的に再度方向付けられる。例拡張部114Aおよび/または114Bは、拡張部114Cとは異なって、入来光線を再度方向付けし得るものであり、以て、射出光線106Aとの相互作用により引き起こされる、照明の広範な分布を可能とする。
【0023】
[0033]例ディフューザ102は実質的に矩形の基部を有するように図解されるが、いくつかの例において、基部は、任意の適する幾何学的形態(例えば、三角形、円形、円柱形、その他)を有し得る。いくつかの例において、基部112、および/または、拡張部114のうちの1つもしくは複数は、(例えば、単一の屈折率を伴う)共通の材料から形成される。いくつかの例において、基部112、または、基部の一部分は、(例えば、第1の屈折率を伴う)第1の材料によって形成され、拡張部(例えば、114A、114B、114C)のうちの1つまたは複数は、(例えば、第2の屈折率を伴う)第2の材料によって形成される。実例として、基部および/または拡張部は、ディフューザ102の開示される寸法から結果的に生じる効果に加えて、入来光線を再度方向付けるための屈折率分布(GRIN:gradient index)光学系の特質を呈することがある。
【0024】
[0034]
図3Aは、第1の光線128および第2の光線130が、第1の屈折率を伴う第1の媒体122(例えば、空気、ガス、透光性材料、その他)を通して、および、界面126において第2の媒体124(例えば、別の空気、ガス、透光性材料、その他)内へと透過させられる際の、スネルの法則120の図解を提供する。例において、第1の媒体122は、環境空気であり、第2の媒体124は、近似的に1.488の屈折率を有するアクリル材料であり、第1および第2の光線128、130は、近似的に940nmの波長を有する。材料124についての臨界角度θCRは、近似的に42.3度である。
【0025】
[0035]
図3Bにおいて提供されるように、n1が第1の領域内の第1の材料122の屈折率であり、n2が第2の領域内の第2の材料124の屈折率である場合に、n1>n2であるとき、第1の領域からの入射角度θ1は、透過角度θ2よりも大である。それゆえに、入射角度θ1を伴うビームは、入射角度θ2を伴うビームよりも速く90度に達することになる。角度θ1が90度に達するときの角度θ2の値が、臨界角度θCRと呼称される。入射角度θ1が臨界角度θCRよりも大であるならば、光線は、面/界面126において完全に反射されることになる。
【0026】
[0036]透過角度を越えて、フレネル損失は、AOIにもまた依存的である。例えば、1.488の屈折率について、相対透過率は、非偏光の光について、0度の透過角度に対して、65度の透過角度において近似的に90%に降下する。この降下は、AOIが増大するにつれて急速に増大する。それゆえに、臨界角度に接近する、これらの増大されるフレネル損失が、最大FOI値を制限する。反射防止コーティングを追加することは、これらのより高い角度における透過率をわずかに増大し得るが、近似的に1.5の屈折率を伴う従来のディフューザからの最大到達可能FOIは、近似的に140度である。
【0027】
[0037]開示されるディフューザは、従来のディフューザ設計によって可能であるよりも高いFOIに至るために、TIRの利点を活かす。開示されるディフューザは、1つまたは複数の方向において光線を方向付けるためにTIRを使用し、以て、様々な場所においてディフューザから射出するように光エネルギーを再分布させ、そのことが、相対的に大きいFOIを結果的に生じさせるように設計される射出面における物理的構造を用いる。
【0028】
[0038]平面状面のみを用いる例ディフューザの粗いシミュレーションが、
図4において示される。例シミュレーションにおいて、FOIの最大角度は、確かに80度よりも大きくあり得る。示されるように、開示される概念のいくつかの原則が指摘され、シミュレーションは、コリメートされた光線によって提供される。様々な面(例えば、反射面110、射出面111)は、UWFOIディフューザの光学出力プロファイルをさらに広げ制御するために、形状設定および/または寸法設定され得る。
図4は、そうして、FOIにおける平滑な分布を創出するための設計選択肢を図解する。
【0029】
[0039]FOIの平滑な分布は、例
図5A、
図5B、および
図5Cにおいて示されるように、発散源について設計すること、および/または、TIR面もしくは射出面の1つもしくは両方を形状設定することにより得られ得る。
図5Aにおいて示されるように、発散源は、FOIにおける光のより平滑な分布を得るように、外出光を広げ得る。加えて、(
図5Bにおいて示されるような)TIR面の湾曲部、または、(
図5Cにおいて示されるような)射出面の湾曲部が、FOIの平滑な分布を得るように設計され得る。
【0030】
[0040]示されるように、
図5Aは、例ディフューザ202Aを図解する。一部分204Aにおいて提供されるように、実質的に垂直な側部210Aが、(例えば、
図2において示されるディフューザ102と同様に)実質的に直線的な傾斜した側部210に合する。
図5Bは、別の例ディフューザ202Bを図解する。一部分204Bにおいて提供されるように、実質的に垂直な側部212Aが、湾曲した傾斜した側部212に合する。
図5Cは、別の例ディフューザ202Cを図解する。一部分204Cにおいて提供されるように、垂直な側部214Aが、(例えば、拡張部が基部から拡張するように)湾曲した傾斜したものを有する。側部214Aは、実質的に直線的な角度付けされた側部214に合する。
【0031】
[0041]
図5Aから
図5Cにおいて示される各ディフューザ設計において、光源の入力強度分布は、与えられる当然の考慮事項であり、なぜならば、TIRおよび形状設定面積比率は、入来光パワーの量を斟酌するからである。そのような設計考慮事項の結果として、より均一の出力が創出される。
【0032】
[0042]いくつかの例において、ディフューザ102内へのより拡散または発散する入力が、ディフューザ102の入力面105において、拡散光学面、レンズ、または構造103を統合することにより達成され得る。実例として、実質的にコリメートされた光出力を発生させる光源(例えば、光源104)からの光ビーム106が、
図6Aにおいて示されるように、拡散光学構造103を通して送られ得る。結果として、実質的に平行な、均一の、および/またはコリメートされた光の、方向、角度、および/または分布が、ディフューザ102への導入よりも前に修正され得る。
【0033】
[0043]実例として、拡散光学構造103は、所望される効果を生み出すための非制限的な例光学素子の列挙として、1つもしくは複数の回折光学素子(DOE)、フィルタ、別のディフューザ、プリズム、コーティングされた光学ブロック、レンズ、および/または反射器を含むことがある。
【0034】
[0044]いくつかの追加的または代替的な例において、発散光源(例えば、光源104A)からの発散ビーム106Bが、
図6Bにおいて示されるように、ディフューザ102の面上(例えば、入力面105において)などで、光学経路に沿って1つまたは複数の光学デバイス103A(例えば、単レンズ面コリメータ)を組み込むことにより、それらの発散ビーム106Bの発散性を低減され得る。実例として、光学デバイス103Aは、所望される効果を生み出すための非制限的な例光学素子の列挙として、コリメータ、フィルタ、別のディフューザ、プリズム、コーティングされた鏡、コーティングされた光学ブロック、レンズ、および/または反射器のうちの1つまたは複数を含むことがある。
【0035】
[0045]いくつかの例において、拡張部は、
図7Aにおいて示されるように、光学クリッピングを回避するために、基部に関して異なる高さを伴って設計される。ディフューザの所望されるサイズ、および/または製造制限に依存して、TIR面は、
図7Aにおいて示されるような多くの複数個の拡張部面、ならびに/または、
図7Bおよび
図7Cにおいて示されるような(例えば、1つまたは複数の拡張部を接続する湾曲部を伴う)単一の連続的な面として設計され得る。
【0036】
[0046]例えば、製造問題点、制御されない散乱、および/または透過不連続性問題点に対処するために、単一のTIR UWFOIディフューザ面が、いくつかの利点を供する。
図7Bにおいて示されるように、第1の例TIR光学面220は、所望される湾曲部を伴って設計され得るものであり、および/または、第2の例TIR光学面222は、平面として設計され得る。両方のTIR面は、光線を反射し、それらの光線は、次いで分布させられる。いくつかの例において、別の光学デバイスまたはレンズ構造が、透過の角度を制御するために、(例えば、光線がディフューザから射出するように)光学経路に追加され得る。
図7Bの例において示されるように、ディフューザの外部面224は、実質的に平坦であり、および/または、
図7Cにおいて示されるような、光強度を分布させるための湾曲した外形226とともに設計され得る。複数個の設計選択肢を勘案して、開示されるディフューザは、多種多様の光分布パターンおよび/または強度を結果的に生じさせるように、ディフューザおよび/または相補的光学系の外部面形状を含む、複数個の拡張部幾何学的形態を伴って設計され得る。
【0037】
[0047]いくつかの例において、1つまたは複数のディフューザが、
図8A~
図8Cにおいて図解されるように、種々の光分布プロファイルをもたらし得る。示されるように、
図8Aは、よりなだらかな中心分布を伴う、実質的にフラットトップのディフューザを図解する。
図8Bは、中心においてくぼみを伴う、中程度のバットウィングのディフューザを図解し、
図8Cは、両端部において著しいピークを伴う、実質的に「バットウィング」型のディフューザを図解する。図において図解される例において、「バットウィング」型は、外側強度点(例えば、ディフューザの端部において射出する光ビーム)が、0度における強度値よりも大であり、以て、コウモリの翼の外側先端に似ていることを指す。図解される強度分布は、異なる角度の原因となる面積の比率を変えることにより得られ得る。
【0038】
[0048]いくつかの例は、単一の、または制限された数の、拡張部および/または拡張部面型によって提供されるが、任意の数の拡張部が、本明細書において開示される概念に忠実でありながら、任意の組み合わせにおいて用いられることがある。実例として、単一のディフューザが、単一のディフューザとして、単一もしくは複数個の屈折率を伴う異なる要素を各々が伴う複数個のセグメントをなして、または、それらの任意の組み合わせで形成されて、
図2、
図6、
図7A、および/または
図7Bの各々の要素を組み込むことがある。その上、複数個のディフューザが、層状にされることがあり、そのことによって、第1のディフューザから分布させられる光線が、相対的に複雑な分布パターンを生むために、第2のディフューザ内へと進入することがある。
【0039】
[0049]
図9は、光線拡散/分布を高めるために、開示される概念を用いる、光学ディフューザ(例えば、拡張部)および/またはデバイスについての例設計考慮事項を図解する。
【0040】
[0050]実例として、光線106が、拡張部314内へと進行し、面310に反射し、次いで、面311を通って透過する。そうして、光線106は、第1の屈折率を伴う第1の媒体324を通って進行し、次いで、媒体322に進入するために拡張部314から射出する。
図9において表される角度θ、α、および/またはΦのうちの1つまたは複数を決定するために、代表的な方程式が、
図10において提供される。第1の材料324の知られている屈折率nを勘案したこれらの角度の決定が、本明細書において開示される概念によってディフューザを設計および/または形成するために使用され得る。
【0041】
[0051]開示される例において、超広照明視野を分布させるためのディフューザは、入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において光線を方向付けるように構成される射出面とを各々が有する、複数の拡張部を含む。
【0042】
[0052]いくつかの例において、複数の拡張部の各々は、1つまたは複数の透過角度のうちの第1の透過角度を伴う光線を方向付けるための第1の形状を有する第1の拡張部と、1つまたは複数の透過角度のうちの第2の透過角度を伴う光線を方向付けるための第2の形状を有する第2の拡張部とを含む。
【0043】
[0053]例において、第1の拡張部は、中心線に関して、第2の拡張部と反対位置関係で配置構成される。例において、第1および第2の拡張部は、中心線に関して、複数の拡張部のうちの第3および第4の拡張部の鏡像として配置構成される。例において、第1の形状は、第2の形状の1つまたは複数の寸法と実質的に同様の1つまたは複数の寸法を有する。例において、第1の形状は、第2の形状の1つまたは複数の寸法とは異なる1つまたは複数の寸法を有する。
【0044】
[0054]例において、第1の形状または第2の形状は、全体的に三角形である。いくつかの例において、複数の拡張部のうちの第1の拡張部は、第2の拡張部と隣り合う。いくつかの例における、複数の拡張部を支持し、入射光線を受け取るための基部。例において、複数の拡張部のうちの第1の拡張部は、基部の一部分により第2の拡張部から分離される。
【0045】
[0055]いくつかの例において、反射面または射出面のうちの少なくとも1つは、実質的に線形である。
[0056]いくつかの例において、反射面または射出面のうちの少なくとも1つは、あらかじめ決定された湾曲部を有する。
【0046】
[0057]いくつかの例において、ディフューザは、1.4よりも大である屈折率を伴う材料を含む。例において、材料は、高分子材料である。
[0058]いくつかの開示される例において、超広照明視野を分布させるための光電子デバイスは、光を発生させるための光源と、光を受け取り分布させるためのディフューザとを含む。ディフューザは、入射光線の全内部反射を引き起こすように、ある角度において配置構成される反射面と、反射面に関してある角度において配置構成され、入射角度とは異なる1つまたは複数の透過角度において光線を方向付けるように構成される射出面とを有する、複数の拡張部を含む。
【0047】
[0059]いくつかの例において、TIR拡張部よりも前に光をさらに形成し分布させるための、本明細書において説明されるディフューザ光学系の入力側で配置構成される分布光学系は、回折光学素子(DOE)、コリメータ、フィルタ、および/または拡散面のうちの1つまたは複数から成立させられる。
【0048】
[0060]いくつかの例において、光源は、端面発光レーザ(EEL)アレイ、リッジ型単一量子井戸(SQW)もしくは多重量子井戸(MQW)半導体レーザ、埋め込みヘテロ構造(BH)SQWもしくはMQWレーザ、分布帰還(DFB)もしくは分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、フォトニック結晶面発光レーザ、InP系レーザ、GaAs系レーザ、GaSb系レーザ、またはGaN系レーザのうちの1つまたは複数である。
【0049】
[0061]例において、光は、850ナノメートル、940ナノメートル、または1380ナノメートルの波長を有する。
[0062]例において、ディフューザ光学系は、光源とともに、スタンドアローン照明器、カメラシステム、または、光ベースの3次元(3D)検知システムを含む、光電子デバイスの一部であることになる。
【0050】
[0063]図面において、同様の特徴は、全体を通して同じ参照符号により指し示される。
[0064]好まれる、および他の実施形態の、前述の説明は、本出願人らにより着想された発明の概念の範囲または適用可能性を制限または制約することを意図されない。開示された主題の任意の実施形態または態様によって上記で説明された特徴は、開示された主題の任意の他の実施形態または態様において、単独で、または、任意の他の説明された特徴との組み合わせにおいてのいずれかで利用され得るということが、本開示の利益とともに認識されることになる。
【符号の説明】
【0051】
100 デバイス
102 ディフューザ、広角度ディフューザ
103 拡散光学面、レンズ、または構造、拡散光学構造
103A 光学デバイス
104 光源
104A 光源
105 入力面
106 光線、入射光線、光ビーム
106A 射出光線
106B 発散ビーム
108 分布光学系
110 傾斜した側部、反射面
110C 傾斜した側部、反射面
111 実質的に垂直な側部、射出面
112 基部
113 点
114 拡張部
114A 拡張部
114B 拡張部
114C 拡張部
115A 基部
115B 基部
115C 基部
116 中心線
117 線
120 スネルの法則
122 第1の媒体、第1の材料
124 第2の媒体、材料、第2の材料
126 界面、面/界面
128 第1の光線
130 第2の光線
202A 例ディフューザ
202B 別の例ディフューザ
202C 別の例ディフューザ
204A 一部分
204B 一部分
204C 一部分
210 実質的に直線的な傾斜した側部
210A 実質的に垂直な側部
212 湾曲した傾斜した側部
212A 実質的に垂直な側部
214 実質的に直線的な角度付けされた側部
214A 垂直な側部、側部
220 第1の例TIR光学面
222 第2の例TIR光学面
224 外部面
226 湾曲した外形
310 面
311 面
314 拡張部
322 媒体
324 第1の媒体、第1の材料
n 屈折率
n1 屈折率
n2 屈折率
α 角度
β 角度
γ 角度
θ 角度
θ1 入射角度、角度
θ2 透過角度、入射角度、角度
θCR 臨界角度
Φ 角度
【外国語明細書】