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特開2024-127750電力マネジメントシステム、電力マネジメント方法、及び電力マネジメントプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127750
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電力マネジメントシステム、電力マネジメント方法、及び電力マネジメントプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240912BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240912BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240912BHJP
   B60K 35/28 20240101ALI20240912BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240912BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60W50/14
B60W60/00
B60K35/28
B60L1/00 L
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006120
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2023035644
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝一
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 明日
(72)【発明者】
【氏名】間根山 しおり
【テーマコード(参考)】
3D241
3D344
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA29
3D241BA47
3D241CA06
3D241CA08
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA68Z
3D241DA69Z
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD01
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC08
5H125BC15
5H125CA18
5H125CD02
5H125CD08
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】目的地に到達するまでの電力消費量について適切にマネジメントできるようにする電力マネジメントシステム、電力マネジメント方法、及び電力マネジメントプログラムを提供する。
【解決手段】作成部は、走行用電力量及び消費関連電力量に基づいて目的地まで走行するための電力使用計画を作成する(S15)。判断部は、電力消費パラメータに基づいて現在の電力使用計画の使用が適切か否かを判断する(S17)。作成部は、判断部により適切でないと判断された場合に現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する(S19)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に到達するまでに車両の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車載機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出する算出部(12a)と、
前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成する作成部(12b)と、
前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを判断する判断部(12c)と、を備え、
前記作成部は、前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する電力マネジメントシステム。
【請求項2】
前記電力消費パラメータは、運転手による車両の運転操作情報、車両乗員による前記車載機器の操作情報、車両乗員の状態、車両乗員の嗜好のうち少なくとも一つ以上の乗員情報に基づき電力を消費する要素を含む請求項1記載の電力マネジメントシステム。
【請求項3】
電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)、を備え、
前記報知制御部は、前記現在の電力使用計画を前記車両乗員に報知すると共に、前記現在の電力使用計画の履行を促すように報知制御する請求項1又は2に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項4】
電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)、を備え、
前記現在の電力使用計画を前記目的地に到達するまで履行したと仮定したときの合計の消費電力量を前記算出部により算出した結果マージン電力量を見込んだ所定の残量以上に余裕があると判断したときには、
前記作成部は、前記車両乗員の好む嗜好に基づいて前記消費電力量を増量するように前記更新用電力使用計画を作成し、
前記報知制御部は、前記車両乗員の嗜好に関わる前記更新用電力使用計画を提案するように報知制御する請求項1又は2に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項5】
電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)、を備え、
前記報知制御部は、手動運転から自動運転に切替えられたことを条件として、前記現在の電力使用計画と現在の電力使用状況を報知制御し、車両乗員に前記現在の電力使用計画の変更有無を問いかけるように報知制御する請求項1又は2に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項6】
前記報知制御部によりコンテンツを表示制御するための表示装置(17)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が継続不可能であり適切でないと判断された場合、
前記報知制御部は、前記表示装置に前記コンテンツが表示されていないならば、前記表示装置に前記現在の電力使用計画が継続不可能である継続不能情報と、前記継続不可能である理由を示す理由情報とを表示し、
前記表示装置に既に前記コンテンツが表示されているならば、既に表示されている既表示情報に重ねて、前記継続不能情報及び前記理由情報を前記表示装置に表示する請求項3に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項7】
前記報知制御部によりコンテンツを表示制御するための表示装置(17)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が継続不可能であり適切でないと判断された場合、
前記報知制御部は、前記表示装置に既に表示されている既表示情報の表示配置を変更し、前記表示装置に既に表示されていた前記既表示情報と、前記現在の電力使用計画が継続不可能である継続不能情報と、継続不可能である理由を示す理由情報と、を前記表示装置に表示する請求項3に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項8】
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部が車両内の環境を調節する機能の使用を抑制するように前記更新用電力使用計画を作成する請求項1又は2に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項9】
車両乗員が何れの座席に存在するか検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部は、前記車両の内部の環境を調節し前記車両乗員がいない座席に対する空調の出力を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する請求項8に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項10】
車両乗員の身体の位置を検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部は、空調の出力を調節し前記車両乗員の身体の一部に対し限定的に風を当てて電力の使用を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する請求項8に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項11】
車両乗員が何れの座席に着座しているか検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記作成部は、前記現在の電力使用計画が適切でないと判断したときに、前記車両乗員が着座するシートの温度調節機能の出力を制御し前記車両乗員の身体の一部の温感調節を行い電力の使用を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する請求項8に記載の電力マネジメントシステム。
【請求項12】
前記車両の乗員による判断を待機することなく前記更新用電力使用計画を実行する実行部(12e)を備える請求項1記載の電力マネジメントシステム。
【請求項13】
前記車両の乗員に前記更新用電力使用計画を複数の所定回提案したにも拘わらず承諾の返答がない場合、又は、前記更新用電力使用計画として前記乗員に不適切な提案を複数の所定回された場合、
前記車両の乗員の判断に拘わらず前記更新用電力使用計画を実行する実行部(12e)を備える請求項1記載の電力マネジメントシステム。
【請求項14】
前記判断部は、安心又は安全性の観点で定められた所定の基準を超えてしまう場合には現在の電力使用計画の使用が適切でないと判断し、
前記作成部は、使用が適切でないと判断された場合に前記更新用電力使用計画を作成する請求項1記載の電力マネジメントシステム。
【請求項15】
算出部(12a)が、目的地に到達するまでに車両の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車両用機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出し、
作成部(12b)が、前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成し、
判断部(12c)は、前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを判断し、
前記作成部は、前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する電力マネジメント方法。
【請求項16】
電力マネジメントシステム(1)に、
目的地に到達するまでに車両の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車両用機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出部(12a)により算出する手順と、
前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成部(12b)により作成する手順と、
前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを判断部(12c)により判断する手順と、
前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を前記作成部により作成する手順と、を実行させる電力マネジメントプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力マネジメントシステム、電力マネジメント方法、及び電力マネジメントプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HV、PHV、EVなどの車両が普及しているが、駆動用バッテリの蓄電量には限界がある。このため、車両が現在地から目的地に到達するまでの電力を確保できない虞がある。この種の課題を解決するため、特許文献1記載の技術が提案されている。特許文献1記載の技術によれば、電動車両が目的地に到達した際のバッテリのエネルギ残量の予測値を演算し、エネルギ残量の予測値に基づく報知を報知装置により行っている。
【0003】
近年、車両の運転支援技術や自動運転技術の発達に伴い、目的地が入力されれば運転者が車両を運転することなく現在地から目的地まで自動的に移動可能になりつつある。この場合、車両乗員は、車室内での滞在時間を持て余し、エンターテインメント性を有する娯楽を楽しむ機会、時間も多くなる。
【0004】
車両乗員が、車室内で娯楽を楽しむときには、車両に予め装備された表示装置に映し出される映画を鑑賞することが考えられる。また車両乗員がスマートフォン、タブレット端末、或いはノートパソコンなどの携帯端末を車室内に持ち込み、車室内で充電しながら娯楽を楽しむことが考えられる。この際、目的地に到達するまでに必要な電力消費量は、車両乗員のニーズにより変化する。このため、このニーズに応えられるよう車両内で使用する消費電力をマネジメントすることが望ましい。
【0005】
特許文献1記載の技術では、あくまでも受動的な報知に留まっており、使用量の上限に漸近したタイミングから報知制御を開始している。したがって、システムから使用料の上限に漸近したことが報知されるまで、車両乗員は電力を気にすることなく使用できる。
【0006】
この場合、仮に電力量の利用上限に近くなった時に大電力を消費しなければならない何らかの事象を生じても、利用制限されてしまい電力消費できなくなってしまう虞がある。また逆に、車両乗員は、このような電力消費に過剰な注意を払ってしまい、目的地に到達するまでの間に電力消費の余裕があるにもかかわらず、電力消費を躊躇してしまう虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-178566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、目的地に到達するまでの電力消費量について適切にマネジメントできるようにする電力マネジメントシステム、電力マネジメント方法、及び電力マネジメントプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、算出部は、目的地に到達するまでに車両10の走行中に消費する走行用電力量と共に目的地に到達するまでに使用される車両用機器の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出する。作成部は、走行用電力量及び消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成する。判断部は、電力消費パラメータに基づいて現在の電力使用計画の使用が適切か否か、例えば継続不可能であるか否か、を判断する。
【0010】
例えば、車両乗員の乗車人数や乗車状態の変化、車両乗員の操作入力部への操作入力情報(例えば個人の設定情報、エアコンディショナの設定状態、個人の嗜好情報(映画などエンターテインメント視聴予定情報))など、車両内で電力を消費する電力消費パラメータが更新されると、判断部は電力消費パラメータに基づいて現在の電力使用計画の使用が適切か否かを判断する。
【0011】
判断部により適切でないと判断された場合には、作成部は現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する。このため、仮に電力量の利用上限に近くなった時に大電力を消費しなければならない何らかの事象を生じても、システムではこの事象に対応して電力消費できるようになる。これにより、目的地に到達するまでの電力消費量について適切にマネジメントできる。
【0012】
請求項3記載のように、報知制御部が、更新用電力使用計画を車両乗員に報知制御することで、目的地に到達するまでの電力の消費量を車両乗員に対し意識させることができる。電力消費量に余裕がある場合、車両乗員はこのような電力消費に過剰な注意を払う虞がなくなり、目的地に到達するまでの間に余裕をもって電力消費できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態について車両用の電力マネジメントシステムを概略的に示すブロック構成図
図2】ECUの主な機能を概略的に示す図
図3】処理動作を概略的に説明するフローチャート
図4】電力量の変化態様を概略的に示す図のその1
図5】電力量の変化態様を概略的に示す図のその2
図6】車両走行中における処理動作を概略的に説明するフローチャート
図7】電力量の変化態様を概略的に示す図のその3
図8】電力量の変化態様を概略的に示す図のその4
図9A】電力量の変化態様を概略的に示す図のその5
図9B】第1実施形態の変形例における処理動作を概略的に説明するフローチャートその1
図9C】第1実施形態の変形例における処理動作を概略的に説明するフローチャートその2
図10】第2実施形態における処理動作を概略的に説明するフローチャート
図11】第3実施形態における表示態様例のその1
図12】処理動作を概略的に説明するフローチャート
図13】表示態様例のその2
図14】表示態様例のその3
図15】第4実施形態における表示態様例のその1
図16】処理動作を概略的に説明するフローチャート
図17】表示態様例のその2
図18】表示態様例のその3
図19】表示態様例のその4
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車両用の電力マネジメントシステム1の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示す電力マネジメントシステム1は車両10に搭載されている。ここでは、車両10は、電動の車両10(EV)を対象として示すが、内燃機関を組み合わせたハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV、PHEV)などに適用してもよい。
【0016】
車両10には、バッテリ11から電力の供給を受けて動作する車載機器が搭載されている。ここで示す車載機器は、乗員検知部14、通信部15、操作入力部16、表示装置17、周辺環境取得部18、及びその他の車両用機器19を挙げることができる。ECUは電子制御装置を表し、Electronic Control Unitの略称を示す。バッテリ11は、走行用の動力源として電池セルを直列接続してなる組電池と共に、ECU12、13に電力を供給するための補機バッテリを示す。
【0017】
ECU12には、他のECU13がネットワーク接続されている。ECU12、13は、車両乗員に情報を報知制御するための表示系のECU、車両10の周辺環境の状態を取得し車両10の周辺を監視する周辺監視系のECU、車両10の走行を制御する走行制御系のECUに分類して構成されることがある。またこれらのECU12、13の一部又は全部の機能を統合した統合型のECUにより構成される場合もある。ここでは、本願の機能を実現するためのECU12に対し、他のECU13とは異なる符号12を付して説明するが、ECU12は他のECU13の搭載機能を統合して構成されていてもよい。
【0018】
走行制御系のECUには、運転手の運転操作により車両走行用モータを用いて車両10を電動走行制御する電子制御装置、又は、各種段階の自動運転のレベルに応じた自動運転モードを実現する電子制御装置が含まれている。これにより、車両10を手動運転、又は、所定レベルの自動運転、の各運転モードで走行制御を実行できる。
【0019】
ECU12には、乗員検知部14、通信部15、操作入力部16、及び表示装置17が接続されている。乗員検知部14は、DSM14a、PSM14b、着座センサ14c、シートベルトセンサ(図示せず)などの各種センサにより車両乗員を検知するための構成を示している。
【0020】
DSM14aは、所謂ドライバステータスモニタであり、運転手の顔や身体をカメラにより自動認識し、運転手の運転状態を検出する高性能認識システムを示す。DSM14aは運転手の状況を高精度検知する。PSM14bは、所謂パッセンジャーステータスモニタであり、運転手以外の車両乗員の顔や身体をカメラにより自動認識し車両乗員の状態を検出し、他の車両乗員の状況を高性能検知する。着座センサ14cは、車両乗員が着座するシートにそれぞれ配置されており、車両乗員が着座した座席を検知する。シートベルトセンサは、車両乗員のシートベルトの装着状態を検知する。乗員検知部14は、このような各種機器を用いて、車両乗員が何れかの座席に着座しているか、運転手又はその他の車両乗員の顔、身体の一部の位置を検知でき、さらに車両乗員を監視した感情などの車両乗員の状態も検知できる。
【0021】
通信部15は、車両10の外部と通信接続するためのDCMによるもので、車両10の外部の通信網を通じた通信処理を可能にしている。DCMは、Data Communication Moduleの略である。操作入力部16は、例えば表示装置17の表示画面上に構成されたタッチパネルや、表示画面の脇に備え付けられた機械式スイッチによるもので運転手や車両乗員による操作入力を受け付ける。例えば、操作スイッチは、手動運転モード、運転支援モード、自動運転モードを切り替えるスイッチなどを含む。ECU12は、操作入力部16に操作入力があるとI/O12zを通じて操作入力を受け付け、ECU12は操作入力部16の操作信号に基づいた制御を実行する。
【0022】
表示装置17は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等により構成されるセンタインフォメーションディスプレイ(CID)などによる。表示装置17はECU12の制御に基づいて各種のコンテンツを表示可能になっている。
【0023】
周辺環境取得部18は、車両10の周辺を撮像するフロントビューカメラ、サイドビューカメラ、コーナービューカメラ、バックビューカメラ、電子ミラー、LiDaRによるレーザレーダ、及び/又は、ミリ波レーダによる。周辺環境取得部18は、車両10の周辺環境の状態を取得できる。ECU12は、周辺環境取得部18により取得された周辺環境の状態、例えば撮像情報をI/O12zを通じて入力すると記憶部12yに記憶させる。ECU12や他のECU13は、周辺環境取得部18による取得された周辺環境の状態を用いて種々のアシスト機能、例えばレーダクルーズコントロール機能(LCC)を実現できる。レーダクルーズコントロール機能は、自らの車両10の前を走行する車両10に対し一定間隔を保持しながら追従走行を行う機能を示す。その他、ECU12や他のECU13は、手動運転モードに切り替えられると手動運転に係る運転アクチュエータを制御する。ECU12や他のECU13は運転支援モード又は自動運転モードに切り替えられると図示しない運転アクチュエータを制御することで所定の運転支援を実現したりレベルに応じた自動運転を実現したりする。
【0024】
他の車両用機器19としては、車室内の空調を調整するエアコンディショナユニットを挙げることができる。その他の車両用機器19としては、DVD、ブルーレイディスク、HDD又は半導体メモリなどの大容量記憶装置を備え当該記憶装置に記録された映画等のメディアを提供するエンターテインメント機器を挙げることができる。その他の車両用機器19としては、テレビ電波やラジオ電波を受信して放送する放送機器、車室内に音出力するスピーカユニット、を挙げることができる。
【0025】
ECU12は、MCUコアなどのプロセッサ12xと、キャッシュメモリ、RAM、ROM、SSDなどの各種の記憶部12yと、I/O12zと、これらを接続するバスを備えたマイクロコンピュータを備えて構成される。記憶部12yは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。ECU12は、記憶部12yとして外部にDVD、HDD又はSSDなどの大容量外部記憶装置を接続して構成されていても良い。他のECU13も同様の構成により実現できる。
【0026】
次に、記憶部12yに記憶されたアプリケーションプログラムの機能について説明する。ECU12は、プロセッサ12xにより記憶部12yに記憶されたアプリケーションプログラムを実行する。操作入力部16の操作により経由地や目的地が操作入力されると、ECU12は、記憶部12yに記憶された地図情報Mを参照し経由地を通じて目的地までの経路を探索すると共に当該経路を案内するナビゲーション機能を実現する。地図情報Mは外部のサーバ20から取得してもよい。
【0027】
またECU12は、アプリケーションプログラムを実行することで、目的地まで経路探索や経路案内するナビゲーション機能を実行する。また、ECU12は、アプリケーションプログラムを実行することで、図2に示すように、算出部12a、作成部12b、判断部12c、報知制御部12d、及び実行部12eとしての機能を実現する。これらの機能は一つのECU12により実現される形態を示すが、他のECU13や他の車両用機器19と内部の物理リソースの処理能力を分担して処理するようにしても良い。
【0028】
算出部12aは、目的地に到達するまでの間に、車両10の走行中に消費する走行用電力量を算出する。算出部12aは、目的地に到達するまでに使用される車載機器(例えば14~19の一部又は全部)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量を算出する。算出部12aは、車両10の内部で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて電力量を算出する。
【0029】
電力消費パラメータは、車両内で電力を消費する要素を示す。電力消費パラメータは、運転手による車両10の運転操作情報、車両乗員による車両用機器19の操作情報、車両乗員の状態、例えば感情、乗車人数、車両乗員の嗜好のうち少なくとも一つ以上の乗員情報に基づいて電力を消費する要素を含む。
【0030】
電力消費パラメータは、車両内外の各種要因に応じて電力消費量を変化させるパラメータである。例えば、外的要因であれば、天候や経路上の通行止めによる迂回、積載重量の変化、運転手の交代などの要因によっても電力消費量にかかる電力消費パラメータは変化する。例えば、天候が暑くなれば、エアコンの電力消費量が上昇する。また雨が降ればワイパの使用頻度が上昇し電力消費量が上昇する。ルート設定された場合に通行止めによりう回路を通行する場合には距離の積算量や勾配の変化に応じて電力消費量も変化する。また、途中で運転手が変更された場合には、その運転手の運転の仕方の癖などにより電力消費量も変化する。内的要因であれば、車内の各種部品の経年劣化による電力消費量の変化を挙げることができる。
【0031】
<<乗員情報の説明>>
ここで乗員情報について説明する。乗員情報とは、乗員検知部14により車両乗員を監視した感情などの状態を表したり、車両乗員の嗜好の設定状態、優先度を示している。車両乗員の嗜好の設定状態は、車両10の運転開始前又は運転中に操作入力部16により予め操作入力される設定情報やその履歴情報を示している。この車両乗員の嗜好の設定状態については、車両乗員の属性、行動、操作履歴などのデータについて、個人毎にパーソナライズされていなくてもよく、車両10の所有者、家族などのグループ毎に設定されていてもよい。
【0032】
サーバ20は、多数の車両10と通信部15を通じて通信可能になっており、多数の車両10の通信部15から各車両10の中で設定された嗜好のデータを受信して記憶している。サーバ20は、多数の車両10の記憶部12yに保存されている操作入力部16による操作入力情報を予め学習し、設定頻度の高い順に嗜好の優先度を設定し、この情報を乗員情報として設定する。
【0033】
例えば、サーバ20は、多数の車両10から送信された情報を学習し「この車両10の保有者はよく高速道路の途中でよく映画を見る」と学習した場合には、該当する車両10のECU12にこの旨を通知する。ECU12は、記憶部12yに乗員情報としてこの旨を記憶させる。なお、サーバ20の処理内容の一部又は全部は各車両10のECU12の側で行っても良い。前述では、多数の車両乗員を相対的に比較して嗜好の優先度を乗員情報として設定したが、これに限定されるものではない。例えば、ECU12は、車両乗員の個別に学習した結果に基づいて設定頻度の高い順に嗜好の優先度を設定し、この情報を乗員情報として設定してもよい。
【0034】
<<走行用電力量の算出方法の説明>>
次に、走行用電力量の算出方法について説明する。運転手の操作により車両10が手動運転を開始すると車両10が走行するが、この際、運転手のアクセルの踏み込み具合、ブレーキの踏み込み状況によっては、バッテリ11に蓄積される電力量の残量の減少度も変化する。車両乗員の乗車状態、乗車人数の増減によってもバッテリ11の電力量の蓄積残量の減少度も変化する。
【0035】
また、車両10のECU12には、例えば、燃費性能、静粛性及び運動性能のバランスのよい通常走行用のノーマルモード、アクセル操作に対する反応を速め力強い加速を実現するためのパワーモード、アクセル操作に対する駆動力を穏やかにすると同時にエアコンディショナの運転を抑制し省エネルギを重視するためのエコドライブモードなどの運転支援に係る車両情報が設定されている。また、車両10のECU12には、現在の車両10の内部の機器情報、例えば稼動している機器はどの機器であるか、充電ポートに携帯端末8などが接続され充電されているか否か、エアコンの設定温度やそれに伴う電力消費量はいくらになるか、が車両情報として設定されている。
【0036】
この種の車両情報や目的地に到達するまでに探索された走行予定経路の昇り下りの傾斜度に基づいて、当該目的地に到達するまでのバッテリ11の電力量の残量の減少度が変化する。算出部12aは、このような車両情報や走行予定経路の走行状況などの電力消費パラメータに基づいて目的地に到達するまでの走行用電力量を算出することとなる。
【0037】
また手動運転中でも自動運転中でも、車両乗員は嗜好に基づき、他の車両用機器19によりエアコンディショナによる温度調整機能を使用したり、エンターテインメント機器、放送機器を使用したりする。このため、算出部12aは、このような他の車両用機器19を含む車載機器(例えば14~19)の動作情報、操作入力情報、車両乗員の嗜好による電力消費パラメータに基づいて目的地に到達するまでの消費関連電力量を算出する。
【0038】
作成部12bは、走行用電力量及び消費関連電力量に基づいて目的地まで走行するための電力使用計画K1、K2を作成するために設けられる。判断部12cは、電力消費パラメータに基づいて現在の電力使用計画K2の使用が適切か否か、例えば継続不可能であるか否か、を判断するために設けられる。
【0039】
作成部12bは、判断部12cにより適切でない、例えば継続不可能である、と判断された場合には、現在の電力使用計画K2とは異なる更新用電力使用計画K2aを作成する。報知制御部12dは、電力使用計画K1、K2、又は/及び、更新用電力使用計画K2aを車両乗員に報知制御するために設けられる。実行部12eは、車両乗員に必要に応じて確認した後、電力使用計画K1、K2、又はK2aを実行に移す機能を示している。
【0040】
以下、機能の具体例についてフローチャートを用いて説明する。運転手の操作により車両10のイグニッションスイッチ又はパワースイッチがオン操作されると、車両10にバッテリ11から電源が通電され、ECU12などの車両用機器19が起動する。ECU12は、起動後に図3に示す処理を実行する。
【0041】
運転手が操作入力部16の操作により目的地を入力し、運転手が走行に係る操作を行うと、ECU12、13は運転制御を開始する。図3に示すように、ECU12は、S11において周辺環境取得部18により周辺環境の状態を取得し、S12において操作入力部16により入力される目的地の情報を取得する。
【0042】
ECU12は、S13において、他のECU13、他の車両用機器19、乗員検知部14により乗員情報及び車両情報を取得する。前述したように、乗員情報は、運転手による車両10の運転操作情報、車両乗員による車載機器の操作情報、車両乗員の乗車状態、乗車人数、車両乗員の嗜好の設定状況などを示す。
【0043】
ECU12の算出部12aは、S14において乗員情報及び車両情報を電力消費パラメータとして考慮し、電力消費パラメータに基づいて現在地から目的地までに必要な電力量を算出する。ECU12の作成部12bは、S15において電力使用計画K1を作成する。電力使用計画K1は、算出部12aにより算出される消費電力量を目的地までの走行予定経路に渡って時系列的に積算し、現在のバッテリ11の残量から減算することで時系列的に求められる。
【0044】
図4に示すように、現在地から目的地に至るまでの電力使用計画K1が立案された場合を考える。ECU12は、現在の電力使用計画K1を目的地に到達するまで履行したと仮定したときの合計の消費電力量を算出し、マージン電力量を見込んだ所定の残量E以上に余裕があるか否かを判定する。そして、ECU12は残量E以上に余裕があると判断した場合、ECU12の報知制御部12dは、S15において現在の電力使用計画K1を車両乗員に報知して提案すると共に、現在の電力使用計画K1の履行を促すように報知制御する。
【0045】
例えば図4に示すように、報知制御部12dは、現在の電力使用計画K1を表示装置17の表示画面に表示して提案し、現在の電力使用計画K1を履行すれば目的地に到達するまでの間にマージン電力量を見込む所定の残量Eを上回る残量があることを報知する。これにより、報知制御部12dは、現在の電力使用計画K1の履行を促すように報知制御できる。
【0046】
その後、ECU12は、S16において電力消費パラメータが更新されたか否かを判定する。ECU12は、S16において電力消費パラメータが更新されていなければ、S16にてNOと判定し、S18において提案した電力使用計画K1を適用する。ECU12は、電力使用計画K1に係る制御を実行部12eにより実行する。
【0047】
例えば、運転手などの車両乗員が、走行前の車両10の停車中からエンターテインメント機器と共にエアコンディショナユニットの使用開始指示を行うと、目的地に到達するまでの間に大電力を消費することが想定される。このとき、ECU12は算出部12aにより電力消費量を算出する。ECU12は、S15において算出部12aの算出結果に基づいて電力使用計画K2を作成する。ECU12は、例えば車両用機器19の使用開始の指示を受けてS16において電力消費パラメータが更新されていると判定し、S16にてYESと判定する。ECU12は、S17において判断部12cの機能により現在の電力使用計画K2は適切であるか否かを判断する。
【0048】
現在地から目的地まで走行中に、車中でエンターテインメント機器と共にエアコンディショナユニットを使用し続けると大電力を消費し続ける。このため、算出部12aが電力量を算出した結果、図5の破線の電力使用計画K2に示すように、現在地から目的地までの間の中間地点T2において、バッテリ11の電力量が所定の残量Eに達してしまうこともある。この場合、ECU12は、判断部12cの機能により現在の電力使用計画K2は適切ではないと判断する。言い換えると、ECU12は、安心又は安全性の観点で定められた所定の基準を超えてしまう場合には現在の電力使用計画K2の使用が適切でないと判断部12cの機能により判断していることになる。
【0049】
ECU12は、判断部12cにより適切でなく継続不可能であると判断した場合には、S17にてNOとし、ECU12の作成部12bはS19において現在の電力使用計画K2とは異なる更新用電力使用計画K2aを作成する。
【0050】
例えば、作成部12bは図5に実線で示す更新用電力使用計画K2aを作成すると、報知制御部12dは、S19において表示装置17の表示画面に当該更新用電力使用計画K2aを報知して提案する。報知制御部12dは、「予定よりも電力を消費してしまいます。地点T1(地名等)まで使用できますが、車両10の走行を継続する場合は目的地に到達するまでエアコンの使用を控えてはいかがでしょうか。」などと提案を報知するか、「電力の使用を抑えてはいかがでしょうか。」などの提案を報知するとよい。報知制御部12dが報知して提案した結果、S20において車両乗員が操作入力部16の操作入力により承諾すれば、S18bにおいてこの更新用電力使用計画K2aを適用する。ECU12は、更新用電力使用計画K2aの制御を実行部12eにより実行する。
【0051】
これらの処理は、図6図7に示すように車両10の走行中にも実行される。例えば、車両10の走行中に車両乗員により追加の操作入力があった場合、車両10の走行途中にそれまでの予定計画よりも多量の電力が消費され始めることとなる。このような場合にも、同様に処理が実行される。
【0052】
ECU12は、車両10の走行中においても、S21において乗員情報、車両情報を取得し、S22において周辺環境の状態を取得する。ECU12は、S23において電力消費パラメータが更新されたか否かを判定する。
【0053】
車両10が目的地に向けて走行中には、すでに電力使用計画(例えば、ここではK1とする)が立案されている。車両乗員により電力使用計画K1のアクティブな変更入力はないものの、変更と推定される行為、すなわち大電力の消費行為があれば、S23において電力消費パラメータが更新されたと判定する。
【0054】
例えば、図7に示すように、出発地から車両10の走行中にバッテリ11の電力量が徐々に低下している。車両10の走行中に、車両乗員が映画の視聴を開始すると共にエアコンディショナの使用を強く設定しなおすと消費電力量が増す。この場合、バッテリ11の蓄積電力量の低下度が増加する。
【0055】
ECU12は、電力消費パラメータが更新されたことを条件としてS24において電力使用計画K3を作成する。現在の電力使用計画K3を参照。ECU12は、S25において現在の電力使用計画K3は継続可能、利用可能であるか判定する。
【0056】
例えば、ECU12は、現在の電力使用計画K3では目的地に到達する前に所定の残量Eに到達すると判断し継続不可能であり適切でないと判断する。ECU12は、S26において更新用電力使用計画K4を作成し、車両乗員に対し履行するように提案する。
【0057】
ECU12は、S26において「目的地に到達するまで映画の視聴はできます。エアコンディショナの温度設定を弱くしてはいかがでしょうか。」などのメッセージと共にバッテリ11の電力量の残量の低下度が少なくなる更新用電力使用計画K4の提案を報知制御するか、「電力の使用を抑えてはいかがでしょうか。」などの提案を報知制御するとよい。
【0058】
ECU12は、S27において車両乗員が承諾すれば、S28において更新用電力使用計画K4を適用する。報知制御部12dが報知して提案した結果、車両乗員が操作入力部16の操作入力により承諾されれば、S28bにおいてこの更新用電力使用計画K4を適用する。ECU12は、更新用電力使用計画K4の制御を実行部12eの機能により実行する。
【0059】
<<嗜好の優先度について>>
車両乗員の嗜好の優先度が、予め操作入力部16によりECU12の記憶部12yに設定されていてもよい。映画視聴の優先度が高く、エアコンディショナによる空調調整の優先度が低く記憶部12yに設定されている場合、ECU12が、S26において「目的地に到達するまで映画の視聴はできます。エアコンディショナの温度設定を弱くしてはいかがでしょうか。」などのメッセージを報知制御することで、映画の視聴を優先して車両乗員に提案するとよい。
【0060】
逆に、エアコンディショナの空調調整の優先度が高く、映画視聴の優先度が低く記憶部12yに設定されている場合には、ECU12は、S26において「目的地に到達するまでエアコンディショナの温度設定を有効にできますが、映画の視聴を我慢してはいかがでしょうか。」などとエアコンディショナの温度設定を優先するように車両乗員に提案するとよい。ECU12は、このように設定された優先度に基づいて、車両乗員の嗜好を提案、報知することが望ましい。
【0061】
またその他、ECU12が、現在の電力使用計画K3では目的地に到達する前に所定の残量Eに到達すると判断し継続不可能であり適切でないと判断した場合、車両10の内部の環境を調節するエアコンディショナの使用を抑制するように更新用電力使用計画K4を作成するようにしてもよい。車両10の内部の環境を調節する場合、乗員検知部14により車両乗員がいない座席を検知し、当該座席に対する空調の出力を調整するように更新用電力使用計画K4を作成して実行してもよい。この場合、更新用電力使用計画K4を車両乗員に報知制御したり、S27における車両乗員の承諾を得ることなく、実行部12eが自動的に実行してもよい。
【0062】
またその他、車両乗員が着座するシートに温度調節機能を設けた場合には、ECU12が、温度調節機能の出力を制御し、車両乗員の身体の一部の温感調節を行い電力の使用を調整するように更新用電力使用計画K4を作成して実行してもよい。ECU12は、空調の出力を調節し車両乗員の身体の一部に対し限定的に風を当てて電力の使用を調整するように更新用電力使用計画K4を作成して実行してもよい。この場合、更新用電力使用計画K4を車両乗員に報知制御したりS27における車両乗員の承諾を得ることなく、実行部12eが自動的に実行してもよい。
【0063】
<具体例>
ECU12は、温度センサにより車室内の温度情報を取得できる。ECU12は、冬季など車両乗員が車内を比較的寒く感じるような場合で、且つ、バッテリ11の電力量が少なく適切でないと判断することもある。ECU12は、空調の暖房機能又は/及びシートのヒータ機能を停止して省電力化した場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行するとよい。空調の暖房機能の目標設定温度を段階的に下げて省電力化した場合の更新用電力使用計画K4を作成してもよい。
【0064】
空調の暖房機能又は/及びシートのヒータ機能を停止させる代わりに、他の車両用機器19、例えばエンターテインメント機器を動作させても目的地まで電力量を確保できると判断することもある。このとき、エンターテインメント機器が動作した場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行してもよい。車両乗員による承諾を得ることなく、更新用電力使用計画K4を実行部12eにより実行してもよい。
【0065】
逆に、目的地に到達するまでの間に、バッテリ11の電力量に比較的余裕がある場合、冬季などで車両乗員が車内を比較的寒く感じると判断した場合もある。この場合、その余裕の電力を使用すれば、空調の暖房機能又は/及びシートのヒータ機能を強めることが可能である。このため、ECU12は、空調の暖房機能又は/及びシートのヒータ機能による消費電力量を多くした場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行するとよい。車両乗員による承諾を得ることなく、更新用電力使用計画K4を実行部12eにより実行してもよい。
【0066】
例えば、夏季など車両乗員が車内を比較的暑く感じるような場合、バッテリ11の電力量が少なく適切でないと判断した場合もある。この場合、空調の冷房機能を停止して省電力化した場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行するとよい。空調の冷房機能の目標設定温度を段階的に上げて省電力化した場合の更新用電力使用計画K4を作成してもよい。
【0067】
ECU12は、空調の冷房機能を停止させる代わりに、他の車両用機器19、例えばエンターテインメント機器を動作させても目的地まで電力量を確保できると判断する場合もある。この場合、エンターテインメント機器が動作した場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行するとよい。車両乗員による承諾を得ることなく、更新用電力使用計画K4を実行部12eにより実行してもよい。
【0068】
逆に、目的地に到達するまでの間に、バッテリ11の電力量に比較的余裕がある場合、夏季などで車両乗員が車内を比較的暑く感じると判断する場合もある。ECU12は、その余裕の電力を使用すれば、エアコンディショナの冷房機能を強める、例えば目標設定温度を下げることが可能である。このためECU12は、エアコンディショナの冷房機能による消費電力量を多くした場合の更新用電力使用計画K4を作成、提案し、承諾が得られれば実行するとよい。車両乗員による承諾を得ることなく、更新用電力使用計画K4を実行部12eにより実行してもよい。
【0069】
本実施形態によれば、車両10の乗員による判断を待機することなく更新用電力使用計画(例えばK4)を更新して実行部12eにより実行している。このとき、報知制御部12dは、どのように電力使用計画(例えばK3→K4)が更新されるのか更新前と更新後の電力使用計画(例えばK3→K4)の変更点を把握できるように報知するとよい。
【0070】
<変形例その1>
前述の電力量に余裕がない場合とは異なり、ECU12は、図8に示すように、合計の消費電力量を算出した結果、現在の電力使用計画T5について所定の残量Eよりも大幅に余裕があると判断する場合もある。このような場合、ECU12は、図3のS19又は図6のS26において車両乗員の嗜好に基づいて消費電力量を増量するように更新用電力使用計画T6を作成するようにしてもよい。このとき報知制御部12dは、更新用電力使用計画T6に沿って車両乗員の嗜好に関わる電力使用計画を提案するように報知制御するとよい。
【0071】
例えば、ECU12は、前述したように車両乗員の嗜好として乗員情報を記憶部12yから参照し、「この車両10の保有者はよく高速道路の途中でよく映画を見る」と予め学習している場合もある。この場合、ECU12の報知制御部12dは「電力量に余裕があります。映画鑑賞はいかがでしょうか。」などのメッセージと共に、映画鑑賞した場合の更新用電力使用計画T6を作成し報知提案するとよい。ECU12は、車両乗員に承諾されればこの更新用電力使用計画T6を適用するとよい。この場合、ECU12は、実行部12eの機能により映画のコンテンツを表示装置17に表示処理するように制御する。
【0072】
<変形例その2>
例えば、図9Aに示すように、車両乗員が車両10の操作を開始した場合、ECU12は、当初の電力使用計画K7よりも電力量を消費する電力使用計画K8、K8aを作成する。この場合ECU12は、例えば走行経路の途中の地点T3までは車両乗員のニーズを反映した電力使用計画K8を使用すると共に、車両10の走行途中から電力使用計画K8よりも節電する電力使用計画K8aを使用するように提案してもよい。具体例を説明する。例えばECU12は、車両乗員による操作時点にて車両10の走行予定経路に渋滞情報をキャッチしているものと仮定する。またこの間、ECU12は、車両乗員による車両10の渋滞時の運転操作に係る種々のアシスト機能(例えば、レーダクルーズコントロール機能(LCC))や、退屈な渋滞時間を楽しむための映画視聴用のエンターテインメント機器を使用する可能性が高いと判断する。
【0073】
ECU12は、その後の時間経過に伴い走行予定経路の途中の通過地点T3にて渋滞解消を予測した場合、当該渋滞が解消される地点T3以降、車両乗員による電力使用ニーズ、この場合、レーダクルーズコントロール機能などのアシスト機能、又は/及び、エンターテインメント機器の使用時間が少なくなると予測できる。この場合、ECU12は、走行予定経路の途中の通過地点T3からアシスト機能やエンターテインメント機器の使用を抑制した電力使用計画K8aを作成して提案するとよい。これにより、車両乗員のニーズをできる限り反映できる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、ECU12は、目的地まで走行するための走行用電力量と共に走行に関係しない目的での消費関連電力量を算出し目的地までの走行に必要な電力量を算出している。そしてECU12は、目的地までの走行が不可能になる前に電力消費パラメータが更新されたことを条件として現在の電力使用計画(例えばK1、K2)が適切であるか否かを判定し、適切でないと判断すると更新用電力使用計画(例えばK2a)を作成している。
【0075】
このため、仮に電力量の利用上限に近くなった時に大電力を消費しなければならない何らかの事象を生じても、システムではこの事象に対応して電力消費できるようになる。このようにすることで、目的地に到達するまでのバッテリ11の電力量を残量E以上に確保しながら適切に電力マネジメントできる。
【0076】
ECU12が、単に車両乗員の要望を満たすように提案するだけでは、バッテリ11の電力量の残量不足になりかねない。そのため、ECU12は、複数の条件、例えば操作入力情報、車両乗員の状態に基づいて、更新用電力使用計画K2a、K4、K6を作成している。これにより、着々と変わる車両乗員のニーズに対応した電力マネジメントが可能となる。このように処理することで、ニーズに対応した電力マネジメントを車両乗員に対しアクティブに提案できる。ECU12が、更新用電力使用計画K2a、K4、K6等を作成し報知、提案することで、車両乗員は、走行前または走行途中でも電力マネジメントを意識できる。
【0077】
ECU12は、嗜好の優先度に基づいて目的地まで動作可能な車載機器(例えばエンターテインメント機器、放送機器)のオン/オフ、又は、パラメータ設定可能な車載機器(例えば、エアコンディショナの空調設定)におけるパラメータの提案を行っている。このため、車両乗員のニーズに対応できる。
【0078】
<第1実施形態の変形例その3>
図9B図3の一部の変形例を示している。ECU12は、S19において更新用電力使用計画K2aを作成、提案するが、S20において車両乗員が承諾しなければ、再度S19において更新用電力使用計画K2aを作成しなおすことになる。しかし、ECU12は、S20bにおいて車両乗員に更新用電力使用計画K2aを複数の所定回提案したにも拘わらず承諾の返答がない場合、S20bにてYESと判定し車両乗員の判断に拘わらず更新用電力使用計画K2aを実行部12eにより実行するようにしてもよい。すなわち、車両乗員とのコミュニケーションがうまくいかない場合、強制的に実行に移しても良い。この例では、車両停車中の処理を示したが、車両走行中においても図6の処理を適用すれば同様に適用できる。
【0079】
<第1実施形態の変形例その4>
図9C図3の一部の変形例を示している。ECU12はS17において現在の電力使用計画K1が適切であるか否かを判定する。このとき、例えば、走行用電力量又は燃料の欠如により目的地に到達できない、又は、走行用電力量又は燃料の欠如により駐停車非望箇所に停車してしまうと判断した場合に現在の電力使用計画K1の使用が適切でないと判断する。例えば、高速道路を走行中に渋滞に巻き込まれたとき、また、山の中などをルート設定した場合に、充電設備がなく必要な充電ができないと判断した場合などである。この場合、「今の電力使用計画では問題がある」点を表示するとよい。
【0080】
ECU12は、S19において更新用電力使用計画K2aを作成、提案するが、S20において車両乗員が承諾しなければ、再度S19において更新用電力使用計画K2aを作成しなおすことになる。乗員による承諾がない場合に、乗員により提案されることがある(S20cでYES)。例えば、現在の電力使用計画K1であれば快適であることから乗員が計画続行を求める場合である。例えば、S19にて作成した更新用電力使用計画K2aでは、エアコンディショナの設定温度を高く変更するように提案したものの、エアコンディショナの設定温度を低く維持したい旨の要望などがあげられる。
【0081】
ECU12は、S20dにおいて更新用電力使用計画K2aとして適切であるか否かを判断する。ECU12は、提案された更新用電力使用計画K2aが適切であると判定すれば、提案された更新用電力使用計画K2aを適用し実行に移すことができる。適切でなければ、S20eにおいて複数の所定回繰り返しているか否かを判定し、所定回未満であればS19に処理を戻して更新用電力使用計画K2aを再度作成し、S20、S20c、S20dの処理を繰り返す。
【0082】
ECU12は、S20eにおいて乗員に不適切な提案を複数の所定回された場合、S20eにてYESと判定し車両乗員の判断に拘わらずS19で作成した更新用電力使用計画K2aを強制的に実行するようにしてもよい。すなわち車両乗員とのコミュニケーションがうまくいかない場合には作成した更新用電力使用計画K2aを強制的に実行に移しても良い。この例では、車両停車中の処理を示したが、車両走行中においても図6の処理を適用すれば同様に適用できる。
【0083】
<目的地、経由地等の再設定時における電力使用計画の変更方法>
乗員の指示に基づいてナビゲーション機能の目的地が再設定されたり、買い物や休憩等により経由地が設定されたりすることがある。また乗員の意思による変更に応じて経由地を設定することなく買い物や休憩等に時間を割くことがあり、この場合、車両走行中にルートが変更されることがある。この影響で目的地の最終地点に到着したい時間が早まったり逆に遅くなったりすることもある。目的地や経由地が変更された場合には図3又は図6の処理を再度実施することで同様の処理を実現できる。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態について図10をも参照しながら説明する。本実施形態では、図10のS31、S32に示すように、ECU12が、操作入力部16により手動運転から自動運転に切替えられたことを検出した場合について説明する。
【0085】
ECU12は、自動運転に切り替えられたことを検出すると、S33において現在の電力使用計画(例えば図8のT5とする)と現在の電力使用状況を報知制御する。ECU12は、S34において車両乗員に現在の電力使用計画T5の変更有無を問いかけるように報知制御する。例えば、所定レベル以上の自動運転モードにおける自動運転中には、運転者は運転に集中する必要がなくなる。
【0086】
車両乗員は、車室内での滞在時間を持て余し、エンターテインメント性を有する娯楽を楽しむ機会も多くなる。このため、ECU12は、S35において現在の電力使用計画T5と共に現在の電力使用計画T5の変更の必要性を問いかけるように報知制御する。この場合、ECU12は、S35において変更の必要性があると判定すればS36において更新用電力使用計画T6を作成し、当該更新用電力使用計画T6と共に「自動運転中に映画鑑賞はいかがでしょうか。」などのメッセージを添えて報知制御するとよい。S35において変更の必要性がないと判定すれば、ECU12はS37においてそのまま電力使用計画T5を適用する。
【0087】
ECU12は、S36bにおいて車両乗員の承諾を得られればS37bにおいて更新用電力使用計画T6を適用する。車両乗員の承諾を得られなければS36に戻って更新用電力使用計画の作成を繰り返す。車両乗員の返答がない場合などには、承諾を得ることなくS37bにおいて更新用電力使用計画を適用してもよい。ここでECU12は、実行部12eの機能により必要に応じて映画のコンテンツを表示装置17に表示処理するように自動的に表示制御するようにしてもよい。
【0088】
自動運転中は、特に車両乗員が電力を消費したくなる場面となることが多い。本実施形態によれば、自動運転中など集中的に電力使用できるようにマネジメントできる。また車両10の走行中のどのタイミングでも車両乗員からのニーズに対応できる。
【0089】
(第3実施形態)
第3実施形態について図11から図14をも参照しながら説明する。ECU12は、目的地が操作入力された後、ナビゲーション機能を実行するときに、図11の上段に示すように、車両10の現在位置マークと共に地図情報Mのコンテンツを表示装置17の表示画面に表示処理する。
【0090】
図12に示すように、車両10の走行中において、ECU12は、S41において現在の電力使用計画(例えばここでは図7のK3とする)が適切か否かを判定する。ECU12は、現在の電力使用計画K3が継続不可能であり適切でないと判断された場合、S42において更新用電力使用計画K4を作成する。
【0091】
ECU12は、S43において表示装置17の表示画面にコンテンツが情報表示されているか否か判定している。既にコンテンツが表示されているならば、ECU12の報知制御部12dは、S44においてすでに表示されている既表示情報となる地図情報Mに重ねて、継続不能情報及び理由情報を表示装置17の表示画面に表示するとよい。
【0092】
図11の例では、ECU12は、継続不能情報として「現在の電力使用計画では目的地に到達できません。」とし、理由情報として「エアコンの使用電力が多すぎるようです。」として表示装置17に割り込み表示処理している。ECU12は、これらの情報に重ねて提案情報である「エアコンを停止してはいかがでしょうか。」などと表示処理するようにしてもよい。
【0093】
図13に示すように、ECU12の報知制御部12dは、現在の電力使用計画K3、更新用電力使用計画K4をグラフ化し、表示装置17の表示画面の一部に継続不能情報として地図情報Mに図表Pを重ね合わせて表示処理するようにしてもよい。ここでは、地図情報Mに図表Pを重ね合わせる形態を例示したが、車両10の周辺を撮像した周辺カメラ情報、又は、映画やテレビ放送などの各種の映像情報に重ね合わせて表示処理するようにしてもよい。
【0094】
逆に、ECU12は、図12のS43において表示装置17にコンテンツが表示されていないと判定するとS45に移行する。ECU12は、S45において現在の電力使用計画(例えば図7のK3)が継続不可能である継続不能情報と、継続不可能である理由を示す理由情報とを表示装置17に表示制御する。このとき、文字情報で表示してもグラフなどを描画してもよく、ECU12は、図14に示すように、これらの継続不能情報、理由情報を表示装置17の表示画面の全体に表示処理してもよい。
【0095】
またECU12の報知制御部12dは、表示装置17の表示画面の一部に表示したり、現在の電力使用計画(例えば図7のK3)の継続ができるか否かの結果のみ表示してもよい。またECU12の報知制御部12dは、目的地到達時のバッテリ11の電力量の残量によって表示態様を変化させるようにしてもよい。目的地到達時の電力量の残量が少なければ少ないほど、注意喚起をするための警告度合いを強めた警戒色、警告色を用いて表示処理してもよい。
【0096】
(第4実施形態)
第4実施形態について図15から図18をも参照しながら説明する。ECU12は、目的地が操作入力された後、ナビゲーション機能を実行するときに、図15の上段に示すように、車両10の現在位置マークと共に地図情報Mのコンテンツを表示装置17の表示画面に表示処理する。
【0097】
図16に示すように、車両10の走行中において、ECU12はS41において現在の電力使用計画(ここでは例えば図7のK3とする)が適切か否かを判定する。ECU12は、現在の電力使用計画K3が継続不可能であり適切でないと判断された場合、S42において更新用電力使用計画K4を作成する。
【0098】
ECU12は、S43において表示装置17の表示画面にコンテンツが情報表示されているか否か判定している。既にコンテンツが表示されていれば、ECU12の報知制御部12dは、S44aにおいて既表示情報の表示配置を変更し、S44bにおいて既表示情報の配置領域とは異なる領域に継続不能情報、理由情報を表示する。
【0099】
例えば、図15の上段に示すように、車両10の現在位置マークと共に地図情報Mが表示装置17の表示画面の全体に表示されている場合を考える。この場合、ECU12は地図情報Mの左半部の一部を切り取って残存表示させ、切り取られた部分を空白としこの空白領域を活かして表示画面の右半部に継続不能情報及び理由情報を表示処理するとよい。
【0100】
その他、図17の下段に示すように、ECU12は、地図情報Mの全体の縮尺を縮小し、縮小して空いたスペースを活かして表示画面に継続不能情報及び理由情報を表示処理してもよい。その他、図18の下段に示すように、ECU12は、地図情報Mの全体を消去し、空いたスペースを活かして表示画面の全体に継続不能情報及び理由情報を表示処理してもよい。これにより、車両乗員に対し車室内の電力消費を意識付けするように警告できる。
【0101】
また、電力使用計画の変更提案について変形例を説明する。前述したように特定の条件を満たせば毎回変更を提案するとユーザにとって煩わしい場合もある。そのため、車両乗員の現在の運転状況や、過去の操作入力の履歴情報を用いて提案することが望ましい。これにより、わずらわしさよりも嬉しさが大きくなる。提案に対する車両乗員の操作入力情報を学習データとして蓄積し、学習データに基づいて提案を行うか否かを判断してもよい。提案に対する肯定的な反応を受け付けた場合には提案頻度を上げ、逆に否定的な反応を受け付けた場合には提案頻度を下げるとよい。
【0102】
(第5実施形態)
第5実施形態について図19を参照しながら説明する。ECU12の報知制御部12dは、各種情報を表示する際に、図19の上段に示すように、表示装置17の表示画面の一部にインフォエリアINを設定して表示するようにしてもよい。このインフォエリアINには乗員の操作を求めない情報を表示するとよい。例えば、「メッセージを受信しました。」などの乗員へのメールを受信したときの通知情報や、一般的なニュース情報などを横方向に流し表示するとよい。
【0103】
何らかの緊急情報を生じた場合には、ECU12の報知制御部12dは、緊急度が高い情報や乗員の操作を求めるもの(例えば、前述実施形態では電力使用計画(例えばK1→K2aなど)の変更実施可否)はポップアップ表示するとよい。この際、図19の下段に示すように、ECU12の報知制御部12dは、緊急情報を目立たせるために浮きだたせるように表示したり、エクスクラメーションマークなどの注意喚起を示すアイコンと共に表示するとよく、さらに注意喚起するための音とともに知らせてもよい。
【0104】
本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。本開示に記載のECU12、13による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載のECU12、13による手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0105】
本開示は、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[1]
目的地に到達するまでに車両の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車載機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出する算出部(12a)と、
前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成する作成部(12b)と、
前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを(継続不可能であるか否か)判断する判断部(12c)と、を備え、
前記作成部は、前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する電力マネジメントシステム。
【0106】
[2]
前記電力消費パラメータは、運転手による車両の運転操作情報、車両乗員による車載機器の操作情報、車両乗員の状態、車両乗員の嗜好のうち少なくとも一つ以上の乗員情報を含む[1]記載の電力マネジメントシステム。
【0107】
[3]
前記電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)を備え、
前記報知制御部は、前記現在の電力使用計画を前記車両乗員に報知すると共に、前記現在の電力使用計画の履行を促すように報知制御する[1]又は[2]に記載の電力マネジメントシステム。
【0108】
[4]
電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)、を備え、
前記現在の電力使用計画を前記目的地に到達するまで履行したと仮定したときの合計の消費電力量を前記算出部により算出した結果マージン電力量を見込んだ所定の残量以上に余裕があると判断したときには、
前記作成部は、前記車両乗員の好む嗜好に基づいて前記消費電力量を増量するように前記更新用電力使用計画を作成し、
前記報知制御部は、前記車両乗員の嗜好に関わる更新用電力使用計画を提案するように報知制御する[1]から[3]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0109】
[5]
電力使用計画を車両乗員に報知制御する報知制御部(12d)、を備え、
前記報知制御部は、手動運転から自動運転に切替えられたことを条件として、前記現在の電力使用計画と現在の電力使用状況を報知制御し、車両乗員に前記現在の電力使用計画の変更有無を問いかけるように報知制御する[1]から[4]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0110】
[6]
前記報知制御部によりコンテンツを表示制御するための表示装置(17)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が継続不可能であり適切でないと判断された場合、
前記報知制御部は、前記表示装置に前記コンテンツが表示されていないならば、前記表示装置に前記現在の電力使用計画が継続不可能である継続不能情報と、前記継続不可能である理由を示す理由情報とを表示し、
前記表示装置に既に前記コンテンツが表示されているならば、既に表示されている既表示情報に重ねて、前記継続不能情報及び前記理由情報を前記表示装置に表示する[1]から[5]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0111】
[7]
前記報知制御部によりコンテンツを表示制御するための表示装置(17)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が継続不可能であり適切でないと判断された場合、
前記報知制御部は、前記表示装置に既に表示されている既表示情報の表示配置を変更し、前記表示装置に既に表示されていた前記既表示情報と、前記第1電力使用計画が継続不可能である継続不能情報と、継続不可能である理由を示す理由情報と、を前記表示装置に表示する[1]から[5]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0112】
[8]
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部が車両内の環境を調節する機能の使用を抑制するように前記更新用電力使用計画を作成する[1]から[7]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0113】
[9]
前記車両乗員が何れの座席に存在するか検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部は、前記車両の内部の環境を調節し前記車両乗員がいない座席に対する空調の出力を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する[1]から[8]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0114】
[10]
前記車両乗員の身体の位置を検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部は、空調の出力を調節し前記車両乗員の身体の一部に対し限定的に風を当てて電力の使用を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する[1]から[8]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0115】
[11]
前記車両乗員が何れの座席に着座しているか検知する乗員検知部(14)を接続して構成され、
前記判断部により前記現在の電力使用計画が適切でないと判断された場合、
前記作成部は、前記車両乗員が着座するシートの温度調節機能の出力を制御し前記車両乗員の身体の一部の温感調節を行い電力の使用を調整するように前記更新用電力使用計画を作成する[1]から[8]の何れかに記載の電力マネジメントシステム。
【0116】
[12]
前記車両の乗員による判断を待機することなく前記更新用電力使用計画を実行する実行部(12e)を備える[1]から[11]の何れかの電力マネジメントシステム。
【0117】
[13]
前記車両の乗員に前記更新用電力使用計画を複数の所定回提案したにも拘わらず承諾の返答がない場合、又は、前記更新用電力使用計画として前記乗員に不適切な提案を複数の所定回された場合、
前記車両の乗員の判断に拘わらず前記更新用電力使用計画を実行する実行部(12e)を備える[1]から[12]の何れかの電力マネジメントシステム。
【0118】
[14]
前記判断部は、安心又は安全性の観点で定められた所定の基準を超えてしまう場合には現在の電力使用計画の使用が適切でないと判断し、
前記作成部は、使用が適切でないと判断された場合に前記更新用電力使用計画を作成する[1]から[13]の何れかの電力マネジメントシステム。
【0119】
[15]
算出部(12a)が、目的地に到達するまでに車両10の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車載機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出し、
作成部(12b)が、前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成し、
判断部(12c)は、前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを判断し、
前記作成部は、前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を作成する電力マネジメント方法。
【0120】
[16]
電力マネジメントシステムに、
目的地に到達するまでに車両10の走行中に消費する走行用電力量と共に前記目的地に到達するまでに使用される車載機器(14~19)の機能を実行するために必要となる消費関連電力量について、前記車両内で電力を消費する電力消費パラメータに基づいて算出部(12a)により算出する手順と、
前記走行用電力量及び前記消費関連電力量に基づいて前記目的地まで走行するための電力使用計画を作成部(12b)により作成する手順と、
前記電力消費パラメータに基づいて現在の前記電力使用計画の使用が適切か否かを判断部(12c)により判断する手順と、
前記判断部により適切でないと判断された場合には前記現在の電力使用計画とは異なる更新用電力使用計画を前記作成部により作成する手順と、を実行させる電力マネジメントプログラム。
【0121】
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0122】
図面中、1は電力マネジメントシステム、12、13はECU、12aは算出部、12bは作成部、12cは判断部、12dは報知制御部、14は乗員検知部(車載機器)、15は通信部(車載機器)、16は操作入力部(車載機器)、17は表示装置(車載機器)、18は周辺環境取得部(車載機器)、19は他の車両用機器(車載機器)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19