(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127752
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両用制御システム、車両用制御方法、及び車両用制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20240912BHJP
G06Q 20/14 20120101ALI20240912BHJP
G06Q 50/43 20240101ALN20240912BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q20/14
G06Q50/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006122
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2023035646
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝一
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 明日
(72)【発明者】
【氏名】間根山 しおり
(57)【要約】
【課題】 乗員の利便性を向上できるようにした車両用制御システム、車両用制御方法、及び車両用制御プログラムを提供する。
【解決手段】 DCUは、ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する(S71)。DCUは、課金制機能が実施不可能と判定された場合に、課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する(S76、S81)。DCUは、探索された代替機能を実施可能にする(S80)。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、
前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、
前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)と、
前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を実施する制御部(3)と、を備える車両用制御システム。
【請求項2】
前記認証部が、前記ネットワークの通信接続切れにより前記課金制機能の実施不可能と判断した場合、
前記探索部は、オフライン状態で実施可能な前記代替機能を探索する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項3】
前記認証部が、前記サーバとのネットワークを介した接続が成立しているにもかかわらず前記課金制機能の実施不可能と判断した場合、
前記探索部は、実施可能な前記代替機能について前記サーバを通じて探索する請求項1又は2記載の車両用制御システム。
【請求項4】
前記探索部は、前記ネットワークを通じて探索しても前記代替機能を探索できない場合、オフライン状態で実施可能な前記代替機能を探索する請求項3に記載の車両用制御システム。
【請求項5】
前記認証部は、前記代替機能の実施可否も判断し、
前記制御部は、前記認証部により実施可能と判断された場合に前記代替機能を実施する請求項1又は2記載の車両用制御システム。
【請求項6】
前記探索部は、外部端末に設けられた機能から前記代替機能を探索する請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記代替機能を複数使用し、前記実施不可能と判断された前記課金制機能を再現するように前記代替機能を実施する請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項8】
前記代替機能を実施中に、前記認証部による前記課金制機能の実施が可能となった場合、前記制御部は前記代替機能の実施を中止し、前記課金制機能の実施を優先する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項9】
前記代替機能が実施された場合には、前記課金制機能よりも前記代替機能を実施する優先度を上げ、
前記制御部は前記課金制機能よりも前記代替機能の実施を優先する請求項1に記載の車両用制御システム。
【請求項10】
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、
前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、
ネットワーク接続不良、前記課金制機能の有効期限切れ、の少なくともいずれか1つの状況の発生可能性を事前に判断することで、前記認証部による前記課金制機能の認証が不可能になることをあらかじめ判断する認証判断部(4)と、を備え、
前記認証判断部が、前記認証部による認証が不可能になると判断した場合に、乗員に報知を行う報知制御部(3)を備える車両用制御システム。
【請求項11】
前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)、をさらに備え、
前記認証判断部が、前記ネットワーク接続不良により前記認証部の認証が不可能になると判断した場合に、前記報知制御部は前記探索された代替機能の実施を提案する請求項10に記載の車両用制御システム。
【請求項12】
前記探索部は、前記代替機能の決定に乗員の嗜好を条件に加える請求項11に記載の車両用制御システム。
【請求項13】
前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)、をさらに備え、
前記認証判断部が、前記前記課金制機能の有効期限切れにより前記認証部の認証が不可能になると判断した場合、
前記報知制御部は前記課金制機能の延長を乗員に提案する請求項10に記載の車両用制御システム。
【請求項14】
ネット通信部が車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信する過程と、
認証部が前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する過程と、
探索部が前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する過程と、
制御部は、前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を実施する過程と、を備える車両用制御方法。
【請求項15】
車両用制御システムに、
ネット通信部により車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信する手順と、
認証部により前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する手順と、
探索部により前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する手順と、
前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を制御部により実施する手順と、
実施させる車両用制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御システム、車両用制御方法、及び車両用制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両内には様々な車両用機器(例えば車両用オーディオ機器)などが搭載されており、この車両用機器に適用されるサブスクリプションサービスが提供されることがある。このようなサブスクリプションサービスは課金制機能に基づくサービスであるため予め定められた契約に基づいて提供される。このとき契約が結ばれているか否かを判定するため認証を行う必要がある。特許文献1には移動体に関する機能の認証機能が提案されている。
【0003】
特許文献1記載の機能は、ネットワークに接続されていることが前提の認証方法である。移動体が走行する場合、トンネル、山奥など電波の届きにくい場所を走行することもあるため、移動体の搭載機器が通信を実行してもネットワーク接続障害を生じオフラインとなる可能性がある。オフライン環境下にて認証できないと、乗員に不安を与えたり、走行に支障をきたしたりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-536352号公報(特許6602475号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、乗員の利便性を向上できるようにした車両用制御システム、車両用制御方法、及び車両用制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車両用制御システムは、ネット通信部と、認証部と、探索部と、制御部と、を備える。ネット通信部は、車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信する。認証部は、ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する。
探索部は、課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する。制御部は、認証部により課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、探索された代替機能を実施するため、乗員は代替機能を使用できるようになり、乗員の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】第1実施形態における車両用認証システムのブロック構成図
【
図1B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその1
【
図2】処理内容を概略的に説明するフローチャートその2
【
図3】処理内容を概略的に説明するフローチャートその3
【
図4】処理内容を概略的に説明するフローチャートその4
【
図5】処理内容を概略的に説明するフローチャートその5
【
図6A】処理内容を概略的に説明するフローチャートその6
【
図6B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその7
【
図7A】処理内容を概略的に説明するフローチャートその8
【
図7B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその9
【
図8】第2実施形態における車両用認証システムのブロック構成図
【
図9】処理内容を概略的に説明するフローチャートその1
【
図10A】処理内容を概略的に説明するフローチャートその2
【
図10B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその3
【
図10C】処理内容を概略的に説明するフローチャートその4
【
図11A】第3実施形態における処理内容を概略的に説明するフローチャートその1
【
図11B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその2
【
図11D】処理内容を概略的に説明するフローチャートその3
【
図12】処理内容を概略的に説明するフローチャートその4
【
図13A】処理内容を概略的に説明するフローチャートその5
【
図13B】処理内容を概略的に説明するフローチャートその6
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、車両用認証システム及び車両用制御システムの幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1Aから
図7Bを参照しながら説明する。
図1Aに示す車両用システム1は、車両2の内部に設置されたHCU3、DCU4、及び、他のECU(図示せず)をネットワーク接続して備えると共に、車両2の外部に車外管理サーバ8をサーバ相当として備える。またユーザはスマートフォン、タブレット、又は、ノートパソコンなどの携帯端末9を車両2内又はその周辺で所持することがあり、この携帯端末9も車両用システム1を構成する。車両用システム1は、車両用認証システム及び車両用制御システムとして用いられる。
【0010】
HCU3、DCU4、車外管理サーバ8、及び携帯端末9は、ネットワーク7を通じて通信接続可能になっており、これにより車両用システム1が構成される。HCUは、Human Machine Interface Control Unitの略である。DCUはDomain Control Unitの略である。ネットワーク7は、有線通信網、無線通信網などによる。
【0011】
<HCU3について>
HCU3は表示系ECUを構成する。ECUはElectronics Control Unitの略であり電子制御装置である。HCU3は、プロセッサ、記憶部3a、I/O、これらを接続するバスを備えており、記憶部3aに記憶されたプログラムを実行することで各種の制御を実行する制御部として機能する。記憶部3aは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。HCU3には、近距離無線通信部5が接続されており、近距離無線通信部5により携帯端末9の近距離無線通信部9bとの間で通信可能になっている。
【0012】
HCU3は、記憶部3aに記憶されたアプリケーションプログラム(以下、アプリ)を実行することで各種の機能、例えば課金機能3b、ローカル機能3c、報知制御部3dとしての機能を実現する。HCU3には表示装置11が接続されている。表示装置11は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等により構成され、コンテンツをモノクロ又はフルグラフィックで表示可能な構成となっている。表示装置11はセンターインフォメーションディスプレイなどによる。HCU3には操作入力部12が接続されている。操作入力部12は表示装置11の表面に構成されたタッチパネルや表示装置11の脇に構成された機械式スイッチによるものでユーザの操作入力を受け付けてHCU3に操作信号を出力する。HCU3は操作入力部12の操作信号に基づいて各種の機能を実行可能になっている。HCU3又はDCU4には車両用機器10が接続されている。
【0013】
HCU3が実現可能なアプリの機能は、課金機能3b、ローカル機能3cに分けることができる。ここでの課金機能3bは、車両2のユーザとの間で契約された課金制機能の契約情報に基づいて実行される機能を示す。HCU3は、車両用機器10の課金制機能の契約情報の照合を得ると、当該契約された課金機能3bを実行する実行部となる。ローカル機能3cは、無課金で且つ記憶部3aに予めインストールされたアプリにより実行される機能を示し、前述の課金制機能の契約なしで実行可能な機能を示す。
【0014】
<DCU4について>
DCU4は、統合されたソフトウェアとハードウェアのプラットフォーム上で集中型のコックピット電子システムを構築するもので、データベース4eが構築された記憶部4dを搭載して構成されている。DCU4はDomain Control Unitの略を示す。
【0015】
DCU4は、外部環境取得部6を接続して構成される。外部環境取得部6は、車両2の外部の環境情報を取得する。外部環境取得部6は検出部6aを接続している。検出部6aは、車両2の外部の環境情報を取得するためのセンサを用いて構成される。例えば、車両2の外気温を検出する温度センサ、車両2の外側の日照照度を検出する照度センサ、フロントビューカメラ、サイドビューカメラ、コーナービューカメラ、バックビューカメラ、電子ミラー、LiDaRによるレーザレーダ、ミリ波レーダによる車両2の周辺を監視する周辺監視用センサ、などを挙げることができる。
【0016】
また検出部6aは、乗員モニタを用いることでユーザの状態を検出することもできる。乗員モニタは、車両2に搭乗した乗員の状態又は各種の操作機器の操作状態を検知する。乗員モニタは、ドライバ席、助手席又は後部座席の乗員の状態を画像センサにより撮影することで、当該乗員の状態を検知して撮像信号を出力するカメラを含んで構成される。ドライバの乗員状態モニタはDSMと称されている。DSMは、Driver Status Monitorの略である。DCU4は、乗員モニタの検出結果に基づき車両2に搭乗したユーザを識別する個人認識部としての機能を備える。
【0017】
DCU4は、HCU3や図示しない他のECUなどの装置と通信接続されており、各種情報を互いに送受信できる。DCU4、HCU3及び他の装置を含めた電子制御装置は、車両2の走行制御を担う走行制御系ユニット、車両2の周辺を監視する周辺監視系ユニット、表示装置11を通じてユーザに情報提示を行う表示系ユニットなどの機能を備える。
【0018】
走行制御系のユニットは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、電動モータなどを用いて手動運転又は自動運転により運転制御する。走行制御系のユニットは手動運転による手動運転制御モード、又は、各種段階の自動運転レベルに応じた自動運転モードを実現する。自動運転モードでは、自動運転用の走行制御系ECUは、運転アクチュエータを駆動することで対応した所定レベルの運転支援、自動運転を実行する。
【0019】
例えば、レベルIの運転支援では、障害物への衝突を避ける自動ブレーキ、先行車に追従して走行する追従走行、又は、両脇の車線からはみ出さないように制御する走行レーンはみ出し防止走行、を実行できる。レベルIIの自動運転では、レベルIの運転支援の組み合わせ、又は、特定条件下での自動運転、例えば高速道路で遅い車両2が存在すれば自動で追い越したり、高速道路の分合流を自動で行ったりする自動運転モードを実行できる。なお、レベルIIの自動運転ではドライバによる監視義務がある。レベルIII以上の自動運転では、車両2の中の周辺監視システムにより監視しながら走行制御システムが全ての運転タスクを実行するが詳細説明は省略する。これにより、手動運転、又は、自動運転の各運転モードでの走行制御を実現できる。
【0020】
DCU4は、ネット通信部4aを通じて車外のネットワーク7に接続可能に構成されている。ネット通信部4aは、車両2の内外装置を仲介して通信するためのブロックを示す。ネット通信部4aは、車両2の乗員となるユーザが実施可能な課金制機能の情報を保存している車外管理サーバ8との間でネットワーク7を介して通信する。
【0021】
DCU4は、記憶部4dに記憶されたアプリを実行することで各種の機能、例えば後述の認証部4b、代替認証部4cの機能を実現する。記憶部4dは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。
【0022】
記憶部4dにはデータベース4eが構築されている。データベース4eは、認証部4bにより認証した結果(成功/失敗)を示す認証履歴情報をその日付や日時と共に記憶する認証履歴情報保存部として用いられる。またデータベース4eは、課金制機能の契約情報を記憶、保持する。
【0023】
認証部4bは、ネット通信部4aを通じて課金制機能の実施可否について認証する機能を示す。代替認証部4cは、ネット通信部4aを通じて車外管理サーバ8に接続できない場合に認証部4bの認証を代替する機能を示す。
【0024】
<携帯端末9と課金制機能の契約について>
車両2に搭乗するユーザは携帯端末9を所持する。携帯端末9は、車室内に持ち込み可能な端末であり、操作入力用のインタフェース及び表示器等を備えている。携帯端末9は、各種の操作入力及び報知処理が可能な端末である。
【0025】
携帯端末9は、プロセッサ、メモリ、I/O(何れも図示せず)を備えて構成される。携帯端末9には、ネットワーク7を通じて車外管理サーバ8等に無線通信するための無線通信部9aが搭載されている。携帯端末9には、WiFi(登録商標)などの無線LANやブルートゥース(登録商標)などの近距離通信技術により近距離無線通信部5との間で近距離通信する近距離無線通信部9bが搭載されている。
【0026】
携帯端末9のメモリ内には、車両2用のアプリがインストールされており、携帯端末9が車両用アプリを実行することで、ユーザから車両2に関する制御指令したり、車両2の側のHCU3又はDCU4から車両2に関する情報を取得したりできる。このときユーザは、携帯端末9を操作することで車両用機器10に関する設定情報を設定できる。ここでいう車両用機器10は、エアコンディショナ(空調機器)、車両用オーディオビジュアル機器、などが該当するがこれに限られるものではない。
【0027】
ユーザが、操作入力部12や携帯端末9を操作することで車両用機器10に関するサブスクリプションサービスの購入又は貸借契約をする。以下、サブスクリプションサービスをサブスクと略す。ユーザが操作入力部12や携帯端末9からネットワーク7を通じて所定の車外管理サーバ8の管理提供者が提供するフォームに所定の識別情報を新規IDとして入力する。そして、ユーザが契約事項を承諾することでサブスク提供事業者との間で正規の新規IDにてサブスクサービスの購入契約又は賃貸契約を締結する。このようなサブスクサービスは、有効期限付きの場合もあれば無期限の場合もある。
【0028】
すると、サブスクサービスに関する課金制機能の契約情報が車外管理サーバ8のデータベース8aにユーザと紐付けて登録される。車外管理サーバ8は、課金制機能の契約情報をデータベース8aに格納する。この課金制機能の契約情報は、DCU4のデータベース4eにも合わせて登録される。
【0029】
課金制機能の契約情報は、個人、法人、団体など車両2のユーザ毎のサブスクサービスの購入状態を示す情報である。課金制機能の契約情報には、ユーザにより様々な機能を購入した購入情報又は貸借した貸借情報、ユーザの識別情報、一定期間毎又は1回当たりの課金情報、サブスクサービスの提供期限を示す有効期限情報などが含まれる。データベース8aには、多数のユーザ毎の課金制機能の契約情報が、例えば氏名やその識別番号に紐付けて記憶されている。
【0030】
課金制機能のサブスクサービスとしては、車両用オーディオ機器の音楽配信サブスクサービス、表示装置11に表示可能にする動画配信サブスクサービスがある。その他、車室内で快適に過ごすためのシートヒータなどによる快適機能のサブスクサービスや、車両2の手動運転又は自動運転性能を変更可能にするドライブモードのサブスクサービスも挙げることができる。また、自動運転モードの運転支援又は自動運転の各レベルの機能のサブスクサービス、車両2の車室内をライトアップするサブスクサービス、なども挙げることができる。
【0031】
以下、電源投入された後の車両2の内部処理について説明する。
<車外管理サーバ8との接続が良好な場合>
イグニッションスイッチや電源ボタンなどにより運転者が電源スイッチをオン操作すると、HCU3やDCU4などに電源投入される。DCU4のネット通信部4aはネットワーク7を通じて車外管理サーバ8との接続を確立し車外管理サーバ8との間でセッションを確立する。DCU4のネット通信部4aは車外管理サーバ8との接続が途切れていない限り、DCU4はネットワーク7を通じた通信状況が良好であると判断する。このときネット通信部4aは車外管理サーバ8との間で通信可能になる。
【0032】
DCU4は、データベース4eに記憶された課金制機能の契約情報と車外管理サーバ8に記憶されたデータベース8aの課金制機能の契約情報とを認証部4bにより照合して認証を行う。
【0033】
DCU4がネット通信部4aからネットワーク7を通じて車外管理サーバ8との間で通信処理した結果、認証部4bが課金制機能の実施可否について認証できた場合には、認証に成功した旨を示す認証履歴情報をデータベース4eに記憶させる。また、DCU4が、課金制機能を実施可であると判断した場合には、実施可能であることを示す課金制機能の契約情報の確認日付等をデータベース4eに必要に応じて更新する。
【0034】
これにより、車外管理サーバ8がデータベース8aに記憶する課金制機能の契約情報と、車両2の内部のDCU4のデータベース4eに記憶される課金制機能の契約情報とは、随時更新される。この課金制機能の契約情報は、定期的、例えば、数日毎、1か月毎などにアップデートされる。
【0035】
認証部4bによる課金制機能の実施可否の認証動作について
図1Bを参照して説明する。S121において車両2が起動されると、DCU3はS122において認証部4bによりオンライン認証を実施する。また、車両2の乗員の変更指令があったときも同様に、S122において機能のオン指令を受領すると認証部4bによりオンライン認証を実施する。
【0036】
車外管理サーバ8にオンライン認証する際にはログイン情報が必要となる。仮に乗員(ユーザ)のログイン情報がDCU4のデータベース4eに登録済であった場合、又は、車両2の識別情報がログイン情報として既にDCU4のデータベース4eに登録済であった場合にはS127へ移行する。
【0037】
S124において、仮に登録済の乗員(ユーザ)でなく、且つ、識別番号が登録済の車両2でないと判断すると、DCU4は、S125において車両2の乗員にログインするようにログイン要請を報知する。ログイン要請を報知した結果、乗員はログインを試みる。乗員のIDの認証方法は、車両2の識別情報(車体番号等)の認証、前述の検出部6aの乗員モニタを用いた個人認証、個別パスワード入力による認証方法を挙げることができる。乗員がログインに成功した場合には、S124に処理を戻しS124においてYESと判定する。
【0038】
DCU4はログインした乗員の課金制機能の契約情報をデータベース4eから参照し、S127において課金制機能が有効期限内であるか否かを判定する。DCU4は、有効期限内であればS128において課金制機能をアクティベートする。逆に、有効期限内でなければ、S129において課金制機能の契約の更新を提案するように報知する。例えば、「サブスク契約の有効期限が〇月〇日に切れています。更新しますか?」などの情報を報知すると共に、更新を促すとよい。ここで、更新の承諾を得られれば、DCU4は、車外管理サーバ8との間で通信し、データベース4eやデータベース8aに記憶された契約情報を更新し有効期限を延長する。
【0039】
なお、S124においてDCU4のデータベース4eに登録済でないと判定したタイミングで、車外管理サーバ8との間で通信し、車外管理サーバ8のデータベース8aに登録された課金制機能の契約情報を照合して更新してもよい。
【0040】
<車両2の走行中など車外管理サーバ8と接続できない場合>
以下、車両2の走行中における処理動作について
図2から
図6Bを参照しながら説明する。
図2のS11において、車両2が道路を走行中、ネット通信部4aはS12においてネットワーク7を通じて車外管理サーバ8との間の接続を持続できているか否かを定期的に判断する。
【0041】
ネット通信部4aが、ネットワーク7を通じて車外管理サーバ8との間で通信処理した結果、電波受信環境が弱いなどの理由からネット接続が途切れている場合には、S13において認証部4bが課金制機能の実施可否について認証できず認証失敗と判断する。この場合、DCU4は、認証に失敗した旨の認証履歴情報をデータベース4eに記憶させる。
【0042】
DCU4は、S14においてネットワーク7の接続が途切れた結果、認証部4bによりネット通信部4aを介して課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合に代替認証する(代替認証部4cの機能)。このとき、DCU4は、車両2の側に用意された記憶部4d又は記憶部3aに記憶された情報に基づいて代替認証する(代替認証部4cの機能)。また、DCU4は、S14aにおいて代替認証により課金制機能の実施可否を判断すると、報知制御部3dにより、代替認証部4cによる課金制機能の実施可否の判断結果を乗員へ報知制御するとよい。すると、乗員は代替認証の実施結果を把握できる。
【0043】
DCU4が、認証部4bの認証に失敗した場合に課金制機能を突然停止させると運転手を驚かせてしまい運転に支障をきたす虞がある。この問題を解決するために、課金制機能が乗員の安心・安全にかかわるものである場合には、無条件で課金制機能の使用続行を認めるようにしてもよい(代替認証部4cの機能)。またDCU4が、認証部4bにより認証に失敗した場合に課金制機能の停止の判定を行うタイミングで当該課金制機能を使用中であるならば、停止の判定を行わずに無条件で課金制機能の使用の続行を認めるようにしてもよい(代替認証部4cの機能)。
【0044】
またその他、DCU4は、実施可否を判断する対象となる課金制機能が、車両2の走行に必要な機能、ユーザ(乗員)の安全のために必要な機能、又は、車両2の内部環境を快適にするための機能、のうち少なくとも1つに当てはまる場合に課金制機能を実施可能と判断して代替認証するとよい(代替認証部4cの機能)。以下、個別に説明するが、これらのうち何れか2つ以上の機能に当てはまる場合に課金制機能を実施可能と判断してもよい。
【0045】
<車両2の走行に必要な機能>
具体的には、
図3に示すように、DCU4は、S31において実施可否を判断する対象となる課金制機能が車両2の走行に必要な機能であるか否かを判断した結果、必要であると判断した場合には、S32以降の処理を代替認証部4cの機能により実施する。
【0046】
例えば、ユーザは車両2を運転する際に車両2の走行の性能を変更するため、操作入力部12によりドライブモードを設定する。ドライブモードが設定されると、走行制御系ECUがこのドライブモードに合わせた走行性能に設定して車両2を走行制御する。このドライブモードでは、ユーザが手動運転する際に操作を支援して走行制御可能にしている。標準的なノーマルモードでは操作性と快適性のバランス性能を重視したモードに予め設定されている。
【0047】
また、スポーツモードではノーマルモードに比較して加減速の応答特性を高めたモードに設定される。レースドライブモードではスポーツモードよりもさらにアクティブに加減速の応答性能を高めたモードとなる。コンフォートモードでは快適性を重視したモードとなる。
【0048】
スノーモードは、車両2の駆動性能を雪道走行する際に適したものとするモードとなっている。またエコモードではノーマルモードに比較して省燃費性能を高めたモードになる。ユーザが、これらのドライブモードを課金制機能として選択して購入又は貸借したとき、ユーザは操作入力部12の操作によりドライブモードを選択できるようになる。
【0049】
これらのドライブモードは車両2の走行に必要な機能を含む。例えば、スポーツモード、又は、レースドライブモードでは、HCU3は、ギアのシフトチェンジやアクセルワーク、ブレーキワークの見本を視覚的に表示装置11に提示し、見本に合わせてユーザにギア、アクセル、ブレーキを操作させるサービスを提供する。スノーモードでは、車両2の駆動性能を雪道走行するのに適した性能にできるサービスを提供する。
【0050】
DCU4は、これらのドライブモードを課金制機能としてネット通信部4aを通じて認証できない場合であっても、S31において車両2の走行に必要な機能と判断した場合、S32において対象の課金制機能を実施可能と判定する。
【0051】
DCU4は、S33において対象の課金制機能の重要度を判定する。この重要度は、車両2の走行に必要な度合いを示すもので、必要な機能から重要度が高く段階的に予め設定されている。重要度の情報は、記憶部4dに予め記憶されている。例えば、スノーモードは、車両2が雪道を安全に走行するのに重要度が高い機能の一つとなる。レースドライブモードは比較的趣味趣向の強いモードであるため、車両2が走行するのに重要度の低い機能の一つとなる。ここでは重要度の設定の一例を挙げたが、この重要度の順序設定に限られるものではない。
【0052】
DCU4は、S33において重要度が所定より低いと判定した場合には、S34においてユーザの操作指示による承諾を得た上で、S35において対象の課金制機能をアクティベートし課金制機能のサブスクサービスを使用可能にできる。逆に、DCU4は、対象の課金制機能の重要度が所定より高いと判定した場合には、ユーザの指示を仰ぐことなく、S35において強制的に対象の課金制機能をアクティベートし、サブスクサービスを使用可能にできる。これにより、ユーザは該当の課金制機能を使用できる。
【0053】
<ユーザ(乗員)の安全のために必要な機能>
また
図4に示すように、DCU4は、S41において実施可否を判断する対象となる課金制機能がユーザの安全のために必要な機能であるか否かを判断した結果、必要な機能であると判断した場合には、S42以降の処理を代替認証部4cにより実行する。
【0054】
例えば、車両2には手動運転及び自動運転の運転モードが設けられている。ユーザは車両2を運転する際に操作入力部12から操作入力することで車両2の運転モードを設定変更する。この運転モードが設定されると走行制御系ECUがこの運転モードに合わせて車両2を走行制御する。
【0055】
自動運転モードでは、各レベルに合わせて運転支援又は自動運転の方法が異なる。ユーザは、これらの自動運転モードの各レベルを課金制機能として購入又は貸借した場合、操作入力部12の操作によりこの運転モードを選択できる。例えば、レーダクルーズコントロール機能(LCC)、衝突防止用の緊急停止機能、アクセル踏み込み防止機能などの各機能を選択的に実施できる。
【0056】
DCU4は、これらの運転モードを課金制機能としてネット通信部4aを通じて認証できない場合であっても、
図4のS41において乗員の安全性に必要な機能と判断した場合、S42において対象の課金制機能を実施可能と判定する。
【0057】
次に、DCU4は、S43において対象の課金制機能の重要度を判定する。この重要度は、乗員の安全性に必要な度合いを示すもので、必要な機能から重要度が高く段階的に予め設定されている。重要度の情報は記憶部4dに予め記憶されている。
【0058】
例えば、衝突防止用の緊急停止機能は、安全性を考慮すると他の車両2や障害物への衝突事故を防止するために必要で重要な機能である。このため、重要度が比較的高く設定されている。アクセル踏み込み防止機能は、安全性を考慮すると障害物への衝突事故を防止するために重要な機能であるため重要度が比較的高く設定されている。レーダクルーズコントロール機能は、自らの車両2の前を走行する車両2に対し一定間隔を保持しながら追従走行を行う機能であり、緊急停止機能やアクセル踏み込み防止機能に比較して重要度が比較的低く設定されている。ここでは重要度の情報設定の一例を挙げたが、この重要度の順序設定に限られるものではない。
【0059】
DCU4は、S43において重要度が所定より低いと判定した場合には、S44においてユーザの操作指示による承諾を得た上で、S45において対象の課金制機能をアクティベートする。逆に、DCU4は、対象の課金制機能の重要度が所定より高いと判定した場合には、ユーザの指示を仰ぐことなく、S45において対象の課金制機能を強制的にアクティベートする。これにより、ユーザは該当の課金制機能を使用できる。
【0060】
対象の課金制機能が、安心・安全に関わる課金制機能であり、重要度が所定より高い機能であるか否かを、車外管理サーバ8や記憶部4dに記憶させておいてもよい。安心・安全にかかわる課金制機能であれば、DCU4は代替認証部4cにより無条件で課金制機能をアクティベートするようにしてもよい。これにより、DCU4は、課金制機能のライセンス認証に失敗したとき、認証しようとする課金制機能が、乗員の安心・安全にかかわる機能であれば、無条件でその課金制機能を実行できるようになる。
【0061】
<車両2の内部環境を快適にするための機能>
また
図5に示すように、DCU4は、S52において実施可否を判断する対象となる課金制機能が車室内の環境を快適にするための快適機能か否かを代替認証部4cにより判断する。DCU4は、快適機能に該当すると判断した場合には、S53において対象の課金制機能を実施可能と判断する。
【0062】
DCU4は、S52において車両2の内部環境を快適にするための快適機能の実施可否を判断する場合、この処理に先立ちS51において外部の環境情報を取得し、課金制機能の実施可否の判断条件に車両2の外部の環境情報を加えて代替認証することが望ましい。例えば、外部の環境情報として、温度センサにより取得される外気温の情報や、照度センサにより取得される照度情報を用いるとよい。
【0063】
DCU4は、外気温が所定の標準温度より低いと判断した場合には、エアコンディショナやシートヒータなどの暖房用の車両用機器10を用いて車室内の暖房機能を実施可能と判定する(代替認証部4cの機能)。DCU4は、外気温が所定の標準温度より高いと判断した場合には、エアコンディショナなどの冷房用の車両用機器10を用いて冷房機能を実施可能と判定する(代替認証部4cの機能)。
【0064】
また車両2の車室内をライトアップするサブスクサービスも快適機能に該当する。この場合、DCU4は、車両2の外部の環境情報として照度センサにより取得される照度情報を用いて課金制機能の実施可否を判断する(代替認証部4cの機能)。例えば、DCU4は、車外の照度が所定値より低いと判断した場合、車室内に設置されたLEDなどの照明によりライトアップすることを実施可能と判断する(代替認証部4cの機能)。逆にDCU4は、車外の照度が所定値以上と判断した場合、当該ライトアップを無効とする(代替認証部4cの機能)。
【0065】
その他、音楽配信サービスや動画、映画の配信サブスクサービスなども快適機能に該当する。DCU4は、これらの快適機能の課金制機能について、ネット通信部4aを通じて認証できない場合であっても、
図5のS52において快適にするために必要な機能に該当すると判断した場合には、S53において対象の課金制機能を実施可能と判定する(代替認証部4cの機能)。
【0066】
次に、DCU4は、S54において対象の課金制機能の重要度を判定する。この重要度は、車両2の内部環境を快適にするのに必要な度合いを示すもので、最も必要とされる機能から重要度が高く段階的に予め設定されている。重要度の情報は記憶部4dに予め記憶されている。
【0067】
例えば、快適機能の中でも車室内の冷房/暖房機能は重要度が比較的高く設定されている。車両2の車室内の照明をライトアップする機能は重要度が比較的低く設定されている。
ここでは重要度の設定の一例を挙げたが、この重要度の順序設定に限られるものではない。
【0068】
DCU4は、S54において重要度が所定より低いと判定した場合には、S55においてユーザの操作指示による承諾を得た上で、S56において対象の課金制機能をアクティベートする。逆に、DCU4は、対象の課金制機能の重要度が所定より高いと判定した場合には、ユーザの指示を仰ぐことなく、S56において強制的に対象の課金制機能をアクティベートする。これにより、ユーザは該当の課金制機能を使用できる。
【0069】
参照図面を
図2に戻して説明を継続する。DCU4は、S14において代替認証部4cによる代替認証を行った結果を取得し、S14aにおいて代替認証結果を報知する。例えば、DCU4はHCU3を通じて「代替認証に成功(又は失敗)しました。」(1回目報知情報)と表示装置11に表示させるとよい。また、DCU4は携帯端末9と通信し当該携帯端末9の表示画面に表示させてもよい。続いて、DCU4は「機能を続行します。使用可能期間は停車してエンジンを切るまでです」(2回目報知情報)と表示装置11又は携帯端末9に表示させてもよい。
【0070】
1回目の報知情報や2回目の報知情報は時系列的に続けて発信、報知してもよいし、同時に報知してもよい。またDCU4は、代替認証部4cにより機能が許可されている期間中だけ、この代替機能を表す予め定められた特殊なアイコンを表示装置11又は携帯端末9に表示させるようにするとよい。
【0071】
DCU4は、S15において代替認証部4cによる認証が全て失敗したか否かを判定する。DCU4は、代替認証部4cによる認証が全て失敗しているときには、S20において対象の課金制機能のサブスクサービスを無効化する。DCU4は、認証部4bによる認証と共に、代替認証部4cによる認証が共に失敗した場合には、HCU3はS14bにおいて特に認証失敗の理由を報知するとよい。例えば、「ネットワーク接続切れにより認証に失敗しました。」など、理由を報知するとよい。すると、車両乗員はなぜ使用できないのか納得でき、車両乗員に不信感を与えないようにサポートできる。また、ここではネットワーク接続切れについて例示したが、ネットワーク7への接続切れ以外の原因を理由として認証失敗した場合でも、その理由を報知するとよい。
【0072】
また、DCU4は、S15において代替認証部4cによる認証が全て失敗していなければ、前述の
図3~
図5を参照して説明したように、代替認証部4cによる認証により継続して課金制機能を使用可能にしている。DCU4は、代替認証部4cによる認証が完了した後も、S16において認証部4bによりネットワーク7を通じて認証が可能であるか否かを判定する。すなわち、DCU4はオンライン認証可能となったか否かを判定する。
【0073】
DCU4は、S16において認証部4bによる認証が可能になれば、S17において認証部4bによる認証又は追認されることで、S18において課金制機能をアクティベートする。つまり代替認証部4cによる課金制機能の実施可否の判断結果は、認証部4bによる認証が可能となるまで有効としている。これは認証部4bにより追認されれば代替認証部4cによる代替認証は不要となるためである。DCU4は、S17において認証部4bによる認証を行うことができなければ、S16に移行し認証可能になるまで待機し続ける。すなわち、DCU4はオンライン認証可能になるまで待機し続ける。
【0074】
例えば、DCU4は、認証部4bにより認証されないまま、車両2の電源スイッチがオフとされたことを検知した場合には、S16にてNO、S19にてYESと判定する。これにより、DCU4は、対象の課金制機能について、代替認証部4cによる代替認証が行われていた場合においても、電源スイッチがオフとされたことを条件として代替認証部4cによる代替認証を無効化する。
【0075】
つまりDCU4は、認証部4bによる認証が不可能なまま当該車両2が停止して当該車両2の電源が切断されるまで代替認証部4cによる課金制機能の実施可否の判断結果を有効としている。例えば、運転を開始する前には課金制機能が有効とされていたものの、運転中に有効期限が切れることも考えられる。
【0076】
この場合、DCU4は、車両2の運転中には無条件で課金制機能を実施可能と判断するとよい。電源スイッチが切断されると代替認証部4cによる無条件許可を解除する。そして電源スイッチが再度オンされた場合には認証部4bによる認証を必要とする。電源スイッチが再度オンされた後には、再度、認証部4bによる認証又は代替認証部4cによる代替認証が必要となり、課金制機能の契約を遵守できる。なおDCU4は、車両2が停止中であると判断した場合、認証部4bにより認証失敗したことをHCU3及び表示装置11又は携帯端末3を通じて通知し、課金制機能を即時に停止させてもよい。
【0077】
DCU4は、代替認証部4cによりGPSやタイマを用いて課金制機能の有効期限が経過したか否かを判定し課金制機能の実施可否の判断を行っても良い。また
図6Aに示すように、代替認証部4cは、データベース4eに記憶された課金制機能の認証履歴情報を実施可否の判断に使用してもよい。
【0078】
DCU4が、ネットワーク7への通信接続ができないなどの理由から、
図6AのS21において認証部4bによる認証を失敗した場合を考慮する。このとき、代替認証部4cが、データベース4eを参照し過去に遡って認証成功履歴があると判断すれば、S23において代替認証部4cによる代替認証を行い代替認証できれば、対象の課金制機能をアクティベートするとよい(S35、S45、S56参照)。
【0079】
逆に、DCU4は、過去に認証部4bにより認証が成功していない場合にはS22においてNOと判定し、代替認証部4cによる代替認証を許可しない。このとき、DCU4は、正規の認証部4bによる認証しか受け付けないようにするとよい。一度も認証に成功していない場合には、対象の課金制機能は過去に課金した実績がない機能である。このため、代替認証を許可しないようにするとよい。この結果、もともと使用できるはずのない課金制機能の不正利用を防止できる。
【0080】
図6Bに
図6Aの変形例を示している。DCU4は、
図6BのS22に示すように認証成功履歴がないと判定した場合には、S24において機能を利用できない理由を表示装置11に表示させるようにしてもよい。DCU4は、HCU3を介して表示装置11にメッセージを報知させる。このときのメッセージとしては「一度も使ったことのない機能であり、過去に認証した履歴もないため使用できません」などの理由を表示するとよい。すると、車両乗員はなぜ使用できないのか納得でき、車両乗員に不信感を与えないようにサポートできる。またDCU4は、
図6BのS25において「通信回復後に課金しますか?」などのメッセージを報知し課金するように提案しても良い。
【0081】
その他、
図7Aに示すように、DCU4は、S61において車両2が走行中であり、S62において課金制機能の実施中にも、S63において認証部4bにより課金制機能の実施可否の判断を行うとよい。DCU4は、S63において課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合、S64において車両2が走行中にも課金制機能を実施可能と代替認証部4cにより強制的に判定してもよい。
【0082】
車両2が走行中である場合、DCU4は、電波の通信状況が悪化していることを原因とした課金制機能の実施の可否の判断の失敗であると見做し、強制的に代替認証部4cによる代替認証を許可し課金制機能をアクティベートし続けるとよい。これにより、乗員は対象の課金制機能を使用し続けることができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、車外管理サーバ8との間で通信できず課金制機能のネットワーク接続が途切れた結果、認証部4bによりネット通信部4aを介して課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合に代替認証部4cにより代替認証するようにしている。このため、オフライン環境下においても代替認証できる。
【0084】
<第1実施形態の変形例>
図7Bに変形例を示している。ここでは車両2の起動時の処理を説明する。車両2のイグニッションスイッチがオンされ車両2が起動すると、DCU4は、S222において認証部4bにより認証を行い、S223において認証成功したか否かを判定する。DCU4は、認証成功したときにはS224において課金制機能をアクティベートするが、認証成功しなければS225において代替認証部4cの認証履歴を確認する。
【0085】
ここでDCU4は、前回イグニッションスイッチがオフした時点での代替認証部4cによる認証履歴を確認する。具体的には、代替認証部4cにより実施可能とされた課金制機能の利用期限が過ぎているか否かを確認する。DCU4は、例えば代替認証部4cによる代替認証が有効期限内であれば、S227にて代替認証部4cによる代替認証を実行する。これにより、課金制機能の代替機能を実現でき、乗員の利便性を向上できる。
【0086】
逆にDCU4は、S226において代替認証部4cによる代替認証が期限切れであれば、代替認証を再試行し、再試行の回数がS228において複数の所定回数を上回るまでS222から再試行を繰り返す。DCU4は何回か再試行した結果、所定回数以上、認証失敗したと判断すれば、S230において認証失敗の理由を、HCU3を介して表示装置11に表示させる。例えばHCU3は「前回の電源オフ時にも認証が失敗しており無条件で使える状態ではありません。」などのメッセージを表示装置11に表示し認証失敗の理由を乗員に伝える。これにより乗員は、課金制機能を使用できない理由を把握できる。
【0087】
またDCU4は、認証部4bによる認証が失敗したまま電源が切断され、且つ、次回、
図7BのS223~S230に示すように電源がオンされた時にも認証に失敗した場合には、DCU4は、認証部4bによる認証に失敗した機能について、認証失敗の理由と共に使用不可能であることを、HCU3及び表示装置11を通じて乗員に報知するとよい。この場合、乗員は課金制機能を使用できない理由を把握できる。
【0088】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図8から
図10Cを参照しながら説明する。第2実施形態では、課金制機能を認証できない場合には、対象の課金制機能に代替する代替機能を探索して当該代替機能を実行する形態を説明する。
【0089】
本実施形態においては、
図8に示すように、DCU4は、前記の代替機能を探索する探索部4fとしてのアプリの機能を備える。またDCU4は、認証判断部4gとしてのアプリの機能を備える。さらに、HCU3は、報知制御部3dとしてのアプリの機能を備える。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
図9に示すように、DCU4は、S71において認証部4bによりネット通信部4aを介して対象の課金制機能の実施可否を判断する。DCU4は、課金制機能を実施可能であると判断すれば、S71にてYESと判断し、S72において対象の課金制機能を実施する。
【0091】
逆にDCU4は、S71にて課金制機能の実施可否を判断した結果、S73において対象の課金制機能を実施不可能と判定すると、S74において課金制機能を無効化する。この後、DCU4は、ネットワーク7に接続可不可の原因の如何にかかわらず、S76又はS81において探索部4fにより課金制機能と使用目的と同一となる条件を満たす代替機能を実行するアプリを探索する。
【0092】
DCU4は、S75においてYESと判定しネットワーク7の通信接続切れによって課金制機能の実施不可能と認証部4bにより判断した場合、ネット通信部4aを介して接続できないと判断する。この場合、DCU4は、S76においてオフライン状態、すなわちローカル環境で探索部4fにより実施可能な代替機能のアプリを探索するとよい。ここでDCU4は、S75においてネット接続不可が原因であると判定した場合、S76において課金制機能と目的が同一の代替機能を備えたアプリをオフライン探索する。
【0093】
DCU4は車両2の内部のローカル環境にて例えばDCU4の記憶部4dに予めインストールされているアプリを探索する。代替機能を備えたアプリが記憶部4dに記憶されていれば、DCU4は代替機能を実施可能と判定する。オフライン探索する際、DCU4は、HCU3の記憶部3aにインストールされたアプリを探索するようにしてもよい。
【0094】
DCU4が、車外管理サーバ8とのネットワーク7を介して接続が成立しているにもかかわらず認証部4bにより例えば契約期間切れや個人の識別情報の認証の失敗などを原因として課金制機能を実施不可能と判断した場合にはS75においてNOと判定する。このとき、DCU4は、S81において探索部4fにより無料でも有料でも実施可能な代替機能のアプリについて車外管理サーバ8などから探索するとよい。
【0095】
つまりDCU4は、S75においてネット接続不可が原因ではなく契約期限切れや個人認証の失敗と判定した場合、S81において課金制機能と目的が同一の代替機能を備えたアプリについてネットワーク7を通じて探索する。DCU4が、探索部4fによりネットワーク7を通じて探索する際には、車外管理サーバ8からアプリを探索してもよいし、ネットワーク7を通じて他のサーバ(図示せず)からアプリを探索してもよい。このアプリは、無課金のアプリやオフラインで記憶部4dに保存されている機能と同等のアプリであってもよい。
【0096】
またDCU4は、外部端末として携帯端末4に設けられた機能から代替機能を探索部4fにより探索するようにしてもよい。探索時の通信方法は、近距離無線通信部5、9bを通じたローカル通信接続でも、ネット通信部4a、ネットワーク7を通じ接続用サーバ(図示せず)を介した通信接続であってもよい。
【0097】
ネットワーク7に接続可能な場合には、目的同一で該当する機能のアプリがあればサブスクサービスの課金制機能のアプリを対象としてもよい。この場合、DCU4は、サブスクサービスの課金制機能のアプリを使用可能か否か判断するとよい。
【0098】
したがって、代替機能を実行するアプリは、サブスクサービスの課金制機能のアプリでもよいし、一時払いの課金制機能のアプリ(所謂シェアウェア)でもよいし、無課金制機能のアプリ(所謂フリーウェア)などであってもよい。
【0099】
具体的なアプリとして、例えば、契約中の対象の課金制機能が、安心又は安全に関わる運転支援機能を有するアプリなど、車両2の運転制御機能を含む運転支援のアプリである場合には、DCU4は、探索部4fにより運転支援と目的が同一の運転制御アプリを探索する。
【0100】
契約中の対象の課金制機能が、表示装置11の表示画面に地図表示を行うと共に目的地までの案内を行うナビゲーション機能を有するアプリであれば、DCU4は、探索部4fによりタイトルの異なる地図表示アプリやその他のナビゲーション機能を備えたアプリを探索する。
【0101】
ナビゲーション機能としては、例えば、高解像度の3D地図表示や各種サービスを提供可能な場所の案内をネットワーク7上から精度よく検索する課金制機能が提供されている。その他、2D地図表示でも高解像度な地図表示を行うと共に経路案内する代替機能が提供されている。また簡略的な地図表示や簡易なシンボルのみで地理案内を行うローカルの機能が提供されている。このように機能を段階的に分けることができる。
【0102】
予め契約を保持している課金制機能の認証が困難な場合でも、DCU4は、ネット通信部4aを通じてネットワーク7から他の機能のアプリをオンラインで探索できる。またDCU4は、記憶部3a、4dに予め記憶されたアプリをオフライン探索できる。このように段階的に機能を探索できる。
【0103】
例えば、HCU3は、ナビゲーション機能のうち地図部分だけ表示不可能になった場合、DCU4が、地図部分だけをローカルの記憶部3a、4dから探索してもよい。このときHCU3は、この記憶部3a、4dからDCU4により探索された地図部分だけ読み出して使用して表示装置11の表示画面に表示するようにしてもよい。
【0104】
例えば、DCU4は、人を認証するアプリについても、段階的に機能を探索するとよい。例えば、人認証アプリは、比較的認識精度が高解像度の課金制機能もあれば、認識精度低い低解像度のローカルの機能もある。このような人認識アプリであっても同様である。
【0105】
またDCU4は、認証部4bによる認証失敗時に代替機能の実施を許可するアプリを記憶部4dに予めダウンロードして記憶しておいてもよい。すると、DCU4は、探索部4fにより代替機能の実施が許可されている代替機能を即座に探索できる。
【0106】
対象の課金制機能のアプリが、車両2の中の快適性を追求する娯楽に関する快適機能のアプリであれば、探索部4fにより目的が同一の快適機能を有するアプリを探索する。DCU4は、探索部4fにより同一のカテゴリ又はジャンルから探索するとよい。そしてHCU3が、DCU4の認証部4bにより課金制機能が実施不可能であると判断された場合、DCU4の探索部4fにより探索された代替機能のアプリを実施するとよい。
【0107】
ここで、代替機能の具体例をさらに説明する。課金制機能の代替機能は、対象の課金制機能を100%代替するものでも一部機能だけを代替するものであってもよい。通常、課金制機能は、無償のアプリよりも高性能、高性能であることが多い。このため、課金制機能の代替機能を、無償の機能のみで実現しようとしても100%再現できる可能性は低い。
【0108】
DCU4は、課金制機能を100%代替する場合には他の課金制アプリを探索して実施するとよい。例えば、他の課金制アプリとして他のオーディオアプリを探索、使用することで、音楽再生機能に加えてラジオも受信できる。DCU4は、オーディオアプリの機能が認証切れにより使用不可になったとき、別の音楽アプリを使用するとよい。この音楽アプリは、音楽再生及びラジオの受信の両方が可能なアプリを探索するとよい。
【0109】
一部機能を代替する場合には、HCU3又はDCU4の記憶部3a、4dに予めデフォルト装備されたアプリを探索したり、無償アプリをシステムから探索したり、又は、課金が認証切れの課金制機能の使用料金、又は、所定料金よりも安価な他の課金制アプリを探索して使用するとよい。
【0110】
DCU4は、一部機能を代替する場合、音楽再生機能のみでラジオの受信はできないアプリを探索して使用してもよい。課金制機能が使用できず代替機能を探索する場合に、最初から音楽再生機能のみでラジオの受信ができないアプリを探索して使用してもよい。また、一旦、一番目には音楽再生機能とラジオの機能の双方を装備したオーディオアプリを探索し、その後、双方を装備したオーディオアプリが認証切れにより使用不可になったときに、音楽再生機能のみでラジオの受信ができないアプリを探索して使用してもよい。
【0111】
この場合、探索対象となる代替機能を備えたアプリが安全又は安心に関連するアプリの場合には優先順位を高くし、その他の優先順位の低いアプリを停止し、メモリ容量の確保のために優先順位の低いと判断されたアプリを削除(削ぎ落と)しても良い。
【0112】
DCU4は、代替機能を複数使用し実施不可能と判断された課金制機能を再現するように代替機能を実施してもよい。このとき一部機能を代替できるアプリを組み合わせて代替機能を実施し課金制機能を再現してもよい。
【0113】
このとき、外部の携帯端末9と連携し、さらにアプリ間連携をしてもよい。例えば、HCU3がローカル機能3cとして音楽再生機能を実施可能に保持しており、携帯端末9がラジオ受信機能を保持しており、車外管理サーバ8が音響設定機能を保持していることもある。
【0114】
例えば、DCU4は、楽曲コンテンツデータを送受したり調停したりする場合、システム内で様々な場所に存在するアプリやデータを送受信し、さらに調整する機能をアドオンして実行するとよい。この場合、調整する機能を備えたアプリも外部の携帯端末9やアプリサーバなどから探索するようにしてもよい。
【0115】
例えば、ナビゲーション機能を備えたナビアプリとオーディオアプリを連携、調停する場合、ナビアプリにより目的地を案内する際の音量調整機能とオーディオアプリによる楽曲の音量調整機能とを調停する調停機能を備えた調停アプリを探索してもよい。例えばHCU3が、探索されたアプリをDCU4から受信し、ナビアプリやオーディオアプリと共にこの調停アプリを実行するとよい。するとHCU3は道案内や楽曲を選択的に車室内に報知でき、乗員が心地よく道案内情報を取得できると共に楽曲を楽しむことができる。ここではナビアプリとオーディオアプリの連携、調停について説明したが、様々なアプリについて調整、連携、連動できるようにするアプリを探索し、代替機能を備えたアプリとして取得するとよい。
【0116】
DCU4は、S81において探索部4fによりネットワーク7を通じて探索しても代替機能を探索できない場合、S82にてNOと判定し、S76に戻りオフライン状態で実施可能な代替機能を探索するとよい。
【0117】
代替機能のアプリを探索し、DCU4がS78において代替機能を実施可能と判定すると、S79において認証部4bによりネット通信部4aを通じて代替機能の実施可否も判断する。そしてDCU4は、認証部4bにより実施可能と判断され、S79でYESと判断された場合に、S80において代替機能のアプリをアクティベートする。その後にHCU3が代替機能のアプリを実施する。ユーザは、代替機能を利用でき、ユーザの利便性を向上できる。DCU4は、S79において認証部4bによりオンライン認証できなければ、代替認証部4cによりオフラインで代替認証するようにしてもよい。
【0118】
乗員(ユーザ)が代替機能のアプリを利用し始めると、DCU4は
図10Aに示す処理を実行する。DCU4は、S83において探索部4fにより探索された代替機能のアプリを実施する。この代替機能により課金制機能の代替を行っているとき、課金制機能が認証切れにより無効化されていることを乗員に報知し認識させるようにするとよい。この方法は、例えば、(1)該当する機能のアイコンをグレーアウトさせる方法、(2)該当する機能のアイコンをメニュー画面から消す方法、(3)画面の一部に無効化されていることを示す情報を表示する方法、などを挙げることができる。表示する情報は、文字情報でも、無効化されていることを表すマークであってもよい。
【0119】
表示装置11の表示画面の中に表示可能な情報量は限られている。HCU3は、表示装置11の表示させるアイコンを定期的に確認し、所定量より増えすぎた場合には表示情報を縮小して表示領域を確保したり重要度の低い表示情報を削除したりすることで表示情報を整理する。
【0120】
HCU3は、課金制機能のアプリの認証登録サイトへ移動するためのリンク情報を表示してもよい。課金制機能の認証切れを確認する場合、乗員が問合せ先へのリンクを選択することで、HCU3や表示装置11のブラウザ機能を利用し課金制機能の登録サイトにアクセスできる。また問合せ先の電話番号やURL、そのQRコード(登録商標)を表示してもよい。乗員は、車両2のDCU4がネットワーク7に接続できなくても、情報さえ表示されていれば、携帯端末9の通信機能を用いて対処できる可能性もある。これにより、DCU4がネットワーク7に接続不能になったとしても、乗員は携帯端末9を通じて登録サイトにアクセスでき、乗員の不安感を取り除くことができる。
【0121】
DCU4は、S83において探索部4fにより探索された代替機能のアプリを実施中にも、S84において認証部4bによる課金制機能の認証の可否を判断するとよい。DCU4は、S85において課金制機能の認証が可能と判定した場合、S86においてHCU3は代替機能のアプリの実施を中止し、S87において課金制機能をアクティベートするとよい。そしてHCU3は、課金制機能のアプリの実施を優先するとよい。これにより、代替機能のアプリを実施中でも、その途中で正規の課金制機能のアプリの認証が可能になった場合には、優先して課金制機能のアプリを実施できるようになり、ユーザの利便性を向上できる。
【0122】
逆に、一旦、HCU3が代替機能を実施した後には、サブスクサービスの課金制機能よりも代替機能を実施する優先度を上げるようにしてもよい。DCU4がこの優先度を変更したことを記憶部4dに記憶しておき、記憶部4dの優先度を参照して何れの機能を実施させるか判断するとよい。この場合、HCU3は課金制機能よりも代替機能の実施を優先するようにしてもよい。
【0123】
以上説明したように、本実施形態によれば、DCU4は、探索部4fにより代替機能を探索し認証部4bにより課金制機能が実施不可能であると判断された場合であっても、HCU3が探索部4fにより探索された代替機能を実施するようにしている。このため、車両2内からサブスクサービスの課金制機能のライセンス認証に失敗したときであっても、代替機能を用いて課金制機能のサブスクサービスと同レベル、又は、乗員が必要とする最低限のレベルの機能を実施できる。
【0124】
以下、第2実施形態の変形例について
図10B、
図10Cを参照して説明する。
<第2実施形態の変形例その1>
第2実施形態の変形例その1について
図10Bを参照して説明する。DCU4は、認証部4bにより課金制機能の実施可否を判断するが、ナビアプリが実行されているときに、電波の途切れる区間が存在しなければ(S281でNO)、通常通り課金制機能をアクティベートすればよい(S282)。しかし、ナビゲーションの道案内の経路上に電波の途切れる区間が存在することが予め認識できる場合がある(S281でYES)。ここでDCU4は、ネットワーク接続不良の発生可能性を事前に判断することで、認証部4bによる課金制機能の認証が不可能になることをあらかじめ判断している。
【0125】
このようなとき、DCU4は、経路上に電波の途切れる区間があることを事前に乗員にHCU3を介して報知した上で(S283)、代替機能を携帯端末9から探索する(S284)。そしてDCU4は、S285において代替機能が有るか否かを判定し、代替機能がある場合には、S286において特定区間において代替機能の実施を乗員に提案する。このとき、DCU4は、操作入力部12から操作入力を受け付けると乗員の回答を記憶部4dに記憶させる。
【0126】
他方、DCU4は、S285において代替機能がないと判定した場合には、S288において特定区間では課金制機能が使用不能になる可能性があることをHCU3及び表示装置11を通じて乗員に報知する。DCU4は、S289において特定区間に差し掛かっても課金制機能の認証可能であると判定すれば、そのままこのルーチンを抜け、課金制機能を通常通り実行する。逆に、DCU4は、S289において特定区間に差し掛かることで課金制機能の認証可能ではなくなったと判定すれば、S290において記憶部4dに予め記憶された乗員の回答通りの対応を実施する。
【0127】
例えば、電波が途切れるルートが設定された場合や課金制機能の有効期限が夜中の12時を回って途切れた場合、DCU4は、前述の特定区間に差し掛かっても課金制機能の認証が可能であれば通常通り実行できる。逆にDCU4は、特定区間に差し掛かることで課金制機能の認証可能ではなくなったと判定すれば、S290において記憶部4dに予め記憶された乗員の回答通りの対応を実施する。このとき、課金制機能が使用不能になっても乗員が予め設定した代替機能を実施できるようになり乗員の利便性を向上できる。
【0128】
<第2実施形態の変形例その2>
また、
図10CのようにS284において代替機能を携帯端末9から探索する前にS381~S386のように処理を実行するようにしてもよい。DCU4は、記憶部4dを参照しS381において有効期限が所定期間内(例えば、1日、2日、一週間など)の課金制機能が登録されているか否かを判定する。DCU4は、S381において有効期限が所定期間内と設定されている場合、S382において有効期限切れが近い課金制機能があることをHCU3の報知制御部3dの機能により乗員に報知する。そしてDCU4は、S383において課金制機能の期限更新を提案する。乗員が更新を肯定、すなわち更新を否定しない場合には、DCU4はS386において課金制機能の期限を更新するように車外管理サーバ8と通信すると共に記憶部4dに記憶させる。
【0129】
また、HCU3は、ナビゲーション機能によりルート設定されている場合、課金制機能の有効期限が走行中に切れることが想定される場合には、S284において代替機能を携帯端末9から探索する。その後の処理は、
図10BのS285~S290の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
このような第2実施形態の変形例によれば、ネット通信部4aは、車両2の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存している車外管理サーバ8との間でネットワーク7を介して通信し、認証部4bは、ネット通信部4aを介して課金制機能の実施可否を判断する。認証判断部4gは、ネットワーク接続不良、課金制機能の有効期限切れ、の少なくとも何れか1つの状況の発生可能性を事前に判断することで、認証部4bによる課金制機能の認証が不可能になることをあらかじめ判断している。報知制御部3dは、認証判断部4gにより認証部4bによる認証が不可能になると判断した場合に、乗員に報知を行うようにしている。
【0131】
また、DCU4は、探索部4fにより課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索し、認証判断部4gにおいてネットワーク接続不良により認証部4bの認証が不可能になると判断した場合に、報知制御部3dは探索された代替機能の実施を提案するようにしている。DCU4は、例えば、電波が途切れるルート設定がなされていた場合にネットワーク7に接続できなくなる可能性が高いと判断した場合には、長期間使用できなくなると判定し、代替機能の実施を提案している。これにより、課金制機能が長期間使用できなくなったとしても代替機能の実施を提案することで乗員にとって気の利いた提案をできるようになる。
【0132】
DCU4は、探索部4fの機能を使用する場合に代替機能の決定に乗員の嗜好を条件に加えるとよい。例えば、オーディオアプリにおいても、重低音又は高音に強い代替機能を備えたアプリを探索したり、JPOP、ジャズなどの音楽ジャンルの嗜好を強めた代替機能を備えたアプリを探索するとよい。またナビゲーション機能においては、背景色の色合いをパステル又はビビットに設定したり、これらの嗜好を予め乗員からオプション画面にて入力させたり、乗員によるオーディオ設定入力を学習するとよい。
【0133】
DCU4は、探索部4fにより代替機能を探索するが、課金制機能の有効期限切れにより認証部4bの認証が不可能になると判断した場合、報知制御部3dにより課金制機能の延長を乗員に提案するとよい。例えば、午後12時を跨いで日付が変わることで有効期限が切れたり、又は、車両2の走行途中に有効期限が切れたりする場合には、課金制機能の有効期限の延長を乗員に提案するとよい。また、一週間以内、二週間以内など比較的近い期日に期限が到来する場合においても有効期限の延長を乗員に提案することが望ましい。
【0134】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図11Aから
図13Bを参照しながら説明する。第3実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態と異なる部分について説明する。
図11Aに示すように、DCU4は、S91において認証部4bによりネットワーク7を通じて認証を行う。DCU4は、S92において認証部4bにより認証に成功したか否かを判断する。
【0135】
DCU4は、S92において認証に成功した場合には、S93において認証された正規のID(個人認証の識別情報)にて課金制機能をアクティベートする。この場合、通常通り、ユーザは課金制機能を使用できる。
【0136】
DCU4は、S92にて認証部4bによる認証に失敗した場合には、S94においてその失敗理由が通信環境の悪化を理由とした通信途絶であるか否か判定する。DCU4は、通信途絶でなければS94にてNOと判定し、個人認証の失敗であると判断する。しかし、失敗理由が通信途絶であった場合には、DCU4は、S95においてユーザに対し該当する課金制機能への追加の課金意思の有無を、HCU3を通じて表示装置11に表示したり、携帯端末9に通信したりすることで問い合わせる。例えば、1か月などのお試し期間中は試用無料で当該課金制機能や他の課金制機能を利用できる場合もある。この場合、ユーザに対しこの旨の通知を行い追加の課金意思の有無を問合せてもよい。DCU4は、所定の時間だけ操作入力部12による承認操作を受け付けない場合には、追加の課金意思があるか否かの表示を消去してもよい。
【0137】
これによりDCU4は、S96において追加の課金意思の有無の判断を行う。DCU4は、操作入力部12や携帯端末9から課金の意思表示の入力を受け付けると、S96においてYESと判定しユーザが該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断する。例えば、DCU4は、例えばクレジットカード番号などの識別情報が、車両2内の記憶部3a、4d内に予め保存されていれば、ユーザによる課金の意思とみなし自動的に追加の課金意思があると判断してもよい。
【0138】
DCU4は、S97において、近距離無線通信部5から携帯端末9を通じて例えばクレジットカード決済により追加の課金を行い、新規IDの個人認証情報を用いて課金制機能をアクティベートする。その後、HCU3などにより該当する課金制機能を実施するとよい。また、証明書が携帯端末9に保存されていれば、携帯端末9が車両2に証明書を送信することでオフラインでも認証を可能にしてもよい。
【0139】
他方、
図11AのS94において、失敗理由が通信途絶でなかった場合には、
図11Aに示すように、そのままルーチンを抜けてもよいが、
図11BのS95aに示すように、DCU4は、従来から存在する従来IDに紐付けて乗員に課金意思の追加の有無を問い合わせるとよい。そして、DCU4は、S96aにおいて乗員が課金意思を示せば、S97aにおいて従来IDにて課金制機能をアクティベートするとよい。
【0140】
乗員に課金意思があると判断され、HCU3が該当する課金制機能を実施している最中においても、DCU4は、
図12のS101においてネット通信部4aを介してオンライン認証を行う。ネットワーク7の通信環境が良好になると、DCU4は、S101において車外管理サーバ8のデータベース8aに保存されている情報を照合する。
【0141】
DCU4は、S102において該当する課金制機能を追加課金なしで利用可能であるか否かを判断する。DCU4は、S102において追加課金なしで利用可能な状態であると判断した場合には、S103において該当する課金制機能に対する追加の課金を取り消すと共に乗員による追加課金の意思判断を取り消すとよい。さらにS104において新規IDを取り消してもよい。新規IDを取り消すことは任意であり、乗員の取消意思を確認した後に取り消すとよい。その後、HCU3は、既存の正規IDにより該当する課金制機能を実施可能になる。この結果、乗員は既存の正規IDによる課金制機能を有効に活用できる。また例えば、追加で課金して使用した期間と、認証切れを起こす前の有効期限とを比較し、有効期限外であった場合には追加の課金を実施するようにしてもよい。
【0142】
DCU4は、S102でYESと判断し、例えば、二重課金であると判断した場合には返金処理を行うとよい。S103にて課金を取り消してS104にて新規ID削除処理をする場合、その旨を乗員へ表示装置11を通じて報知するとよい。このときのメッセージは、例えば「二重課金になったため返金処理を行います。」、また「すでに課金済みであったため追加課金はされませんでした。当該機能は追加課金なしで機能しています。」などとするとよい。この場合、乗員は、結局無駄に課金したのか、課金後に返金されたのか、又は、そもそも課金されていないのかを確認することができ、乗員に不安感を与えないようにできる。
【0143】
<変形例その1>
<車両停車中、自動運転中、又は車両走行中における乗員によるボタン操作と表示装置11の表示画面内容について>
例えば、
図11AのS94において認証部4bによる認証の失敗理由が通信途絶である場合には、乗員に追加で課金意思を問い合わせることになる。また、
図11BのS94において認証部4bによる認証の失敗理由が通信途絶によらなかったとしても、S95aにおいて乗員に追加で課金意思を問い合わせることになる。
【0144】
例えば
図11Cに示すように、HCU3は、表示装置11の表示画面上に問合せ表示Pを示し乗員に操作入力を促す。例えば、
図11Cに示す例では、「使用中のアプリの承認に失敗しました。追加の課金を行いますか?「はい」、「いいえ」」と表示し、操作入力を促している。また同時に、HCU3は、ナビアプリの動作中の地図画面Mの中央にエクスクラメーションマークを表示することで警告し、問合せ表示Pに乗員の注目を向けている。この場合、操作入力部12による何らかの操作入力が必要となる。
【0145】
車両2の停車中、自動運転中、又は手動運転中に操作入力部12を通じて所定のボタン「はい」が乗員により押下された場合には、追加の課金を行い、課金制機能をアクティベートした上で、HCU3は、
図11Cに示すように表示画面上から問合せ表示Pを消去する。
【0146】
また、車両2の手動運転中などには、操作入力部12を通じて所定のボタン「はい」が乗員により押下されない場合もある。この場合、
図11Aに示す処理ルーチンではいつまでたっても課金制機能をアクティベートできないことになる。このような場合、
図11DのS96a~S96cに示すように、HCU3が、操作入力部12により所定時間だけ操作指示を受け付けないと判断した場合に、問合せ表示Pを削除するとよい。この画面遷移の一例を
図11Eに示している。
【0147】
所定時間経過しても課金意思が操作入力されない場合、
図11DのS96cにおいて期限切れの課金制機能の一覧を表示装置11の表示画面にポップアップにより報知してもよい。このときの画面例を
図11Fに示している。
図11Fの上欄に示すように、HCU3は、地図画面Mの上にエクスクラメーションマークの警告表示を残しつつ、「認証切れアプリ一覧」ボタンの問合せ表示P2を表示することで乗員による操作入力を一旦促すとよい。そしてHCU3は、認証切れアプリ一覧の問合せ表示P2が操作入力されたことを検出すると、DCU4はデータベース4eを参照し、HCU3はデータベース4eに記憶されている期限切れの課金制機能を選択して表示画面上に表示する。
図11Fの下欄参照。
【0148】
所定時間経過しても課金意思が操作入力されない場合、HCU3は、
図11Fの上欄のような認証切れアプリ一覧の問合せ表示P2を表示することなく、
図11Fの下欄に示すように、認証切れアプリの一覧を表示装置11の表示画面上に直接表示させるようにしてもよい。
【0149】
HCU3は、課金制機能の必要有無を選択的に乗員に判断させるようにしてもよい。このときHCU3は、「有効化する」旨を示す問合せ表示P3を表示し、この問合せ表示P3が押下されれば選択的に課金制機能を有効化、すなわちアクティベートするとよい。ここでは、それぞれの課金制機能について、課金された期間やその履歴情報を表示するようにしてもよい。
【0150】
<変形例その2>
<特に車両走行中における課金意思表示と表示装置11の表示画面内容について>
特に運転手は、手動運転などで車両走行中に追加の課金の意思を示しにくい。例えば、DCU4が、乗員に対し追加の課金意思を問い合わせるときに詳細な問合せを必要としてしまう場合、何度も操作入力を必要とすることがある。
【0151】
例えば、クレジットカードのカード番号情報や有効期限(課金方法)や、課金制機能を追加する際に必要な有効期限や有効回数などの課金条件について数字や設定ボタンなどを少なくとも連続して二回以上操作入力する場合である。ここでの課金方法は、例えばクレジットカードのカード番号や有効期限の情報などを示す。また課金条件は、例えば1日、1週間、1か月、3か月、6か月、又は1年を単位とした課金期間の条件や、車両2の起動中1回分、3回分などの回数条件などを挙げることができる。このような場合、車両2に乗車中の乗員、特に運転者が何度も操作入力することが好ましくない。そこで、一回のボタン操作入力を受け付けることで全ての認証を行うようにするとよい。
【0152】
このときの操作入力部12の操作ボタンは、表示装置11の表示画面上に表示するアイコンであってもステアリングホイール等に設置されている物理ボタンであってもよい。アイコンの場合には、通常の表示装置11の表示画面には表示されていない。HCU3は、アイコンを緊急時にのみ表示画面上に表示し、乗員が、このアイコンをタップすることでタッチパネルにより操作入力を受け付けることになる。特に、アイコンは「走行中に緊急で乗員に操作を求めるとき」のみ表示されるように構成されているとよい。
【0153】
また例えば、ステアリングホイールの周辺に設置されている物理ボタンは、通常時にはその機能が割り当てられていない。HCU3は、走行中に緊急で乗員に操作を求めるときのみ、表示装置11の表示画面に物理ボタンの役割を表示しつつ、物理ボタンの押し込み結果を操作入力部12の操作入力結果として課金意思の決定とするとよい。
【0154】
特に、緊急時に承認を要求する際には、認証部4bによる認証が既に切れていることを条件として物理ボタンやアイコンによる操作入力を受け付けるようにするとよい。別途、課金用の確認ボタンを用意する必要はない。これにより、例えば物理ボタンやアイコンが操作入力された時点で、例えば、
図11AのS94の条件を満たしている場合に、S95、S96の処理を割愛して即座にS97にて課金制機能をアクティベートできる。また、例えば、
図11BのS94の条件を満たしていないと判断した場合に、S95a、S96aの処理を割愛して即座にS97aにて課金制機能をアクティベートできる。
【0155】
また、様々な認証を予め設定しておくことで前述の課金方法や課金条件を含めた課金意思を予めHCU3を通じて記憶部3aやDCU4の記憶部4dに設定しておいてもよい。又は、課金方法や課金条件を含めた課金意思を携帯端末9に設定しておいてもよい。例えば、HCU3がオプション設定画面を表示し、乗員に操作入力部12から課金方法や課金条件を操作入力させてもよい。携帯端末9が表示画面にオプション設定画面を表示し、乗員に課金方法や課金条件を操作入力させてもよい。
【0156】
このように予め課金意思が記憶部3a、4d又は携帯端末9に記憶されていれば、DCU4はこの課金意思の情報をローカル又はネットワーク7を通じて参照し、様々な認証を行うことなく課金意思ありと判断できる。この場合も、課金意思が記憶部3a、4d又は携帯端末9に予め設定されていれば、例えば
図11AのS94の条件を満たしている場合に、S95、S96の処理を割愛して即座にS97にて課金制機能をアクティベートできる。また例えば、
図11BのS94の条件を満たしていないと判断した場合に、S95a、S96aの処理を割愛して即座にS97aにて課金制機能をアクティベートできる。
【0157】
<変形例その3>
DCU4は、認証部4bによるオンライン認証に失敗した場合に限らず、代替認証部4cによるオフラインの代替認証に失敗した場合に、該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思有無の判断を行ってもよい。
【0158】
図13Aに示すように、DCU4は、S111において認証部4bによりネットワーク7を通じて認証を行う。DCU4は、S112において認証部4bにより認証に成功したか否かを判断する。
【0159】
DCU4は、S112において認証に成功した場合には、S113において認証された正規のID(個人認証の識別情報)にて課金制機能をアクティベートする。この場合、通常通り、ユーザは課金制機能を使用できる。
【0160】
DCU4は、S112にて認証部4bによる認証に失敗した場合には、S114においてその失敗理由が通信環境の悪化を理由とした通信途絶であるか否か判定する。DCU4は、通信途絶でなければS114にてNOと判定し、個人認証の失敗であると判断しそのままルーチンを抜ける。しかし、失敗理由が通信途絶であった場合には、DCU4は、S115において代替認証部4cにより認証部4bの認証を代替する。DCU4は、代替認証部4cによる認証に失敗した場合に、S117においてユーザに対し該当する課金制機能への追加の課金意思の有無を問い合わせる。
【0161】
この場合、DCU4は、近距離無線通信部5の通信を利用して携帯端末9から問合せるとよく、これによりS118において追加の課金意思の有無の判断を行う。DCU4は、携帯端末9から課金の意思表示の入力を受け付けると、S118においてYESと判定しユーザが該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断する。DCU4は、S119において例えばクレジットカード決済などを用いて追加の課金を行い、新規のID(個人認証情報)を用いて課金制機能をアクティベートする。その後、HCU3などにより該当する課金制機能を実施するとよい。また、
図13Bに示すように、DCU4は、S118aにおいて所定時間経過しても課金意思を示さない場合には、S118bにおいて問合せ表示Pを消去し、S118cにおいて期限切れの課金制機能の一覧を表示するようにしてもよい。また<変形例その1>に示した処理と同様の処理を実行してもよい。
【0162】
以上説明したように、本実施形態によれば、DCU4は、認証部4bによる認証に失敗した場合に該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思の有無の判断を行っている。そして、DCU4は、乗員が該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断した場合、該当する課金制機能の実施を可能とするようにしている。このため、乗員の要望に応えることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0163】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
前述実施形態では、DCU4が主体として認証処理を実行する形態を示したが、その一部又は全部の処理、機能を他の車載器(例えば、HCU3)が実行するようにしても良い。また逆に、HCU3に搭載されている機能を他の車載器(例えば、DCU4)が実行するようにしても良い。
【0164】
本開示に記載のHCU3又は他のDCU4による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載のHCU3及びDCU4による手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0165】
各実施形態における各機能の技術を組み合わせて処理するようにしてもよいし、各実施形態間の技術を組み合わせて処理するようにしてもよい。
その中でも、本開示の第1態様によれば、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[11]
車両の乗員が実施可能な課金制機能に関する情報を保存しているサーバ(8)との間でネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、前記ネット通信部を通じて前記課金制機能の実施可否について認証する認証部(4b)と、前記ネット通信部を通じて前記サーバに接続できない場合に前記認証部の認証を代替する代替認証部(4c)と、を備え、前記代替認証部は、前記サーバとの接続が途切れた結果、前記認証部が前記ネット通信部を介して前記課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合に代替認証する車両用認証システム。
【0166】
[12]
前記代替認証部は、実施可否を判断する対象となる課金制機能が、前記車両の走行に必要な機能、乗員の安全のために必要な機能、又は、前記車両の内部環境を快適にするための機能、のうち少なくとも1つに当てはまる場合に前記課金制機能を実施可能と判断して代替認証する[11]の車両用認証システム。
【0167】
[13]
車両の外部の環境情報を取得する外部環境取得部(6)を備え、前記代替認証部は、前記車両の内部環境を快適にするための快適機能の実施可否を判断する場合には、前記課金制機能の実施可否の判断条件に前記車両の外部の環境情報を加えて代替認証する[11]又は[12]の車両用認証システム。
【0168】
[14]
前記車両が走行中であり、前記課金制機能の実施中に前記認証部による前記課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合、前記代替認証部は、前記課金制機能を実施可能と判定する[11]から[13]の何れかの車両用認証システム。
【0169】
[15]
前記乗員へ報知を行う報知制御部(3d)をさらに備え、
前記代替認証部は、前記代替認証により前記課金制機能の実施可否を判断すると、前記報知制御部は、前記代替認証部による課金制機能の実施可否の判断結果を前記乗員へ報知制御する[11]から[14]の何れかの車両用認証システム。
【0170】
[16]
前記代替認証部による課金制機能の実施可否の判断結果は、前記認証部による認証が可能となるまで、又は、前記認証部による認証が不可能なまま当該車両が停止して当該車両の電源が切断されるまで有効とする[11]から[15]の何れかの車両用認証システム。
【0171】
[17]
前記乗員へ報知を行う報知制御部(3d)をさらに備え、前記認証部による認証が失敗したまま電源が切断され、且つ、次回、電源がオンされた時にも認証に失敗した場合には、前記報知制御部は、認証部による認証に失敗した機能について使用不可能であることを乗員に報知する[16]の車両用認証システム。
【0172】
[18]
車両は課金制機能の認証履歴情報を保存する認証履歴情報保存部を備え、前記代替認証部は、前記課金制機能の認証履歴情報を実施可否の判断に使用する[11]から[17]の何れかの車両用認証システム。
【0173】
[19]
ネット通信部(4a)が車両の乗員が実施可能な課金制機能に関する情報を保存しているサーバ(8)との間でネットワークを介して通信する過程と、認証部(4b)が前記ネット通信部を通じて前記課金制機能の実施可否について認証する過程と、代替認証部(4c)が、前記ネット通信部を通じて前記サーバに接続できない場合に前記認証部の認証を代替する過程と、を備え、前記代替認証部は、前記ネットワーク接続が途切れた結果、前記認証部が前記ネット通信部を介して前記課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合に代替認証する車両用認証方法。
【0174】
[20]
車両用認証システムに、ネット通信部(4a)により車両の乗員が実施可能な課金制機能に関する情報を保存しているサーバ(8)との間でネットワークを介して通信する手順と、認証部(4b)により前記ネット通信部を通じて前記課金制機能の実施可否について認証する手順と、代替認証部(4c)により前記ネット通信部を通じて前記サーバに接続できない場合に前記認証部の認証を代替する手順と、を備え、前記ネットワーク接続が途切れた結果、前記認証部が前記ネット通信部を介して前記課金制機能の実施可否の判断に失敗した場合に前記代替認証部により代替認証する手順、を実行させる車両用認証プログラム。
【0175】
本開示の第2態様によれば、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[21]
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)と、前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を実施する制御部(3)と、を備える車両用制御システム。
【0176】
[22]
前記認証部が、前記ネットワークの通信接続切れにより前記課金制機能の実施不可能と判断した場合、前記探索部は、オフライン状態で実施可能な前記代替機能を探索する[21]に記載の車両用制御システム。
【0177】
[23]
前記認証部が、前記サーバとのネットワークを介した接続が成立しているにもかかわらず前記課金制機能の実施不可能と判断した場合、前記探索部は、実施可能な前記代替機能について前記サーバを通じて探索する[21]又は[22]の車両用制御システム。
【0178】
[24]
前記探索部は、前記ネットワークを通じて探索しても前記代替機能を探索できない場合、オフライン状態で実施可能な前記代替機能を探索する[21]から[23]の何れかの車両用制御システム。
【0179】
[25]
前記認証部は、前記代替機能の実施可否も判断し、前記制御部は、前記認証部により実施可能と判断された場合に前記代替機能を実施する[21]から[24]の何れかの車両用制御システム。
【0180】
[26]
前記探索部は、外部端末に設けられた機能から代替機能を探索する[21]から[25]の何れかの車両用制御システム。
[27]
前記制御部は、前記代替機能を複数使用し、前記実施不可能と判断された前記課金制機能を再現するように代替機能を実施する[21]から[26]の何れかの車両用制御システム。
【0181】
[28]
前記代替機能を実施中に、前記認証部による前記課金制機能の実施が可能となった場合、前記制御部は前記代替機能の実施を中止し、前記課金制機能の実施を優先する[21]から[27]の何れかの車両用制御システム。
【0182】
[29]
前記代替機能が実施された場合には、前記課金制機能よりも前記代替機能を実施する優先度を上げ、前記制御部は前記課金制機能よりも前記代替機能の実施を優先する[21]から[28]の何れかの車両用制御システム。
【0183】
[30]
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、
前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、
ネットワーク接続不良、前記課金制機能の有効期限切れ、の少なくとも何れか1つの状況の発生可能性を事前に判断することで、前記認証部による前記課金制機能の認証が不可能になることをあらかじめ判断する認証判断部(4)と、を備え、
前記認証判断部が、前記認証部による認証が不可能になると判断した場合に、乗員に報知を行う報知制御部(3)を備える車両用制御システム。
【0184】
[31]
前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)、をさらに備え、
前記認証判断部が、前記ネットワーク接続不良により前記認証部の認証が不可能になると判断した場合に、前記報知制御部は前記探索された代替機能の実施を提案する[30]の車両用制御システム。
【0185】
[32]
前記探索部は、前記代替機能の決定に乗員の嗜好を条件に加える[31]の車両用制御システム。
【0186】
[33]
前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する探索部(4f)、をさらに備え、
前記認証判断部が、前記課金制機能の有効期限切れにより前記認証部の認証が不可能になると判断した場合、
前記報知制御部は前記課金制機能の延長を乗員に提案する[30]から[32]の何れかの車両用制御システム。
[34]
ネット通信部が車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信する過程と、認証部が前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する過程と、探索部が前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する過程と、制御部は、前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を実施する過程と、を備える車両用制御方法。
【0187】
[35]
車両用制御システムに、ネット通信部により車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとの間でネットワークを介して通信する手順と、認証部により前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する手順と、探索部により前記課金制機能と使用目的と同一である代替機能を探索する手順と、前記認証部により前記課金制機能が実施不可能であると判断された場合に、前記探索された代替機能を制御部により実施する手順と、実施させる車両用制御プログラム。
【0188】
本開示の第3態様によれば、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[41]
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバ(8)とネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、前記課金制機能を実施可能にする制御部(3)と、を備え、前記認証部による認証に失敗した場合に該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思有無の判断を行い、前記制御部は、乗員が前記該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断した場合、前記該当する課金制機能の実施を可能とする車両用制御システム。
【0189】
[42]
前記認証部による乗員の課金意思があると判断され、前記該当する課金制機能を実施している場合、前記制御部は、前記ネット通信部を介してオンライン認証を行い前記サーバに保存されている情報を照合し、前記該当する課金制機能を追加課金なしで利用可能な状態であると判断した場合には、前記該当する前記課金制機能に対する追加の課金を取り消しつつ、前記該当する課金制機能を実施する[41]の車両用制御システム。
【0190】
[43]
乗員により追加の課金意思がある旨の承認操作を受け付ける操作入力部を設ける請求項[41]又は[42]の車両用制御システム。
【0191】
[44]
前記追加の課金意思があるか否かを表示する報知制御部を備え、
前記報知制御部は、前記操作入力部により前記承認操作を所定の時間受け付けないときに前記追加の課金意思があるか否かの表示を消去する[41]から[43]の何れかの車両用制御システム。
【0192】
[45]
前記報知制御部は、前記操作入力部により前記承認操作を受け付けなかった一覧、又は、期限切れの課金制機能の一覧、をポップアップにより表示させる[41]から[44]の何れかの車両用制御システム。
【0193】
[46]
車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバ(8)とネットワークを介して通信するネット通信部(4a)と、前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する認証部(4b)と、前記課金制機能を実施可能にする制御部(3)と、を備え、前記認証部による認証に失敗した場合に前記認証部の認証を代替する代替認証部(4d)を備え、前記代替認証部は、前記代替認証部による代替認証に失敗した場合に該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思有無の判断を行い、前記制御部は、乗員が前記該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断した場合、前記該当する課金制機能の実施を可能とする車両用制御システム。
【0194】
[47]
ネット通信部が車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとネットワークを介して通信する過程と、認証部が、前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する過程と、制御部が課金制機能を実施する過程と、を備え、前記認証部は、前記認証部による認証に失敗した場合に該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思有無の判断を行い、前記制御部は、乗員が前記該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断した場合、前記該当する課金制機能の実施を可能とする車両用制御方法。
【0195】
[48]
車両用制御システムに、ネット通信部が車両の乗員が実施可能な課金制機能の情報を保存しているサーバとネットワークを介して通信する手順と、認証部が、前記ネット通信部を介して課金制機能の実施可否を判断する手順と、制御部が課金制機能を実施する手順と、を実行させる車両用制御プログラムであり、前記認証部は、前記認証部による認証に失敗した場合に該当する課金制機能への乗員の追加の課金意思有無の判断を行い、前記制御部は、乗員が前記該当する課金制機能に対して追加の課金意思があると判断した場合、前記該当する課金制機能の実施を可能とする車両用制御プログラム。
【0196】
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0197】
図面中、1は車両用認証システム(車両用制御システム)、3はHCU(制御部)、4はDCU、4aはネット通信部、4bは認証部、4cは代替認証部、4dは記憶部、4fは探索部、6は外部情報取得部、8は車外管理サーバ(サーバ)を示す。