(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127755
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コード読み取り器及び該コード読み取り器を駆動するためのコンピュータ実行型の方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240912BHJP
G10L 17/04 20130101ALI20240912BHJP
G10L 17/00 20130101ALI20240912BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20240912BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240912BHJP
【FI】
G06K7/10 176
G06K7/10 428
G10L17/04
G10L17/00 200D
G10L17/00 400
G10L15/22 460D
G10L15/22 460Z
G10L15/00 200L
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007399
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】10 2023 105 668.9
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライヒェルト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光学コードを読み取るコード読み取り器及びそれを駆動するためのコンピュータ実行型の方法を提供する。
【解決手段】その機能に容易にアクセスして該機能を安全に変更するコード読み取り器1は、コード読み取り器の読み取り領域2を照らすための照明ユニット3、読み取り領域からコードを検出する受信ユニット4、コードの情報を確定するための評価ユニット5及びユーザの声の音響信号を捕らえるための音声ユニット6を備える。評価ユニットは、捕らえた声を権限のあるユーザの個人の声として学習して保存し、その結果、前記声が権限のあるユーザの個人化された声aVとして保存されているという音声学習プロセスを実行し、個人化された声を権限のあるユーザの声として認識する音声認識プロセスを実行し、権限のあるユーザの個人化された声により、コード読み取り器の所定の機能が呼び出されたことが認識された場合にのみ、所定の機能を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学コードを読み取るためのコード読み取り器(1、1A)であって、
コード読み取り器(1、1A)の読み取り領域(2、2A)を照らすための照明ユニット(3)、
前記読み取り領域(2、2A)からコードを検出するための受信ユニット(4)、
前記コードの情報を確定するための評価ユニット(5)、及び、
ユーザ(aN又はN)の声(aV、V)を捕らえるための音声ユニット(6)
を備え、
前記評価ユニット(5)が、声(aV又はV)を権限のあるユーザ(aN)の個人の声(aV)として学習して保存し、その結果、前記声(aV)が前記権限のあるユーザ(aN)の個人化された声(aV)として保存されている、という音声学習プロセスを実行するように構成されており、
該評価ユニット(5)が更に、前記個人化された声(aV)を前記権限のあるユーザ(aN)の声として認識する音声認識プロセスを実行するように構成されているとともに、更に、前記権限のあるユーザ(aN)の前記個人化された声(aV)が認識された場合にのみコード読み取り器(1、1A)の機能を実行するように構成されている、コード読み取り器(1、1A)。
【請求項2】
前記評価ユニットが更に、所定の発話シーケンス、パスワード又は指紋により前記ユーザ(aN)への権限付与が確認された場合にのみ前記音声学習プロセスを開始するように構成されている、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項3】
前記権限付与を実行するためにマイクロホン(7)又は指紋センサ(8)が設けられている、請求項2に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項4】
前記所定の発話シーケンスがコード読み取り器(1、1A)の前記評価ユニット(5)に保存されており、前記音声認識プロセスにより前記権限のあるユーザ(aN)の声を再認識又は学習するために備えられている、請求項2に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項5】
前記権限のあるユーザ(aN)に許可される前記所定の機能がコード読み取り器(1、1A)の測定の開始若しくは停止又はコード読み取り器(1、1A)の設定を含んでいる、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項6】
前記権限のあるユーザ(aN)の声(aV)を機械学習し、該権限のあるユーザ(aN)の声(aV)を他のユーザ(N)、特に権限のないユーザ(N)の声から区別するための、人工知能が設けられている、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項7】
前記音声認識プロセスが、認識された声(aV)の優先順位付けを実行し、様々な優先順位を付けたコード読み取り器(1、1A)の機能を前記声の優先順位に応じて関連付けるように構成されている、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項8】
学習されて個人化された声(aV)がコード読み取り器(1、1A)の記憶装置に保存可能であり、他のコード読み取り器(1、1A)の評価ユニット(5)へ伝送可能である、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項9】
前記評価ユニット(5)が、前記権限のあるユーザ(aN)に対し、前記音声認識プロセスの実行が成功したかどうかを聴覚的又は視覚的に示すように構成されている、請求項1に記載のコード読み取り器(1、1A)。
【請求項10】
ユーザ(aN、N)の声(V又はaV)の音響信号を捕らえるための音声ユニット(6)を備えるコード読み取り器(1、1A)を駆動するためのコンピュータ実行型の方法であって、
前記ユーザ(aN、N)の発話シーケンスを捕らえ、
権限のあるユーザ(aN)の声(V)を個人の声(aV)として学習し、その声(aV)を個人化された声(aV)として保存し、そして、
前記個人化された声(aV)に関連付けられた前記権限のあるユーザに対して前記コード読み取り器(1、1A)の所定の機能を許可し、そして、
ある機能呼び出しが前記個人化された声(aV)を用いた言葉の命令として前記音声ユニット(5)により捕らえられたときに前記所定の機能を実行する
という各ステップを含む、コンピュータ実行型の方法。
【請求項11】
ユーザ(aN)への権限付与を確認して声の個人化を開始するために、所定の発話シーケンス、パスワード又は指紋を取得する、請求項10に記載のコンピュータ実行型の方法。
【請求項12】
前記声(V、aV)を人工知能で機械学習することで、学習済みの音声パターンに基づいて様々な声(V、aV)を区別する、請求項10に記載のコンピュータ実行型の方法。
【請求項13】
前記コード読み取り器(1、1A)の測定運転又は設定を前記個人化された声(aV)で開始又は終了させる、請求項10に記載のコンピュータ実行型の方法。
【請求項14】
前記権限のあるユーザ(aN)の前記個人化された声(aV)をデータセットとして保存し、それを他のコード読み取り器(1、1A)に送り、その結果、それら他のコード読み取り器(1、1A)の前記所定の機能が当該権限のあるユーザ(aN)に許可される、請求項10に記載のコンピュータ実行型の方法。
【請求項15】
認識された声(V、aV)を区別して、その声(V、aV)に異なる優先順位を付与し、優先順位を付与した声(aV)に対してそれに対応する前記コード読み取り器(1、1A)の所定の機能へのアクセス権を与える、請求項10~14のいずれかに記載のコンピュータ実行型の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の光学コードを読み取るためのコード読み取り器、及び、請求項10に記載の前記コード読み取り器を駆動するためのコンピュータ実行型の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコード読み取り器は日常の多くの領域で光学コードから情報データを読み取るために用いられており、その光学コードはバーコード、2次元コード(例えばQRコード、データマトリクスコード)又は他のコード(例えば色コード、ドットコード)等の形で形成することができる。これに関連してコード読み取り器は該コード読み取り器の読み取りフィールド乃至は光学コードを光にさらすために照明ユニットを備えている。更に該コード読み取り器は光学コードから反射される光を受ける働きをする受信ユニットを備えており、その結果、コード読み取り器の読み取りフィールドを通過するように光学コードを移動させると該コードを検出することができ、その受信光から、光学コードの情報データを確定するための信号を生成することができる。
【0003】
このようなコード読み取り器は、例えば小売り部門ではスーパーマーケットのレジに、また物流では荷物の自動識別、郵便物の仕分け、空港での荷物の取り扱い、及び他の物流用途においてしばしば用いられる。
【0004】
コード読み取り器がユーザにより起動されるとき、又は、例えば光学コードの種類が変わったりパラメータを設備の経過に合わせたりするためにコード読み取り器に対して適合化を行う必要があるとき、普通は、コード読み取り器に適切に新たなパラメータを設定してコード読み取り器の設定を変更するために、コード読み取り器への適切な接続を有するコンピュータが必要となる。
【0005】
コード読み取り器は、例えばベルトコンベア付近や物流の高層棚式倉庫内のように、使用に応じた取り付けがなされるため、コード読み取り器へ容易に且つ邪魔されずに接近できることが常に保証されるわけではない。
【0006】
更に、権限のないユーザがコード読み取り器の設定にアクセスすると、コード読み取り器の完璧な稼働が危うくなる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
故に本発明の課題は、光学コードを読み取るためのコード読み取り器であって、容易に且つそれでも(権限があるという意味で)安全にアクセスできるようにすることで、該機器に対して容認された変更を実行できるようなコード読み取り器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は請求項1に記載の特徴を有するコード読み取り器により解決される。
【0009】
本発明に係る光学コードを読み取るためのコード読み取り器は、該コード読み取り器の読み取り領域を照らすための照明ユニットと、前記読み取り領域からコードを検出するための受信ユニットと、コードの情報を確定するための評価ユニットと、ユーザの声の音響信号を捕らえるための音声ユニットとを備え、前記評価ユニットは、捕らえた声を権限のあるユーザの個人の声として学習して保存し、その結果、前記声が前記権限のあるユーザの個人化された声として保存されている、という音声学習プロセスを実行するように構成されており、該評価ユニットは更に、前記個人化された声を前記権限のあるユーザの声として認識する音声認識プロセスを実行するように構成されているとともに、更に、前記権限のあるユーザの前記個人化された声により前記コード読み取り器の所定の機能が呼び出されたことが認識された場合にのみ、当該機能を実行するように構成されている。
【0010】
従って、前記音声認識プロセスによりコード読み取り器は権限のあるユーザの個人化された声を所定の機能に一義的に関連付けることができ、その結果、その権限のあるユーザだけが自分の声でコード読み取り器のそれら所定の機能を呼び出したり実行したりできる。
【0011】
好ましい一実施例では、前記音声学習プロセスが、ユーザへの権限付与を所定の発話シーケンス、パスワード又は指紋により学習するように構成されている。これに関して、音声学習プロセスの開始時に権限付与を実行するために、特にマイクロホン又は指紋センサが設けられている。正しい発話シーケンス、正しいパスワード又は正しい指紋が確認されたら、ユーザは権限のあるユーザとして識別される。
【0012】
更に、特に前記所定の発話シーケンスがコード読み取り器の制御装置内に保存され、音声認識プロセスによって権限のあるユーザの声を再認識又は学習するために備えられる。これに関連して、コード読み取り器の音声認識プロセスは、権限付与の対象のユーザに対し、所定の発話シーケンスを再現するよう要求する。
【0013】
所定の発話シーケンスがユーザにより再現されたら、音声認識プロセスは該所定の発話シーケンスに基づいて該ユーザの声の学習又は再認識を行う。
【0014】
再認識の場合、権限のあるユーザの保存された声と捕らえた声との比較が行われる。一致が確認されたら、捕らえた声は権限のあるユーザの個人化された声として認識され、所定の機能が該個人化された声に対して許可される。
【0015】
権限のあるユーザの声を機械学習し、該権限のあるユーザの声を他のユーザ、特に権限のないユーザの声から区別する人工知能が設けられていれば有利である。この人工知能は音声認識プロセスに統合されてコード読み取り器の制御装置に保存されており、ユーザにより再現される発話シーケンスの機械学習を行い、権限のあるユーザを学習済みの声に関連付けることで、該ユーザがその声によって権限のあるユーザとして認識可能になる。
【0016】
別の好ましい実施例では、権限のあるユーザに許可される前記所定の機能がコード読み取り器の測定の開始若しくは停止又はコード読み取り器の設定を含んでいる。
【0017】
前記音声認識プロセスが、認識された声の優先順位付けを実行し、様々な優先順位を付けたコード読み取り器の機能を前記声の優先順位に応じて関連付けるように構成されていれば有利である。これは、権限のある専門家に関連付けられた声が、例えばコード読み取り器の安全指向ではない機能及び安全指向の機能を有効又は無効にすることができる、ということである。無権限のユーザに関連付けられた声は、例えばコード読み取り器の情報を表示する機能を有効又は無効にすることしかできず、コード読み取り器の設定という優先順位の高い機能は有効又は無効にできない。
【0018】
更に、学習されて個人化された声がコード読み取り器の記憶装置に保存可能であり、他のコード読み取り器の評価ユニットへ伝送可能であるようにすれば好ましい。特に、学習して個人化された声はクラウドに又はコード読み取り器の外部にある記憶装置にも保存することができる。このようにすれば、あるコード読み取り器において音声認識プロセスを実行し、権限のあるユーザの認識された声を他のコード読み取り器へ伝送したり、権限のあるユーザの声をクラウド又は外部記憶装置から他のコード読み取り器へ伝送したりすることにより、ある権限のあるユーザのアクセス権をその声によって測定システムの複数のコード読み取り器に用意することが容易になる。
【0019】
好ましい一実施例では、評価ユニットが、前記権限のあるユーザに対し、音声認識プロセスの実行が成功したかどうかを聴覚的又は視覚的に示すように構成されている。これによりユーザは、コード読み取り器の所定の機能(例えば機器設定)を自分が利用できるかどうか即座に分かる。
【0020】
本願発明の別の課題は、コード読み取り器の機能に容易にアクセスして該機能を安全に変更することを可能にする、コード読み取り器を駆動するためのコンピュータ実行型の方法を提供することである。
【0021】
この課題は、本発明に従って、独立請求項10に記載の特徴を有するコンピュータ実行型の方法により解決される。
【0022】
ここでは、ユーザの声の音響信号を捕らえるための音声ユニットを備えるコード読み取り器を駆動するためのコンピュータ実行型の方法が、
ユーザの発話シーケンスを捕らえ、
権限のあるユーザの声を個人の声として学習し、その声を個人化された声として保存し、そして、
前記個人化された声に関連付けられた権限のあるユーザに対してコード読み取り器の所定の機能を許可し、そして、
ある機能呼び出しが前記個人化された声を用いた言葉の命令として前記音声ユニットにより捕らえられたときに前記所定の機能を実行する
という各ステップを含んでいる。
【0023】
このコンピュータ実行型の方法によれば、稼働場所のせいで接近が難しいコード読み取り器でも容易に設定することができる。とりわけ、権限のあるユーザの個人化された声だけがその声に対して許可された機能を有効又は無効にする、ということが保証される。ここで、その声に関連付けられて許可される機能は例えばコード読み取り器の安全指向の機能である。
【0024】
好ましい一実施例では、ユーザへの権限付与を確認して声の個人化を開始するために、所定の発話シーケンス、パスワード又は指紋を取得する。前記声を人工知能で機械学習することで、学習済みの音声パターンに基づいて様々な声を区別することが有利である。これに関連して、音声認識プロセスはユーザに所定の発話シーケンスを再現するよう要求する。声が認識され、権限のあるユーザに関連付けられたら、その声に対して許可された所定の機能を該権限のあるユーザの声により有効又は無効にできるようになる。特に、コード読み取り器の測定運転又は設定を権限のあるユーザの個人化された声で開始又は終了させる。
【0025】
コンピュータ実行型の方法により個人化された、権限のあるユーザの声をデータセットとして保存し、それを他のコード読み取り器に送り、その結果、それら他のコード読み取り器の前記所定の機能が当該権限のあるユーザに許可される。これにより、権限のあるユーザは、測定システムの、互いに網状に接続された複数のコード読み取り器に容易にアクセスし、とりわけ機器設定を行うことができる。
【0026】
認識された声を区別して、その声に異なる優先順位を付与し、優先順位を付与した声に対してそれに対応するコード読み取り器の所定の機能へのアクセス権を与えることが有利である。これは例えば、コード読み取り器の機能のうち安全に関わる優先順位の高い機能(例えば機器設定)は優先順位の高い権限のあるユーザの声に関連付けられる又は許可される、ということである。コード読み取り器の機能のうち安全に関わらない機能(例えば情報の表示)は優先順位の低い無権限のユーザの声に対して許可され又は関連付けられ、その結果、無権限のユーザをコード読み取り器の設定から確実に排除することができる。
【0027】
本発明の好ましい構成及び発展形態並びに更なる利点は、従属請求項、後続の記述及び図面から読み取ることができる。
【0028】
以下、本発明について、実施例に基づき、図面を参照しながら詳しく説明する。図の内容は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】ベルトコンベア用の測定システムの概略斜視図。
【
図3】本発明に係るコード読み取り器の音声認識プロセスの好ましい実施例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1はベルトコンベアFを概略的に示しており、その上で荷物Pが黒い矢印で示した搬送方向TRに例えば図示せぬ仕分け機まで搬送される。図示したベルトコンベアFの応用例は2台のコード読み取り器1及び1Aを含んでいる。コード読み取り器1及び1Aは、該コード読み取り器1及び1Aの読み取り領域2及び2Aを通って搬送される荷物Pを捕らえるために、それぞれの読み取り領域2及び2AがベルトコンベアFの方を向くようにベルトコンベアFの近くに配置されている。
【0031】
ここで、各々のコード読み取り器1又は1Aの使用事例と設定に応じて、コード読み取り器1及び1Aは荷物Pに付したコードMから同じ情報又は異なる情報をユーザN又はaNのために取得することができる。
【0032】
図1に描いた応用例において、荷物Pの搬送方向TRに関してベルトコンベアFの最初の部分に配置された第1のコード読み取り器1は、上面OにあるコードMを検出するものである。第1のコード読み取り器1よりも後ろに配置された第2のコード読み取り器1Aは側面にあるコードMを検出するものである。ここで、コードMはステッカーの表面にバーコード又は2次元コードとして形成されている。
【0033】
読み取り領域2又は2Aを用意するため、本発明に係るコード読み取り器1又は1Aは、
図2に概略的に描いたように、コード読み取り器1又は1Aの読み取り領域2又は2Aを照らす照明ユニット3と、読み取り領域2又は2Aからコードを検出する受信ユニット4とを備えている。コードの情報はコード読み取り器1又は1Aの評価ユニット5が確定する。
【0034】
本発明に従って、ユーザN又はaNの声V又はaVを音響的に捕らえる音声ユニット6が設けられている。その音響信号は評価ユニット5に送られる。該ユニットは、音声学習プロセスを実行することで、捕らえた声Vを権限のあるユーザaNの個人の声aVとして認識して保存し、その結果、その声Vが権限のあるユーザaNの個人化された声aVとして保存されるように構成されている。これに関して、権限のあるユーザaNの個人化された声aVを機械学習し、その後、認識プロセスにおいてその権限のあるユーザaNの個人化された声aVを他のユーザ、特に権限のないユーザNの声Vから区別する人工知能を設けることが非常に有利である。人工知能は好ましくは評価ユニット5内に保存されている。
【0035】
権限のあるユーザaNの声が学習された後は、後続の音声認識プロセスにおいて、ある声Vを権限のあるユーザaNの個人化された声aVとして認識することができる。そうして権限のあるユーザaNが認識されたら、コード読み取り器1又は1Aの所定の機能がロック解除される、即ち、それを呼び出したり実行したりできる。もっとも、そうなるのはその機能に対応する言葉の命令も前記権限のあるユーザaNが発した場合のみである。従って、機能のロック解除がユーザベースで行われるだけでなく、機能の実際の(実行を伴う)呼び出しもその権限のあるユーザaNだけのために行われる。
【0036】
特に、権限のあるユーザaNに対して許可される機能はコード読み取り器1又は1Aの測定の開始若しくは停止又はコード読み取り器1又は1Aの設定を含むものとすることができる。
【0037】
言い換えれば、音声認識プロセスは、権限のあるユーザaNに対し、言葉の命令でまずコード読み取り器1又は1Aの設定にアクセスすることを可能にする。それは、音声認識プロセスがコード読み取り器1又は1Aの設定機能を権限のあるユーザaNの個人化された声aVに関連付けて許可したからである。他方で音声認識プロセスはまた特定の機能のための言葉の命令を権限付きで実行することをも可能にする。加えて、その言葉の命令は、権限のあるユーザaNがコード読み取り器1又は1Aのハードウェア要素を有効化又は無効化できるようにすることができる。ここで、そのハードウェア要素は例えばコード読み取り器1又は1Aのキーボード若しくはボタン又は通信インターフェイス(USBやSDカードのスロット等)を含む。従って、自らの学習された声aVを用いて、権限のあるユーザaNは言葉の命令によって操作ボタンをロック解除したり、操作から保護したりできる。
【0038】
更に、音声学習プロセスは、所定の発話シーケンス、パスワード又は指紋によるユーザNへの権限付与を開始するように構成されている。特に、権限のあるユーザaNとしてのユーザNへの権限付与が音声学習プロセスの開始時に実行されることになる。そのために好ましくはマイクロホン7又は指紋センサ8が設けられており、これを用いてユーザNへの権限付与を実行できる。
【0039】
図1に示したベルトコンベアFの応用例の場合のように、権限のあるユーザaNは、コード読み取り器1がベルトコンベアFの上方に取り付けてあるにも関わらず、言葉の命令でコード読み取り器1の設定機能を呼び出すことによって容易にコード読み取り器1の設定を実行することができる。
【0040】
以下、
図3に基づき、本発明に係る、コード読み取り器1及び1Aを駆動するためのコンピュータ実行型の方法の好ましい一実施例を説明する。
【0041】
ユーザN又はaNが、例えば、コード読み取り器1又は1Aの評価ユニット5内に保存された命令を該コード読み取り器1又は1Aに伝えることにより、音響的にコード読み取り器1又は1Aを有効化する。
【0042】
コード読み取り器1又は1Aはその命令を認識し、評価ユニット5内に保存された音声認識プロセスを起動する。すると、コード読み取り器1又は1AはユーザN又はaNに対し、発話シーケンス若しくはパスワードの再現又は指紋のスキャンにより自らの権限付与を証明するよう要求する。ここで、その発話シーケンス、パスワード又は指紋は評価ユニット5に保存されている。
【0043】
要求された発話シーケンスが捕らえられず、よってユーザNが権限付与を示さなかったら、コード読み取り器1又は1Aの音声認識プロセスは捕らえたユーザNの声Vを無権限のユーザNの声Vとして学習する。そうすると、無権限と認識されたユーザNは自分の声Vでコード読み取り器1又は1Aを有効にしてその情報を表示させることができる。しかし、ユーザNは優先順位の高い機能、特に安全に関わる機能(例えばコード読み取り器1又は1Aの設定等)にアクセスすることはできない。
【0044】
発話シーケンス、パスワード又は指紋が正しくコード読み取り器1又は1Aへ伝えられて、権限付与が認識されたら、コード読み取り器1又は1Aの音声認識プロセスが、権限ありと認識されたユーザaNに対し、所定の発話シーケンスを繰り返すよう要求する。
【0045】
音声認識プロセスは所定の発話シーケンスを再現する声を権限のあるユーザaNの個人の声aVとして認識し、関連付ける。その結果、その声aVは個人化される。ここでは特に、その個人化された声aVが人工知能で機械学習されるか、権限のあるユーザaVの保存された音声パターンとの比較により再認識される。これにより、様々な声V又はaVが学習済みの音声パターンに基づいて互いに区別される。
【0046】
コード読み取り器1又は1Aの少なくとも1つの所定の機能が、前記個人化された声aVに関連付けられた権限のあるユーザaNに許可される。その所定の機能は、ある言葉の命令が前記個人化された声aVで音声ユニット6により捕らえられたときに実行される。特に、コード読み取り器1又は1Aの測定運転又は設定が前記個人化された声aVで開始又は終了される。
【0047】
これは、権限のあるユーザaNが自分の個人化された声aVで言葉の命令によりコード読み取り器1又は1Aの所定の機能を開始及び終了させることができる、ということである。特に、権限のあるユーザaNは、例えば
図1に描いたようにコード読み取り器1又は1Aへ邪魔されずには接近できない場合でも、コード読み取り器1又は1Aの設定を行うことができる。特に、許可されるコード読み取り器1又は1Aの所定の機能は、例えばキーボード、ボタン、又は通信インターフェイス(特にUSB又はSDカードのスロット)といったハードウェア要素を言葉の命令により有効又は無効にすることをも含むことができ、そうすれば権限のあるユーザaNはそうしたハードウェア要素を言葉の命令により例えば操作から保護することができる。
【0048】
好ましくは、権限のあるユーザaNの個人化された声aVを別のコード読み取り器1Aへ伝送可能なデータセットとして保存することで、所定の機能が前記別のコード読み取り器1Aでも前記権限のあるユーザaNに対して許可されるようにする。このようにすれば、権限のあるユーザaNは別のコード読み取り器1Aでも前記機能を自分の声aVで有効又は無効にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A…コード読み取り器
2、2A …コード読み取り器の読み取り領域
3…照明ユニット
4…受信ユニット
5…評価ユニット
6…音声ユニット
7…マイクロホン
8…指紋センサ
aN…権限のあるユーザ
aV…個人化された/権限のある声
F…ベルトコンベア
M…コード
N…ユーザ
O…上面
P…荷物
TR…搬送方向
V…声
【外国語明細書】