(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127765
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ルーバー
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20240912BHJP
F21V 11/02 20060101ALI20240912BHJP
F21V 11/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E04F10/08
F21V11/02 300
F21V11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013863
(22)【出願日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2023035258
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000112185
【氏名又は名称】ビニフレーム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 彰啓
(72)【発明者】
【氏名】有倉 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】鷹休 将樹
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA01
2E105CC03
2E105DD05
2E105FF13
2E105FF26
2E105FF32
2E105FF45
2E105GG11
(57)【要約】
【課題】羽板材を並べて構成したものであって、屋外からの目線や日光を遮蔽する機能と、日光を採り込んで屋内を明るくすることができる機能を併せ持ったルーバーを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の羽板材を備え、前記の複数の羽板材が上下に間隔を空けて並べて配置されたものであって、前記羽板材は、中空形状であって、上面部および下面部と、少なくとも前記上面部および前記下面部に囲まれた羽板空間部とを有しており、前記上面部の表面に、光を反射する反射面が設けられており、前記下面部の表面に、光を吸収する吸収面が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽板材を備え、前記の複数の羽板材が上下に間隔を空けて並べて配置されたものであって、
前記羽板材は、中空形状であって、上面部および下面部と、少なくとも前記上面部および前記下面部に囲まれた羽板空間部とを有しており、
前記上面部の表面に、光を反射する反射面が設けられており、
前記下面部の表面に、光を吸収する吸収面が設けられていることを特徴とするルーバー。
【請求項2】
基礎材を備え、
前記基礎材は、中空形状であって、躯体に対して直接的または間接的に固定される固定部と、前記羽板材が接続される接続部と、少なくとも前記固定部および前記接続部に囲まれた基礎空間部とを有しており、
前記羽板材は、前記接続部と接続される被接続部を有するものであることを特徴とする請求項1記載のルーバー。
【請求項3】
基礎材を備え、
前記基礎材は、躯体に対して直接的または間接的に固定される固定部と、前記羽板材が接続される接続部とを有しており、
前記羽板材は、前記接続部と接続される被接続部を有するものであって、前記羽板材の長手方向軸周りに角度が可変であることを特徴とする請求項1記載のルーバー。
【請求項4】
前記接続部が、前記羽板材の長手方向から見て、前記基礎材の外周側に向けて凸である円弧状であり、
前記被接続部が、前記羽板材の長手方向から見て、前記羽板材の内周側に向けて凸である円弧状であって、前記接続部に密接するものであることを特徴とする請求項2または3記載のルーバー。
【請求項5】
前記反射面が、曲面状であることを特徴とする請求項1、2または3記載のルーバー。
【請求項6】
前記羽板材が、アルミ製のものであり、前記反射面および前記吸収面が、前記羽板材の表面に対する加工により形成されたものであることを特徴とする請求項1、2または3記載のルーバー。
【請求項7】
前記下面部と前記吸収面とが、インサート成形により一体に成形されているものであることを特徴とする請求項1、2または3記載のルーバー。
【請求項8】
前記反射面および前記吸収面が、それぞれ前記羽板材の表面に設けられたフィルムまたはシートからなるものであることを特徴とする請求項1、2または3記載のルーバー。
【請求項9】
前記羽板材の見込方向長さが、上下に並ぶ前記羽板材の配置間隔よりも短いものであることを特徴とする請求項1、2または3記載のルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の開口部の屋外側に設置されるルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の窓などの開口部の屋外側に、ルーバーが設置される場合がある。一般的なルーバーは、細長い板状の羽板が間隔を空けて並べられたものであり、羽板の角度や羽板同士の間隔を調整することで、屋外からの目線や日光をどの程度遮断するのかを適宜設定するものである。すなわち、従来のルーバーは、日光を積極的に採り込むものではなく、設置することで採光量が減少し、屋内が暗くなることはやむを得ないものとされていた。
【0003】
これに対し、特許文献1に示す採光装置のように、ルーバーからなる日射遮蔽部材と板状の光屈折部材を組み合わせて、日射遮蔽部材により直射日光を遮蔽しつつ、光屈折部材により日光を屈折させて屋内に採り込むものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の採光装置は、ルーバー(日射遮蔽部材)とは異なる構造の光屈折部材を組み合わせたものなので、ルーバーのみからなるものよりも費用がかかる点や、光屈折部材の部分の見た目が明らかにルーバーの部分と異なり、外観の一体性が損なわれる点が問題であった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、羽板材を並べて構成したものであって、屋外からの目線や日光を遮蔽する機能と、日光を採り込んで屋内を明るくすることができる機能を併せ持ったルーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の羽板材を備え、前記の複数の羽板材が上下に間隔を空けて並べて配置されたものであって、前記羽板材は、中空形状であって、上面部および下面部と、少なくとも前記上面部および前記下面部に囲まれた羽板空間部とを有しており、前記上面部の表面に、光を反射する反射面が設けられており、前記下面部の表面に、光を吸収する吸収面が設けられていることを特徴とする。ここで、反射面と吸収面については、上面部の表面の方が下面部の表面よりも光の反射率が高いものとなっており、相対的に反射率が高い上面部の表面を反射面と称し、相対的に反射率が低い下面部の表面を吸収面と称するものである。
【0008】
また、本発明は、基礎材を備え、前記基礎材は、中空形状であって、躯体に対して直接的または間接的に固定される固定部と、前記羽板材が接続される接続部と、少なくとも前記固定部および前記接続部に囲まれた基礎空間部とを有しており、前記羽板材は、前記接続部と接続される被接続部を有するものであってもよい。
【0009】
また、本発明は、基礎材を備え、前記基礎材は、躯体に対して直接的または間接的に固定される固定部と、前記羽板材が接続される接続部とを有しており、前記羽板材は、前記接続部と接続される被接続部を有するものであって、前記羽板材の長手方向軸周りに角度が可変であってもよい。角度は、連続的に可変なものであってもよいし、段階的に可変なものであってもよい。
【0010】
また、本発明は、前記接続部が、前記羽板材の長手方向から見て、前記基礎材の外周側に向けて凸である円弧状であり、前記被接続部が、前記羽板材の長手方向から見て、前記羽板材の内周側に向けて凸である円弧状であって、前記接続部に密接するものであってもよい。
【0011】
また、本発明は、前記反射面が、曲面状であってもよい。なお、反射面が曲面状であるものには、反射面の全体が曲面状であるものと、反射面の一部が曲面状で他部が平面状であるものの両方を含む。
【0012】
また、本発明は、前記羽板材が、アルミ製のものであり、前記反射面および前記吸収面が、前記羽板材の表面に対する加工により形成されたものであってもよい。なお、羽板材の表面に対する加工とは、羽板材の表面を研磨・切削することや、羽板材の表面に着色することを含む。
【0013】
また、本発明は、前記下面部と前記吸収面とが、インサート成形により一体に成形されているものであってもよい。
【0014】
また、本発明は、前記反射面および前記吸収面が、それぞれ前記羽板材の表面に設けられたフィルムまたはシートからなるものであってもよい。
【0015】
また、本発明は、前記羽板材の見込方向長さが、上下に並ぶ前記羽板材の配置間隔よりも短いものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、並べて配置された羽板材によって屋外からの目線や日光を遮蔽するものであって、羽板材の上面部に反射面を設けたことにより、上方からの日光を反射させ、屋内の天井側に向けて照射することで、屋内を明るくすることができる。また、羽板材の下面部に吸収面を設けたことにより、屋外の地面で反射された下方からの日光が吸収される。反射面によって日光が採り込まれることで、熱も屋内に採り込まれることになるが、その一方で下方からの日光とともに熱が採り込まれることを防いで、全体として屋内に採り込まれる熱の量が抑制される。そして、反射面を設けた上面部と吸収面を設けた下面部の間に羽板空間部が形成されているので、吸収面で吸収された熱が反射面に伝わることがなく、熱により反射面が変形するなどの影響を及ぼすことがない。
【0017】
また、羽板材が取り付けられる基礎材を備え、基礎材が中空形状であるものであれば、羽板材の吸収面で吸収された熱が躯体側へ伝わることを防ぐことができる。
【0018】
また、羽板材が取り付けられる基礎材を備え、羽板材が羽板材の長手方向軸周りに角度が可変であれば、このルーバーの設置場所による太陽高度の違いや、その他種々の環境の違いに応じて、適宜羽板材の角度を設定して、日光の採り込みおよび遮蔽の量を調整できる。
【0019】
また、接続部と被接続部が円弧状で相互に密接するものであれば、簡易な構成で、基礎材に対する羽板材の角度を可変なものとすることができる。
【0020】
また、反射面が曲面状のものであれば、反射面において日光が様々な方向に反射されるので、反射光が屋内の広い範囲に照射される。
【0021】
また、羽板材がアルミ製のものであり、反射面および吸収面が羽板材の表面に対する加工により形成されたものであれば、反射面および吸収面を容易に形成することが可能であって、また加工の種類を選択することで反射率や吸収率などの特性を容易に変更できる。
【0022】
また、下面部と吸収面とがインサート成形により一体に成形されているものであれば、耐候性が高いものとなり、下面部から吸収面がはがれるようなことがない。
【0023】
また、反射面および吸収面がそれぞれ羽板材の表面に設けられたフィルムまたはシート(以下フィルム類)からなるものであれば、反射面および吸収面を容易に形成することが可能であって、またフィルム類の種類を選択することで反射率や吸収率などの特性を容易に変更できる。
【0024】
また、羽板材の見込方向長さが上下に並ぶ羽板材の配置間隔よりも短いものであれば、羽板材の上面部の反射面で反射した日光が、その上側の羽板材の下面部の吸収面で吸収されてしまう割合を低く抑えて、効率的に日光を採り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ルーバーの第1実施形態の羽板材および基礎材部分の拡大縦断面図である。
【
図3】ルーバーの第1実施形態の縦断面図であり、(a)は
図2のA-A線断面図、(b)は
図2のB-B線断面図である。
【
図4】第1実施形態の羽板材による光の反射および吸収についての説明図である。
【
図5】ルーバーの第2実施形態の羽板材の拡大縦断面図である。
【
図6】第2実施形態の羽板材による光の反射および吸収についての説明図である。
【
図7】ルーバーの第3実施形態および第4実施形態の羽板材の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のルーバーの具体的な内容について説明する。このルーバーは、種々の場所に設置して用いられるものであるが、ここでは第1実施形態として、集合住宅の一壁面を覆うように設置されるものを示す。そして、第1実施形態において、ルーバー100の羽板材1は、このルーバー100を設置した集合住宅の一壁面を正面視したときの左右方向、すなわち
図2の図面上の左右方向に延在するものである。また、屋外側を前側、屋内側を後側とし、以下、これらの前後左右方向に基づいて説明する。
【0027】
図2および
図3に示すように、このルーバー100が設置される集合住宅の一壁面には、各階に前側(屋外側)に張り出すバルコニーBが設けられており、バルコニーBに面して掃き出し窓Wが設けられている。バルコニーBの前側の端部には、転落防止のための手すりHが設けられている。そして、手すりHの前側に、ルーバー100が設けられている。
【0028】
図1~
図3に示すように、ルーバー100は、左右方向に延びる複数の羽板材1と、左右方向に延びる複数の基礎材2と、上下方向に延びる複数の縦桟3を備える。縦桟3は左右に等しい間隔を空けて並べて配置されており、各縦桟3が手すりHの前側に取り付けられている。より詳しくは、手すりHの上部と下部にそれぞれ前側に向けて突出するブラケット4が取り付けられており、上下のブラケット4の前側端部に縦桟3が取り付けられている。また、縦桟3は上下の各階の手すりHに跨って取り付けられている。そして、基礎材2が上下に間隔を空けて並べて配置されており、各基礎材2が縦桟3の前側に取り付けられている。さらに、羽板材1が上下に間隔を空けて並べて配置されており、羽板材1が各基礎材2の前側に取り付けられている。
【0029】
ただし、ルーバー100の、掃き出し窓Wに対向する位置には、開口部101が形成されている。より詳しくは、開口部101は正面視して矩形であって、左右幅は掃き出し窓Wと略同じであり、上下高さは屋内に立つ人の目線の高さに相当する範囲(たとえば、屋内の床面から1.6mの高さ位置を中心として上下それぞれ0.5mの範囲)の高さとなっている。これにより、開口部101の上端の高さ位置は、上階のバルコニーBの下面から0.5m程度下側の位置となっており、すなわち、縦桟3が下側に向けて上階のバルコニーBの下面から0.5m程度下側の位置まで延びていて、そこに基礎材2および羽板材1が取り付けられている。また、開口部101の下端の高さ位置は、手すりHの上端の高さ位置と略同じであり、すなわち、縦桟3が上側に向けて手すりHの上端の高さ位置まで延びていて、そこに基礎材2および羽板材1が取り付けられている。さらに、開口部101の左右端にはそれぞれ縦桟3が位置しており、その縦桟3の位置で左右に延びる基礎材2および羽板材1が途切れている。
【0030】
縦桟3は、上下方向に延びる断面L字形のアルミ形材からなるものであり、
図1に示すように、左右方向に対して平行な見付壁面31と、見付壁面31の左右方向の一端(
図1では左端)から後側に向けて延びる見込壁面32からなるものである。そして、見込壁面32が、手すりHに取り付けられたブラケット4の前側端部に固定されている。また、見付壁面31には、後述のボルト26を通すためのボルト孔33が形成されている。ボルト孔33は、上下方向に等間隔で並んで複数形成されており、基礎材2の取付位置に対応している。
【0031】
基礎材2は、
図1に示すように、内側部材2aと外側部材2bの2部材からなるものである。内側部材2aと外側部材2bは、何れも左右方向に延びるアルミ形材からなるものである。内側部材2aは、縦桟3の見付壁面31と平行な向きの板状の固定部21と、固定部21の後側面の上部と下部に形成された左右に延びる溝部24を有する。溝部24は、後側に向けて開口しており、開口側に向けて拡幅する形状である。また、固定部21の後側面は、上下の溝部24の間部分が、それ以外の部分(上側の溝部24の上側部分および下側の溝部24の下側部分)よりも後側に突出している。さらに、固定部21の上下方向中心であって左右方向については各縦桟3に対応する位置に、雌ネジ部25が形成されている。一方、外側部材2bは、左右方向から見て円弧状の接続部22を有する。接続部22は、基礎材2の外周側に向けて凸である円弧状であって、上下に対称であり、180°よりやや大きい範囲にわたって延びる略C字状のもので、後側に向けて開口する向きである。また、外側部材2bは、接続部22の上下の後側の端部から上下方向中央側に向けて延びる延出片27と、延出片27の上下方向中央側の端部から前側に向けて突出する係止片28を有する。
【0032】
そして、外側部材2bの上下の係止片28が、内側部材2aの上下の溝部24に係止している。さらに、見付壁面31のボルト孔33と固定部21の雌ネジ部25が連通するように、内側部材2aが縦桟3の直前に位置していて、後側からボルト26をボルト孔33に通し雌ネジ部25に螺合させてある。ボルト26によって、内側部材2aの固定部21が縦桟3の見付壁面31に引き寄せられて、固定部21が見付壁面31に固定されるとともに、固定部21が内側部材2aの延出片27を見付壁面31に対して押し付けるかたちとなり、外側部材2bと内側部材2aが固定される。なお、縦桟3はブラケット4を介して手すりHに固定されており、手すりHはバルコニーBを構成する躯体に固定されているので、固定部21は間接的に躯体に対して固定されている。
【0033】
このようにして内側部材2aと外側部材2bにより構成される基礎材2は、固定部21と接続部22に囲まれた基礎空間部23を有する中空形状である。内側部材2aは外側部材2bの内側に納まり、前側からは視認できないものとなる。そして、接続部22には、後述のとおり羽板材1が接続される。
【0034】
羽板材1は、後述のとおり基礎材2に対する左右方向(羽板材1の長手方向)軸周りの取付角度が可変なものであるが、ここでは、
図1の上側の羽板材1の状態、すなわち後述の上面部11および下面部12の後端が水平向きである状態に基づいて説明する。この状態を羽板材1の基準状態として、前後方向(水平方向)に対する傾きが0°であるとする。羽板材1は、
図1に示すように、左右方向に延びる2つのアルミ形材、すなわち上側部材1aと下側部材1bからなるものである。
【0035】
上側部材1aは、上面部11と、被接続部13と、先端部15と、後縁部16と、被係合部19aを有している。上面部11は、左右方向から見て、前端部以外が水平向きの平面状のものであり、前端部が前側に向けて徐々に上向きの傾斜角度が大きくなるものであって上側に向けて凹となる曲面状のものである。ただし、上面部11の水平面に対する最大傾斜角度(上面部11の前端の傾斜角度)は15°程度である。被接続部13は、左右方向から見て、羽板材1の内周側に向けて凸である円弧状であり、上面部11の後端から下側に向けて延びている。円弧の中心角は略90°であり、羽板材1の傾きが0°である状態において、被接続部13は略上下対称の形状である。被接続部13の外周面の曲率は、基礎材2の接続部22の外周面の曲率と同じであり、被接続部13は接続部22に密接するものである。先端部15は、上面部11の前端に連続するものであって、左右方向から見て、上面部11の前端から下側に向けて湾曲し、さらに後下側に向けて延びる形状である。ただし、先端部15の前後長さは、上面部11の湾曲部分の前後長さよりも短いものである。後縁部16は、上面部11の後端に連続するものであって、上面部11の後端から後側に向けて延びるものである(後縁部16は被接続部13よりも後側に位置する部分である)。被係合部19aは、前後の2箇所に形成されている。前側の被係合部19aは、先端部15の後端から上向きで垂直よりやや後側に向けて延びている。後側の被係合部19aは、被接続部13の下端から前側に向けて延び、屈曲して上向きで垂直よりやや前側に向けて延びている。
【0036】
下側部材1bは、下面部12と、後縁部16と、係合部19bを有している。下面部12は、左右方向から見て、後端部以外が前側に向けて徐々に上向きの傾斜角度が大きくなるものであって下側に向けて凸となる曲面状のものであり、後端部が水平向きの平面状のものである。後縁部16は、下面部12の後端に連続するものであって、下面部12の後端から後側に向けて延びるものである(後縁部16は、後述のように上側部材1aと下側部材1bが係合した状態において、被接続部13よりも後側に位置する部分である)。係合部19bは、前後の2箇所に形成されている。前側の係合部19bは、下面部12の前端から上向きに延びるものであって、上端部が先細りでかつ前側に突出する三角形状となっている。後側の係合部19bは、下面部12の後端よりやや前側の位置(曲面状の部分と平面状の部分の境界)から上向きに延びるものであって、上端部が先細りでかつ後側に突出する三角形状となっている。前後の係合部19bの位置は、それぞれ上側部材1aの前後の被係合部19aの位置に対応している。
【0037】
そして、このように形成された上側部材1aと下側部材1bとが係合している。より詳しくは、上側部材1aの前側の被係合部19aに、下側部材1bの前側の係合部19bが係合し、上側部材1aの後側の被係合部19aに、下側部材1bの後側の係合部19bが係合している。前後の何れにおいても、被係合部19aの上向きに延びた部分の先端が、係合部19bの三角形状の部分に引っ掛かるかたちとなる。これらを係合させる際には、上側部材1aに対して下側部材1bを下側から取り付けることになるが、上側部材1aの前後の被係合部19aの上向きに延びた部分が内側(前側の被係合部19aにおいて後側、後側の被係合部19aにおいて前側)に傾斜しているので、下側部材1bの係合部19bが傾斜にガイドされるかたちとなり、係合させやすくなっている。上側部材1aと下側部材1bとが係合した状態において、上側部材1aの先端部15の後端と下側部材1bの下面部12の前端は、左右方向から見て、傾斜角度が同じで略連続的につながるかたちとなる。また、上側部材1aの後側の被係合部19aの前側に向けて延びる部分が、下側部材1bの後端部の水平向きの部分に当接している。そして、上側部材1aと下側部材1bが組み合わさった羽板材1全体としては、前側に向けて先細りでかつ先端部分が上側に向けて湾曲する形状であって、上面部11、下面部12、被接続部13および先端部15に囲まれた羽板空間部14が形成された中空形状である。
【0038】
なお、上側部材1aと下側部材1bは、何れも電解着色によりその表面の全体が着色されたものであって、上側部材1aは白色、下側部材1bは黒色に着色されている。よって、上側部材1aの上面部11の表面(上面)は、白色であるから光を反射する反射面5となっており、下側部材1bの下面部12の表面(下面)は、黒色であるから光を吸収する吸収面6となっている。反射面5の形状は上面部11の形状そのものであり、すなわち前端部以外が水平向きの平面状のものであり、前端部が前側に向けて徐々に上向きの傾斜角度が大きくなるものであって上側に向けて凹となる曲面状のものである。また、吸収面6の形状は下面部12の形状そのものであり、すなわち後端部以外が前側に向けて徐々に上向きの傾斜角度が大きくなるものであって下側に向けて凸となる曲面状のものであり、後端部が水平向きの平面状のものである。そして、反射面5は、入射した光の少なくとも半分以上を反射するものである。吸収面6は、入射した光の少なくとも半分以上を吸収するものである。
【0039】
そして、この羽板材1が、基礎材2に取り付けられている。
図1に示すように、基礎材2の接続部22に対して羽板材1の被接続部13が密接している。また、基礎材2の接続部22に対して羽板材1の上下の後縁部16の後端も当接している。ここで、接続部22の外周面の曲率と被接続部13の外周面の曲率が同じであるから、両者が密接した状態のまま、羽板材1の左右方向(羽板材1の長手方向)軸周りの角度を変えることができる。すなわち、基礎材2に対する羽板材1の左右方向軸周りの取付角度は、連続的に可変なものである。第1実施形態においては、基準状態から上下にそれぞれ最大25°まで傾けることができる。たとえば、
図1の下側の羽板材1は、上側に25°傾けた状態である。そして、基礎材2に対する取付角度が定められた羽板材1について、接続部22と被接続部13とがネジ止めされて接続される。より詳しくは、基礎材2の接続部22の前端(上下方向中心)にネジ孔29が形成されており、羽板材1の被接続部13の取付角度に対応する位置に雌ネジ部17が形成されていて、後側からネジ18をネジ孔29に通し雌ネジ部17に螺合させてある。
【0040】
なお、
図1に示すように、基準状態における羽板材1の見込方向長さDが、上下に並ぶ羽板材1の配置間隔Tよりも短いものとなっている。第1実施形態においては、羽板材1の見込方向長さDは、羽板材1の配置間隔Tの略4/5の値となっている。
【0041】
このように構成された本発明のルーバー100の第1実施形態による、光の反射および吸収について説明する。
図4に示すように、このルーバー100は、並べて配置された羽板材1によって屋外からの目線や日光を遮蔽するものであって、羽板材1の上面部11に反射面5を設けたことにより、上方からの日光を反射させ、屋内の天井側に向けて照射することで、屋内を明るくすることができる。また、羽板材1の下面部12に吸収面6を設けたことにより、屋外の地面で反射された下方からの日光が吸収される(
図4において、日光を実線矢印、反射面5による反射光を白抜き矢印、吸収面6により大半が吸収された後のわずかな反射光を破線矢印で表す)。反射面5によって日光が採り込まれることで、熱も屋内に採り込まれることになるが、その一方で下方からの日光とともに熱が採り込まれることを防いで、全体として屋内に採り込まれる熱の量が抑制される。さらに、羽板材1の基礎材2に対する左右方向軸周りの取付角度が可変なので、このルーバー100の設置場所による太陽高度の違いや、その他種々の環境の違いに応じて、適宜羽板材1の取付角度を設定して、日光の採り込みおよび遮蔽の量を調整できる。たとえば、
図4において下側の羽板材1は、上側に5°傾いているが、傾いていない上側および中央の羽板材1と比較して、反射光の進行方向が異なっている。また、反射面5の一部が上側に向けて凹である曲面状なので、反射面5において日光が様々な方向に反射され、反射光が屋内の広い範囲に照射される。
図4において、日光の入射角度は一律であるが、反射面5の部位によって反射光の進行方向が異なり、広い範囲に照射されていることがわかる。さらに、羽板材1の見込方向長さDが上下に並ぶ羽板材1の配置間隔Tよりも短いので、羽板材1の上面部11の反射面5で反射した日光が、その上側に位置する羽板材1の下面部12の吸収面6で吸収されてしまう割合を低く抑えて、効率的に日光を採り込むことができる。
図4において、傾いていない中央の羽板材1と、上側に5°傾いている下側の羽板材1の何れにおいても、反射面5による反射光は、全てその上側に位置する羽板材1の吸収面6で吸収されることなく、屋内側上方に向かっている。
【0042】
そして、反射面5を設けた上面部11と吸収面6を設けた下面部12の間に羽板空間部14が形成されているので、吸収面6で吸収された熱が反射面5に伝わることがなく、熱により反射面5が変形するなどの影響を及ぼすことがない。また、羽板空間部14は空洞の状態であるので、その中を空気が流れることで、吸収した熱を逃がすことができる。さらに、基礎材2が中空形状なので、羽板材1の吸収面6で吸収された熱が躯体側へ伝わることを防ぐことができる。また、接続部22と被接続部13が円弧状で相互に密接するので、簡易な構成で、基礎材2に対する羽板材1の取付角度が可変なものとなっている。さらに、反射面5と吸収面6が、何れもアルミ形材の表面に電解着色を施すことにより形成されたものであるから、形成が容易であり、かつ耐候性が高いものとなる。そして、色を選択することで反射率や吸収率などの特性を容易に変更できる。
【0043】
次に、ルーバーの第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、羽板材1の構成のみが異なり、それ以外の部分については同一である。ここでは、羽板材1についてのみ説明する。
【0044】
第2実施形態の羽板材1も、第1実施形態と同様に、基礎材2に対する左右方向(羽板材1の長手方向)軸周りの取付角度が可変なものであるが、ここでは、
図5の上側の羽板材1の状態、すなわち上下対称となる向きである状態に基づいて説明する。この状態を羽板材1の基準状態として、前後方向(水平方向)に対する傾きが0°であるとする。羽板材1は、左右方向に延びるアルミ形材からなるものであり、
図5に示すように、上面部11と、下面部12と、被接続部13と、これらの上面部11、下面部12および被接続部13に囲まれた羽板空間部14を有する中空形状である。上面部11は、左右方向から見て、上側に向けて凸である曲面状のものであり、後端が略水平向きであって、前側に向けて徐々に下向きの傾斜角度が大きくなる形状である。下面部12は、左右方向から見て、下側に向けて凸である曲面状のものであり、後端が略水平向きであって、前側に向けて徐々に上向きの傾斜角度が大きくなる形状である。上面部11と下面部12は、前端で接続されており、上面部11と下面部12を合わせると、紡錘形を中央で切断した形状となっている。また、被接続部13は、左右方向から見て、羽板材1の内周側に向けて凸である円弧状であり、上面部11の後端から下面部12の後端まで延びている。被接続部13の外周面の曲率は、基礎材2の接続部22の外周面の曲率と同じであり、被接続部13は接続部22に密接するものである。さらに、上面部11および下面部12の前端には、前側に向けて先細るものであって前端が円弧状である先端部15が形成されている。また、上面部11および下面部12のそれぞれの後端には、外側(上面部11に対して上側、下面部12に対して下側)に向けて延び、屈曲して後側に向けて延びる後縁部16が形成されている。
【0045】
上面部11の表面には、光を反射する反射面5が設けられており、下面部12の表面には、光を吸収する吸収面6が設けられている。反射面5と吸収面6は、何れも樹脂製であって、インサート成形により設けられたものである。すなわち、上面部11と反射面5とが、インサート成形により一体に成形されており、下面部12と吸収面6とが、インサート成形により一体に成形されているといえる。反射面5は、上面部11に沿う形状であって、すなわち上側に向けて凸である曲面状であり、反射面5の表面と、先端部15の表面および上側の後縁部16の後側に向けて延びる部分の表面は、面一となっている。また、吸収面6は、下面部12に沿う形状であって、すなわち下側に向けて凸である曲面状であり、吸収面6の表面と、先端部15の表面および下側の後縁部16の後側に向けて延びる部分の表面は、面一となっている。そして、反射面5は、その表面が鏡面状ものであって、入射した光の少なくとも半分以上を反射するものである。吸収面6は、その表面が光沢のない黒色のものであって、入射した光の少なくとも半分以上を吸収するものである。
【0046】
そして、この第2実施形態の羽板材1も、基礎材2に取り付けられている。
図5に示すように、羽板材1の基礎材2に対する取付構造は、第1実施形態と同じである。第2実施形態の羽板材1は、基準状態から上下にそれぞれ最大25°まで傾けることができる。たとえば、
図5の下側の羽板材1は、下側に25°傾けた状態である。
【0047】
なお、
図5に示すように、基準状態における羽板材1の見込方向長さDが、上下に並ぶ羽板材1の配置間隔Tよりも短いものとなっている。第2実施形態においては、羽板材1の見込方向長さDは、羽板材1の配置間隔Tの略3/5の値となっている。
【0048】
このように構成された本発明のルーバー100の第2実施形態による、光の反射および吸収について説明する。
図6に示すように、第2実施形態の光の反射および吸収については、第1実施形態と同様に、上面部11の反射面5で上方からの日光を反射させ、下面部12の吸収面6で下方からの日光が吸収されるものである。そして、羽板材1の基礎材2に対する左右方向軸周りの取付角度が可変であり、たとえば、
図6において最も下側の羽板材1は、上側に10°傾いているが、傾いていない上側および中央の羽板材1と比較して、反射光の進行方向が異なっている。また、反射面5が上側に向けて凸である曲面状なので、反射面5において日光が様々な方向に反射され、反射光が屋内の広い範囲に照射される。
図6において、日光の入射角度は一律であるが、反射面5の部位によって反射光の進行方向が異なり、広い範囲に照射されていることがわかる。さらに、羽板材1の見込方向長さDが上下に並ぶ羽板材1の配置間隔Tよりも短いので、羽板材1の上面部11の反射面5で反射した日光が、その上側の羽板材1の下面部12の吸収面6で吸収されてしまう割合を低く抑えて、効率的に日光を採り込むことができる。
図6において、傾いていない中央の羽板材1の反射面5による反射光は、屋外側の端部の反射光を除いて、その上側の羽板材1の吸収面6で吸収されることなく、屋内側上方に向かっている。また、上側に10°傾いている下側の羽板材1の反射面5による反射光は、全てその上側の羽板材1の吸収面6で吸収されることなく、屋内側上方に向かっている。
【0049】
また、上面部11と反射面5、および下面部12と吸収面6が、それぞれインサート成形により一体に成形されているので、耐候性が高いものとなり、上面部11から反射面5がはがれたり下面部12から吸収面6がはがれたりするようなことがない。そして、その他の点において、第1実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0050】
ここで、ルーバーの第2実施形態による、光の反射および吸収について、試験体を用いた試験を行った結果を、表1に示す。試験は、冬至(日射角度31°)を想定した日射環境下における場合と、春分・秋分(日射角度55°)を想定した日射環境下における場合について行った。
【0051】
なお、日射条件の指標となる太陽の南中高度は、緯度の余角と太陽の赤緯の和であり、春分・秋分、夏至、冬至のそれぞれの場合について、下記の式により求められる。春分・秋分における太陽の赤緯は0°であり、夏至・冬至における太陽の赤緯である±23.4°は地軸の傾きの角度に等しい。南中高度は、北半球では、夏至に最も大きくなり、冬至に最も小さくなる。これらの式に、日本の東京付近の緯度である、北緯35°を当てはめた場合、太陽の南中高度は、春分・秋分において55°、夏至において78.4°、冬至において31.6°となる。これらの値に基づき、試験における上記の日射角度を設定した。
1.春分・秋分(春分:3月20日頃、秋分:9月20日頃)
南中高度=90°-x°
2.夏至(6月20日頃)
南中高度=90°-x°+23.4°
3.冬至(12月20日頃)
南中高度=90°-x°-23.4°
x=観測地点の北緯
【0052】
試験は、表中の試験装置図の欄に示すように、ガラス板(厚さ3mm)の前側(室外側に相当)にルーバーの試験体を配置し、さらにその前上側に、太陽を模した照明を配置した。この試験装置において、冬至の場合と春分・秋分の場合について、それぞれ日射角度が上記角度となるようにして光を照射した。このとき、試験体の羽板材の傾きは、0°の場合、上側に24°傾く場合、下側に24°傾く場合の3通りとした(後述の光線経路の欄参照)。そして、それぞれの場合について、ガラス板の後側(室内側に相当)における日射熱取得量Q(W)を測定し、試験体を配置しない場合の日射熱取得量Q3(W)に対する比をとって、日射遮蔽係数SC(=Q/Q3)を求めた。また、ガラス板の日射熱取得率η3=0.88として、ガラス板と試験体を合わせたときの日射熱取得率η(=SC×η3)を求めた。さらに、照度計により、ガラス板の後側の所定の位置における照度(lux)を測定した。
【0053】
なお、表中の光線経路の欄には、上記の各場合について、それぞれルーバーに照射される光線の経路を図示した。光線経路の図から、ルーバーにより光線が遮蔽されることおよび羽板材の角度によって遮蔽状態が異なることが、視覚的に確認できる。
【0054】
試験の結果、冬至の場合において、日射遮蔽係数が0.68~0.40、日射熱取得率が0.60~0.35となっている。春分・秋分の場合において、日射遮蔽係数が0.49~0.20、日射熱取得率が0.43~0.18となっている。このように、試験体(ルーバー)により、日射が遮蔽されることが確認できる。また、冬至の場合において、羽板材を上側に24°傾けると、傾きが0°の場合より日射遮蔽係数および日射熱取得率が増加し、その増加割合は+23.6%/+25.0%であり、羽板材を下側に24°傾けると、傾きが0°の場合より日射遮蔽係数および日射熱取得率が減少し、その減少割合は-27.3%/-27.1%である。春分・秋分の場合において、羽板材を上側に24°傾けると、傾きが0°の場合より日射遮蔽係数および日射熱取得率が増加し、その増加割合は+36.1%/+34.4%であり、羽板材を下側に24°傾けると、傾きが0°の場合より日射遮蔽係数および日射熱取得率が減少し、その減少割合は-44.4%/-43.7%である。このように、羽板材の傾きを調整することで、日射遮蔽係数および日射熱取得率を増減させることが可能であり、すなわち、試験体(ルーバー)による日射遮蔽特性(日射遮蔽係数、日射熱取得率)の制御が可能であることが確認できる。そして、試験体(ルーバー)による日射遮蔽特性の各値や羽板材の傾斜による日射遮蔽特性の増減の割合は、冬至の場合と比べて、南中高度が高い春分・秋分の場合の方が、その効果が顕著となっている。よって、より南中高度が高い夏至の場合においても、春分・秋分の場合と同等以上の効果が得られると考えられる。
【0055】
また、冬至の場合と春分・秋分の場合の何れにおいても、羽板材の傾きが0°の場合に対して、上側に傾けた場合は照度が高くなり、下側に傾けた場合は照度が低くなっている。このように、羽板材の傾きを調整することで、照度を増減させることが可能であり、すなわち、試験体(ルーバー)による照度の制御が可能であることが確認できる。
【表1】
【0056】
次に、ルーバーの第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態と比較して、羽板材1の構成のみが異なり、それ以外の部分については同一である。ここでは、羽板材1についてのみ説明する。第3実施形態における羽板材1は、左右方向に延びるアルミ形材からなるものであって、
図7に示すように、上面部11と、下面部12と、被接続部13と、これらの上面部11、下面部12および被接続部13に囲まれた羽板空間部14を有する中空形状であり、さらに先端部15および後縁部16を有する。被接続部13、羽板空間部14、先端部15および後縁部16については、第2実施形態と同じである。また、上面部11および下面部12は、第2実施形態よりも肉厚である。そして、上面部11と、先端部15および上側の後縁部16の外側に延びる部分は一体的であり、上面部11の表面と、先端部15の表面および上側の後縁部16の後側に向けて延びる部分の表面が面一である。さらに、下面部12と、先端部15および下側の後縁部16の外側に延びる部分は一体的であり、下面部12の表面と、先端部15の表面および下側の後縁部16の後側に向けて延びる部分の表面が面一である。すなわち、第2実施形態の羽板材1において、アルミ形材ならびにインサート成形された樹脂製の反射面5および吸収面6によって構成されていた形状が、第3実施形態の羽板材1ではアルミ形材のみによって構成されているかたちである。
【0057】
そして、上面部11の表面は、塗料により白色に着色されており、この着色部分が反射面5となっている。また、下面部12の表面は、塗料により光沢のない黒色に着色されており、この着色部分が吸収面6となっている。なお、反射面5および吸収面6が形成される範囲は、
図7において一点鎖線で示された範囲であり、これは第2実施形態の羽板材1において反射面5および吸収面6が形成された範囲と同じである。
【0058】
このように構成された本発明のルーバーの第3実施形態によれば、反射面5および吸収面6がそれぞれ羽板材1の表面を塗料により着色することで形成されているので、反射面5および吸収面6を容易に形成することが可能であって、また塗料の種類を選択することで反射率や吸収率などの特性を容易に変更できる。そして、反射面5と吸収面6の形成以外の部分については、第2実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0059】
次に、ルーバーの第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態と比較して、羽板材1における反射面5および吸収面6の構成のみが異なり、それ以外の部分については同一である。すなわち、第4実施形態の羽板材1は、形材としての形状が第3実施形態の羽板材1と同じである。よって、ここでは、第3実施形態と同じ
図7に基づいて、反射面5および吸収面6についてのみ説明する。
【0060】
第4実施形態の羽板材1においては、上面部11の表面に、鏡面状のフィルム類が貼付されており、このフィルム類の貼付部分が反射面5となっている。また、下面部12の表面に、光沢のない黒色のフィルム類が貼付されており、この貼付部分が吸収面6となっている。なお、反射面5および吸収面6が形成される範囲は、
図7において一点鎖線で示された範囲であり、これは第2実施形態の羽板材1において反射面5および吸収面6が形成された範囲と同じである。
【0061】
このように構成された本発明のルーバーの第4実施形態によれば、反射面5および吸収面6がそれぞれ羽板材1の表面に設けられたフィルム類からなるので、反射面5および吸収面6を容易に形成することが可能であって、またフィルム類の種類を選択することで反射率や吸収率などの特性を容易に変更できる。そして、反射面5と吸収面6の形成以外の部分については、第2実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0062】
なお、本発明において、反射面の反射率は、より高い方が、より効果的に日光を採り込んで屋内を明るくすることができるため、好ましい。そして、このように反射面は、屋内を明るくするためのもの、すなわち採光のためのものであるから、可視光範囲である波長400nm~800nmの範囲の光がどれだけ反射されるのかが重要である。よって、本発明において反射面の特性を表す反射率は、可視光範囲の光の反射率を表す可視光反射率であることが望ましい。
【0063】
そして、本発明のルーバーの反射面の可視光反射率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0064】
反射率の測定方法については特に限定されるものではないが、紫外可視赤外分光光度計を用いて好適に測定することができる。反射率の測定方法についてより具体的には、ここでは株式会社日立ハイテクサイエンス製の紫外可視赤外分光光度計UH-4150を用いて行った。スキャンスピードは300nm/minとし、サンプリングは1.00nmとし、波長に応じて適宜ハロゲンランプと重水素ランプを切り替えて測定を行った。
【0065】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で適宜変更できる。たとえば、羽板材の形状は、その表面に形成される反射面や吸収面における光の反射および吸収の態様や、意匠性などを考慮して、適宜変更できる。また、基礎材の形状についても、羽板材を取り付けられるものであれば、どのようなものであってもよく、上記のように羽板材に沿って左右方向に延びるもの以外に、左右方向に間隔を空けて設けられるものであってもよい。さらに、基礎材に対する羽板材の左右方向軸周りの取付角度は、段階的に可変なものであってもよい。その場合、基礎材の接続部と羽板材の被接続部が左右方向から見て多角形状のものや、相互に嵌合する凹凸を有するものであってもよい。また、基礎材の固定部は、躯体に直接的に固定されるものであってもよい。さらに、反射面と吸収面は、上記のとおり、羽板材の表面を電解着色により着色することで形成されるもの、樹脂製であってインサート成形により羽板材と一体に成形されるもの、羽板材の表面を塗料により着色することで形成されるもの、羽板材の表面にフィルム類を貼付して形成されるもののほか、羽板材の表面を研磨・切削して形成されるものであってもよい。また、たとえば樹脂製や金属製であって反射面または吸収面を有する部材を、羽根材に対して嵌合するなどして後付けする構造のものでもよい。すなわち、反射面および/または吸収面が、羽板材の表面に設けられた羽板材とは別体の部材に形成されたものである。そして、反射面と吸収面とで形成方法が異なるものを組み合わせて採用してもよい。また、羽板材の羽板空間部や基礎材の基礎空間部に、断熱材などを充填してもよい。さらに、ルーバーは、建物の一壁面の全面を覆うものであってもよいし、窓の直前に設置されるものであって窓の全部または一部を覆うものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 羽板材
2 基礎材
5 反射面
6 吸収面
11 上面部
12 下面部
13 被接続部
14 羽板空間部
21 固定部
22 接続部
23 基礎空間部