(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127781
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】道路舗装機の舗装速度を動的に制御するための方法及び道路建設システム
(51)【国際特許分類】
E01C 21/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E01C21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021064
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】23160624
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】591005165
【氏名又は名称】ディーア・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テンモ ウァグナー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブッシュマン
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA12
2D053AA15
2D053AB02
2D053AC00
2D053AD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】舗装品質が向上し、及び、舗装性能が向上した舗装プロセスを提供する。
【解決手段】舗装プロセスEのために、少なくとも1つの道路舗装機3の舗装速度vを動的に制御する方法に関し、ここでは、道路舗装機3に機能的に接続された制御システム2により、判定された材料配送量PLに適応する道路舗装機3の舗装速度vが、道路舗装機3に舗装材料Mを供給する材料サプライチェーンLのこれにより判定された可変材料配送量PLに応じて判定され、ここで、道路舗装機3の舗装スクリード7,7’の少なくとも1つの予備締固め要素6の予備締固め性能VLが、予備締固め要素6により達成される予備締固めVを一定に維持するために、判定された舗装速度vに応じて調整される。さらに、様々な舗装速度vで一定の予備締固めVをもたらす舗装プロセスEのための道路建設システム1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装プロセス(E)のために少なくとも1つの道路舗装機(3)の舗装速度(v)を動的に制御する方法であって、判定された材料配送量(PL)に適応する前記道路舗装機(3)の舗装速度(v)は、前記道路舗装機(3)に機能的に接続された制御システム(2)によって、前記道路舗装機(3)に舗装材料(M)を供給する材料サプライチェーン(L)のために、判定された可変材料配送量(PL)に応じて判定され、前記道路舗装機(3)の舗装スクリード(7,7’)の少なくとも1つの予備締固め要素(6)の予備締固め性能(VL)は、前記予備締固め要素(6)により達成される予備締固め(V)を一定に維持するために、前記可変材料配送量(PL)に適応された前記舗装速度(v)に応じて適応されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ユーザが、前記制御システム(2)における前記道路舗装機(3)の前記舗装プロセス(E)に係る最大舗装速度(vB)を制限条件として入力することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御システム(2)は、前記判定された可変材料配送量(PL)を考慮して、前記道路舗装機(3)による可能な最大舗装性能(PE)を判定し、これにより、前記道路舗装機(3)に対する別の最大舗装速度(v最大)を、前記舗装スクリード(7,7’)により形成されるべき層厚(S)及び層幅(T)に応じて計算することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御システム(2)により計算された前記最大舗装速度(v最大)は、前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)以下である場合、前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の車両制御部(5)に、前記舗装速度設定値(vsoll)として保存されること、又は、前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)は、前記制御システム(2)により計算された前記最大舗装速度(v最大)が前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)よりも大きい場合、前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に、前記舗装速度設定値(vsoll)として保存されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御システム(2)は、変化する材料配送量(PL)を判定することにより、前記道路舗装機(3)のための対応して適応された新たな最大舗装速度(v最大)を計算すると共に、前記新たな最大舗装速度(v最大)が前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に保存された時間(tx)を判定することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記制御システム(2)により計算された前記新たな最大舗装速度(v最大)は、前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)以下である場合には、新たな前記舗装速度設定値(vsoll)として前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に保存されること、又は、前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)は、前記制御システム(2)により計算された前記新たな最大舗装速度(v最大)が前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)よりも大きい場合には、前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に、前記舗装速度設定値(vsoll)として保存されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御システム(2)は、前記舗装速度設定値(vsoll)、特に前記新たな舗装速度設定値(vsoll)を、前記道路舗装機(3)の直ぐ近くで利用可能である舗装材料(M)の事前に選択された最低材料備蓄(Q最低)及び/又は事前に選択された最大材料備蓄(Q最大)に応じて、前記舗装プロセス(E)中に、前記最低材料備蓄(Q最低)を下回らず、及び/又は、前記最大材料備蓄(Q最大)を上回らないように適応させることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記道路舗装機(3)の初期舗装速度(v初期)は前記舗装プロセス(E)の開始前に定義され、並びに、目標層厚(Ssoll)及び目標予備締固め(Vsoll)は、プロセスパラメータとして、前記制御システム(2)に前記初期舗装速度(v初期)のために保存されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記初期舗装速度(v初期)は、前記車両制御部(5)に舗装速度設定値(vsoll)として前記舗装プロセス(E)の前記開始時に保存され、前記道路舗装機(3)において検出された速度の変化又は前記制御システム(2)により判定された速度の変化、特に前記ユーザにより前記舗装プロセス(E)について設定値(vsoll)として入力された若しくは前記材料配送量(PL)に基づいて計算された最大舗装速度(vB,v最大)の変化によって、前記制御システム(2)に、前記速度変化に基づいて予測可能である予備締固め(V)の自然変化に対して前記予備締固め性能(VL)を適応させるための補正係数(f(x))を計算させ、及び、この補正係数を前記道路舗装機(3)のスクリード制御部(8)に保存させ、スクリード制御部(8)は、前記速度変化で達成される予備締固め(V)が、前記初期舗装速度(v初期)について規定された前記目標予備締固め(Vsoll)に実質的に対応するよう、前記補正係数(f(x))を用いて前記締固め要素(6)の前記運転を適応させることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記補正係数(f(x))が前記スクリード制御部(8)により用いられて、前記締固め要素(6)のストローク(H)が変更され、前記締固め要素(6)による実行可能な接触圧力(F)が変更され、及び/又は、前記締固め要素(6)の速度(v’)が変更されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記目標層厚(Ssoll)からの層厚偏差が、前記形成された層厚(S)であって、これに基づいて層厚補正係数(f(S))が判定される層厚(S)の実時間計測により計算され、及び、前記層厚偏差が、前記スクリード制御部(8)によって前記舗装スクリード(7,7’)の高さ制御に用いられることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記目標予備締固め(Vsoll)からの予備締固め偏差が実時間計測により判定され、後締固めに用いられる締固め機車両(12)は、全残存締固め偏差が最小限となるよう前記予備締固め偏差を動的後締固め調節により補償することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
クラウドベースアプリケーション(C)としての前記制御システム(2)の少なくとも一部分は、例えば接続された制御センタからの所定の建設計画値及び/又は前記舗装プロセス(E)中に判定された前記道路舗装機(3)の動的舗装機及びスクリードプロセスデータを検出し、並びに、これに基づいて、変化する前記材料配送量(PL)に適応する少なくとも1つの目標プロセス値、特に前記予備締固め性能(VL)、及び/又は、少なくとも1つの補正係数、特に前記予備締固め性能(VL)を適応させるための前記補正係数(f(x))を計算し、並びに、これを、前記車両制御部(5)及び/又は前記スクリード制御部(8)に計算された目標及び補正値を提供する前記制御システム(2)の他の部分に伝達することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
制御システム(2)と、前記制御システム(2)に機能的に接続された少なくとも1つの道路舗装機(3)と、前記制御システム(2)に機能的に接続された少なくとも1つの物流システム(4)と、前記道路舗装機(3)に舗装材料(M)を供給する少なくとも1つの材料サプライチェーン(L)であって、その可変材料配送量(PL)は前記物流システム(4)により検出可能であると共に、前記制御システム(2)に利用可能に維持できる少なくとも1つの材料サプライチェーン(L)とを備える舗装プロセス(E)のための道路建設システム(1)であって、前記制御システム(2)は、判定された前記材料配送量(PL)に適応する前記道路舗装機(3)の舗装速度(v)を判定するよう構成されており、前記道路舗装機(3)の舗装スクリード(7,7’)の少なくとも1つの予備締固め要素(6)の予備締固め性能(VL)は、前記予備締固め要素(6)により達成される予備締固め(V)を一定に維持するために、判定された前記材料配送量(PL)に適応された前記舗装速度(v)に応じて適応可能であることを特徴とする、道路建設システム。
【請求項15】
前記制御システム(3)は、前記物流システム(4)により示された前記材料配送量(PL)を考慮して、前記道路舗装機(3)により可能な最大舗装性能(PE)を判定し、並びに、これから、前記舗装スクリード(7,7’)により形成されるべき層厚(S)及び層幅(T)に応じて、前記道路舗装機(3)の最大舗装速度(vmax)を計算し、並びに、これが、前記制御システム(2)において制限条件としてユーザにより入力された最大舗装速度(vB)以下である場合には、前記制御システム(2)により計算された前記最大舗装速度(v最大)を、前記舗装速度設定値(vsoll)として、前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の車両制御部(5)に保存するよう構成されていることを特徴とし、又は、前記制御システム(2)は、前記制御システム(2)により計算された前記最大舗装速度(v最大)が前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)よりも大きい場合、前記ユーザにより入力された前記最大舗装速度(vB)を、制限条件として、前記制御システム(2)に機能的に接続された前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に、前記舗装速度設定値(vsoll)として保存するよう構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の道路建設システム。
【請求項16】
前記制御システム(2)は、変化する材料配送量(PL)を判定することにより、前記道路舗装機(3)のための対応して適応された新たな最大舗装速度(v最大)を計算すると共に、前記新たな最大舗装速度(v最大)が前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に保存されることとなる時間(tx)を判定するよう構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の道路建設システム。
【請求項17】
前記制御システム(2)は、前記道路舗装機(3)の直ぐ近くで利用可能である舗装材料(M)に係る事前に選択された最低材料備蓄(Q最低)に応じて、及び/又は、事前に選択された最大材料備蓄(Q最大)に応じて、前記舗装プロセス(E)中に、前記最低材料備蓄(Q最低)よりも少ない舗装材料(M)、及び/又は、前記最大材料備蓄(Q最大)よりも多い舗装材料(M)が前記道路舗装機(3)の直ぐ近くで利用可能とならないように前記舗装速度設定値(vSoll)を適応させるよう構成されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載の道路建設システム。
【請求項18】
目標層厚(Ssoll)及び目標予備締固め(Vsoll)は、プロセスパラメータとして、前記制御システム(2)において、前記舗装プロセス(E)の前記開始前に定義された前記道路舗装機(3)の初期舗装速度(v初期)のために保存可能であり、前記舗装プロセス(E)の前記開始時における前記初期舗装速度(v初期)は、前記道路舗装機(3)の前記車両制御部(5)に前記舗装速度設定値(vsoll)として保存され、並びに、前記制御システム(2)は、前記道路舗装機(3)において検出された速度の変化又は前記制御システム(2)により判定された速度の変化に応答して、特に、前記舗装プロセス(E)のために入力された又は前記材料配送量(PL)に基づいて計算された舗装速度設定値(vsoll)に応答して、前記速度変化に基づいて予測可能である予備締固め(V)の自然変化の観点から前記最大舗装速度(vB,v最大)を調整するための補正係数(f(x)を計算するよう構成され、及び、これを前記道路舗装機(3)のスクリード制御システム(8)に保存して、前記速度変化で達成される予備締固め(V)が前記初期舗装速度(v初期)について規定された前記目標予備締固め(Vsoll)に実質的に対応するよう、前記スクリード制御部(8)が前記補正係数(f(x))により前記締固め要素(6)の前記運転を適応させるよう構成されていることを特徴とする、請求項14~17のいずれか一項に記載の道路建設システム。
【請求項19】
前記スクリード制御部(8)は、前記補正係数(f(x))を用いて、前記締固め要素(6)のストローク(H)を変更し、前記締固め要素(6)による実行可能な接触圧力(F)を変更し、及び/又は、前記締固め要素(6)の速度(v’)を変更するよう構成されていることを特徴とする、請求項18に記載の道路建設システム。
【請求項20】
前記道路舗装機(3)は、前記形成された層厚(S)の実時間計測を実施し、これにより、前記目標層厚(Ssoll)から検出された層厚偏差に応じて得られる層厚補正係数(f(S))が判定可能であると共に、前記舗装スクリード(7,7’)の高さ制御のために前記スクリード制御部(8)に提供可能であるよう構成されており、及び/又は、前記道路舗装機(3)は、生成された予備締固めの実時間計測を実施するよう構成されており、判定された前記目標予備締固め(Vsoll)からの予備締固め偏差に応じて、動的後締固め調節により前記予備締固め偏差を補償するコンプレッサ車両(12)は、全残存締固め偏差が最小限となるよう制御可能であることを特徴とする、請求項14~19のいずれか一項に記載の道路建設システム。
【請求項21】
前記制御システム(2)の少なくとも一部分は、クラウドベースアプリケーション(C)として利用可能であると共に、例えば接続された制御センタからの所定の建設計画値及び/又は前記舗装プロセス(E)中に判定された前記道路舗装機(3)の動的舗装機及びスクリードプロセスデータを検出し、並びに、これに基づいて、前記変化する材料配送量(PL)に適応する少なくとも1つの目標プロセス値、特に前記予備締固め性能(VL)、及び/又は、少なくとも1つの補正係数、特に前記予備締固め性能(VL)を適応させるための前記補正係数(f(x))を判定し、並びに、これを、前記車両制御部(5)及び/又は前記スクリード制御部(8)に前記計算された目標及び補正値を提供する前記制御システム(2)の他の部分に伝達することを特徴とする、請求項14~20のいずれか一項に記載の道路建設システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の舗装プロセス用の少なくとも1つの道路舗装機の舗装速度を動的に制御するための方法に関する。さらに、本発明は、請求項14に記載の動的舗装プロセスのための道路建設システムに関する
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2 514 871 A1号明細書には、材料サプライチェーン、材料サプライチェーンにより舗装材料が供給され、新たに形成する舗装層の予備締固めを行う道路舗装機、及び、道路舗装機に追従する、新たに形成される舗装層の最終締固めのための締固め機車両を備える道路建設システムが開示されている。さらに、道路建設システムは電子材料密度モジュールを有しており、道路舗装機により達成される予備締固めを検出すると共に、これを締固め車両に伝達するよう構成されており、締固め車両は、新たに形成される舗装層の所望の最終締固めを達成するために、受信した予備締固めを示すデータに基づいてその最終締固め性能を調整する。
【0003】
独国特許出願公開第10 2019 116 853 A1には、道路舗装機の速度を制御するためのシステム及び方法が開示されている。この目的のために、アスファルト混合プラントから建設現場に配送される舗装材料の供給量が判定され、ここで、建設現場において用いられる少なくとも1つの道路舗装機の舗装速度が判定された供給量に応じて適応される。代わりに、道路舗装機の速度、特にその最大舗装速度を、道路舗装機に追従する締固め機械の検出された最大締固め性能に応じて変更可能である。
【0004】
欧州特許出願公開第2 325 392 A2号明細書には締固めユニットを有する道路舗装機が開示されており、そのストロークは舗装速度に対して自動的に調整可能であり、従って、道路舗装機の速度が変化してもほぼ一定の予備締固めが達成される。ストロークの自動調整は速度依存特性曲線制御によって実施される。類似する特性曲線制御が、欧州特許出願公開第3 138 961 A1号明細書、欧州特許出願公開第2 366 831 A1号明細書、及び、欧州特許出願公開第2 366 832 A1号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底に存在する問題は、舗装品質が向上し、及び、舗装性能が向上した舗装プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1に記載の方法により、及び、請求項14に記載の道路建設システムにより解決される。好ましい本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に係るそれぞれの主題により提供されている。
【0007】
本発明は、舗装プロセスのために少なくとも1つの道路舗装機の舗装速度を動的に制御する方法に関し、ここで、道路舗装機に機能的に接続された制御システムにより、判定された材料配送量に適応された道路舗装機の舗装速度が、道路舗装機に舗装材料を供給する材料サプライチェーンのこれにより判定された可変材料配送量に応じて判定される。道路舗装機が、検出され、及び、材料配送量に適応された舗装速度で舗装プロセスを確実に実施することにより、道路舗装機の建設現場における材料供給に対する、材料配送に係る障害及び中断を防止することが可能である。建設現場における材料の過剰な供給を解決することも可能である。
【0008】
本発明によれば、道路舗装機の舗装スクリードの少なくとも1つの予備締固め要素の予備締固め性能は、予備締固め要素により達成される予備締固めを一定に維持するために、材料配送量に適応された舗装速度に応じて適応される。本発明によれば、道路舗装機により敷設される舗装層において一定の予備締固めを達成するために、道路舗装機において直接実施された予備締固め性能は、それ故、判定された材料配送量に基づいて動的に判定された道路舗装機に係る速度に応じて可変である。これにより、道路舗装機の舗装速度が可変の材料配送量により変化した場合にも、予備締固めを一定に維持することが可能である。
【0009】
一方で、これにより、向上した舗装性能を達成するために、供給量又は材料配送量に関して道路舗装機の速度を最適化することが可能である。他方で、この最適化は、舗装スクリードによる一定の予備締固めと組み合わせることが可能であり、すなわち、材料配送量に関して適応された舗装速度に関わらず、道路舗装機は一定の予備締固めで舗装層を形成することが可能である。これにより舗装品質が向上する。
【0010】
本発明ではさらに、材料サプライチェーンを通した連続的な材料供給が優先され、これにより、道路舗装機の運転は、判定された材料配送量に適応されており、すなわち、建設現場において舗装材料の過剰供給又は過少供給は生じない。加えて、本発明では連続舗装プロセスが可能とされており、これにより、道路舗装機を用いた舗装層の形成は材料配送量を考慮しながら中断することなく行うことが可能である。材料供給の変動は、予備締固めの質を変えることなく本発明により容易に補償が可能である。
【0011】
原理上は、本発明では、舗装プロセスは、材料配送量が減るとよりゆっくりと、及び、材料配送量が増えるとより速く行われることが可能であり、この動態によって予備締固めが変化することもない。これにより、材料サプライチェーンの末端である建設現場における連続的、すなわち継続的な舗装プロセスが実現され、一定の予備締固めがもたらされる。
【0012】
本発明は、材料サプライチェーンの材料配送量から道路舗装機の舗装スクリードの予備締固め性能をもたらし、材料配送量により、予備締固め性能が依存する道路舗装機の舗装速度が判定される。これにより、均質で安定した予備締固めが継続的な舗装移動によりもたらされる。調整された舗装速度を介して材料配送量を予備締固め性能に関連付ける本発明に係る着想は、全体としてより強固で高品質な舗装プロセスを可能とする。
【0013】
好ましくは、ユーザは、制御システムにおける道路舗装機の舗装プロセスの制限条件として、最大舗装速度を入力する。これにより、建設現場における道路舗装機の速度制御を専門家の知識により制限することが可能となる。
【0014】
特に、ユーザは、建設現場における道路舗装機の舗装スクリードのタイプ、主にその最大予備締固め性能に応じて、制御システムにおいて入力を行うことが可能である。これにより、一定の予備締固めが可能な程度にのみ、道路舗装機の最大舗装速度を加速させることが可能となる。
【0015】
制御システムは舗装スクリードに機能的に接続され、最大予備締固め性能が変化し得る道路舗装機の舗装スクリードの変更の際に、制限条件として制御システムに保存された最大舗装速度を確認又は更新するようユーザを促すことが考えられる。
【0016】
本発明の一変形例によれば、制御システムは、判定された材料配送量を考慮して道路舗装機による可能な最大舗装性能を判定し、これにより、舗装スクリードにより形成されるべき層厚及び層幅に応じて道路舗装機に対する別の最大舗装速度を計算する。従って、制御システムは、建設仕様の各々について、材料配送量に適応した道路舗装機に対する別の最大舗装速度を計算することが可能である。原理上は、この個別に判定された最大舗装速度は、ユーザにより制御システムに保存された最大舗装速度よりも遅い、等しい、又は、速いことが可能である。
【0017】
特に、本発明の一変形例によれば、制御システムにより計算された最大舗装速度は、これがユーザにより入力された最大舗装速度以下である場合には、制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御システムに舗装速度設定値として保存される。代わりに、制御システムにより計算された最大舗装速度がユーザにより入力された最大舗装速度よりも高い場合には、ユーザにより入力された最大舗装速度を、舗装速度設定値として制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御システムに保存することが可能である。上記の第1の変形によれば、舗装プロセスを中断させる恐れなく、判定された材料配送量に応じた舗装プロセスの最大加速が得られる。これにより、材料配送量に適応した最大舗装性能の達成が可能となる。上記の第2の変形では、判定された材料配送量により実際に高い最大舗装速度が許可されたとしても一定の予備締固めを維持するために予備締固め性能を調整可能であるよう、きわめて高い材料配送量であっても最大舗装速度を判定するために、例えばスクリードにより達成可能である最大予備締固め性能に関して、専門家の知識で舗装プロセスの速度の上昇が制限される。その結果、予備締固めは両方の変形例において一定に維持される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、変化する材料配送量を判定することにより、道路舗装機に対して対応して適応する新たな最大舗装速度を計算すると共に、新たな最大舗装速度が道路舗装機の車両制御部に保存された時間を判定する制御システムが提供されている。これにより、この点で検出された材料サプライチェーンの材料配送量の増減が建設現場において顕著である場合にのみ、道路舗装機において舗装プロセスの速度調整の実行が達成される。その結果、道路舗装機は、材料配送量の増減に対して、材料が建設現場に実際に到達した時、すなわち、建設現場に備蓄された材料の量に影響が及んだ時にのみ反応する。
【0019】
特に、制御システムは舗装速度において要求される変化量に応じて道路舗装機の車両制御部に新たな最大舗装速度が保存される時間を変更することが可能であり、その結果、原理上は、変化する材料配送量に対して舗装速度の変化が大きい場合よりも、変化する材料配送量に対して舗装速度の変化が小さい場合の方が、新たな最大舗装速度が道路舗装機の車両制御部において遅延して保存されるか、又は、活性化される傾向がある。この原理によって、材料配送量における短時間で微小な変化のみを無視することが可能であり、すなわち、これらは無用に道路舗装機の運転に反映されることがないという事実がもたらされることが可能である。これにより、道路舗装機のエネルギー効率の高い運転が促進される。
【0020】
好ましくは、制御システムを用いて計算された新たな最大舗装速度は、これがユーザにより入力された最大舗装速度以下である場合には、制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御部に新たな舗装速度設定値として保存される。代わりに、ユーザにより入力された最大舗装速度を、舗装速度設定値として制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御システムに保存すること、又は、制御システムを用いて計算された新たな最大舗装速度が(未だ)ユーザにより入力された最大舗装速度よりも高い場合には、設定されたままとすることが可能である。両方の変形例において、判定された材料配送量に基づいて、一定の予備締固めと組み合わせた最大舗装性能が可能であることを保証可能である。上記の第1の変形例では、材料配送量に関して最大舗装速度を設定することが主に検討されており、これにより、道路舗装機は、材料供給が少ない時には、舗装プロセスを連続的に実施可能である程度にのみ舗装プロセスを加速し、すなわち、材料配送障害及び結果的な道路舗装機の停止に付随する不利益、例えば停止中における舗装スクリードの沈下及び/又は例えば圧痕による層厚表面品質の劣化を防止することが可能である。最大舗装速度がユーザ設定最大舗装速度で実施される他の変形例では、道路舗装機が過度に速い舗装速度で走行しないことが保証され、これは設定された材料配送量によって原理上は可能であるが、一定の予備締固めを達成するために舗装スクリードにおいて設定可能である最大予備締固め性能によってはもはや補償可能ではない。これらの変形例では、制御システムは、道路舗装機は、道路舗装機が建設現場で停止せず、舗装は常に一定の予備締固めで実施されるよう舗装プロセスを加速させるのみである。
【0021】
好ましくは、制御システムは、舗装速度設定値、特に新たな舗装速度設定値を、道路舗装機の直ぐ近く、すなわち、建設現場で利用可能である舗装材料の事前に選択された最低材料備蓄及び/又は事前に選択された最大材料備蓄に応じて、舗装プロセス中に、最低材料備蓄を下回らず、及び/又は、最大材料備蓄を上回らないように調整する。これにより、建設現場において道路舗装機に充分な材料バッファが常に存在し、すなわち、舗装材料が過少又は過多となることがないよう保証する追加の安全対策が提供されている。これにより、少ない又は不十分な材料備蓄によって舗装プロセスの最中に道路舗装機が停止し無ければならないことが防止されて、連続舗装プロセスが優先される。しかも、これにより、建設現場において舗装材料が余剰に保管されることが防止される。これは、建設現場において過剰量の舗装材料が冷えてしまうという不利益を伴う。この制御システムにより材料配送量に基づいて判定された舗装速度設定値の下流での速度補正は、道路舗装機の結果的な速度調整又は加速は予備締固めが同じままであるという条件の下でのみ行われるという範囲に限定される。
【0022】
道路舗装機の初期舗装速度が舗装プロセスの開始前に規定されており、且つ、例えばユーザ入力によって、目標層厚及び目標予備締固めが初期舗装速度のためのプロセスパラメータとして制御システムに保存されていれば、有用である。初期舗装速度は、例えば道路舗装機が舗装プロセスの開始時にはゆっくりと開始可能であるよう選択可能であり、すなわち、道路舗装機は、少なくとも舗装プロセスの開始時には、一時的に舗装プロセスを「ウォームアップ速度」で実施し、すなわち、道路舗装機は直ぐに最大舗装速度で制御されない。舗装プロセスの開始前に道路舗装機で選択されるこれらの基本設定は、好ましくは、これらが、舗装プロセスの開始時に道路舗装機及び/又は舗装結果において検出された場合に、基本データセットとして道路舗装機から制御システムに伝達可能であり、ここで、これにより、制御システムにおいて本発明に係る運転が開始されて、最大舗装速度で予備締固めが一定に維持される。最大舗装速度で予備締固めを一定に維持するための本発明に係る運転の開始は、舗装プロセスの開始後例えば5分間といった所定のウォームアップ時間が経過した後にのみ行われることが考えられ、これにより、道路舗装機が材料を供給する材料サプライチェーンの可変材料配送量にその速度を適応させる前に、道路舗装機に設けられた駆動装置及びユニットは所望の運転温度に達する。
【0023】
道路舗装機の初期舗装速度は、特に速度-依存予備締固めデバイスを含む、舗装プロセスの開始時にはまだ冷えている道路舗装機の作業ユニットがゆっくりと始動可能であるよう、その車両制御部により、ランプ関数を用いて材料配送量に適応された又はユーザによって設定された最大舗装速度まで減衰式に制御されることが考えられる。
【0024】
一変形例において、舗装プロセスの開始時における初期舗装速度は車両制御部に舗装速度設定値として保存され、ここで、道路舗装機において検出された速度の変化又は制御システムにより判定された速度の変化、特に、初期舗装速度からオペレータにより入力された最大舗装速度まで、若しくは、材料配送量に基づいて計算された最大舗装速度までの速度の変化により、制御システムは、速度変化に基づいて予測可能である予備締固めの自然変化に対して予備締固め性能を調整するための補正係数を計算し、及び、これを道路舗装機のスクリード制御部に保存し、スクリード制御部は、速度変化で達成される予備締固めが、初期舗装速度について規定された目標予備締固めに実質的に対応するよう、補正係数を用いて、特に特定の時点における締固め要素の運転を調整する。制御システムによって開始される速度変化は、従って、予備締固め性能の調整に用いられて予備締固めにおける自然変化を補償する、得られる補正係数の程度を判定する。このように、初期舗装速度から変化した道路舗装機の材料供給に依存する目標舗装速度にも関わらず、補正係数を用いて、一定の予備締固めが保証されるよう、変化した目標舗装速度を補償する予備締固め性能の調整することが可能である。
【0025】
特に、補正係数がスクリード制御部により用いられることで、締固め要素のストロークが変更され、締固め要素により実行可能な接触圧力が変更され、及び/又は、締固め要素の速度が変更される。これらのプロセスパラメータの変更は、必要に応じて組み合わされて、舗装スクリードによる予備締固め性能を速度変化に対して適応させることが可能である。
【0026】
目標層厚からの層厚偏差が、形成された層厚の実時間計測により計算され、これに基づいて、層厚補正係数が判定され、及び、スクリード制御システムにより舗装スクリードの高さ制御に用いられることが考えられる。変化する舗装速度及びそれに従って調整される予備締固め性能により一定の予備締固めが実現され、結果として、層厚もまた一定に維持されると推定可能であるが、層厚補正係数を用いて、一定の予備締固めに追加して一定の層厚を達成可能であるよう、例外的に舗装スクリードの高さ制御により検出される層厚の偏差を容易に補償することが可能である。
【0027】
一変形例においては、実時間計測により目標予備締固めからの予備締固め偏差が判定され、ここで、例えば道路舗装機の後ろに続くローラといった後締固めに用いられるシステムが、全残存締固め偏差が最小限となるよう予備締固め偏差を動的後締固め調節により補償する。本発明により、舗装区間に沿った予備締固め結果は、実質的に安定、すなわち一定となるが、目標予備締固めからのいずれかの偏差は、その後の後締固めシステムにより容易に補償可能である。後締固めシステムは、舗装区間全体に実質的に沿って道路舗装機により形成された一定の予備締固めによる有益性を享受し、これにより、大きな労力をかけることなく目標予備締固めからのいずれかの独立した偏差を補償することが可能である。
【0028】
好ましい実施形態によれば、制御システムの少なくとも一部分は、クラウドベースアプリケーションとして、例えば接続された制御センタからの所定の建設計画値及び/又は舗装プロセス中に判定された道路舗装機の動的舗装機及びスクリードプロセスデータを検出可能であり、並びに、これに基づいて、舗装プロセスに係る少なくとも1つの目標プロセス値、特に変化する材料配送量に適応する舗装速度、及び/又は、少なくとも1つの補正係数、特に予備締固め性能を適応させる補正係数を計算すると共に、これを、車両制御部及び/又はスクリード制御部に対する計算された目標及び補正値を保存する制御システムの他の部分に伝達することが可能である。
【0029】
好ましくは、クラウドベースアプリケーションとして構成された制御システムの一部分は、材料配送プロセスの最中に材料サプライチェーンから判定された動的材料配送プロセスデータを検出可能であり、及び、これに基づいて、特に実時間で、材料サプライチェーンの材料配送量、並びに、これに適応される舗装速度を計算可能であり、及び、これを道路舗装機の車両制御部の適応された舗装速度を維持する制御システムの他の部分に伝達可能である。
【0030】
上記のクラウドベースの変形により、ITリソースは、ウェブアプリケーションとしてアウトソーシングが可能である。特に、これにより、異なる建設現場で実施される複数の舗装プロセスを、クラウドベースアプリケーションとして構成された部分に接続することが可能となる。制御システムのクラウドベースの部分は、従って、同時に多くの建設現場のプロジェクトに汎用的に使用することが可能である。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、制御システムは、一部だけではなく、全体としてもクラウドベースアプリケーションとして利用可能であり、少なくとも可変材料配送量に応じて舗装プロセスに係るすべての目標プロセス値及び補正値を計算し、並びに、一定の予備締固めを達成するために、これらを道路舗装機の車両制御部及び/又はスクリード制御部により直接利用可能に保持する。
【0032】
さらに、本発明は、舗装プロセス用の道路建設システムに関する。道路建設システムは、制御システムと、制御システムに機能的に接続された少なくとも1つの道路舗装機と、制御システムに機能的に接続された少なくとも1つの物流システムと、道路舗装機に舗装材料を供給する少なくとも1つの材料サプライチェーンであって、その可変材料配送量は物流システムにより検出可能であると共に制御システムに提供可能である少なくとも1つの材料サプライチェーンとを備える。制御システムは、判定された材料配送量に適応された道路舗装機の舗装速度を判定するよう構成されている。本発明によれば、道路舗装機の舗装スクリードの少なくとも1つの予備締固め要素の予備締固め性能は、判定された材料配送量に適応する舗装速度に応じて適応されることが可能である。これにより、舗装プロセスは、連続的に、すなわち、舗装プロセスを中断することなく、且つ、一定の予備締固めで行うことが可能となる。材料配送量に起因する速度の変化は従って、舗装スクリードにより達成される予備締固めが一定のままとなるよう予備締固め性能を調整することにより補償される。従って、材料配送量は、達成される予備締固めに直接影響を及ぼす。
【0033】
好ましくは、制御システムは、物流システムにより示された材料配送量を考慮して道路舗装機による可能な最大舗装性能を判定するよう構成されており、これにより、これから、舗装スクリードにより形成される層厚及び層幅に応じて道路舗装機の最大舗装速度を計算し、並びに、これが制御システムにおいて制限条件としてユーザにより入力された最大舗装速度以下である場合には、制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御部において舗装速度設定値として制御システムを用いて計算された最大舗装速度を保存する。代わりに、制御システムは、制御システムにより計算された最大舗装速度がユーザにより入力された最大舗装速度よりも高い場合には、ユーザにより入力された最大舗装速度を、制限条件として、制御システムに機能的に接続された道路舗装機の車両制御システムにおける舗装速度設定値として保存するよう構成されている。上記変形例は共に、継続的で、最大限の舗装性能を一定の予備締固めと組み合わせてもたらし、すなわち、これらは、最大限に加速され、定性的に最適な舗装結果の両方が達成されることを保証する。
【0034】
制御システムは、変化する材料配送量を判定することにより、道路舗装機のための対応して適応された(新規)最大舗装速度を計算すると共に、(新規)最大舗装速度が道路舗装機の車両制御部に保存されることとなる時間を判定するよう適応されていることが有用であろう。これにより、建設現場における道路舗装機に係る速度調整を、材料配送量の変化が建設現場において顕著であるまで遅延させること、又は、正確にこのような時点で実施させることが可能であり、すなわち、道路舗装機は、変化した材料配送量に対して、これが建設現場における材料備蓄に望ましくない変化を引き起こすであろう場合にのみ反応する。この変形例は従って、材料供給における短時間で微小な変化のみを無視することが可能であり、これにより、道路舗装機は可能な限り一定の舗装速度で移動する。
【0035】
特に、制御システムは、舗装速度において要求される変化量に応じて道路舗装機の車両制御部に新たな最大舗装速度が保存される時間を変更するよう構成されることが可能である。特に、制御システムは、変化する材料配送量に対して舗装速度の変化が大きい場合よりも、変化する材料配送量に対して舗装速度の変化が小さい場合の方が、新たな最大舗装速度は、後の時点で道路舗装機の車両制御部に保存される傾向にあるという論理に従うことが可能である。この原理によって、材料配送量における短時間で微小な変化のみを無視することが可能であり、すなわち、これらは無用に道路舗装機の運転に反映されることがないという事実がもたらされることが可能である。これにより、道路舗装機のエネルギー効率の高い運転が促進される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、制御システムは、舗装速度設定値を、道路舗装機の直ぐ近く、すなわち、建設現場で利用可能である舗装材料の事前に選択された最低材料備蓄及び/又は事前に選択された最大材料備蓄に応じて、舗装プロセス中に、利用可能な舗装材料が最低材料備蓄を下回らず、及び/又は、利用可能な舗装材料が最大材料備蓄を上回らないよう、調整するよう構成されている。これは、道路舗装機は、建設現場において材料の過少供給又は過剰供給が生じないような程度にのみ舗装プロセスを加速させることを意味する。材料が過少供給である場合には、道路舗装機が舗装プロセスを中断しなければならなくなるという恐れがある。舗装材料の過剰供給は、舗装材料の冷却をもたらしてしまう。
【0037】
好ましくは、目標層厚及び目標予備締固めは、舗装プロセスの開始前に定義された道路舗装機の初期舗装速度の制御システムに、プロセスパラメータとして保存されることが可能である。この文脈において、舗装プロセスの開始時における初期舗装速度は道路舗装機の車両制御部に初期舗装速度設定値として保存され、並びに、制御システムは、道路舗装機において検出された速度の変化又は制御システムにより判定された速度の変化、特に初期舗装速度設定値から、舗装プロセスのために舗装速度設定値として入力された最大舗装速度まで又は材料配送量に基づいて計算された最大舗装速度までの速度の変化に応答して、速度変化に基づいて予測可能である予備締固めにおける自然変化の観点から、予備締固め性能を調整するための補正係数を計算するよう構成され、及び、これを道路舗装機のスクリード制御部に保存するよう構成されている。このプロセスにおいて、スクリード制御部は、速度変化で達成される予備締固めが初期舗装速度について規定された目標予備締固めに実質的に対応するよう、補正係数により締固め要素の予備締固め性能を調整する。所定の初期舗装速度のために舗装プロセスの開始時に保存されるプロセスパラメータは、従って、道路舗装機の検出された又は補正係数を用いて判定された速度の変化に対しても一定のままである。特に、これにより、道路舗装機は、一定の予備締固めで実施される舗装プロセスを中断させることなく、舗装プロセスを可能な限り加速させることが可能となる。これにより、均質な舗装品質を有する特に経済的な舗装プロセスがもたらされる。
【0038】
好ましくは、スクリード制御部は、補正係数を用いて、締固め要素のストロークを変更し、締固め要素による実行可能な接触圧力を変更し、及び/又は、締固め要素の速度を変更するよう構成されている。制御システムにより個別に判定された補正係数を用いて、それぞれのプロセスパラメータを変更することが考えられる。特に、プロセスパラメータは、一定の予備締固め結果を達成するために、組み合わせで変更することが可能である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、道路舗装機は形成された層厚の実時間計測を行うように構成されており、これにより、これから検出された目標層厚からの層厚偏差から得られる層厚補正係数を判定可能であると共に、舗装スクリードの高さ制御のスクリード制御部に提供することが可能であり、及び/又は、道路舗装機は、もたらされた予備締固めの実時間計測を実施するよう構成されており、ここで、これから判定された目標予備締固めからの予備締固め偏差に応じて、動的後締固め調節により予備締固め偏差を補償する後締固めシステムは、全残存締固め偏差が最小限となるよう制御可能である。これらの補正機能の使用は絶対的な例外であり、これは、実質的に一定の予備締固めは一定の層厚を伴うものであり、及び、目標予備締固めからの偏差は非常に小さい傾向にあるからである。これらの補償機能が起動される場合、偏差の補償に必要とされる付随する労力は非常に少ない。
【0040】
制御システムは、クラウドベースアプリケーションとして、又は、サーバベースのネットワークとして物流システム及び道路舗装機に接続されていることが可能である。一変形例では、制御システムは、建設現場においてオペレータにより用いられる携帯型デバイスに統合されている。物流システムは、材料サプライチェーンの少なくとも1人のトラック運転手によって持ち運ばれる他の携帯型デバイスに、クラウドベース又はネットワークベースのアプリケーションとして統合されていることも考えられる。
【0041】
好ましい変形例によれば、制御システムの少なくとも一部分がクラウドベースアプリケーションとして利用可能であり、クラウドベースアプリケーションは、例えば接続された制御センタからの所定の建設計画値及び/又は舗装プロセス中に判定された道路舗装機の動的舗装機及びスクリードプロセスデータを検出するよう構成されていると共に、これに基づく少なくとも1つの目標プロセス値、特に変化する材料配送量に適応する舗装速度、及び/又は、少なくとも1つの補正係数、特に予備締固め性能を適応させる補正係数を計算し、これを、車両制御部及び/又はスクリード制御部の計算された目標及び補正値を保存する制御システムの他の部分に伝達するよう構成されている。これにより、特に保管スペース、演算パワー及び/又はソフトウェアといった一定のITリソースが、ウェブベースのアプリケーションとして使用可能となる。
【0042】
好ましくは、クラウドベースアプリケーションとして構成された制御システムの一部分はさらに、材料サプライチェーンにより実施される材料配送プロセスの最中に判定された動的材料配送プロセスデータを検出し、及び、これに基づいて、特に実時間で、材料サプライチェーンの材料配送量を計算し、及び、これを、制御システムの他の部分であって、計算された材料配送量に基づいてこれに適応される舗装速度を判定すると共に、これを道路舗装機の車両制御部に提供する制御システムの他の部分に伝達するよう構成されている。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、制御システムは、一部だけではなく、全体としてもクラウドベースアプリケーションとして利用可能であり、並びに、少なくとも可変材料配送量に応じて舗装プロセスに係るすべての目標プロセス値及び補正値を計算し、及び、一定の予備締固めを達成するために、これらを、道路舗装機の車両制御部及び/又はスクリード制御部に直接提供するよう構成されている。
【0044】
以下の図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、舗装プロセスを意味するための道路建設システムを概略図で示す。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る道路舗装機の舗装スクリードを断面図で示す。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る道路舗装機の他の舗装スクリードを断面図で示す。
【
図4】
図4は、材料配送量の変化に基づいて速度及び予備締固め性能を適応させて一定の予備締固めを達成するための本発明に係る原理を示す。
【
図5】
図5は、建設現場における材料備蓄の変化に係る概略図を示す。
【
図6】
図6は、舗装プロセス中における道路舗装機の舗装速度の変化に係る概略図を示す。
【
図7】
図7は、舗装プロセス中における道路舗装機の様々な舗装速度に適応する予備締固め性能に係る概略図を示す。
【0046】
技術的構成要素には、図面全体を通して同じ符号が付されている。
【0047】
図1は、舗装プロセスEを制御するために現場管理システムとして構成された道路建設システム1の概略図を示す。道路建設システム1は、制御システム2、制御システム2に機能的に接続された道路舗装機3、制御システム2に機能的に接続された物流システム4、及び、道路舗装機3に舗装材料Mを供給する材料サプライチェーンLを備え、その材料配送量P
Lは、物流システム4により検出可能であると共に、制御システム2によって利用可能とすることが可能である。
【0048】
制御システム2は、判定された材料配送量P
Lに適応された道路舗装機3に係る舗装速度vを判定するよう構成されている。
図1は、制御システム2が物流システム4により提供された材料配送量P
Lを用い、これに基づいて道路舗装機3の舗装速度vを計算し、及び、これを道路舗装機3に設けられた車両制御部5に保存する概略図を示す。
【0049】
さらに、
図1は、概略図中において、予備締固め性能V
Lは、判定された舗装速度vに応じて、道路舗装機3に取り付けられた舗装スクリード7の少なくとも1つの予備締固め要素6により調整可能であることを示す。
【0050】
さらに、制御システム2は、材料配送量PLに基づいて調整された舗装速度vに追加して、舗装速度vが道路舗装機3の車両制御部5に保存された時間txを判定するよう構成されている。この時間txはまた、道路舗装機3の速度v及び締固め要素6の予備締固め性能VLを同時に調整するために、舗装スクリード7のスクリード制御部8に適宜保存可能である。
【0051】
図1に概略的に示す舗装プロセスEの最中に、アスファルト層Dが建設現場に形成される。道路建設システム1は、材料サプライチェーンLの一部であると共に、舗装材料Mをトラック9に配送する混合プラントWを備える。舗装材料Mは一定の組成及び温度で混合プラントWにより生産され、トラック9により建設現場に輸送される。トラック9は、道路舗装機3のホッパー10に直接、又は、舗装方向Rにおいて道路舗装機3の前方を移動する道路舗装機3用のフィーダ11のホッパーに舗装材料Mを投入する。後締固め用の締固め機車両12は、舗装方向Rにおいて道路舗装機3の後方を移動する。
図1において、締固め機車両12はまた、制御システム2に機能的に接続されている。
【0052】
図1は、ユーザが、制御システム2において、道路舗装機3の舗装プロセスEに係る最大舗装速度v
Bを制限条件として入力することを示す。さらに、
図1は、概略図において、制御システム2は、判定された材料配送量P
Lを考慮して、道路舗装機3による可能な舗装性能P
Eを判定し、それ故、層厚S及び層幅Tを考慮して、道路舗装機3に係る舗装速度v、特に個別の最大舗装速度v
最大を計算することを示す。
【0053】
特に、制御システム2は、制御システム2により計算された最大舗装速度v最大を、これがユーザにより入力された最大舗装速度vB以下である場合、機能的に接続された道路舗装機3の車両制御部5に舗装速度設定値vsollとして保存することが可能である。代わりに、制御システム2により計算された最大舗装速度v最大がユーザにより入力された最大舗装速度vBよりも大きい場合、ユーザにより入力された最大舗装速度vBが、車両制御部5に舗装速度設定値vsollとして保存される。
【0054】
制御システム2は、道路建設システム1に機能的に統合されたそれぞれの車両及び作業ユニットを、舗装層Dの一定の予備締固めが実現される、継続的な最大限に加速された舗装プロセスEが達成されるように、協調的に制御するよう、全体として、又は、一部がクラウドベースアプリケーションCとして、及び/又は、サーバベースのネットワークとして構成可能である。
【0055】
図2は、第1の実施形態に係る道路舗装機3の舗装スクリード7の断面図を示す。舗装スクリード7は、ベーススクリード部14と、層幅Tを変更可能である横方向に移動可能な突出スクリード15を有する突出スクリードである。代わりに、舗装幅が可変ではない舗装スクリード7も利用可能である。ベーススクリード部14、並びに、各突出スクリード15は、底側に平滑化プレート16を有し、その上に、選択可能な回転速度で動作可能な少なくとも1つの振動装置17が配置されており、従って、平滑化プレート16は舗装スクリード7における締固め要素6として用いられる。さらなる締固め要素6は偏心駆動部19を備える少なくとも1つのタンパバー18を有するタンパであって、その回転速度v’及び/又は偏心度、すなわちストロークHは選択可能であり、ここで、タンパは、舗装材料Mの予備締固めのために、舗装方向Rにおいて、舗装スクリード7に最前部予備締固めステージを形成する。
【0056】
図2に示す舗装スクリード7の構成に追加して、
図3に示す舗装スクリード7’は、さらなる締固め要素6としての少なくとも1つの圧力バー20を有し、これは、油圧駆動部21を介して、垂直方向の圧力パルスと、必要に応じて、調節可能な加速度で操作可能であり、さらに、舗装方向Rにおいて、選択可能な接触圧力Fでスクリードプレート16の後方を予備締固めする。
【0057】
図2及び3において、舗装スクリード7,7’のそれぞれにおいて用いられる締固め要素6は、所望の予備締固め性能V
Lが生成されるよう、スクリード制御部8により制御される。これは、道路舗装機3により駆動される舗装速度vに応じて、制御システム2に保存された目標予備締固めV
sollに従って、形成された舗装層Dにおいて一定の予備締固めVが達成されるよう制御可能である。
【0058】
変化する舗装速度vに基づいて、特に速度調整により生じる予備締固めVの予想される変化に関連して制御システム2によって計算される補正係数f(v)によって予備締固め性能VLは変更され、直接的又は車両制御部5を介して間接的にスクリード制御部8に供給される。このように、各舗装スクリード7,7’で作動する締固め要素6は、舗装スクリード7,7’によって一定の予備締固めVが形成されるよう、その予備締固め性能VLを、舗装速度v、特に入力された最大舗装速度vB、又は、材料配送量PLに応じて計算された最大舗装速度v最大に適応させることが達成される。
【0059】
図4は本発明に係るコンセプトの概略図を示し、これによれば、舗装速度v、特に最大舗装速度v
最大は、時間遅延t
xで変化する材料配送量P
Lに適応し、それ故、予備締固めVを一定に維持するために予備締固め性能V
Lbの変化が伴う。
【0060】
図4は、特に、材料配送量P
Lが増加するに伴って、舗装速度v、又は、最大舗装速度v
B、時間t
xで入力又は計算されたv
最大はまた、時間遅延を伴って車両制御部5に保存され、及び、この遅延に従って、スクリード制御部8において、予備締固め性能V
Lは一定の予備締固めVを生成可能であるよう補正係数f(v)によって調整されることを示す。
【0061】
図4における時間軸tに沿って材料配送量P
Lに適応する増加する予備締固め性能V
Lは、材料配送量P
Lが減少した場合には、材料配送量P
Lに適応した減少する舗装速度vと共に、予備締固めVを一定に維持するために、時間遅延を伴って減少させることが可能である。
【0062】
図5は、道路舗装機3の直ぐ近くの材料備蓄Qに係る概略図を示し、これは、材料配送量P
L及び道路舗装機3の舗装速度vに応じて変化することが可能である。材料備蓄Qは、道路舗装機3のホッパー10に保存された舗装材料Mの量に対応することが可能である。フィーダ11が建設現場において用いられる場合、材料備蓄Qは、フィーダ11及び道路舗装機3のそれぞれのホッパーに入った舗装材料Mの合計から得られる。
【0063】
一体の材料配送量P
Lでは、建設現場における材料備蓄Qは舗装速度vが高まるに伴って減少し、材料備蓄Qは舗装速度vが下がるに伴って増加すると仮定することが可能である。
図5は、道路舗装機3の直ぐ近くの材料備蓄Qは最大材料備蓄Q
最大を超えず、かつ、最低材料備蓄Q
最低を下回らないことを示す。制御システム2は、最低材料備蓄Q
最低を下回らないよう、及び/又は、最大材料備蓄Q
最大を超えないように、車両制御部5に保存された舗装速度設定値vsoll、特に最大舗装速度v
最大を選択するよう構成可能である。
【0064】
図5に示されている材料供給Qにおける変動は、材料サプライチェーンLにおける障害によりもたらされる可能性がある。例えば、材料備蓄Qにおける変動は、混合プラントWから建設現場に向かう途中における予想外に多い交通量によって引き起こされる可能性がある。
【0065】
図6は、舗装プロセスE中に道路舗装機3で制御される舗装速度vに係る概略図を示す。特に、
図6は、時間t
1から時間t
2まで初期舗装速度v
初期で道路舗装機3が制御されていることを示す。時間t
2で、舗装プロセスEに対する材料配送量P
Lの変化が制御システム2により検出される。次いで、制御システム2は、新たな舗装速度v、この場合、時間t
3からのオペレータにより入力された最大舗装速度v
Bに対応する新たな最大舗装速度v
最大を判定する。これは、時間t
2における材料配送量P
Lが、制御システム2により判定された最大舗装速度v
最大がオペレータにより入力された最大舗装速度v
Bよりも大きくなるような程度のものであるためであり、従って、後者は制御システム2によって道路舗装機3の車両制御部5に保存される。
【0066】
時間t2から時間t3の間では、制御システム2により判定された時間txから得られるランプ関数yが用いられて、制御システム2において舗装速度vがユーザにより入力された最大舗装速度vBに相当することとなるまで、速度が連続的に増加される。
【0067】
時間t4では、制御システム2は、材料配送量PLが再度変化し、すなわち、時間t4の前よりも低いと判定する。結果的な制御システム2により計算された最大舗装速度v最大は、道路舗装機3の車両制御部5において時間t5から保存される。この最大舗装速度v最大は、ユーザにより入力された最大舗装速度vBよりも低く、減少した材料配送量PLに対応し、従って、制御システム2により計算されるとおり、道路舗装機3の車両制御部5に保存可能である。
【0068】
時間t6では、さらなる材料配送量PLの減少が制御システム2により検出される。従って、時間t7からの好適な最大舗装速度v最大は、さらに減少した材料配送量PLに従ってさらにゆっくりと舗装プロセスEを実施するために、さらに低くなる。
【0069】
図6に示す最大舗装速度v
最大のそれぞれの間隔の間においてランプ関数yが用いられて、それぞれの勾配に伴って速度の変更が実施される。この勾配は、速度の変化に応じて選択されることが可能である。特に、勾配は、加速がシステム及び構成要素に係る惰性によって最大値を超えないよう、平坦に設定することが可能である。
【0070】
図7は、概略図において、一定の予備締固めVが舗装スクリード7,7’によって達成されるよう、予備締固め性能V
Lが
図6に示されている速度曲線に従って適応することを示す。舗装スクリード7,7’におけるそれぞれの締固め機要素6は、道路舗装機3の舗装速度vに応じてその操作が制御される。
【外国語明細書】