IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レーザーテック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127783
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】照明装置及び照明方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240912BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240912BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240912BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20240912BHJP
   G01N 21/956 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H01L21/66 J
H05G2/00 K
G01N21/956 A
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022288
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2023036152
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林田 慧太朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎二
(72)【発明者】
【氏名】小市 真樹
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 治彦
【テーマコード(参考)】
2G051
2H197
4C092
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AB02
2G051BA05
2G051BB11
2G051BC06
2G051CD06
2H197BA01
2H197BA02
2H197CA10
2H197DA03
2H197DA04
2H197DA09
2H197DC02
2H197DC15
2H197DC20
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA23
2H197GA30
2H197HA03
4C092AA06
4C092AB12
4C092AC09
4M106AA09
4M106BA05
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB13
4M106DJ02
4M106DJ03
(57)【要約】
【課題】検出器で検出される視野領域を均一に照明することができる照明装置及び照明方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る照明装置600は、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を照明光L1が一方向にスキャンするように光学部材610を駆動させる駆動部620と、照明光L1のスキャンを、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの転送に同期させるように駆動部620を制御する制御部630と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を、照明光が前記一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材を駆動させる駆動部と、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に、前記一方向の前記移動成分の前記照明光のスキャンが同期するように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた照明装置。
【請求項2】
前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記レーザ光の前記ターゲットへの照射位置を規定し、
前記駆動部は、前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするレーザ光移動成分を持つように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光に前記一方向へのスキャンの前記移動成分を持たせる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記照明光は、プラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記プラズマの発生位置から前記試料までの光路上において、前記EUV光が前記試料に照射される位置を規定する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させる、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させる、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子、及び、電気光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、
前記駆動部は、前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記TDIセンサは、複数の撮像素子を有する複数の撮像素子列を備え、同一の前記撮像素子列に属する撮像素子間で情報を転送し、
前記一方向は、前記撮像素子列が並ぶ方向と略同一である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記TDIセンサの積算周期の1サイクルにおける、前記照明光の前記一方向における一方側の前記移動成分と前記一方向における他方側の前記移動成分とからなる往復スキャンの実行回数が整数となるように、前記駆動部を制御する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を、照明光が前記一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材を駆動させる駆動部と、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1サイクルの積算周期に、前記照明光を、所定の回数よりも多く前記一方向のスキャンがされるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた照明装置。
【請求項12】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を、照明光が前記一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材を駆動させるステップと、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に、前記一方向の前記移動成分の前記照明光のスキャンが同期するようにするステップと、
を備えた照明方法。
【請求項13】
前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記レーザ光の前記ターゲットへの照射位置を規定し
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするレーザ光移動成分を持つように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光に前記一方向へのスキャンの前記移動成分を持たせる、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項14】
前記照明光は、プラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記プラズマの発生位置から前記試料までの光路上において、前記EUV光が前記試料に照射される位置を規定する、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項15】
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させる、
請求項13に記載の照明方法。
【請求項16】
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させる、
請求項13に記載の照明方法。
【請求項17】
前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形である、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項18】
前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形である、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項19】
前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子、及び、電気光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させる、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項20】
前記TDIセンサは、複数の撮像素子を有する複数の撮像素子列を備え、同一の前記撮像素子列に属する撮像素子間で情報を転送し、
前記一方向は、前記撮像素子列が並ぶ方向と略同一である、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項21】
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記TDIセンサの積算周期の1サイクルにおける、前記照明光の前記一方向における一方側の前記移動成分と前記一方向における他方側の前記移動成分とからなる往復スキャンの実行回数が整数となるようにする、
請求項12に記載の照明方法。
【請求項22】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を、照明光が前記一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材を駆動させるステップと、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1サイクルの積算周期に、前記照明光を、所定の回数よりも多く前記一方向のスキャンがされるステップと、
を備えた照明方法。
【請求項23】
前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させる光源制御部をさらに備えた、
請求項1~11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項24】
前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させるステップをさらに備えた、
請求項12~22のいずれか1項に記載の照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、半導体基板やフォトマスクに発生した欠陥の検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-534341号公報
【特許文献2】特開2010-236966号公報
【特許文献3】特開平11-072905号公報
【特許文献4】特開2019-158431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EUV(Extreme Ultra Violet)光を用いたマスク欠陥検査においては、試料の検査領域を均一に効率よく照明する必要がある。EUV光を生成するEUV光源に、LPP(Laser Produced Plasma)方式を用い、照明光学系でクリティカル照明の構成を取る場合には、レーザ光の集光プロファイルがそのまま照明プロファイルに反映される。
【0005】
例えば、LPP方式におけるターゲットを励起するレーザ光の光軸に直交する断面の強度分布は、ガウシアンプロファイルを有している。このため、カメラ等のセンサにおける横長のセンサ面で検出される試料上の視野領域を、横長のフラットなプロファイルを有する照明光で均一に照明するためには、複雑な光学系を構築する必要がある。例えば、単一の集光ビームをシリンドリカルレンズ及び水晶板等によるビーム分割でフラットに近い照明プロファイルを有する照明光を形成することもできる。これにより、視野領域をカバーする形状に照明光を整形することができる。しかしながら、光学系が複雑になるとともに、視野領域外にはみ出る光量も多くなり非効率である。
【0006】
特許文献4では、照明NA分布が位置によってばらつきが出るというデメリットがあるので光源側でスキャンする方法がよい。
【0007】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、検出器で検出される視野領域を均一に照明することができる照明装置及び照明方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る照明装置は、試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させる駆動部と、前記照明光のスキャンを、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させるように前記駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0009】
上記照明装置では、前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、前記光学部材は、前記レーザ光を前記ターゲットに対して反射させるミラーを含み、前記駆動部は、前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光を前記視野領域において前記一方向にスキャンさせてもよい。
【0010】
上記照明装置では、前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させてもよい。
【0011】
上記照明装置では、前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させてもよい。
【0012】
上記照明装置では、前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形でもよい。
【0013】
上記照明装置では、前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形でもよい。
【0014】
上記照明装置では、前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、及び、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、前記駆動部は、前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させてもよい。
【0015】
本開示に係る照明装置は、試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させる駆動部と、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、前記照明光を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるように前記駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0016】
本開示に係る照明方法は、試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させるステップと、前記照明光のスキャンを、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させるステップと、を備える。
【0017】
上記照明方法では、前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、前記光学部材は、前記レーザ光を前記ターゲットに対して反射させるミラーを含み、前記光学部材を駆動させるステップにおいて、前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光を前記視野領域において前記一方向にスキャンさせてもよい。
【0018】
上記照明方法では、前記光学部材を駆動させるステップにおいて、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させてもよい。
【0019】
上記照明方法では、前記光学部材を駆動させるステップにおいて、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させてもよい。
【0020】
上記照明方法では、前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形でもよい。
【0021】
上記照明方法では、前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形でもよい。
【0022】
上記照明方法では、前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、及び、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、前記光学部材を駆動させるステップにおいて、前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させてもよい。
【0023】
上記照明装置では、前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させる光源制御部をさらに備えてもよい。
【0024】
上記照明方法では、前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させるステップをさらに備えてもよい。
【0025】
本開示に係る照明方法は、試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させるステップと、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、前記照明光を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、検出器で検出される視野領域を均一に照明することができる照明装置及び照明方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態1に係る光源を例示した断面図である。
図2】実施形態1に係る光源の容器を例示した斜視図である。
図3】実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。
図4】実施形態1に係る照明装置を例示した構成図である。
図5】実施形態1に係るターゲット上のレーザ光のスキャン及びプラズマの移動を例示した図である。
図6】実施形態1に係る試料上の視野領域における照明光のスキャン及び反射光の移動を例示した図である。
図7】実施形態1に係る検出面における視野領域からの反射光の移動を例示した図である。
図8】実施形態1に係る三角波を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、振幅を示す。
図9】実施形態1に係るターゲット上のレーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように制御した場合のターゲット上のプラズマのプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、ターゲット上の位置を示し、縦軸は、プラズマから生成されたEUV光の強度を示す。
図10】実施形態1に係るターゲット上のレーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように制御した場合の試料上の照明光のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、試料上の位置を示し、縦軸は、照明光の強度を示す。
図11】実施形態1に係る正弦波を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、振幅を示す。
図12】実施形態1に係るターゲット上のレーザ光の位置と時間との関係が正弦波を含むように制御した場合のターゲット上のプラズマのプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、ターゲット上の位置を示し、縦軸は、プラズマから生成されたEUV光の強度を示す。
図13】実施形態1に係るターゲット上のレーザ光の位置と時間との関係が正弦波を含むように制御した場合の試料上の照明光のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、試料上の位置を示し、縦軸は、照明光の強度を示す。
図14】実施形態1に係る検出面における視野領域からの反射光のスポットの形状を例示した図である。
図15】実施形態1に係る検出面における視野領域からの反射光の移動を例示した図である。
図16】実施形態1の別の例に係る検出面における視野領域からの反射光のスポットの形状を例示した図である。
図17】実施形態1の別の例に係る検出面における視野領域からの反射光の移動を例示した図である。
図18】実施形態1に係る照明装置において、制御部を例示したブロック図である。
図19】実施形態1に係る照明方法を例示したフローチャート図である。
図20】実施形態2に係る照明装置を例示した構成図である。
図21】実施形態4に係る照明装置を例示した図である。
図22】比較例に係る照明装置において、レーザ光をスキャンさせた場合のレーザ光の相対強度と、照明光の強度プロファイルとの対応を例示した図である。
図23】実施形態4に係る照明装置において、レーザ光をスキャンさせた場合のレーザ光の相対強度と、照明光の強度プロファイルとの対応を例示した図である。
図24】実施形態5に係る照明装置において、駆動部が駆動させる光学部材を例示した図である。
図25】実施形態5に係る照明装置において、駆動部が駆動させる光学部材を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0029】
(実施形態1)
実施形態1に係る照明装置を説明する。本実施形態の照明装置は、検査装置等のような光学装置に用いられる照明光を生成する。照明装置は、光源に設けられることにより、光学装置に適した照明光を生成する。なお、照明装置は、光学装置に設けられることにより、光学装置に適した照明光を生成してもよい。照明装置を説明する前に、<光源>及び<光学装置>を説明する。その後、<照明装置>を説明する。これにより、照明装置をより明確にする。
【0030】
<光源>
光源は、光学装置で用いられる照明光を生成する。光学装置が検査装置の場合には、光源は、検査装置における検査対象を照明する照明光を生成する。また、光学装置が露光装置の場合には、光源は、露光装置における露光光を生成してもよい。光源の一例として、容器に保持した溶融金属をターゲットとする例を説明する。なお、光源は、容器に保持した溶融金属をターゲットとするものに限らず、レーザ光の照射によりプラズマを発生する固体金属、液滴等をターゲットとしたものでもよい。
【0031】
図1は、実施形態1に係る光源を例示した断面図である。図2は、実施形態1に係る光源の容器を例示した斜視図である。図1及び図2に示すように、光源100は、容器111を備えている。容器111は、例えば、坩堝であり、内部で、金属を溶融させることができる。容器111は、レーザ光LRの照射によりプラズマ127を発生させる溶融金属等のターゲット112を保持する。ターゲット112は、例えば、容器111に保持された溶融金属である。なお、ターゲット112は、容器111に保持された溶融金属に限らず、レーザ光LRの照射によりプラズマ127を発生する物質であれば、固体金属、液滴等でもよい。溶融金属は、例えば、スズ(Sn)、または、リチウム(Li)等が溶融したものであるが、レーザ光LRの照射によりプラズマ127を発生するものであれば、スズ、リチウムに限らない。
【0032】
容器111は、回転軸Rを有し、回転軸Rを中心にして回転する。容器111は、例えば、一方の開口部が閉じた円筒形状である。容器111の閉じた部分を底部113という。容器111の円筒状の部分を円筒部114という。容器111の回転軸Rは、例えば、鉛直方向に延びている。底部113の内側の面を底面115という。円筒部114の内側の面を内周面116という。底部113と円筒部114との接合部分には溝117が形成されてもよい。
【0033】
回転軸Rを囲むように形成された内周面116は、回転軸Rとの距離が一定の円筒状の部分を含んでもよいし、上方ほど外側に拡がったすり鉢状の部分を含んでもよい。例えば、内周面116のすり鉢状の部分は溝117に接続されている。
【0034】
光源100は、容器111の他、ヒータ118、デブリシールド119、コレクターミラー120を備えてもよい。ヒータ118の加熱によって、容器111内に、溶融金属等のターゲット112を形成することができる。コレクターミラー120は、生成されたEUV光LEを反射する。EUV光LEは、レーザ光LRがターゲット112に照射されることにより発生したプラズマ127から生成される。デブリシールド119は、ターゲット112を覆うように開口部121に配置されている。
【0035】
光源100は、レーザ光LRを生成する励起用レーザLSを備えてもよいし、光源100の外部に設置した励起用レーザLSからのレーザ光LRを導入して、ターゲット112を照射するようにしてもよい。レーザ光LRは、例えば、IRレーザ光である。レーザ光LRは、照明装置600の制御によってターゲット112を照射する。例えば、レーザ光LRは、照明装置600の光学部材610によって反射され、集光レンズ611によって集光される。これにより、レーザ光LRは、ターゲット112を照射する。ターゲット112で発生したプラズマ127から生成されたEUV光は、照明光L1として検査装置1等の光学装置に出射する。よって、照明光L1は、ターゲット112に対してレーザ光LRを照射させることにより発生させたプラズマ127から生成されたEUV光LEを含んでもよい。照明装置600については後述する。
【0036】
<光学装置>
次に、光学装置を説明する。以下では、光学装置の一例として、検査装置を用いて説明する。
【0037】
図3は、実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。図3に示すように、検査装置1は、照明光学系200、検出光学系300、検出器410及び画像処理部420を備えている。なお、検査装置1は、さらに、光源100を備えてもよい。検査装置1は、光源100で生成された照明光L1を用いて、試料500の欠陥等を検査する装置である。試料500は、例えば、EUVマスクである。なお、試料500は、EUVマスクに限らず、半導体基板等でもよい。
【0038】
照明光学系200は、楕円面鏡210、楕円面鏡220及び落とし込みミラー230を有している。検出光学系300は、穴開き凹面鏡310、凸面鏡320、平面鏡330及び凹面鏡340を有している。穴開き凹面鏡310及び凸面鏡320は、シュバルツシルト拡大光学系を構成している。
【0039】
光源100は、照明光L1を生成する。照明光L1は、例えば、試料500となるEUVマスクの露光波長と同じ13.5nmのEUV光LEを含んでいる。なお、照明光L1は、EUV光以外の光を含んでもよい。光源100から生成された照明光L1は、楕円面鏡210で反射する。楕円面鏡210で反射した照明光L1は、絞られながら進み、集光点IF1で集光される。よって、楕円面鏡210は、光源100から生成された照明光L1を収束光として反射させる。集光点IF1は、EUVマスク等の試料500の上面510及び検出器410の検出面411と共役な位置となっている。
【0040】
照明光L1は、集光点IF1を通過後、拡がりながら進んで、楕円面鏡220等の反射鏡に入射する。よって、楕円面鏡220は、楕円面鏡210で反射した照明光L1が中間集光点IF1を介して発散光として入射される。楕円面鏡220に入射した照明光L1は、楕円面鏡220で反射し、絞られながら進んで、落とし込みミラー230に入射する。つまり、楕円面鏡220は、入射した照明光L1を収束光として反射させる。そして、楕円面鏡220は、照明光L1を落とし込みミラー230に入射させる。落とし込みミラー230は、EUVマスクの真上に配置されている。落とし込みミラー230に入射して反射した照明光L1は、試料500に入射する。よって、落とし込みミラー230は、楕円面鏡220で反射した照明光L1を試料500に対して反射することにより照明光L1を試料500に入射させる。
【0041】
楕円面鏡220は、試料500に照明光L1を集光している。照明光L1が試料500を照明する際に、光源100の像を、試料500の上面510に結像させるように照明光学系200は設置されている。よって、照明光学系200は、クリティカル照明となっている。このように、照明光学系200は、光源100で生成された照明光L1によるクリティカル照明を用いて、EUVマスク等の試料500を照明する。
【0042】
試料500は、ステージ520上に配置されている。ここで、試料500の上面510に平行な平面をαβ平面とし、αβ平面に垂直な方向をγ軸方向とする。照明光L1は、γ軸方向から傾いた方向から試料500に入射する。すなわち、照明光L1は斜め入射して、試料500を照明する。
【0043】
ステージ520は、駆動部530を有する3次元駆動ステージである。駆動部530は、ステージ520をαβ平面内で移動させることで、試料500の所望の領域を照明させることができる。さらに、駆動部530は、ステージ520をγ軸方向に移動させることにより、フォーカス調整を行うことができる。
【0044】
光源100からの照明光L1は、試料500の検査領域を照明する。照明光L1によって照明される検査領域は、例えば、0.5mm角である。なお、検査領域は、0.5mm角に限らない。照明光L1は、γ軸方向に対して傾いた方向から試料500に入射する。照明光L1によって照明された試料500からの光は、穴開き凹面鏡310に入射する。以下では、照明光L1によって照明された試料500からの光を反射光L2として説明する。なお、試料500から穴開き凹面鏡310に入射する光は、反射光L2に限らず、回折光等を含んでもよい。試料500で反射した反射光L2は、穴開き凹面鏡310に入射する。穴開き凹面鏡310の中心には、穴311が設けられている。穴開き凹面鏡310は、試料500からの反射光L2を集光し、集光した反射光L2を収束光として反射する。
【0045】
穴開き凹面鏡310で反射された反射光L2は、凸面鏡320に入射する。凸面鏡320は、穴開き凹面鏡310で反射した反射光L12を、穴開き凹面鏡310の穴311に向けて反射させる。穴311を通過した反射光L2は、平面鏡330に入射する。平面鏡330は、凸面鏡320で反射した反射光L2を穴開き凹面鏡310の穴311を通して収束光として入射させる。平面鏡330に入射した反射光L2は、平面鏡330で反射する。平面鏡330で反射した反射光L2は、絞られながら進み、集光点IF2で集光される。よって、平面鏡330は、入射した反射光L2を収束光として反射する。集光点IF2を開口絞りと呼ぶ場合もある。集光点IF2は、試料500の上面510及び検出器410の検出面411と共役な位置となっている。
【0046】
反射光L2は、集光点IF2を通過後、拡がりながら進んで、凹面鏡340に入射する。よって、凹面鏡340は、収束光として平面鏡330で反射した反射光L2が集光点IF2を介して発散光として入射される。凹面鏡340は、入射した反射光L2を収束光として検出器410に対して反射させる。凹面鏡340で反射した反射光L2は、検出器410で検出される。このように、検出光学系300は、照明光L1によって照明された試料500からの反射光L2を集光し、集光した反射光L2を検出器410に導く。
【0047】
検出器410は、TDI(Time Delay Integraion)センサを含んでもよい。検出器410は、照明光L1が照明した試料500からの光を受光する。検出器410が検出する試料500上の領域を視野領域511と呼ぶ。検出器410は、照明光L1が照明した視野領域511からの反射光L2を受光する。視野領域511は、照明光L1が照明した検査領域に含まれてもよい。検出器410は、EUVマスク等の試料500の画像データを取得する。検出器410がTDIセンサを含む場合には、検出器410は、一方向にライン状に並んだ複数の撮像素子を含む。撮像素子は、例えば、CCD(Charg Coupled Device)である。なお、撮像素子は、CCDに限らない。TDIセンサの複数の撮像素子については後述する。
【0048】
検出器410により取得された試料500の画像データは、画像処理部420に出力され、画像処理部420において処理される。画像処理部420は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置でもよい。
【0049】
反射光L2には、試料500の欠陥等の情報が含まれている。γ軸方向に対して傾いた方向から試料500に入射した照明光L1の正反射光は、検出光学系300によって検出されている。試料500に欠陥が存在する場合には、暗い像として欠陥が観察される。このような観察方法を、明視野観察という。なお、検査装置1は、γ軸方向から試料500に照明光L1を入射させ、検出光学系300によって検出させてもよい。試料500に欠陥が存在する場合には、明るい像として欠陥が観察される。このような観察方法を、暗視野観察という。
【0050】
<照明装置>
図4は、実施形態1に係る照明装置を例示した構成図である。図1及び図4に示すように、照明装置600は、光学部材610、駆動部620及び制御部630を備えている。照明装置600は、さらに、集光レンズ611等の他の光学部材を含んでもよい。
【0051】
光学部材610は、励起用レーザLSで生成されたレーザ光LRをターゲット112に対して反射させる。ここで、ターゲット112の上面に平行な平面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。光学部材610は、例えば、ピエゾステアリングミラー等のミラーを含んでもよい。なお、光学部材610は、レーザ光LRをターゲット112に対して反射させることができれば、ピエゾステアリングミラーに限らず、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等を含んでもよい。光学部材610は、集光レンズ611を介して、レーザ光LRをターゲット112に対して反射させてもよい。
【0052】
駆動部620は、例えば、アクチュエータである。駆動部620は、光学部材610の反射方向を変化させるように、光学部材610を駆動させる。駆動部620は、レーザ光LRに対する光学部材610の角度を振ることでビームスキャンを行う。具体的には、駆動部620は、レーザ光LRがターゲット112上を所定の方向、例えば、Y軸方向にスキャンするように、光学部材610の反射面を変化させる。駆動部620は、Y軸上でレーザ光LRが折り返すように光学部材610を駆動させてもよい。
【0053】
制御部630は、駆動部620の動作を制御する。図5は、実施形態1に係るターゲット112上のレーザ光LRのスキャン及びプラズマ127の移動を例示した図である。図4及び図5に示すように、駆動部620は、レーザ光LRがターゲット112をY軸方向にスキャンするように光学部材610を駆動させる。よって、ターゲット112上で発生したプラズマ127の輝点もスキャン方向(Y軸方向)に移動する。これにより、プラズマ127から生成されたEUV光LEを含む照明光L1の強度プロファイルは、スキャン方向に延びる。照明光L1は、照明光学系200を介して試料500を照明する。よって、試料500上において、照明光L1の強度プロファイルも一方向に延びる。
【0054】
図6は、実施形態1に係る試料500上の視野領域511における照明光L1のスキャン及び反射光L2の移動を例示した図である。図6に示すように、照明光L1は、検出器410が検出する試料500上の視野領域511において一方向、例えば、β軸方向にスキャンされる。視野領域511は、試料500におけるβ軸方向に延びた領域であり、検出器410の検出面411が検出する領域である。このように、駆動部620は、レーザ光LRがターゲット112をY軸方向にスキャンするように光学部材610を駆動させることにより、照明光L1を視野領域511においてβ軸方向にスキャンさせる。言い換えれば、駆動部620は、視野領域511を照明光L1がβ軸方向にスキャンするように光学部材610を駆動させる。
【0055】
図7は、実施形態1に係る検出面411における視野領域511からの反射光L2の移動を例示した図である。図7に示すように、検出器410がTDIセンサを含む場合には、検出器410は、一方向にライン状に並んだ複数の撮像素子M1~M4を有している。ライン状に並んだ複数の撮像素子M1~M4を撮像素子列と呼ぶ。よって、検出器410は、一方向に直交する他方向に並んだ複数の撮像素子列D1~D5を有している。各撮像素子列D1~D5は、複数の撮像素子M1~M4を含む。なお、図に示す撮像素子の個数は、説明の便宜上のものであって、例示である。
【0056】
制御部630は、ターゲット112上のレーザ光LRのスキャンを、TDIセンサの積算周期に同期させるように制御する。これにより、制御部630は、視野領域511における照明光L1のスキャンを、TDIセンサの積算周期に同期させるように駆動部620を制御することができる。具体的には、試料500を照明する照明光L1は、TDIセンサの積算周期に同期するようにβ軸方向に移動する。TDIセンサは、転送時間t=t1~t5の間に検出面411が受光した反射光L2を積算する。例えば、積算周期は、検出面411における複数の撮像素子列D1~D5の各撮像素子M1~M4が受光した反射光L2の光量を積算させる周期である。
【0057】
時刻t=t1において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D1における撮像素子M1に受光される。よって、撮像素子列D1における撮像素子M1は、受光した光量を保持する。
【0058】
時刻t=t2において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に受光される。よって、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2は、受光した光量を保持する。また、時刻t=t1で撮像素子列D1における撮像素子M1が保持する光量は、撮像素子列D2における撮像素子M1に転送される。
【0059】
時刻t=t3において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3に受光される。よって、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3は、受光した光量を保持する。また、時刻t=t2で撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に保持された光量は、撮像素子列D3における撮像素子M1及びM2に転送される。
【0060】
時刻t=t4において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4に受光される。よって、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4は、受光した光量を保持する。また、時刻t=t3で撮像素子列D3における撮像素子M1~M3に保持された光量は、撮像素子列D4における撮像素子M1~M3に転送される。
【0061】
時刻t=t5において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D5における撮像素子M4に受光される。よって、撮像素子列D5における撮像素子M4は、受光した光量を保持する。また、時刻t=t4で撮像素子列D4における撮像素子M1~M4に保持された光量は、撮像素子列D5における撮像素子M1~M4に転送される。これにより、TDIセンサの積算が完了する。これが1回の積算周期である。この間に、レーザ光LRは、ターゲット112上をY軸方向に1回スキャンする。それにともなって、照明光L1は、視野領域511上をβ軸方向に1回スキャンする。
【0062】
なお、1回の積算周期に、レーザ光LRは、ターゲット112上をY軸方向に2回以上の整数回、スキャンしてもよい。それにともなって、照明光L1は、視野領域511上をβ軸方向に2回以上の整数回、スキャンしてもよい。
【0063】
このように、制御部630は、駆動部620をTDIセンサの積算周期に同期させながら動作させる。制御部630は、駆動部620にTDIセンサの積算が完了するまでに視野領域511内を1回以上、具体的には整数回スキャンさせる。これにより、検出器410が検出する視野領域511を均一な照明光L1で照明することができる。例えば、ミラーアクチュエータ等の駆動部620と、TDIカメラのクロックとを同期させることにより、このような動作をさせることができる。
【0064】
例えば、積算段数1000段のTDIを転送レート100KHzで駆動したとすると、同期周波数は、100KHz/1000段=100Hzとなる。これは、往復させるときの周波数である。片道スキャンできれば良いので、必要最低周波数は、その半分の50Hzとなる。これを最低単位とし、この整数倍の周波数で、プラズマ127の輝点をスキャンさせる。これにより、実効的にフラットな輝度プロファイルを有する照明光L1を形成することができる。
【0065】
視野領域511を照明する照明光L1は、視野領域511をβ軸方向に等速移動することが望ましい。したがって、プラズマ127の輝点は、ターゲット112上をY軸方向に等速移動することが望ましい。例えば、制御部630は、三角波を用いて駆動部620の動作を制御する。
【0066】
図8は、実施形態1に係る三角波を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、振幅を示す。図8の縦軸は、ターゲット112上におけるレーザ光LRのY軸方向の位置を示す。図8に示すように、制御部630は、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波を含むように駆動部620を制御する。これにより、駆動部620は、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波を含むように光学部材610を駆動させる。つまり、ターゲット112上のY軸方向における位置を振幅に対応させた場合に、制御部630は、レーザ光LRの位置がY軸方向に等速でスキャンするように制御する。これにより、ターゲット112においてフラットなプラズマ127の輝度プロファイルを形成することができる。よって、視野領域511において照明光L1のフラットな強度プロライルを形成することができる。
【0067】
なお、検出器410におけるTDIセンサは、レーザ光LRの+Y軸方向へのスキャン時の反射光L2の光量を積算してもよいし、レーザ光LRの-Y軸方向へのスキャン時の反射光L2の光量を積算してもよい。また、検出器410におけるTDIセンサは、レーザ光LRの+Y軸方向及び-Y軸方向の両方のスキャン時の反射光L2の光量を積算してもよい。
【0068】
図9は、実施形態1に係るターゲット112上のレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波を含むように制御した場合のターゲット112上のプラズマ127のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、ターゲット112上の位置を示し、縦軸は、プラズマ127から生成されたEUV光LEの強度を示す。図10は、実施形態1に係るターゲット112上のレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波を含むように制御した場合の試料500上の照明光L1のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、試料500上の位置を示し、縦軸は、照明光L1の強度を示す。
【0069】
図9に示すように、レーザ光LRの照射位置が三角波を含むように制御した場合には、ターゲット112上のプラズマ127のプロファイルをフラットにすることができる。しかしながら、図10に示すように、試料500上の照明光L1のプロファイルがフラットから外れる場合がある。例えば、試料500上の照明光L1のプロファイルは、視野領域511の中央部分に凸形状を有し、視野領域511の両端部に減少部を有する。これは、照明光学系200の光学部材によって、照明光L1が反射及び透過を繰り返えすことによるスロープエラーが原因と考えられる。そこで、制御部630は、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波と正弦波とを重ね合わせた波を含むように駆動部620の動作を制御する。これにより、駆動部620は、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波と正弦波とを重ね合わせた波を含むように光学部材610を駆動させる。
【0070】
図11は、実施形態1に係る正弦波を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、振幅を示す。図11の縦軸は、ターゲット112上におけるレーザ光LRのY軸方向の位置を示す。図12は、実施形態1に係るターゲット112上のレーザ光LRの位置と時間との関係が正弦波を含むように制御した場合のターゲット112上のプラズマ127のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、ターゲット112上の位置を示し、縦軸は、プラズマ127から生成されたEUV光LEの強度を示す。図13は、実施形態1に係るターゲット112上のレーザ光LRの位置と時間との関係が正弦波を含むように制御した場合の試料500上の照明光L1のプロファイルを例示したグラフであり、横軸は、試料500上の位置を示し、縦軸は、照明光L1の強度を示す。
【0071】
図11及び図12に示すように、レーザ光LRの照射位置が正弦波を含むように制御した場合には、ターゲット112上のプラズマ127のプロファイルは、両端に凸部を有し、中央に凹部を有している。正弦波の場合には、両端の折り返し点の近傍を移動する速度が低下するため、プロファイルは、両端に凸部を有する。図13に示すように、レーザ光LRの照射位置が正弦波を含むように制御した場合には、試料500上の照明光L1のプロファイルは、両端の凸部と中央の凹部との差が減少している。したがって、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波と正弦波とを重ね合わせた波を含むように制御することにより、試料500上の照明光L1のプロファイルをフラットに近づけることができる。このように、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波と正弦波とを重ね合わせた波を含むようにすることによって、スロープエラーを加味した上で試料500上の照明光L1がフラットになるように調整することができる。なお、駆動部620は、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように光学部材610を駆動させてもよい。
【0072】
図14は、実施形態1に係る検出面411における視野領域511からの反射光L2のスポットの形状を例示した図である。ターゲット112上におけるレーザ光LRのスポットの形状が円形の場合には、視野領域511における照明光L1のスポットの形状も円形になる。その結果、図14に示すように、検出器410の検出面411における反射光L2のスポットも円形になる。視野領域511からの反射光L2は、例えば、撮像素子列D1~D5における撮像素子M1及びM2によって受光される。この場合には、撮像素子列D1における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=1の反射光L2を受光する。撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=3の反射光L2を受光する。撮像素子列D3における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=5の反射光L2を受光する。撮像素子列D4における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=3の反射光L2を受光する。撮像素子列D5における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=1の反射光L2を受光する。
【0073】
図15は、実施形態1に係る検出面411における視野領域511からの反射光L2の移動を例示した図である。図15に示すように、時刻t=t1において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D1における撮像素子M1に受光される。撮像素子列D1における撮像素子M1は、受光した強度I=1の光量を保持する。
【0074】
時刻t=t2において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に受光される。よって、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2は、受光した強度I=3の光量を保持する。また、時刻t=t1で撮像素子列D1における撮像素子M1が保持する強度I=1の光量は、撮像素子列D2における撮像素子M1に転送される。これにより、撮像素子列D2における撮像素子M1は、強度I=4の光量を保持する。
【0075】
時刻t=t3において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3に受光される。よって、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3は、受光した強度I=5の光量を保持する。また、時刻t=t2で撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に保持された、それぞれ、強度I=4及びI=3の光量は、撮像素子列D3における撮像素子M1及びM2に転送される。これにより、撮像素子列D3における撮像素子M2は、強度I=8の光量を保持する。撮像素子列D3における撮像素子M1は、強度I=4の光量を保持する。
【0076】
時刻t=t4において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4に受光される。よって、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4は、受光した強度I=3の光量を保持する。また、時刻t=t3で撮像素子列D3における撮像素子M1~M3に保持された光量は、撮像素子列D4における撮像素子M1~M3に転送される。これにより、撮像素子列D4における撮像素子M3は、強度I=8の光量を保持する。撮像素子列D4における撮像素子M1は、強度I=4の光量を保持する。撮像素子列D4における撮像素子M2は、強度I=8の光量を保持する。
【0077】
時刻t=t5において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D5における撮像素子M4に受光される。よって、撮像素子列D5における撮像素子M4は、受光した強度I=1の光量を保持する。また、時刻t=t4で撮像素子列D4における撮像素子M1~M4に保持された光量は、撮像素子列D5における撮像素子M1~M4に転送される。これにより、撮像素子列D5における撮像素子M4は、強度I=4の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M1は、強度I=4の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M2は、強度I=8の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M3は、強度I=8の光量を保持する。これにより、TDIセンサの積算が完了し、積算周期は終了する。
【0078】
スキャン回数が少ない場合には、照明光L1の縦方向(α軸方向)の強度差が横方向(β軸方向)の強度分布に変換される。具体的には、照明光L1のα軸方向の強度分布が撮像素子列のβ軸方向の強度分布に変換される。そこで、視野領域511における照明光L1のスポットを縦長、すなわち、他方向(α軸方向)に長くする。これにより、β軸方向の強度差を低減させる。
【0079】
図16は、実施形態1の別の例に係る検出面411における視野領域511からの反射光L2のスポットの形状を例示した図である。ターゲット112上におけるレーザ光LRのスポットの形状を縦長にする。その場合には、視野領域511における照明光L1のスポットの形状も縦長になる。具体的には、視野領域511における照明光L1のスポットの形状は、一方向(β軸方向)に直交する他方向(α軸方向)に長軸が延びた楕円形である。その結果、図16に示すように、検出器410の検出面411における反射光L2のスポットも縦長になる。
【0080】
視野領域511からの反射光L2は、例えば、撮像素子列D1~D5における撮像素子M1及びM2によって受光される。撮像素子列D1における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=3の反射光L2を受光する。撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=4の反射光L2を受光する。撮像素子列D3における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=5の反射光L2を受光する。撮像素子列D4における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=4の反射光L2を受光する。撮像素子列D5における撮像素子M1及びM2は、それぞれ、強度I=4の反射光L2を受光する。
【0081】
図17は、実施形態1の別の例に係る検出面411における視野領域511からの反射光L2の移動を例示した図である。図17に示すように、時刻t=t1において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D1における撮像素子M1に受光される。撮像素子列D1における撮像素子M1は、受光した強度I=3の光量を保持する。
【0082】
時刻t=t2において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に受光される。よって、撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2は、受光した強度I=4の光量を保持する。また、時刻t=t1で撮像素子列D1における撮像素子M1が保持する強度I=3の光量は、撮像素子列D2における撮像素子M1に転送される。これにより、撮像素子列D2における撮像素子M1は、強度I=7の光量を保持する。
【0083】
時刻t=t3において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3に受光される。よって、撮像素子列D3における撮像素子M2及びM3は、受光した強度I=5の光量を保持する。また、時刻t=t2で撮像素子列D2における撮像素子M1及びM2に保持された、それぞれ、強度I=7及びI=4の光量は、撮像素子列D3における撮像素子M1及びM2に転送される。これにより、撮像素子列D3における撮像素子M2は、強度I=9の光量を保持する。撮像素子列D3における撮像素子M1は、強度I=7の光量を保持する。
【0084】
時刻t=t4において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4に受光される。よって、撮像素子列D4における撮像素子M3及びM4は、受光した強度I=4の光量を保持する。また、時刻t=t3で撮像素子列D3における撮像素子M1~M3に保持された光量は、撮像素子列D4における撮像素子M1~M3に転送される。これにより、撮像素子列D4における撮像素子M3は、強度I=9の光量を保持する。撮像素子列D4における撮像素子M1は、強度I=7の光量を保持する。撮像素子列D4における撮像素子M2は、強度I=9の光量を保持する。
【0085】
時刻t=t5において、TDIセンサを含む検出器410が検出する反射光L2は、撮像素子列D5における撮像素子M4に受光される。よって、撮像素子列D5における撮像素子M4は、受光した強度I=3の光量を保持する。また、時刻t=t4で撮像素子列D4における撮像素子M1~M4に保持された光量は、撮像素子列D5における撮像素子M1~M4に転送される。これにより、撮像素子列D5における撮像素子M4は、強度I=7の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M1は、強度I=7の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M2は、強度I=9の光量を保持する。撮像素子列D5における撮像素子M3は、強度I=9の光量を保持する。これにより、TDIセンサの積算が完了し、積算周期が終了する。
【0086】
前述の照明光L1におけるスポットの形状が円形の場合には、撮像素子M1及びM4に対する撮像素子M2及びM3の光量は、2倍である。すなわち、視野領域511における照明光L1の中央部と端部との光量比は、2倍である。これに対して、照明光L1におけるスポットの形状を縦長の楕円にすることで、撮像素子M1及びM4に対する撮像素子M2及びM3の光量は、1.2倍である。よって、視野領域511における照明光L1の中央部と端部とにおける光量比を、1.2倍まで緩和することができる。よって、視野領域511をより均一に照明することができる。
【0087】
制御部630は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置でもよい。図18は、実施形態1に係る照明装置600において、制御部630を例示したブロック図である。図18に示すように、制御部630は、処理部631、通信部632、記憶部633及びインターフェース部634を有している。処理部631、通信部632、記憶部633及びインターフェース部634は、それぞれ、処理手段、通信手段、記憶手段及びインターフェース手段としての機能を有している。
【0088】
処理部631は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサを含む。処理部631は、処理及び演算等を行う演算装置としての機能を有する。また、処理部631は、通信部632、記憶部633、インターフェース部634及び各装置の機能を実行するための各構成要素の動作を制御する。
【0089】
制御部630の各構成要素は、例えば、処理部631の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、記憶部633に格納されたプログラムを、処理部631が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。
【0090】
通信部632は、制御部630が制御を行う上で必要な通信を行う。記憶部633は、例えば、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部633は、処理部631によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。
【0091】
インターフェース部634は、例えば、ユーザインターフェース(User Interface)である。インターフェース部634は、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力手段と、ディスプレイ又はスピーカ等の出力手段とに接続されている。インターフェース部は、ユーザ(オペレータ等)によるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を出力する。
【0092】
次に、照明方法を説明する。図19は、実施形態1に係る照明方法を例示したフローチャート図である。図19のステップS10に示すように、視野領域511を照明光L1がスキャンするように光学部材610を駆動させる。具体的には、制御部630は、試料500におけるβ軸方向に延びた領域の視野領域511を照明光L1がβ軸方向にスキャンするように光学部材610を駆動部620に駆動させる。
【0093】
次に、ステップS20に示すように、照明光L1のスキャンがTDIセンサの積算周期に同期するように制御する。具体的には、制御部630は、照明光L1のスキャンを、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させるように制御する。
【0094】
照明光L1は、ターゲット112に対してレーザ光LRを照射させることにより発生させたプラズマ127から生成されたEUV光LEを含んでもよい。光学部材610は、レーザ光LRをターゲット112に対して反射させるミラーを含んでもよい。そして、光学部材610を駆動させるステップS10において、レーザ光LRがターゲット112をY軸方向にスキャンするように光学部材610を駆動させることにより、照明光L1を視野領域511においてβ軸方向にスキャンさせてもよい。
【0095】
また、光学部材610を駆動させるステップS10において、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波を含むように、光学部材610を駆動させてもよい。また、ターゲット112上におけるレーザ光LRの位置と時間との関係が三角波と正弦波とを重ね合わせた波を含むように、光学部材610を駆動させてもよい。
【0096】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の照明装置600は、視野領域511における照明光L1のスキャンを、TDIセンサの積算周期に同期させる。例えば、TDIセンサの積算時間に照明光L1のスキャンを同期させる。これにより、ミラー等の光学部材610のスキャンによるプラズマ127の輝点移動によって、視野領域511をカバーする均一な照明プロファイルを実現することができる。よって、検出器410で検出される視野領域511を均一に照明することができる。
【0097】
また、視野領域511における照明プロファイルをフラットにするとともに、視野領域511以外で光量を低減できるので、照明光L1の利用効率を向上させることができる。
【0098】
プラズマ127の輝点を1積算時間内に複数回往復させることができれば、多段積算される効果により、パルスtoパルスでの輝度変動を平均化でき、安定性を向上させることができる。
【0099】
複数の励起用レーザLSを利用した際に、機差による照明光L1の明るさの違いを平均化することができる。
【0100】
光学部材610の角度変化のストローク量を調整することで、視野領域511外にはみ出す光量を調整することができる。よって、光量の安定性を増やすために視野領域511外の成分を増やす、効率を上げるために視野領域511を埋めるような移動量にする、といった調整を容易にすることができる。
【0101】
駆動部620は、レーザ光LRがターゲット112をスキャンするようにして、EUV光LEを生成してもよく、その場合には、EUV光LEを含む照明光L1を用いることができ、EUV光LEによる検査装置及び露光装置等に適用することができる。
【0102】
光学部材610を三角波に従ってスキャンすることにより、照明光L1のプロファイルをフラットにすることができる。また、光学部材610を三角波及び正弦波の重ね合わせに従ってスキャンすることにより、照明光学系200のスロープエラーを低減させることができる。例えば、光学系のスロープエラーにより照明形状がぼけるため、スキャン波形を三角波から正弦波に近づけることで、照明形状を最適化することができる。
【0103】
照明光L1の光軸に直交する断面の強度分布は、単純なガウシアンプロファイルでもよく、これにより、光学系をシンプルにすることができる。
【0104】
照明光L1のスキャンスピードがTDIセンサの積算周期と同程度の場合には、視野領域511における照明光L1のスポットを、β軸方向に長軸が延びた楕円形としてもよい。これにより、照明光L1のプロファイルにおける中央部と端部との強度の差を低減させ、照明光L1の均一性を向上させることができる。
【0105】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る照明装置を説明する。本実施形態の照明装置は、レーザ光L1をターゲット112に対して反射させる光学部材610をスキャンさせる代わりに、照明光L1を試料500に対して反射させるミラーをスキャンさせる。
【0106】
図20は、実施形態2に係る照明装置を例示した構成図である。本実施形態の照明装置600aにおいて、駆動部620は、検査装置2の落とし込みミラー230を駆動させる。照明装置600aにおいて、実施形態1の光学部材610に相当するものは、落とし込みミラー230である。落とし込みミラー230は、照明光L1を試料500に対して反射させる。駆動部620は、照明光L1が視野領域511においてβ軸方向にスキャンするように、落とし込みミラー230を駆動させる。
【0107】
本実施形態によれば、落とし込みミラー230をスキャンさせることにより、照明光L1が視野領域511をスキャンする。よって、照明光L1のスキャンの応答性を向上させることができる。また、スキャンさせた照明光L1は、照明光学系200を経由しない。すなわち、照明光L1は、直接に視野領域511をスキャンする。よって、照明光学系200のスロープエラーを抑制することができる。なお、照明装置600aにおいて、光学部材610として落とし込みミラー230を用いたが、これに限らない。例えば、コレクターミラー120、楕円面鏡210及び220等を用いて、照明光L1をスキャンさせてもよい。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれる。
【0108】
(実施形態3)
次に、実施形態3の照明装置を説明する。本実施形態の照明装置600では、制御部630は、TDIセンサの1回の積算周期に、照明光L1を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるように駆動部620を制御する。この場合に、TDIセンサの積算周期に同期させずに、光学部材610でレーザ光LRまたは照明光L1をスキャンさせてもよい。レーザ光LRまたは照明光L1のスキャンを積算周期に同期しない場合には、スキャン数/(スキャン数+1)の輝度の不均一が発生する。そこで、レーザ光LRまたは照明光L1を十分高速にスキャンすることができれば、輝度の不均一を相対的に小さくすることができる。例えば、光学部材610にポリゴンミラーを用いることにより、レーザ光LRまたは照明光L1を高速にスキャンすることができる。
【0109】
このように、本実施形態では、制御部630は、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、照明光L1を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせる。所定の複数回は、輝度の不均一を無視できる程度に小さくなる回数を予め試験して決定してもよい。
【0110】
(実施形態4)
次に、実施形態4の照明装置を説明する。アクチュエータ等の駆動部620の駆動波形制御により照明形状が最適化するのに加えて、スキャン照明の強度分布を補正するようにレーザ光LRの強度に変調をかけることで、フラット照明を生成することも可能である。また、駆動波形制御とレーザ光の強度制御を組み合わせることで、フラット照明を生成することも可能である。
【0111】
図21は、実施形態4に係る照明装置600bを例示した図である。図21に示すように、本実施形態の照明装置600bは、光源制御部700をさらに備えている。光源制御部700は、レーザ光LRの強度を制御する。例えば、光源制御部700は、TDIの積算周期に同期させるように、レーザ光LRの強度を制御する。これにより、光源制御部700は、TDIの積算周期に同期させるように、照明光L1の強度を変化させることができる。また、本実施形態の照明方法は、TDIの積算周期に同期させるように、照明光L1の強度を変化させるステップをさらに備える。以下で、比較例と対比させながら、本実施形態を説明する。まず、比較例を説明する。
【0112】
図22は、比較例に係る照明装置において、レーザ光LR(IR光)をスキャンさせた場合のレーザ光LRの相対強度と、照明光(EUV光)の強度プロファイルとの対応を例示した図である。図22に示すように、比較例においては、レーザ光LRは、相対強度を一定にしてビームスキャンする。この場合には、EUV光のプロファイルは、相対的に低強度の部分と、相対的に高強度の部分とを有している。
【0113】
次に、本実施形態の照明装置600bを説明する。図23は、実施形態4に係る照明装置600bにおいて、レーザ光LR(IR光)をスキャンさせた場合のレーザ光LRの相対強度と、照明光(EUV光)の強度プロファイルとの対応を例示した図である。図23に示すように、本実施形態においては、照明装置600bは、光源100におけるレーザ光LRの強度を制御する光源制御部700を備える。光源制御部700は、例えば、スキャンの中央部分で相対的に高強度になるように、レーザ光LRの強度を制御し、スキャンの折り返し部分で相対的に低強度になるように、レーザ光LRの強度を制御する。この場合には、EUV光のプロファイルは、フラットな強度の部分を有している。
【0114】
このように、光源制御部700は、スキャン照明の強度分布を補正するように、レーザ光LRの強度に変調をかける。これにより、フラット照明を生成することができる。具体的には、照明光の相対強度が低いところのレーザ光LRの強度を大きくし、照明光の相対強度が高いところのレーザ光LRの強度を小さくする。これにより、フラット照明を生成することができる。なお、前述の駆動部620の波形制御と、本実施形態のレーザ光LRの強度制御とを組み合わせることで、フラット照明を生成することも可能である。特に、アクチュエータ等の駆動部620を高速駆動(スキャン)した場合に、応答性が損なわれる恐れがある。このため、レーザ光LRの強度制御の方が追従性で有利になる場合もある。当然、レーザ光LRの強度変調もTDIと同期して行うことが必要である。
【0115】
光源制御部700のレーザ光LRの強度制御は、スキャンの中央部で高強度、折り返し部分で低強度に制御することに限らない。光源制御部700は、フラット照明になるように、レーザ光LRの強度を制御する限り、どのような変調制御を行ってもよい。
【0116】
(実施形態5)
次に、実施形態5を説明する。本実施形態は、駆動部620が駆動させる光学部材610として、ミラーの代わりに、ビームシフター及びAOM(音響光学素子)を用いる例である。
【0117】
図24及び図25は、実施形態5に係る照明装置600cにおいて、駆動部620が駆動させる光学部材610を例示した図である。図24に示すように、光学部材610は、レーザ光LRの照射位置をシフトさせるビームシフター610aでもよい。これにより、ビームシフター610aは、照明光L1の照明位置をスキャンさせることができる。したがって、駆動部620は、照明光L1が視野領域においてスキャンするように、ビームシフター610aを駆動させる。
【0118】
また、図25に示すように、光学部材610は、レーザ光LRの照射位置をシフトさせるAOM610bでもよい。これにより、AOM610bは、照明光L1の照明位置をスキャンさせることができる。したがって、駆動部620は、照明光L1が視野領域においてスキャンするように、AOM610bを駆動させる。
【0119】
(実施形態6)
次に、実施形態6を説明する。本実施形態の照明装置600において、駆動部620は、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を、照明光L1が一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材610を駆動させる。制御部630は、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの積算周期に、一方向の移動成分の照明光L1のスキャンが同期するように駆動部620を制御する。なお、照明光L1は視野領域511を同時に複数のスポットで照明してよく、制御部630は、複数のスポットの照明光L1のそれぞれ(仮に整数N個のスポットとする場合は照明光L11、照明光L12、・・・照明光LN)についての一方向の移動成分のスキャンがTDIセンサの積算周期に同期するように駆動部620を制御してもよい。
【0120】
また、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの積算周期に、一方向の移動成分(図6のβ方向)の照明光L1のスキャンが同期していればよく、その間に、照明光L1のスキャンが、一方向に対して直交する(図6のα方向)移動成分を伴っていてもよい。
【0121】
また、視野領域511におけるひとつあるいは複数の照明光L1のスポットの形状は、円形、楕円形のほか、矩形状、ライン状その他の形状であってもよい。2以上のスポットの形状を略同一形状または異なる形状としてもよく、2つ以上のスポットを上下または左右に並べてもよい。
【0122】
本実施形態においても、照明光L1は、ターゲット112に対してレーザ光LRを照射させることにより発生させたプラズマ127から生成されたEUV光LEを含んでもよい。この場合に、光学部材610は、レーザ光LRのターゲット112への照射位置を規定してもよい。具体的には、光学部材610は、励起用レーザLSから出射したレーザ光LRが光学部材610を介してターゲット112を照射する照射位置を規定してもよい。照明装置600は、単体の光学部材610だけでなく、複数の光学部材610を含んでもよい。複数の光学部材610が、レーザ光LRのターゲット112への照射位置を規定してもよい。なお、単体または複数の光学部材610は、ピエゾステアリングミラー、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等のミラーに限らず、レーザ光LRを透過する部材を含んでもよい。このようなレーザ光LRを透過する光学部材610がレーザ光LRのターゲット112への照射位置を規定してもよい。また、単体または複数の光学部材610は、上述したレーザ光LRを反射させるミラー、レーザ光LRを透過する部材の他、レーザ光LRの照射位置をシフトさせるビームシフター、レーザ光LRの照射位置をシフトさせる音響光学素子、及び、レーザ光LRの照射位置を変化させる電気光学素子のうち、少なくともいずれかを含んでもよい。ここで、電気光学素子は、電圧による屈折率の変化を利用して光の進路を制御する素子を含むものであり、例えば、カリウム、タンタル及びニオブを含む酸化物結晶のKTN結晶を用いたKTN光スキャナ等を含む。
【0123】
単体または複数の光学部材610は、プラズマ127の発生位置から試料500までの光路上において、EUV光LEが試料500に照射される位置を規定してもよい。つまり、光学部材610は、上述したように、レーザ光LRのターゲット112への照射位置を規定する機能と同様に、EUV光LE等の照明光L1が試料500を照射する位置を規定してもよい。この場合の単数及び複数の光学部材610は、上述したレーザ光LRの場合と同様に、照明光L1を試料500に対して反射させるミラー、照明光L1の試料500に対する照明位置をシフトさせるビームシフター、照明光L1の試料500に対する照明位置をシフトさせる音響光学素子、及び、照明光L1の試料500に対する照明位置を変化させる電気光学素子のうち、少なくともいずれかを含んでもよい。
【0124】
駆動部620は、レーザ光LRがターゲット112を所定の方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材610を駆動させることにより、照明光L1に一方向へのスキャンの移動成分を持たせる。上述したように、照明装置600が複数の光学部材610を含む場合には、駆動部620は、複数の光学部材610を駆動させることにより、照明光L1に一方向へのスキャンの移動成分を持たせてもよい。なお、レーザ光LRがターゲット112を所定の方向にスキャンする移動成分を、レーザ光移動成分と呼ぶ場合がある。これにより、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を照明光L1が一方向にスキャンする移動成分と区別する。
【0125】
TDIセンサは、複数の撮像素子を有する複数の撮像素子列を備えてもよい。TDIセンサは、前述の通り、同一の撮像素子列に属する撮像素子間で情報を転送してもよい。前述した試料500における視野領域511が延びた一方向(図6のβ方向)は、撮像素子列が並ぶ方向と略同一とすることが好ましい(図15図17参照)。すなわち、スキャン方向(図6のβ方向)と、情報転送し合う撮像素子の並ぶ向きとは、直交することが好ましい(図15図17参照)。これによって、TDIセンサの積算周期に、一方向の移動成分の照明光L1のスキャンを同期させることができる。
【0126】
制御部630は、TDIセンサの積算周期の1サイクルにおける、照明光L1の一方向における一方側の移動成分と一方向における他方側の移動成分とからなる往復スキャンの実行回数が整数となるように、駆動部620を制御する。ここで、TDIセンサの1回の積算周期を、TDIセンサの1サイクルの積算周期と呼んでもよい。
【0127】
本実施形態の照明方法は、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を、照明光L1が一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材610を駆動させるステップと、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの積算周期に、一方向の移動成分の照明光L1のスキャンが同期するようにするステップとを備える。
【0128】
光学部材610を駆動させるステップにおいて、レーザ光LRがターゲット112を所定の方向にスキャンするレーザ光移動成分を持つように光学部材610を駆動させることにより、照明光LRに一方向へのスキャンの移動成分を持たせてもよい。また、光学部材610を駆動させるステップにおいて、TDIセンサの積算周期の1サイクルにおける、照明光L1の一方向における一方側の移動成分と、一方向における他方側の移動成分と、からなる往復スキャンの実行回数が整数となるようにしてもよい。なお、TDIセンサの積算周期の1サイクルにおける、照明光L1の一方向における一方側(図6の例えば+β向き)の移動成分と、一方向における他方側(図6の例えば-β向き)の移動成分と、からなる往復スキャンの実行回数が整数となればよく、その間に、照明光L1のスキャンが一方向に対して直交する(図6のα方向)移動成分を伴っていてもよい。
【0129】
本実施形態によれば、TDIセンサの積算周期に、一方向の移動成分の照明光L1のスキャンを同期させることができるので、検出器410で検出される視野領域511を均一に照明することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~5の記載に含まれている。
【0130】
(実施形態7)
前述の実施形態3の照明装置600では、制御部630は、TDIセンサの1回の積算周期に、照明光L1を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるように駆動部620を制御することを示した。本実施形態において、駆動部620は、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を、照明光L1が一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材610を駆動させる。制御部630は、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの1サイクルの積算周期に、照明光L1を、所定の回数よりも多く一方向のスキャンがされるように駆動部620を制御する。このような構成とすることにより、実施形態3と同様に、輝度の不均一を相対的に小さくすることができる。なお、本実施例においても、照明光L1は視野領域511を同時に複数のスポットで照明してよく、制御部630は、複数のスポットの照明光L1のそれぞれ(仮に整数N個のスポットとする場合は照明光L11、照明光L12、・・・照明光LN)についての一方向の移動成分のスキャンの回数が、TDIセンサの積算周期において、所定の回数よりも多くなるように駆動部620を制御してもよい。また、視野領域511におけるひとつあるいは複数の照明光L1のスポットの形状は、円形、楕円形のほか、矩形状、ライン状その他の形状であってもよい。2以上のスポットの形状を略同一形状または異なる形状としてもよく、2つ以上のスポットを上下または左右に並べてもよい。
【0131】
本実施形態の照明方法は、試料500における一方向に延びた領域の視野領域511を、照明光L1が一方向にスキャンする移動成分を持つように光学部材610を駆動させるステップと、照明光L1が照明した視野領域511からの光を受光するTDIセンサの1サイクルの積算周期に、照明光L1を、所定の回数よりも多く一方向のスキャンがされるステップと、を備える。本実施形態における上述した以外の構成及び効果は、実施形態1~6の記載に含まれている。
【0132】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1~7の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。さらに、以下の構成も本開示の技術思想の範囲である。
【0133】
(付記1)
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させる駆動部と、
前記照明光のスキャンを、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた照明装置。
(付記2)
前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記レーザ光を前記ターゲットに対して反射させるミラーを含み、
前記駆動部は、前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光を前記視野領域において前記一方向にスキャンさせる、
付記1に記載の照明装置。
(付記3)
前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させる、
付記2に記載の照明装置。
(付記4)
前記駆動部は、前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させる、
付記2に記載の照明装置。
(付記5)
前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形である、
付記1に記載の照明装置。
(付記6)
前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形である、
付記1に記載の照明装置。
(付記7)
前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、及び、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、
前記駆動部は、前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させる、
付記1に記載の照明装置。
(付記8)
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させる駆動部と、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、前記照明光を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた照明装置。
(付記9)
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させるステップと、
前記照明光のスキャンを、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させるステップと、
を備えた照明方法。
(付記10)
前記照明光は、ターゲットに対してレーザ光を照射させることにより発生させたプラズマから生成されたEUV光を含み、
前記光学部材は、前記レーザ光を前記ターゲットに対して反射させるミラーを含み、
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記レーザ光が前記ターゲットを所定の方向にスキャンするように前記光学部材を駆動させることにより、前記照明光を前記視野領域において、前記一方向にスキャンさせる、
付記9に記載の照明方法。
(付記11)
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波を含むように前記光学部材を駆動させる、
付記10に記載の照明方法。
(付記12)
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記ターゲット上における前記レーザ光の位置と時間との関係が三角波、正弦波及び矩形波の少なくともいずれかを重ね合わせた波を含むように前記光学部材を駆動させる、
付記10に記載の照明方法。
(付記13)
前記視野領域における前記照明光のスポットは、円形である、
付記9に記載の照明方法。
(付記14)
前記視野領域における前記照明光のスポットは、前記一方向に直交する他方向に長軸が延びた楕円形である、
付記9に記載の照明方法。
(付記15)
前記光学部材は、前記照明光を前記試料に対して反射させるミラー、前記照明光の照明位置をシフトさせるビームシフター、及び、前記照明光の照明位置をシフトさせる音響光学素子のうち、少なくともいずれかを含み、
前記光学部材を駆動させるステップにおいて、
前記照明光が前記視野領域において前記一方向にスキャンするように、前記光学部材を駆動させる、
付記9に記載の照明方法。
(付記16)
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させるステップと、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、前記照明光を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせるステップと、
を備えた照明方法。
(付記17)
前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させる光源制御部をさらに備えた、
付記1~8のいずれか1項に記載の照明装置。
(付記18)
前記TDIセンサの前記積算周期に同期させるように前記照明光の強度を変化させるステップをさらに備えた、
付記9~16のいずれか1項に記載の照明方法。
【0134】
また、以下の点を考慮してもよい。すなわち、例えば、パルス発光するIRレーザ光を利用する場合、レーザ光の繰り返し周波数と、スキャン周波数の関係を最適化する必要がある。スキャン回数が数回程度と少ない場合(例えば、実施形態1に対応)、レーザ光の繰り返し周波数がスキャン周波数に対して十分高い必要がある。連続的な発光ではないので、繰り返し周波数が少ないとレーザ光の離散的な発光が強度プロファイルに不均一をもたらしてしまうからである。例えば、ワーストケースとして、積算中1回しかスキャンしない条件下で1パルスしか光らないと、スキャンしていないのと同様のプロファイルになる。
【0135】
一方、スキャン回数が数十回を超えるような場合(例えば、実施形態3に対応)、以下の同期動作をさせることで、レーザ光の繰り返し周波数とスキャン周波数を同程度にすることができる。両者を同期した上で、レーザ光の繰り返し周波数をスキャン周波数の周波数と少し、ずらすことで、面内の均一に照明することができる。また、レーザ光の繰り返し周波がスキャン周波数に対して十分高ければ、レーザ光の周波数は同期していなくても構わない。
【0136】
さらに、上記した照明装置600の制御部630の処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0137】
また、本実施形態の照明方法をコンピュータに実行させる下記の照明プログラムも実施形態の技術思想に含まれる。
【0138】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させ、
前記照明光のスキャンを、前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの積算周期に同期させる、
ことをコンピュータに実行させる照明プログラム。
【0139】
試料における一方向に延びた領域の視野領域を照明光が前記一方向にスキャンするように光学部材を駆動させ、
前記照明光が照明した前記視野領域からの光を受光するTDIセンサの1回の積算周期に、前記照明光を、所定の複数回のスキャンよりも多くスキャンさせる、
ことをコンピュータに実行させる照明プログラム。
【符号の説明】
【0140】
1、2 検査装置
100 光源
111 容器
112 ターゲット
113 底部
114 円筒部
115 底面
116 内周面
117 溝
118 ヒータ
119 デブリシールド
120 コレクターミラー
121 開口部
127 プラズマ
200 照明光学系
210 楕円面鏡
220 楕円面鏡
230 落とし込みミラー
300 検出光学系
310 穴開き凹面鏡
311 穴
320 凸面鏡
330 平面鏡
340 凹面鏡
410 検出器
411 検出面
420 画像処理部
500 試料
510 上面
511 視野領域
520 ステージ
530 駆動部
600、600a、600b、600c 照明装置
610 光学部材
610a ビームシフター
610b AOM
611 集光レンズ
620 駆動部
630 制御部
631 処理部
632 通信部
633 記憶部
634 インターフェース部
700 光源制御部
LE EUV光
L1 照明光
L2 反射光
LR レーザ光
LS 励起用レーザ
R 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25