(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127784
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】保持材
(51)【国際特許分類】
B65D 67/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65D67/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022292
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2023035818
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】横石 智彦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA21
3E067AB26
3E067BA04B
3E067BA15C
3E067BB11C
3E067BB13C
3E067BB14C
3E067BB15C
3E067BB16C
3E067BB24C
3E067BC03B
3E067BC04C
3E067EC38
3E067EE12
3E067FA07
3E067FC06
(57)【要約】
【課題】飲料容器が変形した場合であっても飲料容器を強固に保持できる保持材を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る保持材は、飲料容器Cを保持する保持材1である。保持材1は、飲料容器Cが入り込む第1穴12を有する下層部10と、第1穴12に入り込んだ飲料容器Cが入り込む第2穴を有する中層部20と、第2穴に入り込んだ飲料容器Cが入り込む第3穴を有する上層部30と、を備える。中層部20の第2穴を画成する第2内面が飲料容器Cに当接する当接面21とされている。中層部20は、下層部10の材料、及び上層部30の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を保持する保持材であって、
前記飲料容器が入り込む第1穴を有する下層部と、
前記第1穴に入り込んだ前記飲料容器が入り込む第2穴を有する中層部と、
前記第2穴に入り込んだ前記飲料容器が入り込む第3穴を有する上層部と、
を備え、
前記中層部の前記第2穴を画成する第2内面が前記飲料容器に当接する当接面とされており、
前記中層部は、前記下層部の材料、及び前記上層部の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている、
保持材。
【請求項2】
前記第2穴の内径は、前記第1穴の内径の最小値よりも小さく、かつ前記第3穴の内径の最小値よりも小さい、
請求項1に記載の保持材。
【請求項3】
前記下層部の前記第1穴を画成する第1内面は、下方に向かうに従って前記第1穴の内径が大きくなる第1傾斜面を有する、
請求項1又は2に記載の保持材。
【請求項4】
前記上層部の前記第3穴を画成する第3内面は、下方に向かうに従って前記第3穴の内径が大きくなる第2傾斜面を有する、
請求項1又は2に記載の保持材。
【請求項5】
前記上層部の前記第3穴を画成する第3内面は、上方に向かうに従って前記第3穴の内径が大きくなる第3傾斜面を有し、
前記中層部は、前記第2穴への前記飲料容器の挿入に伴って上方に折れ曲がる折曲部を有する、
請求項1又は2に記載の保持材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料容器を保持する保持材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、缶容器の保持具が記載されている。保持具は、缶容器としてのビール缶の上縁部に上から嵌め込まれる上ホルダと、上ホルダの下に配置され上ホルダに対して上下移動できるようにされた下ホルダと、上ホルダの上部に嵌め込まれ上ホルダに対して上下移動できるようにされたグリップとを有する。上ホルダは、ビール缶の上縁部の上方に位置する平板状のベースと、ベースからU字状に上方に突出するアーム部とを有する。上ホルダの下面には円弧溝が形成されており、下ホルダには円弧凸部が形成されている。円弧溝にはビール缶の上縁部が入り込み、円弧凸部はビール缶のくびれ部に入り込む。これにより、ビール缶が保持具に保持される。
【0003】
特許文献2には、ビール缶等の飲料容器の携帯保持具が記載されている。携帯保持具は、上ホルダーと、上ホルダーと協働してビール缶の上縁部を保持する下ホルダーと、下ホルダーの移動を操作する操作手段とを備える。上ホルダーには、手が挿入される長円形状の被挿入孔と、ビール缶の上縁部が挿入される第1及び第2の円弧保持溝と、各円弧保持溝の外側縁に沿って形成された第1及び第2の突状部とが形成されている。
【0004】
下ホルダーは、上記の第1及び第2の円弧保持溝に嵌め込まれる上部を有する。第1及び第2の円弧保持溝への上部の嵌め込みによって、ビール缶の上縁部が挿入可能な隙間が形成されている。携帯保持具の円弧状とされた部分にビール缶の上縁部が挿入されることによってビール缶が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-34658号公報
【特許文献2】特開2021-95142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した保持具及び携帯保持具は、円弧状とされた部分を有し、当該円弧状とされた部分にビール缶等の飲料容器の一部が挿入された状態で当該飲料容器を保持する。しかしながら、円弧状とされた部分に飲料容器の一部が挿入される保持具では、飲料容器が変形したときに保持が難しくなるという現状がある。
【0007】
例えば、衝撃等によって飲料容器の一部が変形した場合、上記の円弧状の部分に飲料容器を挿入できなくなることがあるので、前述した保持具で飲料容器を保持できないということが生じうる。従って、飲料容器が変形した場合であっても飲料容器を保持する保持力を高く維持できることが求められる。
【0008】
本開示は、飲料容器が変形した場合であっても飲料容器を強固に保持できる保持材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示に係る保持材は、飲料容器を保持する保持材である。保持材は、飲料容器が入り込む第1穴を有する下層部と、第1穴に入り込んだ飲料容器が入り込む第2穴を有する中層部と、第2穴に入り込んだ飲料容器が入り込む第3穴を有する上層部と、を備える。中層部の第2穴を画成する第2内面が飲料容器に当接する当接面とされている。中層部は、下層部の材料、及び上層部の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている。
【0010】
この保持材は、下層部、中層部及び上層部からなる3層構造を有する。飲料容器は、下層部の第1穴、中層部の第2穴、及び、上層部の第3穴に挿入される。保持材では、中層部の第2穴を画成する第2内面が飲料容器に当接する当接面とされている。従って、第2穴に挿入された飲料容器が当該当接面に当接されるので、第1穴、第2穴及び第3穴に入り込んだ飲料容器を当接面に当接した状態で保持することができる。飲料容器に対する当接面を有する中層部は、下層部の材料、及び上層部の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている。よって、飲料容器に当接する当接面が高い柔軟性を有するので、第2穴に飲料容器を挿入し当接面を飲料容器に当接させることによって飲料容器に対する高い保持力を発揮できる。さらに、中層部が柔軟性が高い材料によって構成されていることにより、飲料容器が衝撃等によって変形した場合であっても、当該変形に当接面を追従させることができる。従って、飲料容器が変形した場合であっても飲料容器を強固に保持することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、第2穴の内径は、第1穴の内径の最小値よりも小さく、かつ第3穴の内径の最小値よりも小さくてもよい。この場合、当接面を有する第2穴の内径が最も小さいので、当接部に一層強固に飲料容器を保持させることができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、下層部の第1穴を画成する第1内面は、下方に向かうに従って第1穴の内径が大きくなる第1傾斜面を有してもよい。この場合、下方に向かうに従って内径が大きくなる第1傾斜面が下層部の第1内面に形成されていることにより、下方から第1穴への飲料容器の挿入をよりスムーズにすることができる。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、上層部の第3穴を画成する第3内面は、下方に向かうに従って第3穴の内径が大きくなる第2傾斜面を有してもよい。第3内面が下方に向かうに従って内径が大きくなる第2傾斜面を有することにより、中層部が第2傾斜面に対して相対的に突出する突出量をより大きくすることができる。従って、中層部の当接面が相対的に大きく突出することとなるので、飲料容器をより当接面に当接しやすくすることができる。よって、飲料容器をより強固に保持することができる。
【0014】
(5)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、上層部の第3穴を画成する第3内面は、上方に向かうに従って第3穴の内径が大きくなる第3傾斜面を有してもよい。中層部は、第2穴への飲料容器の挿入に伴って上方に折れ曲がる折曲部を有してもよい。この場合、第2穴に下から飲料容器が挿入されるときに折曲部が上方に折り曲げられて当該折曲部が第3傾斜面と飲料容器との間に挟み込まれた状態となる。このように中層部の折曲部を飲料容器と第3傾斜面との間に挟み込ませることにより、飲料容器に対する保持力を一層強固にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、飲料容器が変形した場合であっても飲料容器を強固に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る保持材及び飲料容器の例を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る保持材の第1穴、第2穴及び第3穴に飲料容器を挿入した状態の断面を模式的に示す図である。
【
図6】変形例に係る保持材の第1穴、第2穴及び第3穴を示す断面図である。
【
図7】変形例に係る保持材の第1穴、第2穴及び第3穴に飲料容器を挿入した状態の断面を模式的に示す図である。
【
図8】
図6とは別の変形例に係る保持材及び飲料容器を示す斜視図である。
【
図9】(a)は、
図8の保持材の上層部を示す斜視図である。(b)は、
図8の保持材の下層部を示す斜視図である。
【
図10】
図9(b)の下層部を
図9(b)とは反対側から見た斜視図である。
【
図11】
図9(b)の下層部を拡大した斜視図である。
【
図12】
図9(a)の上層部を
図9(a)とは反対側から見た斜視図である。
【
図13】
図8の保持材の第1穴及び第2穴に飲料容器を挿入した状態の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る保持材の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
図1は、実施形態に係る保持材1及び飲料製品100を示す斜視図である。飲料製品100は、保持材1と、保持材1に保持された飲料容器Cとを備える。保持材1は、飲料容器Cを保持する。飲料容器Cは、例えば、飲料缶である。例えば、飲料缶は、ショート缶、ロング缶、デミタス缶、ボトル缶、樽型缶、及びウエストウェーブ缶のいずれであってもよい。
【0019】
飲料缶は、135mL(ミリリットル)缶、250mL缶、335mL缶、350mL缶、355mL缶、500mL缶、700mL缶、1000mL缶、2000mL缶、及び3000mL缶のいずれであってもよい。このように、缶の種類及びサイズは特に限定されない。
【0020】
飲料容器Cは、例えば、筒状を呈する側面C1と、飲料容器Cの上端に位置する上端部C2とを有する。平面視における上端部C2の外縁には巻締部C3が形成されている。一例として、飲料容器Cは、側面C1及び巻締部C3の間に、上方に向かうに従って飲料容器Cの外径が小さくなる方向に傾斜する傾斜部C4(
図5参照)を有する。側面C1は、例えば、円筒状を呈する。この場合、上端部C2は円筒状の側面C1の上端に位置しており、巻締部C3は上端部C2の外縁として平面視において円環状を呈する。しかしながら、飲料容器Cの形状は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0021】
図2は、保持材1を示す平面図である。
図1及び
図2に示されるように、保持材1は、第1方向D1に沿って延びる長辺1bと、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる短辺1cとを有する。保持材1は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の長辺1bと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の短辺1cとを有する。
【0022】
例えば、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に沿って見たときに、保持材1は隅丸長方形状を呈する。第1方向D1は保持材1の長手方向、第2方向D2は保持材1の短手方向、第3方向D3は保持材1の厚さ方向である。保持材1は、長辺1bと短辺1cとの間に、長辺1b及び短辺1cを互いに接続する湾曲部1dを有する。湾曲部1dは、第3方向D3に沿って保持材1を見たときに保持材1の四隅のそれぞれに形成されている。第3方向D3に沿って見たときに、湾曲部1dは、保持材1の外側に膨らむように湾曲している。
【0023】
保持材1は、飲料容器Cを保持する保持孔1fを有する。保持孔1fは、保持材1を第3方向D3に貫通している。保持材1は、保持孔1fに挿入された飲料容器Cを保持孔1fに保持する。一例として、第3方向D3に沿って見たときに保持孔1fは円形状を呈する。保持孔1fが円形状を呈する場合、保持孔1fを画成する面の全体で飲料容器Cを保持することができるので、飲料容器Cを一層強固に保持することが可能である。
【0024】
例えば、保持材1は複数の保持孔1fを有する。例えば、第1方向D1に沿って並ぶ保持孔1fの数は、第2方向D2に沿って並ぶ保持孔1fの数より多い。一例として、第1方向D1に沿って並ぶ保持孔1fの数は3であり、第2方向D2に沿って並ぶ保持孔1fの数は2である。この場合、保持材1は6個の保持孔1fを有し、6個の飲料容器Cが保持材1に保持される。しかしながら、保持材の保持孔の数、及び保持材が保持する飲料容器の数は、特に限定されない。
【0025】
保持材1は、例えば、飲料容器Cを保持する状態において鉛直下方に向けられる下層部10と、下層部10の上部に位置する中層部20と、飲料容器Cを保持する状態において鉛直上方に向けられる上層部30とを備える。保持材1は、下層部10、中層部20及び上層部30を備えた3層構造を有する。上層部30、中層部20及び下層部10は、この順で第3方向D3に沿って並んでいる。下層部10の上に中層部20が載せられており、中層部20の上に上層部30が載せられている。
【0026】
例えば、下層部10及び上層部30は樹脂製である。しかしながら、下層部10の材料、及び上層部30の材料は、木又は金属であってもよく、特に限定されない。例えば、下層部10の材料、及び上層部30の材料は、生分解性樹脂である。この場合、下層部10の材料、及び上層部30の材料を環境に優しい材料とすることができる。下層部10の材料、及び上層部30の材料は、おがくず等の残渣を含んでいてもよい。この場合、残渣を有効活用することができる。例えば、下層部10の材料は、上層部30の材料と同一である。しかしながら、下層部10の材料は、上層部30の材料とは異なっていてもよい。
【0027】
中層部20は、下層部10の材料、及び上層部30の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている。例えば、中層部20は樹脂製である。中層部20はゴムによって構成されていてもよい。一例として、中層部20はシリコーン製である。この場合、シリコーンシートを中層部20として活用できる。しかしながら、中層部20の材料は、シリコーンに限られず適宜変更可能である。中層部20の厚さは、例えば、2mm以上且つ3mm以下である。しかしながら、中層部20の厚さは、特に限定されない。
【0028】
中層部20は、保持孔1fに挿入された飲料容器Cに当接する当接面21を有する。第3方向D3に沿って見たときに、当接面21は保持孔1fの径方向内側に突出している。当接面21は、例えば、円形状を呈する。保持孔1fに通された飲料容器Cに柔軟性が高い当接面21が当接することによって、飲料容器Cが強固に保持される。
【0029】
例えば、保持材1は、下層部10、中層部20及び上層部30を互いに接合するネジが挿入されるネジ穴1hを有する。この場合、下層部10、中層部20及び上層部30は、重ねられた状態でネジ穴1hにネジが挿入され、当該ネジの締め付けによって下層部10、中層部20及び上層部30が互いに接合される。
【0030】
例えば、保持材1は複数のネジ穴1hを有し、複数のネジ穴1hは第1方向D1に沿って並んでいる。例えば、第3方向D3に沿って見た場合において、保持材1の四隅のそれぞれにネジ穴1hが形成されている。また、複数のネジ穴1hは、第2方向D2に沿って並んでいる。第1方向D1に沿って並ぶネジ穴1hの数は、第2方向D2に沿って並ぶネジ穴1hの数より多い。一例として、第1方向D1に沿って並ぶネジ穴1hの数は4であり、第2方向D2に沿って並ぶネジ穴1hの数は2又は3である。
【0031】
以上のように、本実施形態では、下層部10、中層部20及び上層部30がネジによって互いに接合される。しかしながら、下層部10、中層部20及び上層部30を互いに接合させる手段は、ネジ以外のものであってもよい。この場合、保持材1からネジ穴1hを省略することが可能である。
【0032】
例えば、下層部10及び中層部20の一方が凹部を有し、下層部10及び中層部20の他方が当該凹部に嵌合する凸部を有してもよい。このように、下層部10及び中層部20は凹凸嵌合によって互いに接合してもよい。また、中層部20及び上層部30が凹凸嵌合によって互いに接合してもよい。更に、下層部10、中層部20及び上層部30は接着剤によって互いに接着されていてもよい。このように、下層部10、中層部20及び上層部30を互いに接合させる手段は適宜変更可能である。
【0033】
図3は、
図2のA-A線断面図である。すなわち、
図3は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する平面に沿って切断したときにおける保持孔1fの断面図である。
図2及び
図3に示されるように、下層部10は飲料容器Cが入り込む第1穴12を有し、中層部20は第1穴12に入り込んだ飲料容器Cが入り込む第2穴22を有する。上層部30は第2穴22に入り込んだ飲料容器Cが入り込む第3穴32を有する。前述した保持孔1fは、下層部10を第3方向D3に貫通する第1穴12と、中層部20を第3方向D3に貫通する第2穴22と、上層部30を第3方向D3に貫通する第3穴32とを含む。
【0034】
例えば、上層部30の第3穴32は、第3方向D3に沿って見たときに円形状を呈する。第3穴32は、第3内面31によって画成されている。第3内面31は、第3方向D3に沿って延びる第3内周面31bと、第3内周面31bの下端から下方に向かうに従って第3穴32の径方向外側に延在する第2傾斜面31cとを有する。例えば、第3内周面31bは、保持材1の上面1jから下方に延在している。第2傾斜面31cは、下方に向かうに従って第3穴32の中心から離隔するように第3方向D3に対して斜めに延在している。
【0035】
前述したように、中層部20は飲料容器Cに当接する当接面21を有する。中層部20の第2穴22は第2内面である当接面21によって画成されている。例えば、当接面21は第3方向D3に対して傾斜している。一例として、当接面21は、下方に向かうに従って第2穴22が広がるように第3方向D3に対して斜めに延在している。これにより、第2穴22への飲料容器Cの挿入を容易に行うことができると共に、第2穴22に入り込んだ飲料容器Cの第2穴22からの抜けを抑制できる。例えば、中層部20の第2穴22の内径の最小値R2は、下層部10の第1穴12の内径R1の最小値より小さく、且つ上層部30の第3穴32の内径R3の最小値よりも小さい。
【0036】
「内径」とは、孔を画成する内面を保持材の厚さ方向に沿って見たときに、当該孔の中心及び当該内面を通る線分の長さの最小値を示している。当該厚さ方向に沿って見たときにおける孔の形状が円形状である場合には、内径は当該孔の直径を示している。また、当該厚さ方向に沿って見たときにおける孔の形状が長円形状(又は楕円形状)である場合には、内径は当該孔の短径を示している。例えば、第2穴22の内径の最小値R2は、飲料容器Cの巻締部C3の外径よりも小さい。この場合、第2穴22に巻締部C3を押し込んで飲料容器Cの挿入を行うことによって一層強固に飲料容器Cを保持することが可能となる。
【0037】
例えば、下層部10の第1穴12は、第3方向D3に沿って見たときに円形状を呈する。第1穴12は、第1内面11によって画成されている。第1内面11は、第3方向D3に沿って延びる第1内周面11bと、第1内周面11bの下端から下方に向かうに従って第1穴12の径方向外側に延在する第1傾斜面11cとを有する。第1傾斜面11cは、下方に向かうに従って第1穴12の中心から離隔するように第3方向D3に対して斜めに延在している。
【0038】
例えば、第1内周面11bの内径は、第2傾斜面31cの内径の最大値と同一である。第1内周面11bの内径は、第3内周面31bの内径よりも大きい。第3内周面31bの内径は、当接面21の内径よりも大きい。当接面21の内径は、飲料容器Cの上端部C2の外径(直径)と同一、又は、飲料容器Cの上端部C2の外径よりも小さい。例えば、飲料容器Cの上端部C2の外径は、第3内周面31bの内径よりも小さい。
【0039】
保持材1は、例えば、保持材1及び複数の飲料容器Cを持ち上げる人の指が挿入される指穴部40を有する。一例として、指穴部40は、円形状を呈する。しかしながら、指穴部の形状は、楕円形状、長円形状、又は多角形状であってもよく、特に限定されない。例えば、保持材1は、複数(一例として2つ)の指穴部40を有し、複数の指穴部40は第1方向D1に沿って並んでいる。
【0040】
図4は、
図2のB-B線断面図である。
図2及び
図4に示されるように、指穴部40は、下方に向かうに従って保持材1の第1方向D1の中央側に傾斜する傾斜面14を有する。より具体的には、指穴部40は、保持材1の上面1jから指穴部40の径方向内側且つ下方に延在する湾曲面34と、湾曲面34の下端から第3方向D3に沿って延びる内周面24と、前述した傾斜面14とを含む。例えば、湾曲面34は上層部30に形成されており、内周面24は中層部20に形成されており、傾斜面14は下層部10に形成されている。
【0041】
指穴部40が湾曲面34を有することにより、指穴部40への指の挿入をスムーズに行える。指穴部40が傾斜面14を有することによって、挿入された指から傾斜面14に力を伝えやすくすることができるので、指穴部40に指を入れて容易に保持材1及び複数の飲料容器Cを持ち上げることができる。
【0042】
次に、保持材1の保持孔1fに保持されている飲料容器Cの保持構造について
図5を参照しながら説明する。
図5は、保持孔1fに挿入されて保持材1に保持された飲料容器Cを示す保持材1の断面図である。
図5に示されるように、保持材1の保持孔1fには下方から飲料容器Cが挿入される。
【0043】
下層部10の第1穴12に下から入り込んだ飲料容器Cの上端部C2は、柔軟性を有する当接面21に下から押し込まれ、当接面21を上方に乗り越えて巻締部C3が当接面21の上方に嵌まり込む。そして、当接面21が飲料容器Cの巻締部C3の下方の部分(例えば傾斜部C4)に当接した状態となる。これにより、保持材1に飲料容器Cが保持される。この状態において、上端部C2の外周面C5が上層部30の第3内周面31bに対向し、飲料容器Cの傾斜部C4が下層部10の第1傾斜面11cに接触する。例えば、第3内周面31bと外周面C5との間には微小な隙間が形成されている。
【0044】
次に、本実施形態に係る保持材1から得られる作用効果について詳細に説明する。保持材1は、下層部10、中層部20及び上層部30からなる3層構造を有する。飲料容器Cは、下層部10の第1穴12、中層部20の第2穴22、及び、上層部30の第3穴32に挿入される。保持材1では、中層部20の第2穴22を画成する第2内面が飲料容器Cに当接する当接面21とされている。従って、第2穴22に挿入された飲料容器Cが当接面21に当接されるので、第1穴12、第2穴22及び第3穴32に入り込んだ飲料容器Cを当接面21に当接した状態で保持することができる。
【0045】
飲料容器Cに対する当接面21を有する中層部20は、下層部10の材料、及び上層部30の材料よりも柔軟性が高い材料によって構成されている。よって、飲料容器Cに当接する当接面21が高い柔軟性を有するので、第2穴22に飲料容器Cを挿入し当接面21を飲料容器Cに当接させることによって飲料容器Cに対する高い保持力を発揮できる。さらに、中層部20が柔軟性が高い材料によって構成されていることにより、飲料容器Cが衝撃等によって変形した場合であっても、当該変形に当接面21を追従させることができる。従って、飲料容器Cが変形した場合であっても飲料容器Cを強固に保持することができる。
【0046】
図3及び
図5に示されるように、第2穴22の内径の最小値R2は、第1穴12の内径R1の最小値よりも小さく、かつ第3穴32の内径R3の最小値よりも小さくてもよい。この場合、当接面21を有する第2穴22の内径が最も小さいので、当接面21により強固に飲料容器Cを保持させることができる。
【0047】
前述したように、下層部10の第1穴12を画成する第1内面11は、下方に向かうに従って第1穴12の内径が大きくなる第1傾斜面11cを有してもよい。この場合、下方に向かうに従って内径が大きくなる第1傾斜面11cが下層部10の第1内面11に形成されていることにより、下方から第1穴12への飲料容器Cの挿入をよりスムーズにすることができる。
【0048】
前述したように、上層部30の第3穴32を画成する第3内面31は、下方に向かうに従って第3穴32の内径が大きくなる第2傾斜面31cを有してもよい。第3内面31が下方に向かうに従って内径が大きくなる第2傾斜面31cを有することにより、中層部20が第2傾斜面31cに対して相対的に突出する突出量をより大きくすることができる。従って、中層部20の当接面21が相対的に大きく突出することとなるので、飲料容器Cを当接面21に当接しやすくすることができる。よって、飲料容器Cをより強固に保持することができる。更に、当接面21を有する中層部20が下層部10及び上層部30よりも柔軟性が高い材料によって構成されていることにより、保持材1から飲料容器Cを容易に外すことができる。このように、本実施形態に係る保持材1では、飲料容器Cの着脱を容易に行うことができる。
【0049】
次に、本開示に係る保持材の変形例について
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、変形例に係る保持材1Aの保持孔1kの縦断面図である。
図7は、保持孔1kに保持された飲料容器Cを示す保持材1Aの断面図である。変形例に係る保持材1Aの一部の構成は、前述した保持材1の一部の構成と同一である。従って、以下では、既出の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0050】
図6及び
図7に示されるように、保持材1Aは下層部10、中層部20A及び上層部30Aを有する。中層部20Aは第2穴22Aを有し、上層部30Aは第3穴32Aを有する。第3穴32Aは第3内面31Aによって画成されている。第3内面31Aは、保持材1Aの上面1jから下方に向かうに従って第3穴32Aの径方向内側に延在する第3傾斜面31dを有する。
【0051】
中層部20Aは、飲料容器Cに当接する当接面21Aを有する。中層部20Aは、上層部30Aの第3傾斜面31d、及び下層部10の第1内面11に対して保持孔1kの径方向内側に突出する折曲部25を有し、例えば、折曲部25の下面が当接面21Aとされている。例えば、中層部20Aは、下層部10よりも薄く、且つ上層部30Aよりも薄い。例えば、中層部20Aの厚さは、1.5mm以上且つ2mm以下である。しかしながら、中層部20Aの厚さは、特に限定されない。
【0052】
中層部20Aは、前述した中層部20と同様、下層部10の材料より柔軟性が高く、且つ上層部30Aの材料より柔軟性が高い材料によって構成されている。従って、中層部20Aの当接面21Aに下から飲料容器Cが当接すると、折曲部25が上方に曲げられて第3傾斜面31dに対向する。そして、中層部20Aの折曲部25は、飲料容器Cの巻締部C3、及び巻締部C3の下方の部分(例えば傾斜部C4)と、第3傾斜面31dとに挟まれた状態となって、飲料容器Cは当接面21Aに当接した状態で保持される。
【0053】
以上、変形例に係る保持材1Aにおいて、上層部30Aの第3穴32Aを画成する第3内面31Aは、上方に向かうに従って第3穴32Aの内径が大きくなる第3傾斜面31dを有する。中層部20Aは、第2穴22Aへの飲料容器Cの挿入に伴って上方に折れ曲がる折曲部25を有する。よって、第2穴22Aに下から飲料容器Cが挿入されるときに折曲部25が上方に折り曲げられて折曲部25が第3傾斜面31dと飲料容器Cとの間に挟み込まれた状態となる。このように中層部20Aの折曲部25を飲料容器Cと第3傾斜面31dとの間に挟み込ませることにより、飲料容器Cに対する保持力を一層強固にすることができる。
【0054】
続いて、
図6及び
図7とは異なるさらなる変形例について説明する。
図8は、変形例に係る飲料製品100Bを示す斜視図である。飲料製品100Bは、保持材1Bと、保持材1Bに保持された飲料容器Cとを備える。
図9(a)は、保持材1Bの上層部30Bを示す斜視図である。
図9(b)は、保持材1Bの下層部10Bを示す斜視図である。
【0055】
図8、
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、保持材1Bは、中層部を有しない。保持材1Bは、下層部10B及び上層部30Bを備えた2層構造を有する。上層部30B及び下層部10Bは、この順で第3方向D3に沿って並んでいる。下層部10Bの上に上層部30Bが載せられている。
【0056】
例えば、下層部10Bは、一定の剛性を有しつつ柔軟性を有する材料によって構成されている。下層部10Bは、耐寒性が高い材料によって構成されていてもよい。一例として、下層部10Bの材料は、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)である。この場合、下層部10Bの材料のコストを抑えることが可能となる。
【0057】
上層部30Bの材料は、下層部10Bの材料と同一であってもよい。この場合、保持材1Bの材料の種類を1種類とすることができるので、保持材1Bの材料にかかるコストをより確実に抑えることが可能となる。しかしながら、上層部30Bの材料は、下層部10Bの材料とは異なっていてもよい。
【0058】
図10は、下方から見た下層部10Bを示す斜視図である。
図9(b)及び
図10に示されるように、下層部10Bは、第1方向D1及び第2方向D2に延びると共に鉛直上方に向けられる上面10bと、上面10bとは反対を向く下面10cとを有する。下層部10Bは、第1辺10dと、第1辺10dとは異なる方向に延びる第2辺10fとを有する。より具体的には、下層部10Bは、第1方向D1に延びる第1辺10dと、第2方向D2に延びる第2辺10fとを有する。下層部10Bは、第2方向D2に沿って並ぶ一対の第1辺10dと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第2辺10fとを有する。
【0059】
下層部10Bは、飲料容器Cが入り込む第1穴15を有する。第1穴15は、第3方向D3に沿って見たときに円形状を呈する。第1穴15は、第1内面16によって画成されている。第1内面16は、下面10cに向かうに従って第1穴15の中心から離れるように第3方向D3に対して斜めに延在している。
【0060】
下層部10Bは、第1穴15に挿入された飲料容器Cを押さえる押さえ部17を有する。押さえ部17は、第1穴15から上方に突出すると共に可撓性を有する。例えば、押さえ部17は、上面10bから上方に突出する。押さえ部17は、第1穴15の径方向内側に撓むことによって第1穴15に通された飲料容器Cを押さえる。下層部10Bは複数の押さえ部17を有し、例えば、複数の押さえ部17は第1穴15の外周に沿って並んでいる。
【0061】
図11は、下層部10Bの第1穴15を拡大した斜視図である。
図9(b)、
図10及び
図11に示されるように、押さえ部17は、板状を呈する。より具体的には、押さえ部17は、第1穴15の周方向D4に延びる長辺、及び第3方向D3に延びる短辺を有する矩形板状を呈する。
【0062】
例えば、複数の押さえ部17は第1穴15の周方向D4に沿って等間隔に並んでいる。一例として、1つの第1穴15に形成された押さえ部17の数は12である。しかしながら、1つの第1穴15に形成された押さえ部17の数は、11以下であってもよいし、13以上であってもよく特に限定されない。
【0063】
押さえ部17は、上面10bから上方に延びる湾曲部17bと、湾曲部17bの上端から上方に延びる延在部17cとを有する。例えば、周方向D4に沿って見たときに、湾曲部17bはC字状を呈する。湾曲部17bは、湾曲部17bの第3方向D3の中央に近づくに従って第1穴15の径方向外側に突出している。押さえ部17が湾曲部17bを有することにより、押さえ部17を第1穴15の径方向に撓ませやすくすることが可能である。
【0064】
延在部17cは、例えば、周方向D4に延びる長辺を有する矩形板状を呈する。例えば、外力が加えられていない状態において、延在部17cは、上方に向かうに従って第1穴15の径方向内側に第3方向D3に対して斜めに延在している。第1穴15、及び当該第1穴15から延びる複数の押さえ部17によって囲まれた領域には、下方から飲料容器Cが通される。
【0065】
すなわち、第1穴15、及び当該第1穴15から延びる複数の押さえ部17によって囲まれた領域は、下層部10Bの飲料容器Cが通される部分である。下層部10Bの飲料容器Cが通される部分の内径の最小値は、複数の押さえ部17(延在部17c)の上端によって囲まれた領域の内径である。押さえ部17に外力が付与されていない状態において、下層部10Bの飲料容器Cが通される部分の内径の最小値は、飲料容器Cの外径の最大値よりも大きい。
【0066】
下層部10Bは、後述する掛止部38が止められる被掛止部18を有する。下層部10Bは、例えば、複数の被掛止部18を有する。例えば、被掛止部18は、第1辺10d及び第2辺10fのそれぞれに配置されている。一例として、被掛止部18は、各第1辺10dの第1方向D1の中央、及び各第2辺10fの第2方向D2の中央のそれぞれに形成されている。
【0067】
被掛止部18は、下層部10Bの中央に向かって窪む凹部18bと、凹部18bにおける下層部10Bの中央側の端面から下層部10Bの外側に突出する板状部18cとを有する。例えば、被掛止部18は、第1辺10d又は第2辺10fから窪む凹部18bと、凹部18bにおいて第1方向D1及び第2方向D2に延在すると共に第3方向D3に厚みを有する板状部18cとを有する。第3方向D3に沿って見た場合において、凹部18bは、下層部10Bの中央に向かって矩形状に窪んでいる。
【0068】
板状部18cは、第3方向D3に沿って見た凹部18bにおける下層部10Bの中央側の端面から下層部10Bの外側に突出している。第3方向D3において、板状部18cは、上面10bと下面10cとの間に位置する。板状部18cは、上面10bおよび下面10cの双方から凹んでいる。
【0069】
例えば、複数の被掛止部18は、第1被掛止部18Aと、第2被掛止部18Bとを含む。第1被掛止部18Aは、第1辺10dに形成されている。第1被掛止部18Aは、凹部18bと、板状部18cと、下方から見た凹部18bにおける下層部10Bの中央側の端面、および下面10cから下層部10Bの外側に突出する凸部18dとを有する。例えば、凸部18dは、被掛止部18の第1方向D1の中央に位置する。第2被掛止部18Bは、凹部18bと、板状部18cとを有し、凸部18dを有しない。
【0070】
下層部10Bは、保持材1B及び複数の飲料容器Cを持ち上げる人の指が挿入される指穴部19を有する。指穴部19は、例えば、第3方向D3に沿って見た場合における下層部10Bの中央に位置する。例えば、指穴部19は、上面10bから窪む内周面19bと、内周面19bから第3方向D3に沿って見た場合における指穴部19の内側に突出する突出部19cとを有する。
【0071】
図12は、下方から見た上層部30Bを示す斜視図である。
図9(a)及び
図12に示されるように、上層部30Bは、第1方向D1及び第2方向D2に延びると共に鉛直上方に向けられる上面30bと、上面30bとは反対を向く下面30cとを有する。上層部30Bは、第1辺10dの上に位置する第3辺30dと、第2辺10fの上に位置する第4辺30fとを有する。上層部30Bは、第1方向D1に延びる第3辺30dと、第2方向D2に延びる第4辺30fとを有する。上層部30Bは、第2方向D2に沿って並ぶ一対の第3辺30dと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第4辺30fとを有する。
【0072】
上層部30Bは、飲料容器Cが入り込む第2穴35を有する。第2穴35は、第3方向D3に沿って見たときに円形状を呈する。第2穴35は、第2内面36によって画成されている。上層部30Bは、下層部10Bの被掛止部18に掛止する掛止部38を有する。上層部30Bは、下方に向かって突出する第1突出部38b、及び、第1突出部38bから上層部30Bの中央に向かって突出する第2突出部38cを含む掛止部38を有する。
【0073】
上層部30Bは、例えば、被掛止部18の数と同数の掛止部38を有する。掛止部38は、第3方向D3に沿って見た場合における上層部30Bの外側に撓めることが可能とされている。例えば、掛止部38は、第3辺30d及び第4辺30fのそれぞれに配置されている。
【0074】
一例として、掛止部38は、各第3辺30dの第1方向D1の中央、及び各第4辺30fの第2方向D2の中央のそれぞれに形成されている。例えば、掛止部38は、下面30cから突出する第1突出部38bと、第1突出部38bの下端から第3方向D3における上層部30Bの中央に向かって突出する第2突出部38cと、第1突出部38bの下端及び第2突出部38cから下方に突出する第3突出部38dとを有する。
【0075】
例えば、第1突出部38b及び第3突出部38dは板状を呈する。より具体的には、第1突出部38b及び第3突出部38dは、第3辺30d又は第4辺30fに沿って延びる長辺、及び第3方向D3に沿って延びる短辺を有する矩形板状を呈する。第2突出部38cは、例えば、平坦状を呈する上面と、湾曲面である下面とを有する。
【0076】
上層部30Bは、下層部10Bに上方から装着可能とされている。すなわち、上層部30Bは、第1穴15の上に第2穴35が位置する状態で下層部10Bに着脱可能とされている。下層部10Bに上層部30Bが装着されるときに、被掛止部18に掛止部38が掛止する。
【0077】
このとき、掛止部38の第2突出部38cが被掛止部18の板状部18cに当接し、第2突出部38cが板状部18cを下方に乗り越えることによって被掛止部18に掛止部38が掛止する。被掛止部18には、第2突出部38cが板状部18cを下方に乗り越えた状態で掛止部38が止められる。被掛止部18に掛止部38が掛止した状態、すなわち、下層部10Bに上層部30Bが装着された状態では、板状部18cの下面に第2突出部38cの上面が対向している。
【0078】
例えば、第2突出部38cの下面は、第3方向D3に沿って見た場合における上層部30Bの中央に向かうに従って膨らむように斜め上方に向かって湾曲している。この場合、被掛止部18に対する掛止部38の掛止をスムーズに行うことができる。下層部10Bから上層部30Bを外すときには、掛止部38を外側に撓ませて板状部18cから第2突出部38cを上方に移動させることにより、被掛止部18に対する掛止部38の掛止を解除する。被掛止部18に対する掛止部38の掛止を解除した状態で下層部10Bから上層部30Bを分離させることができる。
【0079】
例えば、複数の掛止部38は、第1被掛止部18Aに掛止する第1掛止部38Aと、第2被掛止部18Bに掛止する第2掛止部38Bとを含む。第1掛止部38Aは、第3辺30dに形成されている。第1掛止部38Aは、第1突出部38bと、第2突出部38cと、第3突出部38dと、下方から見た第2突出部38cにおける第1方向D1の中央において窪む凹部38fとを有する。凹部38fには、下層部10Bの被掛止部18の凸部18d(
図10参照)が嵌まり込む。第2掛止部38Bは、第1突出部38bと、第2突出部38cと、第3突出部38dとを有し、凹部38fを有しない。
【0080】
以上のように、互いに異なる形状を有する第1被掛止部18A及び第2被掛止部18Bを下層部10Bが備え、互いに異なる形状を有する第1掛止部38A及び第2掛止部38Bを上層部30Bが備え、第1被掛止部18Aに第1掛止部38Aが掛止し、第2被掛止部18Bに第2掛止部38Bが掛止する。これにより、装着時に、第1被掛止部18Aの上方に第1掛止部38Aが位置し、第2被掛止部18Bの上方に第2掛止部38Bが位置するように上層部30Bを配置すればよいので、下層部10Bに対する上層部30Bの位置合わせ及び装着を容易に行うことができる。
【0081】
上層部30Bは、下層部10Bの指穴部19の直上に位置する指穴部39を有する。指穴部39は、例えば、第3方向D3に沿って見た場合における上層部30Bの中央に位置する。例えば、指穴部39は、指穴部39の外縁において下面30cから下方に突出する環状凸部39bを有する。
【0082】
図13を参照しながら、上層部30Bの第2内面36の詳細について説明する。例えば、第2内面36は、上面30bから下方に延びる内周面36bと、内周面36bの下端から第3方向D3に沿って見た場合における第2穴35の内側に突出する突出部36cと、突出部36cの下側から斜め下方に延びる傾斜面36dとを有する。傾斜面36dは、下面30cに向かうに従って第3方向D3に沿って見た場合における第2穴35の外側に傾斜している。
【0083】
例えば、下層部10Bの飲料容器Cが通される部分の内径の最小値、すなわち、複数の押さえ部17の上端によって囲まれた領域の内径は、第2穴35の内径の最小値より大きい。第2穴35の内径の最小値は、例えば、第2内面36の突出部36cの内径である。上層部30Bは、下層部10Bに上層部30Bが装着されるときに押さえ部17を第1穴15の内側に撓ませる突出部36cを第2穴35に有する。
【0084】
したがって、第1穴15に下から飲料容器Cを通した状態で下層部10Bの上に上層部30Bを載せると、突出部36cが押さえ部17を第1穴15の内側に撓める。このとき、複数の押さえ部17の上端によって囲まれた領域の内径が飲料容器Cの巻締部C3の外径よりも小さくなる。第1穴15の内側に撓んだ押さえ部17は、第1穴15及び第2穴35に通された飲料容器Cの巻締部C3の下に入り込むことによって飲料容器Cを保持する。
【0085】
このとき、複数の押さえ部17の上端に巻締部C3が当接することによって保持材1Bに飲料容器Cを保持することができる。また、下層部10Bから上層部30Bを外すと、複数の押さえ部17の上端によって囲まれた領域の内径が広がるので、保持材1Bから容易に飲料容器Cを外すことができる。
【0086】
以上、変形例に係る保持材1Bのように、本開示の一側面に係る保持材は、以下の構成を有する。
飲料容器を保持する保持材であって、
前記飲料容器が入り込む第1穴を有する下層部と、
前記第1穴に入り込んだ前記飲料容器が入り込む第2穴を有する上層部と、
を備え、
前記上層部は、前記第1穴の上に前記第2穴が位置する状態で前記下層部に着脱可能とされており、
前記下層部は、前記第1穴から上方に突出すると共に可撓性を有する押さえ部を備え、
前記上層部は、前記下層部に前記上層部が装着されるときに前記押さえ部を前記第1穴の内側に撓ませる突出部を前記第2穴に有し、
前記第1穴の内側に撓んだ前記押さえ部は、前記第1穴及び前記第2穴に通された前記飲料容器の巻締部の下に入り込むことによって前記飲料容器を保持する、
保持材。
【0087】
上記の保持材の一例である保持材1Bでは、上層部30Bが下層部10Bに着脱可能とされており、下層部10Bは第1穴15及び第2穴35に通された飲料容器Cを保持する押さえ部17を有する。押さえ部17は、第1穴15から上方に突出すると共に可撓性を有する。上層部30Bは、下層部10Bへの装着時に押さえ部17を第1穴15の内側に撓ませる突出部36cを第2穴35に有する。突出部36cによって内側に撓んだ押さえ部17は、飲料容器Cの巻締部C3の下に入り込むことによって飲料容器Cを保持する。
【0088】
よって、下層部10Bから上層部30Bを外すと、突出部36cが押さえ部17から外れて巻締部C3に対して押さえ部17が開くので、上層部30B及び下層部10Bから容易に飲料容器Cを外すことができる。さらに、保持材1Bに飲料容器Cを取り付けるときには、下方から第1穴15に飲料容器Cを通し、第1穴15の上に第2穴35が位置するように下層部10Bに上層部30Bを装着することにより、内側に撓んだ押さえ部17によって飲料容器Cの巻締部C3を保持できる。したがって、保持材1Bに対する飲料容器Cの取り付けを容易に行うことができる。
【0089】
前述した保持材は、さらに以下の構成を有していてもよい。
前記上層部は、下方に突出する第1突出部、及び、前記第1突出部から前記上層部の中央に向かって突出する第2突出部を含む掛止部を有し、
前記下層部は、前記掛止部が止められる被掛止部を有し、
前記被掛止部は、前記下層部の中央に向かって窪む凹部と、前記凹部における前記下層部の中央側の端面から前記下層部の外側に突出する板状部とを有し、
前記被掛止部には、前記第2突出部が前記板状部を下方に乗り越えた状態で前記掛止部が止められる。
【0090】
上記の保持材の一例である保持材1Bでは、
図10及び
図12に示されるように、上層部30Bの掛止部38の第2突出部38cが下層部10Bの被掛止部18の板状部18cを下方に乗り越えることによって被掛止部18に掛止部38が止められる。よって、下層部10Bに上層部30Bを強固に取り付けることができる。
【0091】
前述した保持材は、さらに以下の構成を有していてもよい。
前記下層部は、第1辺と、前記第1辺とは異なる方向に延びる第2辺とを有し、
前記上層部は、前記第1辺の上方に位置する第3辺と、前記第2辺の上方に位置する第4辺とを有し、
前記上層部は、掛止部を有し、
前記下層部は、前記掛止部が止められる被掛止部を有し、
前記掛止部は、前記第3辺及び前記第4辺のそれぞれに配置されており、
前記被掛止部は、前記第1辺及び前記第2辺のそれぞれに配置されている。
【0092】
上記の保持材の一例である保持材1Bでは、上層部30Bの第3辺30d及び第4辺30fのそれぞれに掛止部38が配置されており、下層部10Bの第1辺10d及び第2辺10fのそれぞれに被掛止部18が配置されている。よって、各被掛止部18に各掛止部38が止められることによって、下層部10Bに上層部30Bを強固に取り付けることができる。
【0093】
以上、本開示に係る保持材の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示に係る保持材は、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において更に変形することが可能である。保持材の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0094】
例えば、前述の実施形態では、人の指が挿入される指穴部40を有する保持材1について説明した。しかしながら、指穴部40を有しない保持材であってもよい。例えば、保持材は、指穴部40に代えて、保持材及び飲料容器を持ち上げるための取っ手を備えていてもよい。更に、保持材は、例えば、指穴部40に代えて、商品又は企業のロゴを有していてもよい。
【0095】
前述の実施形態では、第1穴12等、保持材に形成された穴が円形状である例について説明した。しかしながら、保持材に形成される穴の形状は、円形状以外であってもよく、例えば、長円形状、楕円形状又は多角形状であってもよい。このように、保持材に形成される穴の形状は適宜変更可能である。
【0096】
前述の実施形態では、下層部10、中層部20及び上層部30を備える3層構造の保持材1について説明した。しかしながら、保持材は、下層部、中層部及び上層部に加え、更に別の層を有していてもよい。すなわち、保持材の層の数は4層以上であってもよい。さらに、前述した変形例では、下層部10B及び上層部30Bを備える2層構造の保持材1Bについて説明した。しかしながら、保持材の層の数は、1であってもよいし、4以上であってもよく適宜変更可能である。
【0097】
前述の実施形態では、保持材1が保持する飲料容器Cの数が6である例について説明した。しかしながら、保持材が保持する飲料容器Cの数は、例えば、1以上且つ5以下であってもよい。また、保持材が保持する飲料容器Cの数は、7以上、8以上、又は10以上であってもよい。このように、保持材が保持する飲料容器Cの数は、特に限定されない。
【0098】
前述の実施形態では、保持材1が飲料缶である飲料容器Cを保持する例について説明した。しかしながら、保持材が保持する飲料容器の種類は、飲料缶以外のものであってもよく、例えば、ペットボトル、瓶又は樽であってもよい。このように、保持材が保持する飲料容器の種類は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0099】
1,1A,1B…保持材、1b…長辺、1c…短辺、1d…湾曲部、1f…保持孔、1h…ネジ穴、1j…上面、1k…保持孔、10,10B…下層部、10b…上面、10c…下面、10d…第1辺、10f…第2辺、11…第1内面、11b…第1内周面、11c…第1傾斜面、12…第1穴、14…傾斜面、15…第1穴、16…第1内面、17…押さえ部、17b…湾曲部、17c…延在部、18…被掛止部、18A…第1被掛止部、18B…第2被掛止部、18b…凹部、18c…板状部、18d…凸部、19…指穴部、19b…内周面、19c…突出部、20,20A…中層部、21,21A…当接面、22,22A…第2穴、24…内周面、25…折曲部、30,30A,30B…上層部、30b…上面、30c…下面、30d…第3辺、30f…第4辺、31,31A…第3内面、31b…第3内周面、31c…第2傾斜面、31d…第3傾斜面、32,32A…第3穴、34…湾曲面、35…第2穴、36…第2内面、36b…内周面、36c…突出部、36d…傾斜面、38…掛止部、38A…第1掛止部、38B…第2掛止部、38b…第1突出部、38c…第2突出部、38d…第3突出部、38f…凹部、39…指穴部、39b…環状凸部、40…指穴部、100,100B…飲料製品、C…飲料容器、C1…側面、C2…上端部、C3…巻締部、C4…傾斜部、C5…外周面、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、R1,R3…内径、R2…第2穴の内径の最小値。