(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127811
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】バイオマス含有樹脂組成物及びバイオマス含有樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240912BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240912BHJP
C08K 5/31 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/34
C08K5/31
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029574
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023036817
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】喜多 藍
(72)【発明者】
【氏名】松本 誠
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA00X
4J002AA01W
4J002AB01X
4J002AB04X
4J002AJ00X
4J002BB01W
4J002BB02W
4J002BB11W
4J002BB21W
4J002DJ006
4J002ER027
4J002FD070
4J002GB00
4J002GC00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低臭気で、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合も臭気の発生が少なく、成形性に優れ、かつ成形品に優れた機械的強度を与えるバイオマス含有樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物であり、前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であるバイオマス含有樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物であり、
前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であるバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項2】
更にグアニジノ基含有化合物(F)を含有する請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項3】
前記ゼオライト(A)のシリカ/アルミナ比(SiO2/Al2O3モル比)が2以上 20未満の範囲である請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記ゼオライト(A)の細孔径が5~20Åである請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項5】
前記バイオマス材料(D)が、デンプン系材料(D1)、セルロース系材料(D2)、動物性繊維(D3)、卵殻及び貝殻からなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項6】
さらに酸変性ポリオレフィン(B)を含み、酸変性ポリオレフィン(B)の含有量が前記(A)と前記(B)との合計重量に基づいて5~99重量%である請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項7】
さらに酸化防止剤を含み、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対する酸化防止剤の合計含有重量部数が0.01~2重量部である請求項1に記載のバイオマス含有樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のバイオマス含有樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項9】
ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物の製造方法であり、
前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であり、
前記(A)、前記(C)及び前記(D)を、((C)の融点(Tm)より5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオマス含有樹脂組成物及びバイオマス含有樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラルの観点等からバイオマス資源の活用が注目されており、種々の用途での活用が検討されている。従来プラスチック製品が使用されてきた用途においても、熱可塑性樹脂にバイオマス(木質材料、デンプン系材料及び卵殻等)を配合して成形加工したさまざまな製品の開発が進んでいる。しかしながら、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を成形加工する際の加工温度は、例えば170~230℃と高温であり、加工時にバイオマスから特有の臭気が発生し、作業環境を著しく悪化させたり、成形品に臭気が残るなどの問題がある。
バイオマス含有樹脂の臭気低減方法として、例えば特許文献1には、ポリプロピレン樹脂と木粉を混合した複合樹脂材料に対して尿素系化合物(ヒドラジド化合物)、又はその金属結合体からなるアルデヒド用消臭剤を添加し、混合、攪拌した後、押出成形機によりシート状に押し出したことを特徴とするプレス成型用材料が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の材料が含有するアルデヒド用消臭剤はヒドラジド化合物であり、添加量が多い場合や、バイオマス含有樹脂の成形条件によっては高温加熱により熱分解されて、それ自身から悪臭を発生させることがあるという問題や、バイオマス材料の種類や配合比及び臭気物質の種類によっては、臭気低減効果が不足するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、低臭気で、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合も臭気の発生が少ない成形品を得ることができるバイオマス含有樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物であり、
前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であるバイオマス含有樹脂組成物;前記(A)、前記(C)及び前記(D)を、(C)の融点(Tm)より5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する樹脂組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、以下の効果を奏する。
・ 低臭気であり、該樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱(例えば140~230℃)した場合も臭気の発生が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<バイオマス含有樹脂組成物>
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を必須成分として含有する。
【0008】
本発明におけるゼオライト(A)は、三次元骨格構造を有する結晶性のアルミノケイ酸塩である。天然物であっても合成物であってもよい。公知のさまざまな結晶構造のもの、例えばA型、X型、LSX型、L型、Y型、フェリエライト、モルデナイト、ベータ型及びZSM-5(MFI型ともよばれる)のいずれも使用できる。
【0009】
本発明において、ゼオライト(A)のシリカ/アルミナ比(SiO2/Al2O3モル比)は、樹脂中での分散性及び臭気低減の観点から、2以上30以下の範囲であることが好ましく、2以上20未満の範囲であることが更に好ましく、2以上10未満の範囲であることが特に好ましい。
なお、ゼオライトは、一般的にシリカ/アルミナ比(SiO2/Al2O3モル比)が高いほど、疎水性が高く、シリカ/アルミナ比が低いほど親水性が高い傾向がある。
また、本発明で用いるゼオライト(A)の化学式は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表されることが好ましい。
M2/xO・Al2O3・mSiO2・nH2O・・・(I)
[式(I)中、Mはイオン交換可能な周期律表の第1族又は第2族の元素の陽イオンを示し、xは前記Mの原子価を示し、mは上記シリカ/アルミナ比(SiO2/Al2O3モル比)であり、nは結晶水の数で0~7の数を示す。]なお、前記Mは1種単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
ゼオライトは、構造中に規則的な細孔を有する。本発明におけるゼオライト(A)の細孔径は臭気低減の観点から5~20Åであることが好ましく、5~10Åであることが更に好ましい。なお、(A)の細孔径は、全自動ガス吸着量測定装置を用いた定容法によるガス吸着量の測定(アルゴンガス)により求めた値である。
【0011】
本発明におけるゼオライト(A)は、球状、棒状、楕円状等の任意の形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中での分散性、臭気低減効果及び樹脂組成物の成形性等の観点から、粉体状が好ましい。
【0012】
本発明におけるゼオライト(A)の平均粒子径は、後述の併用するバイオマス材料(D)の種類及び臭気物質の種類等に応じて適宜選定することができるが、重量平均粒子径500μm以下のものが好ましく、200μm以下のものが更に好ましい。なお、ゼオライト(A)の重量平均粒子径は、100μm以上の場合はJIS Z 8801に規定の標準篩を用いたふるい分けによる標準篩法で求めた値とし、100μm未満の場合はJIS Z 8825に準じたレーザー回折・散乱法で求めた値とする。
【0013】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、さらに酸変性ポリオレフィン樹脂(B)を含むことが好ましい。酸変性ポリオレフィン(B)は、ゼオライト(A)との親和性と熱可塑性樹脂(C)との親和性を併せ持つため、(A)の(C)中での分散性を向上させることが可能である。さらに酸変性ポリオレフィン(B)は、バイオマス材料(D)との親和性も併せもつため、(D)の(C)中での分散性を向上させることが可能であり、樹脂組成物中に(D)がより均一に分散されて樹脂組成物の均一性が向上し、バイオマス材料の配合比率をより高めることが可能である。また、バイオマス材料の配合比率が高い場合においても樹脂組成物の成形品の機械的強度の低下が起こりにくく、成形品に優れた機械的強度を与えることができる。
【0014】
本発明における酸変性ポリオレフィン(B)としては、カルボン酸(無水物)基を有しないポリオレフィン(e)[分子中に炭素-炭素二重結合を有しないポリオレフィン(e1)及び分子中に炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(e2)等]を、後述の不飽和カルボン酸(無水物)(x)で変性したもの等が挙げられる。
なお、本発明において「カルボン酸(無水物)」とは、「カルボン酸」及び/又は、「カルボン酸無水物」を意味する。
【0015】
分子中に炭素-炭素二重結合を有しないポリオレフィン(e1)を構成するオレフィンとしては、炭素数2~30のアルケン等が挙げられる。
炭素数2~30のアルケンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、1-デセン及び1-ドデセン等が挙げられる。
【0016】
分子中に炭素-炭素二重結合を有しないポリオレフィン(e1)としては、エチレン単位含有(共)重合体[高、中又は低密度ポリエチレン、及び、エチレンと炭素数4~30の不飽和単量体(1-ブテン、2-ブテン及び1-ヘキセン等)との共重合体等]、プロピレン単位含有(共)重合体[ポリプロピレン、及び、プロピレンと炭素数4~30の不飽和単量体(1-ブテン、2-ブテン、1-ヘキセン及び1,4-ヘキサジエン等)との共重合体等]、エチレン単位とプロピレン単位とを含有する共重合体[プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/エチレン/1-ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1-アルケン(炭素数5~20のもの)共重合体、及び、エチレン/プロピレン/1,4-ヘキサジエン共重合体等]及びポリブテン(ポリ-1-ブテン及びポリ-2-ブテン等)等が挙げられる。
なお、本発明において「(共)重合体」とは、単量体の単独重合体又は共重合体を意味する。
また、「プロピレン/エチレン共重合体」とは、「/」の前後の「プロピレン」と「エチレン」とが共重合したものであることを示し、その他の「/」を含む共重合体についても同様に、「/」の前後の単量体が共重合したものであることを意味する。
【0017】
分子中に炭素-炭素二重結合を有しないポリオレフィン(e1)は、上記の炭素数2~30のアルケンを、公知の方法で(共)重合することにより得ることができる。
また、タフマーXM-5070[三井化学(株)製]、タフマーXM-5080[三井化学(株)製]、VESTOPLAST750[Evonik社製]及びバーシファイ3000[ダウケミカル(株)製]等として、市場から入手することができる。
【0018】
分子中に炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(e2)は、分子末端に炭素-炭素二重結合を有することが好ましい。
また、ポリオレフィン(e2)が有する炭素-炭素二重結合の数は、後述の不飽和カルボン酸(無水物)(x)との共重合性及び付加反応性の観点から、好ましくは炭素1,000個当たり0.1~20個であり、更に好ましくは0.3~18個であり、特に好ましくは0.5~15個である。
なお、炭素-炭素二重結合の数は、ポリオレフィン(e2)の1H-NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから得られる二重結合由来のピーク(4.6~4.8ppm)の積分値から、算出することができる。
【0019】
分子中に炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(e2)は、下記の重合法及び熱減成法等の公知の製造方法等で製造することができる。
【0020】
重合法としては、ジエン等をモノマーとして使用して重合体を製造し、骨格中に不飽和基を残存させる方法が挙げられる。
【0021】
熱減成法としては、上記ポリオレフィン(e1)を窒素通気下で、有機過酸化物不存在下、300℃以上450℃以下の温度で0.5~10時間、連続的又は非連続的に熱減成する方法(熱減成法1);及び有機過酸化物存在下、180℃以上300℃未満の温度で0.5~10時間、連続的又は非連続的に熱減成する方法(熱減成法2)等が挙げられる。
(熱減成法1)及び(熱減成法2)いずれの場合も工業的観点から好ましいのは連続的に熱減成する方法である。
これらの(熱減成法1)及び(熱減成法2)のうち好ましいのは、分子末端の炭素-炭素二重結合数のより多いものが得やすい(熱減成法1)の方法である。
【0022】
上記不飽和カルボン酸(無水物)(x)としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩等)及び不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、炭素数(以下、Cと略記することがある)3~24の鎖状脂肪族不飽和モノカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)、C7~24の脂環式不飽和モノカルボン酸(シクロヘキセンカルボン酸、シクロヘプテンカルボン酸、ビシクロヘプテンカルボン酸及びメチルテトラへキセンカルボン酸等)及びC7~24の芳香族不飽和モノカルボン酸(4-ビニル安息香酸等)等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、C4~24の鎖状脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸等)、C8~24の脂環式不飽和ジカルボン酸(シクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸及びメチルテトラヒドロフタル酸等)及びC8~24の芳香族不飽和ジカルボン酸(4,4’-スチルベンジカルボン酸等)等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
これらの(x)のうち、ポリオレフィン(e)との反応性及びグアニジノ基含有化合物(F)及び後述するバイオマス材料(D)の樹脂組成物中での分散性の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸無水物、更に好ましいのは無水マレイン酸である。
【0023】
カルボン酸(無水物)基を有しないポリオレフィン(e)を上記(x)で変性して酸変性ポリオレフィン(A111)を得る方法としては、(e)と(x)とを、ラジカル開始剤の存在下又はラジカル開始剤不存在下で、必要により適当な有機溶媒[例えばC3~18の炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、C3~18のハロゲン化炭化水素(ジ-、トリ-、又はテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、C3~18のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ-t-ブチルケトン等)、C3~18のエーテル(エチル-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジオキサン等)]を加えて反応させる方法等が挙げられる。
【0024】
酸変性ポリオレフィン(B)としては市販品を用いることもでき、例えば、ユーメックス1010[三洋化成工業(株)製]、ユーメックス1001[三洋化成工業(株)製]及びモディック-APP908[三菱化学(株)製]等として、市場から入手することができる。
【0025】
酸変性ポリオレフィン(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸変性ポリオレフィン(B)は、ゼオライト(A)および後述するバイオマス材料(D)の樹脂組成物中での分散性等の観点から、JIS K0070に準拠して測定される酸価が10~200(mgKOH/g)であることが好ましい。
【0026】
本発明における熱可塑性樹脂(C)としては、加熱溶融することができる樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂(C1)、ポリアセタール樹脂(C2)、ポリエステル樹脂(C3)、熱可塑性の生分解性プラスチック(C4)、ポリアミド樹脂[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12]、ポリカーボネート樹脂[例えばポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂]、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アクリル樹脂[例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)]及びポリスチレン樹脂(PS)が挙げられる。
【0027】
ポリオレフィン樹脂(C1)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリイソブチレン等の1位に二重結合をもつα-オレフィンの重合で得られる結晶性を有する高分子である。また、リサイクルポリオレフィンも(C1)として用いることができる。リサイクルポリオレフィンとは、バージン品のペレットから成形品を成形する工程で生じる廃棄物や不良品のようなプレコンシューマ品や、成形品として市場流通し、消費された後の、容器包装リサイクルプラスチックのような廃棄プラスチックとして回収されるポリオレフィンの総称である。
【0028】
ポリオレフィン樹脂(C1)であるポリプロピレンとしては、ポリプロピレンには、プロピレンに少量のエチレンを共重合したランダムポリプロピレン、及びポリプロピレン中にゴム成分であるエチレンプロピレンゴム(EPR)が均一微細に分散したブロックポリプロピレン等が含まれる。
【0029】
ポリアセタール樹脂(C2)としては、公知のもの、オキシメチレンと、必要によりオキシエチレンとを単位構造として含む重合体が挙げられる。
ポリアセタール樹脂(C2)の市販品としては、例えば、デルリン[登録商標、デュポン社製]及びジュラコン[登録商標、ポリプラスチック(株)製]が挙げられる。
【0030】
ポリエステル樹脂(C3)としては、公知のもの、ポリカルボン酸及び多価アルコールを構成単量体とする樹脂が挙げられる。
具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポチエチレンナフタレート及びポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0031】
熱可塑性の生分解性プラスチック(C4)としては、特に限定されないが、具体例としてポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネートカーボネート(PEC)、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート(PETS)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)及び酢酸セルロース(CA)等が挙げられる。
【0032】
熱可塑性樹脂(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の(C)のうち、成形品の機械的強度の観点からはポリエチレン及びポリプロピレンが好ましいが、最終成形物の特性に合わせて適宜選択できる。
また、熱可塑性樹脂(C)は、熱可塑性樹脂とバイオマス材料とを複合化した材料{例えば、熱可塑性樹脂とバイオマス材料とを溶融混練してペレット化したもの}であるバイオマス複合材料(E)に含まれる熱可塑性樹脂であってもよい。
【0033】
本発明におけるバイオマス材料(D)としては、バイオマス由来の材料であり、デンプン系材料(D1)、セルロース系材料(D2)、動物繊維(D3)、卵殻、貝殻及び甲殻類の外骨格等が含まれる。なお、バイオマスとは動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源で石油などの化石燃料を除いたものを意味する。
【0034】
デンプン系材料(D1)としては、穀類{米、米ぬか、小麦粉、トウモロコシ等}、穀類から抽出したデンプン(ライススターチ、コーンスターチ、小麦粉デンプン等)、イモ類{ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ}、芋類から抽出したデンプン(馬鈴薯デンプン、サツマイモデンプン、タピオカデンプン等)、豆類(緑豆、小豆)、豆類から抽出したデンプン、加工デンプン(酸処理デンプン、酢酸デンプン、酸化デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン及びαデンプン等)等が挙げられる。
【0035】
セルロース系材料(D2)としては、木質材料(木材チップ、木材削りくず等の木屑、おがくず、木粉及びパルプ等)、竹、ヘンプ、フラックス、綿、ケナフ、サトウキビ(バガス)、もみ殻、藁、小麦ふすま、豆殻、菜種油かす、トウモロコシ繊維及びその他の植物繊維等が挙げられる。
【0036】
動物繊維(D3)としては、絹、羊毛、山羊毛等が挙げられる。
【0037】
バイオマス材料(D)は、粉砕し粉末化したもの(粉末状)や、解砕又は解繊したもの(繊維状)を使用してもよい。バイオマス材料(D)が通常加熱溶融しないもの[例えば(D2)、卵殻、貝殻及び甲殻類の外骨格]である場合、粉末状又は繊維状にして使用することが好ましい。また、加熱溶融するもの[例えばデンプン系材料(D1)]であれば、粉砕等をせずそのままの状態で(例えば、精米を米粒のまま)使用することも好ましい。デンプン系材料(D1)は、分散性を向上させる目的で、必要により、所定時間水に浸漬・水切りを行ってから使用してもよい。
【0038】
バイオマス材料(D)が粉末状の場合、その体積平均粒子径は、樹脂組成物の成形品の機械的物性等の観点から好ましくは0.01μm~3mm、さらに好ましくは0.1μm~1mm、とくに好ましくは1μm~500μmである。体積平均粒子径はレーザー回折散乱法により求められ、測定装置としては、粒度分布測定器[商品名「マイクロトラックMT3000II 粒度分析計」、日機装(株)製]等が挙げられる。
バイオマス材料(D)が繊維状の場合、その繊維径は樹脂組成物の成形性及び成形品の機械的強度の観点から、好ましくは0.1μm~1mm、さらに好ましくは1~500μmである。また、(E)の繊維長は成形品の機械的強度および成形性の観点から、好ましくは1μm~10mm、さらに好ましくは10μm~1mmである。該繊維径、繊維長は、電子顕微鏡の画像を画像解析することにより求められる。
【0039】
バイオマス材料(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物に含まれるバイオマス材料(D)は、熱可塑性樹脂とバイオマス材料とを複合化した材料{例えば、熱可塑性樹脂とバイオマス材料とを溶融混練してペレット化したもの}であるバイオマス複合材料(E)に含まれるバイオマス材料であってもよい。
バイオマス複合材料(E)としては市販品を用いることもでき、市販品としては、米含有ポリプロピレン樹脂[例えば、製品名「SRP70」シリーズ、(株)バイオポリ上越製]、米ぬか含有ポリエチレン樹脂[例えば、製品名「NEOPLA RB」シリーズ、(株)白石バイオマス製」、デンプン含有ポリプロピレン樹脂[例えば、製品名「NEOPLA RB」シリーズ、(株)白石バイオマス製]、木質材料含有ポリプロピレン樹脂[例えば、製品名「JWP」シリーズ、(株)バイオポリ上越製、及び、製品名「NEOPLA W」シリーズ、(株)白石バイオマス製]、貝殻含有ポリプロピレン樹脂[例えば、製品名「シェルストーン」、(株)バイオポリ上越製]等が挙げられる。
【0041】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合の臭気の発生がさらに少なく等の観点から、さらに酸化防止剤(G)を含むことが好ましい。
【0042】
酸化防止剤(G)としては、フェノール系酸化防止剤(G1)、リン系酸化防止剤(G2)、硫黄系酸化防止剤(G3)及びアミン系酸化防止剤(G4)等が挙げられる。
【0043】
フェノール系酸化防止剤(G1)としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ ピオネート〕(表品名:Irganox1010)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5- メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:Irganox245)、オクタデシル-3-(3 ,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:Irganox1076)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:Irganox1330)、及びアルファ-トコフェノール(ビタミンE)等が挙げられる。
【0044】
リン系酸化防止剤(G2)としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:Irganox168)、及びビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト等が挙げられる。
【0045】
硫黄系酸化防止剤(G3)としては、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられ、アミン系酸化防止剤としてはオクチル化ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0046】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物が含む酸化防止剤(G)としては、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合の臭気の発生がさらに少なく等の観点から、フェノール系酸化防止剤(G1)、リン系酸化防止剤(G2)及び硫黄系酸化防止剤(G3)が好ましい。
【0047】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物において、前記ゼオライト(A)と前記バイオマス材料(D)との合計重量に基づくゼオライト(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]は0.1~20重量%であり、好ましくは0.3~10重量%であり、更に好ましくは0.5~5重量%である。上記重量割合が0.1より小さいと臭気低減能が悪化する傾向があり、20より大きいと成形品の機械的物性が悪化する傾向がある。
【0048】
また本発明のバイオマス含有樹脂組成物において、さらに酸変性ポリオレフィン(B)を含む場合、前記酸変性ポリオレフィン(B)と前記ゼオライト(A)との合計重量に基づく前記酸変性ポリオレフィン樹脂(B)の重量割合[(B)/{(A)+(B)}]は5~99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10~90重量%であり、特に好ましくは20~80重量%である。上記重量割合[(B)/{(A)+(B)]がこの範囲であると、臭気低減能と成形品の機械的物性が良好となり好ましい。
また、前記酸変性ポリオレフィン(B)と前記熱可塑性樹脂(C)との合計重量に基づく前記酸変性ポリオレフィン樹脂(B)の重量割合[(B)/{(B)+(C)}]は、臭気低減能及び成形品の機械強度の観点から、0.3~40重量%であることが好ましく、前記酸変性ポリオレフィン(B)と前記バイオマス材料(D)との合計重量に基づく前記酸変性ポリオレフィン樹脂(B)の重量割合[(B)/{(B)+(D)}]は、組成物中での(D)の分散性及び組成物の臭気低減能と成形品の機械強度の観点から、0.5~20重量%であることが好ましい。
【0049】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物におけるゼオライト(A)の含有量は、臭気低減能及び成形品の機械的強度の観点から、バイオマス含有樹脂組成物の合計重量に基づいて0.1~11重量%であることが好ましく、0.5~8重量%であることが更に好ましい。
【0050】
熱可塑性樹脂(C)の含有量は、成形品の機械的強度等の観点から、バイオマス含有樹脂組成物の合計重量に基づいて20~98.5重量%であることが好ましく、40~70重量%であることが更に好ましい。
【0051】
バイオマス材料(D)の含有量は、成形品の機械的強度及び成形性(特に耐金型汚染性)等の観点から、バイオマス含有樹脂組成物の合計重量に基づいて1.4~70重量%であることが好ましく、10~60重量%であることが更に好ましい。
【0052】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物がさらに酸変性ポリオレフィン(B)を含む場合、酸変性ポリオレフィン(B)の含有量は、臭気低減能及び成形品の機械的強度の観点から、バイオマス含有樹脂組成物の合計重量に基づいて0.1~15重量%であることが好ましく、1~5重量%であることが更に好ましい。
【0053】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物がさらに酸化防止剤(G)を含む場合、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対する酸化防止剤の合計含有重量部数が0.01~2重量部であることが好ましく、0.01~1重量部であることがさらに好ましく、0.01~0.8重量部であることが特に好ましくい。熱可塑性樹脂(C)に対する酸化防止剤の合計含有量がこの範囲であると、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合も臭気の発生がさらに少なくなり好ましい。
【0054】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、ゼオライト(A)をバイオマス材料(D)に対して特定の重量比率で含有する。樹脂組成物中に(A)が分散することにより、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱(例えば140~230℃)した場合にバイオマス材料(D)が焦げて発生する焦げ臭(臭気物質:アルデヒド化合物、複素環式芳香族化合物等)や、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)から揮発した化合物(臭気物質:アルデヒド化合物等)を物理吸着し、臭気を低減することが可能である。また、(A)の分散性が良好で樹脂組成物の均一性が向上するため、樹脂組成物の成形品の機械強度の低下が起こりにくく、成形性(特に耐金型汚染性)も向上するものと推測される。
【0055】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、臭気低減能を向上させる目的で、更にグアニジノ基含有化合物(F)を含有してもよい。
臭気低減能及び成形品の機械的強度等の観点から、本発明のバイオマス含有樹脂組成物におけるグアニジノ基含有化合物(F)の含有量は、バイオマス含有樹脂組成物の重量に基づいて0~5重量%であることが好ましく、バイオマス材料(D)の重量に対して0~15重量%であることが好ましい。
【0056】
本発明におけるグアニジノ基含有化合物(F)は、分子中に少なくとも1つのグアニジノ基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、グアニジン、アルキル(炭素数1~20)グアニジン(N-メチル又はエチルグアニジン、1,3-ジメチル又はジエチルグアニジン等)、芳香族グアニジン(フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン等)、ビグアニド化合物(ビグアニド、N-メチルビグアニド、N-ベンゾイルビグアニド、N-フェニルビグアニド、シアノビグアニド等)、アミノグアニジン類(アミノグアニジン、ジアミノグアニジン、トリアミノグアニジン等)、グアニジノ基を有するアミノ酸誘導体(アルギニン等)、その他のグアニジン誘導体(ジシアノグアニジン、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、シアノグアニル尿素、シアノグアニルチオ尿素等)及びこれらの塩(塩酸塩、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、グルタミン酸塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
グアニジノ基含有化合物(F)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
これらの(F)のうち、臭気低減能及び取り扱いの容易さの観点からは、グアニジン、アルギニン、グアニジンの塩{スルファミン酸グアニジン(グアニジンのスルファミン酸塩)、グアニジン塩酸塩、炭酸グアニジン(グアニジン炭酸塩)}、シアノグアニジン、アミノグアニジン類及びアミノグアニジン類の塩(アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジン炭酸塩)が好ましく、更に好ましくはアミノグアニジン類及びアミノグアニジン類の塩(アミノグアニジン塩酸塩)である。
なお、アミノグアニジン類及びその塩は、メイラード反応(アミノ化合物と糖の反応で、アルデヒド化合物や複素環式化合物などの臭気物質を発生させる)を阻害するため、後述するバイオマス材料(D)がグルコース単位を含有する(デンプン系材料(D1)を含有する)場合に、特に優れた臭気低減効果を発揮する。
【0058】
グアニジノ基含有化合物(F)は、樹脂組成物中に分散されることで、ゼオライト(A)とともに消臭低減能を示すものと推察される。また、比較的親水性の高い(シリカ/アルミナ比がおおむね30以下、好ましくは20未満)のゼオライト(A)を使用する場合、(F)と(A)とが親和性がもつため、(A)による臭気低減(物理吸着)と(F)による臭気低減(化学吸着)の相乗効果がより得られやすくなるものと推察される。
【0059】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、必要に応じて、更に消臭剤を含有していてもよい。消臭剤としては、公知のもの、多孔質材料(活性炭、シリカゲル等)、ヒドラジド化合物(アジピン酸ジヒドラジド等)、光触媒(酸化チタン等)及び金属石鹸(ステアリン酸亜鉛及びリシノール酸亜鉛等の長鎖脂肪酸金属塩)等が挙げられる。
臭気低減能及び成形品の機械的強度の観点から、バイオマス含有樹脂組成物における消臭剤の含有量は、バイオマス含有樹脂組成物の重量に基づいて0~5重量%であることが好ましい。
【0060】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、必要に応じて、発明の効果を阻害しない範囲でその他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、界面活性剤、相溶化剤、着色剤、抗菌・防黴剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、充填剤、導電剤、防腐剤、芳香剤、防虫剤等が挙げられる。
【0061】
<バイオマス含有樹脂組成物の製造方法>
本発明は、ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物の製造方法であり、前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であり、前記(A)、前前記(C)及び前記(D)を、(C)の融点(Tm)より5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する樹脂組成物の製造方法である。なお、熱可塑性樹脂(C)として2種以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂の融点のうち最も高い融点を融点(Tm)とする。
上記(A)、(C)及び(D)を混合する工程を上記温度範囲で行うことにより、臭気低減能と成形品の機械的強度及び成形性(特に耐金型安定性)が良好となる。上記工程における温度は前記Tmより5~80℃高い温度であることが更に好ましく、前記 Tmより5~70℃高い温度であることが特に好ましい。
【0062】
臭気低減能と成形品の機械的強度及び成形性(特に耐金型安定性)観点からは、前記ゼオライト(A)と前記バイオマス材料(D)との合計重量に基づく前記ゼオライト(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]は0.3~10重量%であることが好ましく、0.5~5重量%であることが更に好ましい。
【0063】
また、本発明のバイオマス含有樹脂組成物の製造方法において、さらに酸変性ポリオレフィン(B)、酸化防止剤(G)及びグアニジノ基含有化合物(F)を用いてもよい。
【0064】
酸変性ポリオレフィン(B)を用いる場合、上記酸変性ポリオレフィン(B)と前記ゼオライト(A)との合計重量に基づく前記(B)の重量割合[(B)/{(A)+(B)}]は5~99重量%であることが好ましく、10~90重量%であることがさらに好ましく、20~80重量%であることが特に好ましい。
さらに酸変性ポリオレフィン(B)を用いる場合、前記酸変性ポリオレフィン(B)と前記熱可塑性樹脂(C)との合計重量に基づく前記(B)の重量割合[(B)/{(B)+(C)}]は、臭気低減能及び成形品の機械強度の観点から、0.3~40重量%であることが好ましく、前記酸変性ポリオレフィン(B)と前記バイオマス材料(D)との合計重量に基づく前記(B)の重量割合[(B)/{(B)+(D)}]は、組成物中の(D)の分散性及び組成物の臭気低減能と成形品の機械強度の観点から、0.5~20重量%であることが好ましい。
【0065】
本発明の製造方法は、上記(A)、上記(C)及び上記(D)を、前記Tmより5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する。
上記(A)、上記(C)及び上記(D)を前記Tmより5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する製造方法としては、各成分を一括で投入し加熱して混合する方法に限られず、(A)、(C)及び(D)のすべてが同時に前記Tmより5~100℃高い温度に加熱され混合される工程を有していればよい。
【0066】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物の製造方法において、さらに酸変性ポリオレフィン(B)、酸化防止剤(G)及びグアニジノ基含有化合物(F)を用いる場合、上記(A)、上記(C)及び上記(D)を加熱して混合する工程で(B)、(G)及び(F)のすべてが前記Tmより5~100℃高い温度に加熱され混合される工程であることが好ましい。
【0067】
また、本発明のバイオマス含有樹脂組成物の製造方法において、上記ゼオライト(A)は、組成物中での(A)の分散性及び成形品の機械的強度の観点から、あらかじめ(A)と熱可塑性樹脂(C)の一部又は全量とを混合した混合物であるゼオライトマスターバッチ(Z)を製造してから、他の原料と混合してもよい。ゼオライトマスターバッチ(Z)には、必要により、更に酸変性ポリオレフィン(B)の一部又は全量、酸化防止剤(G)の一部又は全量、及びグアニジノ基含有化合物(F)の一部又は全量を含有させてもよい。
ゼオライト(A)の含有量がバイオマス含有樹脂組成物の重量に基づいて5重量%を超える場合は、ゼオライトマスターバッチ(Z)を製造してから、他の原料と混合することが好ましい。
【0068】
本発明の製造方法の具体的な実施形態としては、例えば、下記(1)~(3)のような製造方法が含まれる。
(1)(A)、(C)及び(D)並びに必要に応じて用いる(B)、(G)及び(F)を、混練押出機等に一括で投入し、所定温度に加熱して混合する方法
(2)あらかじめ(C)及び(D)を混合した樹脂混合物を作成しておき、該樹脂混合物と(A)と必要に応じて用いる(B)、(G)及び(F)とを所定温度に加熱して混合する方法
(3)(C)と(D)とを複合化させた材料であるバイオマス複合樹脂(E)と、(A)と、必要に応じて用いる(B)、(G)及び(F)とを所定温度に加熱して混合する方法
【0069】
上記(1)~(3)を含む本発明のバイオマス含有樹脂組成物の製造方法において、ゼオライト(A)は、成形品機械物性の観点から、あらかじめ(A)と熱可塑性樹脂(C)の一部又は全量とを混合した混合物であるゼオライトマスターバッチ(Z)として添加し、他の原料と混合してもよい。ゼオライトマスターバッチ(Z)には、必要により、更に酸変性ポリオレフィン(B)の一部又は全量や、酸化防止剤(G)の一部又は全量、及びグアニジノ基含有化合物(F)の一部又は全量を含有させてもよい。
たとえば上記(1)においてゼオライト(A)をゼオライトマスターバッチ(Z)として添加する場合、(A)と(C)の一部又は全量との混合物である(Z)をあらかじめ作成しておき、該(Z)と(D)及び残りの(C)(残りがある場合のみ)とを、所定温度に加熱して混合することにより本発明のバイオマス含有樹脂組成物を製造することができる。
また、バイオマス含有樹脂組成物が(A)、(C)及び(D)に加えて、必要に応じて使用する任意成分[上記(F)及びその他の添加剤等]を含有する場合、必要に応じて使用する任意成分は任意のタイミングで投入して混合することができるが、分散性の観点から必要に応じて使用する任意成分は、上記(A)、(C)及び(D)を混合する工程、又は該工程より前に投入することが好ましい。
【0070】
バイオマス材料(D)がデンプン系材料(D1)を含有する場合、組成物中での(D1)の分散性を向上させる目的で、(D1)と(C)とを混合する工程[たとえば上記(1)の方法における(A)、(C)及び(D)を、混練押出機等に一括で投入し、所定温度に加熱しながら混合する工程や、上記(2)における(C)及び(D)を混合したマスターバッチ樹脂組成物を作成する工程]に先だって、(D1)に水を吸収させる前処理を行うことも好ましい。
(D1)に水を吸収させる前処理の方法は、特に限定されないが、たとえば(D1)を(D1)の全体が浸かる分量の水に含侵して数分~数日程度静置する方法が挙げられる。(D1)に水を吸収させる前処理を行った後、必要により過剰な水分を遠心分離等により除去してから、上記(D1)と(C)とを混合する工程を行ってもよく、過剰な水分を除去せず(D1)とともに混合してもよい。
また、上記(D1)と(C)とを混合する工程時に水を加えてもよい。
【0071】
<成形品>
本発明の成形品は、上記バイオマス含有樹脂組成物を成形してなる。
成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、ブロー成形、発泡成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて任意の方法で成形できる。
成形温度は、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)の性質等及び混練の負荷等を考慮して適宜設定できるが、例えば140~230℃の範囲である。
【0072】
本発明のバイオマス含有樹脂組成物を各種成形法で成形してなる成形品は、バイオマス材料を含有するにも関わらず低臭気であり、かつ機械的強度(破断強度、曲げ弾性等)に優れるため、ハウジング製品[家電・OA機器、ゲーム機器及び事務機器用等]、プラスチック容器材[食品用トレー、食器類、クリーンルームで使用されるトレー(ICトレー等)、その他容器等]、各種緩衝材、被覆材(包材用フィルム、保護フィルム等)、床材用シート、人工芝、マット、テープ基材(半導体製造プロセス用等)、並びに各種成形品(自動車部品等)用材料として幅広く用いることができ、極めて有用である。
【0073】
本明細書には以下の事項が開示されている。
【0074】
本開示(1)は、ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物であり、前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であるバイオマス含有樹脂組成物である。
【0075】
本開示(2)は、更にグアニジノ基含有化合物(F)を含有する、本開示(1)に記載のバイオマス含有樹脂組成物である。
【0076】
本開示(3)は、前記ゼオライト(A)のシリカ/アルミナ比(SiO2/Al2O3モル比)が2以上20未満の範囲である、本開示(1)又は(2)に記載のバイオマス含有樹脂組成物である。
【0077】
本開示(4)は、前記ゼオライト(A)の細孔径が5~20Åである、本開示(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのバイオマス含有樹脂組成物である。
【0078】
本開示(5)は、前記バイオマス材料(D)が、デンプン系材料(D1)、セルロース系材料(D2)、動物性繊維(D3)、卵殻及び貝殻からなる群より選ばれる1種以上である、本開示(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのバイオマス含有樹脂組成物である。
【0079】
本開示(6)は、さらに酸変性ポリオレフィン(B)を含み、酸変性ポリオレフィン(B)の含有量が前記(A)と前記(B)との合計重量に基づいて5~99重量%である本開示(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せのバイオマス含有樹脂組成物である。
【0080】
本開示(7)は、さらに酸化防止剤を含み、熱可塑性樹脂(C)100重量部に対する酸化防止剤の合計含有重量部数が0.01~2重量部である本開示(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せのバイオマス含有樹脂組成物である。
【0081】
本開示(8)は、本開示(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せのバイオマス含有樹脂組成物を成形してなる成形品である。
【0082】
本開示(9)は、ゼオライト(A)、熱可塑性樹脂(C)及びバイオマス材料(D)を含有するバイオマス含有樹脂組成物の製造方法であり、前記(A)と前記(D)との合計重量に基づく前記(A)の重量割合[(A)/{(A)+(D)}]が0.1~20重量%であり、前記(A)、前記(C)及び前記(D)を、(B)の融点と(C)の融点(Tm)より5~100℃高い温度に加熱して混合する工程を有する樹脂組成物の製造方法である。
【実施例0083】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】
実施例および比較例に使用した原料は記号で表記し、各記号は以下の原料を意味する。
<ゼオライト(A)>
(A-1):合成ゼオライト,F-9(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径150μm以下(100メッシュ通過)、陽イオン種:ナトリウム、シリカ/アルミナ比2.5、細孔径9Å、結晶型X型)
(A-2):合成ゼオライト,HS-320(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径6μm、陽イオン種:ナトリウム、シリカ/アルミナ比5.5、細孔径9Å、結晶型Y型)
(A-3):合成ゼオライト,HS-341(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径2~4μm、陽イオン種:アンモニウムイオン、シリカ/アルミナ比7、細孔径9Å、結晶型Y型)
(A-4):合成ゼオライト,HS-500(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径2~4μm、陽イオン種:カリウム、シリカ/アルミナ比6.1、細孔径8Å、結晶型L型)
(A-5):合成ゼオライト,HS-642(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径12μm、陽イオン種:ナトリウム、シリカ/アルミナ比18、細孔径7Å、結晶型モルデナイト型)
(A-6):合成ゼオライト,HS-720(富士フィルム和光純薬(株)製、粉末、平均粒子径18μm、陽イオン種:カリウム、シリカ/アルミナ比18、細孔径4.8Å、結晶型フェリエライト型)
(A-7):合成ゼオライト HSZ-600(タイプ660HOA)(東ソー(株)製、粉末品、平均粒子径12μm、陽イオン種:水素、シリカ/アルミナ比30、細孔径7Å、結晶型モルデナイト型)
(A-8):合成ゼオライト モレキュラーシーブ13X(ユニオン昭和(株)製、粉末、平均粒子径10μm、陽イオン種:ナトリウム、シリカ/アルミナ比2.5、細孔径10Å、結晶型X型)
(A-9):天然ゼオライト(日東粉化工業(株)製、SP#600、粉末、平均粒子径2μm、陽イオン種:ナトリウム、カリウム、カルシウム、シリカ/アルミナ比5、細孔径5~8、結晶型モルデナイト型)
【0085】
<酸変性ポリオレフィン(B)>
(B-1):ユーメックス1001 [酸価:26mgKOH/g、融点142℃、三洋化成工業(株)製、マレイン酸変性ポリプロピレン]
(B-2):ユーメックス1010 [酸価:52mgKOH/g、融点135℃、三洋化成工業(株)製、マレイン酸変性ポリプロピレン]
【0086】
<熱可塑性樹脂(C)>
(C-1):ポリプロピレン[製品名「プライムポリプロJ105G」、融点168℃、(株)プライムポリマー製]
(C-2):低密度ポリエチレン[製品名「UBEポリエチレンF222」、MFR:2g/10min、融点110℃、宇部丸善ポリエチレン(株)製]
(C-3):低密度ポリエチレン[製品名「UBEポリエチレンJ5019」、MFR:50g/10min、融点110℃、宇部丸善ポリエチレン(株)製]
(C-4):低密度ポリエチレン[製品名「UBEポリエチレンJ2522」、MFR:20g/10min、融点109℃、宇部丸善ポリエチレン(株)製]
(C-5):ブロックポリプロピレン(サンアロマー(株)製、サンアロマーPM970A、MFR=30)
【0087】
<バイオマス材料(D)>
(D-1):市販3分づき米(糠層を30%除去した米)
(D-2):小麦粉[市販食用小麦粉を100メッシュ金網でふるい金網を通過したもの]
(D-3):木粉[市販のスギ木粉を標準ふるいを用いて重量平均粒子径を200μmに調整したもの]
(D-4):卵殻[(株)グリーンテクノ21製の卵殻膜除去卵殻、製品名「GT-26」、平均粒径30μm、]
【0088】
<バイオマス複合樹脂(E)>
(E-1):米ぬか70%、ポリプロピレン30%複合樹脂[製品名「SRP70-3F」、(株)バイオポリ上越製]
(E-2):木屑51%、ポリプロピレン49%複合樹脂[製品名「JWP-W51G」、(株)バイオポリ上越製]
【0089】
<グアニジノ基含有化合物(F)>
(F-1):アミノグアニジン塩酸塩[東京化成工業(株)製試薬]
【0090】
<酸化防止剤(G)>
(G-1):テトラキス「3-(3’、5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸] [BASFジャパン(株)製ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名:Irganox 1010]
(G-2):(±)-アルファ-トコフェロール[富士フィルム和光純薬(株)製試薬]
(G-3):トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト[BASFジャパン(株)製リン系酸化防止剤、商品名:Irgafos 168]
(G-4):ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート[BASFジャパン(株)製硫黄系酸化防止剤、商品名:Irganox PS 800 FL]
【0091】
<製造例1[ゼオライトマスターバッチ(Z-1)の製造]>
ゼオライト(A-1)50.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合(撹拌羽根で軽く撹拌、以下の製造例の予備混合も同様)した後、150℃に温調したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所の混練・押出性試験装置)の混練部に投入し、温度150℃、ニーダー回転数60rpmの条件で15分間混合することにより、ゼオライトマスターバッチ(Z-1)を得た。
【0092】
<製造例2[ゼオライトマスターバッチ(Z-2)の製造]>
ゼオライト(A-2)50.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)40.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、製造例1と同様に混合することにより、ゼオライトマスターバッチ(Z-2)を得た。
【0093】
<製造例3[ゼオライトマスターバッチ(Z-3)の製造]>
ゼオライト(A-8)60.0重量部と酸化防止剤(G-1)10.0重量部と酸化防止剤(G-3)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-4)20.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、製造例1と同様に混合することにより、ゼオライトマスターバッチ(Z-3)を得た。
【0094】
<製造例4[ゼオライトマスターバッチ(Z-4)の製造]>
ゼオライト(A-8)60.0重量部と酸化防止剤(G-1)10.0重量部と酸化防止剤(G-3)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-5)20.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、製造例1と同様に混合することにより、ゼオライトマスターバッチ(Z-4)を得た。
【0095】
<実施例1[バイオマス含有樹脂組成物(X-1)の製造]>
バイオマス材料(D-1)50.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。ゼオライト(A-1)1.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部と脱水後の(D-1)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合(撹拌羽根で軽く撹拌、以下の実施例の予備混合も同様)した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-1)を得た。
【0096】
<実施例2[バイオマス含有樹脂組成物(X-2)の製造]>
バイオマス材料(D-1)80.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)20.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190 ℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-2)0.1重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-2)を得た。
【0097】
<実施例3[バイオマス含有樹脂組成物(X-3)の製造]>
バイオマス材料(D-1)60.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-3)2.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)40.0重量部とグアニジノ基含有化合物(F-1)0.3重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-3)を得た。
【0098】
<実施例4[バイオマス含有樹脂組成物(X-4)の製造]>
バイオマス材料(D-1)50.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-4)5.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-4)を得た。
【0099】
<実施例5[バイオマス含有樹脂組成物(X-5)の製造]>
バイオマス材料(D-1)70.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)4.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-5)7.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-5)を得た。
【0100】
<実施例6[バイオマス含有樹脂組成物(X-6)の製造]>
バイオマス材料(D-2)70.0重量部とイオン交換水35.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。(D-2)を含有するペーストの入ったディスポカップにゼオライト(A-2)5.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)15.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部を加え、さらに予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-6)を得た。
【0101】
<実施例7[バイオマス含有樹脂組成物(X-7)の製造]>
バイオマス材料(D-2)40.0重量部とイオン交換水20.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。(D-2)を含有するペーストが入ったディスポカップに酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)52.0重量部を加え、さらに予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃、60rpmで10分間溶融混錬し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、製造例1で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-1)16.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-7)を得た。
【0102】
<実施例8[バイオマス含有樹脂組成物(X-8)の製造]>
ゼオライト(A-3)6.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)40.0重量部とバイオマス材料(D-2)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-8)を得た。
【0103】
<実施例9[バイオマス含有樹脂組成物(X-9)の製造]>
バイオマス材料(D-1)70.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と製造例1で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-1)10.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)6.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)25.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-9)を得た。
【0104】
<実施例10[バイオマス含有樹脂組成物(X-10)の製造]>
バイオマス材料(D-1)40.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-4)2.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)0.2重量部と熱可塑性樹脂(C-2)60.0重量部とグアニジノ基含有化合物(F-1)0.2重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-10)を得た。
【0105】
<実施例11[バイオマス含有樹脂組成物(X-11)の製造]>
バイオマス材料(D-1)50.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)7.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃ に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、製造例2で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-2)1.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-11)を得た。
【0106】
<実施例12[バイオマス含有樹脂組成物(X-12)の製造]>
バイオマス材料(D-2)50.0重量部とイオン交換水25.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。このディスポカップにゼオライト(A-6)0.2重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部を加えて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-12)を得た。
【0107】
<実施例13[バイオマス含有樹脂組成物(X-13)の製造]>
バイオマス材料(D-2)60.0重量部とイオン交換水30.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。このディスポカップに製造例1で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-1)20.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)0.53重量部と熱可塑性樹脂(C-3)30.0重量部を加えて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-13)を得た。
【0108】
<実施例14[バイオマス含有樹脂組成物(X-14)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)4.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)60.0重量部とバイオマス材料(D-2)40.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-5)3.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-14)を得た。
【0109】
<実施例15[バイオマス含有樹脂組成物(X-15)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部とバイオマス材料(D-2)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-7)2.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-15)を得た。
【0110】
<実施例16[バイオマス含有樹脂組成物(X-16)の製造]>
バイオマス複合樹脂(E-1)100.0重量部とゼオライトマスターバッチ(Z-2)10.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-16)を得た。
【0111】
<実施例17[バイオマス含有樹脂組成物(X-17)の製造]>
ゼオライト(A-1)1.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-3)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-17)を得た。
【0112】
<実施例18[バイオマス含有樹脂組成物(X-18)の製造]>
ゼオライト(A-4)0.2重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性油脂(C-1)50.0重量部とバイオマス材料(D-3)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-18)を得た。
【0113】
<実施例19[バイオマス含有樹脂組成物(X-19)の製造]>
製造例1で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-1)8.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)36.0重量部とバイオマス材料(D-3)60.0重量部とグアニジノ基含有化合物(F-1)0.5重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、160 ℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-19)を得た。
【0114】
<実施例20[バイオマス含有樹脂組成物(X-20)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-3)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-3)9.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-20)を得た。
【0115】
<実施例21[バイオマス含有樹脂組成物(X-21)の製造]>
ゼオライト(A-2)12.5重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部とバイオマス材料(D-3)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-21)を得た。
【0116】
<実施例22[バイオマス含有樹脂組成物(X-22)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)15.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)30.0重量部とバイオマス材料(D-3)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-5)8.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-22)を得た。
【0117】
<実施例23[バイオマス含有樹脂組成物(X-23)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とバイオマス材料(D-3)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-6)4.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-23)を得た。
【0118】
<実施例24[バイオマス含有樹脂組成物(X-24)の製造]>
ゼオライト(A-1)2.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)40.0重量部とバイオマス材料(D-4)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-24)を得た。
【0119】
<実施例25[バイオマス含有樹脂組成物(X-25)の製造]>
ゼオライト(A-3)0.05重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部とバイオマス材料(D-4)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-25)を得た。
【0120】
<実施例26[バイオマス含有樹脂組成物(X-26)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)15.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)70.0重量部とバイオマス材料(D-4)30.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-8)5.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-26)を得た。
【0121】
<実施例27[バイオマス含有樹脂組成物(X-27)の製造]>
製造例2で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-2)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)30.0重量部とバイオマス材料(D-4)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-27)を得た。
【0122】
<実施例28[バイオマス含有樹脂組成物(X-28)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)0.3重量部と熱可塑性樹脂(C-3)60.0重量部とバイオマス材料(D-4)40.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-1)4.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-28)を得た。
【0123】
<実施例29[バイオマス含有樹脂組成物(X-29)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とバイオマス材料(D-4)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-4)5.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-29)を得た。
【0124】
<実施例30[バイオマス含有樹脂組成物(X-30)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)50.0重量部とバイオマス材料(D-4)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-7)2.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-30)を得た。
【0125】
<実施例31[バイオマス含有樹脂組成物(X-31)の製造]>
ゼオライト(A-3)2.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)4.0重量部とバイオマス複合樹脂(E-2)100.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-31)を得た。
【0126】
<実施例32[バイオマス含有樹脂組成物(X-32)の製造]>
ゼオライト(A-3)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-2)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-32)を得た。
【0127】
<実施例33[バイオマス含有樹脂組成物(X-33)の製造]>
バイオマス材料(D-1)40.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-2)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃ に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することによりバイオマス含有樹脂組成物(X-33)を得た。
【0128】
<実施例34[バイオマス含有樹脂組成物(X-34)の製造]>
ゼオライト(A-4)1.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)0.03重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とバイオマス材料(D-2)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-34)を得た。
【0129】
<実施例35[バイオマス含有樹脂組成物(X-35)の製造]>
バイオマス材料(D-1)50.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、製造例3で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-3)3.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-35)を得た。
【0130】
<実施例36[バイオマス含有樹脂組成物(X-36)の製造]>
バイオマス材料(D-1)5.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と熱可塑性樹脂(C-2)5.0重量部と製造例3で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-3)0.5重量部をディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、熱可塑性樹脂(C-4)90.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-36)を得た。
【0131】
<実施例37[バイオマス含有樹脂組成物(X-37)の製造]>
バイオマス材料(D-1)35.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と熱可塑性樹脂(C-1)65.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、製造例4で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-4)5.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-37)を得た。
【0132】
<実施例38[バイオマス含有樹脂組成物(X-38)の製造]>
バイオマス材料(D-1)60.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-9)5.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-38)を得た。
【0133】
<実施例39[バイオマス含有樹脂組成物(X-39)の製造]>
バイオマス材料(D-2)70.0重量部とイオン交換水30.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。このディスポカップにゼオライト(A-9)7.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部と酸化防止剤(G-1)0.1重量部を加えて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃、60rpmで10分間溶融混錬し、バイオマス含有樹脂組成物(X-39)を得た。
【0134】
<実施例40[バイオマス含有樹脂組成物(X-40)の製造]>
バイオマス材料(D-1)40.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)60.0重量部と酸化防止剤(G-1)0.1重量部と酸化防止剤(G-3)0.03重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-40)を得た。
【0135】
<実施例41[バイオマス含有樹脂組成物(X-41)の製造]>
バイオマス材料(D-2)20.0重量部とイオン交換水10.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。このディスポカップにゼオライト(A-2)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)80.0重量部と酸化防止剤(G-2)0.1重量部と酸化防止剤(G-3)0.01重量部を加えて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃、60rpmで10分間溶融混錬し、バイオマス含有樹脂組成物(X-41)を得た。
【0136】
<実施例42[バイオマス含有樹脂組成物(X-42)の製造]>
バイオマス材料(D-1)25.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)とゼオライト(A-9)3.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)25.0重量部と酸化防止剤(G-1)0.2重量部をディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、熱可塑性樹脂(C-4)50.0重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-42)を得た。
【0137】
<実施例43[バイオマス含有樹脂組成物(X-43)の製造]>
ゼオライト(A-1)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部とバイオマス材料(D-3)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-43)を得た。
【0138】
<実施例44[バイオマス含有樹脂組成物(X-44)の製造]>
ゼオライト(A-4)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)60.0重量部とバイオマス材料(D-4)40.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-44)を得た。
【0139】
<実施例45[バイオマス含有樹脂組成物(X-45)の製造]>
ゼオライト(A-1)3.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)0.05重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とバイオマス材料(D-3)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-45)を得た。
【0140】
<実施例46[バイオマス含有樹脂組成物(X-46)の製造]>
熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部とバイオマス材料(D-3)50.0重量部と製造例3で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-3)5.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-46)を得た。
【0141】
<実施例47[バイオマス含有樹脂組成物(X-47)の製造]>
熱可塑性樹脂(C-1)80.0重量部とバイオマス材料(D-4)20.0重量部と製造例4で得られたゼオライトマスターバッチ(Z-4)3.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-47)を得た。
【0142】
<実施例48[バイオマス含有樹脂組成物(X-48)の製造]>
ゼオライト(A-9)10.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-3)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-48)を得た。
【0143】
<実施例49[バイオマス含有樹脂組成物(X-49)の製造]>
ゼオライト(A-9)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部と製造例4で得られたゼオライトマスターバッチ(D-4)60.0重量部と酸化防止剤(G-2)0.1重量部と酸化防止剤(G-3)0.1重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-49)を得た。
【0144】
<実施例50[バイオマス含有樹脂組成物(X-50)の製造]>
ゼオライト(A-2)2.0重量部と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)1.0重量部と熱可塑性樹脂(C-3)90.0重量部と製造例4で得られたゼオライトマスターバッチ(D-4)10.0重量部と酸化防止剤(G-1)0.01重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-50)を得た。
【0145】
<実施例51[バイオマス含有樹脂組成物(X-51)の製造]>
バイオマス複合樹脂(E-1)2.0重量部とゼオライトマスターバッチ(Z-3)0.1重量部と熱可塑性樹脂(C-5)98.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-51)を得た。
【0146】
<実施例52[バイオマス含有樹脂組成物(X-52)の製造]>
ゼオライト(A-9)5.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部とバイオマス材料(D-2)50.0重量部と酸化防止剤(G-1)0.5重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、バイオマス含有樹脂組成物(X-52)を得た。
【0147】
<比較例1[比較用樹脂組成物(X’-1)の製造]>
バイオマス材料(D-1)70.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃ に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより比較用樹脂組成物(X’-1)を得た。
【0148】
<比較例2[比較用樹脂組成物(X’-2)の製造]>
バイオマス材料(D-2)50.0重量部とイオン交換水25.0重量部をディスポカップに入れて撹拌棒でかき混ぜ、(D-2)を含有するペーストを得た。このディスポカップに酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)50.0重量部を加えて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃、60rpmで10分間溶融混錬することにより、比較用樹脂組成物(X’-2)を得た。
【0149】
<比較例3[比較の樹脂組成物(X’-3)の製造]>
バイオマス材料(D-1)70.0重量部を約3倍量(体積)のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心分離機にて50rpmで10分脱水した。脱水後の(D-1)と酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、190℃ に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合して脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-1)0.03重量部と共にディスポカップに入れて予備混合した後、190℃に温調したラボプラストミルに投入し、190℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X’-3)を得た。
【0150】
<比較例4[比較の樹脂組成物(X’-4)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-2)3.0重量部と熱可塑性樹脂(C-2)40.0重量部とバイオマス材料(D-3)60.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、160℃に温調したラボプラストミルに投入し、160℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X’-4)を得た。
【0151】
<比較例5[比較の樹脂組成物(X’-5)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-4)70.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X’-5)を得た。
【0152】
<比較例6[比較の樹脂組成物(X’-6)の製造]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)50.0重量部とバイオマス材料(D-4)50.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合し、樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物の全量を卓上粉砕機で粒子径5mm以下に粉砕し、ゼオライト(A-1)0.03重量部と共にをディスポカップに入れて予備混合した後、200℃に温調したラボプラストミルに投入し、200℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X’-6)を得た。
【0153】
<比較例7[比較の樹脂組成物(X’-7)]>
酸変性ポリオレフィン樹脂(B-1)2.0重量部と熱可塑性樹脂(C-1)30.0重量部とバイオマス材料(D-3)70.0重量部とグアニジノ基含有化合物(F-1)3.0重量部とをディスポカップに入れて予備混合した後、180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X’-7)を得た。
【0154】
<比較例8[比較の樹脂組成物(X’-8)]>
バイオマス複合樹脂(E-1)100.0重量部を180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X‘-8)を得た。
【0155】
<比較例9[比較の樹脂組成物(X’-9)]>
バイオマス複合樹脂(E-2)100.0重量部を180℃に温調したラボプラストミルに投入し、180℃に加熱下、60rpmで10分間混合することにより、比較用樹脂組成物(X‘-9)を得た。
【0156】
実施例1~52及び比較例1~7で用いた原料名と用いた量(重量部)とを表1~表4にまとめた。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
実施例1~52で得られたバイオマス含有樹脂組成物及び比較例1~9で得られた比較の樹脂組成物について、臭気の官能試験、樹脂組成物を加熱した時の臭気原因物質発生量、成形品の機械的強度、及び成形時の耐金型汚染性を下記の方法で評価し、その結果を表5~表6に示す。
【0162】
【0163】
【0164】
<臭気の官能試験>
各樹脂組成物を、加圧成型機を用いて成形温度180℃で厚さ10mmの板状にプレス成型した。得られた板を、100mm×100mm×10mmに切り出して試験片を得た。試験片を、内容積2Lのガラス製デシケーターに入れ、蓋をして40℃で24時間静置した。その後蓋を少し開けてにおいをかぎ、においの強さを次の5段階で評価した。
臭気強度0:無臭
臭気強度1:やっと感知できるにおい(検知閾値)
臭気強度2:何の臭気かわかるにおい(認知閾値)
臭気強度3:らくに感知できるにおい
臭気強度4:強いにおい
【0165】
<樹脂組成物を加熱した時の臭気原因物質発生量>
各樹脂組成物を小型冷凍粉砕機を用いて液体窒素下予備冷却時間10分、粉砕時間20分で凍結粉砕して得た測定試料10mgを秤量してTENAX管に入れて熱分解ガスクロマトグラフィー(TD-GC/MS)にセットし、下記の測定条件で樹脂組成物を加熱した時に発生する臭気原因物質の定量を行い、各臭気原因物質のピーク面積をサンプル重量で割って、ゼオライト(A)を含んでいない樹脂組成物での臭気原因物質を100とした場合の相対値を計算し、各樹脂組成物を加熱した時の臭気原因物質発生量とした。
バイオマス材料(D-1)を含有する実施例1~5、9~11、33、35~38、40、及び42、並びに比較例3については、比較例1のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質量を比較した。
バイオマス材料(D-2)を含有する実施例6~8、12~15、32、34、39、41及び52については、比較例2のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質量を比較した。
バイオマス材料(D-3)を含有する実施例17~23、43、45、46、及び48、並びに比較例7は、比較例4のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質量を比較した。
バイオマス材料(D-4)を含有する実施例24~30、44、47、49及び50、並びに比較例6は、比較例5のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質量を比較した。
実施例16及び51は、比較例8のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質量を比較した。
実施例31は、比較例9のTD-GC/MS測定で検出された各臭気原因物質の面積をサンプリング重量で割って算出したサンプル1mgあたりの面積を100として、各樹脂組成物の測定で検出された臭気原因物質を比較した。
樹脂組成物が含有するバイオマス材料(D)がデンプン系材料{(D-1)、(D-2)、(E-1)}の場合に発生する主な臭気原因物質はアセトアルデヒド、フルフラール、ピラジン、ヒドロキシアセトン、酢酸及びヘキサデカンであり、バイオマス材料(D)がセルロース系材料{(D-3)、(E-2)}の場合、主に発生する臭気原因物質はアセトアルデヒド、ヒドロキシアセトン、酢酸、ヘキサデカン及びヘキサン酸であり、バイオマス材料(D)が卵殻{(D-4)}の場合、主に発生する臭気原因物質はアセトアルデヒド、酢酸、ヘキサデカン、ジメチルトリスルフィド、2-メチルプロパナール及びノナナールであった。
なお、サンプル1mgあたりの面積が200/mg未満の場合、検出下限を下回ったと判断し、表に「-」と記載した。
<TD-GC/MS測定条件>
GC条件
・装置:GCMS-TQ8040[(株)島津製作所製]
・カラム:ZB-WAX(長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm)
・入口圧力:100kPa
・スプリット比:10
・温度プログラム:40℃×5分保持後、230℃まで昇温、230℃×10分保持、昇温速度:10℃/分
MS条件
・イオン化モード:EI
・検出モード:Scan(m/z=33~300)
・検出器電圧(相対):0kV
・チューニング電圧:1.09kV
【0166】
<成形品の機械強度>
(1)成形品の引張破壊応力(MPa)
各樹脂組成物を、加圧成型機を用いて成形温度180℃で厚さ4mmの板状にプレス成型した。得られた板からダンベル1A形試験片を切り出し、試験片とした。
JIS K7161に準じ、試験速度1mm/minで引張破断応力(MPa)を測定した。
【0167】
(2)成形品の曲げ弾性率(MPa)
各樹脂組成物を、加圧成型機を用いて成形温度180℃で厚さ4mmの板状にプレス成型した。得られた板を80mm×10mmに切り出して試験片とした。
JIS K7171に準じ、試験速度2mm/min、支点間距離64mmの条件で曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0168】
<成形時の耐金型汚染性>
各樹脂組成物について射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)]を用い、シリンダー温度180℃、金型温度40℃、成形サイクル30秒にて、平板試験片(縦70mm、横70mm、厚さ2mm)を500ショット射出成形した後の金型の内側を目視で確認して汚れの状態を確認し、下記の基準に従い4段階に分類した。
<汚れの状態の分類基準>
◎:金型表面に変化がみられない。
〇:金型表面に汚れ(表面の曇り)がわずかに認められる。
△:金型表面に汚れ(表面の曇り)と樹脂の残留が認められる。
×:金型表面が極めて汚れ、成形品の外観が悪い。
【0169】
表5~表6の結果から、本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、比較の樹脂組成物(X’-1)~(X’-9)に比べて臭気が低減されていることが分かる。
本発明のバイオマス含有樹脂組成物は、バイオマス材料を含有するにも関わらず低臭気であり、樹脂組成物の製造時や成形加工時に高温加熱した場合も臭気の発生が少ない。さらに、成形性(耐金型汚染性等)も良好である。また、各種成形法で成形してなる成形品は、機械的強度(破断強度、曲げ弾性等)に優れるため、ハウジング製品[家電・OA機器、ゲーム機器及び事務機器用等]、プラスチック容器材[食品用トレー、食器類、クリーンルームで使用されるトレー(ICトレー等)、その他容器等]、各種緩衝材、被覆材(包材用フィルム、保護フィルム等)、床材用シート、人工芝、マット、テープ基材(半導体製造プロセス用等)、並びに各種成形品(自動車部品等)用材料として幅広く用いることができ、極めて有用である。