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特開2024-127837プリント回路基板(PCB)用ハウジングおよびPCBアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127837
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】プリント回路基板(PCB)用ハウジングおよびPCBアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20240912BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240912BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20240912BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01R13/73 Z
H01R13/46 Z
H01R13/74 C
H05K7/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033452
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】102023000004455
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519223712
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ イタリア ディストリビューション エッセ エッルレ エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ジェンタ
【テーマコード(参考)】
5E087
5E348
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087MM02
5E087QQ04
5E087RR36
5E348AA03
5E348AA07
5E348AA40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】挿入方向に垂直な結合平面におけるPCBと対応するハウジングとの間の位置合わせ不良を自動的に補償する接続システムを提供する。
【解決手段】ハウジングは、本体と、ヘッダ壁により画定され、対応するヘッダピングループを収容するように構成される複数のヘッダ孔とを備える。ハウジングは、ヘッダ孔の各々に対応する適応手段をさらに備え、適応手段は、ヘッダ壁をヘッダピングループと位置合わせするために、各ヘッダ壁が複数のヘッダ孔に対してハウジングの本体の平面の第1の方向および/または第2の方向に移動することを可能とする。この結果、ヘッダピングループをヘッダ壁に適正に挿入することを確実にし、ヘッダピングループのピンの何らかの変形を回避するために、全てのヘッダ壁を対応するヘッダピングループと同時に位置合わせすることが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB(200)を収容するのに適したハウジング(100)であって、前記PCB(200)は、PCB平面(XY)を画定し、ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備え、
前記ハウジング(100)は、ハウジング平面(X’Y’)を画定する本体(106)を備え、前記ハウジング平面(X’Y’)は、前記PCB(200)が前記ハウジング(100)に収容されると前記PCB平面(XY)に対して平行であり、前記ハウジング(100)は、複数のヘッダ壁(102)により画定され、対応する前記ヘッダピングループ(202)を収容するように構成されている複数のヘッダ孔(101)をさらに備える、ハウジング(100)において、
前記ハウジング(100)が、前記ヘッダ孔(101)の各々に対応する適応手段(400、500)をさらに備え、前記適応手段(400、500)が、前記複数のヘッダ壁(102)を前記ヘッダピングループ(202)と位置合わせするために、前記複数のヘッダ壁(102)の各々が前記複数のヘッダ孔(101)に対して前記ハウジング平面(X’Y’)において第1の方向(X’)および/または第2の方向(Y’)に移動することを可能とする
ことを特徴とする、ハウジング(100)。
【請求項2】
前記適応手段(400)は、弾性ばね(401)を備える、請求項1に記載のハウジング(100)。
【請求項3】
前記弾性ばね(400)は、前記複数のヘッダ孔(101)の各々と、対応する前記複数のヘッダ壁(102)の各々との間に装着されている、請求項2に記載のハウジング(100)。
【請求項4】
前記適応手段(500)は、前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)に沿った前記ヘッダ壁(102)の各々の移動を案内するように構成されているリテーナ(501)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項5】
前記リテーナ(501)は、ブリッジ構造体(502)およびラップアラウンドアーム(503)を備え、
前記ラップアラウンドアーム(503)は、前記ハウジング(100)の対応するヘッダ孔(101)を完全にまたは部分的に取り囲み、
前記ラップアラウンドアーム(503)は、前記ブリッジ構造体(502)により共に安定的に保持されている、
請求項4に記載のハウジング(100)。
【請求項6】
前記複数のヘッダ壁(102)の各々が突出リム(109)をさらに備え、
前記突出リム(109)は、前記複数のヘッダ壁(102)の各々を対応する前記ヘッダ孔(101)に浮かせることが可能であるように、前記ハウジング(100)の前記本体(106)に突出し、前記ハウジング(100)の前記本体(106)に対して平行である、請求項4または5に記載のハウジング(100)。
【請求項7】
前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)における移動範囲(ΔX’、ΔY’)は、0.75mm以上、好ましくは1mm以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項8】
前記ハウジング(100)は、145mm以上の長さを有する短辺および/または375mm以上の長さを有する長辺を有する矩形の形状を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のハウジング(100)と、
ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備えるPCB(200)と
を備える、PCBアセンブリ(1000)。
【請求項10】
前記ハウジング(100)は、各ヘッダ孔(101)に対応する1つまたは複数の案内ピン(103)を備え、前記PCB(200)は、1つまたは複数の対応する案内孔(203)を備え、
前記1つまたは複数の案内ピン(103)の各々は、各ヘッダピングループ(202)を対応する前記ヘッダ孔(101)に挿入することを容易にするために、対応する前記案内孔(203)の各々に挿入されるように構成されている、
請求項9に記載のPCBアセンブリ(1000)。
【請求項11】
請求項9または10に記載のPCBアセンブリ(1000)と、
カバー(300)と
を備えるコネクタ(2000)であって、

前記カバー(300)は、前記PCB(200)の裏面(204)を保護し、前記ハウジング(100)と前記カバー(300)との間に前記PCB(200)を収容するために前記PCBアセンブリ(1000)に装着されるのに適している、
コネクタ(2000)。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載のハウジング(100)を提供するステップと、
ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備えるPCB(200)を提供するステップと、
前記ハウジング(100)を前記PCB(200)に結合するステップであって、それにより、前記適応手段(400、500)は、前記複数のヘッダ壁(102)のうちの1つまたは複数を対応する前記ヘッダピングループ(202)と位置合わせするために、前記1つまたは複数のヘッダ壁(102)を前記複数のヘッダ孔(101)に対して前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)に移動させる、結合するステップと
を含む、PCBアセンブリ(1000)を組み立てるための方法。
【請求項13】
前記ハウジング(100)は、1つまたは複数の案内ピン(103)を備え、前記PCB(200)は、1つまたは複数の対応する案内孔(203)を備え、前記方法は、
1つまたは複数の案内ピン(103)を対応する前記案内孔(203)に挿入するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カバー(300)を提供するステップと、
前記カバー(300)を前記ハウジング(100)に装着するステップと
をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
車両、例えばトラックにおける、請求項9または10に記載のPCBアセンブリ(1000)または請求項11に記載のコネクタ(2000)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタの技術分野に関する。特に、本発明は、プリント回路基板(PCB)用ハウジング、ならびにハウジングおよびPCBを備えるPCBアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業においては、異なる機能を実行するための多数の電気コンタクトを提供するために、大型PCB(すなわち約375mm×145mmの寸法を有するPCB)が一般的に用いられる。例えば、大型PCBは、車両用の制御ユニットにおいて用いられる場合がある。
【0003】
プレス嵌めまたは他の類似の技術に関連する従来技術においては、ピンコンタクトがPCBに直接装着され、一方で他の接続部、例えばコンタクトキャビティ、プラグハウジングのための案内要素は、追加のカバーまたはハウジングに設けられる。
【0004】
多数のコンタクトを有する大型PCBが対応するハウジングと結合するとき、PCBの1つまたは複数の電気コンタクトと対応するハウジング孔との間の位置合わせ不良により、2つの構成要素の間の、挿入方向に垂直な結合平面に沿った適正な結合が妨げられる場合がある。この位置合わせ不良は主に、PCBおよび/またはハウジングの設計中に生じる公差(tolerance)の問題に起因する。2つの構成要素が適正に位置合わせされない場合、結合中にコンタクトピンが意図せず曲がるリスクがある。通常、0.75mm以上の位置合わせ不良のずれ(gap)を克服する必要がある。しかしながら、一部の例では、位置合わせ不良のずれが2mmになる場合もある。
【0005】
上記の課題に鑑みて、挿入方向に垂直な結合平面におけるPCBと対応するハウジングとの間の位置合わせ不良を自動的に補償する接続システムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの課題を克服するハウジングおよびPCBアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハウジングと対応するPCBとの間の自動的な位置合わせを確実にする適応手段(adaptation means、適合手段、適合化手段、調節手段)を有するPCB用ハウジングを提供するという着想に基づくものである。本発明の一態様によれば、PCBを収容するのに適したハウジングが提供され、PCBは、PCB平面(XY)を画定し、ヘッダピングループ(header pins group)が設けられる複数の接続領域を備え、ハウジングは、ハウジング平面(X’Y’)を画定する本体を備え、ハウジング平面(X’Y’)は、PCBがハウジングに収容されている場合にPCB平面(XY)に対して平行であり、ハウジングは、ヘッダ壁により画定され、対応するヘッダピングループを収容するように構成される複数のヘッダ孔をさらに備える。
本発明によれば、ハウジングは、ヘッダ孔の各々に対応する適応手段をさらに備え、適応手段は、ヘッダ壁をヘッダピングループと位置合わせするために、複数のヘッダ壁の各々が複数のヘッダ孔に対してハウジング平面(X’Y’)において第1の方向(X’)および/または第2の方向(Y’)に移動することを可能とする。
【0008】
本発明の利点は、ピンを有するより多くの接続領域を備えるPCBの対応するハウジングへの容易かつ正確な挿入を可能とすることで、ヘッダピングループのピンが作業中に意図せず曲がることを回避する点である。この位置合わせは自動的に行われるため、本発明に係る解決策は、多数の接続領域を対応するヘッダ孔と同時に位置合わせすることを可能とする。
【0009】
好適な実施形態によれば、適応手段は、挿入方向に垂直な結合平面に沿ったハウジング壁の移動を可能とする弾性手段を含んでよい。代替的実施形態によれば、適応手段は、挿入方向に垂直な結合平面に沿ったハウジング壁の移動を可能とするリテーナ要素を含んでよい。
【0010】
本発明はさらに、本発明の任意の実施形態に係るハウジングと、ハウジングに収容されるPCBとを備えるPCBアセンブリに関する。
【0011】
好適な実施形態によれば、ハウジングは、各ヘッダ孔に対応する1つまたは複数の案内ピンを備えてよく、PCBは、1つまたは複数の対応する案内孔を備えてよく、1つまたは複数の案内ピンの各々は、各ヘッダピングループを対応するヘッダ孔に挿入することを容易にするために、対応する案内孔の各々に挿入されるように構成される。これにより、案内ピンが、接続領域と対応するヘッダ孔との間の事前の適正な位置合わせを誘導して確実にする点が有利である。
【0012】
本発明はさらに、本発明に係るハウジングを提供するステップと、ヘッダピングループが設けられる複数の接続領域を備えるPCBを提供するステップと、ハウジングをPCBに結合するステップであって、それにより、適応手段は、複数のヘッダ壁のうちの1つまたは複数を対応するヘッダピングループと位置合わせするために、1つまたは複数のヘッダ壁を複数のヘッダ孔に対して第1の方向および/または第2の方向に移動させる、結合するステップとを含む、PCBアセンブリを組み立てるための方法に関する。
【0013】
好適な実施形態によれば、ハウジングは、1つまたは複数の案内ピンを備え、PCBは、1つまたは複数の対応する案内孔を備える。この場合、方法は、1つまたは複数の案内ピンを対応する案内孔に挿入するステップをさらに含む。これにより、案内ピンが、接続領域と対応するヘッダ孔との間の事前の適正な位置合わせを誘導して確実にする点が有利である。
【0014】
本発明はさらに、車両、例えばトラックにおけるコネクタとしての、本発明に係るPCBアセンブリまたはコネクタの使用に関する。コネクタは、例えば、車両用の制御ユニット、例えば車両の主要なまたは単一の制御ユニットであってよい。
【0015】
添付の図面を参照して、本発明を説明する。図面において、同じ参照番号および/または符号は、装置の同じ部分および/または類似のおよび/または対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの分解図を模式的に示す図である。
図2】組み立て済み状態における図1のコネクタを示す図である。図2の組み立て済みコネクタは、図1のコネクタと比較して、Y軸に関して180°回転されている。
図3】ヘッダピングループを有するPCBのコンタクト領域を示す図である。
図4図4aは本発明の一実施形態に係るPCBアセンブリの上面図である。図4bは図4aの拡大詳細図である。
図5】本発明の一実施形態に係る組み立て済み状態におけるコネクタを示す図である。
図6】本発明の別の実施形態に係るハウジングの上面図である。
図7a】本発明の別の実施形態に係るヘッダ孔の拡大図である。
図7b図7aに示すAA方向およびBB方向に沿った、図7aのヘッダ孔を示す図である。
図8】本発明の別の実施形態に係るコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、同封の図面に示す特定の実施形態を参照して、本発明を説明する。しかしながら、本発明は、以下の詳細な説明において説明され図面に示されている特定の実施形態に限定されず、説明されている実施形態は、単に本発明のいくつかの態様を例示するものであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0018】
本発明のさらなる修正例および変形例が、当業者には明らかとなるであろう。したがって、本説明は、本発明のあらゆる修正例および/または変形例を含むものとみなされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0019】
簡潔性のために、同一のまたは対応する構成要素は、図面において同じ参照番号で示されている。
【0020】
図1は、本発明に係るコネクタ2000の分解図を模式的に示す。コネクタ2000は、例えば、輸送トラックなどの車両における一体型の電気制御ユニットとして用いられるのに適している。
【0021】
コネクタ2000は、ハウジング100、PCB200およびカバー300を備える。
【0022】
図1に示すPCB200は、PCB平面XYを画定する。図示のPCBは矩形の形状を有するが、任意の他の適した平面形状も本発明の範囲内である。
【0023】
PCB平面XYを基準として、デカルト基準系XYZが定義されてよい。以下では、この基準系XYZが参照される。特に、基準系XYZのXY平面がPCB平面XYとして定義され、X軸は図1に示すPCB200の短辺に対して平行であり、Y軸はPCB200の長辺に対して平行であり、Z軸はPCB平面XYに対して垂直な方向である。
【0024】
PCB200は、複数の接続領域201を備える。図3においてより良好に示されている各接続領域201には、ヘッダピングループ202が設けられ、各接続領域201は、1つまたは複数の案内孔203を備えてよい。接続領域201の典型的な寸法は、90mm×40mmである。ただし、各接続領域201は、そこに必要とされるピンの数に応じて、異なる寸法を有してもよい。
【0025】
ヘッダピングループ202は、コネクタ2000の使用時に対応するケーブルへの電気的接続を保証する、好ましくはPCB200の対応する接続領域201にプレス嵌め挿入される一群の金属ピンである。各案内ピンは、Z方向に沿って画定される長さh2を有する。好ましくは、ヘッダピングループ202の全てのピンが同じ長さh2を有する。より好ましくは、全てのヘッダピングループ202の全てのピンが同じ長さh2を有する。ピンの典型的な長さh2は、10mm程度である。ただし、長さh2は、必要に応じて変動してもよい。
【0026】
案内孔203は、以下で詳述するように、各ヘッダピングループ202をハウジング100の対応するヘッダ孔101に適切に挿入することを容易にするために好適な、接続領域201に形成される孔である。
【0027】
ハウジング100は、ハウジング平面X’Y’を画定する本体106を備え、ハウジング平面X’Y’は、例えば図1に示すように、PCB200がハウジング100に収容されている場合にPCB平面XYに対して平行である。ハウジング100は、PCB200に面する下面105、およびコネクタ2000の外側に面する上面104を備える。図1に示すハウジング100は、145mmの長さを有する短辺および375mmの長さを有する長辺を有する矩形の形状を有する。ハウジング100の形状は、矩形の形状に限定されず、PCB200の形状と適合可能な任意の形状であってよい。同様に、ハウジング100のサイズは、示されている値に限定されず、PCB200のサイズと適合可能な任意のサイズを有してよい。
【0028】
ハウジング100は、複数のヘッダ孔101を備える。各ヘッダ孔101は、PCB200における接続領域201に対応する。より詳細には、ハウジング100における各ヘッダ孔101は、対応するヘッダピングループ202を収容するように構成される。接続孔101の典型的な寸法は、90mm×40mmである。ただし、各接続孔101は、対応する接続領域201の寸法に応じて、異なる寸法を有してもよい。各ヘッダ孔101は、ヘッダ壁102により画定される。ヘッダ壁102は、対応するヘッダ孔101の内側に配置され、連続的な壁を形成してよい。
【0029】
図1に示す実施形態において、ヘッダ壁102は、ハウジング平面X’Y’100から内方に、すなわちPCB200に向かって、Z方向に平行に突出する。Z方向に沿ったヘッダ壁102の各々の長さh1(不図示)は、対応するヘッダピングループ202のピンの長さh2よりも大きいことが好ましい。これにより、コネクタ2000が装着されたときに、各ヘッダピングループ202のピンがハウジング平面X’Y’を越えて突出しない。ヘッダ壁102の典型的な長さh1は、40mm~50mmの範囲である。ただし、長さh1は、必要に応じて変動してもよい。
【0030】
ヘッダ壁102は、任意の適した絶縁材料、例えばプラスチック材料から作製されてよい。
【0031】
本発明に係るPCB200が複数の接続領域201を備えることを考慮すると、ヘッダ壁102がハウジング100に固定された場合、全てのヘッダピングループ202を同時に対応するヘッダ孔101に適正に挿入することは難しい。実際、類似の構成要素について発明者らが行った公差分析(tolerance studies)は、複数の接続領域を備えるPCBを対応するハウジングに装着するときに考慮されるべきずれが存在することを示している。したがって、このずれを補償するために、ヘッダ壁102の可動性が必要である。これは、ヘッダピングループ202のピンが対応するヘッダ孔101への挿入ステップ中に曲がることを回避するために必要とされる。公差分析は、このずれが1mm程度であり、平均値が0.75mm、最大値が2mmであることを示した。
【0032】
この理由から、ハウジング100は、ヘッダ孔101の各々に対応する、以下で図4a、図4b、図6図7aおよび図7bを参照して詳細に説明する適応手段400、500をさらに備える。適応手段400、500は、ヘッダ壁102の各々が対応するヘッダ孔101に対してハウジング平面X’Y’において第1の方向X’および/または第2の方向Y’に移動することを可能とする。したがって、ヘッダ壁102は、約1mm程度の範囲にわたってX’方向およびY’方向に独立して、また結果としてハウジング平面X’Y’において移動可能である。この結果、ヘッダピングループ202をヘッダ壁102に適正に挿入することを確実にし、ヘッダピングループ202のピンの何らかの変形を回避するために、全てのヘッダ壁102を対応するヘッダピングループ202と同時に位置合わせすることが可能となる。
【0033】
ハウジング100は、各ヘッダ孔101に対応する1つまたは複数の案内ピン103をさらに備えてよい。各案内ピン103は、各ヘッダピングループ202の対応するヘッダ孔101への挿入を容易にするために、PCB200の接続領域201の対応する案内孔203に挿入されるように構成される。特に、各案内ピン103が対応する案内孔203に挿入されると、ヘッダ壁102の対応するヘッダピングループ202との位置合わせが誘導されて確実になる。
【0034】
ハウジング100はまた、ハウジング100の本体106の周囲に沿ってPCB200に向かってZ方向に延び、ハウジング100のカバー300への適正な結合を可能とするのに適した第1の結合手段、例えばクリップ(不図示)を備える、図2に示す側壁108を備える。
【0035】
ハウジング100は、任意の適した高耐久かつ絶縁性の材料、例えばプラスチック材料から作製されてよい。
【0036】
カバー300は、本体301と、カバー300の本体301の周囲に沿ってPCB200に向かってZ方向に延び、カバー300のハウジング100への適正な結合を可能とするのに適した第2の結合手段、例えばクリップ(不図示)を備える、図2に示す側壁302とを備える。
【0037】
カバー300の形状は、図1または図2に示すような矩形の形状に限定されず、ハウジング100の形状と適合可能な任意の形状であってよい。
【0038】
カバー300は、PCB200の裏面(図面では視認不可能)を保護する機能を有し、前記ハウジング100と前記カバー300との間に前記PCB200を収容するために装着される。カバー300は、任意の適した高耐久かつ絶縁性の材料、例えばプラスチック材料から作製されてよい。
【0039】
図2は、組み立て済み状態における図1に示すコネクタを示す。組み立て済みコネクタは、図1の構成と比較して、Y軸に関して180°回転して示されており、それにより、カバー300をより良好に視認することが可能となっている。図2の組み立て済みコネクタは、例としてトラックなどの車両における制御ユニットとして使用される準備が整っている。
【0040】
図3は、PCB200のコンタクト領域201を示す。コンタクト領域201には、ヘッダピングループ202が設けられ、コンタクト領域201は、1つまたは複数の案内孔203を備える。図3に示すヘッダピングループ202は、2組の平行なピンおよび一対の案内孔203を備える。ただし、これは本発明を限定するものではなく、ヘッダピングループ202は、例として1組、3組、4組もしくはそれよりも多くの組の平行なピンおよび/または1つ、3つ、4つもしくはそれよりも多くの案内孔203を備えてもよい。
【0041】
図4aは、本発明の第1の実施形態に係るPCBアセンブリ1000の上面図を示す。
【0042】
PCBアセンブリ1000は、ハウジング100およびPCB200を備える。
【0043】
特に、図4aは、PCB200が装着される本発明の第1の実施形態に係るハウジング100の上面104を示す。図4において、ヘッダピングループ202は、ヘッダ壁102により画定される対応するヘッダ孔101に挿入される。
【0044】
図4aはまた、本発明の第1の実施形態に係る適応手段400を示す。適応手段400は、対応する各ヘッダ孔101に対応し、特に、各ヘッダ孔101と対応するヘッダ壁102との間に装着される。本発明の第1の実施形態によれば、適応手段400は、図4bにおいてより良好に示す弾性ばね(elastic spring)401を備える。特に、弾性ばね401は、各ヘッダ孔101と対応する各ヘッダ壁102との間に挿入される。より詳細には、弾性ばね401は、例えば、ヘッダ孔101およびヘッダ壁102における対応する装着孔(不図示)に嵌め込まれてよい。弾性ばねにより、ヘッダ壁102がハウジング平面X’Y’に沿ってヘッダ孔101の内側でX’方向およびY’方向に沿って独立して移動することが可能となる。X’方向および/またはY’方向へのヘッダ壁の移動範囲は、それぞれ1mm程度であり、例として0.75mm~2mmの間である。
【0045】
図4bは、図4aの詳細の拡大図を示す。特に、図4bは、ヘッダ壁102により画定され、適応手段400が対応し、PCB200の接続領域201が挿入されるヘッダ孔101の拡大図を示す。図4aに示す図面においては、3つの弾性ばね401の2つの組がヘッダ孔101とヘッダ壁102との間に装着されるが、弾性ばね401の数および配置は、必要に応じて変動してもよい。
【0046】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るコネクタの上面図を示す。コネクタは、ハウジング100が上部にある状態で示されており、組み立て済みであり、すなわちカバー300が装着されている。図5はさらに、ヘッダ壁102により取り囲まれるヘッダピングループ202を示す。図示の実施形態は、弾性ばね401を適応手段400として用いる。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るハウジング100の上面図を示す。本例では、ハウジング100の下面105が示されており、図6は、本発明の第2の実施形態に係る適応手段500を示す。適応手段500は、ブリッジ構造体502およびラップアラウンドアーム(wrap-around arm、包囲アーム、囲い込みアーム)503を備えるリテーナ501を備える。ラップアラウンドアーム503の各々は、ハウジング100の対応するヘッダ孔101を完全にまたは部分的に取り囲み、全てのラップアラウンドアーム503は、ブリッジ構造体502により共に安定的に保持される。加えて、いずれのラップアラウンドアーム503も、1つまたは複数の突出フック504(図7aも参照)を備える。
図7aおよび図7bに示すように、本実施形態によれば、ヘッダ壁102は、ハウジング100の本体106に突出する突出リム109、および開口部付き床部(floor with openings)110をさらに備える。突出リム109および開口部付き床部110は両方、本体106に対して平行かつヘッダ壁102に対して垂直である。各ラップアラウンドアーム503は、対応するヘッダ壁102よりもわずかに大きく、したがって、突出リム109(図7bにおいてより良好に視認可能)を利用することにより、ヘッダ壁102の各々を、対応するヘッダ孔101の内側でハウジング平面X’Y’において移動可能であるように対応するヘッダ孔101に配置することができる。
突出フック504は、ヘッダ壁102の対応する突出部(不図示)に係合することにより、Z’方向に沿ったヘッダ壁102の移動を防止し、各ヘッダ壁102の対応するヘッダ孔101への移動を制限することで、ハウジング平面X’Y’におけるX’方向およびY’方向の両方への可能な移動が1mm程度となることを確実にする。リテーナ501および突出リム109は、任意の適した絶縁材料、例えばプラスチック材料から作製されてよい。
【0048】
図7aは、本発明の第2の実施形態に係るヘッダ孔101の拡大図を示す。図示のヘッダ孔101は、Z軸に関して180°回転させた、RHH(基準ヘッダ孔)の文字で示す図6の左上のものである。図7aは、ラップアラウンドアーム503および突出フック504を示す。本例においては、ラップアラウンドアーム503が3つの側のみにおいてヘッダ孔101を取り囲み、2つの突出フック504が存在する。加えて、図7aは、ヘッダ壁102の開口部付き床部110を示す。開口部付き床部110は、ヘッダピングループ202をヘッダ壁102に挿入することを可能とするために開口している。
【0049】
図7bは、図7aに示すAA方向およびBB方向に沿った、図7aのヘッダ孔を示す。特に、図7bは、突出リム109、開口部付き床部110および突出フック504を備えるヘッダ壁102を示す。
【0050】
図8は、本発明の第2の実施形態に係るコネクタを示す。コネクタは、ハウジング100が上部にある状態で示されており、組み立て済みであり、すなわちカバー300が装着されている。図8はさらに、突出リム505を備えるヘッダ壁102により取り囲まれるヘッダピングループ202を示す。図示の実施形態は、リテーナ501を適応手段500として用いる。
【0051】
以下、第1/第2の実施形態に係るPCBアセンブリを組み立てるための方法を開示する。方法は、本発明に係るハウジング100を提供するステップと、ヘッダピングループ202が設けられる複数の接続領域201を備えるPCB200を提供するステップと、適応手段400、500が複数のヘッダ壁102のうちの1つまたは複数を、複数のヘッダ孔101に対してハウジング平面X’Y’を画定する第1のX’方向および/または第2のY’方向に移動させ、ヘッダピングループ202と位置合わせするように、ハウジング100をPCB200に結合するステップとを含む。ハウジング100が1つまたは複数の案内ピン103を備え、PCB200が1つまたは複数の対応する案内孔203を備える場合、方法は、各ヘッダピングループ(202)を対応するヘッダ孔(101)により容易に挿入し収容するために、1つまたは複数の案内ピン103の各々を対応する案内孔203の各々に挿入するステップをさらに含んでよい。コネクタ2000を得るために、カバー300がさらに、ハウジング100と結合するようにPCB裏面204に施されてよい。
【符号の説明】
【0052】
100 ハウジング
101 ヘッダ孔
102 ヘッダ壁
103 案内ピン
104 ハウジング上面
105 ハウジング下面
106 本体
107 側壁
108 第1の結合手段
109 突出リム
110 開口部付き床部
h1 ヘッダ壁長さ
200 PCB
201 コンタクト領域
202 ヘッダピングループ
203 案内孔
204 PCB裏面
X’Y’ ハウジング平面
XY PCB平面
h2 ピン長さ
300 カバー
301 本体
302 側壁
303 第2の結合手段
400、500 適応手段
401 弾性ばね
501 リテーナ
502 ブリッジ構造体
503 ラップアラウンドアーム
504 突出フック
1000 PCBアセンブリ
2000 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB(200)を収容するためのハウジング(100)であって、前記PCB(200)は、PCB平面(XY)を画定し、ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備え、
前記ハウジング(100)は、ハウジング平面(X’Y’)を画定する本体(106)を備え、前記ハウジング平面(X’Y’)は、前記PCB(200)が前記ハウジング(100)に収容されると前記PCB平面(XY)に対して平行であり、前記ハウジング(100)は、複数のヘッダ壁(102)により画定され、対応する前記ヘッダピングループ(202)を収容するように構成されている複数のヘッダ孔(101)をさらに備える、ハウジング(100)において、
前記ハウジング(100)が、前記ヘッダ孔(101)の各々に対応する適応手段(400、500)をさらに備え、前記適応手段(400、500)が、前記複数のヘッダ壁(102)を前記ヘッダピングループ(202)と位置合わせするために、前記複数のヘッダ壁(102)の各々が前記複数のヘッダ孔(101)に対して前記ハウジング平面(X’Y’)において第1の方向(X’)および/または第2の方向(Y’)に移動することを可能とする
ことを特徴とする、ハウジング(100)。
【請求項2】
前記適応手段(400)は、弾性ばね(401)を備える、
請求項1に記載のハウジング(100)。
【請求項3】
前記弾性ばね(400)は、前記複数のヘッダ孔(101)の各々と、対応する前記複数のヘッダ壁(102)の各々との間に装着されている、
請求項2に記載のハウジング(100)。
【請求項4】
前記適応手段(500)は、前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)に沿った前記ヘッダ壁(102)の各々の移動を案内するように構成されているリテーナ(501)を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項5】
前記リテーナ(501)は、ブリッジ構造体(502)およびラップアラウンドアーム(503)を備え、
前記ラップアラウンドアーム(503)は、前記ハウジング(100)の対応するヘッダ孔(101)を完全にまたは部分的に取り囲み、
前記ラップアラウンドアーム(503)は、前記ブリッジ構造体(502)により共に安定的に保持されている、
請求項4に記載のハウジング(100)。
【請求項6】
前記複数のヘッダ壁(102)の各々が突出リム(109)をさらに備え、
前記突出リム(109)は、前記複数のヘッダ壁(102)の各々を対応する前記ヘッダ孔(101)に浮かせることが可能であるように、前記ハウジング(100)の前記本体(106)に突出し、前記ハウジング(100)の前記本体(106)に対して平行である、
請求項4に記載のハウジング(100)。
【請求項7】
前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)における移動範囲(ΔX’、ΔY’)は、0.75mm以上、または1mm以上である、
請求項1からのいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項8】
前記ハウジング(100)は、145mm以上の長さを有する短辺および/または375mm以上の長さを有する長辺を有する矩形の形状を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載のハウジング(100)。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のハウジング(100)と、
ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備えるPCB(200)と
を備える、
PCBアセンブリ(1000)。
【請求項10】
前記ハウジング(100)は、各ヘッダ孔(101)に対応する1つまたは複数の案内ピン(103)を備え、前記PCB(200)は、1つまたは複数の対応する案内孔(203)を備え、
前記1つまたは複数の案内ピン(103)の各々は、各ヘッダピングループ(202)を対応する前記ヘッダ孔(101)に挿入することを容易にするために、対応する前記案内孔(203)の各々に挿入されるように構成されている、
請求項9に記載のPCBアセンブリ(1000)。
【請求項11】
請求項9に記載のPCBアセンブリ(1000)と、
カバー(300)と
を備えるコネクタ(2000)であって、

前記カバー(300)は、前記PCB(200)の裏面(204)を保護し、前記ハウジング(100)と前記カバー(300)との間に前記PCB(200)を収容するために前記PCBアセンブリ(1000)に装着されるように構成されている
コネクタ(2000)。
【請求項12】
請求項1からのいずれか一項に記載のハウジング(100)を提供するステップと、
ヘッダピングループ(202)が設けられている複数の接続領域(201)を備えるPCB(200)を提供するステップと、
前記ハウジング(100)を前記PCB(200)に結合するステップであって、それにより、前記適応手段(400、500)は、前記複数のヘッダ壁(102)のうちの1つまたは複数を対応する前記ヘッダピングループ(202)と位置合わせするために、前記1つまたは複数のヘッダ壁(102)を前記複数のヘッダ孔(101)に対して前記第1の方向(X’)および/または前記第2の方向(Y’)に移動させる、結合するステップと
を含む、
PCBアセンブリ(1000)を組み立てるための方法。
【請求項13】
前記ハウジング(100)は、1つまたは複数の案内ピン(103)を備え、前記PCB(200)は、1つまたは複数の対応する案内孔(203)を備え、前記方法は、
1つまたは複数の案内ピン(103)を対応する前記案内孔(203)に挿入するステップ
をさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カバー(300)を提供するステップと、
前記カバー(300)を前記ハウジング(100)に装着するステップと
をさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
両における、請求項9に記載のPCBアセンブリ(1000)の使用。
【請求項16】
車両における、請求項11に記載のコネクタ(2000)の使用。
【外国語明細書】